説明

薬液検出装置

【課題】低コストで麻酔薬の流下を検出することのできる薬液検出装置を提供する。
【解決手段】薬液検出装置では、薬液の落下軌跡を挟んで設けられる発光素子及び受光素子をそれぞれ有する2組のセンサ11及び12を備える。センサ11及びセンサ12は光軸を異ならせて配置する。光軸を異ならせることで、センサ11及びセンサ12から出射される光の液柱での反射量や吸収量が相違してくる。そこで、センサ11及び12から出力される両信号値を比較し、両信号値に差が検出された場合には麻酔薬の流下を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、点滴法により薬液を被検体に投与する場合の関心事項は、投薬速度と投薬終了のタイミングである。そのため、従来、投薬担当者は、点滴ボトルと点滴針との間に介挿された点滴筒を落下する薬液を目視し、投薬速度と投薬終了のタイミングを確認していた。
【0003】
しかし、医師や看護師の不足により、投薬担当者の職務は多岐に亘り、点滴を絶えず監視することが困難となっている。そのため、点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この薬液検出装置は、センサによって薬液の落下を検出しており、検出対象とする薬液は、点滴薬である。センサは、発光素子と受光素子とから構成されており、点滴筒に取り付けられるセンサホルダに内蔵されている。センサホルダには、挿入口が貫設されており、センサホルダは、当該挿入口に点滴筒が挿入されることによって、点滴筒に取り付けられる。
【0005】
センサホルダが点滴筒に取り付けられた状態では、発光素子と受光素子は、点滴薬の落下軌跡を挟み込むように対向する。点滴滴が滴下されたタイミングでは、発光素子と受光素子との間に点滴滴が存在するため、発光素子から出射した光が当該点滴滴により阻害され、受光素子の受光量は小さくなる。そのため、受光素子からLo信号が一定間隔で出力されれば、点滴薬が順調に滴下されていることを検出することができる。
【0006】
点滴滴を検出した場合には、ランプを点灯させ、点滴滴を所定時間以上検出できない場合には、終了のブザー音を出力することで、投薬速度や投薬終了を投薬担当者に報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3055280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、医療現場において、点滴法により投薬される薬液は点滴薬に限られず、麻酔薬についても点滴法により被検体へ投薬される。医療現場では、この麻酔薬についても検出可能な薬液検出装置が要望されている。尚、麻酔薬の投薬は、薬液ボトルと点滴筒との間に介在するチューブの途中から麻酔薬を合流させる手法を採る場合が多い。
【0009】
しかしながら、点滴薬の点滴筒内での落下態様は滴下であるが、麻酔薬の点滴筒内での落下態様は液柱を形成する流下である。そのため、受光素子からLo信号が出力されることによる薬液の検出手法は用いることができない。
【0010】
その理由は、絶えず麻酔薬が流下している状態では、発光素子から出射される光が麻酔薬の液柱内を透過してしまい、受光素子が透過光を受け取ることにより、受光素子から出力される信号と空気中のみを通過した光を受光したときに得られる信号との間に大きな差が生じなくなってくる。更に、実験においては、この液柱を透過する光量は時間経過とともに大きくなってくる傾向が確認されている。
【0011】
そのため、従来の手法を具体化する薬液検出装置では、受光素子から出力される信号をHi信号又はLo信号に変換するための基準信号値をかなり高精度に設定できなければ、麻酔薬の流下を検出することができない。そして、現在、このような高精度の基準信号値を生成する波形整形回路は高価であり、Lo信号による麻酔薬検出手法を具体化する薬液検出装置は高コストとなってしまう。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、低コストで麻酔薬の流下を検出することのできる薬液検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明に係る薬液検出装置は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有し、受光量に応じた強度の信号を出力する第1センサと、前記第1センサとは光軸が異なる発光素子及び受光素子を前記薬液の落下軌跡を挟むように設け、受光量に応じた強度の信号を出力する第2センサと、前記第1センサ及び第2センサから出力される両信号値を比較する信号値比較手段と、前記信号値比較手段により両信号値の差が検出されると、麻酔薬の流下を報知する報知手段と、を備えること、を特徴とする。
【0014】
前記薬液検出装置は、前記第1センサ又は第2センサから出力される信号値と所定の閾値とを比較する閾値比較手段を更に備え、前記報知手段は、前記閾値比較手段により前記信号値が前記所定の閾値未満であることが検出された場合に、前記麻酔薬の流下を報知するようにしてもよい。
【0015】
前記報知手段は、投薬中を示すランプ及び投薬終了を示すランプを備えるようにしてもよい。
【0016】
前記報知手段は、前記両信号値の差が所定時間以上検出されない場合には、前記麻酔薬が流下していないことを報知するようにしてもよい。
