薬物含有粘着シートの包装構造
【課題】薬物含有粘着シートや支持体、更にはセパレータなどの各シート間の滑り性が良く、かつ、包装材内面への薬物含有粘着シートの貼り付きがなく、使用時にも非常に容易に取り出せるとともに、歩留りの低下やコスト高とならない薬物含有粘着シートの包装構造を提供する。
【解決手段】支持体11上に薬物含有粘着剤層12を形成し、当該薬物含有粘着剤層12との間の剥離力が、10〜100g/30mm幅となるようにセパレータ13を積層して、薬物含有粘着シート20を作製する。また、支持体11の露出面及び/又はセパレータ13の露出面には、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着により凹凸2を形成する。この薬物含有粘着シート20を、内面に凹凸2が形成された包装材料1でヒートシールし、本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造Dを提供する。
【解決手段】支持体11上に薬物含有粘着剤層12を形成し、当該薬物含有粘着剤層12との間の剥離力が、10〜100g/30mm幅となるようにセパレータ13を積層して、薬物含有粘着シート20を作製する。また、支持体11の露出面及び/又はセパレータ13の露出面には、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着により凹凸2を形成する。この薬物含有粘着シート20を、内面に凹凸2が形成された包装材料1でヒートシールし、本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造Dを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物含有粘着シートの包装構造に関する。具体的には、支持体と薬物を含有させた薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層に積層されたセパレータを有する3層構造をした薬物含有粘着シートの包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬物を生体内へ投与する手段として、薬物が含有された粘着シートを皮膚に貼付する経皮吸収方法が採用されている。このような薬物含有粘着シートは、ポリエステルやポリエチレンなどのプラスチック製の支持体の片面に、経皮吸収薬物を含有させた粘着剤層が積層され、当該粘着剤層の露出された面をセパレータで被覆されている。通常、このような薬物含有粘着シートは含有された経皮吸収薬物の揮散防止や湿度に対する影響を防止するために、水分に対して不透過性の包装材料にて個別包装されている。
【0003】
しかし、このように個別包装された薬物含有粘着シートにあっては、薬物含有粘着シートの端面から粘着剤がはみ出し、包装材料の内面に付着したり、支持体の背面に粘着剤が回り込み、使用時に薬物含有粘着シートを取り出しにくくなる場合があった。
【0004】
特に、粘着剤層中に、可塑剤や粘着付与剤、液状成分などを含有させた場合には、これらの物質が粘着剤層の端面から滲み出して、支持体やセパレータの背面、更には包装材料の内面にまで付着(回り込み)し、その結果、包装材料の内面に薬物含有シートが貼り付いてしまい、薬物含有粘着シートを取り出しにくくなってしまうという問題があった。
【0005】
また、薬物含有粘着シートや支持体、更にはセパレータなどのシートの製造工程上、切断したシートを一時的に集積する必要のある場合、上記と同様の理由で、シート間の滑り性が悪いために作業性が大きく低下するという問題もあった。
【0006】
これらの問題点を解決する方法として、例えば、(1)セパレータの大きさを大きくする、(2)更に大きくしたセパレータの外周縁に突起状部、いわゆる堤防を設けるという方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、上記(1)のセパレータを大きくする方法であれば、粘着剤のはみ出しやセパレータの背面への可塑剤などの付着(回り込み)は防げるが、支持体側への付着(回り込み)を防ぐことができない。
【0008】
また、(2)のいわゆる堤防を設ける方法は非常に効果的な方法ではあるが、製造工程で用いる剥離紙が大きくなるため歩留りを低下させ、また、セパレータの外周縁に突起状部を設けるために特殊な装置が必要となる結果、製造コストが高くなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、薬物含有粘着シートや支持体、更にはセパレータなどの各シート間の滑り性が良く、かつ、包装材内面への薬物含有粘着シートの貼り付きがなく、使用時にも非常に容易に取り出せるとともに、歩留りの低下やコスト高とならない薬物含有粘着シートの包装構造を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、薬物含有粘着剤層とセパレータとの間の剥離力が一定の範囲にある薬物含有粘着シートが上記目的を達成できるとともに、更に支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の内面、つまり薬物含有粘着シートと接触する面のうち少なくとも一つの面に、凹凸を形成することにより、更に効果的に上記目的を達成できることを見い出し、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造は、支持体、薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層の表面に積層されたセパレータからなる薬物含有粘着シートを、包装材料にて包装してなる包装構造であって、前記薬物含有粘着剤層と前記セパレータとの剥離力が10〜100g/30mm幅であることを特徴としている。
【0012】
このとき、支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸を形成するのが好ましく、特に凹凸における凸部が、凹凸形成面全体の5〜90%にするのが望ましい。
