説明

薬に対する細胞の感受性の決定

本発明は、(i)デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を用いて患者試料若しくは細胞株又はその一部分を処理する工程;(ii)工程(i)由来の患者試料又は細胞株の細胞を溶解する工程;(iii)必要に応じて、工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分とデオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌とを混合する工程;(iv)(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターとを混合する工程;(v)工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤とを混合する工程;並びに(vi)工程(iii)〜工程(v)由来の混合物の各々の生物発光を測定する工程(ここで、該混合物の各々の生物発光の比較レベルは、前記薬に対する耐性又は感受性の尺度をもたらす。)を含む、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するインビトロの方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオシド類似体薬に対する細胞の感受性を決定する方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄性前駆体細胞の悪性転換により引き起こされる血液疾患の異質の群を規定するために使用される用語である。転換により、血液及び骨髄中における未成熟かつ未分化型の細胞の増殖、並びに正常な造血の抑制が引き起こされる。AML患者の効果的な治療は難易度が高く、臨床転帰は期待外れかつ予測不可能であることがある。標準的な治療計画を受け入れた新たに診断された患者の70%しか、治療に応答しない。さらに、これらの患者の大部分が、長期間の寛解を達成することができず、その後の治療方法に対する耐性を発達させる。
【0003】
ヌクレオシド類似体(NA)は、或る特定の型の癌及びウイルス感染症の治療において広範に使用される抗代謝薬の一種である。これらの化合物は、身体の天然ヌクレオシドと構造的に類似しており、新たに合成されたDNA中へのそれらの組み込みをもたらす同じ生理学的な取り込み及び代謝メカニズムに供される。このDNA改質は、細胞死をもたらすDNA合成阻害及び連鎖終結を引き起こす。NAは、活性ヌクレオチドを形成するために三リン酸エステルへのリン酸化を必要とするプロドラッグである。或る特定のNAは、DNA複製を直接妨害する訳ではない。例えば、抗ヘルペス薬アシクロビルは、細胞による取り込み及びリン酸化の後、DNAポリメラーゼを阻害することによりDNA複製を妨害する。
【0004】
ヌクレオシド類似体Ara−Cは、最も活性の高い単一の抗癌剤の1つであり、30年を超える期間AMLの中心的な治療法である。in vivoでAra−Cは、特異的ヌクレオシドトランスポーターhENT1を介して細胞中に輸送され、dCKにより迅速にリン酸化されてその一リン酸エステル形態となる。Ara−CMPは、ヌクレオシドキナーゼによってさらにリン酸化されて、その活性な三リン酸化形態であるAra−CTPとなる。Ara−CTPの抗増殖効果及び細胞毒性効果は、DNAポリメラーゼと干渉しかつDNA鎖中に組み込まれる能力に起因して、連鎖終結及びDNA合成停止を引き起こす。高用量のAra−Cは、サイトゾル中におけるシトクロムCの蓄積、ミトコンドリアの膜電位の喪失、及び活性酸素種の増大を引き起こすこともある。
【0005】
Ara−Cに対する化学療法耐性は、薬の取り込みの低さ、シチジンデアミナーゼによるAra−Uへの変換、又は細胞質ヌクレオチダーゼによる活性代謝産物の脱リン酸化を含む、Ara−CTP形成の速度及びDNA中への組み込みに影響する多数の因子から生じ得る。
【0006】
ヌクレオシド類似体薬に対する耐性の主要メカニズムは、不十分なNA三リン酸エステルに起因する。この主要な原因は、リン酸化酵素(例えばdCK)のレベルの減少、非効率的な細胞取り込み(例えばhENT1のレベルの減少)、NA分解酵素(とりわけシチジンデアミナーゼ、cdd)のレベルの増大、及びデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)プールの拡大である。デオキシリボヌクレオシドキナーゼ(dNK)レベルも、薬耐性において主要な役割を果たすと考えられる。
【0007】
大腸菌は、dCKを欠きデオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)の活性によりAra−CをAra−ウラシルへと脱アミノ化するため、Ara−Cは大腸菌に対する効果を有しない。非特許文献1は、ヒトdCK遺伝子の発現によりAra−Cの存在下で低減された相対的な成長を示すcdd欠損大腸菌突然変異体(S05218)の構築を記載した。成長に対するAra−Cの効果は、dCK誘導性プロモーターであるIPTGの非存在下でアッセイすると完全に消失し、細菌におけるヒトdCKの発現が細菌DNAへのAra−CTPの組み込みをもたらすことが示された。
【0008】
Ara−Cの有効性のインビトロ(in vitro)での評価は伝統的に、白血病細胞のAra−Cに対する曝露後におけるa)細胞死の測定、b)S期活性の低減の測定、又はc)AMLクローン形成アッセイの使用を伴っている。これらの方法は標準化されておらず、多大な時間を必要とし、費用がかかり、日常的なスクリーニングには好適でない。したがって、患者は、薬に対する感受性と関係なくAra−Cを含む治療計画により治療され、衰弱させる副作用、例えば骨髄機能抑制、嘔気、下痢、嘔吐、及び薬耐性の続発性癌の発症に苦しむことがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wang et al., Antimicrob. Agents. Chemother., 1998, 42:2620-2625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、患者におけるヌクレオシド類似体薬の有効性を決定するための、単純で迅速な予備スクリーニング試験に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞の耐性又は感受性を決定する方法及びキットに関する。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するインビトロ(in vitro)の方法は、
(i)デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を用いて患者試料若しくは細胞株又はその一部分を処理する工程;
(ii)工程(i)由来の患者試料又は細胞株の細胞を溶解する工程;
(iii)(ii)由来の細胞溶解物(lysate)の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターとを混合する工程;
(iv)工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤とを混合する工程;
(v)必要に応じて、工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌とを混合する工程;及び
