薬剤揮散器具
【課題】自然揮散と強制揮散ができると共に、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散することが可能で、自然揮散時には薬剤を大気にスムーズに放散できる薬剤揮散器具とする。
【解決手段】上面が開口し、揮散性の薬剤を含有した製剤4が収容された薬剤容器体1と、この薬剤容器体1の上部に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、前記蓋体2は製剤4の上面4aと対向した揮散口20を有して製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤を揮散口20から大気にスムーズに放散でき、前記送風機3は製剤4の上面4a近くの空気を直接吸い込み、その空気を大気に放出することができ、それによって、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散することが可能である。
【解決手段】上面が開口し、揮散性の薬剤を含有した製剤4が収容された薬剤容器体1と、この薬剤容器体1の上部に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、前記蓋体2は製剤4の上面4aと対向した揮散口20を有して製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤を揮散口20から大気にスムーズに放散でき、前記送風機3は製剤4の上面4a近くの空気を直接吸い込み、その空気を大気に放出することができ、それによって、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、芳香消臭剤、除菌剤、殺虫剤、害虫忌避剤などの揮散性の薬剤を揮散させる器具であって、室内の適所に配置して自然に揮散させたり、または必要に応じて送風し強制揮散させることを兼ね備えた薬剤揮散器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤などの揮散性の薬剤を揮散させる薬剤揮散器具には、器具内に収容した液状芳香剤など薬剤を吸上げ芯を介して吸上げ揮散させる、或いは器具内に収容したゲル状芳香剤など薬剤を開放部分から揮散させる、などの自然に揮散させる自然揮散方式の薬剤揮散器具がある。
また、ファンを備えた器具内に芳香剤など薬剤を含む通気性の薬剤保持体などを配置し、ファンによる発生気流で薬剤を拡散させる、などの強制的に揮散させる強制揮散方式の薬剤揮散器具がある。
【0003】
前者の自然揮散方式の薬剤揮散器具は、持続性に優れているが拡散性がないという欠点がある。
後者の強制揮散方式の薬剤揮散器具は、拡散性には優れているが高濃度の薬剤が室内に分布するという欠点がある。
前述のように、揮散方式の異なる2つの薬剤揮散器具は、相反する長短を示し、またそれぞれ相補的な長所を有しているため、自然揮散と強制揮散の両方の揮散方式を備え、持続性及び速効的拡散性を得ることができる薬剤揮散器具とすれば、二方式の薬剤揮散器具を別個に準備することなく、1つの薬剤揮散器具で各長所を使い分け使用することができ非常に便利である。
【0004】
前述した自然揮散と強制揮散の両方の揮散方式を備えた薬剤揮散器具が特許文献1に開示されている。
この薬剤揮散器具は、送風容器体と、この送風容器体内に設けた送風機と、揮散性の薬剤を含有した製剤を収容した薬剤容器体と、前記送風容器体に取付けたカバー体を備えている。
そして、送風機を停止した時には薬剤容器体の上面開口部から自然揮散した薬剤がカバー体の通気部から大気に放出されて自然揮散方式となる。
また、送風機を駆動することで薬剤容器体の上面開口部から製剤の上面に空気が吹きつけられ、強制揮散状態となり、その薬剤を送風機の駆動によって大気に放出して強制揮散方式となる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−169843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の薬剤揮散器具は、送風容器体の上に薬剤容器体が設けてあるので、その送風容器体内に設けた送風機を駆動して薬剤容器体の上面開口部から製剤の上面に空気を吹きつけるためには、カバー体を利用して空気の流れを上下反対方向に変換することになるので、製剤の上面に空気を十分に吹きつけづらく、強制揮散時の薬剤揮散効率が悪く、多量の薬剤を大気に放散できない。
【0007】
このことを解消するためには、送風容器体と薬剤容器体を上下反対とし、送風機を製剤の上方に位置させることで、その送風機によって製剤の上面に空気を十分に吹きつけることが考えられる。
しかし、このようにすると自然揮散時に送風機が邪魔になり、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散できないことになる。
【0008】
本発明の目的は、自然揮散と強制揮散の両方式を備えていると共に、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散することが可能で、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散できるようにした薬剤揮散器具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、上面が開口した薬剤容器体1と、この薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4と、
前記薬剤容器体1に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、
前記蓋体2は、前記空間部5を大気に開口して製剤4から揮散した薬剤を大気に放出する揮散口20を有し、
前記送風機3は、前記製剤4よりも上方で、かつ前記揮散口20と離隔した位置に設けられ、その送風機3を駆動することで生じる空気流れを前記製剤4の上面4aに直接作用させて薬剤を強制揮散させるようにしたことを特徴とする薬剤揮散器具である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が大気に開口し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するようにした薬剤揮散器具である。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が蓋体2の揮散口20と対向し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から吐出して揮散口20から大気に放出するようにした薬剤揮散器具である。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が大気に開口し、吐出口34が製剤4の上面4aと対向し、この送風機3を駆動することで空気を吸い込んで製剤4の上面4aに吹きつけるようにした薬剤揮散器具である。