【0013】
また、凹凸における凸部のピッチを、0.1〜20mmであり、かつ高さが2μm〜1mmとなるようにするのがよい。
【0014】
これらの凹凸は、例えば、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着、凹凸形成部材の積層の群から選ばれた少なくとも一つの手段によって形成することが可能であり、また、印刷による凹凸を発泡性インキを用いて印刷し、当該印刷部を発泡させることによって形成することもできる。さらに、織布や不織布などの凹凸形成部材を用いて、凹凸を形成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薬物含有粘着シートの包装構造によれば、薬物含有粘着シートが包装材料内面へ付着したとしても、セパレータがめくれ上がらず薬物含有粘着シートの取り出しが容易になる。
【0016】
さらに、支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸が形成されているので、薬物含有粘着シートと包装材料との内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包装材料の内面との粘着面積あるいは付着面積が少なくなる。この結果、端面からの糊のはみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が滲み出し易い薬物含有粘着シートを包装した場合にも、包装材料の内面に粘着あるいは付着しにくくなるので、当該薬物含有粘着シートをさらに容易に取り出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】同上の包装構造に用いられる薬物含有粘着シートの斜視図である。
【図4】本発明に係る別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す図1におけるX−X線に相当する位置での断面図である。
【図5】同上の包装構造に用いられる薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図6】同上の包装構造に用いられる別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図7】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図8】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図9】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図10】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートの支持体側から見た斜視図である。
【図11】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図12】本発明のさらに別な一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す概略斜視図である。
【図13】図12におけるY−Y線断面図である。
【図14】本発明に係るさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す図12におけるY−Y線に相当する位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Aを示す概略斜視図、図2は図1におけるX−X線断面図、図3は当該包装構造Aに用いられる薬物含有粘着シート10の斜視図である。また、図4は本発明に係る別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Bを示す図1におけるX−X線に相当する位置での断面図、図5〜図11はそれぞれ当該包装構造Bに用いられる薬物含有粘着シート20の斜視図である。また、図12は本発明に係るさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Cを示す概略斜視図、図13は図12におけるY−Y線断面図、図14はさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Dを示す図12におけるY−Y線に相当する位置での断面図である。以下、各図に従って、本発明について詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2示す薬物含有粘着シートの包装構造Aは、薬物含有粘着シート10が包装材料1にて個別に包装されている。当該薬物含有粘着シート10は、図3に示すように、支持体11上に薬物含有粘着剤層12が形成されており、さらにその上面にセパレータ13が積層された3層構造をなしている。
【0020】
当該支持体11としては、シート状あるいはフィルム状に形成されたものであれば特に限定されるものではないが、特に、薬物の蒸散や湿気が透過しないものが望ましい。また、この支持体11は単層あるいは複数層の積層体で作成することもできる。
【0021】
例えば、ポリエチレン、ナイロン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、サーリン、ポリアクリロニトリル系樹脂、ハイトロン、金属箔などの単独フィルムやシート、またはこれらのラミネートフィルムなどを用いることができる。
【0022】
セパレータ13としても、特に材質に制約を受けるものではないが、用いられる粘着剤に応じたものが選択され、例えば、薬物含有粘着剤層12との接触面に易剥離処理がされたプラスチック製や紙製のシートあるいはフィルムなどが用いられる。もちろん、粘着剤の種類によっては易剥離処理が不要な場合もある。
【0023】
