説明

薬剤送達装置

電子カプセル100が提供される。カプセル100は、ハウジング109、電子カプセル100を動作可能にする電子装置、物質を投与及び移動させるポンプ機構115、電子カプセル100に給電して電子装置及びポンプ機構115が動作することを可能にする電源105、並びにロッキング機構130を有する別個の駆動要素300と、ハウジング109、物質を格納する容器210、容器210から物質を放出するためのハウジング109の1又はそれより多くの開口部250、及び駆動要素のロッキング機構130と係合するロッキング機構230を有する別個のペイロード要素200とを有する。駆動要素のロッキング機構130におけるペイロード要素のロッキング機構230との係合は、駆動要素300をペイロード要素200に固定し、これにより、電子カプセル100を動作可能且つ特効を有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2005年1月18日に出願された米国特許出願公開US60/644540"Electronicially Controlled Capsule For Releasing Radiation",2005年1月18日に出願された米国特許出願公開US60/644539"Electronicially Controlled Capsule",2005年1月18日に出願された米国特許出願公開US60/644538"Electronicially Controlled Ingestible Capsule",2005年1月18日に出願された米国特許出願公開US60/644518"System And Method For Controlling Traversal Of An Ingested Capsule",2004年9月1日に出願された米国特許出願公開US60/606276"Electronicially Controlled Pill And System For Delivering At Least One Medicament",2004年8月27日に出願された米国特許出願公開US60/605364"Electronicially And Remotely Controlled Pill And System For Delivering At Least One Medicament",2005年11月25日に出願された米国特許出願公開US60/738238"System And Method for Interacting With a Cell or Tissue",2006年6月20日に出願された米国特許出願公開US60/805223"Electronic Capsule And Method For Treating Gastrointestinal Disease",2006年6月23日に出願された米国特許出願公開US60/805645"Medicament Delivery System And Process",及び2006年8月7日に出願された米国特許出願公開US60/821622"Device, System And Method For Interacting With a Cell or Tissue In A Body"に関し、上記の参照の各々は、本出願の譲受人に譲受され、これによって、この部分を参照することにより明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、摂取可能な電子カプセルに関する。より詳細には、本発明は、別個の駆動要素及び別個のペイロード要素を有する電子カプセルに関し、該電子カプセルは、駆動要素及びペイロード要素が取り付けられるとき、動作可能且つ特効があるようになる。
【背景技術】
【0003】
動物の消化管の選択された部位に薬剤を正確に送達させるための非侵襲的手段に対する継続的なニーズが存在する。電子カプセル又は錠剤(pill)が知られる。電子錠剤は、薬剤の事前に投与された量を含む薬剤容器、及び人間又は動物の胃腸の事前に選択された部位に薬剤を正確に送達させる制御電子装置の両方を収容する生体適合材料からなるハウジングを有する。被検体による錠剤の投与後に、錠剤によるワイヤレス通信のために体外へのリンクを提供する手段も、ハウジングにより含まれる。電子装置は、錠剤が、センサ、タイミング、又は位置を使用して、搭載する薬剤を人間又は動物の胃腸管の特定の部位に送達させることを可能にする。
【0004】