(vi)工程(iii)、工程(iv)及び必要に応じて工程(v)由来の混合物の各々の生物発光を測定する工程(ここで、該混合物の各々の生物発光の比較レベルは、前記薬に対する耐性又は感受性の尺度をもたらす。)を含む。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するキットは、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤を含む。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、デオキシリボヌクレオシドキナーゼによるリン酸化を受けることが可能な薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するための、脱リン酸化剤、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ遺伝子を組み込んだ生物発光レポーターのイーエックスビボ(ex vivo)での使用が存在する。
【0015】
本発明を、以下の添付の図面を参照して説明する:
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】Ara−Cに対する生物発光細菌バイオセンサーの応答を示すグラフである。グラフ(A)はOD600を使用して測定された成長に対応し、グラフ(B)は相対光単位(RLU)で測定された同じ培養物の発光に対応する。
【図2】低濃度のAra−Cに対する生物発光バイオセンサーの応答を示すグラフである。
【図3】Ara−CTPに対するバイオセンサーの応答を示すグラフである。グラフ(A)は、種々の濃度で添加されたAra−CTPに対する細菌バイオセンサーの応答に対応する。グラフ(B)は、開始時にアッセイにBAPを添加し、その後Ara−CTPを種々の濃度で添加した場合における細菌バイオセンサーの応答に対応する。
【図4】Ara−Cに対する細胞内応答を示すための、生物発光細菌バイオセンサーを使用する細胞溶解アッセイの模式図である。
【図5】4つの処理応答プロファイルを示す4つのグラフである。
【図6】25μMのAra−C及び対照に対するAra−C感受性KG1−a細胞の応答を示す図である。
【図7】Ara−C応答性AML患者由来の末梢血液試料(グラフ(C))、及びAra−C耐性AML患者由来の末梢血液試料(グラフ(D))に対する25μMのAra−Cの効果を示す2つのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、抗癌薬及び抗ウイルス薬に対する患者細胞試料又は細胞株の耐性又は感受性を迅速に決定する方法を提供する。本方法は、細胞内リン酸化に関してデオキシリボヌクレオシドキナーゼ(dNK)に依存するヌクレオシド類似体(NA)薬に対する感受性を有する生物発光レポーター細菌を使用する。
【0018】
本発明は、薬活性のレポーターとして生物発光細菌を使用し、dNKリン酸化依存性NA薬に対するウイルスに感染した細胞及び癌細胞の感受性のスクリーニングにおいて相当な使用可能性を有する細胞溶解物(lyate)アッセイに関する。このアッセイは、薬治療の開始前の臨床的試料の予備スクリーニングにおける使用、または、用量低減療法の有効性の指標としての使用に好適である。さらに、腫瘍がクローン性進化を受けたか否か、及び薬を使用して完全な第二寛解を達成するために使用できるか否かを決定するために、癌患者における再発時にアッセイを繰り返すことができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、薬に対する細胞の感受性を決定するために、生物発光レポーター細菌を、薬で処理された細胞溶解物と混合し、細菌により放出された生物発光を測定する。デオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)欠損細菌が、ヌクレオシド類似体薬に対して感受性を有し、該類似体薬の存在下で、増大した生物発光を示す。
【0020】
本明細書で使用する場合、「生物発光」という用語は、酸素分子(O)及びエネルギー(NADH)の存在下において、酵素ルシフェラーゼにより触媒される有機化合物(ルシフェリン)の酸化に起因する、生きている生物における可視光の産生を表す。光を放出する能力は生物の還元力に依存するため、代謝的に活性な細菌のみが光を産生することができる。
【0021】
生物発光表現型は内在性のものであり得るか、又は代替的には例えば、フォトラブダス・ルミネセンス(Photorhabdus luminescens)から単離されるluxCDABEオペロンを構成的プロモーターの制御下で導入し発現させることにより、大抵の細菌に付与することができる。生物発光細菌は外来性基質を必要とせず、リアルタイムでの細菌の生理学的状態の直接的な指標として光を放出する。
【0022】
生物発光細菌からの光の出力の驚くべき増大により、0.05μm未満の細胞内濃度のNA薬を検出することができ、この技術は、8時間以内の臨床的なNA用量範囲に対する応答を定量化するのに好適である。
【0023】
本発明の細菌は、NA薬に対して感受性を有し、生物発光表現型を与える内在性又は外来性の遺伝子を発現する任意の細菌であり得る。好ましい一実施形態では、細菌は、シトシンをウラシルへと脱アミノ化することができず、より好ましい一実施形態では、酵素デオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)を発現しない。細菌は、好ましくは大腸菌、より好ましくは大腸菌MG1655である。MG1655は、野生型大腸菌K−12の誘導体である。野生型MG1655は、デオキシシチジンデアミナーゼを発現する。したがって、大腸菌MG1655のデオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)欠損株であることが本発明の細菌に関しては最も好ましい。この菌株は、アクセッション番号NCTC13427として寄託されている。
【0024】
本発明の方法は、インビトロで、すなわち患者の体外で実施する。
【0025】
本明細書で使用する場合の、「患者細胞試料」という用語は、患者から単離された細胞を表す。細胞試料の細胞は、典型的には癌細胞又はウイルスに感染した細胞、例えば急性骨髄性白血病細胞であろう。
【0026】
「患者」という用語は、非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット及びマウス)及び霊長類(例えばサル及びヒト)を含む哺乳動物、より好ましくはヒトを表す。
【0027】
好ましい一実施形態では、試料材料は、例えば標準的な静脈切開技法を使用することにより、末梢血液から得られる骨髄又は白血球である。
【0028】
「細胞株」という用語は、不死化したイーエックスビボの細胞培養物を表す。細胞株の細胞は典型的には、癌細胞又はウイルスに感染した細胞、例えば急性骨髄性白血病細胞であろう。
【0029】
「未処理対照細胞」という用語は、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を用いた処理が施されていない、患者細胞試料又は細胞株の細胞を表す。
【0030】