薬物含有粘着剤層12は、アクリル系やゴム系、シリコーン系あるいはビニルエーテル系などの重合体粘着剤を主成分としており、粘着剤層12中には各種の経皮吸収薬物が配合される。経皮吸収薬物として、全身性薬物や局所用薬物を問わず経皮吸収性を有するものであれば特に限定されず用いることができる。さらに、当該粘着剤層12中には、様々な添加剤を添加することができ、各種経皮吸収促進剤や可塑剤や粘着付与剤などの添加剤を用いることができる。
【0024】
この薬物含有粘着剤層12は、上記した支持体11あるいはセパレータ13上に、上記の重合体粘着剤の溶液を塗布した後、乾燥して作製される。このとき、薬物含有粘着剤層12とセパレータ13との剥離力が以下の範囲となるように、粘着剤やセパレータ13が選ばれる。
【0025】
係る剥離力は、次に述べる方法にて測定されるものであって、このときの剥離力が、10〜100g/30mm幅であり、より好ましくは20〜70g/30mmである。剥離力が10g/30mm幅より小さいと、特に何らの効果も得られず、包装材料1からの薬物含有粘着シート10の取出し性が悪い場合もある。また、剥離力が100g/30mm幅よりも大きいと、包装材料1からの取出し性は良好であるが、セパレータ13を剥離した後に、薬物含有粘着シート10がカールして薬物含有粘着シート10使用時の操作性の点で不利となる。当該剥離力は、幅30mmに裁断した帯状の薬物含有粘着シートの一端を剥離し、測定機のチャックに一方はセパレータ、一方は粘着シートを固定し、23±2℃、65±10%R.H.の条件下で、ショッパー引張試験機等によって、180度方向に300mm/分の速度で剥離して、測定される。
【0026】
こうして作製された薬物含有粘着シート10は、図1及び図2に示すように1枚1枚、あるいは数枚の薬物含有粘着シート10が重ねられて、包装材料1によって包装され、包装材料1を例えばその周囲(ヒートシール部3)をヒートシールして密封される。この包装材料1も、シート状あるいはフィルム状のものであれば特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましく、具体的には、ポリエチレンやサーリン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ハイトロンなどのヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料1が適している。特に、薬物含有粘着シート10に含有する経皮吸収薬物の揮散や分散などを防止するためには、ポリエステルフィルムや金属箔などのガス不透過性フィルムを積層したものを用いるのが好ましい。なお、揮散や分散などをしない経皮吸収薬物などを用いる場合には、紙や不織布などのガス透過性シートを積層してもよいのはいうまでもない。また、この包装材料1としては、通常10μm〜200μmの厚さのものが用いられる。
【0027】
このように本発明の薬物含有粘着シートの包装構造Aによれば、薬物含有粘着シート10が包装材料1内面へ付着したとしても、セパレータ13がめくれ上がらず薬物含有粘着シート10の取り出しが容易になる。
【0028】
また、本発明においては、図4に示す包装構造Bのように支持体11の露出面及びセパレータ13の露出面に凹凸2を形成した薬物含有粘着シート20を用いるのが望ましい。この凹凸2の形状は特に限定されるものではないが、例えば図5に示すように凹凸2を点状に形成したり、図6に示すように格子状に形成したり、あるいは図7に示すように微粒子面状に形成したり、図8に示すように梨地状に形成したりすることができる。また、図9や図10に示すように、取扱い方法や会社名などの特定の文字の繰り返し模様に形成することができる。また、図示はしないが波線状に形成したり、更に、これらの組み合わせの形状とすることもできる。
【0029】
この凹凸2は、凸部の面積が凹凸形成面全体の5〜90%の範囲となるように形成される。凸部の面積が5%よりも少ないと、凹部と包装材料1の内面が接触し易くなる結果、薬物含有粘着シート20との接触面積、つまり粘着面積或いは付着面積が大となって当該薬物含有粘着シート20が取り出しにくくなることがある。また、90%を越えると、包装材料1の内面と接触する面積が多くなり、係る場合にも凹凸2による効果が得られない。
【0030】
また、凸部のピッチを0.1mm〜20mmとし、かつ凸部の高さが2μm〜1mmとなるように形成するのが好ましい。ピッチが0.1mmよりも小さいと、凸部と包装材料1の内面と接触する面積が多くなって、凹凸2による効果が得られず、20mmよりも大きい場合には、凸部と包装材料1の内面と接触する面積が少なくなり、やはり凹凸2による効果が得られない。また、凸部の高さが2μmよりも小さい場合にも、接触面積が多くなって、取り出しにくくなる。一方、1mmよりも大きいと、ヒートシール部3の密閉性の確保が困難になったり、嵩高くなったりするため、好ましくない。
【0031】
これらの凹凸2は次のようにして形成できる。例えば、表面が平滑な支持板上に、支持体11あるいはセパレータ13を載置し、その外側から、所定形状に刻印されたロールやプレス板などによって支持体11あるいはセパレータ13の表面に押圧処理を施すことにより凹凸2を形成できる。そして、凹凸2が形成された支持体11あるいはセパレータ13上に薬物含有粘着剤層12を形成すればよい。このようにすれば、ロールやプレス板の改造など既存の装置を使用できるので、コスト増が少なくて済み経済的である。
【0032】
また、支持体11と薬物含有粘着剤層12とセパレータ13とを順次積層して薬物含有粘着シート20を形成した後、支持体11もしくは/及びセパレータ13の表面からロールやプレス板を押圧して凹凸2を一挙に形成することもできる。
【0033】
この凹凸2は押圧によって形成される他の方法としてはエンボス加工が挙げられる。この場合、凹凸2を形成する際に、フィルム状物やシート状物に孔や傷ができるのを防ぐために、湾曲状の、つまり角部のない凹凸2を形成するのが好ましい。
【0034】
更に、凹凸2は印刷によって形成することもできる。このとき、通常の印刷に用いられるインキによって印刷を施してもよいが、発泡性樹脂からなるインキを用いて印刷され、当該印刷されたインキを発泡させることにより形成するのが、インキ中の発泡剤の種類や配合割合を調整することにより、発泡量、つまり、凹凸2の高さを任意に変更できる点でより好ましい。
