説明

薬液採取装置、薬液採取容器及び内視鏡洗浄消毒装置

【課題】本発明は、薬液貯留部から簡易な作業によって正確に所定の体積の薬液を採取することが可能な薬液採取装置、薬液採取容器及び内視鏡洗浄消毒装置を提供する。
【解決手段】内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を導管部を介して薬液採取容器内に採取する薬液採取装置において、前記導管部の一端部を、前記薬液貯留部内において前記薬液貯留部の満水水位よりも低い位置に配置し、前記導管部の他端部を前記満水水位よりも高い位置に配置し、内部が負圧に保たれた薬液採取容器に刺入可能な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を採取する薬液採取装置、薬液採取容器及び内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において使用される内視鏡は、使用後に薬液を用いた洗浄処理及び消毒処理が施される。内視鏡の洗浄処理及び消毒処理の少なくとも一方の処理を自動的に行う内視鏡洗浄消毒装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
このような内視鏡洗浄消毒装置の使用にあたっては、処理の実施前に薬液の処理能力が規定の条件を満たしていることを確認するための薬効確認試験が、一般的に行われる。薬液の薬効確認試験は、例えば所定の体積の薬液に、薬液に反応する試験紙を薬液に漬けて試験紙の色変化を目視観察する方法や、所定の体積の薬液を前記薬液と反応する試薬と混合して混合液の色変化を吸光光度計によって測定して、薬効を確認する方法等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−230493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の内視鏡洗浄消毒装置では、薬液を貯留した薬液貯留部に設けられている薬液排出用のバルブを操作してビーカー等に薬液を一旦採取し、これをピペット等によって計量することで、薬効確認試験に用いる所定の体積の薬液の採取が行われる。このため、従来の内視鏡洗浄装置の薬液貯留部から所定の体積の薬液を採取する作業は、複数の工程が必要であり、作業の簡便化が望まれている。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、薬液貯留部から簡易な作業によって正確に所定の体積の薬液を採取することが可能な薬液採取装置、薬液採取容器及び内視鏡洗浄消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬液採取容器は、内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を一端部が、前記薬液貯留部内において前記薬液貯留部の満水水位よりも低い位置に配置され、他端部が、前記満水水位よりも高い位置に配置されてなる導管部を介して薬液採取容器内に採取する薬液採取装置であって、前記薬液採取容器は、内部が負圧に保たれた採取室、及び前記採取室を密閉し前記導管部の前記他端部を刺入可能な刺入部を有してなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の内視鏡洗浄消毒装置は、前記薬液採取装置を具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の薬液採取容器は、内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を採取する薬液採取容器であって、内部が負圧に保たれた採取室と、前記採取室を密閉し、一端部が前記薬液貯留部内に配置された導管部の他端部を刺入可能な刺入部と、を具備し、前記刺入部は、弾性を有し、前記他端部が刺入された場合に前記他端部の外周に密接し、前記他端部が前記刺入部から抜去された場合に前記採取室を密閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、薬液貯留部から簡易な作業によって正確に所定の体積の薬液を採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の内視鏡洗浄消毒装置の構成を説明する図である。
【図2】薬液採取装置及び薬液採取容器の断面図である。
【図3】薬液採取装置の断面斜視図である。
【図4】導管部の他端部を薬液採取容器の刺入部に刺入した状態を示す断面図である。
【図5】薬液採取装置の変形例を示す断面図である。
【図6】第2の実施形態の内視鏡洗浄消毒装置の構成を説明する図である。
【図7】第3の実施形態の薬液採取装置の断面図である。
【図8】第3の実施形態において導管部の他端部を刺入部に刺入した状態を示す断面図である。
【図9】第3の実施形態のフィルタ部の作用を説明する図である。
【図10】第4の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図11】図10のXI-XI断面図である。
【図12】図10のXII-XII断面図である。
【図13】第4の実施形態において導管部の他端部を刺入部に刺入した状態を示す断面図である。
【図14】第4の実施形態において薬液を採取した状態を示す断面図である。
【図15】第4の実施形態において第1破断部が破断した状態を示す断面図である。
【図16】第4の実施形態において第2破断部が破断した状態を示す断面図である。
【図17】第5の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図18】第5の実施形態において第1破断部が破断した状態を示す断面図である。
【図19】第5の実施形態において第2破断部が破断した状態を示す断面図である。
【図20】第6の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図21】第6の実施形態において第1破断部及び第2破断部が破断した状態を示す断面図である。
【図22】第7の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図23】第8の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図24】第8の実施形態において導管部を薬液貯留部の通気口に挿入した状態を示す図である。
【図25】第8の実施形態において薬液を採取した状態を示す図である。
【図26】第9の実施形態の薬液採取容器の断面図である。
【図27】第9の実施形態において試薬を充填した状態を示す断面図である。
【図28】薬液を採取した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態を説明する。図1に示す本実施形態の内視鏡洗浄消毒装置1は、概略的には、内視鏡に対して薬液を用いて洗浄処理及び消毒処理の少なくとも一方の処理を実施する装置である。
【0014】
本実施形態の内視鏡洗浄消毒装置1は、一例として薬液を貯留可能な容器である第1の薬液貯留部10及び第2の薬液貯留部20を備えてなり、詳しくは後述するが前記第1の薬液貯留部10内に内視鏡を収容して薬液による処理を実施するものとする。また、内視鏡洗浄消毒装置1は、薬液採取装置100、移送管路4及び薬液導入管路6を具備して構成されている。
【0015】
また本実施形態では一例として、内視鏡の処理に用いられる薬液は、内視鏡洗浄消毒装置1の外部に配設された薬液供給部7から、内視鏡洗浄消毒装置1内に供給されるものとする。なお、薬液供給部7は、内視鏡洗浄消毒装置1内に配設される形態であってもよいし、内視鏡洗浄消毒装置1に着脱可能な形態であってもよい。
【0016】
第1の薬液貯留部10は、図示しない内視鏡を内部に収容可能であって、薬液を貯留可能な容器である。第1の薬液貯留部10は、略凹形状の桶状部11と、桶状部11の開口部を開閉する蓋部12とにより構成されている。
【0017】
蓋部12は、ヒンジ部13によって支持されており、桶状部11の開口部を閉鎖する閉位置と、開口部を開放する開位置との間で回動可能である。蓋部12が閉位置にある状態において、蓋部12と桶状部11の開口部との間には、パッキン14が挟持されるように配設されている。
【0018】
本実施形態では、第1の薬液貯留部10内において、薬液の水位(液面高)を規定する満水水位L1及び下限水位L2が定められている。満水水位L1は、第1の薬液貯留部10内において内視鏡の処理を実施することが可能な薬液の水位の上限を規定するものである。また、下限水位L2は、第1の薬液貯留部10内において内視鏡の処理を実施することが可能な薬液の水位の下限を規定するものであり、前記満水水位L1よりも低い位置に定められている。
【0019】
第1の薬液貯留部10の、満水水位L1よりも上方には、第1の薬液貯留部10の内部と外部とを連通する開口部である通気口15が設けられている。この通気口15によって、第1の薬液貯留部10内の気圧は、大気圧と略同一に保たれる。なお、図1に示す本実施形態では、通気口15は蓋部12に設けられているが、通気口15は桶状部11に設けられるものであってもよい。
【0020】
本実施形態の内視鏡洗浄消毒装置1では、通気口15内に薬液採取装置100が配設されている。詳しくは後述するが、薬液採取装置100は、第1の薬液貯留部10内に貯留された薬液を、所定の体積だけ薬液採取容器200内に移送するためのものである。
【0021】
なお、特に限定されるものではないが、第1の薬液貯留部10には、例えば内視鏡を所定の姿勢で保持する内視鏡保持部、薬液の水位を測定する水位センサ、内視鏡に設けられた管路内に薬液を送出するためのチューブを繋ぐコネクタ部、薬液を所定の温度にするための温度調整装置、及び超音波洗浄装置等が、薬液による処理の形態に応じて適宜に配設される。
【0022】
第2の薬液貯留部20は、所定の容積を有し、薬液を貯留可能な容器である。第2の薬液貯留部20は、移送管路4を介して第1の薬液貯留部10と接続されている。移送管路4には、ポンプ5が配設されている。ポンプ5を動作させることにより、第2の薬液貯留部20内の薬液は、移送管路4を介して第1の薬液貯留部10内に移送される。
【0023】
また、第2の薬液貯留部20は、薬液導入管路6を介して薬液供給部7と接続される。すなわち、本実施形態の内視鏡洗浄消毒装置1では、薬液供給部7から供給される薬液は、薬液導入管路6を介して第2の薬液貯留部20内に導入される。そして、第2の薬液貯留部20内の薬液を第1の薬液貯留部10に移送することによって、内視鏡に対して処理を実施する。
【0024】
なお、本実施形態では、薬液供給部7から供給される薬液は、一旦、第2の薬液貯留部20に貯留された後に第1の薬液貯留部10に供給されるものであるが、薬液供給部7から供給される薬液が直接第1の薬液貯留部10に供給される形態であってもよい。
【0025】
また、例えば内視鏡洗浄消毒装置1で用いられる薬液が、薬液と水との混合液、及び複数種類の薬液の混合液の少なくとも一方である場合には、第2の薬液貯留部20内において混合処理が行われる形態であってもよい。
【0026】