本発明の方法及びキットを使用して、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬、すなわちデオキシリボヌクレオシドキナーゼ(dNK)経路を利用するNA薬に対する耐性又は感受性を決定することができる。表1は、その作用メカニズムがdNKによるリン酸化に依存する抗ウイルス薬及び抗癌薬の例の非網羅的なリストを提供する。
【0031】
【表1】

【0032】
「デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬」という用語は、その作用メカニズムがデオキシリボヌクレオシドキナーゼによる5’位の細胞内リン酸化に依存するヌクレオシド類似体薬を表す。デオキシリボヌクレオシドキナーゼは、チミジンキナーゼ1又はチミジンキナーゼ2(TK1及びTK2)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)又はデオキシグアノシンキナーゼ(dGK)であり得る。好ましくは、デオキシリボヌクレオシドキナーゼは、デオキシシチジンキナーゼである。
【0033】
本発明のデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬は、DNA破壊薬(DNA-disrupting drug)、すなわち、細胞のDNAへの組み込み若しくは該DNAの修飾を介した上記DNAとの直接的な干渉により、又はDNA複製酵素(例えばDNAポリメラーゼ)への組み込み若しくは該酵素の修飾を介した間接的な干渉によって、細胞のDNA複製を妨げる薬であり得る。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態では、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬は、プリン(アデニン及びグアニン)ヌクレオシド群又はピリミジン(シトシン、チミン及びウラシル)ヌクレオシド群を含む、構造種の成員である。好ましくは、薬は抗癌薬又は抗ウイルス薬である。より好ましくは薬は表1の薬のリストから選択され、最も好ましくは薬はAra−C又はフルダラビンである。
【0035】
「薬耐性」という用語は本明細書では、哺乳動物細胞が正常な細胞又は耐性を有しない細胞と同じように薬と相互作用することができず、それにより薬が所望の効果を達成することができないことと規定される。「薬感受性」という用語は、細胞が薬と相互作用する能力(細胞は薬に対して耐性を有しない)ことを表す。
【0036】
その最も広範な態様では、本発明の方法は、NA薬に対する細胞試料の耐性又は感受性を決定するために使用される2つ(必要に応じて3つ)の生物発光の読み取り値をもたらす、少なくとも2つ(必要に応じて3つ)のアッセイを実施することを含む。この方法によれば、1つ又は複数の細胞株又は患者細胞試料を単離し、試料の全体又はその一部分のいずれかをデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬で処理する。処理された細胞をその後溶解し、細胞溶解物を2つ(必要に応じて3つ)の試料に分割する。デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター(promoter)の存在下で、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌に第1の試料を添加する。この混合物を「LI」と称する。デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター及びさらに脱リン酸化剤の存在下で、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌に第2の試料を添加する。この混合物を「LIP」と称する。任意の第3の試料を生物発光レポーター細菌に添加する。プロモーター及び脱リン酸化剤は混合物中に存在しない。このアッセイは、薬を代謝しない患者と薬を取り込まない患者との識別を可能とし、「L」と称する。第3のアッセイによって、薬の部分的な代謝に関する試験が可能となるため、第3のアッセイを用いて本方法を実施することが好ましい。最初の2つのアッセイのみを実施した場合、全体的な又は実質的な耐性に関して試験することになる。
【0037】
本発明の方法の際立った利点は、脱リン酸化剤を用いたアッセイ、すなわち第2のアッセイ「LIP」の使用である。これは、これにより薬に対する患者試料/細胞株の感受性/耐性を測定することができる、内部標準を提供する。
【0038】
デオキシリボヌクレオシドキナーゼは、デオキシリボヌクレオシドの5’位をリン酸化する。生物発光レポーター細菌中に組み込まれた遺伝子によりコードされるデオキシリボヌクレオシドキナーゼは、チミジンキナーゼ1又はチミジンキナーゼ2(TK1及びTK2)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)又はデオキシグアノシンキナーゼ(dGK)であってもよく、好ましくは哺乳動物デオキシリボヌクレオシドキナーゼである。より好ましくはデオキシリボヌクレオシドキナーゼはデオキシシチジンキナーゼである。最も好ましくは、デオキシシチジンキナーゼはヒトデオキシシチジンキナーゼである。
【0039】
本明細書で使用する場合、「デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター」という用語は、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ遺伝子の発現のプロセスを開始することができる任意の作用因子を表す。プロモーター/作用因子は、遺伝子の調節エレメントに対して作用することにより、キナーゼ遺伝子の発現を誘導することができる。多数のこのような「誘導因子」が当該技術分野で既知である。本発明の好ましい一実施形態では、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターは、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)である。IPTGは本明細書で分子式C18S及びCAS登録番号367−93−1を有する分子として特定される。
【0040】
本明細書で使用する場合の、「脱リン酸化剤」という用語は、ヌクレオチドからリン酸基を取り除くことができる任意の作用因子を表す。本発明の好ましい一実施形態では、脱リン酸化剤はアルカリホスファターゼ(本明細書でEC3.1.3.1として特定される加水分解(ヒドロリアーゼ(hydrolyase))酵素である)である。好適なアルカリホスファターゼは、細菌アルカリホスファターゼ(BAP)、仔ウシ腸管アルカリホスファターゼ(CIAP)、エビアルカリホスファターゼ(SAP)及びウシ腸管粘膜アルカリホスファターゼ(BIMAP)を含む。
【0041】
上記の方法によれば、ヌクレオシド類似体薬に対する細胞の耐性又は感受性を、生物発光レポーター細菌アッセイの各々に由来する細胞溶解混合物の生物発光を測定及び比較することにより決定する。本発明の細菌は、活性化された(三リン酸化された)ヌクレオシド類似体薬に対して感受性を有する。薬は、その不活性な非リン酸化形態でレポーター細菌に進入した後、誘導性転写プロモーターの影響下で細菌により発現されたdNKにより細胞内でリン酸化されて、細菌生物発光の増大をもたらす。
【0042】
