薬剤放散装置
【課題】燃料電池を電源として薬剤を大気に放散することができると共に、環境温度が低い場所でもスムーズに燃料電池を起動して問題なく使用でき、しかも、起動時に薬剤に悪影響を及ぼすことがない薬剤放散装置とする。
【解決手段】装置本体1に燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、その燃料電池取付部90に燃料電池2を装置本体1の上面に露出するように取り付け、前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源とする送風機19、この送風機19で送風される薬剤保持体4を設け、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温して環境温度が低い場所で使用する際には燃料電池2を加熱昇温してスムーズに起動できると共に、その熱が薬剤保持体4に伝わらずに薬剤に悪影響を及ぼすことがないようにした薬剤放散装置。
【解決手段】装置本体1に燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、その燃料電池取付部90に燃料電池2を装置本体1の上面に露出するように取り付け、前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源とする送風機19、この送風機19で送風される薬剤保持体4を設け、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温して環境温度が低い場所で使用する際には燃料電池2を加熱昇温してスムーズに起動できると共に、その熱が薬剤保持体4に伝わらずに薬剤に悪影響を及ぼすことがないようにした薬剤放散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤などの薬剤を、大気に放散させる薬剤放散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より薬剤放散装置の一種として、加熱して薬剤を蒸散させる装置が知られている。例えば、マットタイプの電気蚊取器、薬液ボトルタイプの電気蚊取器と呼ばれるものが知られている。
マットタイプの電気蚊取器は、ピレスロイド系殺虫剤を含浸させたパルプ製マットを表面温度が150〜185℃の板状発熱体上に載置して加熱し、8〜12時間にわたり殺虫成分だけを蒸散させる加熱式薬剤蒸散装置である。
薬液ボトルタイプの電気蚊取器は、ピレスロイド系殺虫剤を溶剤で溶解した薬液を薬液ボトルに収容し、その薬液ボトル中に浸漬した吸液芯の上部を温度が120〜140℃のリング状発熱体内で間接加熱し、30〜90日間にわたり殺虫成分を蒸散させる長期間継続して使用できる加熱式薬剤蒸散装置である。
【0003】
前述した各電気蚊取器と呼ばれる加熱式薬剤蒸散装置は、交流電源(商用電源)を電源として発熱体を発熱させるのが一般的であるが、この交流電源の代わりに電池を電源として発熱体を発熱させるマットタイプの加熱式薬剤蒸散装置が特許文献1に開示され、薬液ボトルタイプの加熱式薬剤蒸散装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
また、薬剤放散装置の一種として、超音波により液状の薬剤(つまり、薬液)を霧化し噴霧する超音波式薬剤噴霧装置が特許文献3に開示されている。
【0005】
また、薬剤放散装置の一種として、特許文献4に開示された送風式薬剤拡散装置が知られている。
この送風式薬剤拡散装置は、装置本体内に、送風機と薬剤容器と電源収納体を設けたもので、その送風機はファンとモータを有し、薬剤容器には揮散性の薬剤が収容され、電源収納体には電池が収納されている。
そして、モータでファンを回転することで薬剤容器に空気を流通して揮散性の薬剤を大気に揮散、拡散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−23851号公報
【特許文献2】特開2001−103898公報
【特許文献3】特開平8−215308号公報
【特許文献4】特開2002−291392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した各装置は、薬剤を放散するために電源を必要としている。
その電源としては交流電源、電池等が用いられるが、交流電源を使用した装置は、使用場所が電源のある屋内などに制限され、電源のない屋外などでは使えない不便さがある。
また、前述の電池を使用した装置は、使用場所に制限がなく屋外などでも使用できると共に、手軽に何処でも持ち運びできる。
【0008】
しかしながら、前述の装置における電源に用いる電池は、アルカリ電池、マンガン電池、リチウム電池などで、その電池は使用時間に限度があり、使用時間を経過した場合には新しい電池と交換し、旧い電池はゴミとして処分している。
このために、経済的に不利であるし、ゴミ処理問題がある。
また、前記超音波式薬剤噴霧装置は、一般的に噴霧時の消費電力が大きく、特に薬液の超微粒子化や霧化量が多量である場合や長時間継続して噴霧する場合は使用電池の本数を多く必要としたり、電池の交換サイクルが短くなるなどから、交換本数や回数が多くなり、ゴミ量が増える。また経済的でない。
【0009】
本発明者等は、前述の薬剤放散装置に用いる電源としての電池について鋭意研究した結果、近年、燃料として水素を用い、空気中の酸素と化学反応させて発電する小型の燃料電池が開発されていることに着目し、その小型の燃料電池を電源として用いることで長時間に亘って使用できるし、ゴミ処理問題が生じることがない薬剤放散装置とすることができることを見出した。
【0010】
しかし、燃料電池は使用する環境温度が低い場合には発電開始、つまり起動し難い問題がある。
このために、燃料電池を電源として用いた薬剤放散装置は環境温度が低い場合での使用に問題がある。
【0011】
そこで、本発明者等は、燃料電池を起動時に加熱昇温して起動し易くすることを見出したが、燃料電池を加熱する際に、その熱が薬剤に悪影響を及ぼすことがあった。
【0012】
本発明の目的は、燃料電池を電源として用いることで長時間に亘って使用できるし、ゴミ処理問題が生じることがなく、しかも環境温度が低い場所でも薬剤に悪影響を及ぼすことなく容易に起動できるようにした薬剤放散装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、装置本体1に、燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、
前記燃料電池取付部90に燃料電池2を、装置本体1の上面又は下面又は側面に露出するように取付け、
前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する薬剤放散手段を取付けたことを特徴とする薬剤放散装置である。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有し、その電池本体収納室14に電池本体20を設け、燃料タンク収納室15に燃料タンク21を設けた薬剤放散装置である。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、前記電池本体収納室14、燃料タンク収納室15の上面の開口を閉塞する蓋体92を着脱自在に設けた薬剤放散装置である。
【0016】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けた薬剤放散装置である。
【0017】
