薬物送達デバイス用アセンブリ
薬物送達デバイス(1)用のリセット可能な駆動機構は、ピストンロッドアセンブリ(32)及び相互作用部材(23)を含む。ピストンロッドアセンブリ(32)は、ピストンロッドアセンブリ(32)に沿って続くガイドトラック(18)を含み、ガイドトラック(18)は、少なくとも一つの送達セクション(18A)及び少なくとも一つのリセットセクション(18B)を含んでなる。リセットセクション(18B)は、送達セクション(18A)に続くように配置される。送達セクション(18A)は、少なくとも一つのブロッキング手段(19)を含む。相互作用部材(23)は、ガイドトラック(18)と協動するように構成される。薬物(24)の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、軸始動位置から離れて用量の送達方向の軸方向に変位可能であり、相互作用部材(23)は送達セクション(18A)と協動し、そしてブロッキング手段(19)は、ピストンロッドアセンブリ(32)が用量送達方向に変位するとき、相互作用部材(23)を通過する。ピストンロッドアセンブリ(32)の軸始動位置に向かう変位は、相互作用部材(23)が送達セクション(18A)と協動するとき、ブロッキング手段(19)及び相互作用部材(23)の機械的相互作用により阻止される。薬物送達デバイス(1)をリセットするために、相互作用部材(23)は、リセットセクション(18B)と協動するように構成され、ピストンロッドアセンブリ(32)は、軸始動位置に向かって軸方向に変位し、ブロッキング手段(19)は、相互作用部材(23)からオフセットされ、そしてピストンロッドアセンブリ(32)が軸始動位置に向かって変位するとき、相互作用部材(23)の軸位置を通過する。また、ピストンロッドアセンブリ(32)が提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、薬物送達デバイス用アセンブリ及び薬物送達デバイスに組み入れるのに好適なピストンロッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスにおいて、通常は薬物を含むカートリッジが提供される。ピストンはカートリッジに保持される。ピストンは、薬物の用量を送達するためピストンロッドによりカートリッジに対して変位する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、改良された薬物送達デバイス、例えば、高い用量精度を有するデバイスの提供を容易にする駆動機構を提供することである。更に、改良された薬物送達デバイスに組み込むのに好適なピストンロッドアセンブリが提供される。
【0004】
この目的は、特許請求範囲の独立項の主題により実現され得る。更なる特徴及び有益な実施態様は従属項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様によると、薬物送達デバイス用のアセンブリが提供される。アセンブリはリセット可能な駆動機構であり得て、又はそれを含み得る。駆動機構はピストンロッドアセンブリを含み得る。ピストンロッドアセンブリは、ガイドトラックを含み得る。ガイドトラックは、連続したガイドトラックであってもよい。ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリに沿って続き得る。ガイドトラックは、少なくとも一つの送達セクションを含み得る。送達セクションは二つの側壁を含み得る。二つの側壁は穴のあいたガイドを形成し得る。ガイドトラックは少なくとも一つのリセットセクションを含み得る。リセットセクションは、送達セクションに継続するよう都合よく配置される。送達セクションは、少なくとも一つのブロッキング手段を含み得る。駆動機構は相互作用部材を含む。相互作用部材は可撓性部材であってもよい。相互作用部材はガイドトラックと協動するように構成し得る。薬物の送達のために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置から離れて用量送達方向の軸方向に変位可能である。好ましくは、可撓性の相互作用部材は、送達セクションと、特に、用量送達手法中に協動し得る。ブロッキング手段は、ピストンロッドアセンブリが用量送達方向に変位するとき、相互作用部材を通過し得る。好ましくは、ピストンロッドアセンブリの軸始動位置に向かう変位は、相互作用部材が送達セクションと協動するとき、ブロッキング手段と相互作用部材の機械的相互作用により阻止される。薬物送達デバイスをリセットするために、相互作用部材は、ガイドトラックのリセットセクションと協動するように構成し得る。デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置に向かって変位し得る。ブロッキング手段は、相互作用部材から、特に、相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、オフセットされ得る。ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に向かって変位するとき、特に、相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、ブロッキング手段は相互作用部材の軸位置を通過し得る。
