説明

薬液含浸装置

【課題】予め定めた所定量の薬液を木材に含浸させることができ、処理された木材の品質のばらつきを減じることができる薬液含浸装置を提供する。
【解決手段】薬液含浸装置1は、密閉可能なタンク10と、薬液貯槽20と、薬液貯槽20から導入路30を介してタンク10へ薬液を導入する加圧ポンプP2と、タンク内の圧力を調整する圧力調整弁45と、木材を収容したタンク10が薬液によって満たされた充満時を検知する液面センサ52と、薬液貯槽20からタンク10に導入される導入薬液量を検出する導入薬液量検出装置と、液面センサ52の検知及び導入薬液量検出装置による検出に基づき、充満時以降の導入薬液量に基づいて含浸薬液量を検出し、該含浸薬液量が予め定めた所定値に達した時点で、加圧ポンプP2の駆動を制御してタンク10への薬液の導入を停止させる含浸薬液量制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液含浸装置に関するものであり、特に、木材に薬液を含浸させる薬液含浸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材に防腐剤、防虫剤、難燃化剤などの薬液を含浸させるために、薬液を加圧して木材に圧入させる処理が行われている。例えば、密閉可能なタンクに木材を収容し、タンク内に薬液を加圧ポンプで導入することにより、或いは、木材を浸漬するのに十分な薬液をタンク内に導入した後、タンク内の残余の空間に空気などの気体を圧送して薬液の圧力を上昇させることにより、木材内部に薬液を含浸させている。
【0003】
このような処理において、木材に含浸させる薬液量は、薬液が加圧される時間によって管理されていることが多い。例えば、木材の種類による薬液の浸透し易さを考慮し、所望量以上の薬液が含浸されるであろう処理時間を経験上の知見に基づいて設定し、含浸処理が行われている。また、処理時間の設定に際しては、木材の形状を円柱や角柱などの単純な形状と仮定して木材の体積を概算し、これに基づいて含浸させる薬液量を決定した上で処理時間が設定されることが多い。
【0004】
上記の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一種類の木材であっても、生育環境による木目の緻密さ、乾燥の度合い、断面形状等によって薬液の浸透し易さは異なるため、同一サイズの木材を同一時間処理しても、木材に含浸した薬液量が異なり、処理された木材の品質が一定とならない恐れがあった。
【0006】
また、個々の木材に実際に含浸した薬液量は、処理後の薬液の残存量を処理前の薬液量と比較することにより知ることはできたが、処理が終了した後でなければ把握できないという問題があった。特に、JAS規格(日本農業規格)では、木材の種類等により薬剤湿潤度の基準が設けられているため、薬液の実際の含浸量が基準値に満たない場合には、再び含浸処理に供して更に薬液を含浸させる必要があり、二度手間となって労力負担やコストが増加するという問題があった。加えて、木材がライン上を移送されて連続的に処理される場合は、再び含浸処理の工程に戻すことが困難なこともあり、品質不良品として出荷できない木材となることもあった。
【0007】
更に、含浸した薬液量が基準値に満たない木材となることへの危惧から、現場では処理時間を長めに設定することも多く行われており、処理の効率が悪いと共に、ランニングコストが嵩むという問題があった。また、必要量より過剰に薬液が含浸させられることにより、薬液が無駄に消費されるという問題があった。
【0008】
加えて、製材されていない木材など、外形からは体積が算出し難い木材を、円柱や角柱等の単純な形状と仮定して体積を算出する場合には、概算された体積値自体にそもそも誤差が含まれるため、これを元に処理時間を設定することによって、木材に実際に含浸した薬液量のばらつきがより大きなものとなる恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、予め定めた所定量の薬液を木材に含浸させることができ、処理された木材の品質のばらつきを減じることができる薬液含浸装置の提供を、第一の課題とするものである。また、木材の形状によらず、含浸させるべき薬液量を木材の体積に対して適切に設定することができる薬液含浸装置の提供を、第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる木材処理装置は、「密閉可能なタンクと、薬液を貯蔵する薬液貯槽と、該薬液貯槽と前記タンクとを接続した導入路を介して前記タンクへ薬液を導入する加圧ポンプと、前記タンク内の圧力を調整する圧力調整弁と、木材を収容した前記タンクが前記薬液貯槽から送られた薬液によって満たされた充満時を検知する液面センサと、前記薬液貯槽から前記導入路を介して前記タンクに導入される導入薬液量を検出する導入薬液量検出装置と、前記液面センサの検知及び前記導入薬液量検出装置による検出に基づき、前記充満時以降の前記導入薬液量に基づいて木材に含浸した薬液量を含浸薬液量として算出し、該含浸薬液量が予め定めた所定値に達した時点で、前記加圧ポンプの駆動を制御して前記導入路を介した前記タンクへの薬液の導入を停止させる含浸薬液量制御手段とを」具備して構成されている。