第5の発明は、第1又は第2又は第3又は第4の発明において、燃料電池2を電源とする発熱体3と、この発熱体3で加熱されて薬剤を蒸散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする送風機19と、この送風機19による空気が流通することで薬剤を放散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする超音波発振機構7で発振した振動で薬液容器8内の薬液を大気に噴霧することで薬剤放散手段とした薬剤放散装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、燃料電池2を電源として薬剤を放散するので、長時間に亘って使用できるし、燃料電池は再利用できてゴミとならないからゴミ処理問題が生じることがない。
また、環境温度が低い場所で使用する際には、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温してスムーズに起動でき、問題なく使用できる。
また、装置本体1の燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91は平面方向に離隔しているので、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温する際に、この熱が薬剤に伝わり難く、その薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、燃料電池2を外部加熱手段で加熱昇温することが容易である。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、通常使用時に蓋体92を取り付けて電池本体収納室14、燃料タンク収納室15を閉塞することで、ゴミ等の異物が侵入しないようにできると共に、外観の見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の参考例を示す断面図である。
【図2】第2本体のみの断面図である。
【図3】燃料電池の断面説明図である。
【図4】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図5】本発明の第2の参考例を示す断面図である。
【図6】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図7】本発明の第3の参考例を示す断面図である。
【図8】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図11】蓋体を取付けた状態の断面図である。
【図12】燃料電池を装置本体の下面に露出させるようにした断面図である。
【図13】燃料電池を装置本体の側面に露出させるようにした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の薬剤放散装置の第1の参考例として加熱式の薬剤放散装置について説明する。
図1に示すように、装置本体1に、燃料電池2、発熱体3、薬剤保持体4を設け、その燃料電池2を電源として発熱体3に通電し、その発熱体3が発熱することで薬剤保持体4を加熱し、その薬剤保持体4が保持している薬剤を蒸散し、大気に放散する。
前記装置本体1は第1本体5と第2本体6を備え、第1本体5に発熱体3、薬剤保持体4が設けてあり、第2本体6に燃料電池2が設けてある。
前記第1本体5と第2本体6は接離自在で、薬剤を放散する通常使用時には接合して一体的とし、起動時には分離する。
第1本体5と第2本体6が分離すると第2本体6の上面が開口して燃料電池2が露出する。
【0023】
このようであるから、環境温度が低い時には第1本体5と第2本体6を分離し、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温することで、容易に起動できる。
したがって、燃料電池を電源とした加熱式薬剤放散装置を環境温度が低い場所でも問題なく使用できる。
また、薬剤保持体4と燃料電池2は離れているので、燃料電池2を外部加熱手段で加熱する際に、その熱が薬剤保持体4に伝わることがなく、薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0024】
前記外部加熱手段としては、一般的に家庭で常備されているドライヤーなどの乾燥器具や赤外温風機、エアコン、灯油式、電気式、ガス式等の暖房器具などから発生する熱風を利用する。
例えばドライヤーを使用して燃料電池に向けて熱風を当てて加熱する。
または暖房器具からの熱風流路に装置本体を置いて燃料電池を温める。
または使い捨てカイロや再生カイロなどの温熱剤の発熱温度を利用する。例えば、カイロを燃料電池の露出面側に被せたり、燃料電池の収納室内に入れて温める。
前記使い捨てカイロは金属の酸化反応を利用したもので、鉄粉等の金属粉末、反応助剤としての塩類、水、触媒的な働きをする活性炭、及びパーミキュライト、珪藻土、木粉等の保水剤などを透気性の袋に収納して用いる。
または水に溶解する時の水和熱又は溶解熱を利用したもので、水と発熱反応する発熱剤(塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、等)と、水又は水を加えて含水させゲル化した吸水性樹脂とを予め分離して収容しておき、必要時にこれらを混合して用いる。
繰り返して使える再生カイロは、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース多価金属塩等の増粘剤又はゲル化剤からなる高粘度流動体を袋に充填したもので、必要時電子レンジなどで温めて用いる。
上記外として、ノルマルパラフィン、高級アルコール等の有機系蓄熱材と酢酸ナトリウムや塩化マグネシウム等多水塩の無機系蓄熱材を有する水性分散液、熱水、電気カーペットなどの熱を利用することもできる。
【0025】
次に、前述の各部材の具体形状を説明する。
前記第1本体5は周面板5aと上面板5bで下面が開口した箱形状で、上面板5bに開口部10が形成してある。
この開口部10の周縁下部が発熱体取付部11で、周縁上部が薬剤保持体取付部12である。
前記第2本体6は第1本体5が嵌合して着脱自在に取付けられる第1本体取付用開口部13と、この第1本体取付用開口部13に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有する。
前記電池本体収納室14には燃料電池2の電池本体20が収納して設けてあり、図2に示すように、第1本体5を取り外して離すことで電池本体20が第1本体取付用開口部13から外部に露出する。
前記燃料タンク収納室15に燃料電池2の燃料タンク21が収納してある。例えば、蓋16を外して燃料タンク収納室15を開放し、燃料タンク21を挿入、抜き出しする。
【0026】
前記電池本体20は、図3に示すように容器22内に負極(燃料極)23と正極(空気極)24とが電解質層25を介して対向して形成されている。
この負極23は燃料を酸化して燃料から電子とプロトンとを取り出すもので、触媒層とガス透過層とが積層された構造を有している。この負極23の端部には負極端子(図示せず)が配設されている。
前記正極24は酸素を還元して発生させた電子と負極において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものである。例えば、負極23と同様の構造を有している。
なお、正極24の端部には正極端子(図示せず)が配設してある。
前記電解質層25は、負極23において発生したプロトンを正極24に輸送するためのものであり、電子伝導性をもたず、プロトンを輸送することが可能な材料により構成されている。
【0027】
上述の反応過程において、負極23と正極24の間に電位差が生じ発電する。