【0006】
更なる態様は薬物送達デバイス用のピストンロッドアセンブリに関する。ピストンロッドアセンブリは、連続したガイドトラックを含み得る。ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリに沿って続き得る。ガイドトラックは、少なくとも一つの第一のセクションを含みうる。ガイドトラックは、少なくとも一つの第二のセクションを含み得る。第一のセクションは、少なくとも一つの第一のブロッキング手段を含み得る。第一のブロッキング手段は、第一のセクションに、及び/又は、第一のセクションに沿った一方向連結を提供するのに好適であり得る。第一のセクションは、ピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長し得る。第二のセクションは角度オフセットされ、及びブロッキング手段から角度的に分離される。第二のセクションは、ブロッキング手段から軸方向に通過して伸長し得る。
【0007】
第一のセクションは、既に記述した送達セクションであってもよい。第二のセクションは、既に記述したリセットセクションであってもよい。薬物送達デバイスは注射デバイスであってもよい。薬物送達デバイスはペン形デバイス、例えば、ペン形注射器であってもよい。好ましくは、薬物送達デバイスは、薬物の事前設定された用量、即ち、そのサイズが使用者により変更できない用量を投与するよう構成されたデバイスである。薬物送達デバイスは薬物の同等、又は異なったサイズの用量を提供できる。薬物は、例えば、長期間作用型又は短期間作用型のインスリン、ヘパリン、GLP−1、及び/又は、成長ホルモンを含む液体薬物であってもよい。
【0008】
好ましくは、リセットセクションは、送達セクションと連続した回路を形成するよう配置される。好ましくは、リセットセクションは、ブロッキング手段とは離れている。相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、ブロッキング手段は相互作用部材からの角度オフセットできる。従って、送達セクションとリセットセクションの間の角度オフセットの故に、リセットセクションは、相互作用部材と送達セクションに配置されたブロッキング手段との相互作用なしで、相互作用部材上を通過し得る。この方法により、リセット可能な薬物送達デバイスが容易にされる。
【0009】
ピストンロッドアセンブリの用量設定中の運動は、ブロッキング手段及び相互作用部材の隣接により阻止し得る。それ故、高い用量精度を有する薬物送達デバイスが容易にされる。
【0010】
実施態様によると、リセットセクションは、送達セクションに沿って、好ましくは、全送達セクションに沿って軸方向に伸長する。
【0011】
好ましくは、リセットセクションは送達セクションに対して角度オフセットされる。リセットセクションと送達セクションの間の角度オフセットは、軸始動位置から軸方向に減少し得る。
【0012】
ピストンロッドアセンブリのその軸始動位置へ戻る設定を行うために、 リセットセクションは相互作用部材と機械的に協動する。それにより、ピストンロッドアセンブリは、角度オフセットを有する送達セクションに沿って軸方向に変位し得る。リセットセクションと送達セクションの間の角度オフセットの故に、ブロッキング手段は、相互作用部材と機械的に相互作用を行わずに、相互作用部材の軸位置を通過し得る。リセットセクションに沿ってピストンロッドアセンブリを変位させた後、ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリがカートリッジ内の薬物の第一の用量を送達する前に有していた軸位置、即ち、軸始動位置に位置決めし得る。
【0013】
好ましくは、送達セクションは、ガイドトラックの角度方向に拡がる連結領域を介してリセットセクションに連結する。
【0014】
特に、送達セクションの一端は、ガイドトラックの一連結領域を介してリセットセクションの一端に連結し得る。送達セクションの他端は、リセットセクションの他端に連結し得て、又は、好ましくは、更なる角度的に拡大していく連結手段を介して他方のリセットセクションに連結し得る。この方法において、リセットセクション及び送達セクションは、連続した回路を形成し得る。それ故、リセット可能な薬物送達デバイスが容易にされる。
【0015】
好ましくは、相互作用部材の送達セクションからリッセト部分への遷移は、連結領域を介する場合を除いて、相互作用部材と送達セクションの側壁との機械的協動の故に阻止し得る。それ故、ピストンロッドアセンブリの運動、特に、ピストンロッドアセンブリをリセットするための運動は、最終用量が実施されなければ阻止し得る。
【0016】