【0035】
また、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着することによっても形成できる。有機質のものとしては、天然あるいは合成の材料で形成された粒子ないし粉末が挙げられるが、これらのうち合成の材料が品質の安定した粒子ないし粉末が得られるので望ましい。この合成の材料としては、例えば熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で製造された粒子ないし粉末が挙げられる。
【0036】
これらの粒子ないし粉末を付着ないし接着するには、例えば熱融着あるいはホットメルト樹脂を用いて接着するなどの方法が用いられる。
【0037】
また、当該凹凸2は、図11に示すようにセパレータ13(及び/又は支持体11)上に凹凸形成部材2aを積層することによっても作成できる。この凹凸形成部材2aとしては、セパレータ13(及び/又は支持体11)表面に凹凸2を付与できるものであれば特に限定されるものではない。特に、織布又は不織布が廉価であり、しかも熱可塑性樹脂で形成されたものであれば容易にラミネートできるので望ましい。もちろん、織布又は不織布を支持体11として用いることも可能である。
【0038】
このように、剥離力が上記の範囲にある薬物含有粘着シート20の支持体11及び/又はセパレータ13の表面(露出面)に凹凸2を形成しておけば、薬物含有粘着シート20と包装材料1との内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シート20と包装材料1の内面との粘着面積あるいは付着面積が少なくなって、当該薬物含有粘着シート20をさらに容易に取り出すことが可能になる。なお、本発明にあっては、薬物含有粘着剤層12とセパレータ13との間の剥離力が一定の範囲にあるため、取り出す際にセパレータ13がめくれ上がったり、包装材料1の内面に貼り付くことがない。従って、必ずしも支持体11及びセパレータ13の双方に凹凸2を形成する必要はなく、いずれか一方に形成すればよいので、製造工程上や製造コストの点からも有利なものである。
【0039】
上記の実施例においては、薬物含有粘着シート20の支持体11又は/及びセパレータ13表面に凹凸2を形成した場合について説明したが、本発明にあっては、薬物含有粘着シート20の支持体11もしくはセパレータ13と接触する包装材料1の内面に凹凸2を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0040】
図12及び図13に示す薬物含有粘着シート20の包装構造Cにあっては、薬物含有粘着シート20を包装する包装材料1の内面に凹凸2が形成されている。このように、凹凸2の形成されていない薬物含有粘着シート10を用いた場合にあっても、包装材料1自体に凹凸2を形成することにより同様の効果を得ることができる。
【0041】
包装材料1としては上述したように、シート状あるいはフィルム状のものであれば特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましい。また、凹凸2を包装材料1に形成させる方法としては、支持体11やセパレータ13の表面に凹凸2を形成するのと同様な方法が用いられる。
【0042】
この場合、この凹凸2においても上述した理由から、凸部のピッチを0.1mm〜20mmとし、かつ凸部の高さが2μm〜1mmとなるように形成するのが好ましい。特に、凸部の高さが、2〜900μmの範囲、更には2〜800μmの範囲であるものが望ましい。凸部の高さが、2μm未満では低すぎて、薬物含有粘着シート20の粘着防止あるいは付着防止を確保する観点から、凸部を設けた意味がなくなる。一方、1mmを超えるとその形成が困難になったり、ヒートシール部3の密閉性の確保ができなかったり、嵩高さやコスト等の観点から好ましくない。
【0043】
さらに、本発明にあっては図14に示す薬剤粘着シートの包装構造Dのように、凹凸2が形成された薬物含有粘着シート20と内面に凹凸2が形成された包装材料1とを組み合わせれば、より効果的なものにできる。
【符号の説明】
【0044】
A、B、C、D 本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造
1 包装材料
2 凹凸
2a 凹凸形成部材
10 凹凸が形成されていない薬物含有粘着シート
11 支持体
12 薬物含有粘着剤層
13 セパレータ
20 凹凸が形成された薬物含有粘着シート
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物含有粘着シートの包装構造に関する。具体的には、支持体と薬物を含有させた薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層に積層されたセパレータを有する3層構造をした薬物含有粘着シートの包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬物を生体内へ投与する手段として、薬物が含有された粘着シートを皮膚に貼付する経皮吸収方法が採用されている。このような薬物含有粘着シートは、ポリエステルやポリエチレンなどのプラスチック製の支持体の片面に、経皮吸収薬物を含有させた粘着剤層が積層され、当該粘着剤層の露出された面をセパレータで被覆されている。通常、このような薬物含有粘着シートは含有された経皮吸収薬物の揮散防止や湿度に対する影響を防止するために、水分に対して不透過性の包装材料にて個別包装されている。
【0003】
しかし、このように個別包装された薬物含有粘着シートにあっては、薬物含有粘着シートの端面から粘着剤がはみ出し、包装材料の内面に付着したり、支持体の背面に粘着剤が回り込み、使用時に薬物含有粘着シートを取り出しにくくなる場合があった。
【0004】