前記負極23の電解質層25と反対側には、例えば負極22に隣接して燃料保持空間26が設けられている。この燃料保持空間26には、隣接して配設された燃料タンク21の供給パイプ27に対応して前述の燃料供給口28が形成されている。これにより、燃料保持空間26と燃料タンク21内とは供給パイプ27、燃料供給口28を介して互いに連通され、燃料タンク21内の燃料が燃料保持空間26に充填されるようになっている。そして負極23に燃料が供給する。
【0028】
前記発熱体3は開口部10よりも大きな板状で、その開口部10周縁下面(発熱体取付部11)に固着して取付けられ、この発熱体3で開口部10を閉塞している。
前記発熱体3の一例を具体的に説明すると、平板状の放熱板が接合した絶縁ケース内に、PTCサーミスタよりなる発熱素子が収容され、蓋で封止されている。このPTCサーミスタ(正特性サーミスタ)は、ある一定温度に達すると電流が減少し、温度が下がると自動的に電流が増加して定温の発熱体として機能するもので温度安定性や安全性が高い。
【0029】
前記薬剤保持体4は、通気性を有するシートに薬剤を含浸したシート状の薬剤含浸体40と、この薬剤含浸体40を保持する保持容器41を備えている。
前記保持容器41は容器本体42と押えリング43を有し、その容器本体42に薬剤含浸体40を載置し、その容器本体42に押えリング43を嵌合して取付けて薬剤含浸体40を押しつけ保持している。
【0030】
前記第1本体5と第2本体6を図4に示すようにヒンジ17で開閉自在に連結しても良い。
この場合には、第1本体5を第2本体6に対して矢印a方向に回動することで仮想線で示すように、第1本体5と第2本体6が分離して第2本体6の上面が開口して燃料電池2(つまり、電池本体20)が外部に露出する。
【0031】
次に、本発明の薬剤放散装置の第2の参考例として送風式の薬剤放散装置について説明する。
図5に示すように、装置本体1の第1本体5の開口部10の下方に送風機収納室18を形成し、この送風機収納室18内に送風機19を設ける。
この送風機19はモータ19aでファン19bを回転するもので、第1本体5の開口部10から空気を吸い込んで、吐出口5cから吐出する。
【0032】
このようであるから、送風機19を駆動することで薬剤保持体4に空気が流通し、保持している薬剤を大気に放散する。
つまり、この参考例は発熱体3の代りに送風機19を設けたことが前述の参考例と異なり、他の構成は同一である。
【0033】
この参考例においても、図6に示すように第1本体5と第2本体6をヒンジ17で開閉自在に連結しても良い。
【0034】
前述の第1・第2の参考例に用いる薬剤保持体4としては、薬剤含浸体40の材質として、紙類(パルプ、リンター、合成紙など)、木製類(おがくずなど)、セラミック、繊維類(化学繊維、ガラス繊維、炭素繊維など)、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻など)、樹脂類(ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ビスコース、高吸油性ポリマーなど)、各繊維からの不織布、天然植物等の乾燥物などが例示される。
前記薬剤含浸体40の形態としてはシート状、網状、ハニカム状、スノコ状、格子状、綿状、粒状、マット状などが例示される。また、通気性のある袋、容器などに収納したものでも良い。形状としては、円形、四角形、多角形などが例示される。
また、発熱体の発熱温度を低温度(例えば100℃以下)で加熱する場合、前記薬剤保持体の中では、通気性の大きい材料、またその成形物であることが望ましい。例えば、薬剤保持体中を熱気流が通過する、不織布、など材質、網状、ハニカム状、など形状が好ましい。また、多数の小孔を形成しても良い。
また、薬剤の含有量を高める、例えば不織布などをひだ形状にする、など手段も可能である。
また、本発明に用いる薬剤保持体4として、薬液としては後述する薬剤を適当な溶剤、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン系炭化水素等の石油系溶剤に溶解した油性薬液、又は水、界面活性剤等を用いて可溶化させた水性薬液などが挙げられる。
【0035】
次に、本発明の薬剤放散装置の第3の参考例として超音波式の薬剤放散装置について説明する。
この参考例は、図7に示すように発熱体、送風機の代りに超音波発振機構7を設け、薬剤保持体の代りに薬液容器8を設け、この超音波発振機構7は燃料電池2を電源として超音波を発振し、その超音波で薬液容器8内の薬液(液状の薬剤)を霧化し大気に放散する。
他の構成は、前述の第1・第2の参考例と同様である。
【0036】
前記超音波発振機構7は、振動板70と発振子71、例えばピエゾ発振子を備え、その発振子71が図示しないピエゾ発振回路に接続して燃料電池2を電源として超音波を発振し、その超音波が振動板70に伝わる。
前記薬剤容器8は、容器本体80内に吸液芯81を挿入したもので、その吸液芯81によって前記振動板70に薬剤を供給する。
このようであるから、振動板70に前述の超音波が伝わることで、前述の吸液芯81で振動板70に供給された容器本体80内の薬液を霧化し、大気に噴霧する。つまり、吸液芯81は薬液を振動板70に供給する薬液供給手段で、吸液芯以外のものを利用できる。例えば振動板に薬液を滴下するなど。
【0037】
前記第1本体5内には薬液容器収納室82と超音波発振機構収納室72が形成してあり、この超音波発振機収納室72は噴霧口73で大気に開口している。
前記薬液容器収納室82は連通孔83で電池本体収納室14を連通し、この薬液容器収納室82は上面に形成した排出孔84で大気に開口している。
【0038】
前述の参考例でも、図8に示すように、第1本体5と第2本体6をヒンジ17で開閉自在に連結し、起動時には第1本体5を回動して第2本体6の上面を開口して燃料電池2(燃料本体20)を外部に露出するようにすることができる。
【0039】
図7に示す超音波式の薬剤放散装置によれば、燃料電池2が発電の際に発生する熱で霧化する薬液を加熱して薬液の粘度を低下することができる。
つまり、燃料電池2からの発生熱は連通孔83から薬液容器8に伝達することで霧化する薬液を加熱して、その粘度を下げ、絶えず、均一な粒子径分布で噴霧できる粘度範囲を維持することができるようにした。また、前述の発生熱は吸液芯81の目詰まり阻止などにも有効利用でき、超音波発振機構7に安定した送液が可能となる。
【0040】
前述のように超音波を利用して薬液を霧化して噴霧する装置は前述のピエゾ式噴霧装置に限ることはなく、次のような装置でも良い。
第1には、超音波で振動する振動板を薬液中に配設して薬液を霧化する装置、具体的には薬液、薬液を収容した霧化槽、該霧化槽に配設された振動板から構成され、霧化槽に設けられた振動板は、両面に形成された電極部に所定周波数の電圧が印可されることにより、磁歪振動を起こして超音波振動を出力し、薬液に超音波振動を与えられ霧化する。
第2には、超音波で振動する振動板を噴霧筒に配設して噴霧筒内に薬液を吸い上げ霧化する装置、具体的には超音波ポンプ、超音波トランスデューサーを利用するタイプは、圧電素子、液吸上げ口、噴霧筒の機構からなり、圧電素子に交番電圧を負荷させ、圧電素子の固有振動数とトランスデューサーを共振させ、パワーをトランスデューサー先端に拡大し伝達させ、超音波霧化させるものである。
しかし、装置の小型化や取り扱いの簡便性を考慮するとピエゾ式噴霧装置や超音波ポンプ式噴霧装置が好ましい。
【0041】
前述ようにして噴霧する薬液の噴霧パターンについて述べると、噴霧を連続的に行っても良いし、噴霧を間欠的に行っても良い。間欠噴霧を行う場合は、噴霧粒子が長時間浮遊する粒子径において有効であり、消費電力の低減化を図ることが可能である。また、殺虫剤など使う害虫防除において安全性を高めることもできる。
