説明

薬剤包装装置

【課題】包装紙をシール前の搬送中に熱影響を受けて変形することを確実に防止することのできる薬剤包装装置を提供する。
【解決手段】薬剤を供給された包装紙を、一対のシールブロック37,38で両側から挟持して加熱することによりシールして1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、シールブロック37,38を、包装紙を挟持して加熱可能なシール位置と、包装紙を搬送可能となるように離間させるシール準備位置と、に移動可能とし、シールブロック37,38のうち、ヒータを有するものを、前記シール準備位置からさらに離間する、包装紙の搬送経路から包装紙及び薬剤に熱による悪影響を及ぼさない退避位置まで移動可能とする。この構成により、薬剤を包装しない場合には、包装紙の搬送経路からヒータを有するシートブロック37,38を退避させることにより、包装紙や薬剤に熱による悪影響を及ぼすことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤包装装置に採用されるヒートシール機構として、例えば、同一軸上に配置される第1ヒンジシャフト及び第2ヒンジシャフトをそれぞれ中心としてゴム台及びヒータ台を回動自在とし、分包シートを挟圧し、縦シール部及び横シール部を形成するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記薬剤包装装置のヒートシール機構では、ヒータ台が第2ヒンジシャフトを中心として回動するだけである。このため、ゴム台及びヒータ台による分包シートの挟圧前に、分包シートとヒータ台との距離を十分に取ることができず、分包シートが熱影響を受けて変形する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、包装紙をシール前の搬送中に熱影響を受けて変形することを確実に防止することのできる薬剤包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
薬剤を供給された包装紙を、一対のシールブロックで両側から挟持して加熱することによりシールして1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シールブロックを、包装紙を挟持して加熱可能なシール位置と、包装紙を搬送可能となるように離間させるシール準備位置と、に移動可能とし、
前記シールブロックのうち、ヒータを有するものを、前記シール準備位置からさらに離間する、包装紙の搬送経路から包装紙及び薬剤に熱による悪影響を及ぼさない退避位置まで移動可能としたものである。
【0007】
この構成により、薬剤を包装しない場合には、包装紙の搬送経路からヒータを有するシートブロックを退避させることにより、包装紙や薬剤に熱による悪影響を及ぼすことがなく、次回の包装作業をスムースに再開することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒータを有するシールブロックを包装紙の搬送経路から退避可能としたので、包装紙や、そこに収容する薬剤に熱による悪影響を与えることなく、包装作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る薬剤包装装置の斜視図である。
【図2】散薬分配部を示す斜視図である。
【図3】図2からテーブルを引き出した状態を示す斜視図である。
【図4】散薬分配部の一部部品を除去した状態を示す図2とは異なる角度から見た斜視図である。
【図5】図2に示す散薬分配部の底面図である。
【図6】図3に示す散薬分配部の底面図である。
【図7】図2に示す散薬分配部の断面図である。
【図8】散薬包装部を示す斜視図である。
【図9】図8の搬送手段を示す斜視図である。
【図10】図9の搬送手段の断面図である。
【図11】(a)は図8に示す散薬包装部に設けられるホッパーの分解斜視図、(b)は上方側ホッパーを他の角度から見た状態を示す斜視図である。
【図12】図8に示す散薬包装部のシール手段を示す平面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図12のシール手段に設けられる第1カム部材の斜視図である。