電子信号の認識に基づいて薬剤を送達させる電子錠剤は、選択された部位に薬剤を送達させることにある程度成功している。電子錠剤の最近の例は、Houzegoらによる米国特許US6632216に記載される。Houzegoは、物質の漏れに対して封止可能である、物質用開閉式容器と、容器を開けるアクチュエータ機構と、アクチュエータ機構に給電するために動作可能に接続されるエネルギー源と、エネルギー源からアクチュエータへの電力の供給を制御可能に切り替える解放可能のラッチと、受信機が所定の特性範囲内の放射を検出するとラッチを動作させる、ワイヤで巻かれた空芯を含む電磁放射受信機とを有する、哺乳類の消化管に物質を送達させる摂取可能カプセルを対象とし、これは、前記巻かれたワイヤが、装置の外壁の上にあるか、又は埋め込まれることを特徴とする。
【0005】
他の電子錠剤は、Schentagらによる米国特許US5279607に記載される。Schentagは、摂取可能カプセル及び薬剤の消化管への送達、特に反復可能な送達のプロセスを対象とし、これらが開示され、基本的に消化されやすくないカプセルが、電気エネルギー放出手段、無線信号送信手段、薬剤格納手段、及び遠隔アクチュエート可能薬剤放出手段を含む。カプセルは、事前にマッピングされたルートの消化管を通って進行するとき、遠隔受信機に信号送信し、特定の部位に到達すると、適量の薬剤を放出するように遠隔でトリガされる。
【0006】
Krill及びSchentagの開示は、既知の電子錠剤又はカプセルを図示する。既知のカプセルは、ここにおける全てのカプセルの部品を収容する。このカプセルは、カプセルの異なる部品と関連付けられる寿命の問題に対処する手段を提供しない。特に、カプセルにより投薬される薬剤は、関連する寿命、又は貯蔵寿命の問題を有し、最適な効果のための有効期限より前に投与されなければならない。通常、バッテリである電子カプセル電源も、これと関連付けられる寿命を有する。期限切れのバッテリは、カプセルを機能しない状態又は信頼できない機能をする状態にし得る。したがって、既知の電子カプセルは、異なる、関連付けられていない寿命の問題を有する電子装置及び薬剤の両方を含む。したがって、従来知られた電子錠剤は、これらの異種の寿命の問題に取り組むことができないことにより制限される。
【0007】
更に、薬剤及び電源は、通常適切な保管に対する異なる保管要件を有する。例えば薬剤及び電源は、保管に対して異なる温度及び湿度要件を有し得る。Krill及びSchentagの開示は、カプセルにより投与される薬剤と、ここに収容される電源との両方に適した保管の解決策に対する手段の欠けた電子カプセルを更に図示する。
【0008】
それゆえ、駆動部分、例えばバッテリの寿命の問題から電子カプセルにより格納される薬剤の寿命の問題を切り離し、更に、電子部分の保管の問題から薬剤部分の保管の問題を切り離し、これにより温度、湿度等に関する様々な適切な条件で適切な保管が可能にされる、電子カプセルのニーズが存在する。
【0009】
汎用目的の電子部品と、分離した別個の薬剤固有のペイロード部品とを有する電子カプセルのニーズが更に存在し、電子カプセルは、汎用目的電子部品と薬剤固有のペイロード部品とが取り付けられる場合、特効を持ち、動作可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、制御された量の物質、例えば薬剤活性化合物、食材、染料、放射線ラベルマーカ、ワクチン、生理学的マーカ、又は診断用薬を人間又は動物の消化管の選択された部位に正確且つ信頼可能に送達させる簡素且つ便利な手段を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、カプセルにより投与される薬剤、及び電子カプセルにより収容される電源の異なる寿命の問題と関連付けられる保管及び動作の問題を解決する電子カプセルを提供することである。
【0012】
本発明の目的は、カプセルを給電する電源と関連する寿命又は鮮度の問題から、カプセルにより含まれる薬剤の保管寿命に関する寿命又は鮮度の問題を切り離す電子カプセルを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、分離した別個の汎用目的電子部品を有する電子カプセルを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、分離した別個の薬剤固有のペイロード部品を有する電子カプセルを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、汎用目的の電子部品及び薬剤固有のペイロード部品が取り付けられたとき、特効を有するとともに動作可能となる電子カプセルを提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、製造プロセスを簡素化及び節約する電子カプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