説明

薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置

【課題】この発明は屋外で使用する場合に、気化された薬液を広い範囲に拡散させることができるようにした薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置を提供することにある。
【解決手段】内部に薬液加熱殺虫装置1が底面を浮かした状態で収容支持され底部に外気を導入する凹部14が設けられているとともに、上部には加熱気化された薬液を外部に流出させる開口部16aが設けられた筒状収容体11と、筒状収容体を立位状態で保持する保持手段3と、保持手段の上部に筒状収容体の上部の開口部を所定の間隔をもって覆う状態で設けられ筒状収容体の開口部から流出する加熱気化された薬液を周囲に拡散させるとともに、筒状収容体内に雨水が入り込むのを防止する拡散カバー18を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は薬液を加熱気化させて殺虫する薬液加熱殺虫装置を屋外に設置するための屋外設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、一般家庭などでは蚊などの殺虫用具として蚊取り線香に代わり、薬液を加熱気化させて殺虫する薬液加熱殺虫装置が知られている。この種の薬液加熱殺虫装置は特許文献1に示されるように器体を有し、この器体には底面に開放した収容部が形成されていて、この収容部には薬液容器が着脱可能に取着される。
【0003】
薬液容器には薬液が収容されているとともに、吸液芯が上端部を上面から突出させて密に設けられている。この吸液芯の上端部はリング状の発熱体の空間部に挿通される。上記発熱体は給電されることで温度上昇する。
【0004】
それによって、上記吸液芯によって吸い上げられた上記薬液容器内の薬液が上記発熱体によって加熱されて気化するから、気化した薬液が上記器体の上面に形成された開口部から流出して周囲の蚊などの虫を殺したり、追う払などの効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−187204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
夏季に屋外でパーティーを行うときなどには上記構成の薬液加熱殺虫装置を、たとえばテーブルの近くに置いて使用したいということがある。上記薬液加熱殺虫装置は室内で使用することを前提にして作られている。
【0007】
そのため、屋外で使用する場合、薬液容器に収容された薬液を吸液芯で吸い上げるとともに、この吸液芯の上端部を発熱体によって加熱して薬液を気化させても、気化した薬液のほとんどは器体の上面に形成された開口部から上方に立ち上り、周囲に広く拡散し難いため、十分な殺虫効果が得られないということがあった。
【0008】
しかも、使用中や不使用時などに降水があると、雨水が器体の上面に形成された開口部から内部に入り込み、給液芯を濡らしてしまうということがあったり、上記発熱体に給電する電気コードも雨水によって濡れてしまうということがある。
【0009】
この発明は、薬液加熱殺虫装置を屋外で使用する場合に、加熱気化された薬液が広い範囲に拡散し易くするとともに、雨水によって濡れることがないようにした薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、薬液を加熱気化して殺虫する薬液加熱殺虫装置を屋外に設置するための屋外設置装置であって、
内部に上記薬液加熱殺虫装置が底面を浮かした状態で収容支持され底部に外気を導入する導入部が設けられているとともに、上部には加熱気化された薬液を外部に流出させる開口部が設けられた筒状収容体と、
この筒状収容体を立位状態で保持する保持手段と、
この保持手段の上部に上記筒状収容体の上部の開口部を所定の間隔をもって覆う状態で設けられ上記筒状収容体の開口部から流出する加熱気化された上記薬液を周囲に拡散させるとともに、上記筒状収容体内に雨水が入り込むのを防止する拡散カバーと
を具備したことを特徴とする薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置にある。
【0011】