【図15】図12のシール手段に設けられる第2カム部材の斜視図である。
【図16】図12に示すシール手段の退避状態を示す平面図である。
【図17】図16の側面図である。
【図18】図12に示すシールブロックの退避状態を示す部分拡大図である。
【図19】図12に示すシールブロックのシール準備状態を示す部分拡大図である。
【図20】図12に示すシールブロックのシール状態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る薬剤包装装置を示す。この薬剤包装装置は散薬分配部1と散薬包装部2を備える。
【0012】
散薬分配部1は、図2〜図6に示すように、大略、装置本体3の上面に設けたテーブル4上に、第1円盤5,第2円盤6、散薬供給装置7a,7b、及び掻出装置8(図4,図7参照)をそれぞれ配設した構成である。
【0013】
装置本体3の上面は、開閉扉9によって開放可能に覆われており、前方両側2箇所には載置部3a,3bがそれぞれ形成されている。載置部3a,3bは、錠剤を粉末状とする等に利用する乳鉢等を載置するために利用される。また、装置本体3の上面両側にはガイドレール10が配設されている。一方のガイドレール10には装置本体3の前方側にラック10aが設けられている。
【0014】
テーブル4は、前記ガイドレール10に沿って水平面内を前後方向にスライド移動することにより、装置本体3の前方側に引き出し可能に設けられている。テーブル4には、2箇所の貫通孔11a,11bと円弧状の逃がし穴12とがそれぞれ形成されている。
【0015】
第1円盤5及び第2円盤6は、断面円弧状の外周溝13を備え、この外周溝13に散薬を供給される。第1円盤5は第2円盤6よりも若干高い位置に設けられ、テーブル4上に外周部が部分的に重なった状態で設けられる。これにより、装置全体をコンパクトに構成することが可能となっている。
【0016】
第1円盤5は、外周縁の少なくとも第2円盤6との重なり部分を含む領域にガイド縁部14が形成され、第1円盤5の外周溝13に供給した散薬の第2円盤6への落下が防止されている。また、第1円盤5は、軸部5aを中心として略扇形の中間プレート16に回転自在に支持され、ギア5bを介して第1駆動モータ15aからの動力が伝達される。中間プレート16は、テーブル4の貫通孔11aに回転軸16aを中心として回転自在に設けられている。回転軸16aはテーブル4を貫通し、下端外周部には部分的に延設されたギア部16bが形成されている。このギア部16bは、装置本体3に対してテーブル4を前方に引き出した際、ガイドレール10に設けたラック10aと噛合する。これにより、中間プレート16が回転軸16aを中心として回動し、これに伴って第1円盤5が移動する。このとき、第1駆動モータ15aは、逃がし穴12によりテーブル4との干渉が回避される。なお、中間プレート16及び第1円盤5は、回転軸16aのみに支持された構造となっているため、中間プレート16の下面に、適宜、図示しない補助プレートやベアリング等を設けることにより、回転軸16aへの負担が軽減されている。また、中間プレート16は、散薬供給装置7を回動しなければ、回動不能となるようにソレノイド等のロック機構(図示せず)によりロックされている。
【0017】
第2円盤6は、前記テーブル4の貫通孔11bに回転自在に支持されている。そして、第2円盤6は、ギア6aを介して第2駆動モータ15bからの動力が伝達されることにより回転駆動可能となっている。
【0018】
散薬供給装置7a,7bは、従来周知の構成で(例えば、特許第2669511号公報参照)、ホッパー内に供給された散薬を、円盤5,6を回転させながらその外周溝13に順次供給する。散薬供給装置7aは、テーブル4に設けられ、第1円盤5の外周溝13に散薬を供給可能な位置と、第1円盤5から退避した位置との間で移動可能となっている。勿論、第1円盤5のみならず、第2円盤6をも移動可能としてもよい。これにより、テーブル4上の清掃性をより一層向上させることが可能となる点で好ましい。
【0019】
掻出装置8は、従来周知の構成で(例えば、特開2000−85719号公報参照)、各円盤の中心部に配設され、円盤の外周溝13内に収容した散薬を1包分ずつ掻き出して散薬包装部2へと落下させる。
【0020】