、別個の駆動要素と別個のペイロード要素とを有する電子カプセルにより達成され、該別個の駆動要素は、ハウジング、電子カプセルを動作可能にする電子装置、電子カプセルが命令を送受信することができるようにする通信手段、物質を投与及び移動するポンピング機構、電子カプセルに給電し、電子装置、通信手段、及びポンピング機構が動作することを可能にする電源、並びにロッキング機構又はコネクタを有し、前記別個のペイロード要素は、ハウジング、物質を格納する容器、容器から物質を放出する1又はそれより多くのハウジングの開口部、及びロッキング機構又は駆動要素ロッキング機構と係合するコネクタを有し、駆動要素ロッキング機構のペイロード要素ロッキング機構との係合が、ペイロード要素に対して駆動要素を固定し、これにより、電子カプセルを動作可能にし、特効を持つようにする。
【0018】
本発明の上記及び他の目的及び利点は、添付の図面と関連して、本発明の好ましい実施例の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明による組み立てられ、動作可能な電子カプセルの横方向の断面を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明による電子カプセルのペイロード要素の横方向の断面を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明による電子カプセルの駆動要素の横方向の断面を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施例による2つの分離した容器を有する電子カプセルのペイロード要素の横方向の断面を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施例による電子カプセルの2つの別個の取り付け可能ペイロード要素の横方向の断面を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施例による分離した取り付け可能電源及び分離した取り付け可能電子ハウジングを有する電子カプセルの駆動要素の横方向の断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
被検体の人間又は動物の消化管の選択された部位に物質を送達させることにより、制御された態様で薬剤を投与する装置が提供される。特に、分離した取り付け可能な要素を含む摂取可能電子錠剤又はカプセルが設けられる。ここ及び請求項で使用される用語「物質」及び「ペイロード」は、薬剤、非薬剤、造影剤、気体、流体、液体、化学物質、放射線剤、画像化マーカ、生体信号をモニタリングするセンサ等を指す。
【0021】
図面、特に図1を参照すると、本発明による摂取可能カプセルが図示され、これは、通常参照符号100により示される。カプセル100は、被検体の人間又は動物により摂取可能な内蔵型電子制御医薬送達システムである。以下で詳述されるように、カプセル100は、分離した別個のペイロード要素200と分離した別個の駆動要素300を有する。ペイロード要素200と駆動要素300とが取り付けられるとき、図示されるように、カプセル100は動作可能且つ特効を持つ。
【0022】
カプセル100のペイロード要素200及び駆動要素300は、外殻又はハウジング109を有する。ハウジング109は、好ましくはカプセル100が少なくとも人間又は動物の胃腸管を横断することに必要とされる時間だけ生体適合であるように、生体適合材料から形成される。生体適合材料は、好ましくは室温及び室温より下の温度で安定であり、その結果、カプセル100は、長い保管寿命を有する。ハウジング109は、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルのような生理的に安全なポリマ材料から形成され得る。ハウジング109は、より好ましくは、ペースメーカリードを含む埋め込み可能装置、及び人工心臓、心臓弁、大動脈内バルーン、及び心室補助装置のような人工心臓装置を製造するために使用される材料から製造される。これらの材料は、Dow Chemical Companyから利用可能なPellethane(登録商標)2363ポリエーテルウレタン系の材料、及びPolymer Technology Group, Incから利用可能な伸縮可能(elasthane)ポリエーテルウレタンを含む。他の材料は、Polymer Technology Group, Incから利用可能なPurSil(登録商標)及びCarboSil(登録商標)を含む。組み立てられたカプセル100は、好ましくは人間又は動物により飲み込まれることに適した大きさにされる。好ましくは、組み立てられたカプセル100は、直径約1cmで、長さ2乃至3cmである。