【0011】
「薬液」は、防腐剤、防虫剤、難燃化剤等として公知の薬液を用いることができ、例えば、JAS規格で定められている、クレオソート油、アルキルアンモニウム化合物、銅・アルキルアンモニウム化合物、ナフテン酸銅などが使用可能である。また、「薬液」は、原液が溶媒で希釈されたものであっても、原液がそのまま使用されるものであっても良く、原液の種類は単数であっても複数であっても良い。
【0012】
「圧力調整弁」としては、例えば、導入路に設けられ、導入路のタンク側の圧力が設定値に対して増減した際に、弁の開度を調整してタンク側の圧力を所定値に保持する定圧弁を使用することができ、この場合は、上記の加圧ポンプに圧力調整弁が付属するものであってもよい。或いは、タンク内の圧力が設定値を超えた際に開放するリリーフ弁をタンクに設ける構成とすることもできる。
【0013】
「液面センサ」は、液面の上昇によりスイッチが作動するフロート式センサや、電極の取付け位置における液体の有無を検知する静電容量式センサ等の公知のセンサを使用可能である。
【0014】
「導入薬液量検出装置」は、例えば、薬液貯槽の液面高さを監視するレベル計と、液面高さの変化から薬液貯槽内の薬液の減少量を算出し、これに基づいて導入薬液量を算出する検出手段によって構成することができる。或いは、導入路に設けられた流量計と、積算流量から導入薬液量を算出する検出手段によって構成することもできる。かかる検出手段、及び「含浸薬液量制御手段」は、記憶装置からプログラムを読込み、プログラムに従って処理を行うマイクロプロセッサによって構成することができる。なお、導入薬液量及び含浸薬液量の検出に際しては、導入路内の容積を考慮しても良い。
【0015】
「予め定めた所定値」は、木材に含浸させるべき薬液量として予め設定した値であり、木材の処理に関する基準等に則り、木材の種類や体積に応じて設定することができる。この値は、含浸薬液量制御手段のプログラムに予め設定しておくことも、含浸処理の際に作業者によって入力させることもできる。また、含浸薬液量制御手段による「前記導入路を介した前記タンクへの薬液の導入を停止させる」制御は、例えば、含浸薬液量が「予め定めた所定値」に達した時点で、弁を作動させて導入路を閉じ、加圧ポンプの駆動モータを停止させる制御とすることができる。
【0016】
従って、本発明によれば、従来では含浸処理が終了した後でなければ把握できなかった実際に木材に含浸した薬液量を、含浸処理の進行に伴ってリアルタイムに把握することができる。すなわち、木材が収容されたタンクがいったん薬液で満たされた後は、薬液の導入によりタンク内の圧力が上昇し、加圧された薬液が木材に含浸し、含浸した分の薬液が更にタンク内に導入される。そのため、充満時後のタンクへの導入薬液量を監視することにより、含浸処理の進行中であっても含浸薬液量を検出することができる。これにより、含浸させたい薬液量を確実に木材に含浸させることができ、処理された木材の品質にばらつきの小さいものとなる。また、含浸した薬液量が不足することにより追加の含浸処理が必要となる木材が発生しにくく、処理の効率が良いものとなると共に、品質不良の木材の発生の恐れを減じて木材資源を有効に活用できるものとなる。加えて、薬液が過剰に含浸させられることによる薬液の無駄な消費を防止することが可能となる。
【0017】
また、含浸薬液量の検出、予め定めた所定値と含浸薬液量との対比、及びタンクへの薬液の導入の停止が含浸薬液量制御手段の制御によって自動的に行われることにより、処理の効率が良いものとなると共に、省力化によりランニングコストを削減することが可能となる。
【0018】
更に、含浸処理が処理時間ではなく実際に木材に含浸した薬液量によって管理されることにより、薬液が浸透しにくい性質の木材であれば、時間をかけて処理が行われる一方、薬液が浸透し易い性質の木材であれば、早期に含浸処理が終了する。これにより、必要最小限に近い所要時間で含浸処理が行われ、処理効率が良いものとなると共に、ランニングコストを最小限に近く抑えることが可能となる。
【0019】
また、本発明にかかる木材処理装置は、「前記含浸薬液量制御手段は、前記液面センサの検知及び前記導入薬液量検出装置による検出に基づき、前記薬液貯槽から前記タンクへの薬液の導入が開始された時点から前記充満時までの前記導入薬液量及び前記タンクの容積から木材体積を算出し、該木材体積に基づいて木材に含浸させるべき薬液量を含浸薬液量設定値として設定し、前記含浸薬液量が前記含浸薬液量設定値に達した時点で、前記導入路を介した前記タンクへの薬液の導入を停止させる」ものとすることができる。
【0020】