特に、粘着剤層中に、可塑剤や粘着付与剤、液状成分などを含有させた場合には、これらの物質が粘着剤層の端面から滲み出して、支持体やセパレータの背面、更には包装材料の内面にまで付着(回り込み)し、その結果、包装材料の内面に薬物含有シートが貼り付いてしまい、薬物含有粘着シートを取り出しにくくなってしまうという問題があった。
【0005】
また、薬物含有粘着シートや支持体、更にはセパレータなどのシートの製造工程上、切断したシートを一時的に集積する必要のある場合、上記と同様の理由で、シート間の滑り性が悪いために作業性が大きく低下するという問題もあった。
【0006】
これらの問題点を解決する方法として、例えば、(1)セパレータの大きさを大きくする、(2)更に大きくしたセパレータの外周縁に突起状部、いわゆる堤防を設けるという方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、上記(1)のセパレータを大きくする方法であれば、粘着剤のはみ出しやセパレータの背面への可塑剤などの付着(回り込み)は防げるが、支持体側への付着(回り込み)を防ぐことができない。
【0008】
また、(2)のいわゆる堤防を設ける方法は非常に効果的な方法ではあるが、製造工程で用いる剥離紙が大きくなるため歩留りを低下させ、また、セパレータの外周縁に突起状部を設けるために特殊な装置が必要となる結果、製造コストが高くなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、薬物含有粘着シートや支持体、更にはセパレータなどの各シート間の滑り性が良く、かつ、包装材内面への薬物含有粘着シートの貼り付きがなく、使用時にも非常に容易に取り出せるとともに、歩留りの低下やコスト高とならない薬物含有粘着シートの包装構造を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、薬物含有粘着剤層とセパレータとの間の剥離力が一定の範囲にある薬物含有粘着シートが上記目的を達成できるとともに、更に支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の内面、つまり薬物含有粘着シートと接触する面のうち少なくとも一つの面に、凹凸を形成することにより、更に効果的に上記目的を達成できることを見い出し、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造は、支持体、薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層の表面に積層されたセパレータからなる薬物含有粘着シートを、包装材料にて包装してなる包装構造であって、前記薬物含有粘着剤層と前記セパレータとの剥離力が10〜100g/30mm幅であることを特徴としている。
【0012】
このとき、支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸を形成するのが好ましく、特に凹凸における凸部が、凹凸形成面全体の5〜90%にするのが望ましい。
【0013】
また、凹凸における凸部のピッチを、0.1〜20mmであり、かつ高さが2μm〜1mmとなるようにするのがよい。
【0014】
これらの凹凸は、例えば、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着、凹凸形成部材の積層の群から選ばれた少なくとも一つの手段によって形成することが可能であり、また、印刷による凹凸を発泡性インキを用いて印刷し、当該印刷部を発泡させることによって形成することもできる。さらに、織布や不織布などの凹凸形成部材を用いて、凹凸を形成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薬物含有粘着シートの包装構造によれば、薬物含有粘着シートが包装材料内面へ付着したとしても、セパレータがめくれ上がらず薬物含有粘着シートの取り出しが容易になる。
【0016】
さらに、支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸が形成されているので、薬物含有粘着シートと包装材料との内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包装材料の内面との粘着面積あるいは付着面積が少なくなる。この結果、端面からの糊のはみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が滲み出し易い薬物含有粘着シートを包装した場合にも、包装材料の内面に粘着あるいは付着しにくくなるので、当該薬物含有粘着シートをさらに容易に取り出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】同上の包装構造に用いられる薬物含有粘着シートの斜視図である。
【図4】本発明に係る別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す図1におけるX−X線に相当する位置での断面図である。
【図5】同上の包装構造に用いられる薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図6】同上の包装構造に用いられる別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図7】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図8】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図9】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図10】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートの支持体側から見た斜視図である。
【図11】同上の包装構造に用いられるさらに別な薬剤含有粘着シートのセパレータ側から見た斜視図である。
【図12】本発明のさらに別な一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す概略斜視図である。