実施態様によると、駆動機構のリセットのために、ピストンロッドアセンブリは回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、連結領域が相互作用部材を通過し、そして相互作用部材がリセットセクションと機械的協動にもたらされるように回転可能である。この作動のために、ピストンロッドアセンブリは、用量の送達中と同じ方向に回転可能である。
【0017】
この方法において、相互作用部材及びリセットトラックの機械的相互作用が可能となり、その結果、リセット可能な薬物送達デバイスの提供が容易にされる。
【0018】
好ましくは、送達セクションは、ピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長する。リセットセクションは、送達セクションよりピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して低い傾斜で伸長する。
【0019】
送達セクション及び相互作用部材は、各設定用量の送達中にピストンロッドアセンブリの回転を画成し得る。送達セクションの二つの端部の間の角度オフセットは、第一の用量の送達から、最終用量の送達までのピストンロッドアセンブリの回転のための全回転角を決定する。好ましくは、ピストンロッドアセンブリは、各設定用量を送達するために、45°又はそれ以下で回転する。
【0020】
実施態様によると、セクションセパレータは連結領域に配置される。セクションセパレータは、相互作用部材を、連結領域を介して送達セクションと相互作用するように戻す方向にピストンロッドアセンブリの回転をブロックできる。
【0021】
セクションセパレータは、例えば、階段(step)であってもよい。セクションセパレータは、連結領域と相互作用部材の間の一方向連結を提供し得る。セクションセパレータが相互作用部材上を通過したとき、相互作用部材は、最早、反対方向における回転を介した送達セクションとの協動に戻ることはできない。それ故、相互作用部材及び送達セクションの相互作用は、相互作用部材が最終用量を送達した後、デバイスをリセットするためにリセットセクションと機械的協動にあるとき阻止し得る。デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、リセットセクションに沿って軸始動位置へ動く。
【0022】
実施態様によると、ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に戻ったとき、ピストンロッドアセンブリは回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、用量の送達中と同一方向に回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、相互作用部材を送達セクションと、又はリセットセクションの後に配置された別の送達セクションとの機械的協動を行うために回転可能である。
【0023】
ピストンロッドアセンブリの回転の故に、リセットセクションの端部を別の送達セクションの端部に連結する、角度方向に拡がる連結領域は、相互作用部材との協動をもたらす。連結領域は、相互作用部材が送達セクションと機械的協動を行うように、相互作用部材上を通過し得る。この方法において、代替されたカートリッジに保持される薬物の複数の用量を設定し、送達することが可能となり得る。
【0024】
セクションセパレータの故に、特に、セクションセパレータ及び相互作用部材との機械的協動の故に、ピストンロッドアセンブリの相互作用部材をリセットセクションとの機械的協動に引き戻す方向における回転が阻止される。それ故、使用者に優しい、そして容易に作動できる薬物送達デバイスが達成される。
【0025】
実施態様によると、駆動機構は駆動部材を含む。駆動部材は、駆動部材の駆動機能とピストンロッドアセンブリの相互作用表面との機械的相互作用により、用量送達方向においてピストンロッドアセンブリの軸方向の変位をおこなわせるように構成し得る。薬物送達デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、相互作用表面が角度オフセットを有する駆動機能の軸位置を通過し得るようにするために、相互作用表面が駆動機能に関して角度変位し得るように回転可能に構成し得る。
【0026】
ピストンロッドは、駆動機能との機械的相互作用のために、少なくとも一セットの相互作用表面を含む。駆動部材、特に、駆動部材の駆動機能は、ピストンロッドアセンブリが薬物の用量を投与するためにハウジングに対して遠位方向に変位し得るように、ピストンロッドアセンブリを駆動するために相互作用機構の一つと隣接するよう作動可能である。
【0027】
ピストンロッドアセンブリのデバイスをリセットするための回転の故に、最終用量を投与した後、駆動機能及び相互作用表面の間の機械的相互作用は阻止し得る。この方法において、ピストンロッドアセンブリのリセットセクションに沿った軸始動位置に向かう軸方向の変位は可能となり、そしてリセット可能な薬物送達デバイスが達成され得る。
【0028】
好ましくは、駆動部材は、ハウジングに対する回転運動に対して固定される。
【0029】
これは駆動部材の、特に、駆動機能の、ピストンロッドアセンブリの相互作用表面との信頼できる相互作用を容易にし得る。