従って、本発明によれば、製材されていない木材など、外形からは体積を算出し難い形状の木材であっても、その体積を精度高く知ることができる。すなわち、タンクの容積は既知であるため、タンクが空の時点から木材を収容したタンクが薬液によって満たされた時点までの導入薬液量を検出することにより、木材の体積を算出することができる。これにより、木材の形状によらず、含浸させるべき薬液量(含浸薬液量設定値)を、木材の体積に応じて適切に設定することが可能となる。
【0021】
また、木材の体積に応じた含浸薬液量設定値の設定が、含浸薬液量制御手段によって一連の含浸処理の中で自動的に行われるため、木材の体積を作業者が測定して入力する等の手間を省くことができ、処理の効率が極めて良いものとなると共に、ランニングコストを抑えることが可能となる。
【0022】
また、本発明にかかる木材処理装置は、上記構成に加え「前記薬液貯槽は、第一貯槽及び該第一貯槽より水平方向の断面積の小さな第二貯槽を具備し、前記第一貯槽は、主流路を介して前記タンクと接続されると共に、貯蔵した薬液の全量が前記タンクに送出されるものであり、前記第二貯槽は、前記導入路を介して前記タンクと接続されると共に、貯蔵した薬液の一部が前記タンクに送出されるものであり、前記導入薬液量検出装置は、前記第二貯槽内の薬液の液面高さに基づいて前記導入薬液量を検出する」ものとすることができる。
【0023】
液面高さを検出する測定器としては、フロート式、静電容量式、圧力式等の公知のレベル計を使用することができる。また、第一貯槽と第二貯槽の構成は、例えば、薬液貯槽の一側壁に平行に一部を区画することにより、両槽が並設される構成を例示することができる。或いは、薬液貯槽の内部を区画することにより、第二貯槽を取囲むように第一貯槽が設けられる構成であってもよい。
【0024】
本発明の構成において、例えば、導入路と主流路とで流路を切替え可能とすることにより、導入路に設けられた単一の加圧ポンプを使用して、第一貯槽及び第二貯槽のそれぞれから薬液をタンクに導入することができる。あるいは、導入路及び主流路に、それぞれ別個の加圧ポンプを設ける構成とすることもできる。或いは、主流路を介した薬液の導入には加圧ポンプを使用せず、真空ポンプでタンク内を減圧にし、第一貯槽から主流路を介して薬液をタンク内に吸引させることとしてもよい。
【0025】
従って、本発明によれば、導入薬液量ひいては含浸薬液量を、より正確に検出することができる。すなわち、木材を浸漬するための薬液は大容量が必要であり、必然的に薬液貯槽も大容量となる。そのため、薬液の木材への含浸に伴う薬液貯槽内の薬液の減少量は、薬液貯槽全体における液面の変化としては僅かなものとなり、測定の精度が低くなる恐れがある。これに対し、本発明では、薬液貯槽が第一貯槽と第二貯槽とに分けられ、第一貯槽からは薬液の全量がタンクに送入される。これにより、木材への薬液の含浸に伴って変化する導入薬液量は、第二貯槽の薬液量の変化から検出することができる。ここで、第二貯槽は、水平方向の断面積が第一貯槽より小さく設定されるため、薬液量の変化が液面の高さ変化として大きく現れる。そのため、第二貯槽の液面の高さ変化を精度高く測定することができ、導入薬液量を介して検出される含浸薬液量がより正確なものとなり、上述の含浸薬液量の制御をより精密に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明の第一の効果として、予め定めた所定量の薬液を木材に含浸させることができ、処理された木材の品質のばらつきを減じることができる薬液含浸装置を提供することができる。また、第二の効果として、木材の形状によらず、含浸させるべき薬液量を木材の体積に対して適切に設定することができる薬液含浸装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の最良の一実施形態である薬液含浸装置について、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の薬液含浸装置の構成を示す説明図であり、図2は図1の薬液含浸装置の機能的構成を示すブロック図であり、図3は図1の薬液含浸装置における処理の流れを示すフローチャートであり、図4は図1の薬液含浸装置の一構成である薬液濃度調整装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
まず、本実施形態の薬液含浸装置1の構成について説明する。薬液含浸装置1は、図1及び図2に示されるように、密閉可能なタンク10と、薬液を貯蔵する薬液貯槽20と、薬液貯槽20からタンク10へ薬液を導入する加圧ポンプP2と、タンク10内の圧力を調整する圧力調整弁45と、木材を収容したタンク10が薬液貯槽20から送られた薬液によって満たされた充満時を検知する液面センサ52と、薬液貯槽20から導入路30を介してタンク10に導入される導入薬液量を検出する導入薬液量検出装置51と、後述の含浸薬液量制御手段8を具備して構成されている。
【0029】