【0013】
第5の発明は、第1の発明において、蓋体2は送風機載置部21を備え、その送風機載置部21には空間部5に開口した開口部22を有し、
この蓋体2の送風機載置部21に送風機3を載置して取付けることで、吸込口33と開口部22が連通し、吐出口34が大気に開口するようにした薬剤揮散器具である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、送風機3を停止した状態では製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出して自然揮散方式の薬剤揮散器具となる。
また、送風機3を駆動すれば、その送風機3による空気流れが製剤4の上面4aに作用して薬剤を強制揮散できるから強制揮散方式の薬剤揮散器具となる。
前述のように製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出する際に、送風機3が邪魔にならずに、揮散口20からスムーズに大気に放出されるので、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散することができる。
前述のように送風機3を駆動した時に、その空気流れは製剤4の上面4aに直接作用し、その空気流れを薬剤揮散に有効利用できるので、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、送風機3を駆動することで、空間部5の空気を直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するので、強制揮散時の薬剤流れ経路は送風機3の吸込口33、吐出口34となり、揮散口20を通る自然揮散時の薬剤流れ経路とは相違するので、強制揮散時にも自然揮散した薬剤を大気にスムーズに放散することが可能である。
【0016】
請求項3に係る発明は、自然揮散時、強制揮散時とも揮散口20から薬剤を大気に放散でき、薬剤流れ経路を単純にできる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、送風機3の吐出した空気を製剤4の上面4aに吹きつけて強制揮散するので、効率よく薬剤を強制揮散することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、送風機3を蓋体2から取り外すことで、空間部5が蓋体2の開口部22から大気に開口するから、その開口部22から自然揮散した薬剤を大気に放散することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1と図2に示すように、薬剤容器体1と、蓋体2と、送風機3と、前記薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4で薬剤揮散器具としてある。
前記薬剤容器体1は上面が開口した箱形状である。この薬剤容器体1の開口部10の大きさは製剤4の上面4aの平面大きさと略同一で、その製剤4の上面4aのほぼ全てに空気が触れるようにすることが好ましい。
また、薬剤容器体1の開口部10は非通気性の気密シート11で閉塞され、製剤4が空気と触れないようにしてある。
この気密シート11は使用時には剥がして開口部10を開放し、製剤4に空気が触れるようにする。
【0020】
前記蓋体2は薬剤容器体1に着脱自在に取付けられて製剤4の上面4aと相対向し、この蓋体2と前記製剤4の上面4aとの間に気密シート11が無い状態で空間部5を形成する。
前記蓋体2は空間部5を大気に開口する揮散口20を有している。この揮散口20は前記製剤4の上面4aと対向している。
そして、使用時(つまり、前記気密シート11を剥がして開口部10を開放した状態)には、製剤4から自然揮散した薬剤が矢印aで示すように揮散口20から大気に放散する。
【0021】
前記送風機3は製剤4よりも上方で、蓋体2の揮散口20と離れた位置に設けられて吸込み空気又は吐出空気(つまり、駆動することで生じる空気流れ)を製剤4の上面4aに直接作用させる。例えば、矢印bで示すように製剤4の上面4a近くの空気を直接吸い込み、その空気を矢印cで示すように大気に放出する。
このようであるから、送風機3を駆動することで薬剤を強制揮散する強制揮散方式とすることができる。
【0022】
また、強制揮散時には送風機3の空気流れを製剤4の上面4aに直接作用、例えば空間部5の薬剤を含む空気を直接吸い込み、その空気を大気に放出するので、送風機3の吸い込み風量を製剤4の上面4aからの薬剤揮散に有効利用できる。
したがって、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散できる。
【0023】
前記送風機3を停止した時には、製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が蓋体2の揮散口20から矢印aで示すように大気に放出する。
この揮散口20は送風機3と離れ、自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出する際に、送風機3が邪魔になることがない。
しがたって、自然揮散時に薬剤をスムーズに大気に放散することができる。
【0024】
また、この実施の形態によれば強制揮散時の薬剤流れ経路は矢印b,cのように送風機3内部を通過し、自然揮散時の薬剤流れ経路は矢印aのように揮散口20を通過する。
このように、薬剤流れ経路が強制揮散時と自然揮散時とで相違するので、強制揮散時にも自然揮散した薬剤をスムーズに大気に放散することが可能である。
【0025】
また、この実施の形態によれば、薬剤容器体1は、ただ単に上面が開口した箱形状であるし、蓋体2は開口部20を有して薬剤容器体1に着脱自在に取付けられる形状であるから、それらは単純な形状で、安価に製作できる。
【0026】
次に、各部材の具体形状を説明する。
前記薬剤容器体1は底面板12と周面板13で上面が開口した筒状の箱形状で、その周面板13の上部寄り部分13aが蓋体取付部である。
前記蓋体2は、その外周縁部2aが被取付部で、前記薬剤容器体1の蓋体取付部に着脱自在に取付けられる。
例えば、蓋体2の外周縁部2aを下向きリング形状とし、薬剤容器体1の周面板13の上部寄り部分13aに嵌め合わせて取付ける。又は両者に雄ねじと雌ねじを形成して螺合して取付ける。