【0030】
実施態様によると、駆動部分は複数の用量セクションを含み得る。二つの隣接した用量セクションはブロッキング手段により分離し得る。
【0031】
用量セクションは、互いに、ピストンロッドの送達セクションに沿って変位し得る。用量セクションの軸方向の伸長は、送達される用量のサイズに対応し得る。用量セクション、特に、一用量セクションとの相互作用部材の機械的協動は、送達中のピストンロッドアセンブリの回転角を画成し得る。ブロッキング手段は、用量の設定中に、ピストンロッドアセンブリの回転及び軸方向の運動を阻止し得る。
【0032】
実施態様によると、ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリの外面で提供される。相互作用表面は、ピストンロッドアセンブリの内面で提供される。
【0033】
ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドを含み得る。ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドスリーブを含み得る。ピストンロッドは、ピストンロッドスリーブ内に同心円状に位置決めし得る。ピストンロッド及びピストンロッドスリーブは、回転方向に、及び/又は、軸方向に互いに固定され、又は一体的に形成し得る。ピストンロッドの表面は、ピストンロッドアセンブリの内面を形成し得る。ピストンロッドスリーブの外面は、ピストンロッドアセンブリの外面を形成し得る。この方法において、スペースを節約できる駆動機構、従って、スペースを節約できる薬物送達デバイスが達成される。
【0034】
好ましい実施態様によると、リセット可能な薬物送達デバイス用の駆動機構が提供される。駆動機構はピストンロッドアセンブリを含み、ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリに沿って伸びるガイドトラックを含み、ガイドトラックは少なくとも一つの送達セクション及び少なくとも一つのリセットセクションを含み、リセットセクションは、送達セクションに継続するよう配置され、送達セクションは少なくとも一つのブロッキング手段を含む。駆動機構は相互作用部材を含み、相互作用部材は、ガイドトラックと協動するよう構成される。薬物の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置から離れて、用量送達方向において、軸方向に変位可能であり、ピストンロッドアセンブリが用量送達方向に変位するとき、相互作用部材が送達セクションと協動し、そしてブロッキング手段が相互作用部材を通過し、ピストンロッドアセンブリの軸始動位置に向かう軸方向の変位は、相互作用部材が送達セクションと協動するとき、ブロッキング手段及び相互作用部材の機械的相互作用により阻止される。薬物送達デバイスをリセットするために、相互作用部材は、リセットセクションと協動するように構成され、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置に向かって軸方向に変位し、ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に向かって軸方向に変位するとき、ブロッキング手段は相互作用部材からオフセットされ、そして相互作用部材の軸位置を通過する。
【0035】
この方法において、容易に作動し得て、そして効率的にリセット可能な駆動機構が提供される。駆動機構は構成部品の数が少ない。それ故、コスト的に効率的で、製造及び組立において、間違いの起こり難い薬物送達デバイスが達成される。
【0036】
好ましい実施態様によると、薬物送達デバイス用のピストンロッドアセンブリが提供される。ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリに沿って続く継続したガイドトラックを含み、ガイドトラックは少なくとも一つの第一のセクション及び少なくとも一つの第二のセクションを含む。第一のセクションは、第一のセクションに沿って一方向の連結を提供するのに好適な少なくとも一つの第一のブロッキング手段を含む。第一のセクションはピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長する。第二のセクションは角度オフセットされ、そしてブロッキング手段から角度的に分離され、ブロッキング手段を超えて軸方向に伸長する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
もちろん、上記の異なった態様及び実施態様からの特徴は互いに組み合わせても、そして以下に記述する特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】薬物送達デバイスの典型的な実施態様の部分断面図を概略的に示す。
【図1B】薬物送達デバイスの典型的な実施態様の部分断面図を概略的に示す。
