説明

薬学的に活性な物質の持続送達のためのカルボキシアルキルセルロースエステル

カルボキシアルキルセルロースエステルを含む、薬学的に活性な物質の持続送達のための薬学的組成物を開示する。組成物は:少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造(I):


式中:R1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である、を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含み、かつ、薬学的に許容可能な媒体中で、組成物が少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出を示す。ゼロ次速度過程に従った送達等の持続送達のために該組成物を投与する方法もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、2005年11月4日出願の米国仮特許出願第60/733,382号の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本明細書は、薬学的に活性な物質の持続送達のための、カルボキシアルキルセルロースエステルを含む薬学的組成物を開示する。ゼロ次速度過程(zero order kinetics)に従う送達等の持続送達のための組成物の投与方法もまた開示する。
【背景技術】
【0003】
背景
製薬産業は、医薬品の制御放出に関心を持っている。多数の制御放出剤形が公知であり、活性含有成分、フィラーおよび様々な種類の賦形剤を組込むマトリクスタブレット系が挙げられる。薬学的に活性な含有成分の幅広い特性により、ポリマー技術を用いた、患者による経口摂取後等の特定の製剤投与の患者への放出を与える多数の種々の薬物送達システムの開発がもたらされてきた。
【0004】
しかし、薬学的に活性な薬剤の持続送達を与える改善された組成物、例えば水溶性の薬学的活性物が胃のpHで放出されることを減速または停止させる一方で腸のpHで好適な時間に亘って持続放出させることが可能な組成物を開発するという要求が引き続き存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面の簡単な説明
図1は、例1における比較配合物C1−C3についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0006】
図2は、例1における比較配合物C4についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0007】
図3は、例1における比較配合物C5−C7についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0008】
図4は、例1における配合物E1−E3についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0009】
図5は、例1における配合物E4についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0010】
図6は、例1における配合物E5についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0011】
図7は、例1における配合物E6についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0012】
図8は、例1における配合物E7についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0013】
図9は、例1における配合物E8についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0014】
図10は、例1における配合物E9についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0015】
図11は、例1における配合物E10についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0016】
図12は、例1における配合物E11についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0017】
図13は、例1における配合物E12についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0018】
図14は、例1における配合物E13についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0019】
図15は、例1における配合物E14についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0020】
図16は、例1における配合物E15についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0021】
図17は、例1における配合物E16についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0022】
図18は、配合物E1−16についての、アスピリンのpH1.2で3時間の間のアスピリン放出%の統計結果を示す3元プロットである。
【0023】
図19は、配合物E1−16についての、pH6.8で24時間の間のアスピリン放出%の統計結果を示す3元プロットである。
【0024】
図20は、例3における配合物E17−19についての、それぞれ、放出されたトリメトプリム、スルファメチゾール、およびレボフロキサシン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0025】
図21は、例3における配合物E20についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0026】
図22は、例1における比較配合物C8についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0027】
図23は、例3における配合物E21−23についての、それぞれ、放出されたアミロリド、フルコナゾール、およびフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0028】
そして図24は、例4における配合物E24についての、CMCAB固体分散体から放出されたフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
詳細な説明
本開示は、薬学的に活性な薬剤の持続送達のためのカルボキシアルキルセルロースエステルを含む組成物を提供する。一態様において、水溶性の薬学的活性物と組合されるカルボキシアルキルセルロースエステルは、水溶性活性物の腸のpHでの持続放出を改善できる一方、胃のpHでの放出を実質的に防止する。組合せは、所望の放出プロファイルを与えるために、圧縮タブレット中のようなマトリクス処方であること、または固体分散体中で分子レベルで組合されること、のいずれであることもできる。
【0030】
本明細書で開示する一態様は、
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造:
【0031】
【化1】