【0027】
前記送風機3は、ハウジング30内にモータ31で回転されるファン32を設け、そのハウジング30に吸込口33と吐出口34をそれぞれ形成してある。前記ハウジング30は電池収納室35を有する。
前記送風機3は蓋体2に載置して取付けてあり、その吸込口33が前述の空間部5に開口連通している。
例えば、蓋体2に送風機載置部21を形成すると共に、その送風機載置部21に開口部22を形成し、その送風機載置部21に送風機3(ハウジング30)を載置して取付けることで、吸込口33が開口部22を通して空間部5に開口連通する。
図1、図2に示す送風機載置部21は、送風機3(ハウジング30)が嵌合する凹部としてある。
【0028】
このように蓋体2の送風機載置部21に開口部22を形成し、その送風機載置部21に送風機3を着脱自在に載置して取付けた構成であれば、自然揮散時に送風機3を取り外すことで、開口部22を薬剤の揮散口として利用できるから、より多くの薬剤を大気に放散することができる。
【0029】
なお、取り外した送風機3を仮置きする部分を薬剤収容体1、蓋体2に形成し、取り外した送風機3を仮置きできるようにすることが好ましい。
例えば、図2に仮想線で示すように底面板12に凹部12aを形成し、この凹部12aにハウジング30の電池収納室35部分が嵌合するようにする。
【0030】
図1、図2に示す薬剤揮散器具では、送風機3が蓋体2の上面から上方に突出しているが、蓋体2の上面が送風機3よりも上方に突出するようにしても良い。
例えば、前述の送風機載置部21である凹部の深さを送風機3の全高よりも深くして送風機3の上面よりも蓋体2の上面が上方に突出するようにする。
このようにした場合には送風機3の吐出口34が凹部の内周面で閉鎖されて大気に開口しない恐れがあるので、その凹部の内周面を漏斗形状としたり、内周面の吐出口34と対向した部分を削除して吐出口34が確実に大気に開口するようにすることが好ましい。
【0031】
例えば、図3、図4、図5に示すように、蓋体2を4つの傾斜面23と上面24を有する頂部を切断した四角錐形状とし、各傾斜面23に揮散口20を形成し、上面24に凹部25を形成して送風機載置部21とし、その凹部25の底面に開口部22を形成する。
前記蓋体2における送風機3の2つの吐出口34と対向する部分に凹陥部26を、前記凹部25と連続して形成し、この凹陥部26を通して吐出口34が大気に開口するようにする。
【0032】
このようにすれば、凹部25内に送風機3を嵌め込むようにしてしっかりと載置して取付けできるし、吐出口34を大気に確実に開口することができる。
【0033】
また、凹部を深くせずに蓋体2の外周縁に環状の立ち上がりを設け、その立ち上がりが送風機3の上面よりも上方に突出するようにしても良い。
【0034】
図1と図2に示すように、蓋体2の中央部に送風機載置部21が形成され、この送風機載置部21よりも外周寄り部分に揮散口20が形成されているので、自然揮散時には送風機3よりも外周寄り部分から薬剤がスムーズに大気に放散される。
なお、送風機載置部21を蓋体2の中央部以外の位置に形成し、残りの部分に揮散口20を形成しても良い。例えば薬剤容器体1を楕円(長円)形状として左右一側方寄り位置に送風機載置部を形成し、左右他側方に揮散口20を形成する。
【0035】
前述の実施の形態では送風機3を蓋体2に載置して取付けしたが、これに限ることはなく、蓋体2又は薬剤容器体1に支持部材を設け、この支持部材に送風機3を取付けたり、蓋体2に送風機3を一体的に設けることもできる。
【0036】
例えば、図6、図7に示すように蓋体2の内面に支持部材40を設け、この支持部材40に送風機3を取付ける。
前記支持部材40は蓋体2の内周面に取付けられる円板状で、その中央に送風機取付部41、開口部42を有すると共に、外周寄りに補助揮散口43が形成されている。
前記送風機3は送風機取付部41に取付けられ、その吸込口33が開口部42を通して空間部5に開口し、製剤4の上面4aと対向する。
前記蓋体2には開口部27が形成してあり、この開口部27にハウジング30の電池収納室35を形成する部分が嵌まり合うようにしている。
【0037】
このようであるから、自然揮散時には薬剤が矢印aで示すように補助揮散口43、揮散口20を通して大気に放出される。
また、強制揮散時には、送風機3を駆動することで製剤4の上面4a近くの空気を開口部42を通して吸込口33から吸い込み、吐出口34から自然揮散時の薬剤流れ経路に吐出し、揮散口20から放出する。
このようであるから、自然揮散時の薬剤流れ経路、揮散口20を利用して大気に薬剤を放散することができ、強制揮散時の薬剤流れ経路、揮散口を自然揮散時のものとは別に形成する必要がなく、薬剤流れ経路を単純とすることができる。
要するに、この実施の形態では送風機3の吐出口34が蓋体2よりも内側に位置しているので、前述のように自然揮散時の薬剤流れ経路を利用して薬剤を大気に放散している。
【0038】
なお、強制揮散時の薬剤流れ経路を自然揮散時の薬剤流れ経路とは別に形成しても良い。
例えば、蓋体2に揮散口20とは別に補助揮散口を形成し、この補助揮散口と送風機3の吐出口34を連通する。
そして、強制揮散時には補助揮散口から薬剤を大気に放散する。
【0039】
図6、図7に示す支持部材40は円板状であるが、これに限ることはなく、任意の形状とすることができる。
例えば、矩形の枠形状で蓋体2の内面に取付けられ、その内部に送風機3を支持できるもの。
また、上面が開口した筒形状で、その底面に開口部を有し、周面に孔を有し、その内部に送風機3を支持して開口部から空気を吸い込み、その空気を孔から吐出するもの。
【0040】
また、図8に示すように薬剤容器体1に支持部材40を設け、使用時に送風機3を支持部材40上に支持して取付ける。
前記支持部材40は筒形状で、空気流通部44が形成され、この支持部材40は薬剤容器体1の底面板12に接して設けてあり、未使用時には気密シート11よりも下方に位置している。送風機3は気密シート11に接している。
そして、使用時には気密シート11を剥がし、支持部材40上に送風機3を載置して取付ける。
【0041】
図8に示す支持部材40は筒形状であるが、これに限ることはなく枠形状、板形状、リングに脚を設けたもの等、任意の形状とすることが可能である。
【0042】
また、図示は省略するが蓋体2に深い凹部を形成し、この凹部に送風機3を嵌め合わせて取付け、凹部における送風機3の吐出口34と対向した部分に開口を形成して吐出口34から吐出された空気が蓋体2の揮散口20から大気に放出するようにしても良い。
【0043】