【0023】
ペイロード要素200は、図1及び図2に図示される。ペイロード要素200は、容器210内にペイロード(図示略)を内蔵する。ペイロードは、好ましくは、時間内の所定の瞬間に人間又は動物の選択された部位に送達される制御された量の物質である。本発明で使用する適切な物質の非制限的な例は、薬剤活性化合物、食材、染料、放射線ラベルマーカ、ワクチン、生理学的マーカ、又は診断造影剤を含む。特に、物質は、医学的に有効な材料、例えば抗生物質、抗ウイルス性化合物、化学療法剤、滋養物(例えばビタミン、ミネラル、酵素)、放射性同位体、染料、トレーサ、放射線不透明材料、成長因子、ホルモン、ステロイド等、又はこれらのいずれかの組み合わせであり得る。物質は、好ましくは、胃腸管の病気を治療する薬剤である。より好ましくは、物質は、5−ASA又はコルチコステロイド、例えばブデソニドである。薬剤は、更に、診断画像を向上させるために使用される経口造影剤であり得る。このような造影剤の一例は、MRI画像用のGastromark(登録商標)及びCT画像用のバリウムである。カプセル100により投与される薬剤は、好ましくは容器210において密封して封止される。
【0024】
ペイロード要素200は、薬剤が、容器210内に堆積され、容器210から投与されることを可能にするため、ハウジング109において1又はそれより多くの開口部250を有する。各開口部250は、プラグ280で封止される。ペイロード要素200は、容器210の周囲を封止するため、ガスケット挿入部240も有する。ガスケット挿入部240は、弱くされた領域241及び242を有する。ペイロード要素は、少なくとも1つの通気開口部220及び少なくとも1つの半透膜225を更に有する。通気開口部220は、カプセル100内の圧力を、カプセル100外の圧力と平衡させるように機能する。半透膜225は、通気開口部220に重ね、空気をカプセル100の外側からカプセル100の内側に、及びその逆に移送することを可能にし、これにより、水又は他の流体物質が電子錠剤の内部に貫通することを防ぐ。特に、半透膜225は、気体が通気開口部220を通過することを可能にし、液体がカプセル100に入ることを防ぐ。好ましくは、半透膜225は、ハウジング109の全体又は動かない部分である。ペイロード要素200は、更に、ハウジング109に配置された1対のコネクタ又はロッキング機構230を有する。
【0025】
駆動要素300は、図1及び図3に図示される。駆動要素300は、カプセル100を動作可能にする機械的、電気的要素を内蔵する。特に、駆動要素300は、容器210に内蔵される薬剤を投与及び移動するポンピング装置又は駆動ユニット115と、電気モータ支持部120と、センサプラットホーム125と、電源105と、電子ハウジング111とを含む。容器210からのペイロードの投与は、浸透圧手段、機械的又は化学的ポンプを使用する計量ポンピング機構手段、又は、物質の送達を達成するいずれかの他の既知の手段により達成され得る。
【0026】
電源105は、機械的及び電気的部品の各々を動作させるため、制御回路に給電する。電源105は、更に、カプセル100により収容されるいずれかの他の電気的に給電される装置に給電する。電源105は、バッテリ、キャパシタ、又は電源を供給する何れかの他の手段であり得る。
【0027】
電子ハウジング111は、カプセル100の動作に必要な機械的、電気的要素を内蔵する。通信のため、及び容器210に格納される薬剤の放出のため、電子ハウジング111によりハウジングされる電気的要素は、非制限的に、電気モータ用の駆動ユニット、物理的な接触なしでカプセル100の位置を決定することを支援するセンサ、例えばRFトランシーバのような通信手段、アンテナ、及びセンサプラットホーム125のための読み出し装置を含み得る。駆動要素300は、ハウジング109に配置される1対のコネクタ又はロッキング機構130を更に有する。駆動要素300のロッキング機構130は、ペイロード要素200の駆動要素300との安定且つ確実な取り付けを達成し、これにより、特効を有し動作可能なカプセル100を形成するため、ペイロード要素200のロッキング機構230と相互作用する。
【0028】