【0032】
式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含み、かつ
薬学的に許容可能な媒体中で、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出を示す、持続放出薬学的組成物を提供する。
【0033】
本明細書で使用する「置換度」は、無水グルコース当りの置換基の数を意味する。理論的な最大置換度は3であり、特記がない限りHS−CMC(高固体カルボキシメチルセルロース(high solids carboxymethylcellulose))エステルまたは低分子量CMCエステルにおけるものと見なされ、これは無水グルコース単位当りの最大置換度3.0超を有する可能性がある。
【0034】
一態様において、薬学的に許容可能な塩としては、構造O-+および−O(CH2xC(O)O-+をそれぞれ有する、−OHおよび−O(CH2xC(O)OHの薬学的に許容可能な塩が挙げられ、ここでA+は対イオンである。例示的な対イオンとしては、一価の無機カチオン,例えばリチウム,ナトリウム,カリウム,ルビジウム,セシウム,銀、二価の無機カチオン,例えばマグネシウム,カルシウム,ニッケル,亜鉛,鉄,銅,またはマンガン、ならびにアンモニウムおよびアルキルアンモニウムの対イオンが挙げられる。当業者によって容易に理解されるように、対イオンA+は、必ずしも分子全体で同じである必要はなく、異なる対イオンの組合せを含む。
【0035】
一態様において、「持続放出(sustained release)」は、薬学的に活性な薬剤の、少なくとも4時間の時間,例えば4〜24時間、12〜24時間、6〜12時間、またはさらに24時間超,例えば1〜5日の範囲の時間、のような経時的な持続送達(sustained delivery)(すなわち、実質的に連続な放出)を意味する。
【0036】
一態様において、持続放出はゼロ次速度過程、すなわち「ゼロ次放出」に従う。一態様において、「ゼロ次放出」は、放出される薬学的に活性な薬剤の経時的な実質的に線形のプロットによって示される。ここで「実質的に線形」は、既知時間について少なくとも0.8の相関係数(R),例えば少なくとも0.9、または少なくとも0.95の相関係数を意味する。
【0037】
一態様において、−OC(O)(アルキル)は、−OC(O)(C1−C21アルキル),例えば−OC(O)(C1−C11アルキル)、−OC(O)(C1−C5アルキル)、または−OC(O)(C1−C3アルキル)から選択される。これに代えて、−OC(O)(C1−C21アルキル)は、カルボキシアルキルセルロースエステルのC2−C22エステルを意味することもできる。
【0038】
一態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルは、カルボキシメチルセルロースエステルから選択される。例示的なカルボキシアルキルセルロースエステルとしては、これらに限定するものではないが、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CMCAB)(例えばCMCAB−641−0.5 Eastman Chemical Company提供)、高固体CMCAB(HS−CMCAB)、カルボキシメチルセルロースブチレート(CMCB)、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート(CMCAP)、高固体CMCAP(HS−CMCAP)、カルボキシメチルセルロースプロピオネート(CMCP)、カルボキシメチルセルロースアセテート(CMCA)、カルボキシメチルセルロースアセテートイソブチレート(CMCAiB)、カルボキシメチルセルロースイソブチレート(CMCiB)、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートサクシネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートマレエート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートトリメリテートが挙げられる。
【0039】
一態様において、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH3の無水グルコース当りの置換度が1.5から2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースプロピオネートである。
【0040】
他の態様において、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH2CH2CH3の無水グルコース当りの置換度が1.5から2.7の範囲であるカルボキシメチルセルロースブチレートである。
【0041】
さらに他の態様において、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3の無水グルコース当りの置換度が0.1から2.65の範囲で、−OC(O)CH2CH23の無水グルコース当りの置換度が0.1から2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである。
【0042】
他の態様において、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、−OC(O)CH3の無水グルコース当りの置換度が0.1から1.65の範囲で、−OC(O)CH2CH23の無水グルコース当りの置換度が0.1から2.6の範囲であるカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである。
【0043】
一態様において、薬学的に許容可能な媒体は、水、酸性水性緩衝剤、中性水性緩衝剤、塩基性水性緩衝剤、ならびに天然および人工の体液,例えば胃液(ペプシン有りまたは無し)または腸液(パンクレアチン有りまたは無し)から選択される。
【0044】
一態様において、薬学的に許容可能な媒体中、組成物は、目的pHにて薬学的に活性な薬剤の放出を示す。一態様において、目的pHは少なくとも5,例えばpH少なくとも6、またはpH少なくとも6.5である。一態様において、薬学的に活性な薬剤の放出は、胃のpH(例えば約1.2)で停止または極めて低速で放出されるが、本明細書に記載する持続放出が、腸のpH(例えば約6.8)で好適な時間に亘って生じる。
【0045】
従って、本明細書で開示する他の態様は、
(a)治療的有効量の少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を、
構造:
【0046】
【化2】