【0042】
前述の各参考例における発熱体3と薬剤保持体4、送風機19と薬剤保持体4、超音波発信機構7と薬剤容器8が、燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する手段である。
【0043】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
前述の参考例では、装置本体1を第1本体5と第2本体6を接離自在とし、第1本体5に薬剤を大気に放散する手段を設けると共に、第2本体6に燃料電池2を設けたが、本発明は、装置本体1に薬剤を大気に放散する手段と燃料電池2を平面方向に離隔してそれぞれ設け、その燃料電池2が装置本体1の上面又は下面、又は側面に露出するようにした。
【0044】
例えば、図9と図10に示すように、装置本体1に燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を、平面方向に離隔して形成し、その燃料電池取付部90に燃料電池2を取付け、その燃料電池2が装置本体1の上面に露出するようにする。
前記薬剤放散手段取付部91に薬剤放散手段、例えば送風機19と薬剤保持体4を取付ける。
【0045】
このようにすれば、燃料電池2と薬剤(薬剤保持体4)が平面方向に離隔しているので、環境温度が低い場所で使用する際に、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温した場合に、薬剤に外部加熱手段の熱が伝わり難く、その薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0046】
次に具体構造を説明する。
前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15で構成されている。なお、電池本体20のみを外部加熱手段で加熱昇温するのであれば、電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けることが好ましい。
前記薬剤放散手段取付部91は、開口部10の周縁上部の薬剤保持体取付部12と、開口部10と連通した送風収納室18で構成されている。
【0047】
前述のように、電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を上面が開放した形状とすれば、外部加熱手段で加熱昇温することが容易であるが、ゴミ等の異物の侵入や外観の見栄え等で問題がある場合には、蓋体を取付けることができる。
例えば、図11に示すように蓋体92を着脱自在に取付け、通常使用時には蓋体92を取付けて各収納室14,15を閉塞してゴミ等の異物が侵入しないようにすると共に、外観の見栄えを良くする。
また、起動時には蓋体92を取り外して各収納室14,15を開放し、電池本体20、燃料タンク21を外部に露出させる。
【0048】
前記燃料電池2(電池本体20)は装置本体1の下面に露出するようにしても良い。
例えば、図12に示すように電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を装置本体1の下面に開口させて燃料電池2が装置本体1の下面に露出するようにする。
この場合には、底板93を着脱自在に取付けて電池本体20、燃料タンク21を支持することが好ましい。
【0049】
前記燃料電池2(電池本体20)は装置本体1の側面に露出するようにしても良い。
例えば、図13に示すように電池本体収納室14を装置本体1の側面に開口させて燃料電池2が装置本体1の側面に露出するようにする。
【0050】
この本発明の実施の形態においても、前述した参考例に示すように、送風機19、薬剤保持体4の替わりに発熱体3と薬剤保持体4、超音波発振機構7と薬剤容器8を設けて薬剤放散手段としても良いことは勿論である。
【0051】
本発明において使用される薬剤としては、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤などで、揮散性のものが用いられる。
そして、上記の薬剤で、殺虫を目的として使用する場合、従来より用いられている各種揮散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられる。
さらに、微量で効力を発揮する高活性のメトフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、プロフルトリンが薬剤含浸体を薄く、また小さくできることからより好ましい。
また、上記薬剤に薬剤を徐放化する揮散調整剤(ワセリン類、グリコール類など)、酸化防止剤(BHT,BHAなど)、共力剤(ピペロニルブトキサイド、サイネピリン222など)、溶解剤(パラフィン類、多価アルコール類、脂肪酸エステル類など)、紫外線吸収剤、香料などを必要に応じて添加することは勿論である。
【0052】
本発明に用いる燃料電池としては、その電解質の種類に基づいて類別されるリン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固定酸化物型、アルカリ型などが挙げられる。薬剤の送風拡散用途の電源としては、室温付近に近い温度で作動可能であること、小型に構成可能であること、などから前述の固体高分子型、アルカリ型の燃料電池が好ましい。
燃料としては、純水素(水素吸蔵合金、水素ボンベ、水素吸蔵カーボンナノチューブなど)液体燃料、天然ガス、ナフサ、石灰ガスなどが挙げられる。使用時の取り扱いが容易であること、簡単な構造で小型であることなどから、前述の純水素や液体燃料が好ましい。また液体燃料は目視できる利点があり、高濃度メタノール、希釈メタノール水溶液、その他エタノール、プロパノール、ジメチルエーテル、エチレングリコ−ルなどが例示されるが、燃料として供給された水素が水素イオンと電子に分解できるものであれば特に限定されない。
また、電池本体としては、前述に説明したセパレータ/負極/電解質/正極/セパレータの単一セルを、任意の目的に合わせてセルを複数枚重ねた構造からなる電池本体を使用することは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1…装置本体、2…燃料電池、3…発熱体、4…薬剤保持体、5…第1本体、6…第2本体、7…超音波発振機構、8…薬液容器、14…電池本体収納室、15…燃料タンク収納室、19…送風機、20…電池本体、21…燃料タンク、90…燃料電池取付部、91…薬剤放散手段取付部、91,92…蓋体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤などの薬剤を、大気に放散させる薬剤放散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より薬剤放散装置の一種として、加熱して薬剤を蒸散させる装置が知られている。例えば、マットタイプの電気蚊取器、薬液ボトルタイプの電気蚊取器と呼ばれるものが知られている。
マットタイプの電気蚊取器は、ピレスロイド系殺虫剤を含浸させたパルプ製マットを表面温度が150〜185℃の板状発熱体上に載置して加熱し、8〜12時間にわたり殺虫成分だけを蒸散させる加熱式薬剤蒸散装置である。
薬液ボトルタイプの電気蚊取器は、ピレスロイド系殺虫剤を溶剤で溶解した薬液を薬液ボトルに収容し、その薬液ボトル中に浸漬した吸液芯の上部を温度が120〜140℃のリング状発熱体内で間接加熱し、30〜90日間にわたり殺虫成分を蒸散させる長期間継続して使用できる加熱式薬剤蒸散装置である。
【0003】