【図2A】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図2B】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図2C】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図3】図2の薬物送達デバイスの部分をより詳細に図示する。
【図4A】プライミング用量の設定後の図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図4B】プライミング用量の設定後の図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図5A】プライミング用量の送達後の図4の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図5B】プライミング用量の送達後の図4の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図6A】最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【図6B】最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【0039】
類似のエレメント、同種のエレメント及び同等に作用するエレメントは、図において同一参照番号を備え得る。
【0040】
図1において、薬物送達デバイスの典型的な実施態様が示される。薬物送達デバイス1は、ハウジング2を含む。薬物送達デバイス1は、ピストンロッドアセンブリ32を含む。ピストンロッドアセンブリ32は、ピストンロッド3を含む。ピストンロッドアセンブリ32は、ピストンロッドスリーブ4を含む。
【0041】
薬物送達デバイス1は、カートリッジホルダ11を含む。薬物送達デバイス1は、カートリッジ10を含む。カートリッジホルダ11は、カートリッジ10を機械的に保持し、安定化させる。カートリッジ10は、一つの、又は、好ましくは、複数の薬物24の用量を保持し得る。薬物24は、好ましくは、例えば、短期作用型又は長期作用型インスリンなどのインスリン、GLP−L、ヘパリン又は成長ホルモンを含む液体薬物である。本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの処置、及び/又は、予防に有用であり、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも一つのペプチドを含み、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも一つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0042】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0043】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0044】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0045】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0046】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
又は前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0047】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0048】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0049】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences 17編”、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0050】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0051】
カートリッジ10は、出口30を含む。薬物24は、カートリッジ10から出口30を介して投与し得る。出口30は、膜31により覆い得る。膜31は、カートリッジ10の貯蔵中、外部からの影響に対して薬物24を保護し得る。薬物送達デバイス1は、ピストン12を含む。ピストン12は、カートリッジ10に保持し得る。
【0052】
カートリッジ10は、好ましくは、カートリッジホルダ11内に解放可能に固定される。カートリッジホルダ11内に解放可能に固定されるカートリッジ10は、カートリッジホルダ11から隔離され、それにより、例えば、一旦カートリッジ10内にあった薬物24の全ての用量が投与されたとき、カートリッジホルダ11内へ組み入れるべきカートリッジの代替を可能にする。
【0053】