前述の各実施の形態では蓋体2と送風機3を別体としたが、一体としても良い。つまり、送風機3のハウジング30を蓋体2と一体とする。
【0044】
例えば、図9に示すように蓋体2に開口部28と、その開口部28の周縁の筒状の立上り壁29を形成し、その立上り壁29に孔を形成して吐出口34とする。送風機3のモータ31とファン32を備えていると共に、電池収納室35を有するモータ取付部材36を立上り壁29に着脱自在に取付けてハウジング30とする。
このようにすれば、部品点数を少なくできる。
【0045】
前述の各実施の形態によれば、強制揮散時に送風機3によって製剤4の上面4a近くの空気を吸い込み、その空気を大気に吐出することで薬剤を大気に放散したが、製剤4の上面4aに送風機3によって空気を吹きつけて薬剤の揮散を助長し、その揮散した薬剤を吹きつけられた空気とともに大気に放出することで、強制揮散によって薬剤を大気に放散しても良い。
【0046】
例えば、前述した各実施の形態において送風機3を上下反転し、吸込口33が上向きで、吐出口34が下向きとなるようにして吐出空気を製剤4の上面4aに吹きつけるようにする。
【0047】
具体的には、図10、図11に示すように、蓋体2の送風機載置部21を深い凹部形状とし、その周面に吹出口50を形成する。
前記凹部形状の送風機載置部21に送風機3を、吸込口33が上向きで、吐出口34が吹出口50と連通して取付ける。
そして、モータ31でファン32を駆動することで吸込口33から大気に吸い込み、その空気を吐出口34から吐出し、吹出口50から矢印dで示すように製剤4の上面4aに吹きつけて薬剤の揮散を助長する。つまり、強制揮散する。
この揮散した薬剤は矢印eで示すように製剤4の上面4aからはね返る空気とともに揮散口20から大気に放出される。
【0048】
図10、図11に示す送風機3は電池収納室35を下面に有しているので、ハウジング30の電池収納室35を形成する部分が開口部22に嵌まり込んでいる。
そして、吹出口50は斜め下向きとして製剤4の上面4aに向けて空気を吹きつけ易いようにしてある。
【0049】
前述の各実施の形態で説明した各薬剤揮散器具は、未使用時、保管時、運搬時などの流通時において、薬剤容器体1に気密シート11を設けた状態で送風機3を備えた蓋体2を被着したまま包装(袋、小箱など)でき、簡易な包装仕様、包装工程ですむと共に、使用に際しても開封時のままの姿形で気密シート11を剥がすだけなので使用準備が簡単でわかり易い。
【0050】
前述の各実施の形態では薬剤容器体1は上面が開口した箱形状としてあるが、この薬剤容器体1の形状は半球状、矩形箱形状、ドーナツ形状など任意の形状とすることができる。
前述の各実施の形態では、送風機3の電池収納室35はハウジング30の上面に設けた側面に設けても良い。また、送風機3(ハウジング30)は円形状であるが、これに限ることなく、任意の形状とすることができることは勿論である。
前述の各実施の形態では、送風機3の吐出口34を複数設けたが一つでも良い。さらに一つの場合、吐出口34を薬剤容器体1の外方に向けて形成しても良い。例えば、蓋体2の側方の端位置に送風機載置部21を設ける、又は送風機3のハウジング30を一体として設ける。
また、薬剤容器体1に気密シート11を設けて未使用時、保管時、運搬時などに製剤4が空気に触れないようにしてあるが、この気密シート11を設けずに全体を気密して包装するようにしても良い。
【0051】
本発明に用いる揮散性の薬剤としては、従来から害虫駆除剤(殺虫剤、害虫忌避剤、害虫成長阻害剤など)、芳香・消臭剤(香料、ハーブ、消臭剤など)、防菌・防黴剤(殺菌剤、除菌剤、防カビ剤など)等の目的で使用されている自然下で揮散する各種の薬剤を、目的に応じて単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
【0052】
本発明に用いる製剤は、形状として、多量の揮散性の薬剤を含有し、取扱いが簡便であればよく、例えばゲル状、ジェル状、粒状、粉状、マット状、綿状、繊維状、ハニカム構造状、又は液状などが例示される。
製剤の材料としては、自然下で含有された揮散性薬剤を放出するものであればよく、例えば多孔質無機物質および有機物質、パルプ材、ゲル化材、合成樹脂などが例示される。
送風機のファンとしては、シロッコファンが好ましいが、軸流ファン、プロペラファンを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】蓋体の他の実施の形態を示す平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す薬剤揮散器具の断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す薬剤揮散器具の断面図である
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…薬剤容器体、2…蓋体、3…送風機、4…製剤、4a…上面、5…空間部、11…気密シート、20…揮散口、21…送風機載置部、22…開口部、30…ハウジング、31…モータ、32…ファン、33…吸込口、34…吐出口、40…支持部材、41…送風機載置部、42…開口部、50…吹出口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、芳香消臭剤、除菌剤、殺虫剤、害虫忌避剤などの揮散性の薬剤を揮散させる器具であって、室内の適所に配置して自然に揮散させたり、または必要に応じて送風し強制揮散させることを兼ね備えた薬剤揮散器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤などの揮散性の薬剤を揮散させる薬剤揮散器具には、器具内に収容した液状芳香剤など薬剤を吸上げ芯を介して吸上げ揮散させる、或いは器具内に収容したゲル状芳香剤など薬剤を開放部分から揮散させる、などの自然に揮散させる自然揮散方式の薬剤揮散器具がある。
また、ファンを備えた器具内に芳香剤など薬剤を含む通気性の薬剤保持体などを配置し、ファンによる発生気流で薬剤を拡散させる、などの強制的に揮散させる強制揮散方式の薬剤揮散器具がある。
【0003】
前者の自然揮散方式の薬剤揮散器具は、持続性に優れているが拡散性がないという欠点がある。
後者の強制揮散方式の薬剤揮散器具は、拡散性には優れているが高濃度の薬剤が室内に分布するという欠点がある。
前述のように、揮散方式の異なる2つの薬剤揮散器具は、相反する長短を示し、またそれぞれ相補的な長所を有しているため、自然揮散と強制揮散の両方の揮散方式を備え、持続性及び速効的拡散性を得ることができる薬剤揮散器具とすれば、二方式の薬剤揮散器具を別個に準備することなく、1つの薬剤揮散器具で各長所を使い分け使用することができ非常に便利である。