ここで、タンク10は、処理対象の木材を収容するために十分な容積を有する略円筒形の耐圧性の容器であり、本実施形態では16mの内容積を有している。このタンク10内の空間の最大高さ近傍には、液面の上昇によりスイッチが作動する液面センサ52が取付けられている。更に、タンク10には、圧力計53及びリーク弁46が取付けられると共に、弁43及び脱気路33を介して真空ポンプP1が接続されている。なお、タンク10の一端には、木材を搬出入するための蓋部11が設けられている。
【0030】
薬液貯槽20は、上方に開放した略直方体の容器であり、側壁の一つに平行な区画壁25によって一部が区画されて、14mの内容積を有する第一貯槽21と4mの内容積を有する第二貯槽22が並設された構造となっている。すなわち、両槽の高さは等しく、第一貯槽21と第二貯槽22の水平方向の断面積は7:2の割合であり、第二貯槽22の水平方向の断面積は第一貯槽21に比べてかなり小さいものとなっている。なお、木材の体積によらずタンク10を満たすことができるだけの薬液をタンク10に供給するためには、第二貯槽22の容積は、タンク10及び第一貯槽21の容積の差以上を有することが望ましい。
【0031】
第一貯槽21は、主流路31及び弁41を介してタンク10と接続されている。また、第二貯槽22は、導入路30及び弁42を介してタンク10と接続されている。なお、本実施形態では、第一貯槽21はタンク10のほぼ真下に設置され、弁41を開放すればタンク10内の薬液が第一貯槽21に自然流下する構成となっている。
【0032】
加圧ポンプP2は渦巻ポンプであり、導入路30に設けられている。また、本実施形態の圧力調整弁45は加圧ポンプP2の構成としての定圧弁であり、導入路30のタンク10側の圧力が所定圧力以上に上昇した際に、排出路35を介して薬液を第二貯槽22に戻し、タンク10側の圧力を1.0〜1.5MPaに維持している。更に、導入薬液量検出装置51は、第二貯槽22の液面高さを測定するフロート式の液面高さ計55と、測定された液面高さの変化に基づいて導入薬液量を検出する導入薬液量検出手段56によって構成されている。
【0033】
本実施形態の薬液含浸装置1は、上記の構成に加え、薬液含浸装置1に補充する薬液を調製し木材に含浸させる薬液の濃度を調整する薬液濃度調整装置2、及び薬液濃度調整装置2から薬液を第二貯槽22に補充するための構成を有している。ここで、薬液濃度調整装置2は、補充用の薬液が調製される調製槽28と、調製槽28に薬液原料を供給する原料供給装置70と、原料供給装置70によって調製槽28へ供給される薬液原料を計量する計量計63と、薬液貯槽20内の薬液の濃度を検出する貯槽内濃度検出装置62と、薬液貯槽20内の薬液量を検出する貯槽内薬液量検出装置61と、後述の薬液調製手段9とを具備している。なお、本実施形態では、3種類の薬液原液A液,B液,及びC液と溶媒としての水を薬液原料とし、これらを混合して薬液を調製する場合について例示する。
【0034】
なお、「薬液原料」は、薬剤の原液、粉末・顆粒等の固体状の薬剤、溶媒、薬剤が溶媒によって希釈された溶液を包含する意味で用いている。
【0035】
更に詳細に説明すると、調製槽28は容積2mのタンクであり、調製槽28を載置するように計量計63としてのロードセルが設けられている。また、原料供給装置70は、A液,B液,C液及び溶媒をそれぞれ貯蔵する原料タンク71a,71b,71c,71wと、各原料タンクと調製槽28とをそれぞれ弁75a,75b,75c,75wを介して接続する供給路73a,73b,73c,73wを具備して構成されている。なお、本実施形態では、原料タンク71a等はそれぞれ調製槽28の上方に設けられ、弁75a等を開放すれば原料が供給路73a等を介して自然に調製槽28に供給される構成となっているが、供給路にポンプを設けて原料を送る構成とすることもできる。
【0036】
貯槽内濃度検出装置62は、薬液の電気伝導度を測定する電気伝導度計67と、測定された電気伝導度を薬液濃度に変換する貯槽内濃度検出手段68によって構成され、電気伝導度計67は第一貯槽21に設置されている。また、貯槽内薬液量検出装置61は、第二貯槽22の液面高さを測定する液面高さ計55と、測定された液面高さに基づいて第二貯槽22内の薬液量を検出する貯槽内薬液量検出手段66によって構成されている。すなわち、本実施形態では、薬液含浸装置1の導入薬液量検出装置51及び薬液濃度調整装置2の貯槽内薬液量検出装置61は、構成として液面高さ計52を共用している。なお、調製槽28と第二貯槽22とは補充路38及び弁48を介して接続され、補充路38には送液ポンプP3が設けられている。
【0037】
次に、本実施形態における機能的構成について、図2に基づいて説明する。薬液含浸装置1の機能的構成は、上記の導入薬液量検出手段56及び含浸薬液量制御手段8を主に具備して構成されている。ここで、含浸薬液量制御手段8は、液面センサ52の検知及び導入薬液量検出装置51による検出に基づき、充満時以降の導入薬液量に基づいて木材に含浸した薬液量を含浸薬液量として検出する含浸薬液量検出手段81と、液面センサ52の検知及び導入薬液量検出装置51による検出に基づき、薬液貯槽20からタンク10への薬液の導入が開始された時点から充満時までの導入薬液量及びタンク10の容積から木材体積を検出する木材体積検出手段82と、木材体積に基づいて木材に含浸させるべき薬液量を含浸薬液量設定値として設定する含浸薬液量設定手段85と、含浸薬液量を監視し含浸薬液量設定値に達した時点で導入路30の弁42及び加圧ポンプ用の駆動モータP2mを制御してタンク10への薬液の導入を停止させる導入制御手段86とを具備して構成されている。