薬物送達デバイス1は、例えば、ニードルマウント、ニードル保持器、及びニードルシールにより覆われるニードルを含むニードルアセンブリ(明確に図示されていないが)を含み得る。ニードルアセンブリは、カートリッジホルダ1の遠位端に解放可能に取り付けられる。膜31は薬物24の用量を投与するためにニードルアセンブリにより穿孔される。あるいは、薬物送達デバイス1はニードルなしのデバイスであってもよい。
【0054】
薬物送達デバイス1及びハウジング2は遠位端及び近位端を有する。デバイス1の遠位端は、矢印13で示される。遠位端は薬物送達デバイス1の端部、又は薬物送達デバイス1の投与端に最も近く配置される、又は配置されるべきそのコンポーネントを指定する。デバイス1の近位端は、矢印14で示される。近位端は薬物送達デバイス1の端部又は薬物送達デバイス1の投与端から最も遠く離れて配置される、又は配置されるべきそのコンポーネントを指定する。
【0055】
薬物送達デバイス1はペン形デバイス、特に、ペン形注射器であってもよい。デバイス1は使い捨て、又は再使用可能デバイスであってもよく、そして、薬物24の固定された用量、又は薬物24の変更可能な、好ましくは、使用者が設定可能な用量を投与するように構成し得る。薬物送達デバイス1は、手動で、特に、非電気的駆動デバイスであってもよい。
【0056】
カートリッジホルダ11は、好ましくは、例えば、ねじ山連結又はスナップフィット連結を用いて、ハウジング2の遠位端に解放可能に連結される。カートリッジ11のハウジング2に対する位置は、例えば、カートリッジホルダ11の近位端部分に配置された一つ又はそれ以上の停止部材22(図1B参照)を用いて決定し得る。特に、ハウジング2の遠位端部分の隣接が、ハウジング2に対してカートリッジホルダ11の更なる近位的変位を阻止し得る。
【0057】
ハウジング2は、薬物送達デバイス1を安全に、そして快適に取り扱うことを可能にするよう設計される。ハウジング2は、薬物送達デバイス1、例えば、ピストンロッドアセンブリ32の内部コンポーネントを収納し、固定し、保護し、又は案内するように構成し得る。好ましくは、ハウジング2は、液体、ごみ又はちりなどの汚染物の内部コンポーネントに対する曝露を制限し又は防ぐ。ハウジング2は、一体の、又は多数のコンポーネントであってもよい。ハウジング2は、図1で示す通り、管状、又は円筒形を含んでもよい。あるいは、ハウジング2は非管状形を含んでもよい。
【0058】
ピストン12は、カートリッジ10内に保持される。ピストン12は、カートリッジ10に対して可動である。ピストン12は、カートリッジ10を近位的にシールし得る。ピストン12のカートリッジ10に対する遠位方向における運動は、薬物24を、出口30を通してカートリッジ10から投与させる。
【0059】
ピストンロッドアセンブリ32は、薬物送達デバイス1のハウジング2を通して作動し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、例えば、薬物24の投与目的のために、薬物送達デバイス1を通した軸運動を遷移するよう設計される。特に、ピストンロッドアセンブリ32は、力をピストン12に遷移するよう設計され、それにより、ハウジング2に対して遠位方向にピストン12を押す。この方法において、薬物24の用量はカートリッジ10から投与される。投与される用量のサイズは、ピストン12がカートリッジ10に対して遠位方向に変位する距離で決定される。
【0060】
ベアリング部材27は、ピストン12を前進させるために、ピストン12とピストンロッドアセンブリ32間に配置され得る。ベアリング部材27は、ピストンロッドアセンブリ32に固定し得て、又は分離部材であってもよい。ベアリング部材27は、ハウジング2に対して、ピストンロッドアセンブリ32と一緒に変位し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、ベアリング部材27に対して回転可能である。ピストン12とピストンロッドアセンブリ32間の回転摩擦は、この方法で最小化し得る。
【0061】
薬物送達デバイス1は駆動機構を含む。駆動機構はデバイス1のハウジング2内に位置する。ピストンロッドアセンブリ32は、駆動機構の一部であってもよい。駆動機構は駆動部材5を含む。駆動機構は、第一のラック6を含む。第一のラック6は、固定ラックであってもよい。第一のラック6は、ハウジング2に対して、軸方向の、及び回転方向の移動に抗して固定される。あるいは、第一のラック6及びハウジング2は一体であってもよい。
【0062】
駆動機構は第二のラック7を含む。第二のラック7は、可動ラックである。第二のラック7は、軸方向に動くように構成されるが、第一のラック6に対して回転方向に動かない。
【0063】
駆動機構は、ギア8を含む。ギア8は、例えば、歯付きギアホイールであってもよい。ギア8は、第一のラック6と第二のラック7間に位置する。ギア8は、第一のラック6及び第二のラック7と係合する。ギア8は、軸8Aの周囲で回転可能である。
【0064】