別の実施形態では、本発明の方法は6つのアッセイを含む。第1の3つのアッセイは、上記の薬で処理されたアッセイ試料に対応する。第2の3つのアッセイは、薬を含有しない未処理ブランク対照を含む。これらのアッセイ試料は、患者試料又は細胞株由来の未処理細胞を溶解に供すること、溶解した細胞を3つの試料に分割すること、及びその後、分割した試料をそれぞれ、(i)生物発光レポーター細菌(L)、(ii)デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターの存在下で、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌(LI)及び(iii)デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター(prompter)及び脱リン酸化剤の存在下で、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌(LIP)に添加することにより作製される。3つのアッセイの各々の生物発光を測定し、各々の値を、薬で処理された、対応するアッセイに関して測定した生物発光値から減算する。得られた値をその後使用して、薬に対する細胞の耐性又は感受性を決定する。
【0043】
6アッセイ法は、アッセイ混合物の生物発光測定値からバックグラウンドの発光を減算することを可能とし、それ故に細胞の耐性又は感受性を決定する際に使用するためのより正確な値を提供するため、有益である。生物発光の出力に対するデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター(例えばIPTG)及び脱リン酸化剤(例えばBAP)の影響は極めて小さいことがあるが、薬で処理された患者試料又は細胞株のLIPアッセイの生物発光の出力を測定し、未処理患者試料又は未処理細胞株のLIPアッセイと比較することにより、その効果を決定することができる。
【0044】
この方法は、任意の第3のアッセイ(L)を実施しない場合、4アッセイ法として実施することもできる。この結果は、薬に対する全体的な又は実質的な耐性を予測する際に有用である。
【0045】
好ましい一実施形態では、3つのアッセイを全て実施する場合、薬との4つの考え得る相互作用のうちの1つに従って細胞試料を分類する:薬は細胞により取り込まれかつ代謝される;薬は細胞により取り込まれかつ部分的に代謝される;薬は細胞により取り込まれるが代謝されない;薬は細胞により取り込まれない。図4の模式図及び図5のグラフがこの概要を示している。対照(L)は、完全な薬代謝と部分的な薬代謝とを識別するために、及び耐性の2つの様式(取り込みの欠如、又は細胞内リン酸化の欠如)を識別するために、必要である。
【0046】
処理された細胞が薬を取り込まない場合、細胞溶解物中には薬は存在しないであろう。生物発光レポーターアッセイの各々に関する測定値は類似し、対応する対照と比較した場合生物発光の顕著な薬誘導性増大は存在せず、細胞が薬に対して耐性を有することが示されよう。
【0047】
処理された細胞が薬を取り込むが代謝しない場合、薬投与及び細胞溶解(lysation)の後、リン酸化されていない薬のみが存在し、これによりアルカリホスファターゼの有無に関わらず、リン酸化されていない薬を取り込む生物発光レポーター細菌がもたらされる。したがって、LIPアッセイ及びLIアッセイの両方において、光の出力はおよそ等しく、対照アッセイ(L)に関する出力より顕著に大きい。
【0048】
処理された細胞が薬を取り込みかつ部分的に代謝する場合、薬投与及び細胞溶解の後、リン酸化された薬及びリン酸化されていない薬が存在する。LIアッセイにおいては、生物発光レポーター細菌は、リン酸化されていない薬のみを取り込むことができ、リン酸化された薬を取り込むことはできず、脱リン酸化剤の存在により全ての薬を取り込むLIPアッセイと比較して光の出力の低減をもたらす。LIアッセイの生物発光の測定値はLIPアッセイの測定値より顕著に小さいが、対照アッセイ(L)より顕著に大きいだろう。
【0049】
処理された細胞が薬を取り込みかつ代謝する場合、薬投与及び細胞溶解の後、添加した薬全てがリン酸化されているだろう。LIアッセイにおいては、生物発光レポーター細菌はリン酸化された薬を取り込むことができず、対照アッセイ(L)と同様であるがLIPアッセイ(全ての薬が取り込まれる)より顕著に低い生物発光の測定値をもたらす。
【0050】
生物発光は相対光単位(RLU)で測定される。これは、マルチモードマイクロプレートリーダー、感光性CCDカメラ、シングルチューブルミノメーター及び感光紙(写真用フィルムを含む)を含む、当該技術分野で既知の或る範囲の技法を使用して達成することができる。
【0051】
本発明はRLUデータを得る方法及びキットに関するが、薬と細胞株又は患者細胞試料との間の相互作用の性質を決定するためにRLUデータが計算され得る幾つかの異なる方法が存在する。
【0052】
以下の一般式を適用して、どの分類が所定の細胞試料に適用されるかを決定することができる:
各々のアッセイ試料に関して測定された生物発光値がLIP>LI及びLIP>L及びLI≒Lであるようなものである場合、細胞は感受性を有する、すなわち薬を取り込みかつ代謝すると言う;
各々のアッセイ試料に関して測定された生物発光値がLIP>L及びLI>L及びLIP≒LIであるようなものである場合、薬は取り込まれるが代謝されない;
各々のアッセイ試料に関して測定された生物発光値がLIP>LI>Lであるようなものである場合、薬は取り込まれかつ部分的に代謝される;及び
各々のアッセイ試料に関して測定された生物発光値がLIP≒LI≒Lであるようなものである場合、薬は取り込まれない
(ここで、L=溶解物及び生物発光レポーター細菌であり、LI=溶解物、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びキナーゼ転写プロモーターであり、LIP=溶解物、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びキナーゼ転写プロモーター、及びホスファターゼである)。
【0053】
デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターは光の出力に対してわずかな変化をもたらすことがあり、本質的に同等の値が厳密には等しくないことを意味するため、「≒」という記号は値がおよそ等しいことを示す。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、以下の式を使用して、どの分類が所定の細胞試料に適用されるかを決定する。3アッセイ法を使用する場合、式は以下の通りである:
%Int=[T(n/m)]×100
[式中、%Int=%相互作用、T=処理(薬)であり:かつ、
n=LIP及びm=LIである;又は
n=LIP及びm=Lである;又は
n=LI及びm=Lである
(ここで、
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int<10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lのいずれも%Int>10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ部分的に代謝する;
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない)]。
【0055】
ブランク対照アッセイを組み込んだ6アッセイ法を使用する場合、式は以下の通りである:
%Int=[(Tn/Tm)−(Cn/Cm)]×100