散薬包装部2は、図8に示すように、ロール17に巻回された包装紙18を自動的に散薬包装部2へと搬送するための搬送手段19と、搬送された包装紙18に散薬を供給するホッパー部材20と、散薬を供給された包装紙18をヒートシールするシール手段21とを備える。
【0021】
搬送手段19は、図9及び図10に示すように、所定間隔で並設した保持板22a,22b間に複数の搬送ローラ23a,23b,23c,23d,23eを回転自在に配設し、3箇所の搬送ローラ23a,23b,23cにベルト24を架け渡し、ベルト24の一部に接離するようにガイド部材25をスライド自在に配設したものである。保持板22aの一端側には第1モータ26及び第2モータ27がそれぞれ設けられている。第1モータ26の回転軸は前記搬送ローラ23aに連結され、ベルト24を循環移動させることが可能となっている。第2モータ27の回転軸にはピニオン28が一体化されている。ガイド部材25は、前記ベルト24の一部に沿う略U字形で、側部は矩形枠体29によって補強され、底面側には前記第2モータ27のピニオン28が噛合するラック30が設けられている。ガイド部材25は、第2モータ27を駆動することによりピニオン28及びラック30を介してベルト24に対して接離する。第1モータ26及び第2モータ27は、包装紙18が搬送手段19の入口に挿入されたことが図示しないセンサによって検出されると、駆動を開始するように駆動制御されている。また、第2モータ27は、ガイド部材25の底面側に設けたプレート25aを検出するセンサ25bからの検出信号に基づいてオン・オフ制御及び正逆転制御され、ガイド部材25の移動範囲が制限される。ガイド部材25の内面は、ベルト24に最も接近した位置で、ベルト24との間に包装紙18を挟持してベルト24・包装紙18間の摩擦力を増大させ、ベルト24の移動に伴って包装紙18を搬送可能とする。なお、搬送ローラ23d,23e間には、補助シール部100が設けられ、手動によりアーム101の先端に設けたローラ102で、包装紙18を補助シール部100に圧接することにより、包装紙18の先端部分を貼着して搬送手段19からシール手段21への移動をスムーズに行わせることを可能としている。また、搬送ローラ23a,23b間のベルト24の上方部分には印刷装置31(図8、図10参照)が設けられ、包装紙18に、収容する薬剤名や用法、用量等を適宜印刷できるようになっている。さらに、ベルト24に沿って搬送された包装紙18は、ガイド片19aによって方向変換され、ローラ19bとガイド壁19cとで形成される略U字形の経路を通過してホッパー部材20及びシール手段21へと導かれる。
【0022】
ホッパー部材20は、図11に示すように、漏斗状の上方側ホッパー32と下方側ホッパー33からなる。上方側ホッパー32は錠剤通路32aと散薬通路32bに分離され、散薬通路32bの下方開口部は開閉板34によって開閉される。開閉板34は、図示しないタイミングベルト及びタイミングプーリを介して後述するモータ41aの駆動力が伝達されることにより開閉する。これにより、円盤5,6から供給される散薬が長い距離を落下して直接包装紙18に至ることがなく、落下時の飛散が防止される。下方側ホッパー33の下方開口筒部33aは、断面略楕円形状で、長軸側の寸法がシール幅に合致し、開口縁部は中央部で窪むように湾曲している。この構成によっても、包装紙18内から散薬が周囲に飛散することを防止される。なお、下方側ホッパー33内に舞い上がった散薬は、排気ダクト33bを介して排出される。また、排気ダクト33bからの空気の排出をスムーズに行うために、図示しない(散薬落下防止用の)仕切壁を隔てて空気導入孔33cが形成されている。
【0023】
シール手段21は、図12及び図13に示すように、装置本体3の前面部を構成する取付板36に第1シールブロック37と第2シールブロック38を開閉可能に設けたもので、斜め下方に向かう包装紙18に対応して傾斜した状態で取り付けられている。取付板36は、背面に第1及び第2支持板39a,39bを並設され、両支持板39a,39bには第3支持板39cが固定されている。両シールブロック37,38は、第1モータ40aによって駆動する第1カム部材40、第2モータ41aによって駆動する第2カム部材41によりシール面を接離させ、2つ折りにされた包装紙18の折り曲げ線に直交する位置と、反対側の位置とで略T字形にシール可能である。また、シール手段21に供給される包装紙18は、一対の送出ローラ42a,42bにより挟持し、その一方を図示しないステッピングモータで回転駆動することにより搬送可能である。包装紙18の搬送量は、1包当たりの薬剤量の違いに応じて変更している。ここでは、ステッピングモータのパルスに基づいて搬送量を決定している。これにより、カッター(図示せず)を取付板36に固定しておいても、包装紙18を常に適切な位置で切断することが可能である。
