説明

薬包容器

【課題】薬自動製造機上で使用する、低コストの単純な薬包容器を提供する。
【解決手段】薬包2は容器の内側に収容され、容器は二つのシェル6、7と把持体11とを具備し、二つのシェル6、7は開位置と閉位置との間で移動可能であり、把持体11はシェル6、7の外側に嵌合され且つ二つのジョー12a、12bによって画成され、二つのジョー12a、12bは、薬包2の中身へのアクセスを可能とする少なくとも一つの導管3、4を把持し且つ少なくとも一つの導管3、4を解放すべく把持位置と解放位置との間で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬包容器(drug bag container)に関する。
【背景技術】
【0002】
薬産業では、可撓性を有する材料から作られた薬包が用いられ、通常、各薬包は注入導管及び投与導管を具備し、注入導管は薬を薬包内に注入すべく薬包の一つの縁から突出し、投与導管は薬を薬包から取り出すべく薬包の一つの縁から突出する。
【0003】
この種類の薬包は、通常、薬自動製造機上で使用され、薬自動製造機は、ポケット貯蔵庫(pocket store)と計量所(metering station)と把持及び搬送装置(grip-and-carry device)とを具備し、ポケット貯蔵庫は多数のポケットを備え、各ポケットは各薬包を受容し且つ保持するためにあり、計量部は各薬包の内部に薬を生成するためにあり、把持及び搬送装置はポケット貯蔵庫と計量所との間で薬包を移送するためにある。
【0004】
薬包をポケット貯蔵庫に取り付け且つ把持及び搬送装置を使用して薬包を把持するために、薬包は把持体と関連付けられ、把持体はほぼ平らな二つの相補的なジョー(jaw)を具備し、ジョーは、その高さが注入導管及び投与導管の高さよりも低く、且つ、注入導管及び投与導管を把持する把持位置と解放位置との間で互いに対して回転するように互いにヒンジ連結される。
【0005】
把持体は一方の端部において単に薬包を把持するように設計され、薬包は把持及び搬送装置によって移送されるときに自由に揺動しうる。この結果、薬包は衝撃及び損傷を受けることがあるので、把持及び搬送装置は比較的遅い進行速度で作動せざるをえず、且つ、薬包は、計量のような操作のために安定するのに比較的長い時間がかかり、このため、記述されたタイプの公知の自動機の比較的長い作動サイクル及び比較的低い生産量がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、上記の欠点を解消するように設計された低コストの単純な薬包容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲において請求されたような薬包容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一つの作動位置における本発明に係る容器の好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図2】図2は、一つの作動位置における本発明に係る容器の好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図3】図3は、明確化のために部品が取り外された状態の図1及び図2の容器の分解斜視図を示す。
【図4】図4は、図1及び図2における細部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
限定されるものではない本発明の実施形態が添付の図面を参照して例によって記述される。
添付の図面における番号1は全体として薬包2のための容器を示す。
【0010】
薬包2は、可撓性を有する材料から作られ、ほぼ長方形であり、且つ、端縁5から突出する二つのアクセス導管3、4を有する。導管3は、薬包21から薬を取り出すための投与導管であり、導管4は、薬を薬包2に注入するための注入導管である。
【0011】
容器1は二つの硬質シェル6、7を具備し、二つの硬質シェル6、7は、開位置(図4)と閉位置(図1、2)との間で互いに対して且つヒンジ軸線8回りに回転するように互いにヒンジ連結され、閉位置において、薬包2を収容するためのコンパートメント9を画成し、且つ、導管3、4がコンパートメント9の外側に突出することを可能とすべくシェル6、7を通して形成された開口10を有する。
【0012】
容器1は、薬自動製造機(図示せず)のロボットアームが薬包2を把持し且つ保持することを可能とすべく、開口10において、シェル6、7の外側に嵌合された把持体11も具備する。
【0013】
把持体11はほぼ長方形の二つの平らなジョー12を具備し、(以下12aで示される)一方は、シェル6に固定され、ほぼL字形状であり、且つ弾性変形可能なタブ13を有し、(以下12bで示される)他方は、導管3、4を把持する把持位置(図3)と、導管3、4を解放する解放位置(図4)との間で、ジョー12aに対して且つ(軸線8と平行な)ヒンジ軸線14回りに回転するようにジョー12aにヒンジ連結される。
【0014】
軸線8に対して平行に測定するとき、ジョー12a、12bの高さは、ジョー12a、12bが把持位置にあるときに導管3、4が把持体11の外側に突出することを可能とすべく、導管3、4の高さよりも低い。
【0015】
ジョー12a、12bは把持位置において歯15によってロックされ、歯15は、タブ13の自由端部に形成され、且つジョー12bの自由端部に形成された凹部16と係合する。
【0016】
薬包2は投与チューブ17も具備し、チューブ17は、導管3に接続され、シェル6、7の外側に延在し、把持体11の周りと各シェル6、7の小側面の周りとにほぼL字形状に延在し、且つ、ほぼ平行六面体形状の細長い側部カバー18によって保護される。
【0017】
カバー18は、シェル6、7に実質的に接触して定置される平面19によって境界が定められ、多数の歯20によってシェル6、7に取り外し可能に嵌合され、多数の歯20は、面19から軸線8に対して横方向に突出し、且つ、シェル6、7を通して形成された対応する空洞部21と係合する。