【0004】
前述した自然揮散と強制揮散の両方の揮散方式を備えた薬剤揮散器具が特許文献1に開示されている。
この薬剤揮散器具は、送風容器体と、この送風容器体内に設けた送風機と、揮散性の薬剤を含有した製剤を収容した薬剤容器体と、前記送風容器体に取付けたカバー体を備えている。
そして、送風機を停止した時には薬剤容器体の上面開口部から自然揮散した薬剤がカバー体の通気部から大気に放出されて自然揮散方式となる。
また、送風機を駆動することで薬剤容器体の上面開口部から製剤の上面に空気が吹きつけられ、強制揮散状態となり、その薬剤を送風機の駆動によって大気に放出して強制揮散方式となる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−169843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の薬剤揮散器具は、送風容器体の上に薬剤容器体が設けてあるので、その送風容器体内に設けた送風機を駆動して薬剤容器体の上面開口部から製剤の上面に空気を吹きつけるためには、カバー体を利用して空気の流れを上下反対方向に変換することになるので、製剤の上面に空気を十分に吹きつけづらく、強制揮散時の薬剤揮散効率が悪く、多量の薬剤を大気に放散できない。
【0007】
このことを解消するためには、送風容器体と薬剤容器体を上下反対とし、送風機を製剤の上方に位置させることで、その送風機によって製剤の上面に空気を十分に吹きつけることが考えられる。
しかし、このようにすると自然揮散時に送風機が邪魔になり、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散できないことになる。
【0008】
本発明の目的は、自然揮散と強制揮散の両方式を備えていると共に、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散することが可能で、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散できるようにした薬剤揮散器具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、上面が開口した薬剤容器体1と、この薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4と、
前記薬剤容器体1に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、
前記蓋体2は、前記空間部5を大気に開口して製剤4から揮散した薬剤を大気に放出する揮散口20を有し、
前記送風機3は、前記製剤4よりも上方で、かつ前記揮散口20と離隔した位置に設けられ、その送風機3を駆動することで生じる空気流れを前記製剤4の上面4aに直接作用させて薬剤を強制揮散させるようにしたことを特徴とする薬剤揮散器具である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が大気に開口し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するようにした薬剤揮散器具である。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が蓋体2の揮散口20と対向し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から吐出して揮散口20から大気に放出するようにした薬剤揮散器具である。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、送風機3の吸込口33が大気に開口し、吐出口34が製剤4の上面4aと対向し、この送風機3を駆動することで空気を吸い込んで製剤4の上面4aに吹きつけるようにした薬剤揮散器具である。
【0013】
第5の発明は、第1の発明において、蓋体2は送風機載置部21を備え、その送風機載置部21には空間部5に開口した開口部22を有し、
この蓋体2の送風機載置部21に送風機3を載置して取付けることで、吸込口33と開口部22が連通し、吐出口34が大気に開口するようにした薬剤揮散器具である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、送風機3を停止した状態では製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出して自然揮散方式の薬剤揮散器具となる。
また、送風機3を駆動すれば、その送風機3による空気流れが製剤4の上面4aに作用して薬剤を強制揮散できるから強制揮散方式の薬剤揮散器具となる。
前述のように製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出する際に、送風機3が邪魔にならずに、揮散口20からスムーズに大気に放出されるので、自然揮散時に薬剤を大気にスムーズに放散することができる。
前述のように送風機3を駆動した時に、その空気流れは製剤4の上面4aに直接作用し、その空気流れを薬剤揮散に有効利用できるので、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、送風機3を駆動することで、空間部5の空気を直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するので、強制揮散時の薬剤流れ経路は送風機3の吸込口33、吐出口34となり、揮散口20を通る自然揮散時の薬剤流れ経路とは相違するので、強制揮散時にも自然揮散した薬剤を大気にスムーズに放散することが可能である。
【0016】
請求項3に係る発明は、自然揮散時、強制揮散時とも揮散口20から薬剤を大気に放散でき、薬剤流れ経路を単純にできる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、送風機3の吐出した空気を製剤4の上面4aに吹きつけて強制揮散するので、効率よく薬剤を強制揮散することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、送風機3を蓋体2から取り外すことで、空間部5が蓋体2の開口部22から大気に開口するから、その開口部22から自然揮散した薬剤を大気に放散することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1と図2に示すように、薬剤容器体1と、蓋体2と、送風機3と、前記薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4で薬剤揮散器具としてある。