また、図示しないが、内視鏡洗浄消毒装置1には、第1の薬液貯留部10内の液体を排出するための排出管路が配設される。また、内視鏡洗浄消毒装置1に用いられる薬液が複数回の処理に繰り返し用いることが可能である場合、内視鏡洗浄消毒装置1には、第1の薬液貯留部10内の薬液を第2の薬液貯留部20に移送するための管路が配設される。
【0027】
次に、第1の薬液貯留部10、薬液採取装置100及び薬液採取容器200の詳細な構成について説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態の第1の薬液貯留部10の蓋部12には、開口部である通気口15が設けられている。そして、通気口15には、薬液採取装置100が配設されている。
【0028】
本実施形態の薬液採取装置100は、通気口15に係合する係合部102を有しており、係合部102が通気口15と係合することによって、第1の薬液貯留部10に対する所定の位置に固定されている。
【0029】
本実施形態では、薬液採取装置100は、係合部102が通気口15内に嵌合する形状を有し、係合部102には、係合部102が通気口15内に所定の長さだけ挿入された状態において通気口15の端面部15aに当接する突き当て部102aが設けられている。
【0030】
なお、薬液採取装置100は、ネジ留め等の他の固定方法によって通気口15の所定の位置に配設される形態であってもよいし、薬液採取装置100の一部又は全部が第1の薬液貯留部10と一体に形成される形態であってもよい。
【0031】
薬液採取装置100は、保持部101によって保持された導管部110を具備して構成されている。導管部110は、一端部111が第1の薬液貯留部10内において満水水位L1よりも低い位置に配置され、他端部112が満水水位L1よりも高い位置に配置された、管状の部材である。また、導管部110の他端部112は、後述する薬液採取容器200の刺入部201に刺入可能なように、針状に尖った尖頭形状を有する。
【0032】
導管部110の一端部111が配置される位置は、第1の薬液貯留部10内の満水水位L1よりも低い位置であれば特に限定されるものではないが、一端部111は、下限水位L2よりも低い位置に配置されることが好ましい。これにより、第1の薬液貯留部10内に内視鏡の処理に必要な量の薬液が貯留された状態において、常に一端部111を薬液の液面よりも下方に位置させることができる。
【0033】
また、薬液採取装置100は、上方に開口する凹部103を具備している。凹部103は、底面部104が導管部110の他端部112の下方に位置するように配設されている。言い換えれば、導管部110は、他端部112が凹部103の上方に配設されるように、保持部101によって保持されている。また、凹部103の底面部104には、凹部103と第1の薬液貯留部10内とを連通する管路105が設けられている。
【0034】
また、薬液採取装置100は、案内部106を具備している。案内部106は、後述する薬液採取容器200を、刺入部201が導管部110の他端部112に対向した状態で、他端部112の中心軸に沿って移動するように案内するものである。
【0035】
本実施形態では、一例として、導管部110は、通気口15内を通過して上下方向に延在し、他端部112が通気口15の端面部15aよりも上方に位置するように保持部101によって保持されている。すなわち、本実施形態においては、導管部110の他端部112は、第1の薬液貯留部10外に配設されている。
【0036】
また本実施形態では、凹部103は、底面部104が他端部112の下方かつ通気口15の端面部15aの上方に配設され、側面部が導管部110の他端部112を周方向に囲う形状を有する。
【0037】
また本実施形態では、案内部106は、導管部110の他端部112を周方向に囲うように配設された略筒形状の部材であり、凹部103の側面部を他端部112の中心軸に沿って延出させることによって、凹部103と一体に形成されている。
【0038】
ここで、以下の説明において、導管部110の他端部112の中心軸に沿う方向のうち、一端部111に向かう方向を一端側と称し、他端部112側へ向かう方向を他端側と称するものとする。
【0039】
本実施形態では、略筒状の案内部106の開口部は、導管部110の他端部112よりも他端側に配設されている。すなわち、導管部110の他端部112は、略筒形状の案内部106の開口部から所定の距離だけ入り込んだ位置に配設されている。このように、他端部112を案内部106により覆い、かつ他端部112を案内部の開口部から所定の距離だけ奥に配置することによって、尖頭形状である他端部112に物が接触することを防止することができる。なお、案内部106には、開口部を開閉するための蓋部材が設けられる構成であってもよい。
【0040】
薬液採取容器200は、所定の容積を有する採取室202と、採取室202の開口部を密閉する刺入部201とを具備して構成されている。採取室202内は、圧力が大気圧よりも低い負圧状態とされている。
【0041】
刺入部201は、薬液採取装置100の導管部110の他端部112によって貫通可能であって、かつ採取室202の内外の圧力差によって破断することのない強度を有する。また、刺入部201は、導管部110の他端部112が貫通された状態において、他端部112の外周面に密着して他端部112の外周面との間を気密に保ち、かつ他端部112が抜去された状態において、他端部112によって形成された穿孔を閉塞し採取室202の水密を保つことが可能な弾性及び硬度を有する。刺入部201を構成する材料は特に限定されるものではないが、弾性を有し、かつ薬液に対する耐薬品性を有する材料、例えばシリコンゴム等が適用され得る。
【0042】
薬液採取容器200は、前述したように薬液採取装置100の案内部106によって、刺入部201が導管部110の他端部112に対向した状態で、他端部112の中心軸に沿って移動するように案内される構成を有する。
【0043】
本実施形態では、薬液採取容器200は、略筒形状の案内部106の開口部内に刺入部201を先端として挿入可能な形状を有し、案内部106の内周面に沿うことにより、他端部112の中心軸に沿って移動するように案内される。
【0044】
以上に説明した構成を有する内視鏡洗浄消毒装置1において、第1の薬液貯留部10内に貯留された薬液を採取するには、薬液採取容器200の刺入部201に、導管部110の他端部112を刺入し、他端部112を採取室202内にまで貫通させる。
【0045】
具体的に本実施形態では、薬液採取容器200を、刺入部201を先端側として薬液採取装置100の案内部106内に挿入し、図4に示すように、薬液採取容器200が底面部104に突き当たるまで押し込む。これにより、導管部110の他端部112が刺入部201を貫通し、所定量だけ採取室202内に突出する。
【0046】
ここで、導管部110の一端部111は、第1の薬液貯留部10内において、薬液205の液面よりも下方に位置している。また、刺入部201と刺入部201を貫通する導管部110の他端部112の周囲との間は気密に保たれているため、刺入部201に他端部112を貫通させた直後では、薬液採取容器200の採取室202内は、所定の負圧状態のままである。
【0047】
このため、大気圧である第1の薬液貯留部10内と、薬液採取容器200の採取室202内との圧力差によって、第1の薬液貯留部10内の薬液205が、導管部110を介して採取室202内に移送される。そして、薬液採取容器200の採取室202内に所定の体積の薬液205が移送されると、第1の薬液貯留部10内と採取室202内との圧力差が無くなり、薬液205の移送が終了する。
【0048】
所定の体積の薬液205が薬液採取容器200の採取室202内に移送された後に、刺入部201から導管部110の他端部112を抜去する。すなわち本実施形態では、薬液採取容器200を、案内部106内から引き抜く。このとき、刺入部201は、弾性によって他端部112によって設けられた穿孔を閉塞するように復元するため、採取室202の水密が保たれる。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態によれば、薬液採取容器200の刺入部201に、導管部110の他端部112を刺入するという簡易な工程の作業のみで、薬液採取容器200内に正確に所定の体積の薬液205を採取することができるので、効率的に薬効確認の作業ができる。具体的には、薬液採取容器200を、案内部106内に突き当たるまで押し込むだけで、所定の体積の薬液205を採取することができる。
【0050】
なお、薬液採取容器200の採取室202内に移送される薬液205の体積は、採取室202の容積、及び採取室202内の圧力の少なくとも一方を適宜に変更することによって、所望の値に設定することができる。こうすることで、目視で所定量を判定しなくても、自動的に所定量、薬液採取可能となり、作業者の負担が軽減される。
【0051】
また本実施形態においては、導管部110の他端部112の下方に凹部103が設けられており、この凹部103の底面部104は、管路105を介して第1の薬液貯留部10内と連通している。
【0052】
これにより、刺入部201から他端部112を抜去する際に薬液205がこぼれた場合、こぼれた薬液205は、下方の凹部103内に落下し、管路105を通過して第1の薬液貯留部10内に戻る。よって、採取時にこぼれた薬液205の蒸気が周囲に広がることを防止することができる。
【0053】
また、本実施形態の薬液採取装置100は、管路105が設けられていることから、第1の薬液貯留部10の通気口15における通気を妨げることがない。このため、薬液採取装置100は、従来の内視鏡洗浄消毒装置であっても、薬液貯留部に通気用の開口部が設けられたものであれば取り付けて使用することが可能となる。
【0054】
なお、薬液採取装置100は、第1の薬液貯留部10に設けられた通気口15とは別の開口部に配設される形態であってもよい。またこの場合、薬液採取装置100は、管路105を具備しない構成であってもよい。
【0055】
また、上述した本実施形態においては、導管部110の他端部112は、第1の薬液貯留部10の外側に導出される形態としたが、他端部112が配置される位置は、満水水位L1よりも高い位置であり、かつ薬液採取容器200の刺入部201に刺入可能な位置であれば特に限定されるものではない。例えば、薬液採取装置100が第1の薬液貯留部10の内部に配設される構成であってもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、導管部110の他端部112は上方に向かって延出する形態としたが、他端部112の延出する方向は上方に限定されるものではない。導管部110の他端部112は、満水水位L1よりも高い位置において、側方や下方に向かって延出する構成であってもよい。
【0057】
例えば図5に示すように、他端部112が略水平方向に延出する構成であってもよい。この図5に示す変形例の場合、薬液採取容器200は、案内部106によって水平方向に移動するように案内される。また、凹部103は、他端部112からこぼれる薬液を受け止めるように、他端部112の下方に配設される。
【0058】
(第2の実施形態)
以上に説明した第1の実施形態では、薬液採取装置100は第1の薬液貯留部10内から薬液を採取する形態としたが、本発明は、内視鏡洗浄消毒装置に設けられた薬液を貯留する第二の薬液貯留部から薬液を採取する場合にも適用可能である。