【0038】
なお、導入薬液量検出手段56及び含浸薬液量制御手段8は何れも制御装置7に格納され、この制御装置7には、作業者が木材の種類等を入力するための操作パネル(図示しない)や、検出された含浸薬液量等を出力可能なモニタやプリンタ等の出力装置(図示しない)が設けられている。
【0039】
次に、薬液濃度調整装置2の機能的構成について説明すると、主たる構成は貯槽内濃度検出手段68、貯槽内薬液量検出手段66及び薬液調製手段9であり、本実施形態では何れもマイクロプロセッサにより構成され、薬液含浸装置1の制御装置7に格納されている。ここで、薬液調製手段9は、貯槽内薬液量検出装置61の検出に基づき調製槽28から薬液貯槽20に補充されるべき薬液量を補充薬液量として設定する補充薬液量設定手段92と、貯槽内濃度検出装置62の検出に基づき、補充薬液量の薬液を調製槽28から薬液貯槽20に補充することにより薬液貯槽20内の薬液の濃度が予め定めた所定値になるよう、補充される薬液の濃度を補充薬液濃度として設定する補充薬液濃度設定手段91と、補充薬液量及び補充薬液濃度に基づき調製槽28へ供給されるべき薬液原料の供給設定量を設定する供給量設定手段95と、計量計63の計量に基づき原料供給装置70を制御して供給設定量の薬液原料を調製槽28に供給させる供給制御手段96とを具備して構成されている。
【0040】
ここで、濃度の「予め定めた所定値」は、木材に含浸させる薬液の濃度として予め定める濃度であり、木材の処理に関する基準等に則り、薬液の種類、処理の目的、木材の種類等に応じて設定することができる。
【0041】
薬液含浸装置1における処理の流れについて、図1及び図3を用いて説明する。まず、含浸処理の開始に先立ち、第一貯槽21内の薬液量は既知(V)である必要がある。なお、二回目以降の処理においては、後述のように第一貯槽21は区画壁25の高さまで薬液で満たされるため、Vは第一貯槽の容積と同一となる。なお、処理の開始に当たり、制御装置7の操作パネルから木材の種類等を入力することができる。
【0042】
タンク10内に処理対象の木材を収容し、蓋部11を閉じてタンク10を密閉状態とし、処理が開始されると、まず、液面高さ計55によって監視される第二貯槽22の液面高さ(H)が取得される(ステップS1)。次に、弁41,42及びリーク弁46が閉じられ、弁43が開放された状態で真空ポンプP1が駆動され、圧力計53による圧力の検知に基づいて、タンク10内が所定の真空度まで脱気される(ステップS2)。これにより、木材の組織の開管内の空気も除去され、薬液が浸透し易い状態となる。その後、弁43が閉じられ真空ポンプP1が停止され、弁41が開放されると、第一貯槽21内の薬液が主流路31を介してタンク10内に吸引される(ステップS3)。このとき、主流路31の第一貯槽21側の端部は、第一貯槽21の底部のごく近傍まで延ばされているため、ほぼ全量(V)の薬液がタンク10に導入される。
【0043】
この状態では、上述のようにタンク10の容量は16mであり第一貯槽21の容積は14mであるため、タンク10はまだ満たされていない。そこで、次に弁41が閉じられ弁42,46が開放され、加圧ポンプP2が駆動され、第二貯槽22から導入路30を介して薬液がタンク10内に導入される(ステップS4)。そして、液面センサ52の検知に基づき、タンク10が薬液で満たされない内は薬液の導入が継続される(ステップS5においてNO)。タンク10が薬液で満たされると(ステップS5においてYES)、この充満時における第二貯槽22の液面高さ(H1)が取得され(ステップS6)、H,H1,V,及びタンク10の容積に基づいて木材の体積が算出される(ステップS7)。この際、導入路30内の容積を考慮することもできる。
【0044】
次に、算出された木材の体積及び木材の種類に基づき、JAS基準等に則って含浸薬液量設定値(Vs)が決定される(ステップS8)。一方、弁46が閉じられてタンク10が密閉され(ステップS9)、加圧ポンプP2による薬液の導入の継続によりタンク10内の圧力が上昇すると、加圧された薬液が木材に圧入され、これに伴い薬液がタンク内に更に導入される。このとき、圧力調整弁45の作用により、導入路30のタンク10側の圧力が所定圧力以上となると排出路35を介して薬液が第二貯槽22に戻され、タンク10内の圧力は1.0〜1.5MPaに維持される。かかる薬液の導入に際して第二貯槽22の液面高さ(H)が監視され、充満時以降の第二貯槽22内の薬液の減少量に基づいて、木材に実際に含浸した含浸薬液量(V)が検出される(ステップS10,11)。なお、充満時以降の第二貯槽22内の薬液の減少量は、液面高さの変化(H1−H)と第二貯槽22の水平方向の断面積の積から求められる。