【0047】
式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルとともに哺乳類に投与すること;
(b)少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を胃のpHで放出させること;ならびに
(c)少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を腸のpHで持続放出させること;
を含む、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を哺乳類に送達する方法を提供する。
【0048】
一態様において、薬学的に活性な薬剤は、当該分野で公知の任意の好適な薬物,例えば、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリン等)、抗凝血剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物剤、免疫抑制剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安沈静剤(睡眠剤および神経弛緩剤)、収斂剤、βアドレナリン受容体遮断剤、血液製剤および代用血液、強心剤、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤(去痰薬および粘液溶解薬)、診断薬、画像診断薬、利尿剤、ドーパミン作動剤(抗パーキンソン病薬)、止血剤、免疫剤、脂質調節剤、筋肉弛緩剤、副交感神経作用薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート、プロスタグランジン、放射性薬剤、性ホルモン(ステロイド等)、抗アレルギー剤、興奮剤および食欲抑制剤、交感神経作用薬、甲状腺薬、血管拡張剤およびキサンチン等の薬物の分類から選択されるようなもの、から選択される。
【0049】
一態様において、薬学的に活性な薬剤は、経口投与用に意図されるものから選択される。これらの類の薬剤の説明および各類の中の種の列挙は、参照によりその開示を本明細書に組み入れるMartindale,the extra Pharmacopoeia,Twenty−ninth Edition,the Pharmaceutical Press,London,1989において見出すことができる。薬物材料は、市販で入手可能であり、および/または当該分野で公知の技術によって調製できる。
【0050】
例示的な栄養補助食品およびダイエタリーサプリメント,例えば、参照により具体的に組み入れるRobertsら,Nutraceuticals:The Complete Encyclopedia of Supplements,Herbs,Vitamins,and Healing Foods(American Nutraceutical Association,2001)に開示されるようなもの、もまた包含できる。フィトケミカルズまたは機能性食品として公知の栄養補助食品またはダイエタリーサプリメントもまた、一般的に、身体に対して医学的または薬学的な効果を有するダイエタリーサプリメント、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または治療食品の類の任意の1つである。例示的な栄養補助食品またはダイエタリーサプリメントとしては、これらに限定するものではないが、葉酸、脂肪酸(例えばDHAおよびARA)、果実および野菜の抽出物、ビタミンおよびミネラルのサプリメント、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ、グッグル(Guggul)、グルタミン、アミノ酸(例えば、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、およびバリン)、緑茶、リコピン、ホールフード(whole foods)、食品添加物、ハーブ、植物性栄養素、酸化防止剤、果実のフラボノイド成分、月見草油、亜麻仁、魚油および海洋動物油、ならびにプロバイオティクスが挙げられる。栄養補助食品およびダイエタリーサプリメントはまた、ファーマフードとしても公知の、所望の特性を有するために遺伝子組換えされた生物工学食品を包含する。
【0051】
一態様において、薬学的に活性な薬剤は、薬学的に許容可能な媒体中に可溶である。薬学的用途に対する好適な溶解性は、当業者によって容易に評価できる。一態様において、「可溶性」薬物は、バイオファーマシューティクス・クラスフィケーションシステム(Biopharmaceutics Classification System)(BCS)によって評価される。(Amidon,G.L.;Lennernas,H.;Shah,V.P.;Crison,J.R.“A Theoretical Basis for a Biopharmaceutic Drug Classification:The Correlation of in Vitro Drug Product Dissolution and in Vivo Bioavailability,Pharm.Res.1995,12(3),413−420;Lennernas,H.;Abrahamsson,B. “The Use of Biopharmaceutic Classification of Drugs in Drug Discovery and Development:Current Status and Future Extension,”J. Pharmacy and Pharmacology,2005,57(3),273−285;u,C−Y.;Benet,L.Z.,“Predicting Drug Disposition via Application of BCS:Transport/Absorption/Elimination Interplay and Development of a Biopharmaceutics Drug Disposition Classification System,”Pharm.Res.2005,22(1),11−23;Dressman,J.;Butler,J.;Hempenstall,J.;Reppas,C.“The BCS:Where do we go from here?”Pharmaceutical Technology North America 2001,25(7),68−76.)
【0052】
例示的な、薬学的に活性な薬剤としては、これらに限定するものではないが、アスピリン、イブプロフェン、フェキソフェナジン、トリメトプリム、スルファメチゾール、アミロリド、フルコナゾール、およびフェキソフェナジン、ならびにそれらの塩から選択されるものが挙げられる。
【0053】
一態様において、組成物は:
(a)前記組成物中の(a)および(b)の総質量基準で0.1から99質量パーセントの範囲の量の、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロース;
(b)前記組成物中の(a)および(b)の総質量基準で0.1から99質量パーセントの範囲の量の、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤;ならびに
(c)前記組成物中の(a),(b)および(c)の総質量基準で0から50質量パーセントの範囲の量の、可塑剤および流動助剤(flow aid)から選択される少なくとも1種の添加剤;
(d)有機溶媒、水性溶媒(例えばこれに限定するものではないが水)、または溶媒混合物;
を含み、(a)および(b)の総質量は、(a),(b),(c)および(d)の総質量の約5から95質量パーセントである。
【0054】
例示的な可塑剤としては、これらに限定するものではないが、ビタミンE TPGS、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、ソルビトール、プロピレングリコール、ベンジルフェニルホルメート、クロロブタノール、グルコースアセテート、グルコースアセテートブチレート、グルコースブチレート、グルコースプロピオネート、グルコースアセテートプロピオネート、およびグルコースプロピオネートブチレートが挙げられる。
【0055】
一態様において、薬学的組成物は、少なくとも1種の他の薬学的に許容可能な添加剤、例えば1種以上の結合剤(binding agent)、充填剤、潤滑剤、懸濁化剤、甘味料、着香剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、希釈剤および他の賦形剤を含むことができる。このような賦形剤は当該分野において公知である。
【0056】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトース、マンニトール、および種々のスターチであり;結合剤の例は、種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース,例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102,微結晶セルロース、およびケイ化微結晶セルロース(SMCC)である。
【0057】
好適な潤滑剤(圧縮すべき粉末の流動性に作用する薬剤が挙げられる)は、コロイド状二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)200)、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0058】
甘味料の例は、任意の天然または人工の甘味料、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ(cyclamate)、アスパルテーム、およびアクスルフェーム(acsulfame)である。着香剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガム香味料、およびフルーツ香味料等である。
【0059】
防腐剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル,例えばブチルパラベン、アルコール,例えばエチルアルコールまたはベンジルアルコール、フェノール性化合物,例えばフェノール、または4級化合物,例えば塩化ベンザルコニウムである。
【0060】
好適な希釈剤としては、薬学的に許容可能な不活性フィラー,例えば微結晶セルロースラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、サッカリド、および/または上記のうち任意のものの混合物が挙げられる。希釈剤の例としては、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102;ラクトース,例えばラクトース一水和物、ラクトース無水物、およびPharmatose(登録商標)DCL21;二塩基性リン酸カルシウム,例えばEmcompress(登録商標);マルトデキストリン;マンニトール;スターチ;ソルビトール;スクロース;ならびにグルコースが挙げられる。
【0061】
好適な崩壊剤としては、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ポテトスターチ、トウモロコシ(maize)スターチ、および変性スターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、スターチグリコール酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
発泡剤の例は、発泡剤の対,例えば有機酸および炭酸塩または重炭酸塩である。好適な有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、およびアルギン酸ならびに無水物ならびに酸性塩が挙げられる。好適な炭酸塩および重炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシンカーボネート、およびアルギニンカーボネートが挙げられる。これに代えて、発泡剤の対の酸成分のみが存在してもよい。
【0063】
薬学的組成物は種々の形状,例えばタブレット、硬質および軟質のゼラチンカプセル、ドロップおよびトローチ、小袋、粉末、ならびに散布物(sprinkle)から選択されるもの等をとることができる。組成物は、経口、直腸、膣内、注射、肺、鼻腔、口腔、局所(topical)、部分(local)、嚢内、腹腔内、眼、耳、口腔スプレー、または鼻腔スプレーの投与のための剤形に処方できる。
【0064】
一態様において、薬学的組成物がタブレットの形状である場合、組成物はタブレット形成に十分に圧縮可能である。一態様において、組成物は、少なくとも10psiの圧縮力を少なくとも10秒間、例えば少なくとも100psiの圧縮力を少なくとも10秒間、例えば少なくとも1000psiの圧縮力を少なくとも10秒間維持できる。
【0065】
本明細書で開示される配合物は、スプレー乾燥、スプレー造粒、湿式造粒;流動層造粒、高せん断造粒、流動層乾燥、凍結乾燥、タブレット成形、ジェット粉砕、ピン粉砕、湿式粉砕、回転造粒(rotogranulalion)、凍結粉砕、およびスプレーコーティングから選択される少なくとも1種の方法を用いて形成できる。
【0066】
一態様において、組成物はポリマーブレンドを含む。一態様において、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルは、ブレンド物の1種以上の成分に相当するポリマーである。一態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルポリマーは、30から120の範囲の酸価を有するアニオン性(C2−C4)セルロースエステルである。他の態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルは、40から100の範囲の酸価を有するアニオン性C2セルロースエステルである。ブレンド物は、他の成分,例えば、腸溶コーティングにおいて有用な任意の水溶性、pH感受性または水不溶性のポリマーのうち1種以上を任意に含むことができる。有用な水溶性ポリマーの例としては、これらに限定するものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはメチルセルロースが挙げられる。pH感受性ポリマーの例としては、これらに限定するものではないが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが挙げられる。有用な水不溶性ポリマーの例としては、これらに限定するものではないが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、またはセルロースアセテートブチレートが挙げられる。ブレンド成分の比が個々の処方および治療剤の所望の放出速度に左右されることを当業者は理解するであろう。
【0067】
一態様において、ブレンド物はフィルムを含み、該フィルムは、当該分野で公知の任意の方法,例えば溶媒キャスト、共沈、凍結乾燥、およびスプレー乾燥によって調製できる。
【0068】
一態様において、カルボキシアルキルセルロースエステルは、中実物(solid core)からの治療剤の放出を助長する。このようなカルボキシアルキルセルロースエステルは、アニオン性、カチオン性、または両性イオン性のC2−C8セルロースエステル,例えば酸価が約40から約120のアニオン性C2−C4セルロースエステルであることができる。
【0069】
カルボキシアルキルセルロースエステルは、当業者に周知の多数の技術により、治療剤とともに中実物中に組込むことができる。一態様において、中実物は、1種以上の酸化セルロースエステル、薬学的に許容可能な担体、および治療的有効量の治療剤を含む。フィルムコーティングが中実物を任意に包囲する。これらの中実物は、例示のためであって限定することなく、チュアブル・バー、カプセル、繊維、フィルム、ゲル、顆粒、チューインガム、ペレット、粉末、タブレット、スティック、細長片(strip)およびウエハーの形状であることができる。
【0070】
一態様において、組成物は、固体分散体(固体溶液としても公知である)を含み、すなわち、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤が固体分散剤中に分散されている。いずれの理論に拘束されることも望まないが、固体分散剤は、薬物の結晶構造を崩壊させ、それにより結晶格子エネルギーを低減させる場合がある。薬物材料を溶解させるのに必要なエネルギーを低減でき、これによって溶解速度およびそれによる薬剤のバイオアベイラビリティの増大がもたらされる場合がある。
【0071】
一態様において、固体分散剤は、少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む。一態様において、カルボキシアルキルセルロースエステル分散剤は、他の従来の固体分散剤,例えば親水性の化合物またはポリマーとブレンドできる。例示的な分散剤としては、水溶性の生理的に不活性な化合物,例えばポリエチレングリコール,例えば米国特許第6,197,787号に開示されるものが挙げられる。少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルと組合せることができる他の固体分散剤としては、セルロースおよびその誘導体,例えば微結晶セルロース(MCC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(C−A−P)、セルロースアセテート(CA)、エチルセルロース、およびメチルセルロースが挙げられる。アニオン性セルロース誘導体(例えば、CMC、HPMCAS、HPMC)もまた使用できる。
【0072】
本明細書において開示する他の態様は、処置を必要とする哺乳類を持続放出薬学的組成物で処置する方法であって:
治療的有効量の、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造:
【0073】
【化3】