前記薬剤容器体1は上面が開口した箱形状である。この薬剤容器体1の開口部10の大きさは製剤4の上面4aの平面大きさと略同一で、その製剤4の上面4aのほぼ全てに空気が触れるようにすることが好ましい。
また、薬剤容器体1の開口部10は非通気性の気密シート11で閉塞され、製剤4が空気と触れないようにしてある。
この気密シート11は使用時には剥がして開口部10を開放し、製剤4に空気が触れるようにする。
【0020】
前記蓋体2は薬剤容器体1に着脱自在に取付けられて製剤4の上面4aと相対向し、この蓋体2と前記製剤4の上面4aとの間に気密シート11が無い状態で空間部5を形成する。
前記蓋体2は空間部5を大気に開口する揮散口20を有している。この揮散口20は前記製剤4の上面4aと対向している。
そして、使用時(つまり、前記気密シート11を剥がして開口部10を開放した状態)には、製剤4から自然揮散した薬剤が矢印aで示すように揮散口20から大気に放散する。
【0021】
前記送風機3は製剤4よりも上方で、蓋体2の揮散口20と離れた位置に設けられて吸込み空気又は吐出空気(つまり、駆動することで生じる空気流れ)を製剤4の上面4aに直接作用させる。例えば、矢印bで示すように製剤4の上面4a近くの空気を直接吸い込み、その空気を矢印cで示すように大気に放出する。
このようであるから、送風機3を駆動することで薬剤を強制揮散する強制揮散方式とすることができる。
【0022】
また、強制揮散時には送風機3の空気流れを製剤4の上面4aに直接作用、例えば空間部5の薬剤を含む空気を直接吸い込み、その空気を大気に放出するので、送風機3の吸い込み風量を製剤4の上面4aからの薬剤揮散に有効利用できる。
したがって、強制揮散時の薬剤揮散効率が良く、多量の薬剤を大気に放散できる。
【0023】
前記送風機3を停止した時には、製剤4の上面4aから自然揮散した薬剤が蓋体2の揮散口20から矢印aで示すように大気に放出する。
この揮散口20は送風機3と離れ、自然揮散した薬剤が揮散口20から大気に放出する際に、送風機3が邪魔になることがない。
しがたって、自然揮散時に薬剤をスムーズに大気に放散することができる。
【0024】
また、この実施の形態によれば強制揮散時の薬剤流れ経路は矢印b,cのように送風機3内部を通過し、自然揮散時の薬剤流れ経路は矢印aのように揮散口20を通過する。
このように、薬剤流れ経路が強制揮散時と自然揮散時とで相違するので、強制揮散時にも自然揮散した薬剤をスムーズに大気に放散することが可能である。
【0025】
また、この実施の形態によれば、薬剤容器体1は、ただ単に上面が開口した箱形状であるし、蓋体2は開口部20を有して薬剤容器体1に着脱自在に取付けられる形状であるから、それらは単純な形状で、安価に製作できる。
【0026】
次に、各部材の具体形状を説明する。
前記薬剤容器体1は底面板12と周面板13で上面が開口した筒状の箱形状で、その周面板13の上部寄り部分13aが蓋体取付部である。
前記蓋体2は、その外周縁部2aが被取付部で、前記薬剤容器体1の蓋体取付部に着脱自在に取付けられる。
例えば、蓋体2の外周縁部2aを下向きリング形状とし、薬剤容器体1の周面板13の上部寄り部分13aに嵌め合わせて取付ける。又は両者に雄ねじと雌ねじを形成して螺合して取付ける。
【0027】
前記送風機3は、ハウジング30内にモータ31で回転されるファン32を設け、そのハウジング30に吸込口33と吐出口34をそれぞれ形成してある。前記ハウジング30は電池収納室35を有する。
前記送風機3は蓋体2に載置して取付けてあり、その吸込口33が前述の空間部5に開口連通している。
例えば、蓋体2に送風機載置部21を形成すると共に、その送風機載置部21に開口部22を形成し、その送風機載置部21に送風機3(ハウジング30)を載置して取付けることで、吸込口33が開口部22を通して空間部5に開口連通する。
図1、図2に示す送風機載置部21は、送風機3(ハウジング30)が嵌合する凹部としてある。
【0028】
このように蓋体2の送風機載置部21に開口部22を形成し、その送風機載置部21に送風機3を着脱自在に載置して取付けた構成であれば、自然揮散時に送風機3を取り外すことで、開口部22を薬剤の揮散口として利用できるから、より多くの薬剤を大気に放散することができる。
【0029】
なお、取り外した送風機3を仮置きする部分を薬剤収容体1、蓋体2に形成し、取り外した送風機3を仮置きできるようにすることが好ましい。
例えば、図2に仮想線で示すように底面板12に凹部12aを形成し、この凹部12aにハウジング30の電池収納室35部分が嵌合するようにする。
【0030】
図1、図2に示す薬剤揮散器具では、送風機3が蓋体2の上面から上方に突出しているが、蓋体2の上面が送風機3よりも上方に突出するようにしても良い。
例えば、前述の送風機載置部21である凹部の深さを送風機3の全高よりも深くして送風機3の上面よりも蓋体2の上面が上方に突出するようにする。
このようにした場合には送風機3の吐出口34が凹部の内周面で閉鎖されて大気に開口しない恐れがあるので、その凹部の内周面を漏斗形状としたり、内周面の吐出口34と対向した部分を削除して吐出口34が確実に大気に開口するようにすることが好ましい。
【0031】
例えば、図3、図4、図5に示すように、蓋体2を4つの傾斜面23と上面24を有する頂部を切断した四角錐形状とし、各傾斜面23に揮散口20を形成し、上面24に凹部25を形成して送風機載置部21とし、その凹部25の底面に開口部22を形成する。
前記蓋体2における送風機3の2つの吐出口34と対向する部分に凹陥部26を、前記凹部25と連続して形成し、この凹陥部26を通して吐出口34が大気に開口するようにする。
【0032】
このようにすれば、凹部25内に送風機3を嵌め込むようにしてしっかりと載置して取付けできるし、吐出口34を大気に確実に開口することができる。
【0033】
また、凹部を深くせずに蓋体2の外周縁に環状の立ち上がりを設け、その立ち上がりが送風機3の上面よりも上方に突出するようにしても良い。
【0034】
図1と図2に示すように、蓋体2の中央部に送風機載置部21が形成され、この送風機載置部21よりも外周寄り部分に揮散口20が形成されているので、自然揮散時には送風機3よりも外周寄り部分から薬剤がスムーズに大気に放散される。
なお、送風機載置部21を蓋体2の中央部以外の位置に形成し、残りの部分に揮散口20を形成しても良い。例えば薬剤容器体1を楕円(長円)形状として左右一側方寄り位置に送風機載置部を形成し、左右他側方に揮散口20を形成する。
【0035】