【0024】
第1シールブロック37は、略T字形の第1ヒートシール部43を有し、図11及び図13に示すように、取付板36の軸受部44を貫通するスライド軸45の一端部に固定されている。第1ヒートシール部43はヒータを内蔵し、包装紙18を加熱してシールする。スライド軸45の他端部には鍔部45aが形成され、そこには第1ベアリング46、第2ベアリング47、及び第3ベアリング48がそれぞれ設けられている。鍔部45aと取付板36の軸受部44との間にはスプリング(図示せず)が配設されている。これにより、第1シールブロック37は、取付板36に接近した退避位置に位置決めされる。また、スライド軸45の鍔部45aには取付板36を貫通して前方側に延びるアーム49が設けられている。アーム49の先端には、2ヶ所に設けたベアリングによって第1押圧部50と第2押圧部51が形成されている。
【0025】
第2シールブロック38は、前記第1シールブロック37の第1ヒートシール部43に対向する第2ヒートシール部52を有し、両シールブロック37,38を覆う開閉自在なカバー53に回動自在に取り付けられている。すなわち、カバー53には、回転軸54aを中心として補助プレート54が回動自在に設けられ、この補助プレート54にスプリング54bを介して突出方向に付勢された状態で、前記第2シールブロック38が取り付けられている。また、第2シールブロック38は、補助プレート54とカバー53の間に設けた図示しないスプリングによってカバー53側に付勢され、カバー53に回転自在に設けた補助カム55に当接する。補助カム55は、偏心した軸部56aを備え、軸部56aには補助ベアリング56が設けられている。そして、補助ベアリング56は、補助ブロック57の長穴57aに摺動自在に位置している。補助ブロック57は、そこから延びるロッド57bを前記アーム49の第1押圧部50で押圧されることにより、補助カム55を軸部56aを中心として約90度の範囲で回転させる。これにより、補助プレート54を介して第2シールブロック38は、カバー53と平行に、又は、カバー53側に接近するように傾斜してそれぞれ位置決めされる。また、カバー53には、包装紙18を挟持する挟持部材58が設けられている。挟持部材58は、支点を中心として回動自在に設けた一対の挟持片59a,59bからなる。挟持片59a,59bの対向面にはゴム等の圧接部60が形成され、互いに噛合するギア部61によって同期して回動する。一方の挟持片59bには、前記アーム49の第1押圧部50によって押圧される押圧受部62が延設されている。
【0026】
第1カム部材40は、図14に示すように、外縁の略半分に沿って形成される第1ガイド壁63と、この第1ガイド壁63のほぼ2/3の範囲で平行に形成される第2ガイド壁64とを備え、第3支持板39cに回転軸40bを中心として回動自在に取り付けられ、図12に示すように、図示しないギアを介して第3支持板39cに設けた第1モータ40aの動力が伝達される。これにより、第1カム用モータ65を正逆回転駆動すると、駆動ギア及び従動ギアを介して第1カム部材40がセンサ49a,49bでの検出信号に基づいて約90度の範囲で回動する。そして、両ガイド壁63,64の間を前記第1ベアリング46が摺動移動することにより、スライド軸45がスライドし、第1シールブロック37が取付板36に接近した退避位置と、取付板36から突出したシール準備位置との間で往復移動する。
【0027】