【0074】
式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む持続放出薬学的組成物を、処置を必要とする哺乳類に投与すること、ならびに
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を持続放出させること
を含む方法を提供する。
【0075】
一態様において、持続放出はゼロ次速度過程に従う。一態様において、用語「処置(treatment)」およびその同語源語(例えば、「治療方法(therapeutic method)」)は、治療的処置および予防手段/防止手段の両者を意味する。処置を必要とするものは、特定の医学上の疾病を既に有する人間または動物、および疾病の危険性があるもの(すなわち最終的に疾患に至りそうなもの)を含むことができる。治療方法は、症状または他の所望の生物学的な予後の防止または改善をもたらし、そして臨床的兆候の改善、疾病の発現の遅延、リンパ球および/または抗体のレベルの低減/向上、等によって評価できる。
【0076】
本明細書で記載する薬学的組成物中の活性含有成分の実際の投与レベルは、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療反応を実現するのに効果的な1種または複数種の活性化合物の量が得られるように変動させることができる。用語「治療的有効投与量」および「治療的有効量」は、患者における症状の防止もしくは改善または所望の生物学的成果,例えば臨床的兆候の改善、疾病の発現の遅延、リンパ球および/または抗体のレベルの低減/向上、等をもたらす化合物の量を意味する。有効量は本明細書に記載するように決定できる。選択される投与レベルは、特定化合物の活性、投与経路、処置されるものの状態の重症度、ならびに処置される患者の状態および過去の医学的履歴に左右されることになる。しかし、所望の治療的効果を実現するために要求されるよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が実現されるまで投与量を徐々に増大させることは当該分野の技術の範囲内である。一態様において、アッセイから得られるデータを、人間で使用するための投与量の範囲の処方において使用できる。
【0077】
一般的に、活性化合物の、1日当り体重キログラム当り約0.1μg/kgから約50mg/kgの投与量レベル,例えば約5から約20mgの範囲のレベルは、局所的に、経口でまたは静注で哺乳類患者に投与できる。他の投与量レベルは、1日当り約1μg/kgから約20mg/kg、約1μg/kgから約10mg/kg、約1μg/kgから約1mg/kg、10μg/kgから1mg/kg、10μg/kgから100μg/kg、100μg/kgから1mg/kg、および約500μg/kgから約5mg/kgの範囲である。所望の場合、投与の目的のために、有効な日用量を例えば1日当り2から4分割投与量の複数の投与量に分割できる。一態様において、薬学的組成物は、1日1回投与できる。
【実施例】
【0078】