上記保持手段には、上記薬液加熱殺虫装置に接続された接続コードと、この接続コードに接続されて上記薬液加熱殺虫装置に給電する給電コードの接続部分を覆う防水カバーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、薬液加熱殺虫装置を上部に開口部が形成された筒状収容体に収容し、この筒状収容体を保持手段によって立位状態で保持するとともに、筒状収容体の上部の開口部を拡散カバーで覆うようにした。
【0013】
そのため、薬液加熱殺虫装置によって加熱されて気化した薬液は上記開口部から流出してから拡散カバーにガイドされて周囲に広く拡散するため、広い範囲で殺虫効果を得ることができ、しかも拡散カバーによって雨水が筒状収容体内の薬液加熱殺虫装置を濡らすのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施の形態の薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置の全体構成を示す断面図。
【図2】屋外設置装置の筒状収容体の拡大断面図。
【図3】(a)は給電コードと薬液加熱殺虫装置の接続コードとの接続部分に設けられる防水カバーの拡大断面図、(b)は防水カバーに設けられる円盤の平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は薬液加熱殺虫装置1の屋外設置装置2の全体構成を示し、この屋外設置装置2は保持手段3を備えている。この保持手段3は合成樹脂、金属或いはコンクリートなどによって角錐台状或いは円錐台状に形成されたベース部材4を有する。
【0016】
上記ベース部材4の上面の一端部には鋼材などの帯状部材によって形成された支柱部材5が立設されている。この支柱部材5は、上記ベース部材4に下端部が埋設された下部支柱片6と、この下部支柱片6の上記ベース部材4の上面から突出した上端部に下端がねじ7によって着脱可能に連結されたL字状の上部支柱片8に分割されている。
【0017】
上記下部支柱片6と上部支柱片8との連結部分には金属や樹脂などの弾力性を有する帯状部材によって平面形状がC字状に形成されたバンド部材9の中途部が上記ねじ7によって上記各支持片6,8と一体的に連結固定されている。
【0018】
上記ベース部材4の上面には上下端が開口した筒状収容体11が立位状態で設けられている。上記バンド部材9は上記筒状収容体11の上下方向の中途部の外周面に弾性的に、しかも着脱可能に係合している。それによって、上記筒状収容体11は上記ベース部材4上で倒伏不能に保持されている。
すなわち、この実施の形態では上記ベース部材4、支柱部材5及びバンド部材9によって上記保持手段3が構成されている。
【0019】
図2に拡大して示すように、上記筒状収容体11の周壁の下端部は内方に向かってU字状に折り曲げられて載置片12に形成されている。さらに、筒状収容体11の周壁の下端部には複数の凸部13と凹部14が周方向に沿って交互に形成されている。
【0020】
それによって、上記ベース部材4の上面に載置された筒状収容体11は、上記凹部14を介して内部空間が外部に連通している。すなわち、上記凹部14は後述するように筒状収容体11の内部に外気を導入する導入部を形成している。
【0021】
上記筒状収容体11の内部には上記薬液加熱殺虫装置1が下端面を上記載置片12の上端に載置して収容されている。薬液加熱殺虫装置1は外径寸法が上記筒状収容体11の内径寸法よりも小さい器体15を有する。この器体15の内部には薬液が収容された薬液容器(図示せず)が着脱可能に保持されている。薬液容器の薬液は吸液芯によって吸い上げられて発熱体(図示せず)によって加熱される。それによって気化した薬液は上記器体15の上面に形成された開口部15aから上昇するようになっている。なお、薬液加熱殺虫装置1の構成は特許文献1に示されている構成と同じである。
【0022】
上記発熱体が吸液芯を加熱して薬液が気化されると、気化した薬液が上記筒状収容体11の内部を上昇する。筒状収容体11の内部を上昇した薬液は、図1に矢印で示すように筒状収容体11の上端に着脱可能に取着された蓋体16の開口部16aから流出する。
【0023】