【図13】図12におけるY−Y線断面図である。
【図14】本発明に係るさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造を示す図12におけるY−Y線に相当する位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る一実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Aを示す概略斜視図、図2は図1におけるX−X線断面図、図3は当該包装構造Aに用いられる薬物含有粘着シート10の斜視図である。また、図4は本発明に係る別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Bを示す図1におけるX−X線に相当する位置での断面図、図5〜図11はそれぞれ当該包装構造Bに用いられる薬物含有粘着シート20の斜視図である。また、図12は本発明に係るさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Cを示す概略斜視図、図13は図12におけるY−Y線断面図、図14はさらに別な実施の形態である薬物含有粘着シートの包装構造Dを示す図12におけるY−Y線に相当する位置での断面図である。以下、各図に従って、本発明について詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2示す薬物含有粘着シートの包装構造Aは、薬物含有粘着シート10が包装材料1にて個別に包装されている。当該薬物含有粘着シート10は、図3に示すように、支持体11上に薬物含有粘着剤層12が形成されており、さらにその上面にセパレータ13が積層された3層構造をなしている。
【0020】
当該支持体11としては、シート状あるいはフィルム状に形成されたものであれば特に限定されるものではないが、特に、薬物の蒸散や湿気が透過しないものが望ましい。また、この支持体11は単層あるいは複数層の積層体で作成することもできる。
【0021】
例えば、ポリエチレン、ナイロン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、サーリン、ポリアクリロニトリル系樹脂、ハイトロン、金属箔などの単独フィルムやシート、またはこれらのラミネートフィルムなどを用いることができる。
【0022】
セパレータ13としても、特に材質に制約を受けるものではないが、用いられる粘着剤に応じたものが選択され、例えば、薬物含有粘着剤層12との接触面に易剥離処理がされたプラスチック製や紙製のシートあるいはフィルムなどが用いられる。もちろん、粘着剤の種類によっては易剥離処理が不要な場合もある。
【0023】
薬物含有粘着剤層12は、アクリル系やゴム系、シリコーン系あるいはビニルエーテル系などの重合体粘着剤を主成分としており、粘着剤層12中には各種の経皮吸収薬物が配合される。経皮吸収薬物として、全身性薬物や局所用薬物を問わず経皮吸収性を有するものであれば特に限定されず用いることができる。さらに、当該粘着剤層12中には、様々な添加剤を添加することができ、各種経皮吸収促進剤や可塑剤や粘着付与剤などの添加剤を用いることができる。
【0024】
この薬物含有粘着剤層12は、上記した支持体11あるいはセパレータ13上に、上記の重合体粘着剤の溶液を塗布した後、乾燥して作製される。このとき、薬物含有粘着剤層12とセパレータ13との剥離力が以下の範囲となるように、粘着剤やセパレータ13が選ばれる。
【0025】
係る剥離力は、次に述べる方法にて測定されるものであって、このときの剥離力が、10〜100g/30mm幅であり、より好ましくは20〜70g/30mmである。剥離力が10g/30mm幅より小さいと、特に何らの効果も得られず、包装材料1からの薬物含有粘着シート10の取出し性が悪い場合もある。また、剥離力が100g/30mm幅よりも大きいと、包装材料1からの取出し性は良好であるが、セパレータ13を剥離した後に、薬物含有粘着シート10がカールして薬物含有粘着シート10使用時の操作性の点で不利となる。当該剥離力は、幅30mmに裁断した帯状の薬物含有粘着シートの一端を剥離し、測定機のチャックに一方はセパレータ、一方は粘着シートを固定し、23±2℃、65±10%R.H.の条件下で、ショッパー引張試験機等によって、180度方向に300mm/分の速度で剥離して、測定される。
【0026】
こうして作製された薬物含有粘着シート10は、図1及び図2に示すように1枚1枚、あるいは数枚の薬物含有粘着シート10が重ねられて、包装材料1によって包装され、包装材料1を例えばその周囲(ヒートシール部3)をヒートシールして密封される。この包装材料1も、シート状あるいはフィルム状のものであれば特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましく、具体的には、ポリエチレンやサーリン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ハイトロンなどのヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料1が適している。特に、薬物含有粘着シート10に含有する経皮吸収薬物の揮散や分散などを防止するためには、ポリエステルフィルムや金属箔などのガス不透過性フィルムを積層したものを用いるのが好ましい。なお、揮散や分散などをしない経皮吸収薬物などを用いる場合には、紙や不織布などのガス透過性シートを積層してもよいのはいうまでもない。また、この包装材料1としては、通常10μm〜200μmの厚さのものが用いられる。
【0027】
このように本発明の薬物含有粘着シートの包装構造Aによれば、薬物含有粘着シート10が包装材料1内面へ付着したとしても、セパレータ13がめくれ上がらず薬物含有粘着シート10の取り出しが容易になる。
【0028】