置換度(DS)は、1H NMRまたはGCによって評価した。本明細書で例証するカルボキシ(C1−C3)アルキルセルロースエステルについて、GC法を用いてアセチル、プロピオニル、およびブチリルを評価した。DS値は、酸価をカルボキシメチルのパーセントに変換し、そしてこれをアセチル、プロピオニル、およびブチリルのGC重量パーセントとともに用いることによって算出した。
【0079】
詳細には、アセチル、プロピオニル、およびブチリルの重量パーセントは、加水分解GC法によって評価した。この方法において、約1gのエステルを計量ビン中に計り入れ、減圧オーブン内にて105℃で少なくとも30分間乾燥させた。次いで、0.500±0.001gの試料を250mlの三角フラスコ中に計り入れた。このフラスコに、99%ピリジン2000ml中イソ吉草酸9.16gの溶液50mlを添加した。この混合物を加熱して約10分間還流させ、その後、水酸化カリウムイソプロパノール溶液30mlを添加した。この混合物を加熱して約10分間還流させた。混合物を撹拌しながら20分間冷却させ、そして次いで3mlの濃塩酸を添加した。混合物を5分間撹拌し、そして次いで5分間静置した。約3mlの溶液を遠心分離管に移して約5分間遠心分離した。液体は、1μmのFFAP相を有する25M×0.53mmのヒューズドシリカカラムを備えるGC(スプリット注入および炎イオン化検出器)によって分析した。
【0080】
アシル質量パーセントは以下のように算出した。
i=I(アシル基)の濃度
i=成分Iについての相対感度係数
s=イソ吉草酸についての相対感度係数
i=成分Iの面積
s=イソ吉草酸の面積
R=(イソ吉草酸のグラム数)/(試料g)
i=((Fi*i)/Fs*s))**100
【0081】
カルボキシ(C1−C3)アルキルセルロースエステルの酸価は、滴定によって以下のように評価した。正確に計量したアリコート(0.5−1.0g)のカルボキシ(C1−C3)アルキルセルロースエステルを、50mlのピリジンと混合して撹拌した。この混合物に40mlのアセトンを添加し、続いて撹拌した。最後に、20mlの水を添加して混合物を再び撹拌した。この混合物を、0.1N水酸化ナトリウム水中で、ガラス/コンビネーション電極を用いて滴定した。50mlのピリジン、40mlのアセトン、および20mlの水を含むブランクもまた滴定した。酸価は以下のように算出した。
【0082】
Ep=試料の終点に到達するためのNaOH溶液ml
B=ブランクの終点に到達するためのNaOH溶液ml
N=水酸化ナトリウム溶液の規定度
Wt.=滴定されるカルボキシアルキルセルロースエステルの質量
酸価(KOHmg/試料g)=((Ep−B)**56.1)/Wt.
【0083】
例1
この例は、アスピリンおよび先行技術のセルロースを含む組成物 対 本明細書で開示するカルボキシアルキルセルロースエステルを含むアスピリン含有組成物、の間の比較試験を説明する。
【0084】
表1は、比較配合物C1−C8の組成物を列挙する。
【0085】
【表1】

【0086】
配合物C5−C7の直接酸化セルロースエステルは、第一級アルコールをホルミル置換基もしくはカルボキシレート置換基またはこれらの混合物に変換するための方法であって、アミノ置換された環状ニトロキシル誘導体、初期酸化剤(primary oxidant)、および最終酸化剤(terminal oxidant)をpH4未満のセルロース混合物に添加して反応混合物を形成すること(ここで、該セルロース混合物は、C2−C12アルキル酸、水、および、C6ヒドロキシル基を有する無水グルコース単位を含むセルロースインターポリマーを含むものである);ならびに、C6ヒドロキシルのホルミル基またはカルボキシ基への変換を達成するのに十分な反応時間を経過させ、そしてこれにより酸化セルロースインターポリマーを生成すること、を含む方法を記載する米国出願公開第2005/0192434号(参照によりその開示を本明細書に組み入れる)に記載される方法に従って調製した。より詳細には、配合物C5−C7のエステルは、4−置換されたピペリジンニトロキシル誘導体(ここで、置換基は、水素結合、初期酸化剤、および最終酸化剤であることが可能である)を混合物に添加して反応混合物を形成すること(ここで、該混合物は、pH約4未満であり第一級アルコール官能基を含む化合物を含む);第一級アルコール官能基の変換を達成させるのに十分な反応時間を経過させること、によって調製した。高ヒドロキシルセルロースアセテート(例えば、ヒドロキシルの置換度が0.1以上)、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートを用いて試料を酸化セルロースエステルに変換した。ここでヒドロキシル基は大部分がカルボキシル基に変換された。
【0087】
表2は、本開示に従って調製された組成物、すなわち配合物E1−E16を列挙する。化合物CMCA,CMCAP,およびCMCABは、米国特許第5,668,273号および5,994,530号(参照によりその開示を本明細書に組み入れる)に記載される方法に従って調製した。
【0088】
【表2】