[式中、%Int=%相互作用、T=処理(薬)、C=対照(薬なし)であり:かつ、
n=LIP及びm=LIである;又は
n=LIP及びm=Lである;又は
n=LI及びm=Lである
(ここで、
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int<10%である場合、患者試料又は細胞株はDNAを破壊するデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lのいずれも%Int>10%である場合、患者試料又は細胞株はDNAを破壊するデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>10%である場合、患者試料又は細胞株はDNAを破壊するデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ部分的に代謝する;
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、患者試料又は細胞株はDNAを破壊するデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない)]。
【0056】
本発明のさらなる一実施形態では、患者細胞試料又は細胞株における薬感受性の評価のために、上記の式が以下のカットオフ値を有していてもよい:
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧5%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lのいずれも%Int>5%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧5%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>5%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ部分的に代謝する;
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、患者試料又は細胞株はデオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない。
【0057】
本明細書で使用する場合、「取り込まれる(taken up)」という用語は、細胞により薬が細胞外空間からサイトゾルへと吸収されることを表す。
【0058】
「代謝する」という用語は、生物による分子の構造的修飾を表す。
【0059】
本明細書で使用する場合、「代謝される(metabolised)」と言う薬はリン酸化されており、したがってLIアッセイ及びLアッセイの曲線が同等(parity)に近く、LIPアッセイ曲線より顕著に低い光の出力を有する。
【0060】
「代謝されない」と言う薬は、実質的に又は完全に構造的に変化がなく、かつリン酸化されておらず、したがって、LIPアッセイ及びLIアッセイの曲線が同等に近く、溶解物処理より顕著に大きい光の出力を有する。
【0061】
薬は、リン酸化された親薬に対する変化していない親薬の比が、完全に代謝された薬の比と完全に非代謝の薬の比との間の領域にあり、したがってLIアッセイの光の出力がLIPアッセイより顕著に小さいがLアッセイの光の出力より顕著に大きい場合、「部分的に代謝される」と言う。
【0062】
上で言及したように、本発明の方法は、最初の2つのアッセイのみを行って実施することができる。この場合、値はLI及びLIPであろう(値Lは得られない)。細胞株又は患者試料の耐性を以下の通りに分類することができる:
LIP≒LIの生物発光の場合、患者試料又は細胞株は薬に対して耐性を有する(全体として又は実質的に耐性を有する)。
【0063】
耐性を、以下の式を適用することにより分類することができる:
%Int=[T(n/m)]×100
[式中、n=LIP及びm=LIである
(ここで、%Int≦10%である場合、患者試料又は細胞株は薬に対して実質的に耐性を有する)]。
【0064】
ブランク対照アッセイを組み込んだ4アッセイ法を使用する場合、以下の式により耐性を分類する:
[T(n)−C(n)]≒[T(m)−C(m)]の生物発光の場合、薬に対する耐性が存在する。
【0065】
式に関する定義は前述したものと同じである。
【0066】
式は以下のように表現することもできる:
%Int=[T(n/m)−C(n/m)]×100
[式中、n=LIP及びm=LIである
(ここで、
%Int≦10%
である場合、実質的な耐性が存在する)]
【0067】
式に関する定義は前述したものと同じである。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者細胞試料の感受性を決定する際の使用に好適なキットを提供する。キットは、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤を含む。
【0069】
ここで、以下の非限定的な実施例を参照して本発明を説明する。
【実施例】
【0070】
[方法]
(細菌株、プラスミド及び成長培地)
大腸菌S05218は、IPTG誘導性pTrc99−Aプラスミド上のヒトdCK cDNAを発現するcdd−欠損株である。大腸菌MG1655は、pyrEによりコードされるオロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子の最適以下の発現に起因して最少培地におけるピリミジン要求性を有する野生型大腸菌K−12の誘導体である。両方の菌株を、EcoRI PCR断片としてのフォトラブダス・ルミネセンス由来のluxCDABEカセットを保有する広宿主(broad-host)ベクターpBBR1MCS−2で形質転換することにより自己生物発光性とした。Luria−Bertani(LB)培地を、細菌の日常的な培養のために使用した。抗生物質アンピシリン(pTrc−Aを維持するための)及びカナマイシン(pBBR1MCS−2を維持するための)を、それぞれ100μg/ml及び10μg/mlで添加した。LB RPMI 1640中で、又はチアミン及びロイシンを添加し0.2%グルコース、0.2%ビタミンフリーカザミノ酸を加えた最少塩培地(AB)中で、成長阻害実験を行った。
【0071】
(細胞株、骨髄及び血液試料)
2mM L−グルタミン及び10%ウシ胎児血清を添加したRPMI 1640培地中で単球細胞株KG−1a(DSMZ、ドイツ)を成長させ、細胞懸濁液として維持した。密度勾配遠心分離(SG1.007)を使用して患者末梢血液又は骨髄試料(n=8)から単核細胞画分を単離し、その後、Ara−Cを用いるインキュベーションの前にRPMI 1640培地中に再懸濁した。凍結保存した骨髄試料を解凍し、薬への曝露の前にRPMI 1640培地中に再懸濁した。全ての場合において、白血病試料は、80%を超える芽球負荷(burden)を有していた。
【0072】
(大腸菌MG1655のcdd欠損株の構築)
Tn10トランスポゾンを保有するP1ファージでの転位突然変異誘発を使用して、大腸菌MG1655株のライブラリを構築した。テトラサイクリン(10μg/ml)寒天プレート上にプレーティングすることによりトランスポゾンを保有する突然変異体を選択し、10μg/mlの類似体5−フルオロ−2’デオキシシチジン(cddを発現する大腸菌に対して毒性を有する)を含有するプレート上にプレーティングすることによりcdd突然変異体を選択した。cdd突然変異体の表現型を、シチジンデアミナーゼ活性がないことにより確認した。