また、本発明においては、図4に示す包装構造Bのように支持体11の露出面及びセパレータ13の露出面に凹凸2を形成した薬物含有粘着シート20を用いるのが望ましい。この凹凸2の形状は特に限定されるものではないが、例えば図5に示すように凹凸2を点状に形成したり、図6に示すように格子状に形成したり、あるいは図7に示すように微粒子面状に形成したり、図8に示すように梨地状に形成したりすることができる。また、図9や図10に示すように、取扱い方法や会社名などの特定の文字の繰り返し模様に形成することができる。また、図示はしないが波線状に形成したり、更に、これらの組み合わせの形状とすることもできる。
【0029】
この凹凸2は、凸部の面積が凹凸形成面全体の5〜90%の範囲となるように形成される。凸部の面積が5%よりも少ないと、凹部と包装材料1の内面が接触し易くなる結果、薬物含有粘着シート20との接触面積、つまり粘着面積或いは付着面積が大となって当該薬物含有粘着シート20が取り出しにくくなることがある。また、90%を越えると、包装材料1の内面と接触する面積が多くなり、係る場合にも凹凸2による効果が得られない。
【0030】
また、凸部のピッチを0.1mm〜20mmとし、かつ凸部の高さが2μm〜1mmとなるように形成するのが好ましい。ピッチが0.1mmよりも小さいと、凸部と包装材料1の内面と接触する面積が多くなって、凹凸2による効果が得られず、20mmよりも大きい場合には、凸部と包装材料1の内面と接触する面積が少なくなり、やはり凹凸2による効果が得られない。また、凸部の高さが2μmよりも小さい場合にも、接触面積が多くなって、取り出しにくくなる。一方、1mmよりも大きいと、ヒートシール部3の密閉性の確保が困難になったり、嵩高くなったりするため、好ましくない。
【0031】
これらの凹凸2は次のようにして形成できる。例えば、表面が平滑な支持板上に、支持体11あるいはセパレータ13を載置し、その外側から、所定形状に刻印されたロールやプレス板などによって支持体11あるいはセパレータ13の表面に押圧処理を施すことにより凹凸2を形成できる。そして、凹凸2が形成された支持体11あるいはセパレータ13上に薬物含有粘着剤層12を形成すればよい。このようにすれば、ロールやプレス板の改造など既存の装置を使用できるので、コスト増が少なくて済み経済的である。
【0032】
また、支持体11と薬物含有粘着剤層12とセパレータ13とを順次積層して薬物含有粘着シート20を形成した後、支持体11もしくは/及びセパレータ13の表面からロールやプレス板を押圧して凹凸2を一挙に形成することもできる。
【0033】
この凹凸2は押圧によって形成される他の方法としてはエンボス加工が挙げられる。この場合、凹凸2を形成する際に、フィルム状物やシート状物に孔や傷ができるのを防ぐために、湾曲状の、つまり角部のない凹凸2を形成するのが好ましい。
【0034】
更に、凹凸2は印刷によって形成することもできる。このとき、通常の印刷に用いられるインキによって印刷を施してもよいが、発泡性樹脂からなるインキを用いて印刷され、当該印刷されたインキを発泡させることにより形成するのが、インキ中の発泡剤の種類や配合割合を調整することにより、発泡量、つまり、凹凸2の高さを任意に変更できる点でより好ましい。
【0035】
また、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着することによっても形成できる。有機質のものとしては、天然あるいは合成の材料で形成された粒子ないし粉末が挙げられるが、これらのうち合成の材料が品質の安定した粒子ないし粉末が得られるので望ましい。この合成の材料としては、例えば熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で製造された粒子ないし粉末が挙げられる。
【0036】
これらの粒子ないし粉末を付着ないし接着するには、例えば熱融着あるいはホットメルト樹脂を用いて接着するなどの方法が用いられる。
【0037】
また、当該凹凸2は、図11に示すようにセパレータ13(及び/又は支持体11)上に凹凸形成部材2aを積層することによっても作成できる。この凹凸形成部材2aとしては、セパレータ13(及び/又は支持体11)表面に凹凸2を付与できるものであれば特に限定されるものではない。特に、織布又は不織布が廉価であり、しかも熱可塑性樹脂で形成されたものであれば容易にラミネートできるので望ましい。もちろん、織布又は不織布を支持体11として用いることも可能である。
【0038】
このように、剥離力が上記の範囲にある薬物含有粘着シート20の支持体11及び/又はセパレータ13の表面(露出面)に凹凸2を形成しておけば、薬物含有粘着シート20と包装材料1との内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シート20と包装材料1の内面との粘着面積あるいは付着面積が少なくなって、当該薬物含有粘着シート20をさらに容易に取り出すことが可能になる。なお、本発明にあっては、薬物含有粘着剤層12とセパレータ13との間の剥離力が一定の範囲にあるため、取り出す際にセパレータ13がめくれ上がったり、包装材料1の内面に貼り付くことがない。従って、必ずしも支持体11及びセパレータ13の双方に凹凸2を形成する必要はなく、いずれか一方に形成すればよいので、製造工程上や製造コストの点からも有利なものである。
【0039】
上記の実施例においては、薬物含有粘着シート20の支持体11又は/及びセパレータ13表面に凹凸2を形成した場合について説明したが、本発明にあっては、薬物含有粘着シート20の支持体11もしくはセパレータ13と接触する包装材料1の内面に凹凸2を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0040】
図12及び図13に示す薬物含有粘着シート20の包装構造Cにあっては、薬物含有粘着シート20を包装する包装材料1の内面に凹凸2が形成されている。このように、凹凸2の形成されていない薬物含有粘着シート10を用いた場合にあっても、包装材料1自体に凹凸2を形成することにより同様の効果を得ることができる。
【0041】