前述の実施の形態では送風機3を蓋体2に載置して取付けしたが、これに限ることはなく、蓋体2又は薬剤容器体1に支持部材を設け、この支持部材に送風機3を取付けたり、蓋体2に送風機3を一体的に設けることもできる。
【0036】
例えば、図6、図7に示すように蓋体2の内面に支持部材40を設け、この支持部材40に送風機3を取付ける。
前記支持部材40は蓋体2の内周面に取付けられる円板状で、その中央に送風機取付部41、開口部42を有すると共に、外周寄りに補助揮散口43が形成されている。
前記送風機3は送風機取付部41に取付けられ、その吸込口33が開口部42を通して空間部5に開口し、製剤4の上面4aと対向する。
前記蓋体2には開口部27が形成してあり、この開口部27にハウジング30の電池収納室35を形成する部分が嵌まり合うようにしている。
【0037】
このようであるから、自然揮散時には薬剤が矢印aで示すように補助揮散口43、揮散口20を通して大気に放出される。
また、強制揮散時には、送風機3を駆動することで製剤4の上面4a近くの空気を開口部42を通して吸込口33から吸い込み、吐出口34から自然揮散時の薬剤流れ経路に吐出し、揮散口20から放出する。
このようであるから、自然揮散時の薬剤流れ経路、揮散口20を利用して大気に薬剤を放散することができ、強制揮散時の薬剤流れ経路、揮散口を自然揮散時のものとは別に形成する必要がなく、薬剤流れ経路を単純とすることができる。
要するに、この実施の形態では送風機3の吐出口34が蓋体2よりも内側に位置しているので、前述のように自然揮散時の薬剤流れ経路を利用して薬剤を大気に放散している。
【0038】
なお、強制揮散時の薬剤流れ経路を自然揮散時の薬剤流れ経路とは別に形成しても良い。
例えば、蓋体2に揮散口20とは別に補助揮散口を形成し、この補助揮散口と送風機3の吐出口34を連通する。
そして、強制揮散時には補助揮散口から薬剤を大気に放散する。
【0039】
図6、図7に示す支持部材40は円板状であるが、これに限ることはなく、任意の形状とすることができる。
例えば、矩形の枠形状で蓋体2の内面に取付けられ、その内部に送風機3を支持できるもの。
また、上面が開口した筒形状で、その底面に開口部を有し、周面に孔を有し、その内部に送風機3を支持して開口部から空気を吸い込み、その空気を孔から吐出するもの。
【0040】
また、図8に示すように薬剤容器体1に支持部材40を設け、使用時に送風機3を支持部材40上に支持して取付ける。
前記支持部材40は筒形状で、空気流通部44が形成され、この支持部材40は薬剤容器体1の底面板12に接して設けてあり、未使用時には気密シート11よりも下方に位置している。送風機3は気密シート11に接している。
そして、使用時には気密シート11を剥がし、支持部材40上に送風機3を載置して取付ける。
【0041】
図8に示す支持部材40は筒形状であるが、これに限ることはなく枠形状、板形状、リングに脚を設けたもの等、任意の形状とすることが可能である。
【0042】
また、図示は省略するが蓋体2に深い凹部を形成し、この凹部に送風機3を嵌め合わせて取付け、凹部における送風機3の吐出口34と対向した部分に開口を形成して吐出口34から吐出された空気が蓋体2の揮散口20から大気に放出するようにしても良い。
【0043】
前述の各実施の形態では蓋体2と送風機3を別体としたが、一体としても良い。つまり、送風機3のハウジング30を蓋体2と一体とする。
【0044】
例えば、図9に示すように蓋体2に開口部28と、その開口部28の周縁の筒状の立上り壁29を形成し、その立上り壁29に孔を形成して吐出口34とする。送風機3のモータ31とファン32を備えていると共に、電池収納室35を有するモータ取付部材36を立上り壁29に着脱自在に取付けてハウジング30とする。
このようにすれば、部品点数を少なくできる。
【0045】
前述の各実施の形態によれば、強制揮散時に送風機3によって製剤4の上面4a近くの空気を吸い込み、その空気を大気に吐出することで薬剤を大気に放散したが、製剤4の上面4aに送風機3によって空気を吹きつけて薬剤の揮散を助長し、その揮散した薬剤を吹きつけられた空気とともに大気に放出することで、強制揮散によって薬剤を大気に放散しても良い。
【0046】
例えば、前述した各実施の形態において送風機3を上下反転し、吸込口33が上向きで、吐出口34が下向きとなるようにして吐出空気を製剤4の上面4aに吹きつけるようにする。
【0047】
具体的には、図10、図11に示すように、蓋体2の送風機載置部21を深い凹部形状とし、その周面に吹出口50を形成する。
前記凹部形状の送風機載置部21に送風機3を、吸込口33が上向きで、吐出口34が吹出口50と連通して取付ける。
そして、モータ31でファン32を駆動することで吸込口33から大気に吸い込み、その空気を吐出口34から吐出し、吹出口50から矢印dで示すように製剤4の上面4aに吹きつけて薬剤の揮散を助長する。つまり、強制揮散する。
この揮散した薬剤は矢印eで示すように製剤4の上面4aからはね返る空気とともに揮散口20から大気に放出される。
【0048】
図10、図11に示す送風機3は電池収納室35を下面に有しているので、ハウジング30の電池収納室35を形成する部分が開口部22に嵌まり込んでいる。
そして、吹出口50は斜め下向きとして製剤4の上面4aに向けて空気を吹きつけ易いようにしてある。
【0049】
前述の各実施の形態で説明した各薬剤揮散器具は、未使用時、保管時、運搬時などの流通時において、薬剤容器体1に気密シート11を設けた状態で送風機3を備えた蓋体2を被着したまま包装(袋、小箱など)でき、簡易な包装仕様、包装工程ですむと共に、使用に際しても開封時のままの姿形で気密シート11を剥がすだけなので使用準備が簡単でわかり易い。
【0050】
前述の各実施の形態では薬剤容器体1は上面が開口した箱形状としてあるが、この薬剤容器体1の形状は半球状、矩形箱形状、ドーナツ形状など任意の形状とすることができる。
前述の各実施の形態では、送風機3の電池収納室35はハウジング30の上面に設けた側面に設けても良い。また、送風機3(ハウジング30)は円形状であるが、これに限ることなく、任意の形状とすることができることは勿論である。
前述の各実施の形態では、送風機3の吐出口34を複数設けたが一つでも良い。さらに一つの場合、吐出口34を薬剤容器体1の外方に向けて形成しても良い。例えば、蓋体2の側方の端位置に送風機載置部21を設ける、又は送風機3のハウジング30を一体として設ける。
また、薬剤容器体1に気密シート11を設けて未使用時、保管時、運搬時などに製剤4が空気に触れないようにしてあるが、この気密シート11を設けずに全体を気密して包装するようにしても良い。
【0051】