【0089】
特記がない限り、セルロースのバインダーをアスピリンおよびビタミンE−TPGSとともに、SPEX(商標)液体窒素Freezer Mill中で6分間75%最大速度で粉砕することによって物理的ブレンドを調製した。色素性ステアリン酸マグネシウム(0.04g)(1.0gのステアリン酸Mgに対して0.13gのカーボンブラック)を微粉砕粉末に後添加し、そして一様な薄灰色が得られるまで混合して、潤滑剤の一様な混合を確実にした。C2,C4およびC5のタブレットは、7タブレットプレスセットで、5000psi(ポンド毎平方インチ)にて15秒間圧縮した。E1−E16,C1,C3,C6−C7のタブレットは、市販のTEVO(商標)単一錠プレス機(single pill press)を用い、圧縮力2000ポンドで10秒間圧縮成形した。タブレットは、最大4500ポンドで10秒間、TEVO(商標)単一錠プレス機内で、溶解プロファイルにおける顕著な変化なしでプレスすることが可能であった。C3,C4,E4,およびE11(それぞれ、Na−CMC,C−A−Pを有するアスピリン,5%ビタミンE TGPSを有するCMCAB,および5%ビタミンE TGPSを有するCMCAB)以外の全タブレットは脆さが低かった。配合物C3,C4,E4,およびE11は、錠剤プレス機に適用される圧力に関わらず、圧縮タブレットに対して好適な配合物ではなく、そして顕著に脆かった。これらの脆い配合物は、急速な崩壊に対して有用であることができ、さらに持続送達を可能にすることができる。
【0090】
溶解試験は、テフロン(登録商標)羽根を備えるUSP #2の較正された装置Varian VK 7000を用いて行った。錠剤は、900mlのUSP 1.2pH緩衝剤または900mlのUSP pH6.8緩衝剤に添加した。緩衝溶液は、各々、41℃で0.45ミクロン親水性ポリプロピレンフィルターを通して脱気し、そして減圧下でさらに5分間保持した。溶液を溶解容器に添加した後、溶液を37.3℃で水浴中に30分間保持し、タブレットの添加に先立って一定温度を達成した。タブレットは、Varianの三つまたカプセルウェイト(3-pronged capsule weight)で下げて計量した。各実行の初めに、タブレットを1000ml容器の底に沈め、撹拌子を50rpmで作動させ、試料を時間に応じて、ポリプロピレンシリンジを用いて採取した。0.45ミクロンのフィルターを通して試料を濾過し、そして直ちに溶液中のアスピリンの量について分析した。アスピリン(アセチルサリチル酸)の量をpH1.2で測定するための波長は279nmであった。これは、Varian UV−VIS分光光度計および石英吸収セルを用いた、サリチル酸およびアスピリンの両者についての等価のモル吸光係数のための波長であった。同様に、アスピリンの濃度をpH6.8緩衝剤中で測定するために用いる波長は267nmであり、これはサリチル酸およびアスピリンのモル吸光係数がpH6.8で等価である波長であった。これにより、時間に伴うアスピリンのサリチル酸への分解についての懸念なく放出速度プロファイルの正確な測定が可能であった。実験の各セットは、定量分析用の対照のための適切な基準を有した。試料がビタミンE−TPGSを含む場合、UV検出を伴うHPLCを行ってアスピリンおよびサリチル酸について分析した。
【0091】
C1タブレットおよびC3タブレットは、pH1.2およびpH6.8の両者で数分後に完全に崩壊した。逆に、アスピリンを有するC2タブレットは、実験の全時間を通じて物理的変化を受けたようには見受けられなかった。C4タブレットは、pH1.2およびpH6.8の緩衝溶液中の両者で1時間後に完全に崩壊した。しかし、C4についての緩衝溶液はpH1.2で曇ったままである一方、pH6.8の緩衝溶液は1時間後に明澄になった。溶解の最初の1時間の間、C5タブレット(Ox−CAとともに調製された)はより高いpH環境には反応しないが、より低いpHの溶液にのみ反応しているように思われた。pH1.2にて、C5(Ox−CA)タブレットは溶液中でクラックを形成した。pH6.8にて、タブレットは、最初の1時間の間それらの原形を維持していた。しかし、3時間後、C5タブレットはpH6.8の緩衝溶液中でほぼ完全に溶解して明澄溶液のままであった。C6タブレットにおいては、6時間後pH1.2では変化はなかったが、pH6.8では、タブレットは完全に崩壊した。C7タブレットはpH6.8で崩壊したが溶解しなかった。pH1.2で顕著な変化はなかった。実験は6〜22時間実施した。
【0092】
図1〜3は、それぞれ比較配合物C1−C3、配合物C4、および配合物C5−C7についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図4〜17は、それぞれ配合物E1−E3、およびE4−E16についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【0093】
上記の比較例において、驚くべきことに、配合物C4中のC−A−Pも配合物C3中のNa−CMCも低pHにおいてでさえ持続放出を与えなかったことが注目された。配合物C4中のC−A−Pは、アスピリンまたは他の活性物を伴う良好な目的の圧縮バインダーを形成しなかった。配合物C2中のセルロースアセテートは、アスピリンの比溶解度に従って、両方のpH環境においてアスピリンの放出を低速化させた。より高いpHの配合物はより高濃度を有し、より低いpHの配合物はより低い総濃度を有した。しかし、0〜3時間でのpH1.2におけるアスピリンの全放出量は、CA−398タブレットにおいて、CMCABアスピリンタブレット(例えば、配合物E2またはE3、同等のタブレットについて)よりも高く、そして全放出量はまた、24時間に亘ってpH6.8でCA−398タブレットについてCMCABアスピリンについてよりも同一時間内で大幅に低かった。配合物C5中のOx−CAも配合物C6中のOx−CAPも、3時間超ではpH6.8で持続放出を与えなかった。配合物E1,E2,およびE3によって示されるように、アスピリンのpH1.2およびpH6.8での放出における差別化は、CMCA,CMCAPまたはCMCABのいずれかを有する配合物について程に著しくはなかった。
【0094】
これに比べて、本開示に従って調製された組成物は、カルボキシアルキルセルロースエステルにより、実質的に線形的な低速の放出を示した。カルボキシアルキルセルロースエステル上の置換基の種類に左右され、高pHでのアスピリンの放出速度は、中程度(6時間)または低速(24時間超)であることができた。配合物E4〜E16はまた、配合物中のビタミンE TGPSの使用を変えることによって、アスピリンの放出のpH感度およびpHの関数としての放出速度を変えられることを示した。
【0095】
図18は、pH1.2で最大3時間のアスピリンの放出についての統計結果を示す3元プロットである。図19は、pH6.8で24時間後のアスピリンの放出についての統計結果を示す3元プロットである。これらのプロットにおいて、左下端の角は、存在するVit−E TGPSなしで最小放出速度が生じることを示す。加えて、望ましさの関数は、本発明の最も好ましい態様を見出すために開発されたモデルで実行した。望ましさは、pH1.2にて3時間で放出されるアスピリン20%以下で、24時間でのアスピリン放出が70%またはこれを超えるところに設定した。
【0096】
例2
アスピリンを有する例示的な組成物を以下の表3に示す。これらの組成物においては、ステアリン酸マグネシウムを離型剤として添加した。
【0097】
【表3】