薬液が気化して筒状収容体11内に上昇気流が生じると、筒状収容体11の内部には底部に形成された凹部14から外気が流入する。それによって、筒状収容体11の内部には下方から上方に向かう気流が生じるから、気化した薬液は筒状収容体11内を円滑に上昇して上記蓋体16の開口部16aから流出することになる。
【0024】
つまり、筒状収容体11内に収容された薬液加熱殺虫装置1は、載置片12によって底面がベース部材4の上面から浮いた状態で支持され、しかも筒状収容体11の周壁の下端部には筒状収容体11の内部と外部を連通する凹部14が形成されているから、気化した薬液が円滑に上昇して蓋体16の開口部16aから流出することになる。
【0025】
図1に示すように、上記支柱部材5の上部支柱片8の水平部分には、上記筒状収容体11の上端面を覆う円形状の拡散カバー18が複数のねじ19によって取り付けられている。この拡散カバー18の周辺部は下方に向かって傾斜した傾斜部18aが形成されている。
【0026】
上記筒状収容体11の上端の蓋体16の開口部16aから上昇する気化した薬液は、図1に矢印で示すように上記拡散カバー18の下面に沿って流れて拡散し、さらに周辺部に設けられた傾斜部18aで下方に向かってガイドされる。それによって、薬液加熱殺虫装置1によって気化された薬液は、拡散カバー18によって直ちに上方へ流れるのが阻止されて周囲に拡散するから、薬液が作用する殺虫に有効な範囲が拡大されることになる。
【0027】
上記拡散カバー18は上記筒状収容体11の上方を覆っている。そのため、屋外設置装置2によって薬液加熱殺虫装置1が屋外に設置された状態で、雨が降るなどしても、雨水が薬液加熱殺虫装置1の器体15に形成された開口部15aから内部に侵入するのを防止することができる。
【0028】
上記筒状収容体11内に収容された薬液加熱殺虫装置1の器体15の周壁の下部には給電用の接続コード21の一端が接続されている。この接続コード21の他端には給電コード22のメス側プラグ22aに連結されるオス側プラグ21aが設けられている。上記給電コード22の他端には図示しないオス側プラグが設けられ、このオス側プラグは商用電源に接続される。それによって、上記給電コード22と接続コード21を介して上記薬液加熱殺虫装置1に給電できるようになっている。
【0029】
上記接続コード21は、図1と図2に示すように上記筒状収容体11の下端部に形成された凹部14から外部に導出されている。この接続コード21の中途部にはループ部21bが形成され、このループ部21bは上記上部支柱片8の中途部に水平に突設された第1の支持杆23に係合支持されている。
【0030】
上記上部支柱片8の上部には第2の支持杆24が水平に設けられている。この第2の支持杆24には、下端面が開放した筒状の防水カバー25が上端に設けられたフック26を係合させて支持されている。
【0031】
すなわち、上記防水カバー25は、図3(a)に拡大して示すように上部が細径部25aに形成されている。この細径部25aにはキャップ27が螺合され、このキャップ27に上記フック26が一体的に設けられている。
【0032】
上記細径部25aの上端とキャップ27との間には円盤28が保持される。この円盤28には図3(b)に示す2つの係合孔29が形成されていて、この係合孔29には両端がU字状部31aに曲成されたフック31が一方のU字状部31aを係合させて設けられている。
【0033】
上記フック31の他方のU字状部31aには上記給電コード22のメス側プラグ22aが設けられた端部が屈曲されて係合している。それによって、接続コード21に設けられたオス側プラグ21aと、このオス側プラグ21aに接続された給電コード22のメス側プラグ22aは上記防水カバー25の内部に設けられることになる。それによって、上記オス側プラグ21aとメス側プラグ22aの接続部分が雨水から保護されるからことになる。
【0034】
このように構成された薬液加熱殺虫装置1の屋外設置装置2によれば、薬液加熱殺虫装置1をベース部材4の上面に立位状態で保持される筒状収容体11の内部に設置し、この筒状収容体11の上方を周辺部に傾斜部18aが下方に向かって傾斜して形成された拡散カバー18で覆うようにした。
【0035】
そのため、上記薬液加熱殺虫装置1によって加熱気化された薬液が器体15の開口部15aから上昇し、筒状収容体11の上端に嵌着された蓋体16の開口部16aから流出すると、拡散カバー18の下面に沿って周囲に拡散されることになる。