【0045】
含浸薬液量(V)が含浸薬液量設定値(Vs)に達するまでは、薬液の加圧導入が継続され(ステップS12においてNO)、含浸薬液量設定値(Vs)に達した時点で(ステップS12においてYES)、弁42が閉じられ加圧ポンプP2が停止されて、第二貯槽22からタンク10への薬液の導入が停止させられる(ステップS13)。これにより、木材の体積に応じて決定された含浸薬液量設定値(Vs)分の薬液が、確実に木材に含浸されたこととなる。
【0046】
次に、弁41及びリーク弁46を開放すると、タンク10内の剰余の薬液が主流路31を介して第一貯槽21に流下する(ステップS14)。このとき、タンク10内にあった薬液量は第一貯槽21の容積よりも大であるため、薬液は第一貯槽21を満たした後、区画壁25を越えて並設された第二貯槽22に流入する。その後、第二貯槽22の液面高さ(H2)が検出され(ステップS15)、所定の液面高さ以下となって薬液を補充する必要があるときは(ステップS16においてYES)、弁48が開かれ送液ポンプP3が駆動されて、補充路38を介して調製槽28で調製された新たな薬液が第二貯槽22に送られる(ステップS17)。一方、薬液を補充する必要がない場合は(ステップS16においてNO)、処理終了の命令の有無に応じて(ステップS18)、次の木材の処理の実行が行われ(ステップS1)、或いは含浸処理が終了する。
【0047】
次に、薬液濃度調整装置2における処理の流れについて、図1及び図4を用いて説明する。まず、薬液含浸装置1における含浸処理が終了すると(ステップS1においてYES)、第一貯槽21内の電気伝導度に基づき薬液の濃度が検出され(ステップS2)、第二貯槽22における液面高さに基づいて貯槽内薬液量が検出される(ステップS3)。このとき、第一貯槽21内の薬液量は第一貯槽21の容積と等しいため、第二貯槽22内の薬液量を検出することにより、薬液含浸装置1に現存する薬液量が検出される。次に、貯槽内薬液量と第二貯槽22内に常に貯蔵すべき薬液量の最低限として定められた値との対比、及び貯槽内濃度と予め定めた所定の濃度値との対比により、薬液の補充の要否が判断される(ステップS4)。
【0048】
補充の必要があるときは(ステップS4においてYES)、貯槽内薬液量に基づいて補充薬液量が設定され(ステップS5)、設定された補充薬液量の薬液が薬液含浸装置1に現存する薬液に加えられた後の濃度、すなわち、次の木材に含浸させる薬液の濃度が、予め定めた所定値になるよう、補充薬液の濃度が算出される(ステップS6)。なお、薬液含浸装置1における含浸処理の際、新たに補充された薬液を含む第二貯槽22内の薬液と、第一貯槽21内の薬液とは、それぞれタンク10に導入された後にタンク10内で混合し、予め定められた所定濃度の薬液となる。
【0049】
補充薬液濃度が設定されると、補充薬液量の薬液の濃度が補充薬液濃度となるために、調製槽28に供給されるべき薬液原料の量が供給設定量として設定され(ステップS7)、この設定値に従って、原料供給装置70によって薬液原料の調製槽28への供給が行われる。例えば、A液,B液,C液及び溶媒についての供給設定量がそれぞれa,b,c,w(kg)であるとき、まず、弁75aが開放され供給路73aを介してA液が原料タンク71aから調製槽28に送られ、ロードセル(計量計63)による計量に基づいてa(kg)のA液が供給された時点で弁73aが閉じられる。そして、次に弁75bが開放され供給路73bを介してb(kg)のB液が原料タンク71bから調製槽28に供給される、というように、複数の薬液原料の供給が順次行われる。更に、供給された薬液原料は調製槽28内で混合・攪拌され、補充薬液濃度の薬液が調製される(ステップS8)。
【0050】
上記のように、本実施形態の薬液含浸装置1によれば、従来では含浸処理が終了した後でなければ把握できなかった含浸薬液量を、含浸処理の進行に伴ってリアルタイムで把握することができる。これにより、含浸させたい薬液量を確実に木材に含浸させることができ、処理された木材の品質にばらつきの小さいものとなる。また、含浸した薬液量が不足する品質不良の木材の発生が抑制されると共に、薬液が過剰に含浸させられることによる薬液の無駄な消費を減じることができる。
【0051】
また、含浸処理が処理時間ではなく実際に含浸した薬液量によって管理されることにより、必要最小限に近い所要時間で含浸処理が行われることとなり、処理効率が良いものとなると共に、ランニングコストを必要最小限に近く抑えることが可能となる。
【0052】
更に、木材の形状によらず、その容積を精度高く検出することができ、検出された木材の体積に応じて含浸させるべき薬液量が設定されるため、個々の木材に対して適切な量の薬液を含浸させることができる。
【0053】
また、木材体積の検出、含浸薬液量設定値の設定、含浸薬液量の検出、含浸薬液量設定値と含浸薬液量との対比、及びタンク10への薬液の導入の停止という一連の処理が自動的に行われるため、極めて効率の良いものとなると共に、人手を省くことによりランニングコストを抑えることが可能となる。