ペイロード要素200は、図1に図示されるように、カプセル100の長さに対して軸A−Aに平行な方向に沿う移動により、カプセル100を動作可能にするため、駆動要素300にマウント又は取り付けられる。図1乃至3に図示される本発明の第1実施例によると、駆動要素300のロッキング機構の対130は、固着凹部(anchoring recess)130の対であり、ペイロード要素200の一対のロッキング機構230は、一対のロッキングピンである。固着凹部130は、成形の間、ハウジング109において形成される2又はそれより多くの開口部を有し、これらは、ロッキングピン230を受けるように構成される。成形の間、ハウジング109において形成されるペイロード要素200のロッキングピン230は、好ましくは、当然のことながら「スナップ」又は「クリック」型の閉鎖を収容するためにこの上に形成されるフランジ230aを有する。ロッキングピン230は、スライドして固着凹部130と係合したり、係合から外れたりするように構成され、これにより、カプセル100のペイロード要素200及び駆動要素300のロック及びロック解除をする。
【0029】
各ロッキングピン230は、図1及び図2に示される構成を有し、ロッキングピン230の末端部に位置される弾性フランジ230aを有する。フランジ230aは、ロッキングピン230と鋭角を形成する。この構造は、横軸(すなわち図2に示される軸B−B)に沿って適切な圧縮力が適用される場合、フランジ230aのある程度の屈曲を可能にする。結果として、このような圧縮力とともに増加又は減少するフランジ230aの角は、フランジ230aの固着凹部130との摩擦接触の度合いを決定する。ロッキングピン230は、固着凹部130にスライド可能であるような通常の構成から、フランジ230aの屈曲運動により、固着凹部130に挿入され、固着凹部130から引き出される。フランジ230aの弾力性は、ロッキングピン230が固着凹部130内に位置される場合、この元の構成を回復することを可能にし、これにより、ロッキングピン230を固着凹部130内に保持し、動作可能なカプセル100を形成するようにペイロード要素200を駆動要素300にロックする。クリック型のロックが図示されるが、ペイロード要素200を駆動要素300に適切に固定するため、いずれかの適切なロッキング手段が使用され得ることは、理解されるべきである。このようなロッキング機構の非制限的な例は、圧力ロッキング手段、ねじ手段、超音波溶接手段、摩擦溶接手段、及び、UV硬化接着剤のような接着剤の使用を含む。
【0030】
駆動要素300は、手動又は特化した装置の使用によりロッキング機構130/230を係合することによって、ペイロード要素200に取り付けられる。駆動要素300がペイロード要素200に取り付けられる場合、圧力が容器210において生成される。この圧力封止された開口部250のプラグ280及び弱くされた部分251を破壊し、容器210に格納されるある量の薬剤が移動されることを可能にする。それから薬剤は、封止された開口部250から投与される。半透膜225は、空気がカプセル110の外側からカプセル100に入ることを可能にし、これにより容器210内に収容される薬剤が完全に置換することを可能にする。容器210は、例えば外側の孔(piercing)により、容器部分200を電子部分300に接続することに必要とされる特別な装置により開けられ得ることも想定される。
【0031】
ペイロード要素200により収容される薬剤が、例えばプログラムされた投与命令により認識されるように、胃腸管における所望される位置に到着する前に放出されないことを確実にするため、薬剤を収容する2段階の封止するプロセスが使用され得る。ペイロード要素200に収容される薬剤の格納の延長のため、密閉することが採用され得る。このような封止は、容器210に高圧を導入したときのみ解放し、これは、例えば駆動要素300がペイロード要素200に取り付けられるときに導入される。容器210に収容される薬剤が送達されるとき、通信された命令に基づいて移動するピストンにより第2の弱くされた封止が解放するであろう。したがって、第2の弱くされた封止は、移動するピストンにより生じる圧力により解放するであろう。
【0032】
駆動要素300及びペイロード要素200は、別個に製造及び保管され得ることが想定される。駆動要素300は、被検体により摂取される前にカプセル100を組み立てるためにペイロード要素200に取り付けられる。分離した駆動要素300及びペイロード要素200は、電源105の寿命の要件からカプセル100により収容される薬剤の寿命の問題を切り離すことを可能にする。したがって、駆動要素300は、汎用目的の装置である。駆動要素300は、薬剤を収容するペイロード要素300に取り付けられた場合、特効を有する。駆動要素300にペイロード要素200を取り付けることは、特化された装置を使用して、被検体又は薬剤師に実施され得る。
【0033】