【0017】
前記報知手段は、投薬終了を示すブザー音を出力するスピーカを備えるようにしてもよい。
【0018】
前記報知手段は、前記ブザー音の音量を調節するボリューム摘みを有するようにしてもよい。
【0019】
前記薬液検出装置は、前記第1センサ及び第2センサを有し、前記点滴筒に取り付けられるセンサホルダと、前記信号値比較手段及び前記報知手段を有するアラーム本体と、両端が前記アラーム本体に取り付けられ、前記薬液ボトルが掛けられる薬液ボトルスタンドに引掛可能な紐部材と、を更に備えるようにしてもよい。
【0020】
前記薬液検出装置は、点滴薬の滴下検出に検出態様を切り替えるスイッチと、前記スイッチが前記点滴薬の滴下検出に切り替えられると、前記第1センサ又は前記第2センサから出力されるパルス信号を検出するパルス検出手段と、を更に備え、前記報知手段は、前記スイッチが前記点滴薬の滴下検出に切り替えられ、前記パルス検出手段が前記パルス信号を検出すると、前記点滴薬の滴下を報知するようにしてもよい。
【0021】
前記薬液検出装置は、前記第1センサ及び第2センサを有し、前記点滴筒に取り付けられるセンサホルダを更に備え、前記センサホルダは、前記点滴筒の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタと、前記アダプタを収容する収容手段と、を更に備え、前記点滴筒の種類に応じた前記アダプタが前記収容手段に装着されて、当該アダプタに前記点滴筒が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0022】
前記アダプタは、板形状を有し、そして、対応の前記点滴筒の径よりも若干小さい径で板面を貫通する嵌合孔と、前記嵌合孔から外縁まで前記板面を切り欠いて形成される断絶部と、前記嵌合孔に沿って前記断絶部に至るまで前記嵌合孔を挟むようにそれぞれ延び、前記嵌合孔に挿嵌される前記点滴筒を両側から挟持する撓み可能な一対の挟持部と、を有し、前記収容手段の側壁と前記挟持部との間の隙間と前記嵌合孔の径との合計値が前記対応の点滴筒の径と同一であり、前記挟持部が前記収容手段の側壁に当接するまで撓んだときの前記嵌合孔の径は、前記対応の点滴筒の径と同一となるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、麻酔薬の点滴による投薬を監視できる薬液検出装置を提供でき、且つ、この薬液検出装置は安価に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】センサホルダに内蔵される第1センサ及び第2センサの配置態様を示す模式図である。
【図3】センサホルダに内蔵される第1センサ及び第2センサの回路図である。
【図4】アラーム本体の構成を示すブロック図である。
【図5】アラーム本体の動作を示すフローチャートである。
【図6】薬液の液柱と、液柱を透過する光とを示す模式図である。
【図7】第1センサと第2センサとから出射する光の透過態様を示す模式図である。
【図8】第1センサと第2センサが出力する両信号の強度の差を示す模式図である。
【図9】第2の実施形態に係る薬液検出装置を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係るアラーム本体の動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係る薬液検出装置の構成を示すブロック図である。
【図12】第3の実施形態に係る報知部の点滴薬の検出態様を示すタイムテーブルである。
【図13】センサホルダの詳細構成を示す図である。
【図14】アダプタの一例を示す図である。
【図15】挟持部の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る薬液検出装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
(1.第1の実施形態)
(A.概略構成)
図1は、本実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。この薬液検出装置1は、センサホルダ10とアラーム本体20とを備える。センサホルダ10には、薬液120を検出する第1センサ11及び第2センサ12が内蔵されている。また、アラーム本体20は、第1センサ11及び第2センサ12の信号出力結果に応じて投薬状態を報知する。薬液120は、薬用効果を有する液体であり、本実施形態では麻酔薬である。報知する投薬状態は、薬液120の投薬中又は投薬終了である。
【0027】
センサホルダ10とアラーム本体20とは、ケーブルにより接続されている。センサホルダ10の出力信号がケーブルを介してアラーム本体20に入力され、アラーム本体20が備える電源から電力がケーブルを介してセンサホルダ10へ供給される。
【0028】
薬液120は、図示しない薬液ボトルスタンドに吊された薬液ボトル100に収容されており、薬液ボトル100からチューブを通って点滴筒110に流入する。麻酔薬である薬液120は、薬液ボトル100と点滴筒110との間のチューブへ直接流入させ、点滴筒110へ流入させる。点滴筒110内では、麻酔薬である薬液120は、チューブと導通する滴下口140から液柱121を形成して流下し、下部に一時的に貯留される。センサホルダ10は、この点滴筒110に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