【0054】
加えて、水平方向の断面積の小さい第二貯槽22において液面高さを検出しているため、液面高さ変化をより正確に知ることができる。これにより、導入薬液量ひいては含浸薬液量をより正確に検出でき、木材に含浸させる薬液量の制御がより精密なものとなる。
【0055】
また、上記のように、本実施形態の薬液濃度調整装置2によれば、薬液含浸装置1において、タンク10内で木材から滲出する水分によって薬液が希釈される等により薬液の濃度が変化しても、その濃度を測定し、これをフィードバックして補充薬液濃度が設定される。これにより、上記の実施形態のように、含浸処理の後に薬液がタンクから薬液貯槽20に戻され、繰返して使用される場合であっても、薬液の濃度をほぼ一定に維持することができ、薬液含浸装置1で処理された木材の品質がばらつきの小さいものとなる。
【0056】
また、従来では、実際に含浸した薬液の濃度が所望の濃度より低い木材となることへの危惧から、薬液の濃度を高めに設定することも多く行われていたが、本実施形態の薬液濃度調整装置2によれば、このように過剰濃度の薬液が使用されることを防止でき、薬液が無駄に消費される恐れのないものとなる。
【0057】
また、薬液貯槽20内に現存する薬液量を把握した上で補充薬液濃度及び補充薬液量が設定されるため、薬液含浸処理装置1に対して、常に適切な濃度の薬液を、適切な量補充することができる。更に、薬液貯槽20内に現存する薬液の濃度と液量とが共に考慮されることから、例えば、液量は十分であっても濃度が低くなった場合など、補充される薬液を原液或いは原液に近い濃い薬液とすることにより、木材に含浸させる薬液の液量をあまり増加させずに濃度を高めることも可能となる。
【0058】
また、電気伝導度によって薬液の濃度を検出することにより、濃度をより正確かつ簡易に検出することができる。例えば、薬液の濃度が小さく比重が1に近いために、比重によっては薬液の濃度が正確に検出できない場合であっても、電気伝導度によれば正確に薬液の濃度を検出することが可能となる。また、電気伝導度の測定は、測定端子を薬液に浸しておくのみで連続的な測定が可能であるため、自動化が容易である。加えて、薬液を随時分取して測定を行う自動滴定装置などに比べ、極めて簡易に薬液濃度を検出することができる。
【0059】
加えて、調整槽60に設けたロードセルによって供給される薬液原料を計量する構成としたことにより、複数の薬液原料を一つの構成で計量できるため、薬液濃度調整装置2自体が簡易な構成となり、構築コストの低廉なものとなる。
【0060】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0061】
例えば、本実施形態の薬液含浸装置1では、タンクを真空ポンプで減圧し第一貯槽から薬液を吸引させる構成を例示したが、主流路に加圧ポンプを備える構成とし、薬液を第一貯槽からタンク内に圧送してもよい。また、圧力調整弁として加圧ポンプに定圧弁が付属する場合を例示したがこれに限定されず、例えば、タンクにリリーフ弁を設け、リリーフ弁を介してタンクと薬液貯槽とが排出路で接続される構成とし、タンク内が一定の圧力以上となったときにタンクから薬液貯槽に薬液が戻されるよう構成することもできる。更に、第二貯槽の液面高さにより導入薬液量を検出する構成を例示したが、導入路・排出路に流量計を設け、流通する薬液の積算流量に基づいて導入薬液量を検出することもできる。
【0062】
また、本実施形態の薬液濃度調整装置2では、第二貯槽内の薬液量を検出し、これに基づいて補充薬液量を設定する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、上記のように、薬液含浸装置1においてタンク10から薬液が第一貯槽21に戻され、第一貯槽21を満杯にした上で薬液が第二貯槽22にも流入する場合、両槽の容積の設定や木材に含浸させる薬液量により、第二貯槽22に流入する薬液量が第一貯槽21の容積に比べて小さい場合は、第一貯槽21の容積に基づいて補充薬液濃度を設定することとしても、木材に含浸させる薬液の濃度をある程度一定の範囲内に維持することが可能である。
【0063】
更に、薬液原料の供給量を質量で計量する場合を例示したが、各供給路に流量計を設け、体積によって計量する構成とすることもできる。この場合は、複数の薬液原料について調製槽28に供給する操作を同時に行うことが可能となる。
【0064】
また、上記の実施形態では、薬液含浸装置1において液面高さ計52を設けて導入薬液量を検出している第二貯槽2に、薬液濃度調整装置2の調製槽28から補充路38を介して薬液が補充されるため、例えば、木材への薬液の含浸処理が行われている最中に調製槽から薬液の補充が行われる構成としても、木材に実際に含浸した薬液量を正確に検出することが可能となる。
【0065】