包装材料1としては上述したように、シート状あるいはフィルム状のものであれば特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましい。また、凹凸2を包装材料1に形成させる方法としては、支持体11やセパレータ13の表面に凹凸2を形成するのと同様な方法が用いられる。
【0042】
この場合、この凹凸2においても上述した理由から、凸部のピッチを0.1mm〜20mmとし、かつ凸部の高さが2μm〜1mmとなるように形成するのが好ましい。特に、凸部の高さが、2〜900μmの範囲、更には2〜800μmの範囲であるものが望ましい。凸部の高さが、2μm未満では低すぎて、薬物含有粘着シート20の粘着防止あるいは付着防止を確保する観点から、凸部を設けた意味がなくなる。一方、1mmを超えるとその形成が困難になったり、ヒートシール部3の密閉性の確保ができなかったり、嵩高さやコスト等の観点から好ましくない。
【0043】
さらに、本発明にあっては図14に示す薬剤粘着シートの包装構造Dのように、凹凸2が形成された薬物含有粘着シート20と内面に凹凸2が形成された包装材料1とを組み合わせれば、より効果的なものにできる。
【符号の説明】
【0044】
A、B、C、D 本発明に係る薬物含有粘着シートの包装構造
1 包装材料
2 凹凸
2a 凹凸形成部材
10 凹凸が形成されていない薬物含有粘着シート
11 支持体
12 薬物含有粘着剤層
13 セパレータ
20 凹凸が形成された薬物含有粘着シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層の表面に積層されたセパレータからなる薬物含有粘着シートを、包装材料にて密封して包装してなる包装構造であって、
薬物含有粘着剤層とセパレータとの剥離力が10〜100g/30mm幅であることを特徴とする薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項2】
支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸が形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項3】
前記凹凸が、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着、凹凸形成部材の積層の群から選ばれた少なくとも一つの手段によって形成される請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項4】
前記印刷による凹凸が、発泡性インキを用いて印刷され、当該印刷部を発泡させることによって形成されている請求項3に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項5】
凹凸形成部材が、織布又は不織布である請求項3に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項6】
前記凹凸における凸部の面積が、凹凸形成面全体の5〜90%である請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項7】
凹凸における凸部のピッチが、0.1〜20mmであり、かつ高さが2μm〜1mmである請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項1】
支持体、薬物含有粘着剤層及び当該薬物含有粘着剤層の表面に積層されたセパレータからなる薬物含有粘着シートを、包装材料にて密封して包装してなる包装構造であって、
薬物含有粘着剤層とセパレータとの剥離力が10〜100g/30mm幅であることを特徴とする薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項2】
支持体の露出面、セパレートの露出面及び包装材料の薬物含有粘着シートと接触する内面のうち少なくとも一つの面に、凹凸が形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項3】
前記凹凸が、押圧、印刷、有機質又は無機質の粒子ないし粉末の付着ないしは接着、凹凸形成部材の積層の群から選ばれた少なくとも一つの手段によって形成される請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項4】
前記印刷による凹凸が、発泡性インキを用いて印刷され、当該印刷部を発泡させることによって形成されている請求項3に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項5】
凹凸形成部材が、織布又は不織布である請求項3に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項6】
前記凹凸における凸部の面積が、凹凸形成面全体の5〜90%である請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【請求項7】
凹凸における凸部のピッチが、0.1〜20mmであり、かつ高さが2μm〜1mmである請求項2に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−274768(P2009−274768A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187009(P2009−187009)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【分割の表示】特願平9−135851の分割
【原出願日】平成9年5月8日(1997.5.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【分割の表示】特願平9−135851の分割
【原出願日】平成9年5月8日(1997.5.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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