【0073】
(細胞溶解アッセイ)
AMLの細胞株又は患者由来の試料を、37℃及び5%COで90分間25μMのAra−Cで処理し、回収し、洗浄し、新たなRPMI 1640培地中に再懸濁した。EDTA及びサポニンを添加して、最終濃度をそれぞれ1.5mM及び0.1%とした。その後試料を30秒間ボルテックス処理し、1027gで5分間の遠心分離により細胞残屑を除去した。溶解物又は上清由来の試料を、レポーター細菌、1mMのIPTG、及び10単位のアルカリホスファターゼと混合した。マルチモードマイクロプレートリーダーにおいて細菌の生物発光及び成長(OD600)をモニタリングした。Cell Titer−Glo(登録商標)発光細胞生存度アッセイキット(Promega)を使用して、Ara−Cに対するAMLの細胞株又は患者由来の試料の感受性もアッセイした。製造業者の取扱説明書に従ってATPの細胞内レベルを測定する前に、37℃及び5%COで72時間25μM Ara−Cで試料を処理した。対応のあるt検定を使用して、対照アッセイ試料と処理したアッセイ試料との間の生物発光の出力の有意差を解析した。
【0074】
[結果]
大腸菌は、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)を欠きデオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)の活性によりAra−CをAra−ウラシルへと脱アミノ化するため、Ara−Cは大腸菌に対する効果を有しない。ヒトdCK遺伝子の発現により、塩基性(basic)最少培地中におけるAra−Cの存在下で相対的な成長の低減を示すcdd欠損大腸菌突然変異体(S05218)は、細菌DNA中へのAra−CTP組み込みと培地中のシトシン三リン酸(CTP)の競合により、富化成長培地においてアッセイした場合Ara−Cに応答しなかった(データは示していない)。
【0075】
高栄養細胞内環境におけるAra−C応答を測定するために、トランスポゾン突然変異誘発を使用して生物発光大腸菌MG1655突然変異体の代替的なcdd欠損株を構築し、pTrc99−Aでさらに形質転換して、dCKのIPTG誘導性発現を得た。新たに構築されたレポーター菌株(NCTC13427)は、高栄養培地において、IPTGにより誘導すると、Ara−Cの存在下で成長の低減を示した。図1は、同じ細菌培養物由来の成長及び生物発光の出力に対するAra−Cの効果を示す。薬で処理された培養物(図1A)では成長が減少したが、予想に反して、Ara−Cは同じ薬で処理された培養物由来の光の出力の有意な増大をもたらした(p=0.0001)(図1B)。これらの効果はIPTGの存在下でのみ観察され、ヒトdCKの活性が細菌DNA中へのAra−CTPの組み込みをもたらすことが示唆された。光の増大に関する1つの考え得る説明は、Ara−CTPにより引き起こされるDNAの損傷が、光回復プロセスによるDNA修復に使用され得る生物発光を誘導するということである。
【0076】
低濃度のAra−CでのNCTC13427(lux+cdd欠損大腸菌MG165)を用いる実験(図2)により、細菌バイオセンサーが高い感受性を有し、0.05μMもの低さのAra−C濃度に応答することが示された。
【0077】
提唱したアッセイの特異性を増大させるために、細菌バイオセンサーに対する活性な細胞内の薬誘導体(Ara−CTP)の直接的効果をモニタリングした(図3A)。結果は、Ara−CTPが直接レポーター細菌に進入する訳ではないことを示す。少なくとも15時間の成長の後に観察された光の出力の増大は、その後レポーター細菌に進入し得るAra−CTPを脱リン酸化するアルカリホスファターゼ(大腸菌の定常期に上方調節されることが知られている)の細菌による産生に起因するものであった可能性がある。これを検証するために、開始時にアルカリホスファターゼを添加して、アッセイを繰り返した。これにより、Ara−Cを用いて観察されたものと同様に、3時間〜5時間後に明らかな光の出力の増大がもたらされた(図3B)。アルカリホスファターゼ存在下及び非存在下(+/−)における生物発光の増大を測定することにより、白血病細胞内におけるAra−Cからその活性な代謝産物への細胞内変換を定量化することが可能であった。
【0078】
90分の溶解プロトコルと並行して+/−ホスファターゼアッセイを行うことにより、ホスファターゼ−veアッセイ(変換されていない/不活性なAra−Cを「検出する」)由来の光の出力とホスファターゼ+veアッセイ(全ての細胞内Ara−Cを「検出する」)由来の光の出力との比較を介したAML細胞内におけるAra−CからAra−CTPへの変換の割合の決定が可能となった。このプロトコルの模式図を図4に示す。代謝感受性を有する患者、代謝耐性を有する患者、部分的に代謝耐性を有する患者、及び取り込み耐性を有する患者に関する生物発光アッセイにおける光の出力の代表例を図5に示す。
【0079】
KG−1a細胞株、及び導入療法において使用されるAra−Cに応答することが分かっている患者由来のAML試料を使用して、アッセイを評価した。図6は、高濃度(25μM)のAra−Cで処理されたAra−C感受性細胞株KG−1aの溶解物由来の光の出力を示す。結果は、BAPの存在下(p=0.0001)及び非存在下(p=0.0001)におけるIPTG誘導性溶解物由来の光の出力の有意な増大を明らかに示し、白血病細胞内におけるAra−C及びAra−CTPの存在を示している。3日間の細胞毒性試験により、KG−1a細胞がAra−Cに対して感受性を有することが確認された。
【0080】
AML患者由来の末梢血液(n=5)の臨床試料に、細胞溶解アッセイを適用した。Ara−C感受性患者及びAra−C耐性患者に関する典型的な結果を、図7(C)及び図7(D)に示す。細胞毒性(cytotox)アッセイ及び生物発光アッセイを比較する6人の患者由来のデータの要約を表2に示す。7つの臨床試料に対して行われたこれらの予備アッセイは、療法に対する臨床応答との100%の相関をもたらした。
【0081】
【表2】

【0082】
表3により、耐性を有する患者及び感受性を有する患者を特定するための、様々な処理由来の光の出力のピークの相対的な百分率の差異を使用する生物発光アッセイの適用が検証される。表3に示すデータは、例としてc)を使用すると、式{[RLU(薬で処理した試料)(LIP/LI)−RLU(対照)(LIP/LI)]×100}に従って計算される。
【0083】
【表3】

【0084】
表3から明らかなように、患者1及び患者2は薬を取り込みかつ代謝し、ここでLIPはLI及びLの両方より明らかに大きなRLU%値を有し、LI及びLは類似の値を有する(すなわち図5の左上の図)。反対に、患者3のプロファイルは図5の左下の図により表され、患者が薬を取り込むが代謝しないことを示唆している。患者4は、臨床的には確認されないが、a)、b)及びc)に関するRLU%値が類似しているため、薬の取り込みに対して耐性を有すると考えられる(図5の右下の図)。
【0085】
結論として、薬と、患者試料又は細胞株との相互作用を決定することが可能である。
【0086】