加えて、本実施形態では、薬液濃度調整装置2は薬液含浸装置1の構成の一つとされ、両装置の制御を行う各制御手段が一つの制御装置7に格納される場合を例示したが、これに限定されず、両装置を別個の装置として構成することもできる。
【0066】
また、上記の実施形態では、一つの薬液濃度調整装置2を一つの薬液含浸装置1に対して適用する場合を例示したが、例えば、図5に例示するように、調製槽で調製された薬液が送られる流路を複数設け、単一の薬液濃度調整装置から複数の薬液含浸装置に対して薬液を送る構成とすることができる。これにより、単一の薬液濃度調整装置2から薬液の補充を受けつつも、複数の薬液含浸装置で濃度や配合比の異なる薬液を木材に含浸させる処理を行うことができる。或いは、図中に破線で示したように、薬液含浸装置1の構成をタンク10は単一であるが複数の薬液貯槽20を備える構成とし、それぞれの薬液貯槽20に単一の薬液濃度調整装置2から濃度や配合比の異なる薬液を供給することにより、処理対象の木材の種類や処理の目的に応じて、異なる薬液を含浸させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態の薬液含浸装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1の薬液含浸装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の薬液含浸装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1の薬液含浸装置の一構成である薬液濃度調整装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】薬液含浸装置に対する薬液濃度調整装置の他の適用を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 薬液含浸装置
2 薬液濃度調整装置
8 含浸薬液量制御手段
9 薬液調製手段
10 タンク
20 薬液貯槽
21 第一貯槽(薬液貯槽)
22 第二貯槽(薬液貯槽)
28 調製槽
30 導入路
45 圧力調整弁
51 導入薬液量検出装置
52 液面センサ
61 貯槽内薬液量検出装置
62 貯槽内濃度検出装置
63 計量計
70 原料供給装置
P2 加圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能なタンクと、
薬液を貯蔵する薬液貯槽と、
該薬液貯槽と前記タンクとを接続した導入路を介して前記タンクへ薬液を導入する加圧ポンプと、
前記タンク内の圧力を調整する圧力調整弁と、
木材を収容した前記タンクが前記薬液貯槽から送られた薬液によって満たされた充満時を検知する液面センサと、
前記薬液貯槽から前記導入路を介して前記タンクに導入される導入薬液量を検出する導入薬液量検出装置と、
前記液面センサの検知及び前記導入薬液量検出装置による検出に基づき、前記充満時以降の前記導入薬液量に基づいて木材に含浸した薬液量を含浸薬液量として算出し、該含浸薬液量が予め定めた所定値に達した時点で、前記加圧ポンプの駆動を制御して前記導入路を介した前記タンクへの薬液の導入を停止させる含浸薬液量制御手段と
を具備することを特徴とする薬液含浸装置。
【請求項2】
前記含浸薬液量制御手段は、
前記液面センサの検知及び前記導入薬液量検出装置による検出に基づき、前記薬液貯槽から前記タンクへの薬液の導入が開始された時点から前記充満時までの前記導入薬液量及び前記タンクの容積から木材体積を算出し、該木材体積に基づいて木材に含浸させるべき薬液量を含浸薬液量設定値として設定し、前記含浸薬液量が前記含浸薬液量設定値に達した時点で、前記導入路を介した前記タンクへの薬液の導入を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液含浸装置。
【請求項3】
前記薬液貯槽は、第一貯槽及び該第一貯槽より水平方向の断面積の小さな第二貯槽を具備し、
前記第一貯槽は、主流路を介して前記タンクと接続されると共に、貯蔵した薬液の全量が前記タンクに送出されるものであり、
前記第二貯槽は、前記導入路を介して前記タンクと接続されると共に、貯蔵した薬液の一部が前記タンクに送出されるものであり、
前記導入薬液量検出装置は、前記第二貯槽内の薬液の液面高さに基づいて前記導入薬液量を検出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薬液含浸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−320199(P2007−320199A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153912(P2006−153912)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(594088259)日進油圧工業株式会社 (5)
【出願人】(390039295)株式会社コシイプレザービング (16)
【Fターム(参考)】