【0059】
その一例を第2の実施形態として、図6を参照して以下に説明する。なお、以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0060】
本実施形態の内視鏡洗浄消毒装置1bは、薬液採取装置100を具備して構成されており、薬液採取装置100は、第2の薬液貯留部20に貯留されている薬液を採取するように配設されている。
【0061】
本実施形態では、薬液採取装置100の導管部110の一端部111は、第2の薬液貯留部20内において、第2の薬液貯留部20の満水水位L3よりも低い位置に配置されている。また、導管部110の他端部112は、第2の薬液貯留部20の外部において第2の薬液貯留部20の満水水位L3よりも高い位置に配置されている。
【0062】
このような構成を有する本実施形態では、第1の実施形態と同様に、薬液採取容器200の刺入部201に導管部110の他端部112を刺入するという簡易な作業のみで、第2の薬液貯留部20内から、所定の体積の薬液を薬液採取容器200内に採取することができる。つまり、装置を稼動させる前に(装置を稼動させて薬液を第一の薬液貯留部に貯めなくても)、簡単に所定の体積の薬液採取が可能となる。よって、事前に薬液の効果を把握することができるため、効率的な作業を行うことが可能となる。
【0063】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を図7から図9を参照して説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態に対して薬液採取装置の構成が異なる。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0064】
図7に示すように、本実施形態の薬液採取装置100cは、フィルタ部120、スライダ122及び弾性部材121を具備して構成されている。
【0065】
フィルタ部120は、吸水性及び通気性を有し、導管部110の他端部112が貫通可能な部材である。フィルタ部120の構成は特に限定されるものではなく、例えば多孔質の合成樹脂からなるスポンジ状の部材であってもよいし、また例えばガーゼや不織布のような布状の部材であってもよい。
【0066】
スライダ122は、フィルタ部120を保持し、導管部110の他端部112の中心軸に沿う所定の移動範囲で移動可能な部材である。本実施形態では、スライダ122は、略筒形状の案内部106の内部において、案内部106の内周面に沿って移動するように配設されている。スライダ122は、案内部106を開口部側から見た場合において、図7に示すように、他端部112がフィルタ部120によって隠される位置と、図8に示すように、他端部112がフィルタ部120を貫通して露出する位置との間で移動するように配設されている。
【0067】
すなわち、スライダ122が移動範囲の最も他端側に移動した状態では、フィルタ部120の少なくとも一部は導管部110の他端部112よりも案内部106の開口部側(他端側)に位置する。そして、スライダ122が移動範囲の最も一端側に移動した状態では、他端部112はフィルタ部120を貫通して他端側に露出する。
【0068】
弾性部材121は、弾性を有し、スライダ部122を他端側に向かって付勢する部材である。弾性部材121の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、弾性部材121は、導管部110の周囲に巻回された圧縮コイルバネである。
【0069】
弾性部材121の付勢力によって、スライダ部122は、外力が加えられない状態において、図7に示すように移動範囲の他端側に位置する。すなわち、外力が加えられない状態においては、フィルタ部120の少なくとも一部が導管部110の他端部112よりも案内部106の開口部側に位置している。
【0070】
以上に説明した構成を有する薬液採取装置100cを用いて、第1の薬液貯留部10内に貯留された薬液を採取するには、導管部110の他端部112を、フィルタ部120及び薬液採取容器200の刺入部201に貫通させる。
【0071】
具体的には、薬液採取容器200を、刺入部201を先端側として薬液採取装置100cの案内部106内に挿入し、図8に示すように、スライダ121が移動範囲の最も一端側に移動するまで押し込む。この状態において、導管部110の他端部112は、フィルタ部120及び刺入部201を貫通して、薬液採取容器200の採取室202内に突出する。
【0072】
したがって、第1の実施形態と同様に、第1の薬液貯留部10内と、採取室202内との圧力差によって、第1の薬液貯留部10内の所定の体積の薬液が、導管部110を介して採取室202内に移送される。そして、刺入部201から導管部110の他端部112を抜去することによって刺入部201の穿孔が閉塞され、薬液採取容器200内に所定の体積の薬液が採取される。
【0073】
ここで、本実施形態の薬液採取装置100cでは、刺入部201から他端部112を抜去する際、図9に示すように、弾性部材121の付勢力によってフィルタ部120が刺入部201に常に当接した状態となる。
【0074】
これにより、刺入部201から他端部112を抜去する際に薬液がこぼれた場合には、こぼれた薬液はフィルタ部120に吸収される。したがって本実施形態の薬液採取装置100cによれば、薬液を採取する際に、薬液が周囲に飛散したり薬液採取容器200に付着したままとなることがない。また、フィルタ部120は通気性を有することから、第1の薬液貯留部10の通気口15における通気を妨げることがない。
【0075】
なお、フィルタ部120は、他端部112により貫通された後に、略筒形状の案内部106内を塞ぐように復元することが好ましい。このように、薬液の採取時以外は案内部106をフィルタ部120によって塞ぐことによって、薬液の蒸気の拡散を抑制することができる。
【0076】
また、フィルタ部120は、活性炭を含むことが好ましい。このように薬液の蒸気が通過するフィルタ部120に活性炭を含ませることにより、薬液の蒸気の脱臭を行うことが可能となる。
【0077】
また、上述した本実施形態においては、フィルタ部120は、フィルタ部120とは別部材の弾性部材121の付勢力によって常に刺入部201に当接するように付勢される構成としたが、フィルタ部120が例えばスポンジのような弾性を有する部材であれば、フィルタ部120は、自らの弾性による復元力によって刺入部201に当接するものであってもよい。すなわち、フィルタ部120と弾性部材121とは、同一の部材により構成される形態であってもよい。
【0078】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を図10から図16を参照して説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態に対して薬液採取容器の構成が異なる。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0079】
図10に示すように、本実施形態の薬液採取容器200dは、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から採取した薬液を収容する採取室211を有する採取容器部210と、薬液と反応する試薬206を収容する試薬収容室241を有する試薬容器部240と、を具備して構成されている。薬液採取容器200dの採取室211及び試薬収容室241は、それぞれ独立した空間部であって、隔壁部230によって隔てられている。
【0080】
採取容器部210及び試薬容器部240は、外部から加えられる力(外力)によって相対的に移動可能に構成されている。そして、採取容器部210の採取室211及び試薬容器部240の試薬収容室241を隔てる隔壁部230は、採取容器部210及び試薬容器部240の相対的な移動に伴い加えられる力によって破断するように構成されている。
【0081】
薬液採取容器200dは、概略的には、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から所定の体積の薬液を採取室211内に採取し、隔壁部230が破断することによって採取室211と試薬収容室241とを連通して試薬206を薬液と反応させるためのものである。
【0082】
ここで、薬液の薬効確認試験の目的及び形態は特に限定されるものではないが、例えば内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部内の薬液の濃度を測定する試験等が挙げられる。また、試薬206は、薬液との反応によって薬液の状態を試験するためのものであって、薬液の薬効確認試験の形態に応じて適宜に選択されるものであり、その形態は特に限定されるものではない。例えば試薬206は、液体状、固形状又は粉末状の形態であってもよいし、いわゆる試験紙状に紙片に塗布される形態であってもよいし、試薬収容室241の内周面に塗布される形態であってもよい。
【0083】
本実施形態では一例として、薬液採取容器200dは、薬液の濃度を測定するために試薬206を薬液と反応させるものとする。また、本実施形態では、試薬206は液体状であって、薬効確認試験は、薬液採取容器200d内の薬液と試薬206との混合液の吸光度を吸光光度計によって測定し、この測定結果に基づいて薬液の濃度を算出するものとする。
【0084】
本実施形態の薬液採取容器200dの具体的な構成を以下に説明する。
本実施形態では、薬液採取容器200dを構成する採取容器部210及び試薬容器部240は別体として形成されている。採取容器部210及び試薬容器部240には、互いに螺合する第1ネジ部220及び第2ネジ部250が固設されている。
【0085】
第1ネジ部220及び第2ネジ部250は、採取容器部210を試薬容器部240に対して所定の方向に相対的に回動させることによって、採取容器部210が試薬容器部240に近づく方向に相対的に移動するように設けられている。
【0086】
図10に示すように、本実施形態では、採取容器部210及び試薬容器部240は、互いが第1ネジ部220及び第2ネジ部250以外の箇所で接触しないように、第1ネジ部220及び第2ネジ部250が所定の長さだけ螺合した状態(所定の山数だけ螺合した状態)で組み合わされている。
【0087】
本実施形態では、第1ネジ部220は、採取容器部210の外周を隙間を有して囲うように配設された円筒形状部219の内周面に形成された雌ネジ部であり、第2ネジ部250は、試薬容器部240から延出する円筒形状部249の外周面に形成された雄ネジ部である。なお、本実施形態では、第1ネジ部220が雌ネジであり、第2ネジ部250が雄ネジであるとしたが、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の雌雄はこの反対であってもよい。
【0088】
まず、採取容器部210の詳細な構成について説明する。
採取容器部210は、第1の実施形態の薬液採取容器200と同様に、壁面部212と壁面部212の開口部に設けられた刺入部201によって密閉された所定の容積の採取室211を有している。
【0089】