前述した各電気蚊取器と呼ばれる加熱式薬剤蒸散装置は、交流電源(商用電源)を電源として発熱体を発熱させるのが一般的であるが、この交流電源の代わりに電池を電源として発熱体を発熱させるマットタイプの加熱式薬剤蒸散装置が特許文献1に開示され、薬液ボトルタイプの加熱式薬剤蒸散装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
また、薬剤放散装置の一種として、超音波により液状の薬剤(つまり、薬液)を霧化し噴霧する超音波式薬剤噴霧装置が特許文献3に開示されている。
【0005】
また、薬剤放散装置の一種として、特許文献4に開示された送風式薬剤拡散装置が知られている。
この送風式薬剤拡散装置は、装置本体内に、送風機と薬剤容器と電源収納体を設けたもので、その送風機はファンとモータを有し、薬剤容器には揮散性の薬剤が収容され、電源収納体には電池が収納されている。
そして、モータでファンを回転することで薬剤容器に空気を流通して揮散性の薬剤を大気に揮散、拡散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−23851号公報
【特許文献2】特開2001−103898公報
【特許文献3】特開平8−215308号公報
【特許文献4】特開2002−291392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した各装置は、薬剤を放散するために電源を必要としている。
その電源としては交流電源、電池等が用いられるが、交流電源を使用した装置は、使用場所が電源のある屋内などに制限され、電源のない屋外などでは使えない不便さがある。
また、前述の電池を使用した装置は、使用場所に制限がなく屋外などでも使用できると共に、手軽に何処でも持ち運びできる。
【0008】
しかしながら、前述の装置における電源に用いる電池は、アルカリ電池、マンガン電池、リチウム電池などで、その電池は使用時間に限度があり、使用時間を経過した場合には新しい電池と交換し、旧い電池はゴミとして処分している。
このために、経済的に不利であるし、ゴミ処理問題がある。
また、前記超音波式薬剤噴霧装置は、一般的に噴霧時の消費電力が大きく、特に薬液の超微粒子化や霧化量が多量である場合や長時間継続して噴霧する場合は使用電池の本数を多く必要としたり、電池の交換サイクルが短くなるなどから、交換本数や回数が多くなり、ゴミ量が増える。また経済的でない。
【0009】
本発明者等は、前述の薬剤放散装置に用いる電源としての電池について鋭意研究した結果、近年、燃料として水素を用い、空気中の酸素と化学反応させて発電する小型の燃料電池が開発されていることに着目し、その小型の燃料電池を電源として用いることで長時間に亘って使用できるし、ゴミ処理問題が生じることがない薬剤放散装置とすることができることを見出した。
【0010】
しかし、燃料電池は使用する環境温度が低い場合には発電開始、つまり起動し難い問題がある。
このために、燃料電池を電源として用いた薬剤放散装置は環境温度が低い場合での使用に問題がある。
【0011】
そこで、本発明者等は、燃料電池を起動時に加熱昇温して起動し易くすることを見出したが、燃料電池を加熱する際に、その熱が薬剤に悪影響を及ぼすことがあった。
【0012】
本発明の目的は、燃料電池を電源として用いることで長時間に亘って使用できるし、ゴミ処理問題が生じることがなく、しかも環境温度が低い場所でも薬剤に悪影響を及ぼすことなく容易に起動できるようにした薬剤放散装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、装置本体1に、燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、
前記燃料電池取付部90に燃料電池2を、装置本体1の上面又は下面又は側面に露出するように取付け、
前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する薬剤放散手段を取付けたことを特徴とする薬剤放散装置である。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有し、その電池本体収納室14に電池本体20を設け、燃料タンク収納室15に燃料タンク21を設けた薬剤放散装置である。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、前記電池本体収納室14、燃料タンク収納室15の上面の開口を閉塞する蓋体92を着脱自在に設けた薬剤放散装置である。
【0016】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けた薬剤放散装置である。
【0017】
第5の発明は、第1又は第2又は第3又は第4の発明において、燃料電池2を電源とする発熱体3と、この発熱体3で加熱されて薬剤を蒸散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする送風機19と、この送風機19による空気が流通することで薬剤を放散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする超音波発振機構7で発振した振動で薬液容器8内の薬液を大気に噴霧することで薬剤放散手段とした薬剤放散装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、燃料電池2を電源として薬剤を放散するので、長時間に亘って使用できるし、燃料電池は再利用できてゴミとならないからゴミ処理問題が生じることがない。
また、環境温度が低い場所で使用する際には、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温してスムーズに起動でき、問題なく使用できる。
また、装置本体1の燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91は平面方向に離隔しているので、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温する際に、この熱が薬剤に伝わり難く、その薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、燃料電池2を外部加熱手段で加熱昇温することが容易である。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、通常使用時に蓋体92を取り付けて電池本体収納室14、燃料タンク収納室15を閉塞することで、ゴミ等の異物が侵入しないようにできると共に、外観の見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の参考例を示す断面図である。
【図2】第2本体のみの断面図である。
【図3】燃料電池の断面説明図である。
【図4】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図5】本発明の第2の参考例を示す断面図である。
【図6】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図7】本発明の第3の参考例を示す断面図である。
【図8】第1本体と第2本体をヒンジで連結した状態の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図11】蓋体を取付けた状態の断面図である。
【図12】燃料電池を装置本体の下面に露出させるようにした断面図である。
【図13】燃料電池を装置本体の側面に露出させるようにした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の薬剤放散装置の第1の参考例として加熱式の薬剤放散装置について説明する。