駆動部材5の近位端部分は、ギア8の軸8Aに連結する(図2A参照)。近位端部分において、駆動部材5は係合手段16を含む。係合手段16は、例えば、窪み、又は開口部を含み得る。係合手段16を介して、ギア8、特に、軸8Aは、駆動部材5の近位端部分に連結される。例えば、ギア8は、駆動部材5に対して係合手段16を用いてスナップフィット(snap-fitted)できればよい。それ故、ギア8は駆動部材5に対して、軸8Aの周囲で回転可能である。ギア8は駆動部材5に対して軸方向に固定される。
【0065】
デバイス1は少なくとも一つの相互作用部材23を含む(図1B参照)。相互作用部材23は、例えば、ラグ(lug)であってもよい。相互作用部材23は、可撓性の歯であってもよい。相互作用部材23は、ハウジング2に対して、回転方向に、そして軸方向に固定される。好ましくは、相互作用部材23は固定ラック6の一部である。相互作用部材23は、半径方向の内側に突出し得る。相互作用部材23は、後でより詳細に記述する通りピストンロッドアセンブリ32と機械的に協動するように構成される。
【0066】
駆動機構は、用量部材9を含む。用量部材9は、用量の設定及び送達に対して可動である。用量部材9は、好ましくは、ハウジング2に対して、回転方向に固定される。第二のラック7は、剛性的に、及び恒久的に用量部材9に取り付けられる。あるいは、第二のラック7及び用量部材9は、一体構造である。第二のラック7及び用量部材9は、ハウジング2に対して、及び第一のラック6に対して一緒に軸方向に動くように構成される。駆動機構の作動は、図4から6の記述と関連して後で記述する。
【0067】
図2A〜2Cは、図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。図2Aは、駆動部材5を示す。図2Bは、ピストンロッド3を示す。図2Cは、ピストンロッドスリーブ4の遠位端部分を示す。図3は、ピストンロッドスリーブ4を示す。
【0068】
駆動部材5は、例えば、ロッドを含み得る。駆動部材5は、少なくとも一つの駆動機構15を備えることがし得る。この実施態様において、駆動部材5は、二つの駆動機能15を含む。
【0069】
駆動機能15は、例えば、ラグであってもよい。駆動機能15は、駆動部材5の遠位端領域に位置決めし得る。駆動機能15は、駆動部材5と一体的に形成し得る。あるいは、駆動機能15は、駆動部材5に連結し得る。駆動機能15は、駆動部材5から半径方向に突出し得る。二つの駆動機能15が存在すれば、これらの駆動機能15は反対方向に配置され得る。
【0070】
駆動機能15は、ピストンロッドアセンブリ32と機械的相互作用するように構成される。特に、駆動機能15は、ピストン12が用量の送達のためにハウジング2に対して遠位方向に前進するように、ピストンロッドアセンブリ32を駆動させるために、ピストンロッドアセンブリ32を作動させ得る。これは、以下により詳細に記述される。
【0071】
駆動部材5は弾性的に変形可能な部材であり得る。特に、駆動部材5は、設定荷重下では捻じれることが可能であるが、投与荷重下では圧縮可能ではない。
【0072】
駆動部材5は、薬物24の用量を設定するために、ハウジング2に対して用量設定方向に移動する。用量設定方向は、ハウジング2に対して、近位方向であり得る。駆動部材5は、薬物24の設定用量を送達するためにハウジング2に対して用量送達方向に変位する。用量送達方向はハウジング2に対して遠位方向であり得る。駆動部材5は、ハウジング2に対して回転運動に抗して固定される。
【0073】
ピストンロッド3(図3B)は、好ましくは、ピストンロッドスリーブ4(図2C)の内側に同心円状に位置する。ピストンロッド3及びピストンロッドスリーブ4は、互いに、剛性的に、及び恒久的に固定される。ピストンロッド3は、例えば、ピストンロッドスリーブ4に接着し得る。あるいは、ピストンロッドアセンブリ32は一体であってもよい。駆動部材5は、ピストンロッドアセンブリ32内に配置され得る。
【0074】
ピストンロッドアセンブリ32は、内面を有する。ピストンロッドアセンブリ32は、外面を有する。ピストンロッド3の表面は、ピストンロッドアセンブリ32の内面を形成し得る。ピストンロッドスリーブ4の外面は、ピストンロッドアセンブリ32の外面を形成し得る。
【0075】
ピストンロッド3は、少なくとも相互作用表面17のセットを含む。相互作用表面17は、駆動機能15と機械的相互作用をするように配置される。好ましくは、ピストンロッド3は、相互作用表面17の二つのセットを含む。都合よく、ピストンロッド3は、主縦軸の周囲で、180°回転対称を有する。好ましくは、駆動部材5は、二つの駆動機能15を含む。相互作用表面17のセットは、駆動部材5の駆動機能15の一つと相互作用するように構成し得る。相互作用表面17の他方のセットは、他方の駆動機能15と相互作用するように構成し得る。特に、駆動部材5は、ピストンロッド3の相互作用表面17の一つと駆動部材5の駆動機能15との機械的相互作用によるピストンロッドアセンブリ32の用量送達方向における軸方向の移動を行うように構成し得る。
【0076】
二つのセットの内の一つの相互作用表面17は、相互作用表面17の他方のセットから角度オフセットされて配置され得る。相互作用表面17の各セットの中で、個別の相互作用表面17A、17Bなどは、互いに軸オフセットし得る。各セットの中で、相互作用表面17は、また、互いに角度オフセットし得る。二つの隣接した相互作用表面17A、17Bは、少なくとも、部分的に角度を以って重なる。