第2カム部材41は、図15に示すように、段付形状で、回転中心部66が偏心して設けられると共に、胴部67の側面が部分的に切除されることにより逃がし凹部68が形成されている。鍔部69には前記スライド軸45に設けた第3ベアリング48が摺動するガイド溝70が形成されている。ガイド溝70は、前記回転中心部66に対して中央部では同一半径で形成され、両端へと離れるに従って徐々に半径が小さくなっている。第2カム部材41は、第1支持板39aと第2支持板39bに回転軸を中心として回転自在に設けられ、回転軸に設けた従動ギアが、第1支持板39aに設けた第2モータ41aの回転軸に一体化した駆動ギアと噛合している。これにより、第2モータ41aが駆動すると、駆動ギア及び従動ギアを介して第2カム部材41が回転するようになっている。
【0028】
次に、前記構成の薬剤包装装置の動作について説明する。
【0029】
まず、ロール17に巻回された2つ折りの包装紙18を搬送手段19に供給する。搬送手段19に供給された包装紙18がセンサによって検出されると、第1モータ26が駆動してベルト24が循環移動する。また、第2モータ27が駆動してガイド部材25がベルト24の一部に沿うように接近する。これにより、包装紙18は、ベルト24とガイド部材25の間で圧接状態となり、ベルト24の移動に従って搬送される。搬送手段19から搬出された包装紙18は、ガイド片19a、ローラ19bとガイド壁19cとで形成される略U字形の経路で方向変換して折り目が下方側に位置するようにして包装部へと導かれる。包装紙18が包装部へと導かれた後は、第2モータ27を駆動してガイド部材25をベルト24から離間させる。これにより、包装時に包装紙18に作用する負荷を軽減することができ、破れ等の不具合を防止することが可能となる。
【0030】
散薬包装部2では、第1カム用モータ40aを駆動して第1カム部材40を図12に示す位置に回動させることにより、第1ベアリング46を第1ガイド壁63に沿って摺動させ、両ガイド壁63,64間から第2ガイド壁64のない領域まで移動させる。これにより、スライド軸45を介して第1シールブロック37が図12及び図19に示すようにシール準備位置まで前進する。この状態では、挟持部材58の各挟持片59a,59bは開放し、第2シールブロック38は、図示しないスプリングの付勢力により補助プレート54と共に回転軸54aを中心として退避位置に回動している。つまり、第1シールブロック37のみならず、第2シールブロック38も包装紙18の搬送経路から離間する。したがって、下方側ホッパー33を搬送経路の中心部に位置させ、包装紙18をその両側に膨らませることができる。このため、従来のように、包装紙18の片側のみを膨らませる場合に比べて包装紙18の位置ずれが生じにくく、薬剤量が多くても適切に収容することが可能である。
【0031】
ここで、第2カム用モータ41aを駆動して第2カム部材41を回転させる。これにより、第2カム部材41は、胴部67の外周面の曲率半径が変化するので、中央部で第2ベアリング47を押圧し、スライド軸45を介して所定時間(例えば、0.5秒)、第1シールブロック37を図20に示すようにシール位置まで前進させた状態を保持する。スライド軸45の移動に伴い、その鍔部45aに設けたアーム49が前進し、第1押圧部50が挟持部材58の押圧受部62を押圧する。これにより、挟持部材58の各挟持片59が接近し、包装紙18を挟持する。また、第2押圧部51がロッド57bを介して補助ブロック57を押圧し、補助ベアリング56を介して補助カム55を回転させる。これにより、補助カム55が補助プレート54を押圧し、補助プレート54は第2シールブロック38と共に図20に示すようにシール位置まで回動する。この結果、2つ折りの包装紙18内に位置する下方側ホッパー33の斜め下方側部では、包装紙18はシールブロック37,38のヒートシール部43,52によって挟持され、略T字形、すなわち、隣接する2包の間の領域及び両側縁部の半分を若干超える領域とをシールされる。一方、下方側ホッパー33の斜め上方に位置する側部では、挟持部材58によって下方側ホッパー33に沿って挟持される。これにより、下方側ホッパー33を介して1包分の散薬を供給可能な散薬供給領域が確保される。
【0032】
この状態で、処方データに基づいて掻出装置8により第1円盤5又は第2円盤6から1包分ずつ散薬が供給される。供給される散薬は、一旦、開閉板34によって閉鎖された上方側ホッパー32の散薬通路32b内に収容され、散薬の飛散が防止された後、開閉板34を開放することにより、前述のようにして形成された包装紙18の散薬供給領域内に供給される。散薬供給領域では、前述の通り、下方側ホッパー33の一方の側部がシールされ、他方の側部が挟持部材58によって挟持されている。したがって、供給された散薬が周囲に飛散することが防止される。