図1に示すように、装置本体1に、燃料電池2、発熱体3、薬剤保持体4を設け、その燃料電池2を電源として発熱体3に通電し、その発熱体3が発熱することで薬剤保持体4を加熱し、その薬剤保持体4が保持している薬剤を蒸散し、大気に放散する。
前記装置本体1は第1本体5と第2本体6を備え、第1本体5に発熱体3、薬剤保持体4が設けてあり、第2本体6に燃料電池2が設けてある。
前記第1本体5と第2本体6は接離自在で、薬剤を放散する通常使用時には接合して一体的とし、起動時には分離する。
第1本体5と第2本体6が分離すると第2本体6の上面が開口して燃料電池2が露出する。
【0023】
このようであるから、環境温度が低い時には第1本体5と第2本体6を分離し、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温することで、容易に起動できる。
したがって、燃料電池を電源とした加熱式薬剤放散装置を環境温度が低い場所でも問題なく使用できる。
また、薬剤保持体4と燃料電池2は離れているので、燃料電池2を外部加熱手段で加熱する際に、その熱が薬剤保持体4に伝わることがなく、薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0024】
前記外部加熱手段としては、一般的に家庭で常備されているドライヤーなどの乾燥器具や赤外温風機、エアコン、灯油式、電気式、ガス式等の暖房器具などから発生する熱風を利用する。
例えばドライヤーを使用して燃料電池に向けて熱風を当てて加熱する。
または暖房器具からの熱風流路に装置本体を置いて燃料電池を温める。
または使い捨てカイロや再生カイロなどの温熱剤の発熱温度を利用する。例えば、カイロを燃料電池の露出面側に被せたり、燃料電池の収納室内に入れて温める。
前記使い捨てカイロは金属の酸化反応を利用したもので、鉄粉等の金属粉末、反応助剤としての塩類、水、触媒的な働きをする活性炭、及びパーミキュライト、珪藻土、木粉等の保水剤などを透気性の袋に収納して用いる。
または水に溶解する時の水和熱又は溶解熱を利用したもので、水と発熱反応する発熱剤(塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、等)と、水又は水を加えて含水させゲル化した吸水性樹脂とを予め分離して収容しておき、必要時にこれらを混合して用いる。
繰り返して使える再生カイロは、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース多価金属塩等の増粘剤又はゲル化剤からなる高粘度流動体を袋に充填したもので、必要時電子レンジなどで温めて用いる。
上記外として、ノルマルパラフィン、高級アルコール等の有機系蓄熱材と酢酸ナトリウムや塩化マグネシウム等多水塩の無機系蓄熱材を有する水性分散液、熱水、電気カーペットなどの熱を利用することもできる。
【0025】
次に、前述の各部材の具体形状を説明する。
前記第1本体5は周面板5aと上面板5bで下面が開口した箱形状で、上面板5bに開口部10が形成してある。
この開口部10の周縁下部が発熱体取付部11で、周縁上部が薬剤保持体取付部12である。
前記第2本体6は第1本体5が嵌合して着脱自在に取付けられる第1本体取付用開口部13と、この第1本体取付用開口部13に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有する。
前記電池本体収納室14には燃料電池2の電池本体20が収納して設けてあり、図2に示すように、第1本体5を取り外して離すことで電池本体20が第1本体取付用開口部13から外部に露出する。
前記燃料タンク収納室15に燃料電池2の燃料タンク21が収納してある。例えば、蓋16を外して燃料タンク収納室15を開放し、燃料タンク21を挿入、抜き出しする。
【0026】
前記電池本体20は、図3に示すように容器22内に負極(燃料極)23と正極(空気極)24とが電解質層25を介して対向して形成されている。
この負極23は燃料を酸化して燃料から電子とプロトンとを取り出すもので、触媒層とガス透過層とが積層された構造を有している。この負極23の端部には負極端子(図示せず)が配設されている。
前記正極24は酸素を還元して発生させた電子と負極において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものである。例えば、負極23と同様の構造を有している。
なお、正極24の端部には正極端子(図示せず)が配設してある。
前記電解質層25は、負極23において発生したプロトンを正極24に輸送するためのものであり、電子伝導性をもたず、プロトンを輸送することが可能な材料により構成されている。
【0027】
上述の反応過程において、負極23と正極24の間に電位差が生じ発電する。
前記負極23の電解質層25と反対側には、例えば負極22に隣接して燃料保持空間26が設けられている。この燃料保持空間26には、隣接して配設された燃料タンク21の供給パイプ27に対応して前述の燃料供給口28が形成されている。これにより、燃料保持空間26と燃料タンク21内とは供給パイプ27、燃料供給口28を介して互いに連通され、燃料タンク21内の燃料が燃料保持空間26に充填されるようになっている。そして負極23に燃料が供給する。
【0028】
前記発熱体3は開口部10よりも大きな板状で、その開口部10周縁下面(発熱体取付部11)に固着して取付けられ、この発熱体3で開口部10を閉塞している。
前記発熱体3の一例を具体的に説明すると、平板状の放熱板が接合した絶縁ケース内に、PTCサーミスタよりなる発熱素子が収容され、蓋で封止されている。このPTCサーミスタ(正特性サーミスタ)は、ある一定温度に達すると電流が減少し、温度が下がると自動的に電流が増加して定温の発熱体として機能するもので温度安定性や安全性が高い。
【0029】
前記薬剤保持体4は、通気性を有するシートに薬剤を含浸したシート状の薬剤含浸体40と、この薬剤含浸体40を保持する保持容器41を備えている。
前記保持容器41は容器本体42と押えリング43を有し、その容器本体42に薬剤含浸体40を載置し、その容器本体42に押えリング43を嵌合して取付けて薬剤含浸体40を押しつけ保持している。
【0030】
前記第1本体5と第2本体6を図4に示すようにヒンジ17で開閉自在に連結しても良い。
この場合には、第1本体5を第2本体6に対して矢印a方向に回動することで仮想線で示すように、第1本体5と第2本体6が分離して第2本体6の上面が開口して燃料電池2(つまり、電池本体20)が外部に露出する。
【0031】
次に、本発明の薬剤放散装置の第2の参考例として送風式の薬剤放散装置について説明する。
図5に示すように、装置本体1の第1本体5の開口部10の下方に送風機収納室18を形成し、この送風機収納室18内に送風機19を設ける。
この送風機19はモータ19aでファン19bを回転するもので、第1本体5の開口部10から空気を吸い込んで、吐出口5cから吐出する。
【0032】
このようであるから、送風機19を駆動することで薬剤保持体4に空気が流通し、保持している薬剤を大気に放散する。
つまり、この参考例は発熱体3の代りに送風機19を設けたことが前述の参考例と異なり、他の構成は同一である。
【0033】
この参考例においても、図6に示すように第1本体5と第2本体6をヒンジ17で開閉自在に連結しても良い。
【0034】
前述の第1・第2の参考例に用いる薬剤保持体4としては、薬剤含浸体40の材質として、紙類(パルプ、リンター、合成紙など)、木製類(おがくずなど)、セラミック、繊維類(化学繊維、ガラス繊維、炭素繊維など)、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻など)、樹脂類(ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ビスコース、高吸油性ポリマーなど)、各繊維からの不織布、天然植物等の乾燥物などが例示される。