具体的には、センサホルダ10には、点滴筒110が挿入される挿入口13が設けられている。挿入口13は、センサホルダ10の上面から下面へセンサホルダ10を貫いて設けられる。点滴筒110は、この挿入口13に挿入される。
【0030】
また、センサホルダ10には、点滴筒110を挟持するアダプタ30が着脱自在に取り付けられる。アダプタ30は、点滴筒110を周囲から一定圧力で挟持する板状部材である。このアダプタ30には、挿入口13と対応する位置に嵌合孔31が設けられている。嵌合孔31は、点滴筒110を圧嵌する。
【0031】
アラーム本体20は、薬液検出装置1の使用状態において、薬液ボトルスタンドに吊される。アラーム本体20は、紐部材20aを有し、この紐部材20aを薬液ボトルスタンドに引っ掛けることで、薬液ボトル100と共に吊される。紐部材20aは、両端がアラーム本体20の上端面に固定されている。これにより、センサホルダ10にアラーム本体20の荷重が掛からず、センサホルダ10の点滴筒110からの離脱可能性が低下している。
【0032】
このアラーム本体20は、後述するように、第1センサ11と第2センサ12の出力信号値の差が発生していると、薬液120の投薬中を報知する。アラーム本体20には、投薬中ランプ21aと投薬終了ランプ21bとスピーカ22aとボリューム摘み22bとを備えている。
【0033】
投薬中ランプ21aは、薬液120が検出されると点滅する。投薬終了ランプ21bは、薬液120が検出されなければ点灯する。スピーカ22aは、薬液120が所定時間以上検出されなければブザー音を出力する。ボリューム摘み22bは、可変抵抗器に接続され、回転角に応じて可変抵抗器の抵抗値を変更し、ブザー音の音量を調節する。
【0034】
(B.センサ構成)
図2は、センサホルダ10に内蔵される第1センサ11及び第2センサ12の配置態様を示す模式図である。図3は、センサホルダ10に内蔵される第1センサ11及び第2センサ12の回路図である。
【0035】
図2に示すように、センサホルダ10には、2組のセンサが内蔵されている。第1センサ11は、光を出射する発光素子11aと、発光素子11aから出射した光の受光量に応じた強度の信号Aを出力する受光素子11bとを備える。第2センサ12も、光を出射する発光素子12aと、発光素子12aから出射した光の受光量に応じた強度の信号Bを出力する受光素子12bとを備える。
【0036】
第1センサ11の発光素子11aと受光素子11bは、挿入口13を介して対向して設けられ、点滴筒110の挿入時には薬液120の落下軌跡を挟む。すなわち、発光素子11aと受光素子11bとを結ぶ仮想線は、点滴筒110内の滴下口140から下方に降ろした仮想の円柱と交差する。
【0037】
第2センサ12の発光素子12aと受光素子12bも、挿入口13を介して対向して設けられ、点滴筒110の挿入時には薬液120の落下軌跡を挟む。すなわち、発光素子12aと受光素子12bとを結ぶ仮想線も、点滴筒110内の滴下口140から下方に降ろした仮想の円柱と交差する。
【0038】
但し、この第1センサ11と第2センサ12とは、光軸が異なる。つまり、異なる向き又は位置に配置される。より具体的には、挿入口13の軸を含む任意の平面に対する、第1センサ11と点滴筒110の軸とを含む平面のなす角度と、第2センサ12と点滴筒110の軸とを含む平面のなす角度とが異なる。または、第1センサ11の発光素子11aと受光素子11bとの高低差と、第2センサ12の発光素子12aと受光素子12bとが異なる。または、第1センサ11を含んで点滴筒110の軸と直交する平面の高さと、第2センサ12を含んで点滴筒110の軸と直交する平面の高さとが異なる。このような、第1センサ11と第2センサ12の配置は、薬液120の液柱へ異なる角度で光を当て、又は薬液120の液柱の異なる位置に光を当てるためである。
【0039】
図3に示すように、発光素子11aが出射した光は、対向する受光素子11bにより受光される。また、発光素子12aが出射した光は、対向する受光素子12bにより受光される。
【0040】
発光素子11aと発光素子12aは、例えば発光ダイオードであり、同一の電力が供給され、同量の光を出射する。受光素子11bと受光素子12bは、例えばフォトトランジスタであり、光電効果により光がベース電流に変換され、エミッタとコレクタとの間に電気信号が流れる。この受光素子11bと受光素子12bは、受光量と出力信号の電流値とが直線性を有し、受光量に応じた強度の信号を出力する。
【0041】
(C.アラーム本体構成)
図4は、アラーム本体20の構成を示すブロック図である。アラーム本体20は、信号値比較部24、発振器25、及び報知部26を備える。このアラーム本体20は、薬液120が麻酔薬である場合には、薬液120の液柱121を検出し、検出結果に応じて投薬中又は投薬終了を報知する。
【0042】
信号値比較部24は、第1センサ11と第2センサ12の出力信号を比較する。この信号値比較部24は、第1センサ11と第2センサ12の信号出力端子に接続され、第1センサ11と第2センサ12の受光量に応じた強度の信号が入力される。そして、信号値比較部24は、第1センサ11の出力信号と第2センサ12の出力信号とに強度の差が生じたタイミングで認識信号を報知部26に出力する。認識信号は、一定の値を示す電気信号であり、この認識信号が到達することにより、両信号に強度の差が生じていることが認識できる。