【0018】
カバー18は、チューブ17がカバー18の内部に挿入されることを可能とすべく、面19を通して形成された第1の開口22を有し、第1の開口22は、チューブ17と係合されるスリット24を備えたゴム仕切り23によって部分的に閉じられる。
【0019】
カバー18は第2の開口25を有し、第2の開口25は、カバー18の面19のほぼ反対側にあり且つ面19と平行な面26を通して形成され、チューブ17へのアクセスのための扉27によって部分的に閉じられ、且つ、チューブ17と係合されたスリット29を備えたゴム仕切り28によって部分的に閉じられる。
【0020】
容器1はほぼ平行六面体形状のカバー30も具備し、カバー30は導管3、4、把持体11及びチューブ17の一部を覆うべくカバー8に対して横方向にシェル6、7に嵌合され且つ歯31によってカバー18に取外し可能に固定され、歯31は、カバー30から歯20に対して平行に突出し、且つ、面19を通して形成された空洞部32と係合する。
【0021】
実際の使用では、薬包2がシェル6と7との間に挿入されると、シェル6、7が閉じられ、投与チューブ17が投与導管3に接続され、側部カバー18がチューブ17を覆うべくシェル6、7に嵌合される。
【0022】
この時点で、薬を生成するために、薬包2、シェル6、7、チューブ17及びカバー18によって形成された組立体が、少なくとも一つの薬及び/又は少なくとも一つの溶剤を薬包2内に注入すべく前記自動機(図示せず)に通される。
【0023】
薬が生成されると、カバー30がシェル6、7上に嵌合され且つカバー18に締結され(図1)、容器1が病院の薬局に配送される。
【0024】
薬を投与するために、カバー18における扉27が開かれ、チューブ17が容器1から引き出されて仕切り28を通して曲げられ(図2)、扉27が閉じられ、容器1がシェル6上の締結装置34によって公知の支持ロッド(図示せず)から懸架される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬包(2)のための容器において、
当該容器が二つのシェル(6、7)と把持体(11)とを具備し、前記二つのシェル(6、7)が、閉位置と開位置との間で移動可能であり、且つ、該閉位置において、前記薬包(2)を収容するためのコンパートメント(9)を画成し、前記把持体(11)が前記コンパートメント(9)の外側に嵌合され且つ二つのジョー(12a、12b)を具備し、該二つのジョー(12a、12b)が、前記薬包(2)の中身へのアクセスを可能とする少なくとも一つのアクセス導管(3、4)を把持し且つ該少なくとも一つのアクセス導管(3、4)を解放すべく把持位置と解放位置との間で移動可能であることを特徴とする、薬包(2)のための容器。
【請求項2】
前記第1のジョー(12a)が前記第1のシェル(6)に固定され、前記第2のジョー(12b)が前記第1のジョー(12a)及び前記第2のシェル(7)に対して移動可能である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記把持体(11)及びアクセス導管(3、4)を覆うべく前記シェル(6、7)に取外し可能に嵌合される第1のカバー(30)も具備する、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記薬包(2)が、前記二つのシェル(6、7)の外側の前記アクセス導管(3、4)に接続される投与チューブ(17)も具備し、当該容器が、前記投与チューブ(17)を覆うべく前記シェル(6、7)に取外し可能に嵌合される第2のカバー(18)も具備する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記第2のカバー(18)が、該第2のカバー(18)の内側に収容された前記投与チューブ(17)へのアクセスのための扉(27)を有する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記第2のカバー(18)が、少なくとも一つの前記シェル(6、7)に実質的に接触して定置される第1の面(19)によって境界が定められ、且つ、該第1の面(19)を通して形成された第1の開口(22)と、該第1の開口(22)を少なくとも部分的に閉じる第1のゴム仕切り(23)とを有し、該第1のゴム仕切り(23)が、前記投与チューブ(17)と係合される第1のスリット(24)を有する、請求項4又は5に記載の容器。
【請求項7】
前記第2のカバー(18)が、少なくとも一つの前記シェル(6、7)に実質的に接触して定置される第1の面(19)と、該第1の面(19)の反対側の第2の面(26)とによって境界が定められ、且つ、該第2の面(26)を通して形成された第2の開口(25)と、該第2の開口(25)を少なくとも部分的に閉じる第2のゴム仕切り(28)とを有し、該第2のゴム仕切り(28)が、前記投与チューブ(17)と係合される第2のスリット(29)を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記シェル(6、7)上に形成された締結装置(34)であって、該締結装置(34)によって当該容器を取り付ける、締結装置(34)も具備する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27690(P2013−27690A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−115866(P2012−115866)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(512132642)ヘルス ロボティクス ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (3)
【Fターム(参考)】