【0098】
タブレットにおける放出量は、活性物の少なくとも70%が24時間で放出されるレベルを目標とした。従って、カルボキシアルキルセルロースエステルをタブレットバインダーとして用いて試験した全てのタブレットはその範疇に入った。しかし、全てがアスピリンの実質量をpH1.2で3時間に亘る時間で溶解から低速化または防止したわけではない。表より、例示的なアスピリン配合物は、アスピリン12.5%〜30%およびCMCAB87.5%〜70%の範囲であった。
【0099】
例3
この例では、他の薬学的に活性な薬剤の持続送達を試験した。以下の表4は、他の薬学的に活性な薬剤を含む配合物E17〜E23を列挙する。
【0100】
【表4】

【0101】
図20は、配合物E17−19についての、放出されたトリメトプリム、スルファメチゾール、およびレボフロキサシン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図20から分かるように、レボフロキサシンがpH1.2および6.8の両者で極めて急速な放出を有する一方、配合物中により多くのCMCABを使用することにより放出速度を低速化できた。レボフロキサシンは親水性が大きくタブレット分散剤としての役割を有し、そしてタブレットが極めて速く崩壊する要因となった。しかし、レボフロキサシンを有していても、速度は、即時放出というよりも4時間に亘って持続された。クエン酸トリエチルまたは他の水不溶性可塑剤を用いることは、所望の場合、放出速度を低速化させることになる。
【0102】
図21は、E20についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図21は、例1における比較配合物C8についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図21および22は、pH1.2での同様の挙動(極めて少ない放出)、およびpH6.8での両者の場合の極めて遅い持続放出を示す。しかし、両者の場合で、イブプロフェンはpH1.2で高度に不溶性であり、かつpH6.8で極めて可溶性であることに留意しなければならない。従って、いずれかの場合で殆ど溶解しないという事実は驚くべきことではなかった。しかし、HPMCという極めて親水性の化合物が、圧縮媒体として用いられた場合にイブプロフェンのpH6.8での溶解を過度に遅延させたことは驚くべきことであった。よって、HPMCは、24時間における全活性薬物の50%超の持続放出ニーズを与えることができなかった。
【0103】
図23は、配合物E21−23のそれぞれについての、放出されたアミロリド、フルコナゾール、およびフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図23は、同様に、高度に水溶性であるフルコナゾールがpH依存性を殆ど示さなかったことを示す。CMCABは、活性物25%で、約ゼロ近傍の放出を最大500分間与えることができたが、配合物中のCMCABはより多いことが好ましいであろう。アミロリドの持続放出は、界面活性剤またはVit−E TPGSを使用して物質を可溶化することによって改善できた。
【0104】
イブプロフェン、スルファメチゾール、およびトリメトプリムは、最大22時間、pH6.8では約ゼロに近い一方pH1.2では低い全放出量を有する徐放性配合物を与えた。
【0105】
例4
この例は、ポリマーブレンド中に組込まれた水溶性活性物およびCMCエステルから形成される徐放性配合物の調製を記載する。
【0106】
6.0069gのCMCABを、1.4937gのフェキソフェナジンHClおよび10.7693gのエタノールと混合した。明澄な溶液を乾燥させて明澄なフィルムとした。次いで、非晶性の相溶性フィルムをSPEX(商標)液体窒素Freezer Mill中で6分間75%最大速度で粉砕した。Torpac Inc.#2ゼラチンカプセルを粉末ポリマーブレンドで充填し、そして、Varian VK7000 USP II溶解装置を用いてpH1.2およびpH6.8で試験した。溶解結果を図24に示す。これは、例4における配合物E24についての、CMCAB固体分散体から放出されたフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。図24は、放出された活性物100%で24時間に亘るほぼ約ゼロの放出を示す。カルボキシアルキルセルロースエステルを活性物と混合する様式を変えることにより、長期間に亘る活性物のほぼ約ゼロの放出を実現できるように放出速度を変えることができる。
【0107】
この例は、このようなポリマーブレンドを溶媒キャスト、共沈、凍結乾燥、スプレー乾燥または当該分野で公知の他の方法によって形成し、個々の成分を分離させないことによってブレンド物の品位を維持できることを示す。
【0108】
特記がない限り、含有成分の量、反応条件等、明細書および特許請求の範囲において使用するものを表す全ての数は、全ての場合で「約」により修飾されることを理解すべきである。よって、逆の記載がない限り、明細書および添付の特許請求の範囲を受けて記載する数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変動しうる近似値である。
【0109】
本発明の他の態様は、明細書および本明細書で開示する本発明の実施を考慮すれば当業者に明らかであろう。明細書および例は例示のみであり、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲によって示されると考えられることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、例1における比較配合物C1−C3についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図2】図2は、例1における比較配合物C4についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図3】図3は、例1における比較配合物C5−C7についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図4】図4は、例1における配合物E1−E3についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図5】図5は、例1における配合物E4についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図6】図6は、例1における配合物E5についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図7】図7は、例1における配合物E6についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図8】図8は、例1における配合物E7についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図9】図9は、例1における配合物E8についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図10】図10は、例1における配合物E9についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図11】図11は、例1における配合物E10についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図12】図12は、例1における配合物E11についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図13】図13は、例1における配合物E12についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図14】図14は、例1における配合物E13についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図15】図15は、例1における配合物E14についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図16】図16は、例1における配合物E15についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図17】図17は、例1における配合物E16についての、放出されたアスピリン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図18】図18は、配合物E1−16についての、アスピリンのpH1.2で3時間の間のアスピリン放出%の統計結果を示す3元プロットである。
【図19】図19は、配合物E1−16についての、pH6.8で24時間の間のアスピリン放出%の統計結果を示す3元プロットである。
【図20】図20は、例3における配合物E17−19についての、それぞれ、放出されたトリメトプリム、スルファメチゾール、およびレボフロキサシン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図21】図21は、例3における配合物E20についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図22】図22は、例1における比較配合物C8についての、放出されたイブプロフェン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図23】図23は、例3における配合物E21−23についての、それぞれ、放出されたアミロリド、フルコナゾール、およびフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。
【図24】図24は、例4における配合物E24についての、CMCAB固体分散体から放出されたフェキソフェナジン(y軸) 対 時間(分、x軸)のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造:
【化1】