前記薬剤含浸体40の形態としてはシート状、網状、ハニカム状、スノコ状、格子状、綿状、粒状、マット状などが例示される。また、通気性のある袋、容器などに収納したものでも良い。形状としては、円形、四角形、多角形などが例示される。
また、発熱体の発熱温度を低温度(例えば100℃以下)で加熱する場合、前記薬剤保持体の中では、通気性の大きい材料、またその成形物であることが望ましい。例えば、薬剤保持体中を熱気流が通過する、不織布、など材質、網状、ハニカム状、など形状が好ましい。また、多数の小孔を形成しても良い。
また、薬剤の含有量を高める、例えば不織布などをひだ形状にする、など手段も可能である。
また、本発明に用いる薬剤保持体4として、薬液としては後述する薬剤を適当な溶剤、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン系炭化水素等の石油系溶剤に溶解した油性薬液、又は水、界面活性剤等を用いて可溶化させた水性薬液などが挙げられる。
【0035】
次に、本発明の薬剤放散装置の第3の参考例として超音波式の薬剤放散装置について説明する。
この参考例は、図7に示すように発熱体、送風機の代りに超音波発振機構7を設け、薬剤保持体の代りに薬液容器8を設け、この超音波発振機構7は燃料電池2を電源として超音波を発振し、その超音波で薬液容器8内の薬液(液状の薬剤)を霧化し大気に放散する。
他の構成は、前述の第1・第2の参考例と同様である。
【0036】
前記超音波発振機構7は、振動板70と発振子71、例えばピエゾ発振子を備え、その発振子71が図示しないピエゾ発振回路に接続して燃料電池2を電源として超音波を発振し、その超音波が振動板70に伝わる。
前記薬剤容器8は、容器本体80内に吸液芯81を挿入したもので、その吸液芯81によって前記振動板70に薬剤を供給する。
このようであるから、振動板70に前述の超音波が伝わることで、前述の吸液芯81で振動板70に供給された容器本体80内の薬液を霧化し、大気に噴霧する。つまり、吸液芯81は薬液を振動板70に供給する薬液供給手段で、吸液芯以外のものを利用できる。例えば振動板に薬液を滴下するなど。
【0037】
前記第1本体5内には薬液容器収納室82と超音波発振機構収納室72が形成してあり、この超音波発振機収納室72は噴霧口73で大気に開口している。
前記薬液容器収納室82は連通孔83で電池本体収納室14を連通し、この薬液容器収納室82は上面に形成した排出孔84で大気に開口している。
【0038】
前述の参考例でも、図8に示すように、第1本体5と第2本体6をヒンジ17で開閉自在に連結し、起動時には第1本体5を回動して第2本体6の上面を開口して燃料電池2(燃料本体20)を外部に露出するようにすることができる。
【0039】
図7に示す超音波式の薬剤放散装置によれば、燃料電池2が発電の際に発生する熱で霧化する薬液を加熱して薬液の粘度を低下することができる。
つまり、燃料電池2からの発生熱は連通孔83から薬液容器8に伝達することで霧化する薬液を加熱して、その粘度を下げ、絶えず、均一な粒子径分布で噴霧できる粘度範囲を維持することができるようにした。また、前述の発生熱は吸液芯81の目詰まり阻止などにも有効利用でき、超音波発振機構7に安定した送液が可能となる。
【0040】
前述のように超音波を利用して薬液を霧化して噴霧する装置は前述のピエゾ式噴霧装置に限ることはなく、次のような装置でも良い。
第1には、超音波で振動する振動板を薬液中に配設して薬液を霧化する装置、具体的には薬液、薬液を収容した霧化槽、該霧化槽に配設された振動板から構成され、霧化槽に設けられた振動板は、両面に形成された電極部に所定周波数の電圧が印可されることにより、磁歪振動を起こして超音波振動を出力し、薬液に超音波振動を与えられ霧化する。
第2には、超音波で振動する振動板を噴霧筒に配設して噴霧筒内に薬液を吸い上げ霧化する装置、具体的には超音波ポンプ、超音波トランスデューサーを利用するタイプは、圧電素子、液吸上げ口、噴霧筒の機構からなり、圧電素子に交番電圧を負荷させ、圧電素子の固有振動数とトランスデューサーを共振させ、パワーをトランスデューサー先端に拡大し伝達させ、超音波霧化させるものである。
しかし、装置の小型化や取り扱いの簡便性を考慮するとピエゾ式噴霧装置や超音波ポンプ式噴霧装置が好ましい。
【0041】
前述ようにして噴霧する薬液の噴霧パターンについて述べると、噴霧を連続的に行っても良いし、噴霧を間欠的に行っても良い。間欠噴霧を行う場合は、噴霧粒子が長時間浮遊する粒子径において有効であり、消費電力の低減化を図ることが可能である。また、殺虫剤など使う害虫防除において安全性を高めることもできる。
【0042】
前述の各参考例における発熱体3と薬剤保持体4、送風機19と薬剤保持体4、超音波発信機構7と薬剤容器8が、燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する手段である。
【0043】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
前述の参考例では、装置本体1を第1本体5と第2本体6を接離自在とし、第1本体5に薬剤を大気に放散する手段を設けると共に、第2本体6に燃料電池2を設けたが、本発明は、装置本体1に薬剤を大気に放散する手段と燃料電池2を平面方向に離隔してそれぞれ設け、その燃料電池2が装置本体1の上面又は下面、又は側面に露出するようにした。
【0044】
例えば、図9と図10に示すように、装置本体1に燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を、平面方向に離隔して形成し、その燃料電池取付部90に燃料電池2を取付け、その燃料電池2が装置本体1の上面に露出するようにする。
前記薬剤放散手段取付部91に薬剤放散手段、例えば送風機19と薬剤保持体4を取付ける。
【0045】
このようにすれば、燃料電池2と薬剤(薬剤保持体4)が平面方向に離隔しているので、環境温度が低い場所で使用する際に、外部加熱手段で燃料電池2を加熱昇温した場合に、薬剤に外部加熱手段の熱が伝わり難く、その薬剤に悪影響を及ぼすことがない。
【0046】
次に具体構造を説明する。
前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15で構成されている。なお、電池本体20のみを外部加熱手段で加熱昇温するのであれば、電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けることが好ましい。
前記薬剤放散手段取付部91は、開口部10の周縁上部の薬剤保持体取付部12と、開口部10と連通した送風収納室18で構成されている。
【0047】
前述のように、電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を上面が開放した形状とすれば、外部加熱手段で加熱昇温することが容易であるが、ゴミ等の異物の侵入や外観の見栄え等で問題がある場合には、蓋体を取付けることができる。
例えば、図11に示すように蓋体92を着脱自在に取付け、通常使用時には蓋体92を取付けて各収納室14,15を閉塞してゴミ等の異物が侵入しないようにすると共に、外観の見栄えを良くする。
また、起動時には蓋体92を取り外して各収納室14,15を開放し、電池本体20、燃料タンク21を外部に露出させる。
【0048】
前記燃料電池2(電池本体20)は装置本体1の下面に露出するようにしても良い。