本明細書で大腸菌MG165と記載された微生物は、ブダペスト条約の規定の下に健康保護局感染症センターの英国コレクション・オブ・タイプ・カルチャーズ(National Collection of Type Cultures)(61 Colindale Avenue, London NW9 5EQ, United Kingdom)にNCTC13427として寄託されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するインビトロの方法であって、
(i)デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を用いて患者試料若しくは細胞株又はその一部分を処理する工程;
(ii)工程(i)由来の患者試料又は細胞株の細胞を溶解する工程;
(iii)(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターとを混合する工程;
(iv)工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤とを混合する工程;
(v)必要に応じて、工程(ii)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌とを混合する工程;及び
(vi)工程(iii)、工程(iv)及び必要に応じて工程(v)由来の混合物の各々の生物発光を測定する工程(ここで、該混合物の各々の生物発光の比較レベルは、前記薬に対する耐性又は感受性の尺度をもたらす。)
を含む、方法。
【請求項2】
a)前記患者試料又は前記細胞株由来の未処理細胞を溶解に供する工程;
b)工程(a)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーターとを混合する工程;
c)工程(a)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤とを混合する工程;
d)必要に応じて、工程(a)由来の細胞溶解物の一部分と、デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌とを混合する工程;及び
e)工程(b)、工程(c)及び必要に応じて工程(d)由来の混合物の各々の生物発光を測定し、かつ、それぞれ請求項1の工程(iii)、工程(iv)及び必要に応じて工程(v)において測定された対応する生物発光値から各々の値を減算する工程(ここで、各々のアッセイの生物発光に関する、得られた値の比較は、前記薬に対する耐性又は感受性の尺度をもたらす。)
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1の工程(v)を実施し、かつ、以下の一般式:
LIP>LI及びLIP>L及びLI≒Lの前記生物発光の場合、前記細胞は前記薬を取り込みかつ代謝する;
LIP>L及びLI>L及びLIP≒LIの前記生物発光の場合、前記薬は取り込まれるが代謝されない;
LIP>LI>Lの前記生物発光の場合、前記薬は取り込まれかつ部分的に代謝される;及び
LIP≒LI≒Lの前記生物発光の場合、前記薬は取り込まれない
(ここで、L=溶解物であり、LI=溶解物及び転写プロモーターであり、LIP=溶解物及び転写プロモーター及びホスファターゼである)
を適用することにより、前記細胞株又は前記患者試料の耐性又は感受性を分類する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1の工程(v)を実施し、かつ、以下の式:
%Int=[T(n/m)]×100
[式中、%Int=%相互作用、T=処理(薬)であり:かつ、
n=LIP及びm=LIである;又は
n=LIP及びm=Lである;又は
n=LI及びm=Lである
(ここで、
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int<10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lのいずれにおいても%Int>10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込み、部分的に代謝する;及び
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない)]
を適用することにより、前記細胞株又は前記患者試料の感受性を分類する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1の工程(v)を実施し、かつ、以下の式:
%Int=[T(n/m)−C(n/m)]×100
[式中、%Int=%相互作用、T=処理(薬)、C=対照(薬なし)であり:かつ、
n=LIP及びm=LIである;又は
n=LIP及びm=Lである;又は
n=LI及びm=Lである
(ここで、
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int<10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき両方とも%Int>10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧10%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ部分的に代謝する;及び
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない)]
を適用することにより、前記細胞株又は前記患者試料の耐性又は感受性を分類する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧5%でありn=LI、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株が前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝する;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≦10%であり、n=LI、m=L及びn=LIP、m=Lのいずれにおいても%Int>5%である場合、前記患者試料又は前記細胞株が前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ代謝しない;
n=LIP、m=LIであるとき%Int≧5%であり、n=LI、m=Lであるとき%Int>5%である場合、前記患者試料又は前記細胞株が前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込みかつ部分的に代謝する;及び
n=LIP、m=LI及びn=LI、m=L及びn=LIP、m=Lであるとき%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株が前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬を取り込まない、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1の工程(v)を実施せず、かつ、以下の一般式:
LIP≒LIの前記生物発光の場合、前記患者試料又は前記細胞株は前記薬に対して全体として耐性を有する
を適用することにより、前記細胞株又は前記患者試料の耐性を分類する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1の工程(v)を実施せず、かつ、以下の式:
%Int=[T(n/m)]×100