壁面部212及び刺入部201により密閉された採取室211内は、大気圧よりも低い所定の圧力(負圧状態)とされている。したがって、本実施形態の薬液採取容器200dは、薬液採取装置100の導管部110の他端部112を刺入部201に貫通させることによって、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から所定の体積の薬液を採取室211内に採取することが可能に構成されている。
【0090】
壁面部212は、雌ネジである第1ネジ部220が形成された円筒形状部219の内側に固設されている。また壁面部212は、第1ネジ部220と第2ネジ部250との螺合によって採取容器部210が試薬容器部240に近づく方向に面する第1壁部215を有する。本実施形態では、壁面部212は、第1壁部215を底面とした略有底筒状であって、第1壁部215が、第1ネジ部220の中心軸と略直交するように第1ネジ部220に対して固設されている。
【0091】
採取容器部210の第1壁部215には、第1破断部216が設けられている。第1破断部216は、第1壁部215に所定の向きの所定の強さの力F1が加えられた場合に破断し、かつ採取室211内と大気圧との圧力差によって第1壁部215に加えられる力では破断せずに採取室211の密閉を保つように構成されている。
【0092】
第1破断部216を所定の向きの所定の強さの力F1によって破断させる構成は特に限定されるものではないが、例えば第1壁部215に脆弱な部位を形成してこれを第1破断部216とする構成が考えられる。この場合、第1破断部216は、第1壁部215の一部の厚さを薄くする方法や、第1壁部215に形成された貫通孔を、所定の強さの力F1によって剥離するように接着又は溶着された部材によって塞ぐ方法等によって実現可能である。
【0093】
本実施形態では一例として、第1破断部216は、第1壁部215の両面又は一方の面に、所定の深さの溝部を形成することによって設けられた薄肉部である。第1破断部216は、第1壁部に215に、採取室211側へ押圧する方向の所定の強さの力F1が加えられた場合に破断する。
【0094】
また、図11に示す本実施形態では、第1破断部216は、略円形の開いた曲線状、いわゆるC字状に設けられた薄肉部からなる。言い換えれば、本実施形態の第1破断部216は、略円形に設けられた薄肉部の一部に他よりも厚肉の厚肉部217が形成されてなる。
【0095】
このように溝状の第1破断部216を開いた曲線状とすることによって、第1破断部216が破断した場合に、C字状の第1破断部216に囲まれた第1壁部215の一部は採取容器部210から離脱せずに厚肉部217において採取容器部210に繋がれたままとなる。これにより、第1壁部215の一部が、薬液採取容器200d内を移動して薬液の薬効確認試験を妨げてしまうことを防止することができる。例えば本実施形態では、薬液と試薬206との混合液中に第1壁部215の一部が混入して、吸光光度計による濃度の測定を妨げてしまうことを防止することができる。
【0096】
なお、第1破断部216は、溝状の薄肉部を2本の交差した直線状に形成したいわゆるX字状であってもよいし、溝状の薄肉部を三角形や矩形等の多角形状に形成したものであってもよい。
【0097】
また、第1壁部215には、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の螺合によって採取容器部210を試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動させた場合に、後述する試薬容器部240に当接することによって第1壁部215を採取室211側に押圧する第1押圧部218が設けられている。本実施形態では、第1押圧部218は、第1壁部215から、採取室211とは反対側に突出した凸部である。
【0098】
なお、第1押圧部218は、採取容器部210を試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動させた場合に、第1壁部215に第1壁部215を採取室211側に押圧する力を加える構成であればよい。例えば、第1押圧部218は、試薬容器部240の第1壁部215に対向する部位から第1壁部215に向かって突出するように設けられた凸部であってもよい。
【0099】
また、採取容器部210には、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の螺合によって採取容器部210が試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動した場合に、試薬容器部240の詳しくは後述する第2壁部245に当接して第2壁部245を試薬収容室241側に押圧する第2押圧部213が設けられている。
【0100】
本実施形態では、第2押圧部213は、第1破断部216の周囲を囲う略環状に形成されている。言い換えれば、第2押圧部213は、有底筒状である壁面部212の側壁部の、底面(第1壁部215)側の端部である。
【0101】
ここで、採取容器部210を試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動させた場合、第2押圧部213が第2壁部245に押圧力を加えるよりも先に、第1押圧部218が第1壁部215に押圧力を加えるように構成されている。本実施形態では、第1押圧部218は、第2押圧部213と同様に試薬容器部240の第2壁部245に当接するものであって、第2押圧部213よりも第2壁部245側に突出している。
【0102】
以上に説明した構成を有する壁面部211の材料は特に限定されるものではないが、例えば壁面部212をポリエチレン、ポリプロピレン又はフッ素樹脂等の合成樹脂によって構成すれば、壁面部211と第1ネジ部220とを一体に形成することができ、また第1破断部216の形成も容易であることから好ましい。
【0103】
次に、試薬容器部240の詳細な構成を説明する。
試薬容器部240は、密閉された所定の容積の空間部である試薬収容室241を有している。本実施形態では、試薬容器部240は、略有底筒状の壁面部242と壁面部242の開口部を密閉する壁面部243により囲まれた試薬収容室241を有している。
【0104】
また、本実施形態では、試薬容器部240の少なくとも一部が、吸光光度計の測定光を透過させることが可能なように、透明な部材により構成されている。具体的には、壁面部242が、透明な部材により構成されている。なお、薬液採取容器200dにおいて、吸光光度計の測定光を透過可能に構成される箇所は、試薬容器部240に限られるものではなく、例えば採取容器部210であってもよい。
【0105】
壁面部243は、雄ネジである第2ネジ部250が形成された円筒形状部249に固設されている。また壁面部243は、第1ネジ部220と第2ネジ部250との螺合によって試薬容器部240が採取容器部210に近づく方向に面する第2壁部245と、第2壁面部245を底面部とした凹形状の凹部270を有する。
【0106】
本実施形態では、壁面部243は、第2ネジ部250が形成された円筒形状部249と一体に形成されており、第2壁部245は、円筒形状部249を塞ぎ、第2ネジ部250の中心軸と略直交するように配設されている。また、凹部270は、底面部としての第2壁部245と、側面部としての円筒形状部249とによって構成されている。
【0107】
第2壁部245は、図10に示すように、第1ネジ部220及び第2ネジ部250が所定の長さだけ螺合した状態において、凹部270内で採取容器部210の第1壁部215と対向する。
【0108】
試薬容器部240の第2壁部245には、第2破断部246が設けられている。第2破断部246は、第2壁部245に所定の向きの所定の強さの力F2が加えられた場合に破断し、かつ採取容器部210の第1破断部210を破断させる所定の強さの力F1では破断しないように構成されている。なお、第2破断部246を、所定の向きの所定の強さの力F2によって破断させる構成は特に限定されるものではないことは、第1破断部216の場合と同様である。
【0109】
本実施形態では一例として、第2破断部246は、第2壁部245の両面又は一方の面に、所定の深さの溝部を形成することによって設けられた薄肉部である。第2破断部246は、第2壁部に245に、試薬収容室241側へ押圧する方向に力F1よりも強い所定の強さの力F2を加えられた場合に破断する。
【0110】
すなわち、採取容器部210の第1破断部216及び試薬容器部240の第2破断部246は同様の構成を有するものであるが、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の中心軸に沿う方向に加えられる外力に対する強度は、第1破断部216よりも第2破断部246の方が高い。
【0111】
第1破断部216と第2破断部246との間に強度の差を設ける方法は、材料や形状等に適宜に差異をもたせることによって実現可能であり、特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、第2破断部246の厚さを第1破断部216よりも厚くすることによって、第2破断部246の強度を第1破断部216よりも高くしている。
【0112】
また、図12に示す本実施形態では、第2破断部246は、略円形の開いた曲線状、いわゆるC字状に設けられた薄肉部からなる。言い換えれば、本実施形態の第2破断部246は、略円形に設けられた薄肉部の一部に他よりも厚肉の厚肉部247が形成されてなる。
【0113】
このように溝状の第2破断部246を開いた曲線状とすることによって、第2破断部246が破断した場合に、第2壁部245の一部は試薬容器部240から離脱せずに厚肉部247において試薬容器部240に繋がれたままとなる。これにより、第2壁部245の一部が、薬液採取容器200d内を移動して薬液の薬効確認試験を妨げてしまうことを防止することができる。例えば本実施形態では、薬液と試薬206との混合液中に第2壁部245の一部が混入して、吸光光度計による濃度の測定を妨げてしまうことを防止することができる。
【0114】
なお、第2破断部246は、溝状の薄肉部を2本の交差した直線状に形成したいわゆるX字状であってもよいし、溝状の薄肉部を三角形や矩形等の多角形状に形成したものであってもよい。
【0115】
以上に説明した構成を有する壁面部243の材料は特に限定されるものではないが、例えば壁面部243をポリエチレン、ポリプロピレン又はフッ素樹脂等の合成樹脂によって構成すれば、壁面部243と第2ネジ部250とを一体に形成することができ、また第2破断部246の形成も容易であることから好ましい。
【0116】
また、本実施形態では、採取容器部210と試薬容器部240との間には取り外し可能なストッパ280が配設されている。ストッパ280は、第1ネジ部220及び第2ネジ部250が所定の長さだけ螺合した状態において、採取容器部210の試薬容器部240に近づく方向への移動を規制するためのものである。
【0117】
ストッパ280は、採取容器部210の試薬容器部240に近づく方向への移動を規制するものであればよく、例えばストッパ280は、採取容器部210と試薬容器部240との間に挟持されるスペーサ状の形態であってもよいし、採取容器部210と試薬容器部240とを熱収縮させた樹脂フィルムによって被覆して両者を固定する、いわゆるシュリンク包装状の形態であってもよい。
【0118】