駆動要素300及びペイロード要素200を別個の部品とすることは、駆動要素300がペイロード要素200により収容される薬剤から分離されるので、カプセル100の製造プロセスを簡素化する。したがって、適宜、電子機器会社が駆動要素300を製造し、製薬会社がペイロード要素200を製造し得る。製造プロセスを産業の適切な分野に請け負わせることは、電子錠剤がどのように薬剤を充填されるかに関する現在の問題を解消する。したがって、薬品製造に関連する滅菌及び他の要件は、駆動要素300の分離により満たされ、駆動要素300は、充填するために滅菌された製薬施設に導入されることを必要とされないので、ペイロード要素200から分離して製造され得る。
【0034】
駆動要素300とペイロード要素200との分離は、容器210に格納される薬剤及び電源105に対して、より柔軟且つ適切な格納オプションも可能にする。特に、ペイロード要素200は、適切な環境条件、例えば冷蔵、冷凍、若しくは低温凍結、又は無酸素雰囲気、に格納され得る。更に、駆動要素300とペイロード要素200との分離は、駆動要素300の電源105に損傷を与えるリスクなしで、ペイロード要素200の容器210の滅菌を可能にする。
【0035】
ペイロード要素200を駆動要素300に取り付ける動作は、例えば駆動要素300に内蔵される電子装置を活性化することにより、カプセル100を動作モードにする。動作モードは、着色機構、点滅する光源、又は規則的な時間間隔で繰り返されるビープ音のような表示手段により、被検体、医師、又は薬剤師に示され得る。
【0036】
図4に図示される本発明の代替の実施例において、ペイロード要素200は、いくつかの薬剤を含むため、2又はそれより多くの容器210を有する。いくつかの薬剤を組み合わせることにより、特化した処置が1つのカプセル100で実施され得る。この実施例において、各々が薬剤を含む容器210は、分離膜270により分離される。
【0037】
2又はそれより多くの容器210は、ペイロード要素200が駆動要素300に取り付けられる場合、流体連通する。したがって、薬剤は、2又はそれより多くの容器210が連通すると活性化する。好ましくは、膜270は、カプセル100のアセンブリで弱くされるか破壊される薄膜である。すなわち、ペイロード要素200が駆動要素300に取り付けられる場合、封止された開口部250を開ける圧力が生成され、該開口部を通じて薬剤が投与される。この同じ圧力が、膜270を破裂させる。被検体又は薬剤師は、電子カプセル100を振るか、ボルテックスするか、又は回転することにより、カプセル100の中身を混合させ得る。薬剤を混合することができるいずれかの混合手段が使用され得る。
【0038】
図5に図示される本発明の更に他の実施例において、1又はそれより多くの容器210を各々が内蔵する、1又はそれより多くの分離した別個のペイロード要素205,206は、駆動要素300に取り付けられ、カプセル100を形成する。この実施例は、被検体、又は薬剤師が、異なるペイロード要素200を組み合わせ、取り付け、それから摂取の前にカプセル100を組み立てることにより、薬剤の異なっている組成物を混合することを可能にする。ペイロード要素205、206が取り付けられるときに生成される圧力は、弱められた領域241及び242において、ガスケット挿入部240を破裂させ、これによりペイロード要素205の容器210の薬剤をペイロード要素206の容器210の薬剤に連通する。代替として、ペイロード要素205及び206の容器210は、カプセル100を形成するためのペイロード要素205、206及び駆動要素300の取付けに対して完全なままであるように、構成され得、その結果、ガスケット挿入部240は、ペイロード要素205及び206に収容される異なる薬剤が順次投与され得る。
【0039】
本実施例において、端部ペイロード要素205のハウジング109は、ペイロード要素206との連通のために容器210の片側を露出させる。ペイロード要素205は、更に、薬剤が容器210に置かれて、投与されることを可能にするための1又はそれより多くの開口部250と、ペイロード要素206への取付けにより、弱められた領域241及び242で、制御圧壊をするように構成されるガスケット挿入部240と、端部ペイロード要素205をペイロード要素206に取り付ける一対のコネクタ又はロッキング機構235とを有する。ロッキング機構235は、好ましくは一対のロッキングピンである。成形の間、ハウジング109において、形成されるロッキングピン235は、好ましくは、上記のように、ペイロード要素206との「スナップ」又は「クリック」タイプ閉鎖を収容するため、その上に形成されるフランジ235aを有する。フランジ235aは、ロッキングピン235とともに鋭角を形成し、これによって、適切な圧縮力が適用される場合、フランジ235aのある程度の屈曲を可能にする。
【0040】