【0033】
散薬供給領域への散薬の供給が完了する度に、第2モータ41aを駆動し、第2カム部材41を1回転させると共に、送出ローラ42a,42bを回転駆動して包装紙18を1包分だけ搬送する。これにより、図19に示すように、第1シールブロック37及び第2シールブロック38が共に包装紙18から離間すると共に、挟持部材58による挟持状態が解除された状態で、包装紙18が搬送される。以下、前記同様の動作により処方データに従って散薬の包装を続行する。
【0034】
包装処理を行わない場合、包装部では、第1カム用モータ40aの駆動により、第1カム部材40を図16に示す位置に回動させておく。図16及び図17に示すように、第1ベアリング46は第2ガイド壁64に沿って移動し、スライド軸45を介して第1シールブロック37が退避位置に移動する。このため、第1シールブロック37は包装紙18から遠く離れ、包装処理を行わない場合、高温の第1ヒートシール部43により包装紙18及び薬剤に与える悪影響を排除することが可能となる。
【0035】
また、円盤等の清掃の必要が生じた場合、開閉扉9を開放し、散薬供給装置7a,7bを回動させると、中間プレート16のロック状態が解除される。第1円盤5上に散薬を供給する散薬供給装置7a,7bの回動により、最も散薬が飛散しやすい領域での清掃が容易となる。テーブル4を手前に引き出すと、図3及び図6に示すように、第1円盤5の回転軸に設けたギア部16bがガイドレール10に設けたラック10aと噛合し、テーブル4の引き出し動作に連動して中間プレート16が回転軸を中心として回動する。これに伴い、中間プレート16上の第2円盤6が回転軸を中心として旋回し、第2円盤6との重なり状態が解除され、第1円盤5は清掃容易な位置まで移動する。また、第2円盤6も、テーブル4を引き出すことにより前方に位置し、第1円盤5との重なり状態も解除されているので、清掃容易である。
【符号の説明】
【0036】
1…散薬分配部
2…散薬包装部
3…装置本体
4…テーブル
5…第1円盤
6…第2円盤
7a,7b…散薬供給装置
8…掻出装置
9…開閉扉
10…ガイドレール
12…逃がし穴
13…外周溝
14…ガイド縁部
15…第1駆動モータ
16…中間プレート
17…ロール
18…包装紙
19…搬送手段
20…ホッパー部材
21…シール手段
22…保持板
23a,23b,23c,23d,23e…搬送ローラ
24…ベルト
25…ガイド部材
26…第1モータ
27…第2モータ
30…ラック
31…印刷装置
32…上方側ホッパー
33…下方側ホッパー
37…第1シールブロック
38…第2シールブロック
40…第1カム部材
41…第2カム部材
45…スライド軸
52…第2ヒートシール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を供給された包装紙を、一対のシールブロックで両側から挟持して加熱することによりシールして1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シールブロックを、包装紙を挟持して加熱可能なシール位置と、包装紙を搬送可能となるように離間させるシール準備位置と、に移動可能とし、
前記シールブロックのうち、ヒータを有するものを、前記シール準備位置からさらに離間する、包装紙の搬送経路から包装紙及び薬剤に熱による悪影響を及ぼさない退避位置まで移動可能としたことを特徴とする薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−173348(P2009−173348A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37914(P2009−37914)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【分割の表示】特願2003−383758(P2003−383758)の分割
【原出願日】平成14年5月2日(2002.5.2)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】