本実施形態では一例として、ストッパ280は、雄ネジである第2ネジ部250の基端側の周囲に嵌め合わされる略環状の部材であって、第1ネジ部220と第2ネジ部250との所定の長さ以上の螺合を規制するスペーサとして作用する。ストッパ280は、図11に示すように一部を切り欠いた、いわゆるC字形状であって、所定の力を加えることによって第2ネジ部250の周囲から取り外すことができる。
【0119】
以上のように本実施形態の試薬採取容器200dでは、採取容器部210及び試薬容器部240が別体として形成されていることから、採取室211と試薬収容室241とを隔てる隔壁部230は、採取容器部210の第1壁部215及び試薬容器部240の第2壁部245によって構成される。
【0120】
以上に説明した構成を有する試薬採取容器200dを用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から薬液を採取し、試薬206を採取した薬液と反応させる際の作用を、以下に説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態において説明した薬液採取装置100を用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の第1の薬液貯留部10内から薬液を採取するものとする。
【0121】
まず、図13に示すように、採取容器部210の刺入部201に、薬液採取装置100の導管部110の他端部112を刺入し、他端部112を採取室211内にまで貫通させる。すると、第1の実施形態と同様に、大気圧である第1の薬液貯留部10内と負圧状態とされた採取室211内との圧力差によって、薬液205が、所定の体積だけ導管部110を介して採取室211内に移送される。
【0122】
次に、図14に示すように、第2ネジ部250の周囲に嵌め合わされたストッパ280を取り外す。これにより、採取容器部210を、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の螺合する長さを増やす方向に、試薬容器部240に対して相対的に回動させることが可能となる。すなわち、採取容器部210は、試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動することが可能となる。
【0123】
以下の説明において、採取容器部210が試薬容器部240に近づく方向へ相対的に移動するように、採取容器部210を試薬容器部240に対して相対的に回動させる動作を、採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込む、と称するものとする。また、ストッパ280を取り外した後は、薬液採取容器200dは、採取容器部210を試薬容器部240よりも上方に位置する姿勢で使用されるものとする。
【0124】
採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、まず採取容器部210の第1壁部215に設けられた第1押圧部218が、試薬容器部240の第2壁部245に当接する。さらに採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込むと、第2壁部245は、第1壁部215の第1押圧部218によって、試薬収容室241側に押圧される。言い換えれば、第1壁部215は、第1押圧部218が第2壁部245を押圧する反力によって、採取室211側に押圧される。
【0125】
ここで、第1壁部215の第1破断部216及び第2壁部245の第2破断部246について、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の中心軸に沿う方向に加えられる外力に対する強度は、第1破断部216よりも第2破断部246の方が高い。
【0126】
したがって、採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいき、第1壁部215を採取室211側に押圧する力が所定の力F1に達すると、図15に示すように、第1破断部216が凹部270内において破断する。第1破断部216が破断すると、採取室211内と凹部270とが連通し、採取室211内に収容されていた所定の体積の薬液205は、採取室211内から流れ出して第2壁面部245を底面部とした凹部270内に貯留される。
【0127】
図15の状態からさらに採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、採取容器部210の第2押圧部213が、試薬容器部240の第2壁部245に当接し、第2壁部245は、第2押圧部213によって試薬収容室241側に押圧される。
【0128】
さらに採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいき、第2押圧部213が第2壁部245を試薬収容室241側に押圧する力が所定の力F2に達すると、図16に示すように、第2破断部246が破断する。第2破断部246が破断すると、凹部270と試薬収容室241とが連通され、凹部270に貯留されていた所定の体積の薬液205は、試薬収容室241内に流れ込み試薬206と混合する。
【0129】
すなわち、本実施形態の薬液採取容器200dでは、採取容器部210を試薬容器部240に対して相対的に回動させる外力を加えることによって、採取室211と試薬収容室241とを隔てる隔壁部230が破断して採取室211と試薬収容室241とが連通し、試薬206を所定の体積の薬液205と反応させることができる。
【0130】
試薬収容室241の壁面部242は、吸光光度計の測定光を透過させることが可能なように、透明な部材で形成されていることから、薬液採取容器200d内の薬液205と試薬206との混合液を他の容器に移し替えることなく、吸光光度計を用いて薬液205の濃度を測定することが可能である。
【0131】
以上に説明したように、本実施形態によれば、薬液採取容器200dの刺入部201に、導管部110の他端部112を刺入するという簡易な作業のみで、採取室211内に正確に所定の体積の薬液205を採取することができる。
【0132】
そして本実施形態によれば、採取容器部210を採取容器部210と螺合する試薬容器部240に対して相対的に回動させて、採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込むという簡易な作業のみで、試薬206を所定の体積の薬液205と反応させることができ、容易かつ正確に薬液の薬効確認試験を行うことができる。具体的には、本実施形態の薬石採取容器200dを用いることによって、内視鏡洗浄消毒装置1の第1の薬液貯留部10内に貯留された薬液の濃度を、容易かつ正確に測定することができる。
【0133】
なお、第2の実施形態で説明したように、薬液は、第2の薬液貯留部20から採取する形態であってもよいことは言うまでもない。
【0134】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態を図17から図19を参照して説明する。第5の実施形態は、第4の実施形態に対して薬液採取容器の構成が異なる。以下では第4の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第4の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0135】
図17に示すように、本実施形態の薬液採取容器200eは、試薬容器部240の凹部270内に計量用凹部271を具備している。計量用凹部271は、第2壁部245から試薬収容室241とは反対側に延出して第2破断部246の周囲を囲う略筒状の側壁部272によって構成されている。
【0136】
計量用凹部271の側壁部271は、第1押圧部218と第2壁部245との当接、及び第2押圧部213と第2壁部245との当接を妨げないように配設されている。本実施形態では、第2ネジ部250の中心軸に沿って見た場合に、側壁部271は、第2押圧部213を隙間を有して囲むように配設されている。
【0137】
側壁部272の先端部は、円筒形状部249の先端部よりも第2壁部245側に位置している。すなわち、試薬採取容器200eを、採取容器部210を上側、試薬容器部240を下側として保持した場合に、側壁部272の先端部は円筒形状部249の先端部よりも下側に位置する。また側壁部272は、凹部270の側面部である円筒形状部249とは離間して配設されている。すなわち、計量用凹部271の周囲には溝部273が形成されている。
【0138】
以上に説明した構成を有する試薬採取容器200eを用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から薬液を採取し、試薬206を採取した薬液と反応させる際の作用を、以下に説明する。
【0139】
まず、第4の実施形態と同様に、採取容器部210の刺入部201に、薬液採取装置100の導管部110の他端部112を刺入し、他端部112を採取室211内にまで貫通させる。これにより、大気圧である第1の薬液貯留部10内と負圧状態とされた採取室211内との圧力差によって、薬液205が導管部110を介して採取室211内に移送される。
【0140】
次に、第2ネジ部250の周囲に嵌め合わされたストッパ280を取り外し、採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、まず採取容器部210の第1壁部215に設けられた第1押圧部218が、試薬容器部240の第2壁部245に当接する。そして、第1壁部215を採取室211側に押圧する力が所定の力F1に達すると、図18に示すように、第1破断部216が破断する。
【0141】
第1破断部216が破断すると、採取室211内と計量用凹部271内とが連通し、採取室211内に収容されていた所定の体積の薬液205は、採取室211内から計量用凹部271内に流れ出す。計量凹部271内は、所定の体積の薬液205aによって満たされ、計量用凹部271から溢れた薬液205bは、計量用凹部271の周囲の溝部273に貯留される。
【0142】
ここで、計量用凹部271に貯留される薬液205aの体積は、計量用凹部271の容積及び採取容器部210の計量用凹部271内に存在する部位の体積によって定められる。
【0143】
図18の状態からさらに採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、採取容器部210の第2押圧部213が、試薬容器部240の第2壁部245に当接する。第2押圧部213が第2壁部245を試薬収容室241側に押圧する力が所定の力F2に達すると、図19に示すように、第2破断部246が破断する。すなわち、計量用凹部271の底面部が破断し、計量用凹部271内と試薬収容室241内とが連通する。
【0144】
第2破断部246が破断すると、計量用凹部271に貯留されていた所定の体積の薬液205aは、試薬収容室241内に流れ込み、試薬206と混合される。一方、溝部273に貯留されている薬液205bは、溝部273内に留まったままとなる。
【0145】
したがって、本実施形態の薬液採取容器200eでは、採取室211内に採取した薬液205を計量用凹部271において計量し、所定の体積の薬液205aだけを試薬206と反応させることができる。
【0146】
本実施形態によれば、例えば、個々の試薬採取容器200eの採取室211内の圧力がばらつき、採取室211内に採取する薬液205の体積に変動が生じてしまった場合であっても、試薬採取容器200e内において所定の体積の薬液205aを正確に計量して試薬206と反応させることができる。
【0147】
したがって本実施形態によれば、試薬採取容器200eの製造時における採取室211内の圧力管理が容易となり、試薬採取容器200eの生産性を向上させることが可能となる。なお、その他の効果は、第4の実施形態と同様である。
【0148】
(第6の実施形態)
上述した第4の実施形態の薬液採取容器200dでは、採取容器部210を試薬容器部240に向かって近づく方向に相対的に移動させ、採取容器部210の推進力によって隔壁部230を押圧し、破断させる構成としたが、隔壁部230を破断させる方法はこれに限られるものではない。例えば、隔壁部230の少なくとも一部をせん断力によって破断させる構成であってもよい。
【0149】
以下に、本発明の第6の実施形態として、隔壁部230をせん断力によって破断させるように構成した薬液採取容器200fを図20及び図21を参照して説明する。なお、以下では第4の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第4の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0150】
図20に示すように、本実施形態の薬液採取容器200fは、採取室211を有する採取容器部310と、試薬収容室241を有する試薬容器部240とを具備して構成されている。採取容器部310は、底面部318において、試薬容器部240の第2壁部245の試薬収容室241とは反対側の面に固着されている。採取容器部310の底面部318は、第2壁部245に設けられた第2破断部246と重ならないように固着されることが好ましい。
【0151】
また、第1壁部315には、第1ネジ部220が形成された円筒形状部219が固着されている。円筒形状部219は、第1ネジ部220が試薬容器部240の第2ネジ部250と所定の山数だけ螺合した状態において、第1壁部315に固着されている。
【0152】
なお、第1壁部315を第2壁部245及び円筒形状部219に固着する方法は特に限定されるものではないが、接着や溶着によるものであってもよいし、嵌合によるものであってもよい。また、第1壁部315を第2壁部245及び円筒形状部219の少なくとも一方と一体に形成するものであってもよい。
【0153】
採取容器部310の側面部である第1壁部315の外周面には、所定の深さの溝部を周方向に形成することによって設けられた薄肉の第1破断部316が形成されている。第1破断部316は、第1壁部315の円筒形状部219が固着された箇所よりも底面部318側に形成されている。
【0154】
以上に説明した構成を有する試薬採取容器200fを用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から薬液を採取し、試薬206と採取した薬液とを反応させる際の作用を、以下に説明する。
【0155】
まず、第4の実施形態と同様に、採取容器部310の刺入部201に、薬液採取装置100の導管部110の他端部112を刺入し、他端部112を採取室211内にまで貫通させる。これにより、大気圧である第1の薬液貯留部10内と負圧状態とされた採取室211内との圧力差によって、所定の体積の薬液205が導管部110を介して採取室211内に移送される。
【0156】
次に、第2ネジ部250の周囲に嵌め合わされたストッパ280を取り外し、第1ネジ部220が形成された円筒形状部219を試薬容器部240に対して相対的に回動させると、一方が円筒形状部219に固着され、他方が試薬容器部240に固着された採取容器部310には、採取容器部310を第1ネジ部220の中心軸周りにひねる方向の力が加えられる。
【0157】
すなわち、円筒形状部219を試薬容器部240に対して相対的に回動させると、採取容器部310の側面部である第1壁部315には、せん断力が加えられる。そして、このせん断力が所定の値に達すると、第1壁部315は、薄肉の第1破断部316において破断する。第1破断部316が破断すると、採取室211内と凹部270内とが連通し、採取室211内に収容されていた所定の体積の薬液205は凹部270内に流れ出す。
【0158】
さらに円筒形状部219を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、第1壁部315の円筒形状部219に固着された部位が、試薬容器部240に近づく方向に移動する。そして、第1壁部315の円筒形状部219に固着された部位が試薬容器部240の第2壁部245に当接し、第2壁部245を試薬収容室241側に押圧する力が所定の強さに達すると、図21に示すように、第2破断部246が破断する。第2破断部246が破断すると、凹部270内と試薬収容室241内とが連通し、凹部270に貯留されていた所定の体積の薬液205は、試薬収容室241内に流れ込み試薬206と混合される。
【0159】
以上のように、せん断力によって採取容器部310の第1壁部315を破断させる本実施形態の試薬採取容器200fにおいても、第4の実施形態と同様に、所定の体積の薬液205を容易な操作で正確に採取することができ、さらに採取容器部210を試薬容器部240に対して相対的に回動させる外力を加えるという容易な操作によって、試薬206を所定の体積の薬液205と反応させ、薬液の薬効確認試験を行うことができる。
【0160】
(第7の実施形態)
上述した第4から第6の実施形態の薬液採取容器では、採取室211を密閉して負圧状態に保ち、かつ液体状の試薬206を試薬収容室241内に密閉するために、採取室211と試薬収容室241とを隔てる隔壁部230は2重壁構造とされている。このため、第4から第6の実施形態の薬液採取容器では、隔壁部230を構成する第1壁部及び第2壁部を順次に破断させる形態を有している。
【0161】
しかしながら、例えば試薬206が粉末状であって試薬収容室241を密閉する必要がない場合や、異なる構成によって試薬収容室241を密閉することが可能な場合には、隔壁部230は採取室211を密閉する壁面部のみとすることが可能である。
【0162】
以下に、本発明の第7の実施形態として、隔壁部230を採取室211を密閉する壁面部のみとした薬液採取容器200gを図22を参照して説明する。なお、以下では第4の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第4の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0163】
本実施形態では、採取容器部210の壁面部212は円筒形状を有する。一方、試薬容器部240の壁面部243には、壁面部212が挿通される円形の開口部290が形成されている。壁面部212は、第1ネジ部220及び第2ネジ部250の螺合に伴って、開口部290内において、中心軸周りの回動、及び中心軸に沿う方向への進退移動が可能である。
【0164】
試薬容器部240の開口部290には、開口部290の内周面と壁面部243の外周面に密接する、Oリング等からなるシール部291が配設されている。シール部291は、壁面部212が中心軸周りの回動及び中心軸に沿う方向への進退移動を行ったとしても、開口部290の内周面と壁面部243の外周面に密接した状態を維持する。このように、本実施形態の試薬採取容器200gでは、試薬容器部240の開口部290は、シール部291及び採取容器部210の壁面部212により密閉される。したがって本実施形態では、採取室211と試薬収容室241とを隔てる隔壁部230は壁面部212のみによって構成される。
【0165】
また、試薬容器部240の開口部290内には、採取容器部210が試薬容器部240側にねじ込まれた場合に、採取容器部210の第1壁部215に当接し、第1壁部215を採取室211側に押圧する第1押圧部292が設けられている。
【0166】
以上に説明した構成を有する試薬採取容器200gを用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から薬液を採取し、試薬206を採取した薬液と反応させる際の作用を、以下に説明する。
【0167】
まず、第4の実施形態と同様に、採取容器部210の刺入部201に、薬液採取装置100の導管部110の他端部112を刺入し、他端部112を採取室211内にまで貫通させる。これにより、大気圧である第1の薬液貯留部10内と負圧状態とされた採取室211内との圧力差によって、所定の体積の薬液205が導管部110を介して採取室211内に移送される。
【0168】
次に、第2ネジ部250の周囲に嵌め合わされたストッパ280を取り外し、採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込んでいくと、採取容器部210の第1壁部215が、試薬容器部240内において、試薬容器部240に設けられた第1押圧部292に当接する。さらに採取容器部210を試薬容器部240側にねじ込み、第1押圧部292が第1壁部215を採取室211側に押圧する力が所定の力F1に達すると、第1破断部216が破断する。第1破断部216が破断すると、採取室211内に収容されていた所定の体積の薬液205は、試薬収容室241内に流れ出し、試薬206と混合される。
【0169】
以上のように、本実施形態の試薬採取容器200gにおいても、第4の実施形態と同様に、所定の体積の薬液205を容易な操作で正確に採取することができ、さらに採取容器部210を試薬容器部240に対して相対的に回動させる外力を加えることによって、試薬206を所定の体積の薬液205と反応させ、薬液の薬効確認試験を行うことができる。
【0170】
(第8の実施形態)
以下に、本発明の第8の実施形態を図23から図25を参照して説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0171】
本実施形態の薬液採取容器400は、概略的には、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部に貯留された薬液の薬効を試験するために、薬液貯留部から所定の体積の薬液を内部に採取し、内部において試薬を薬液と反応させるためのものである。
【0172】
ここで、薬液の薬効確認試験の目的及び形態は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、薬液採取容器400は、薬液の濃度を測定するために液体状の試薬を試薬と反応させるものとする。また、本実施形態では、薬液の薬効確認試験は、薬液採取容器400内において混合された薬液と試薬との混合液の吸光度を吸光光度計によって測定し、この測定結果に基づいて薬液の濃度を算出するものとする。
【0173】
図23に示すように、本実施形態の薬液採取容器400は、シリンダ部401、ピストン部403、操作ロッド部404、ストッパ405及び逆止弁420を具備して構成されている。シリンダ部401は略円筒形状を有し、一端側にノズル402が設けられており、他端側は開放されている。シリンダ部401は、少なくとも一部が、吸光光度計の測定光を透過させることが可能なように、透明な部材により構成されている。
【0174】
シリンダ部401内には、ピストン部403が配設されている。ピストン部403は、シリンダ部401内を摺動可能であって、シリンダ部401内の空間を一端側及び他端側の2つの空間に気密に区画する部材である。ここで、シリンダ部内においてピストン部403によって2つに区画される空間のうち、ピストン部403よりも一端側(ノズル402側)の空間を採取室406と称するものとする。採取室406は、ノズル402を介してのみ外部に連通する空間であって、ピストン部403の移動によって容積が変化する。
【0175】
ピストン部403の他端側(採取室406とは反対側)には、操作ロッド部404が固設されている。操作ロッド部404は、棒状の部材であって、一端がピストン部403に固定され、他端がシリンダ部401の他端側に延出している。操作ロッド部404は、ピストン部403がシリンダ部401の一端側に位置している状態において、シリンダ部401の他端よりも外側に突出する長さを有する。
【0176】
本実施形態の試薬採取容器400では、操作ロッド部404に軸方向の力を加えることによって、シリンダ部401内においてピストン部403が移動し、採取室406の容積が変化する。すなわち、本実施形態の試薬採取容器400は、注射器状の構成を有する。
【0177】
シリンダ部401の他端の開口部には、ストッパ405が配設されている。ストッパ405は、シリンダ部401内においてピストン部403が一端側から他端側へ所定の位置にまで移動した場合にピストン部403に当接し、ピストン部403の移動範囲を規定する部材である。
【0178】
ノズル402には、逆止弁420が配設されている。逆止弁420は、シリンダ部401の外部からノズル402を介して採取室406内へ至る流体の流れのみを許容し、採取室406内からノズル402を介してシリンダ部401外へ至る流体の流れを規制する。
【0179】
また、ノズル402には、管状の部材である導管部410の他端部412が接続されている。導管部410は、図24に示すように、内視鏡洗浄消毒装置1の第1の薬液貯留部10に設けられた開口部15から、第1の薬液貯留部10内に挿入することができる。導管部410は、第1の薬液貯留部10内に挿入された状態において、一端部411が少なくとも第1の薬液貯留部10の満水水位L1よりも低い位置にまで届く長さを有する。なお、導管部410は、一端部411が第1の薬液貯留部10の下限水位L2よりも低い位置にまで届く長さを有することが好ましい。
【0180】
また、本実施形態では、ピストン部403を移動範囲の一端側からストッパ405に当接しない所定の距離だけ移動させた状態において、採取室406内に所定の体積の試薬430が充填されている。試薬430が充填された採取室406は、ピストン部403及び逆止弁420によって密閉されているため、例えば操作ロッド部404に外力が加えられた場合であっても試薬430が外部に漏出することはない。言い換えれば、本実施形態では、逆止弁420がノズル402に設けられていることによって、ピストン部403の他端側から一端側へ向かう移動が規制されるのであり、逆止弁420は、ピストン部403に対していわゆる逆進防止機構として作用する。
【0181】
以上に説明した構成を有する薬液採取容器400を用いて、第1の薬液貯留部10内に貯留された薬液を採取するには、図24に示すように、第1の薬液貯留部10に設けられた開口部15に、導管部410を挿入する。これにより、第1の薬液貯留部10内に挿入された導管部410の一端部411は、薬液431の液面よりも下方に位置する。また、導管部410の他端部412は、薬液431の液面よりも上方に位置する。
【0182】
次に、導管部410の一端部411を液面より下方に位置させたままの状態、すなわちシリンダ部401の位置を保持した状態で、図25に示すように、操作ロッド部404にシリンダ部404の他端側に向かう力を加えて、ピストン部403をストッパ405に当接する位置まで移動させる。
【0183】
ピストン部403の他端側への移動によって、採取室406内が大気圧よりも低い所定の圧力(負圧状態)となる。このため、大気圧である第1の薬液貯留部10内と、薬液採取容器400の採取室202内との圧力差によって、第1の薬液貯留部10内の薬液431が、導管部410を介して採取室406内に移送される。ここで、薬液採取容器400の採取室406内に所定の体積の薬液431が移送されると、第1の薬液貯留部10内と採取室406内との圧力差が無くなり、薬液431の移送が終了する。採取室406内に移送された所定の体積の薬液431は、あらかじめ採取室406内に充填されていた試薬430と混合される。
【0184】
そして、シリンダ部401は、吸光光度計の測定光を透過させることが可能なように、透明な部材で形成されていることから、採取室406内の薬液431と試薬430との混合液を他の容器に移し替えることなく、吸光光度計を用いて薬液431の濃度を測定することが可能である。
【0185】
また、逆止弁420が設けられていることによって、採取室406内の試薬430と薬液431との混合液は外部に漏出することがなく、吸光光度計を用いた濃度の測定時の薬液採取容器400の扱いは容易である。
【0186】
以上に説明したように、本実施形態によれば、導管部410を第1の薬液貯留部10内に挿入し、操作ロッド部404を引っ張るという簡易な工程の作業のみで、薬液採取容器400内に正確に所定の体積の薬液431を採取し、かつ試薬430を所定の体積の薬液431と反応させ、薬液431の薬効確認試験を行うことができる。
【0187】
なお、以上に説明した本実施形態では、試薬採取容器400のノズル402に導管部410が固定された構成としているが、導管部410はノズル402に対して脱着可能であって、導管部410が内視鏡洗浄消毒装置1の第1の薬液貯留部10の通気口15に固定される形態であってもよい。
【0188】
(第9の実施形態)
以下に、本発明の第9の実施形態を図26から図28を参照して説明する。第9の実施形態は、第8の実施形態に対して薬液採取容器の構成が異なる。以下では第8の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第8の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0189】
本実施形態の薬液採取容器400bは、シリンダ部401の内周面401a、すなわちピストン部403の摺動面から内側に相対的に突出する複数の凸部が設けられている。複数の凸部は、第1凸部441、第2凸部442、第3凸部443及び第4凸部444からなる。
【0190】
第1凸部441は、ピストン部403の一端側から他端側への移動を許容し、他端側から一端側への移動を規制するように構成されている。すなわち第1凸部441は、いわゆる逆進防止機構としての作用を有する。
【0191】
具体的には、第1凸部441は、シリンダ部401の一端側から他端側に向って縮径するテーパ面441aと、テーパ面441aの他端側に設けられシリンダ部401の中心軸に略直交する平面部441bを有してなる。
【0192】
ピストン部403が一端側から他端側へ移動する場合、ピストン部403は、第1凸部441が形成された箇所においてテーパ面441aの大径側から小径側へ向かって移動する。この場合、第1凸部441及びピストン部403の少なくとも一方が弾性変形することによって、ピストン部403は、第1凸部441が形成された箇所を通過することができる。また、ピストン部403が第1凸部441が形成された箇所を通過する際にも、ピストン部403による採取室406の気密は保たれる。
【0193】
一方、ピストン部403が他端側から一端側へ移動する場合、ピストン部403は、第1凸部441が形成された箇所において平面部441bに突き当たり、他端側から一端側への移動が規制される。
【0194】
第2凸部442は、第1凸部441の他端側に配設されている。第2凸部442は、ピストン部403の両方向への移動を許容するように構成されている。また、第2凸部442は、ピストン部403が第2突部442が形成された箇所を通過する場合に、ピストン部403の移動に所定の抵抗を与えるように構成されている。第2凸部442は、ピストン部403の一端側が第1凸部441の平面部441bに当接した状態において、ピストン部403の他端側に当接する位置に配設されている。
【0195】
第3凸部443は、第2凸部442の他端側に配設されている。第3凸部443は、第1凸部441と同様に、ピストン部403の一端側から他端側への移動を許容し、他端側から一端側への移動を規制するように構成されている。
【0196】
すなわち、第3凸部443は、シリンダ部401の一端側から他端側に向って縮径するテーパ面443aと、テーパ面443aの他端側に設けられシリンダ部401の中心軸に略直交する平面部443bを有してなる。なお、ピストン部403が第3凸部443が形成された箇所を通過する際にも、ピストン部403による採取室406の気密は保たれる。
【0197】
第4凸部444は、第3凸部443の他端側に配設されている。第4凸部444は、ピストン部404の他端側に当接することによって、ピストン部404の他端側への移動を規制するように構成されている。第4凸部444は、ピストン部403の一端側が第3凸部443の平面部443bに当接した状態において、ピストン部403の他端側に当接する位置に配設されている。
【0198】
なお、以上に述べた第1凸部441、第2凸部442、第3凸部443及び第4凸部444は、それぞれ内周面401の周方向に、全周にわたって形成されるものであってもよいし、周方向の一部に形成されるものであってもよい。また、第1凸部441、第2凸部442、第3凸部443及び第4凸部444は、吸光光度計の測定光の透過を妨げることがないように配設される。
【0199】
以上に説明した構成を有する薬液採取容器400bを用いて、内視鏡洗浄消毒装置1の薬液貯留部から薬液を採取し、試薬を採取した薬液と反応させる際の作用を、以下に説明する。
【0200】
まず、図26のように、ピストン部403がシリンダ部401の一端側に突き当たった状態で、ノズル402又はノズル402に接続された導管部410の一端部411を、図示しない容器内に貯留された試薬内に浸す。そして、操作ロッド部404にシリンダ部404の他端側に向かう力を加えて、ピストン部403の一端側が第1凸部441の平面部441bに当接する位置にまでピストン部403を移動させる。
【0201】
これにより、採取室406内は負圧状態となり、図27に示すように所定の体積の試薬430が採取室406内に移送される。この状態において、ピストン部403の一端側への移動は第1凸部441によって規制されているため、例えば操作ロッド部404に一端側へ押圧する力が加えられた場合であっても試薬430が外部に漏出することはない。また、この状態からピストン部403を他端側へ移動させる場合には、ピストン部403の移動に第2凸部442を通過するための抵抗が加わる。このため、操作ロッド部404に所定の強さの力が加えられない限り、ピストン部403が不意に移動してしまうことがない。
【0202】
次に、第1の薬液貯留部10に設けられた開口部15に、導管部410を挿入する。これにより、第1の薬液貯留部10内に挿入された導管部410の一端部411は、薬液431の液面よりも下方に位置する。また、導管部410の他端部412は、薬液431の液面よりも上方に位置する。
【0203】
そして、導管部410の一端部411を液面より下方に位置させたままの状態で、図28に示すように、操作ロッド部404にシリンダ部404の他端側に向かう力を加えて、ピストン部403を第4凸部444に当接する位置まで移動させる。
【0204】
ピストン部403の他端側への移動によって、採取室406内は負圧状態となり、第1の薬液貯留部10内から、所定の体積の薬液が採取室406内に移送される。採取室406内に移送された所定の体積の薬液431は、あらかじめ採取室406内に充填されていた試薬430と混合される。
【0205】
そして、シリンダ部401は、吸光光度計の測定光を透過させることが可能なように、透明な部材で形成されていることから、採取室406内の薬液431と試薬430との混合液を他の容器に移し替えることなく、吸光光度計を用いて薬液431の濃度を測定することができる。
【0206】
また、ピストン部403の他端側が第4凸部444に当接した状態において、ピストン部403の一端側は第3凸部443の平面部443bに当接する。したがってこの状態では、ピストン部403の移動は両方向とも規制される。よって、操作ロッド部404に外力が加えられた場合であっても、採取室406の容積は変化せず、採取室406内の試薬430と薬液431との混合液が外部に漏出してしまうことがない。
【0207】
以上に説明したように、本実施形態によれば、操作ロッド部404を引っ張るという簡易な工程の作業のみで、薬液採取容器400b内に正確に所定の体積の試薬430及び薬液431を採取し、かつ試薬430を所定の体積の薬液431と反応させ、薬液431の薬効確認試験を行うことができる。
【0208】
また、本実施形態では、ピストン部403の一端側への移動を規制する第1凸部441及び第3凸部443によって、採取室406から液体が漏出することを防止している。このため、第8の実施形態のようにノズル402に逆止弁を設ける必要が無く、安価に製造することができる。
【0209】
なお、上述した説明では、所定の体積の試薬430を採取室406内に採取する操作と、所定の体積の薬液431を採取室406内に採取する操作を連続したものとして説明したが、薬液採取容器400bは、製造段階で採取室406内に所定の体積の試薬431が充填された状態(図27に示す状態)で提供される形態であってもよい。この場合、薬液採取容器400bは、ノズル402又は導管部410の一端部411が、キャップにより封止された状態で提供されることが好ましい。
【0210】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡洗浄消毒装置、薬液採取装置及び薬液採取容器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0211】
上述のように、本発明は、薬液を用いて内視鏡を処理する内視鏡洗浄消毒装置、薬液採取装置及び薬液採取容器に対して好適である。
【符号の説明】
【0212】
1 内視鏡洗浄消毒装置、
1b 第2の実施形態の内視鏡洗浄消毒装置、
4 移送管路、
5 ポンプ、
6 薬液導入管路、
7 薬液供給部、
10 第1の薬液貯留部、
11 桶状部、
12 蓋部、
13 ヒンジ部、
14 パッキン、
15 通気口、
15a 端面部、
20 第2の薬液貯留部、
100 薬液採取装置、
100c 第3の実施形態の薬液採取装置、
101 保持部、
102 係合部、
102a 突き当て部、
103 凹部、
104 底面部、
105 管路、
106 案内部、
110 導管部、
111 一端部、
112 他端部、
120 フィルタ部、
121 弾性部材、
122 スライダ、
200 薬液採取容器、
200d 第4の実施形態の薬液採取容器、
200e 第5の実施形態の薬液採取容器、
200f 第6の実施形態の薬液採取容器、
200g 第7の実施形態の薬液採取容器、
201 刺入部、
202 採取室、
205 薬液、
206 試薬、
210 採取容器部、
211 採取室、
212 壁面部、
213 第2押圧部、
215 第1壁部、
216 第1破断部、
217 厚肉部、
218 第1押圧部、
219 円筒形状部、
220 第1ネジ部、
230 隔壁部、
240 試薬容器部、
241 試薬収容室、
242 壁面部、
243 壁面部、
245 第2壁部、
246 第2破断部、
247 厚肉部、
249 円筒形状部、
250 第2ネジ部、
270 凹部、
271 計量用凹部、
272 側壁部、
273 溝部、
280 ストッパ、
290 開口部、
291 シール部、
292 第1押圧部、
310 採取容器部、
315 第1壁部、
316 第1破断部、
318 底面部、
400 薬液採取容器、
400b 第9の実施形態の薬液採取容器、
401 シリンダ部、
402 ノズル、
403 ピストン部、
404 操作ロッド部、
405 ストッパ、
406 採取室、
410 導管部、
411 一端部、
412 他端部、
420 逆止弁、
430 試薬、
431 薬液、
L1 満水水位、
L2 下限水位、
L3 満水水位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を一端部が、前記薬液貯留部内において前記薬液貯留部の満水水位よりも低い位置に配置され、他端部が、前記満水水位よりも高い位置に配置されてなる導管部を介して薬液採取容器内に採取する薬液採取装置であって、
前記薬液採取容器は、内部が負圧に保たれた採取室、及び前記採取室を密閉し前記導管部の前記他端部を刺入可能な刺入部を有してなることを特徴とする薬液採取装置。
【請求項2】
前記他端部の下方において上方に開口する凹部と、
前記薬液貯留部内及び前記凹部の底面部を連通する管路と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の薬液採取装置。
【請求項3】
前記薬液採取容器を、前記刺入部が前記他端部と対向するように支持し、かつ前記薬液採取容器を前記他端部の中心軸に沿って移動するように案内する案内部を具備することを特徴とする請求項2に記載の薬液採取装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記他端部を囲い、前記刺入部を挿入可能な開口部を有する筒形状であって、
前記開口部は、前記他端部よりも他端側に配設される
ことを特徴とする請求項3に記載の薬液採取装置。
【請求項5】
前記案内部内に前記他端部に沿って移動可能に配設され、前記他端部が貫通可能なフィルタ部と、
前記フィルタ部を前記案内部の開口部側に付勢する弾性部材と、
を具備し、
前記フィルタ部は、前記刺入部が前記案内部内に挿入されていない状態では、前記案内部内において前記他端部よりも前案内部の開口部側に位置することを特徴とする請求項4に記載の薬液採取装置。
【請求項6】
薬液を用いて内視鏡を処理する内視鏡洗浄消毒装置であって、
請求項1から5に記載の薬液採取装置を具備することを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項7】
内視鏡を処理する薬液を貯留した薬液貯留部内から、所定の体積の前記薬液を採取する薬液採取容器であって、
内部が負圧に保たれた採取室と、
前記採取室を密閉し、一端部が前記薬液貯留部内に配置された導管部の他端部を刺入可能な刺入部と、を具備し、
前記刺入部は、弾性を有し、前記他端部が刺入された場合に前記他端部の外周に密接し、前記他端部が前記刺入部から抜去された場合に前記採取室を密閉することを特徴とする薬液採取容器。
【請求項8】
前記薬液と反応する試薬を収容することを特徴とする請求項7に記載の薬液採取容器。
【請求項9】
前記試薬を収容し、前記採取室と隔壁部によって隔たれ、前記採取室に対して相対的に移動可能に配設された試薬収容室と、
前記隔壁部に設けられ、前記採取室及び前記試薬収容室を相対的に移動させることによって前記隔壁部に加えられる力により破断して前記採取室及び前記試薬収容室を連通させる破断部と、
を具備することを特徴とする請求項8に記載の薬液採取容器。
【請求項10】
前記採取室を密閉する壁面部に設けられた第1壁部と、
前記試薬収容室を密閉する壁面部に設けられた第2壁部と、
前記第1壁部に設けられ、前記第1壁部に加えられる所定の第1の力によって破断する第1破断部と、
前記第2壁部に設けられ、前記第2の壁部に加えられる前記第1の力よりも強い所定の第2の力によって破断する第2破断部と、
前記第2壁部の前記第2破断部が設けられた箇所を底面部として、前記採取室側に開口する凹部と、を具備し、
前記隔壁部は、前記第1壁部及び前記第2壁部によって構成され、
前記破断部は、前記第1破断部及び前記第2破断部によって構成され、
前記第1破断部は、破断することによって前記採取室内と前記凹部内とを連通させ、
前記第2破断部は、破断することによって前記凹部内と前記試薬収容室内とを連通させることを特徴とする請求項9に記載の薬液採取容器。
【請求項11】
前記採取室及び前記試薬収容室は、互いに近づく方向に移動可能であって、
前記前記採取室及び前記試薬収容室の互いに近づく方向への移動に伴い、前記第1壁部を前記採取室内に向かって押圧する第1押圧部と、
前記前記採取室及び前記試薬収容室を、前記第1押圧部が前記第1壁部を押圧する位置よりもさらに近づけた場合に、前記第2壁部を前記試薬収容室内に向かって押圧する第2押圧部と、
を具備することを特徴とする請求項10に記載の薬液採取容器。
【請求項12】
前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記採取室及び前記試薬収容室の互いに近づく方向について互いに対向して配設され、
前記第1押圧部は、前記第1壁部及び前記第2壁部との間に配設され、
前記第2押圧部は、前記採取室を密閉する壁面部に固設されることを特徴とする請求項11に記載の薬液採取容器。
【請求項13】
前記採取室及び前記試薬収容室は、互いに螺合する第1ネジ部及び第2ネジ部を具備し、前記第1ネジ部及び前記第2ネジ部の螺合によって互いに近づく方向に移動することを特徴とする請求項12に記載の薬液採取装置。
【請求項14】
前記凹部の内側に設けられ、前記第2壁部の前記第2破断部が設けられた箇所を底面部とした計量用凹部と、
前記凹部の内側において、前記計量用凹部の周囲を囲う溝部と、を具備し、
前記第1破断部は、前記計量用凹部内において破断して前記採取室内及び前記計量用凹部内を連通させることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の薬液採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−92425(P2011−92425A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249371(P2009−249371)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】