【0043】
発振器25は、共振回路と増幅器を有するクロック発生器であり、所定周波数のパルス波を報知部26に出力する。例えば、4kHzのパルス波を報知部26に出力する。
【0044】
報知部26は、第1センサ11と第2センサ12の出力信号に強度の差が生じており、その強度の差が所定時間以内に発生していれば、投薬中を報知する。一方、報知部26は、強度の差が所定時間以内に発生しなければ、投薬終了を報知する。
【0045】
具体的には、報知部26は、発振器25から出力されるパルス波をカウントする。カウント値が一定数以内であるときに、信号値比較部24から電気信号が入力されると、投薬中を報知し、カウント値をリセットする。カウント値が一定数を超えると、投薬終了を報知する。
【0046】
報知部26は、投薬中の報知の際、投薬中ランプ21aを点滅させる。また、報知部26は、投薬終了の報知の際、投薬終了ランプ21bを点灯させ、スピーカ22aにブザー音を出力させる。
【0047】
図5は、このアラーム本体20の動作を示すフローチャートである。まず、アラーム本体20には、第1センサ11から信号Aが入力され(ステップS01)、第2センサ12から信号Bが入力される(ステップS02)。具体的には、アラーム本体20は、第1センサ11及び第2センサ12から信号A及び信号Bを、発振器25のパルス波を用いて一定のサンプリングタイミングで取り込む。
【0048】
第1センサ11の信号A及び第2センサ12の信号Bが入力されると、信号値比較部24は、両信号A及びBの強度を比較する(ステップS03)。例えば、両信号A及びBが示す電流値を比較する。両信号A及びBの強度に差があると(ステップS03,Yes)、信号値比較部24は、報知部26へ認識信号を出力する(ステップS04)。
【0049】
報知部26は、認識信号が所定時間内に到達すれば(ステップS05,Yes)、投薬中ランプ21aを点滅させる(ステップS06)。具体的には、発振器25から出力されるパルス波をカウントし、認識信号が到達したときのカウント値が一定数以内であれば、投薬中ランプ21aに一定幅のパルス信号を出力する。パルス信号を出力した後は、カウント値を0にリセットする。
【0050】
一方、報知部26は、認識信号が所定時間内に到達しなければ(ステップS05,No)、投薬終了ランプ21bを点灯させ(ステップS07)、スピーカ22aにブザー音を出力させる(ステップS08)。具体的には、カウント値が一定数を超えると、投薬終了ランプ21bとスピーカ22aに電力を供給する。
【0051】
このアラーム本体20は、投薬中ランプ21aを点滅させた場合、換言すると認識信号が所定時間以内に到達した場合には、ステップS01に戻って処理を繰り返す。一方、投薬終了ランプ21bを点灯させ、スピーカ22aにブザー音を出力させた場合、換言すると認識信号が所定時間以内に到達しなかった場合には、投薬終了ランプ21bとスピーカ22aに電力供給を継続させたまま、処理を終了する。
【0052】
尚、アラーム本体20には、電源ボタンが設けられており、電源ボタンによってアラーム本体20がオンオフされる。すなわち、投薬終了ランプ21bの点灯とスピーカ22aのブザー音出力は、電源ボタンの押下によって終了する。
【0053】
(D.作用)
このような薬液検出装置1の作用について、図6乃至8を参照しつつ説明する。図6は、薬液120の液柱121と、液柱121を透過する光を示す模式図である。図7は、第1センサ11と第2センサ12とから出射する光の透過態様を示す模式図である。図8は、第1センサ11が出力する信号Aと第2センサ12が出力する信号Bとの電流値の差を示す模式図である。
【0054】
図6に示すように、滴下口140から流下する薬液120が形成する液柱121は、断面が真円となることはまれであり、一定の形状を持たず、表面は殆どの場合で無数の曲面を組み合わせた形状となる。さらに、液柱121には、無数の気泡122が含まれている場合もある。
【0055】
そのため、同じ発光量Qの光が液柱121を通過しても、その光の液柱121への入射タイミング、センサ11、12の位置、及びセンサ11、12の向きによって、液柱121への入射角、出射角、透過距離、気泡122の通過有無、及び気泡122中の通過回数が異なり、受光素子11b、12bの受光量は異なる。
【0056】
具体的には、発光量Qで出射した光は、あるタイミングでは、∠aで液柱121の表面に到達し、反射量Q1の光は反射してしまう。液柱121に入射した光は、液柱121内の通過距離L1に応じた吸収量Q2だけ吸収されてしまう。液柱121の通過軌跡上に一つの気泡122が存在すると、その気泡122の表面で反射量Q3の光が反射してしまう。この光が∠bで液柱121から出射するときには、反射量Q4の光が液柱121内部へ戻るように反射してしまう。そして、最終的に残った光が受光量Q5として受光素子に到達する。
【0057】
この入射角、通過距離、気泡122の存在数、及び出射角が、発光素子の向き、位置、及びタイミングによって可変し、同じ発光量Qの光を出射しても受光量には差が生じる。換言すると、光軸の異なる光を受光したとき、その受光量が異なっていれば、それは液柱121が形成されていることを意味する。反対に、光軸の異なる光を受光したとき、その受光量が同じであれば、液柱121が形成されていないことを示す。