例えば、図12に示すように電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を装置本体1の下面に開口させて燃料電池2が装置本体1の下面に露出するようにする。
この場合には、底板93を着脱自在に取付けて電池本体20、燃料タンク21を支持することが好ましい。
【0049】
前記燃料電池2(電池本体20)は装置本体1の側面に露出するようにしても良い。
例えば、図13に示すように電池本体収納室14を装置本体1の側面に開口させて燃料電池2が装置本体1の側面に露出するようにする。
【0050】
この本発明の実施の形態においても、前述した参考例に示すように、送風機19、薬剤保持体4の替わりに発熱体3と薬剤保持体4、超音波発振機構7と薬剤容器8を設けて薬剤放散手段としても良いことは勿論である。
【0051】
本発明において使用される薬剤としては、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤などで、揮散性のものが用いられる。
そして、上記の薬剤で、殺虫を目的として使用する場合、従来より用いられている各種揮散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられる。
さらに、微量で効力を発揮する高活性のメトフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、プロフルトリンが薬剤含浸体を薄く、また小さくできることからより好ましい。
また、上記薬剤に薬剤を徐放化する揮散調整剤(ワセリン類、グリコール類など)、酸化防止剤(BHT,BHAなど)、共力剤(ピペロニルブトキサイド、サイネピリン222など)、溶解剤(パラフィン類、多価アルコール類、脂肪酸エステル類など)、紫外線吸収剤、香料などを必要に応じて添加することは勿論である。
【0052】
本発明に用いる燃料電池としては、その電解質の種類に基づいて類別されるリン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固定酸化物型、アルカリ型などが挙げられる。薬剤の送風拡散用途の電源としては、室温付近に近い温度で作動可能であること、小型に構成可能であること、などから前述の固体高分子型、アルカリ型の燃料電池が好ましい。
燃料としては、純水素(水素吸蔵合金、水素ボンベ、水素吸蔵カーボンナノチューブなど)液体燃料、天然ガス、ナフサ、石灰ガスなどが挙げられる。使用時の取り扱いが容易であること、簡単な構造で小型であることなどから、前述の純水素や液体燃料が好ましい。また液体燃料は目視できる利点があり、高濃度メタノール、希釈メタノール水溶液、その他エタノール、プロパノール、ジメチルエーテル、エチレングリコ−ルなどが例示されるが、燃料として供給された水素が水素イオンと電子に分解できるものであれば特に限定されない。
また、電池本体としては、前述に説明したセパレータ/負極/電解質/正極/セパレータの単一セルを、任意の目的に合わせてセルを複数枚重ねた構造からなる電池本体を使用することは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1…装置本体、2…燃料電池、3…発熱体、4…薬剤保持体、5…第1本体、6…第2本体、7…超音波発振機構、8…薬液容器、14…電池本体収納室、15…燃料タンク収納室、19…送風機、20…電池本体、21…燃料タンク、90…燃料電池取付部、91…薬剤放散手段取付部、91,92…蓋体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体1に、燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、
前記燃料電池取付部90に燃料電池2を、装置本体1の上面又は下面又は側面に露出するように取付け、
前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する薬剤放散手段を取付けたことを特徴とする薬剤放散装置。
【請求項2】
前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有し、その電池本体収納室14に電池本体20を設け、燃料タンク収納室15に燃料タンク21を設けた請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項3】
前記電池本体収納室14、燃料タンク収納室15の上面の開口を閉塞する蓋体92を着脱自在に設けた請求項2記載の薬剤放散装置。
【請求項4】
前記電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けた請求項2又は3記載の薬剤放散装置。
【請求項5】
燃料電池2を電源とする発熱体3と、この発熱体3で加熱されて薬剤を蒸散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする送風機19と、この送風機19による空気が流通することで薬剤を放散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする超音波発振機構7で発振した振動で薬液容器8内の薬液を大気に噴霧することで薬剤放散手段とした請求項1,2,3,4いずれか1項に記載の薬剤放散装置。
【請求項1】
装置本体1に、燃料電池取付部90と薬剤放散手段取付部91を平面方向に離隔して形成し、
前記燃料電池取付部90に燃料電池2を、装置本体1の上面又は下面又は側面に露出するように取付け、
前記薬剤放散手段取付部91に、前記燃料電池2を電源として薬剤を大気に放散する薬剤放散手段を取付けたことを特徴とする薬剤放散装置。
【請求項2】
前記燃料電池取付部90は、装置本体1の上面に開口した電池本体収納室14と燃料タンク収納室15を有し、その電池本体収納室14に電池本体20を設け、燃料タンク収納室15に燃料タンク21を設けた請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項3】
前記電池本体収納室14、燃料タンク収納室15の上面の開口を閉塞する蓋体92を着脱自在に設けた請求項2記載の薬剤放散装置。
【請求項4】
前記電池本体収納室14と薬剤放散手段取付部91との間に燃料タンク収納室15を設けた請求項2又は3記載の薬剤放散装置。
【請求項5】
燃料電池2を電源とする発熱体3と、この発熱体3で加熱されて薬剤を蒸散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする送風機19と、この送風機19による空気が流通することで薬剤を放散する薬剤保持体4、又は燃料電池2を電源とする超音波発振機構7で発振した振動で薬液容器8内の薬液を大気に噴霧することで薬剤放散手段とした請求項1,2,3,4いずれか1項に記載の薬剤放散装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−92217(P2011−92217A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31529(P2011−31529)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【分割の表示】特願2005−97711(P2005−97711)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【分割の表示】特願2005−97711(P2005−97711)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
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