ペイロード要素206のハウジング109は、容器210の2つの側を露出させる。ペイロード要素206も、ガスケット挿入部240、通気開口部220及び半透膜225を有する。ペイロード要素206は、更に、前述したように、駆動要素300に取り付ける一対のロッキング機構230を備えている。ペイロード要素206は、更に、ペイロード要素206を端部ペイロード要素205に取り付ける一対のコネクタ又はロッキング機構236を備える。ロッキング機構236は、ロッキングピン235を受けるように構成される成形の間、ハウジング109において、形成される1又はそれより多くの開口部を備える固着凹部である。
【0041】
図6に図示される駆動要素300の別の実施例において、分離した別個の電源ハウジング要素305は電源105を収納し、これによって、電源105を駆動要素300の他の要素から切り離す。この構成は、電源105の手早い交換を容易にし、その一方で、残りの電子的及び通信部品をそのままにする。電源ハウジング要素305は、電源105を含むハウジング109を備える。ハウジング109は、更に、電源ハウジング要素305を駆動要素300に取り付けるためにここに配置される一対のコネクタ、又はロッキング機構103を備える。ロッキング機構103は、好ましくは、前述したように固着凹部である。本実施例において、駆動要素300は、薬剤を投与及び移動させるポンピング装置又は駆動ユニット115を含むハウジング109、電気モータ支持部120、センサプラットホーム125、及び電子ハウジング111を有する。電子ハウジング111は、カプセル100の動作のために必要な機械的及び電気的要素を収容する。駆動要素300のハウジング109は、更に、駆動要素300を電源ハウジング要素305に取り付けるためにここ配置される一対のコネクタ又はロッキング機構101を有する。ロッキング機構101は、好ましくは、前述したようにロッキングピンである。駆動要素300のハウジング109は、駆動要素300及び電源ハウジング要素305のペイロード要素200への安定な接続を達成し、これにより、動作可能なカプセル100を形成するため、ペイロード要素200のロッキング機構230と交差する一対のコネクタ又はロッキング機構130を更に有する。ロッキング機構130は、好ましくは、前述したように固着凹部である。カプセル100の摂取の前に、被検体又は薬剤師は、駆動要素300及びペイロード要素200を有する電源ハウジング要素305を組み立てる。ペイロード要素200が非接触の電子的に可読なタグ、例えばRFIDタグ(図示略)を更に備え得ることは、考えられる。存在する場合、RFIDタグは、駆動要素300に対してペイロード要素200を識別するように機能する。したがって、駆動要素300は、ペイロード要素200に格納される薬剤が予想されるものかどうかを決定するようにプログラムされ得る。更に、RFIDタグが、薬剤を投与する特別な条件をペイロード要素200から駆動要素300まで移動するように機能し得ることは、考えられる。
【0042】
本発明は、好ましい実施例に特に関連して、記載される。前述の説明及び実施例が本発明を図示するだけであることは、理解されるべきである。様々な変形例及びこの変更態様は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく当業者により考案され得る。したがって、本発明は、請求項の範囲にある全てのこの種の代替物、修正例及び変形例を含むことを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、電子カプセルを動作させる制御電子装置、物質を投与及び移動させるポンプ、前記電子カプセル、前記制御電子装置及び前記ポンプと動作可能に関連付けられる電源、並びにコネクタを有する駆動要素と、
ハウジング、物質を格納する容器、該容器から物質を放出するためのハウジングの1又はそれより多くの開口部、及び前記駆動要素のコネクタと係合するためのコネクタを有するペイロード要素とを有する電子カプセルであって、
前記駆動要素のコネクタの前記ペイロード要素のコネクタとの前記係合が、前記駆動要素を前記ペイロード要素に固定し、これより前記電子カプセルを動作可能且つ特効を持つようにする、電子カプセル。
【請求項2】
前記駆動要素のコネクタ及び前記ペイロード要素のコネクタは、クリック型のロックを形成する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記駆動要素のコネクタが、固着凹部である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項4】
前記ペイロード要素コネクタが、ロッキングピンである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項5】