【0058】
このため、図7に示すように、発光素子11aと受光素子11bを対向させた第1センサ11と、発光素子12aと受光素子12bの第2センサ12とを、光軸が異なるように配置し、それぞれ同量の発光量Qを出射する。
【0059】
このとき、あるタイミングでは、発光素子11aから出射した発光量Qの光は、液柱121が存在すれば、その表面に∠aで到達して反射量Q1が反射し、気泡122を通過するために反射量Q2が反射し、液柱121内の通過距離はL1となって吸収量Q3だけ吸収され、液柱121と空気との境界に∠bで到達して反射量Q4が液柱121内部へ反射し、最終的に受光素子11bは受光量Q5の光を受け取る。
【0060】
一方、同一タイミングにおいて、発光素子12aから出射した発光量Qの光は、その表面に∠cで到達して反射量Q6が反射し、液柱121内の通過距離はL2となって吸収量Q7だけ吸収され、液柱121と空気との境界に∠dで到達して反射量Q8が液柱121内部へ反射し、最終的に受光素子11bは受光量Q9の光を受け取る。
【0061】
ほとんどの場合、∠a≠∠cであるから反射量Q1≠反射量Q6であり、発光素子11aと発光素子12aを出射した光は同じ気泡122を同じ光軸で通過することはなく、L1≠L2であるから吸収量Q3≠吸収量Q7であり、∠c≠∠dであるから反射量Q4≠反射量Q8である。従って、液柱121が形成されている場合には、受光量Q5≠受光量Q9となる。
【0062】
一方、液柱121が形成されていなければ、換言すれば、薬液120が流下していないか、薬液120の落下態様が液柱121を形成する流下ではなく滴下であれば、それぞれ発光量Qと同値の受光量を受け取るため、発光量Q=受光量Q5=受光量Q9となる。
【0063】
従って、図8に示すように、点滴筒110内に液柱121が形成されていれば、第1センサ11と第2センサ12の受光量は異なるため、第1センサ11が出力する信号値Aと第2センサ12が出力する信号値Bとには、差が発生する。例えば、受光素子11bと受光素子12bとがフォトトランジスタであれば、電流値に差が発生する。
【0064】
そのため、薬液検出装置1は、光跡の異なる第1センサ11と第2センサ12とが出力する信号値Aと信号値Bとに差が生じていれば、麻酔薬である薬液120が液柱121を形成して流下していると判断でき、投薬中ランプ21aを用いて、液柱121を形成する流下中であることを報知できる。一方、信号値Aと信号値Bとに差が生じていなければ、麻酔薬である薬液120が液柱121を形成して流下していないと判断でき、投薬終了ランプ21bを用いて、その旨を報知でき、また適切な投薬態様でない場合を考え、ブザー音をスピーカ22から出力できる。
【0065】
尚、タイミングによっては、第1センサ11と第2センサ12との受光量が同値、又は近い値になることもある。近い値とは、電子部品の精度によっては値の差を検出できない程度をいう。そのため、本実施形態の薬液検出装置1では、所定時間以内に受光量に差が発生していれば、投薬中と判断することで、より実効性を高めている。
【0066】
(E.効果)
以上のように、本実施形態に係る薬液検出装置1では、薬液の落下軌跡を挟んで設けられる発光素子及び受光素子をそれぞれ有する2組のセンサ11及び12を備え、それらの光軸を異ならせて配置した。そして、両センサ11及び12から出力される両信号値を比較し、両信号値に差が検出された場合には麻酔薬の流下を報知するようにした。これにより、麻酔薬の点滴による投薬を監視できる薬液検出装置1を提供でき、且つ、この薬液検出装置1は安価に製造可能となる。
【0067】
また、両信号値の差が所定時間以上検出されない場合には、麻酔薬が流下していないことを報知するようにした。これにより、まれに両信号値の差がない状態が発生する場合であっても、麻酔薬が流下していないと誤判定することを防止でき、実効性を高めることができる。
【0068】
また、アラーム本体20には紐部材20aを設け、アラーム本体20を薬液ボトルスタンドに吊すことができるようにした。これにより、アラーム本体20の荷重がセンサホルダ10に掛かることはなく、点滴筒110からセンサホルダ10が離脱してしまうことを防止でき、離脱による誤判定を防止できる。
【0069】
(2.第2の実施形態)
(A.構成)
次に、第2の実施形態に係る薬液検出装置1について図9及び10を参照しつつ説明する。図9は、第2の実施形態に係る薬液検出装置1を示すブロック図である。図10は、第2の実施形態に係るアラーム本体20の動作を示すフローチャートである。
【0070】
第1の実施形態では、薬液検出装置1の実効性を高めるべく、所持時間以内に信号値の差を検出すれば、薬液10の液柱121が形成されているものと判断するようにした。まれに液柱121が形成されていても第1センサ11と第2センサ12の信号値が同値となるためである。そこで、図9に示すように、第2の実施形態に係る薬液検出装置1では、他の態様として、閾値比較部27とオア回路26aをアラーム本体20に備える。
【0071】
閾値比較部27は、第1センサ11又は第2センサ12の出力側に接続され、何れかの信号値と所定の閾値とを比較し、信号値が所定の閾値を下回っていれば、認識信号を報知部26に出力する。閾値は、予め記憶されており、出射光が空気のみを通過するときのセンサの受光量と同値である。
【0072】