式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含み、かつ
薬学的に許容可能な媒体中で、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出を示す、持続放出薬学的組成物。
【請求項2】
持続放出が、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の経時的な実質的に連続の放出を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出が、少なくとも4時間の時間に亘って生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出が、12〜24時間の範囲の時間に亘って生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出が、6〜12時間の範囲の時間に亘って生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の持続放出が、少なくとも24時間の時間に亘って生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
持続放出は、組成物がゼロ次放出を示すようなゼロ次速度過程に従う、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ゼロ次放出が、経時的に放出される薬学的に活性な薬剤の実質的に線形のプロットによって表され、「実質的に線形」が少なくとも0.8の相関係数(R)を意味する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
バイオファーマシューティクス・クラスフィケーションシステムによって評価した場合に、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤が、薬学的に許容可能な媒体中に可溶である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤が、アスピリン、イブプロフェン、フェキソフェナジン、トリメトプリム、スルファメチゾール、アミロリド、フルコナゾール、およびフェキソフェナジン、ならびにそれらの塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の可塑剤がビタミンE TPGSである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
−OC(O)(アルキル)が、−OC(O)(C1−C21アルキル)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
−OC(O)(アルキル)が、−OC(O)(C1−C11アルキル)から選択される、、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
−OC(O)(アルキル)が、−OC(O)(C1−C5アルキル)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
−OC(O)(アルキル)が、−OC(O)(C1−C3アルキル)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが、カルボキシメチルセルロースエステルから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが、−C(O)CH2CH3の無水グルコース当りの置換度1.5から2.7の範囲を有するカルボキシメチルプロピオネートである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが、−C(O)CH2CH2CH3の無水グルコース当りの置換度1.5から2.7の範囲を有するカルボキシメチルブチレートである、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが、−C(O)CH3の無水グルコース当りの置換度0.1から2.65の範囲および−C(O)CH2CH23の無水グルコース当りの置換度0.1から2.6の範囲を有するカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートである、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルが、−C(O)CH3の無水グルコース当りの置換度0.1から1.65の範囲および−C(O)CH2CH23の無水グルコース当りの置換度0.1から2.6の範囲を有するカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートである、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマーブレンドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
薬学的に許容可能な媒体中、薬学的に活性な薬剤の放出をpH少なくとも5で示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
薬学的に許容可能な媒体中、薬学的に活性な薬剤の放出をpH少なくとも6で示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
薬学的に許容可能な媒体中、薬学的に活性な薬剤の放出をpH少なくとも6.5で示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
タブレットの形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
固体分散体の形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造:
【化2】

式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含み、かつ
薬学的に許容可能な媒体中で、薬学的に活性な薬剤の放出をpH少なくとも5で示す、組成物。
【請求項29】
処置を必要とする哺乳類を持続放出薬学的組成物で処置する方法であって、
治療的有効量の、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤、ならびに
構造:
【化3】

式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルを含む持続放出薬学的組成物を、処置を必要とする哺乳類に投与すること、ならびに
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を持続放出させること
を含む、方法。
【請求項30】
持続放出がゼロ次速度過程に従う、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を哺乳類に送達する方法であって、
(a)治療的有効量の少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を、
構造:
【化4】

式中:
1〜R6は、各々独立に、−OH,−OC(O)(アルキル),および−O(CH2XC(O)OH,ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩から選択され、xは1〜3の範囲であり、
−OHの無水グルコース当りの置換度は、0.1から0.7の範囲であり、
−OC(O)(アルキル)の無水グルコース当りの置換度は、0.1から2.7の範囲であり、かつ
−O(CH2XC(O)OHの無水グルコース当りの置換度は、0.2から0.75の範囲である
を有する無水グルコース繰返し単位を含む少なくとも1種のカルボキシアルキルセルロースエステルとともに哺乳類に投与すること;
(b)少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を胃のpHで放出させること;ならびに
(c)少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を腸のpHで持続放出させること
を含む、方法。
【請求項32】
持続放出がゼロ次速度過程に従う、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2009−514871(P2009−514871A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539052(P2008−539052)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/042931
【国際公開番号】WO2007/056125
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】