【0036】
そのため、薬液加熱殺虫装置1によって気化された薬液を、その器体15の開口部15aから単に上昇させるだけの場合に比べ、薬液の拡散範囲を拡大させることができる。つまり、気化された薬液により得られる殺虫に有効な範囲を拡大することができ、しかも上記拡散カバー18の周辺部に下方に向かって傾斜した傾斜部18aが形成されていることによっても、拡散範囲を拡大されることになる。
【0037】
さらに、上記拡散カバー18は筒状収容体11の上方を覆っている。そのため、薬液加熱殺虫装置1を屋外に設置した状態で降水があったりしても、上記筒状収容体11の内部に雨水が浸入するのを防止することもできる。
【0038】
上記筒状収容体11の下端部には、その内部と外部を連通する凹部14が形成されているから、薬液が加熱されて気化し、上記筒状収容体11内で上昇気流が発生すると、その上昇気流の発生に伴って筒状収容体11の下端の凹部14から外気が導入される。
【0039】
したがって、薬液加熱殺虫装置1によって気化された薬液は凹部14から導入された外気とともに筒状収容体11内を円滑に上昇して蓋体16の開口部16aから外部に流出することになる。
【0040】
上記薬液加熱殺虫装置1の器体15は上記筒状収容体11内で載置片12に支持されている。つまり、器体15は底面がベース部材4の上面から浮いた状態で支持されている。そのため、ベース部材4の上面が雨水で濡れても、その雨水によって器体15の下面が濡れることがない。
つまり、薬液加熱殺虫装置1を屋外設置装置2によって屋外に設置した状態で放置しておいても、薬液加熱殺虫装置1の器体15下部の接続コード21の接続部分が雨水に濡れて電気絶縁が損なわれるのを防止できる。
【0041】
薬液加熱殺虫装置1に給電する接続コード21と給電コード22の接続部部分、つまりオス側プラグ21aとメス側プラグ22aの連結部分は防水カバー25内に設けられている。そのため、この部分も雨水から確実に保護されることになる。
【0042】
上記筒状収容体11の上端に開口部16aを有する蓋体16を取着した。そのため、蓋体に形成される開口部16aの大きさを変えることで、開口部16aから流出する気化された薬液の流出速度を変えることで、拡散範囲を変えることもできる。
【0043】
この発明は上記一実施の形態に限られるものでなく、たとえば支柱部材を伸縮自在な構成とし、拡散カバーを高さ調整可能に設けるようにしてもよい。それによって、拡散カバーの下面に衝突する気化された薬液の速度が代わるから、薬液の拡散範囲も変えることができる。
また、筒状収容体の上端開口に蓋体を設けるようにしたが、蓋体を設けずに開口させても差し支えない。
【符号の説明】
【0044】
1…薬液加熱殺虫装置、2…屋外設置装置、3…保持手段、4…ベース部材、11…筒状収容体、14…凹部(導入部)、15…器体、16…蓋体、16a…開口部、18…拡散カバー、21…接続コード、22…給電コード、25…防水カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を加熱気化して殺虫する薬液加熱殺虫装置を屋外に設置するための屋外設置装置であって、
内部に上記薬液加熱殺虫装置が底面を浮かした状態で収容支持され底部に外気を導入する導入部が設けられているとともに、上部には加熱気化された薬液を外部に流出させる開口部が設けられた筒状収容体と、
この筒状収容体を立位状態で保持する保持手段と、
この保持手段の上部に上記筒状収容体の上部の開口部を所定の間隔をもって覆う状態で設けられ上記筒状収容体の開口部から流出する加熱気化された上記薬液を周囲に拡散させるとともに、上記筒状収容体内に雨水が入り込むのを防止する拡散カバーと
を具備したことを特徴とする薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置。
【請求項2】
上記保持手段には、上記薬液加熱殺虫装置に接続された接続コードと、この接続コードに接続されて上記薬液加熱殺虫装置に給電する給電コードの接続部分を覆う防水カバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載の薬液加熱殺虫装置の屋外設置装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate