説明

薬液検出装置

【課題】各種の点滴筒にセンサホルダを取り付けることができると共に、製造コストを抑えた薬液検出装置を提供する。
【解決手段】薬液検出装置1は、点滴筒110に着脱可能に取り付けられるセンサホルダ10とアラーム本体20とを備える。このセンサホルダ10は、点滴筒110の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタ30と、アダプタ30を収容するアダプタ収容部15とを備える。そして、センサホルダ10は、点滴筒110の種類に応じたアダプタ30がアダプタ収容部15に装着されて、アダプタ30に点滴筒110が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、点滴により薬液を被検体に投与する場合の関心事項は、投薬速度と投薬終了のタイミングである。そのため、従来、投薬担当者は、点滴ボトルと点滴針との間に介挿された点滴筒を落下する薬液を目視し、投薬速度と投薬終了のタイミングを確認していた。
【0003】
しかし、医師や看護師の不足により、投薬担当者の職務は多岐に亘り、点滴を絶えず監視することが困難となっている。そのため、点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この薬液検出装置は、センサによって薬液の落下を検出している。センサは、発光素子と受光素子とから構成されており、点滴筒に取り付けられるセンサホルダに内蔵されている。センサホルダには、挿入口が貫設されており、センサホルダは、当該挿入口に点滴筒が挿入されることによって、点滴筒に取り付けられる。
【0005】
センサホルダが点滴筒に取り付けられた状態では、発光素子と受光素子は、薬液の落下軌跡を挟み込むように対向する。薬液が発光素子と受光素子との間に存在するタイミングでは、受光素子の受光量は、薬液の表面での反射や薬液内での吸収により、発光素子からの出射量より少なくなる。そのため、受光素子から出力された信号の強度を分析することで、薬液の落下の有無を検出することができる。
【0006】
薬液の落下を検出した場合には、ランプを点灯させ、薬液の落下を所定時間以上検出できない場合には、終了のブザー音を出力することで、投薬速度や投薬終了を投薬担当者に報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3055280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、現在、点滴筒には各種が存在する。すなわち、点滴筒を製造するメーカによって、点滴筒の外径が異なる。また、小児用の点滴筒には、薬液の滴下量を絞るための絞り筒が設けられているため、大人用の点滴筒に比べ、滴下口が低い位置にある。
【0009】
そのため、従来は、センサホルダを各種の点滴筒に合わせて用意しなくてはならなかった。具体的には、点滴筒の各種外径に合わせた挿入口を有するセンサホルダを各種用意しなくてはならない。更に、小児用の点滴筒に対応させて、センサを絞り筒の先端よりも低い位置に設置したセンサホルダを用意しなくてはならない。
【0010】
他の種類のセンサホルダで代用しようとすると、センサホルダの挿入口と点滴筒の外径が合わず、点滴筒を潰してしまい、所望の投薬速度にならなかったり、センサホルダが点滴筒を一定の圧力で挟持することができず、センサホルダが点滴筒から脱落してしまったり、点滴筒の位置決めが定まらず、精度のよい薬液検出が困難になってしまうためである。
【0011】
しかしながら、センサホルダを各種の点滴筒に合わせて用意しようとすると、各種センサホルダを製造する各種金型を用意する必要があり、製造ラインも併設しなくてはならず、センサホルダの製造コストは著しく高くなってしまう。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、各種の点滴筒にセンサホルダを取り付けることができ、製造コストを抑えた薬液検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明に係る薬液検出装置は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有するセンサを内蔵し、前記点滴筒に着脱可能に取り付けられるセンサホルダと、前記センサから出力される信号に基づき、前記薬液の検出結果を報知する報知手段と、を備え、前記センサホルダは、前記点滴筒の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタと、前記アダプタを収容する収容手段と、を更に備え、前記点滴筒の種類に応じた前記アダプタが前記収容手段に装着されて、当該アダプタに前記点滴筒が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられること、を特徴とする。
【0014】
前記アダプタは、板形状を有し、板面を貫通し、対応の前記点滴筒の径よりも若干小さい嵌合孔と、前記嵌合孔から外縁まで前記板面を切り欠いて形成される断絶部と、前記嵌合孔に沿って前記断絶部に至るまで前記嵌合孔を挟むようにそれぞれ延び、前記嵌合孔に挿嵌される前記点滴筒を両側から挟持する撓み可能な一対の挟持部と、を有し、前記収容手段の側壁と前記挟持部との間の隙間と前記嵌合孔の径との合計値が前記対応の点滴筒の径と同一であり、前記挟持部が前記収容手段の側壁に当接するまで撓んだときの前記嵌合孔の径は、前記対応の点滴筒の径と同一となるようにしてもよい。
【0015】
前記アダプタは、前記嵌合孔の内周面に設けられ、前記挟持部の拡がりを容易にする切欠部を更に備えるようにしてもよい。
【0016】
前記挟持部は、外縁に湾曲面を有し、前記収容手段の側壁は、前記挟持部の湾曲面との対向部分に湾曲面を有し、前記挟持部の湾曲面の曲率は、前記収容手段の側壁の湾曲面よりも大きく、この挟持部の湾曲面の曲率によって前記隙間の長さが設定されているようにしてもよい。
【0017】
前記点滴筒は、上端にフランジを有し、前記アダプタは、前記嵌合孔の周縁に掘り込まれた前記フランジの座面を更に備えるようにしてもよい。
【0018】
前記点滴筒は、上端に設けられたフランジと、内部に設けられた小児用に投薬速度を調整する絞り筒と、を備え、前記アダプタは、前記嵌合孔の周縁に形成され、前記絞り筒の長さと同一か若干高く、前記フランジが当接する立壁を更に備えるようにしてもよい。
【0019】
前記アダプタは、半円筒形状を有し、内径が対応の前記点滴筒の径よりも若干狭く、対応の前記点滴筒が介挿されると、筒壁が拡がって当該点滴筒を挟持するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、センサホルダを各種点滴筒に合わせて用意する必要はなく、薬液検出装置の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】薬液検出装置が備えるセンサホルダの詳細構成を示す図である。
【図3】アダプタの一例を示す図である。
【図4】アダプタが有する挟持部の機能を示す図である。
【図5】小児用の点滴筒に対応するアダプタを示す図である。
【図6】小児用の点滴筒に対応するアダプタのセンサホルダへの取り付け態様を示す断面図である。
【図7】アダプタの他の例を示す斜視図である。
【図8】他の例に係るアダプタのセンサホルダへの取り付け態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る薬液検出装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。この薬液検出装置1は、薬液120を検出するセンサ11を内蔵するセンサホルダ10と、検出結果を報知するアラーム本体20とを備える。センサホルダ10とアラーム本体20とは、ケーブルにより接続される。センサ11の出力信号がケーブルを介してアラーム本体20に入力され、アラーム本体20が備える電源から電力がケーブルを介してセンサホルダ10内のセンサ11へ供給される。アラーム本体20による報知内容は、薬液120の投薬中又は投薬終了である。薬液120は、薬用効果を有する液体であり、麻酔薬や点滴薬が挙げられる。
【0024】
薬液120は、薬液ボトル100に収容されており、薬液ボトル100からチューブを通って点滴筒110に流入する。点滴筒110内では、薬液120は、チューブと導通する滴下口140から落下し、下部に一時的に貯留される。センサホルダ10は、この点滴筒110に着脱可能に取り付けられる。
【0025】
具体的には、センサホルダ10には、点滴筒110が挿入される挿入口13が設けられている。挿入口13は、センサホルダ10の上面から下面へセンサホルダ10を貫いて設けられる。点滴筒110は、この挿入口13に挿入される。センサ11は、発光素子11aと受光素子11bを有する。発光素子11aと受光素子11bとは、挿入口13を挟んで対向して配置されており、点滴筒110の挿入時には薬液120の落下軌跡を挟む。
【0026】
また、センサホルダ10には、点滴筒110を挟持するアダプタ30が着脱自在に取り付けられる。アダプタ30は、点滴筒110を周囲から一定圧力で挟持する板状部材である。このアダプタ30には、挿入口13と対応する位置に嵌合孔31が設けられている。嵌合孔31は、点滴筒110を圧嵌する。
【0027】
アラーム本体20は、センサ11の出力信号に応じて、薬液120の投薬中又は投薬終了を報知する。ここで、薬液120が麻酔薬である場合、麻酔薬の点滴筒110内の落下態様は、液柱が形成される流下である。薬液120が点滴薬である場合、点滴薬の点滴筒110内の落下態様は、点滴滴の滴下である。
【0028】
従って、アラーム本体20は、麻酔薬が投薬される場合、センサ11の出力信号が流下を示しているか否かに応じて、麻酔薬の投薬中又は投薬終了を報知する。麻酔薬の流下中、受光素子11bの受光量は、麻酔薬の液柱表面での反射や液柱内での吸収により、発光素子11aからの出射量より少なくなる。アラーム本体20は、センサ11から出力される信号の強度によって投薬中と投薬終了とを区別する。
【0029】
点滴薬が投薬される場合、アラーム本体20は、センサ11の出力信号が滴下を示しているか否かに応じて、点滴薬の投薬中又は投薬終了を報知する。点滴薬が滴下している間、センサ11から出力される信号は、点滴薬が滴下したタイミングでは出射光が阻害されて小さくなるため、パルス波となる。アラーム本体20は、センサ11から出力される信号がパルス波か否かによって、投薬中と投薬終了とを区別する。
【0030】
尚、アラーム本体20には、薬液120が麻酔薬であるか、点滴薬であるかを切り替える手動スイッチが設けられている。
【0031】
このアラーム本体20は、投薬中ランプ21と投薬終了ランプ22とスピーカ23とボリューム摘み24とを備えている。アラーム本体20は、薬液120の落下を検出すると投薬中ランプ21を点滅させる。一方、アラーム本体20は、薬液120の落下を検出しなければ、投薬終了ランプ22を点灯させ、スピーカ23からブザー音を出力する。ブザー音の音量は、ボリューム摘み24によって調節可能となっている。
【0032】
また、このアラーム本体20は、両端がアラーム本体20の上端面に固定された紐部材25を有する。薬液検出装置1の使用時において、アラーム本体20は、紐部材25を薬液ボトル用スタンドに引っかけることで薬液ボトル100と共に吊される。これにより、センサホルダ10にアラーム本体20の荷重が掛からず、センサホルダ10の点滴筒110からの離脱可能性が低下している。
【0033】
図2は、この薬液検出装置1が備えるセンサホルダ10の詳細構成を示す図であり、(a)はアダプタ30が装着されたセンサホルダ10を前面側から見た斜視図、(b)はアダプタ30が装着されたセンサホルダ10の上面図、(c)はセンサホルダ10の上側筐体を背面側から見た斜視図、(d)はアダプタ30が装着されたセンサホルダ10の背面図である。
【0034】
図2に示すように、センサホルダ10は、面取りされた直方体形状を有している。センサホルダ10には、挿入口13の他に、挿入された点滴筒110が目視可能な露出窓14が設けられている。
【0035】
露出窓14は、センサホルダ10の一側面を上端から下端に至るまで一定幅で掘り込まれて形成され、掘り込みの深さは挿入口13に至る。この露出窓14は、挿入口13内部とセンサホルダ10の外部とを側面から連通させている。
【0036】
センサホルダ10の上部には、アダプタ収容部15が形成されており、このアダプタ収容部15にアダプタ30が着脱可能に挿入される。アダプタ収容部15は、センサホルダ10の背面側から挿入口13の開口全域に及び、その範囲が上面から掘り込まれて形成され、アダプタ30と略同一の形状及び略同一の大きさを有する。
【0037】
アダプタ収容部15の底面には、突起15aが設けられている。一方でアダプタ30の底面、すなわちアダプタ収容部15の底面と接する面には、凹部(図示せず)が設けられている。アダプタ収容部15にアダプタ30を収容されると突起15aに凹部が引っかかり、アダプタ30は、アダプタ収容部15内に係止される。
【0038】
更に、アダプタ収容部15を画する壁の上端には、係合鍔16が形成されている。係合鍔16は、アダプタ収容部15の周縁部分を覆うように、アダプタ収容部15の底面と平行に突出している。アダプタ収容部15にアダプタ30が収容されたときに、アダプタ30の上面が係合鍔16と当接する。これによって、アダプタ30がセンサホルダ10の上方へ抜けてしまうことが防止されている。
【0039】
アダプタ30は、点滴筒110の径に合わせて各種用意される。図3は、アダプタ30の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。図3に示すアダプタ30は、直径Lcの点滴筒110にセンサホルダ10を取り付ける場合に用いられる。
【0040】
まず、アダプタ30の嵌合孔31の周縁は、上面から掘り込まれ、フランジ座面32が形成されている。このフランジ座面32には、使用時に点滴筒110のフランジ130が載嵌される。
【0041】
さらに、アダプタ30は、嵌合孔31の周方向に沿ってそれぞれ延びる一対の挟持部34、34が嵌合孔31を挟むように設けられる。挟持部34、34の両先端は、切り離されている。換言すると、アダプタ30は、嵌合孔31とアダプタ30の外部とを連通させる断絶部33を有する。
【0042】
この挟持部34の外縁には、アダプタ30の内側方向へ湾曲した湾曲面35が形成されている。湾曲面35で挟まれた領域には、嵌合孔31の中心Cが含まれる。すなわち、湾曲面35は、嵌合孔31における断絶部33側の半円領域の弦部分よりも奥側から始まる。
【0043】
また、アダプタ30には、嵌合孔31の内周壁に切欠部36が設けられている。この切欠部36は、湾曲面35の始点付近に穿設されている。後述するように、挟持部34、34は、互いに離反する方向に撓み可能となっている。切欠部36は、挟持部34の撓みを容易にするとともに、撓みの基点を設定している。
【0044】
図4は、この挟持部34の機能を示す図であり、アダプタ30がセンサホルダ10に収容された状態での断面図を示す。図4の(a)は全体図、(b)は挟持部34付近の拡大図である。
【0045】
図4に示すように、アダプタ収容部15を画する側壁17は、アダプタ30の外形と概略同一形状を有するが、挟持部34との対向部分に形成される湾曲面18の曲率は、挟持部34の湾曲面35の曲率よりも小さくなっている。そのため、アダプタ30をアダプタ収容部15に挿入すると、挟持部34と側壁17との間に隙間部19が出現する。
【0046】
ここで、嵌合孔31は、対応の点滴筒110の直径Lcよりも短い直径Laである。この直径Laは、以下式のように設定されている。
【0047】
直径La=(対応の点滴筒110の直径Lc)−2×(隙間部19の幅L1)
隙間部19の幅L1は、挟持部34の根元を通る嵌合孔31の直径線CLを延長した線上における幅である。
【0048】
嵌合孔31が上記式のように設定され、且つ隙間部19が発生しているため、対応の点滴筒110を嵌合孔31に挿入すると、挟持部34、34は、切欠部36を撓み基点として互いに離反する方向に撓み、嵌合孔31の径を拡げる。挟持部34は、側壁17の湾曲面18と当接するまで撓み、嵌合孔31の直径Laは、2×(隙間部19の幅L1)だけ拡大し、対応の点滴筒110の直径Lcと同一長となる。
【0049】
このように、挟持部34の撓みにより、嵌合孔31は、対応の点滴筒110の直径Lcまで拡大する。そのため、センサホルダ10には、対応の点滴筒110に限って一定の圧力を感じながら挿入可能なる。更に所定圧力で点滴筒110が挟持されることでセンサホルダ10が点滴筒110から脱落することが防止される。点滴筒110の種類に合わないアダプタ30がセンサホルダ10に取り付けられた場合には、点滴筒110が嵌合孔31に入らないか、点滴筒110が挟持部34によって挟持できず、嵌合孔31内で遊貫された状態となる。
【0050】
尚、湾曲面35は、隙間部19を形成するために設けられている。従って、挟持部34の外縁は曲面に限る必要はなく、隙間部19の幅L1が出現するように、挟持部34の幅が調節されればよい。例えば、挟持部34は、外縁が一段削り込まれた矩形形状を有するものでもよい。但し、矩形形状とした場合には、挟持部34の先端が先に側壁17に当接してしまう。そのため、この挟持部34の先端が側壁17に当接したときに、嵌合孔31の直径が点滴筒110の直径と一致するように調整が必要である。
【0051】
次に、図5は、小児用の点滴筒110に対応するアダプタ30を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。図6は、このアダプタ30をセンサホルダ10に取り付け、対応の点滴筒110を嵌合させた状態を示す断面図である。
【0052】
図5に示すアダプタ30は、小児用の点滴筒110にセンサホルダ10を取り付ける場合に用いられる。挟持部34の構成、切欠部36の構成、嵌合孔31の径の設定、及び挟持部34の湾曲面35の曲率設定については、図3のアダプタ30と同一である。
【0053】
このアダプタ30は、滴下口140の高さを調節している。すなわち、アダプタ30には、上面側に嵌合孔31の周縁に沿って一定の高さの立壁37が設けられている。立壁37には、使用時において点滴筒110のフランジ130が当接する。
【0054】
図6に示すように、小児用の点滴筒110には、チューブ内と連通する絞り筒141が設けられている。滴下口140は、この絞り筒141の先端に設けられる。この絞り筒141は、小児用に薬液120の一度の滴下量を調節している。
【0055】
立壁37は、絞り筒141の高さと同じか、それよりも高くなっており、点滴筒110のフランジ130が立壁37に当接することにより、絞り筒141の先端に設けられた滴下口140は、センサ11よりも高い位置となる。そのため、センサ11は、小児用の点滴筒110にセンサホルダ10が取り付けられる場合であっても、滴下口140から落下する薬液120を検出可能となる。
【0056】
更に、他の種類のアダプタ30を図7及び8に示す。図7は、アダプタ30の他の例を示す斜視図である。図8は、このアダプタ30がセンサホルダ10に取り付けられ、点滴筒110が挿入された状態での断面図である。
【0057】
図7に示すように、このアダプタ30は、半円筒38と挿入板39とを一体成形して形成される。挿入板39は、半円筒38の上端縁から円筒外周側へ、半円筒38の軸と直交する方向に延びる。この挿入板39は、アダプタ収容部15に挿入される部材であり、底面に凹部を有し、係合鍔16と突起15aとに係合する。
【0058】
半円筒38は、点滴筒110を支持する可撓性部材である。この半円筒38は、点滴筒110の半円領域を包むように支持する。半円筒38には、センサ11が薬液120の落下軌跡に臨むように、発光素子11aと受光素子11bを露出させる開口が穿設されている。
【0059】
半円筒38の内径は、点滴筒110の外径よりも若干小さい。但し、図8に示すように、半円筒38が撓み、その径が拡大することによって点滴筒110が挿入可能となっている。このようなアダプタ30では、半円筒38が点滴筒110の半円筒領域を覆うように支持するため、挿入口13内での点滴筒110の安定性が増す。
【0060】
以上のように、薬液検出装置1は、センサホルダ10とアラーム本体20とを備える。センサホルダ10は、薬液120の落下軌跡を挟む発光素子11a及び受光素子11bを有するセンサ11を内蔵し、点滴筒110に着脱可能に取り付けられる。アラーム本体20は、センサ11から出力される信号に基づき、薬液120の検出結果を報知する。このセンサホルダ10は、点滴筒110の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタ30と、アダプタ30を収容するアダプタ収容部15とを更に備える。
【0061】
そして、センサホルダ10は、点滴筒110の種類に応じたアダプタ30がアダプタ収容部15に装着されて、アダプタ30に点滴筒110が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられる。
【0062】
これにより、センサホルダ10を各種点滴筒110に合わせて用意する必要はなくセンサホルダ10の製造コストを削減することができる。
【0063】
アダプタ30は、板形状を有し、嵌合孔31と断絶部33と挟持部34とを有するようにすればよい。嵌合孔31は、板面を貫通し、対応の前記点滴筒の径よりも若干小さくする。断絶部33は、嵌合孔31から外縁まで板面を切り欠いて形成する。挟持部34は、嵌合孔31に沿って両側から断絶部33に至るまで延びるようにし、撓み可能な部材で形成し、嵌合孔31に挿嵌される点滴筒110を両側から挟持する。
【0064】
そして、アダプタ収容部15の側壁17と挟持部34との間の隙間部19と嵌合孔31の径との合計値は、対応の点滴筒110の径と同一となるように調整し、挟持部34がアダプタ収容部15の側壁17に当接するまで撓んだときの嵌合孔31の径は、対応の点滴筒110の径と同一となる。
【0065】
これにより、ユーザは、正しいアダプタ30を選択すれば、対応の点滴筒110に限って一定圧力を感じながら挿入可能なる。従って、アダプタ30の選択を誤ることはなく、投薬中に点滴筒110からセンサアダプタ10が脱落してしまうことを防止することができる。
【0066】
また、アダプタ30は、嵌合孔31の内周面に設けられ、挟持部34の拡がりを容易にする切欠部36を更に備えることができる。これにより、挟持部34の撓み基点が設定されるため、嵌合孔31を円形状のまま、容易に拡大させることができる。
【0067】
また、点滴筒110は、上端に設けられたフランジ130と、内部に設けられた小児用に投薬速度を調整する絞り筒とを有する。一方、この点滴筒110に対応するアダプタ30は、フランジ130が当接する立壁37を嵌合孔31の周縁に設ける。この立壁37は、絞り筒141の長さと同一か若干高い。これにより、小児用の点滴筒110をセンサホルダ10に取り付けてもセンサ11の発光素子11aと受光素子11bが薬液120の落下軌跡を挟むことができる。
【0068】
また、アダプタ30は、半円筒形状を有し、内径が対応の点滴筒110の径よりも若干狭く、対応の点滴筒110が介挿されると、筒壁が拡がって点滴筒110を挟持するように構成してもよい。これにより、半円筒38が点滴筒110の半円筒領域を覆うように支持するため、挿入口13内での点滴筒110の安定性が増す。
【符号の説明】
【0069】
1 薬液検出装置
10 センサホルダ
11 センサ
11a 発光素子
11b 受光素子
13 挿入口
14 露出窓
15 アダプタ収容部
15a 突起
16 係合鍔
17 側壁
18 湾曲面
19 隙間
20 アラーム本体
21 投薬中ランプ
22 投薬終了ランプ
23 スピーカ
24 ボリューム摘み
25 紐部材
30 アダプタ
31 嵌合孔
32 フランジ座面
33 断絶部
34 挟持部
35 湾曲面
36 切欠部
37 立壁
38 半円筒
39 挿入板
100 薬液ボトル
110 点滴筒
120 薬液
130 フランジ
140 滴下口
141 絞り筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、
前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有するセンサを内蔵し、前記点滴筒に着脱可能に取り付けられるセンサホルダと、
前記センサから出力される信号に基づき、前記薬液の検出結果を報知する報知手段と、
を備え、
前記センサホルダは、
前記点滴筒の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタと、
前記アダプタを収容する収容手段と、
を更に備え、
前記点滴筒の種類に応じた前記アダプタが前記収容手段に装着されて、当該アダプタに前記点滴筒が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられること、
を特徴とする薬液検出装置。
【請求項2】
前記アダプタは、
板形状を有し、
板面を貫通し、対応の前記点滴筒の径よりも若干小さい嵌合孔と、
前記嵌合孔から外縁まで前記板面を切り欠いて形成される断絶部と、
前記嵌合孔に沿って前記断絶部に至るまで前記嵌合孔を挟むようにそれぞれ延び、前記嵌合孔に挿嵌される前記点滴筒を両側から挟持する撓み可能な一対の挟持部と、
を有し、
前記収容手段の側壁と前記挟持部との間の隙間と前記嵌合孔の径との合計値が前記対応の点滴筒の径と同一であり、
前記挟持部が前記収容手段の側壁に当接するまで撓んだときの前記嵌合孔の径は、前記対応の点滴筒の径と同一となること、
を特徴とする請求項1記載の薬液検出装置。
【請求項3】
前記アダプタは、
前記嵌合孔の内周面に設けられ、前記挟持部の拡がりを容易にする切欠部を更に備えること、
を特徴とする請求項2記載の薬液検出装置。
【請求項4】
前記挟持部は、外縁に湾曲面を有し、
前記収容手段の側壁は、前記挟持部の湾曲面との対向部分に湾曲面を有し、
前記挟持部の湾曲面の曲率は、前記収容手段の側壁の湾曲面よりも大きく、この挟持部の湾曲面の曲率によって前記隙間の長さが設定されていること、
を特徴とする請求項2又は3記載の薬液検出装置。
【請求項5】
前記点滴筒は、上端にフランジを有し、
前記アダプタは、前記嵌合孔の周縁に上面から掘り込まれた前記フランジの座面を更に備えること、
を特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項6】
前記点滴筒は、
上端に設けられたフランジと、
内部に設けられた小児用に投薬速度を調整する絞り筒と、
を備え、
前記アダプタは、
前記嵌合孔の周縁に形成され、前記絞り筒の長さと同一か若干高く、前記フランジが当接する立壁を更に備えること、
を特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項7】
前記アダプタは、
半円筒形状を有し、内径が対応の前記点滴筒の径よりも若干狭く、対応の前記点滴筒が介挿されると、筒壁が拡がって当該点滴筒を挟持すること、
を特徴とする請求項1記載の薬液検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−245154(P2012−245154A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118970(P2011−118970)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【特許番号】特許第5009426号(P5009426)
【特許公報発行日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(508171468)大昭電機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】