オア回路26aは、報知部26の入力側に設けられ、信号値比較部24と閾値比較部27の両出力側に接続されている。このオア回路26aは、信号値比較部24若しくは閾値比較部27の何れかから認識信号が入力されると、報知部26へ認識信号を出力する。
【0073】
この薬液検出装置1では、第1センサ11と第2センサ12の信号値に差がなくとも、空気のみを通過した光の受光量よりも実際に入力された受光量が小さければ、液柱121を通過したものとして、投薬中ランプ21aを点滅させるものである。
【0074】
このアラーム本体20の動作を説明する。図10に示すように、アラーム本体20には、第1センサ11から信号Aが入力され(ステップS11)、第2センサ12から信号Bが入力され(ステップS12)、両信号A及びBの強度に差があると(ステップS13,Yes)、信号値比較部24は、報知部26へ認識信号を出力する(ステップS15)。
【0075】
一方、両信号A及びBの強度に差がなくとも(ステップS13,No)、閾値比較部27による比較の結果、信号A又はBの強度が閾値未満であった場合は(ステップS14,Yes)、閾値比較部27は、報知部26へ認識信号を出力する(ステップS15)。
【0076】
報知部26は、信号値比較部24又は閾値比較部27から認識信号が所定時間内に到達すれば(ステップS16,Yes)、投薬中ランプ21aを点滅させる(ステップS17)。一方、報知部26は、何れからも認識信号が所定時間内に到達しなければ(ステップS16,No)、投薬終了ランプ21bを点灯させ(ステップS18)、スピーカ22aにブザー音を出力させる(ステップS19)。
【0077】
なお、この第2の実施形態では、ステップS16のように、発振器25が出力するパルス波をカウントすることによって、認識信号が所定時間内に到達するか否かをも投薬中報知の判断基準としているが、冗長化が不要な場合には排除することが可能である。
【0078】
このように、第2の実施形態に係る薬液検出装置1では、第1センサ11又は第2センサ12から出力される信号値と所定の閾値とを比較する閾値比較部27を更に備え、報知部26は、閾値比較部27により信号値が所定の閾値未満であることが検出された場合に、麻酔薬の流下を報知するようにした。
【0079】
すなわち、閾値比較部27により、出射光による空気のみの通過によって受け取ることのできる受光量と、出射光による液柱121の通過によって受け取ることのできる受光量との差を用いて、麻酔薬の投薬中判断を行うと共に、第1センサ11と第2センサ12の信号値の差を用いた麻酔薬の投薬中判断をバックアップとして用いている。従って、更なる誤判定の防止措置を講じることができ、麻酔薬の投薬検出の実効性を更に高めることができる。
【0080】
(3.第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る薬液検出装置1について図11及び12に基づき説明する。第1及び2の実施形態では、薬液検出装置1は麻酔薬を検出する装置として説明した。第3の実施形態に係る薬液検出装置1は、薬液120として麻酔薬の他、点滴薬も検出することができる。
【0081】
図11は、第3の実施形態に係る薬液検出装置1の構成を示すブロック図である。図11に示すように、この薬液検出装置1は、アラーム本体20にパルス検出器29と切替スイッチ28を更に備えている。
【0082】
切替スイッチ28は、第2センサ12と信号値比較部24との接続をオンオフするスイッチと、第1センサ11の接続先を信号値比較部24とパルス検出器29の何れかに切り替えるスイッチとを有し、両スイッチは連動している。
【0083】
第1センサ11の出力先が信号値比較部24に切り替えられると、第2センサ12と信号値比較部24とが接続される。このモードでは、第1及び第2の実施形態と同様に麻酔薬を検出するために薬液検出装置1は動作する。
【0084】
第1センサ11の出力先がパルス検出器29に切り替えられると、第2センサ12はアラーム本体20から切断される。このモードでは、薬液120として点滴薬を検出するために薬液検出装置1は動作する。
【0085】
パルス検出器29は、波形整形回路を含み、第1センサ11から出力される信号の強度と基準強度とを比較して、第1センサ11の出力信号をパルス信号に変換する。すなわち、基準強度よりも高い強度の信号がパルス検出器29に入力されると、報知部26への入力信号をHiにし、基準強度よりも低い強度の信号がパルス検出器29に入力されると、報知部26への入力信号をLoにする。
【0086】
図12は、第3の実施形態に係る報知部26の点滴薬の検出態様を示すタイムテーブルである。図12に示すように、報知部26は、点滴薬を検出するモードにおいては、パルス検出器29から出力される信号が所定時間以内にLoとなれば、Loとなったタイミングで投薬中ランプ21aを点滅させ、点滴薬の投薬中であることを報知する。一方、所定時間以内にLoとならなければ、投薬終了ランプ21bを点灯させ、スピーカ22aからブザー音を出力させる。
【0087】
所定時間は、発振器25から出力されるパルス波のパルス数をカウントすることで認識される。すなわち、報知部26は、発振器25からのパルス波をカウントし、パルス検出器29からのLo信号が一定カウント数以下の間に入力されれば、投薬中であることを報知する。一方、一定カウント数を超えてもLo信号が入力されなければ、報知部26は、投薬終了を報知する。
【0088】