本発明に用いる揮散性の薬剤としては、従来から害虫駆除剤(殺虫剤、害虫忌避剤、害虫成長阻害剤など)、芳香・消臭剤(香料、ハーブ、消臭剤など)、防菌・防黴剤(殺菌剤、除菌剤、防カビ剤など)等の目的で使用されている自然下で揮散する各種の薬剤を、目的に応じて単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
【0052】
本発明に用いる製剤は、形状として、多量の揮散性の薬剤を含有し、取扱いが簡便であればよく、例えばゲル状、ジェル状、粒状、粉状、マット状、綿状、繊維状、ハニカム構造状、又は液状などが例示される。
製剤の材料としては、自然下で含有された揮散性薬剤を放出するものであればよく、例えば多孔質無機物質および有機物質、パルプ材、ゲル化材、合成樹脂などが例示される。
送風機のファンとしては、シロッコファンが好ましいが、軸流ファン、プロペラファンを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】蓋体の他の実施の形態を示す平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す薬剤揮散器具の断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す薬剤揮散器具の断面図である
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す薬剤揮散器具の平面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…薬剤容器体、2…蓋体、3…送風機、4…製剤、4a…上面、5…空間部、11…気密シート、20…揮散口、21…送風機載置部、22…開口部、30…ハウジング、31…モータ、32…ファン、33…吸込口、34…吐出口、40…支持部材、41…送風機載置部、42…開口部、50…吹出口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した薬剤容器体1と、この薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4と、
前記薬剤容器体1に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、
前記蓋体2は、前記空間部5を大気に開口して製剤4から揮散した薬剤を大気に放出する揮散口20を有し、
前記送風機3は、前記製剤4よりも上方で、かつ前記揮散口20と離隔した位置に設けられ、その送風機3を駆動することで生じる空気流れを前記製剤4の上面4aに直接作用させて薬剤を強制揮散させるようにしたことを特徴とする薬剤揮散器具。
【請求項2】
送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が大気に開口し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項3】
送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が蓋体2の揮散口20と対向し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から吐出して揮散口20から大気に放出するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項4】
送風機3の吸込口33が大気に開口し、吐出口34が製剤4の上面4aと対向し、この送風機3を駆動することで空気を吸い込んで製剤4の上面4aに吹きつけるようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項5】
蓋体2は送風機載置部21を備え、その送風機載置部21には空間部5に開口した開口部22を有し、
この蓋体2の送風機載置部21に送風機3を載置して取付けることで、吸込口33と開口部22が連通し、吐出口34が大気に開口するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項1】
上面が開口した薬剤容器体1と、この薬剤容器体1内に収容され、揮散性の薬剤を含有した製剤4と、
前記薬剤容器体1に取付けられ、前記製剤4の上面4aとの間に空間部5を形成する蓋体2と、送風機3を備え、
前記蓋体2は、前記空間部5を大気に開口して製剤4から揮散した薬剤を大気に放出する揮散口20を有し、
前記送風機3は、前記製剤4よりも上方で、かつ前記揮散口20と離隔した位置に設けられ、その送風機3を駆動することで生じる空気流れを前記製剤4の上面4aに直接作用させて薬剤を強制揮散させるようにしたことを特徴とする薬剤揮散器具。
【請求項2】
送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が大気に開口し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から大気に放出するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項3】
送風機3の吸込口33が製剤4の上面4aに向けて開口し、吐出口34が蓋体2の揮散口20と対向し、この送風機3を駆動することで空間部5の薬剤を含む空気を吸込口33から直接吸い込み、その空気を吐出口34から吐出して揮散口20から大気に放出するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項4】
送風機3の吸込口33が大気に開口し、吐出口34が製剤4の上面4aと対向し、この送風機3を駆動することで空気を吸い込んで製剤4の上面4aに吹きつけるようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【請求項5】
蓋体2は送風機載置部21を備え、その送風機載置部21には空間部5に開口した開口部22を有し、
この蓋体2の送風機載置部21に送風機3を載置して取付けることで、吸込口33と開口部22が連通し、吐出口34が大気に開口するようにした請求項1記載の薬剤揮散器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−6129(P2008−6129A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180723(P2006−180723)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
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