前記ペイロード要素の前記ハウジングが、少なくとも1つの通気開口部を更に有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項6】
前記通気開口部に重なり、該重なりを通って空気を移動可能にする、半透膜を更に有する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記ペイロード要素が、前記容器周辺で封止を提供するためのガスケット挿入部を更に有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項8】
前記ガスケット挿入部は、弱くされた領域を更に有する、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
前記ペイロード要素が、2又はそれより多くの分離した容器を有し、該分離した容器は、各々が膜によって切り離される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項10】
前記膜が、破壊可能である、請求項9に記載のカプセル。
【請求項11】
物質を格納するための容器、第2の別個のペイロード要素を駆動要素に取り付ける第1コネクタ、及び前記第2の別個のペイロード要素を第1の別個のペイロードに取り付ける第2コネクタを有する第2の別個のペイロード要素を更に有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項12】
前記カプセルの位置を決定するセンサを更に有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項13】
前記電子カプセルが命令を送受信することを可能にする通信手段を更に有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項14】
前記駆動要素は、更に、分離した別個の電源ハウジング要素を有し、該ハウジング要素は前記電源を収容し、これにより前記電源を前記駆動要素の他の要素から分離する、請求項1のカプセル。
【請求項15】
ハウジング、電子カプセルを動作させる制御電子装置、物質を投与及び移動させるポンプ、第1ロッキング機構、及び第2ロッキング機構を有する別個の駆動要素と、
ハウジング、前記電子カプセルを給電し、前記制御電子装置及び前記ポンプと動作可能に関連付けられる電源、並びにロッキング機構を有する別個の電力要素と、
ハウジング、物質を格納する容器、該容器から前記物質を放出するためのハウジングの1又はそれより多くの開口部、及び駆動要素のロッキング機構を係合するロッキング機構を有する別個のペイロード要素と
を有する電子カプセルであって、
前記電力要素のロッキング機構における前記駆動要素の第1ロッキング機構との係合が、前記電源ハウジング要素を前記駆動要素に対して固定し、前記駆動要素の第2ロッキング機構における前記ペイロード要素のロッキング機構との係合が、前記駆動要素を前記ペイロード要素に対して固定し、これらの係合が前記電子カプセルを動作可能且つ特効を有するようにする電子カプセル。
【請求項16】
前記ペイロード要素のハウジングが、少なくとも1つの通気開口部を有する、請求項15に記載のカプセル。
【請求項17】
前記電子カプセルが命令を送受信することを可能にする通信手段を更に有する、請求項15に記載のカプセル。
【請求項18】
前記ペイロード要素が、2又はそれより多くの分離した容器を有し、該分離した容器は各々が破壊可能膜により分離される、請求項15に記載のカプセル。
【請求項19】
物質を格納するための容器、第2の別個のペイロード要素を前記駆動要素に取り付ける第1ロッキング機構、及び前記第2の別個のペイロード要素を第1の別個のペイロード要素に取り付ける第2ロッキング機構を有する第2の別個のペイロード要素を更に有する、請求項15に記載のカプセル。
【請求項20】
前記駆動要素は、更に、分離した別個の電源ハウジング要素を有し、該ハウジング要素が電源を収容し、これにより前記電源を前記駆動要素の他の要素から切り離す、請求項15に記載のカプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504135(P2010−504135A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528855(P2009−528855)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053826
【国際公開番号】WO2008/038199
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】