点滴薬は、麻酔薬と異なり、その落下態様は滴下である。従って、点滴滴によって発光素子11aからの光が阻害されれば、第1センサ11からは強度の低い信号が出力され、点滴滴が存在しないタイミングでは光は阻害されずに受光素子11bに到達して、第1センサ11からは強度の高い信号が出力される。そのため、一定時間以内にLo信号となったか否かを判断することにより、点滴薬の滴下は検出可能となる。
【0089】
(4.他の実施形態)
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図しておらず、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、その変形は、発明の範囲や要旨に含まれる。
【0090】
例えば、薬液120を精度よく検出するためには、センサホルダ10の点滴筒110からの脱落防止措置を図ることが有効である。第1の実施形態では、紐部材20aを設けることにより、アラーム本体20の荷重がセンサホルダ10に掛かることを防止したが、その他にも、各種の大きさを有する点滴筒110の何れにおいても一定圧力で挟持できるセンサホルダ10を用いることができる。
【0091】
このセンサホルダ10を図13乃至15を参照しつつ説明する。図13は、センサホルダ10の詳細構成を示す図であり、(a)はセンサホルダ10を前面側から見た斜視図、(b)はセンサホルダ10の上面図、(c)はセンサホルダ10の上側筐体を背面側から見た斜視図、(d)はセンサホルダ10の背面図である。
【0092】
図13に示すように、センサホルダ10の上部には、アダプタ収容部15が形成されており、このアダプタ収容部15には、点滴筒110を圧嵌するアダプタ30が着脱可能に挿入される。このアダプタ収容部15は、センサホルダ10の背面側から挿入口13の開口全域に及び、その範囲が上面から掘り込まれて形成され、アダプタ30と略同一の形状及び略同一の大きさを有する。
【0093】
アダプタ30は、点滴筒110の径に合わせて各種用意される。図14は、アダプタ30の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。図14に示すアダプタ30は、直径Lcの点滴筒110にセンサホルダ10を取り付ける場合に用いられる。
【0094】
このアダプタ30は、嵌合孔31の周方向に沿ってそれぞれ延びる一対の挟持部34、34が嵌合孔31を挟むように設けられる。挟持部34、34の両先端は、切り離されている。換言すると、アダプタ30は、嵌合孔31とアダプタ30の外部とを連通させる断絶部33を有する。
【0095】
この挟持部34の外縁には、アダプタ30の内側方向へ湾曲した湾曲面35が形成されている。湾曲面35で挟まれた領域には、嵌合孔31の中心Cが含まれる。すなわち、湾曲面35は、嵌合孔31における断絶部33側の半円領域の弦部分よりも奥側から始まる。
【0096】
また、アダプタ30には、嵌合孔31の内周壁に切欠部36が設けられている。この切欠部36は、湾曲面35の始点付近に穿設されている。後述するように、挟持部34、34は、互いに離反する方向に撓み可能となっている。切欠部36は、挟持部34の撓みを容易にするとともに、撓みの基点を設定している。
【0097】
図15は、この挟持部34の機能を示す図であり、アダプタ30がセンサホルダ10に収容された状態での断面図を示す。図15の(a)は全体図、(b)は挟持部34付近の拡大図である。
【0098】
図15に示すように、アダプタ収容部15を画する側壁17は、アダプタ30の外形と概略同一形状を有するが、挟持部34との対向部分に形成される湾曲面18の曲率は、挟持部34の湾曲面35の曲率よりも小さくなっている。そのため、アダプタ30をアダプタ収容部15に挿入すると、挟持部34と側壁17との間に隙間部19が出現する。
【0099】
ここで、嵌合孔31は、対応の点滴筒110の直径Lcよりも短い直径Laである。この直径Laは、以下式のように設定されている。
【0100】
直径La=(対応の点滴筒110の直径Lc)−2×(隙間部19の幅L1)
隙間部19の幅L1は、挟持部34の根元を通る嵌合孔31の直径線CLを延長した線上における幅である。
【0101】
嵌合孔31が上記式のように設定され、且つ隙間部19が発生しているため、対応の点滴筒110を嵌合孔31aに挿入すると、挟持部34、34は、切欠部36を撓み基点として互いに離反する方向に撓み、嵌合孔31の径を拡げる。挟持部34は、側壁17の湾曲面18と当接するまで撓み、嵌合孔31の直径Laは、2×(隙間部19の幅L1)だけ拡大し、対応の点滴筒110の直径Lcと同一長となる。
【0102】
このように、挟持部34の撓みにより、嵌合孔31は、対応の点滴筒110の直径Lcまで拡大する。そのため、センサホルダ10には、対応の点滴筒110に限って一定の圧力を感じながら挿入可能なる。更に所定圧力で点滴筒110が挟持されることでセンサホルダ10が点滴筒110から脱落することが防止される。点滴筒110の種類に合わないアダプタ30がセンサホルダ10に取り付けられた場合には、点滴筒110が嵌合孔31に入らないか、点滴筒110が挟持部34によって挟持できず、嵌合孔31内で遊貫された状態となる。
【符号の説明】
【0103】
1 薬液検出装置
10 センサホルダ
11 第1センサ
11a 発光素子
11b 受光素子
12 第2センサ
12a 発光素子