[式中、n=LIP及びm=LIである
(ここで、%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対して実質的に耐性を有する)]
を適用することにより、該薬に対する前記細胞株又は前記患者試料の耐性を分類する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1の工程(v)を実施せず、かつ、以下の一般式:
[T(n)−C(n)]≒[T(m)−C(m)]の前記生物発光の場合、前記患者試料又は前記細胞株は前記薬に対して耐性を有する
を適用することにより、前記細胞株又は前記患者試料の耐性を分類する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
請求項1の工程(v)を実施せず、かつ、以下の式:
%Int=[T(n/m)−C(n/m)]×100
(式中、n=LIP及びm=LIである
(ここで、%Int≦10%である場合、前記患者試料又は前記細胞株は、前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対して実質的に耐性を有する))
を適用することにより、該薬に対する前記細胞株又は前記患者試料の耐性を分類する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記生物発光レポーター細菌が、大腸菌MG1655のデオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)欠損株である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記生物発光レポーター細菌がluxCDABEオペロンを発現する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生物発光レポート細菌がアクセッション番号NCTC13427として寄託されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼが、チミジンキナーゼ1、チミジンキナーゼ2、デオキシシチジンキナーゼ又はデオキシグアノシンキナーゼである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼがデオキシシチジンキナーゼである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ誘導因子がIPTGである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記脱リン酸化剤がアルカリホスファターゼである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記脱リン酸化剤が、細菌アルカリホスファターゼ、仔ウシ腸管アルカリホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ又はウシ腸管粘膜アルカリホスファターゼである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬が、抗癌薬又は抗ウイルス薬である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記薬がAra−C又はフルダラビンである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞株又は前記患者試料の細胞が癌細胞又はウイルスに感染した細胞である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が急性骨髄性白血病細胞である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するキットであって、
デオキシリボヌクレオシドキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ生物発光レポーター細菌、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及び脱リン酸化剤を含む、キット。
【請求項24】
前記生物発光レポーター細菌が、大腸菌MG1655のデオキシシチジンデアミナーゼ(cdd)欠損株である、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記生物発光レポーター細菌がluxCDABEオペロンを発現する、請求項23又は24に記載のキット。
【請求項26】
前記生物発光レポーター細菌がアクセッション番号NCTC13427として寄託されている、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼがデオキシシチジンキナーゼである、請求項23〜26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記脱リン酸化剤が細菌アルカリホスファターゼである、請求項23〜27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ誘導因子がIPTGである、請求項23〜28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬が抗癌薬又は抗ウイルス薬である、請求項21〜27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記デオキシリボヌクレオシドキナーゼ依存性薬がAra−C又はフルダラビンである、請求項21〜28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
デオキシリボヌクレオシドキナーゼによるリン酸化を受けることが可能な薬に対する細胞株又は患者試料の耐性又は感受性を決定するための、脱リン酸化剤、デオキシリボヌクレオシドキナーゼ転写プロモーター、及びデオキシリボヌクレオシドキナーゼ遺伝子を組み込んだ生物発光レポーターのイーエックスビボでの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−530279(P2011−530279A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521640(P2011−521640)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001969
【国際公開番号】WO2010/015844
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(598053215)ランドックス・ラボラトリーズ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】RANDOX LABORATORIES LTD.
【出願人】(511031869)ユニバーシティ オブ ザ ウエスト オブ イングランド (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF THE WEST OF ENGLAND
【住所又は居所原語表記】Bristol Frenchay Campus Coldharbour Lane Bristol BS16 1QY United Kingdom
【Fターム(参考)】