12b 受光素子
13 挿入口
15 アダプタ収容部
17 側壁
18 湾曲面
19 隙間部
20 アラーム本体
20a 紐部材
21a 投薬中ランプ
21b 投薬終了ランプ
22a スピーカ
22b ボリューム摘み
24 信号値比較部
25 発振器
26 報知部
26a オア回路
27 閾値比較部
28 切替スイッチ
29 パルス検出器
30 アダプタ
31 嵌合孔
33 断絶部
34 挟持部
35 湾曲面
36 切欠部
100 薬液ボトル
110 点滴筒
120 薬液
121 液柱
122 気泡
140 滴下口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、
前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有し、受光量に応じた強度の信号を出力する第1センサと、
前記第1センサとは光軸が異なる発光素子及び受光素子を前記薬液の落下軌跡を挟むように設け、受光量に応じた強度の信号を出力する第2センサと、
前記第1センサ及び第2センサから出力される両信号値を比較する信号値比較手段と、
前記信号値比較手段により両信号値の差が検出されると、麻酔薬の流下を報知する報知手段と、
を備えること、
を特徴とする薬液検出装置。
【請求項2】
前記第1センサ又は第2センサから出力される信号値と所定の閾値とを比較する閾値比較手段を更に備え、
前記報知手段は、
前記閾値比較手段により前記信号値が前記所定の閾値未満であることが検出された場合に、前記麻酔薬の流下を報知すること、
を特徴とする請求項1記載の薬液検出装置。
【請求項3】
前記報知手段は、
投薬中を示すランプ及び投薬終了を示すランプを備えること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の薬液検出装置。
【請求項4】
前記報知手段は、
前記両信号値の差が所定時間以上検出されない場合には、前記麻酔薬が流下していないことを報知すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項5】
前記報知手段は、
投薬終了を示すブザー音を出力するスピーカを備えること、
を特徴とする請求項4記載の薬液検出装置。
【請求項6】
前記報知手段は、
前記ブザー音の音量を調節するボリューム摘みを有すること、
を特徴とする請求項5記載の薬液検出装置。
【請求項7】
前記第1センサ及び第2センサを有し、前記点滴筒に取り付けられるセンサホルダと、
前記信号値比較手段及び前記報知手段を有するアラーム本体と、
両端が前記アラーム本体に取り付けられ、前記薬液ボトルが掛けられる薬液ボトルスタンドに引掛可能な紐部材と、
を更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項8】
点滴薬の滴下検出に検出態様を切り替えるスイッチと、
前記スイッチが前記点滴薬の滴下検出に切り替えられると、前記第1センサ又は前記第2センサから出力されるパルス信号を検出するパルス検出手段と、
を更に備え、
前記報知手段は、
前記スイッチが前記点滴薬の滴下検出に切り替えられ、前記パルス検出手段が前記パルス信号を検出すると、前記点滴薬の滴下を報知すること、
を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項9】
前記第1センサ及び第2センサを有し、前記点滴筒に取り付けられるセンサホルダを更に備え、
前記センサホルダは、
前記点滴筒の各種径及び滴下口高さに合わせた各種のアダプタと、
前記アダプタを収容する収容手段と、
を更に備え、
前記点滴筒の種類に応じた前記アダプタが前記収容手段に装着されて、当該アダプタに前記点滴筒が嵌め込まれることで、着脱可能に取り付けられること、
を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項10】
前記アダプタは、
板形状を有し、
板面を貫通し、対応の前記点滴筒の径よりも若干小さい嵌合孔と、
前記嵌合孔から外縁まで前記板面を切り欠いて形成される断絶部と、
前記嵌合孔に沿って前記断絶部に至るまで前記嵌合孔を挟むようにそれぞれ延び、前記嵌合孔に挿嵌される前記点滴筒を両側から挟持する撓み可能な一対の挟持部と、
を有し、
前記収容手段の側壁と前記挟持部との間の隙間と前記嵌合孔の径との合計値が前記対応の点滴筒の径と同一であり、
前記挟持部が前記収容手段の側壁に当接するまで撓んだときの前記嵌合孔の径は、前記対応の点滴筒の径と同一となること、
を特徴とする請求項9記載の薬液検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−245214(P2012−245214A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120230(P2011−120230)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【特許番号】特許第5009427号(P5009427)
【特許公報発行日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(508171468)大昭電機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】