【0077】
相互作用表面の相互作用表面17のセットは、少なくとも、部分的に、ピストンロッド3に沿って、階段状に配置され得る。特に、相互作用表面17は、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28の周りに、らせん状階段のように配置され得る。それにより、階段の一つが、隣接した階段に対して突出し部分を有し得る。相互作用表面17は、ピストンロッド3に沿って等間隔に配置され得る。二つの隣接した相互作用表面17の間の距離は、薬物24の用量のサイズに対応し得る。この方法において、固定用量の薬物送達デバイス、即ち、薬物24の事前に設定された用量、特に、そのサイズが使用者により変更できない用量を送達するデバイスの提供が可能となる。
【0078】
二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの角度オフセットは、用量を送達するときピストンロッドアセンブリ32が回転する回転角と同じであり、それは図4〜6の説明と関連して記述される。二つの隣接した相互作用表面17A、17Bは、傾斜面31を介して、互いに連結し得る。傾斜面31は軸方向に配向し得る。傾斜面31は、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して傾斜して続いている。傾斜面31と先行する相互作用表面の間で、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して平行に続く部分が配置され得る。この部分は、ハウジング2に対して近位方向に上昇する傾斜面31により続いていく。
【0079】
ピストンロッドスリーブ4(図2C及び図3)は、円筒形状であってもよい。ピストンロッドスリーブ4は、少なくとも一つのガイドトラック18を含み得る。ガイドトラック18は、ピストンロッドスリーブ4の外面に沿って続いていく。ガイドトラック18は、ガイドチャンネルであってもよい。ガイドトラック18は、穴のあいたガイドであってもよい。ガイドトラック18は、後でより詳しく記述する通り、ピストンロッドスリーブ4の周りに角度を以って配置された連続したガイドトラックであってもよい。
【0080】
ガイドトラック18は、少なくとも一つの送達セクション18Aを含む。送達セクション18Aは、二つの側壁を含む。二つの側壁は、溝付きガイド(slotted guide)を形成する。送達セクション18Aは、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して傾斜している。送達セクション18Aは、曲がっていてもよい。送達セクション18Aは、互いに続く複数の用量セクションを含む。一つの用量セクションは、送達セクション18Aの傾斜した部分として画成される。用量セクションは、図2Cにおいて矢印21で表示される。個々の用量セクションは、傾斜面30を含む。傾斜面30は、端部を有し得る。端部は、ブロッキング手段19を画成し得る。ブロッキング手段19は、後でより詳細に記述する通り、送達セクション18Aに沿って、送達セクション18Aと相互作用部材23の間での一方向連結を可能にする。二つの隣接用量セクションはブロッキング手段19により分離し得る。傾斜面30は、近位方向においてブロッキング手段19の方向に上昇し得る。
【0081】
用量セクションの軸方向の伸長が、ピストンロッド3の二つの対応する相互作用表面17の間の軸方向の距離に対応し得る。用量セクションは、後で詳細に記述するピストンロッドアセンブリ32の回転を画成するために、相互作用部材23と共に好適であり得る。特に、用量セクションの角度の拡がりは、相互作用部材23がその用量セクションと相互作用するとき、ピストンロッドアセンブリ32の回転のための回転角を画成し得る。回転角は、上記で述べたとおり、二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの角度オフセットに対応し得る。
【0082】
送達セクション18Aは、その総軸方向の拡がりを超えて360°より小さい角度で角度方向に拡がる。送達セクション18Aのその総軸方向の拡がりを超えた角度の拡がりは、薬物24の第一の用量の送達から、薬物24の最後の利用可能な、即ち、最終用量の送達までのピストンロッドアセンブリ32の全回転角を画成し得る。好ましくは、送達セクション18Aは、角度方向で180°又はそれ以下で拡がる。
【0083】
ガイドトラック18は、少なくとも一つのリセットセクション18Bを含み得る。リセットセクション18Bは、送達セクション18Aを継続するように配置される。特に、リセットセクション18Bは、送達セクション18Aと連続した回路を形成するように配置される。連続した回路は、全体のピストンロッドアセンブリ32の周りに続いていく。ガイドトラック18は、閉鎖トラックであり得る。少なくとも二つの送達セクション18A及び少なくとも二つのリセットセクション18Bがある場合、送達セクション18A及びリセットセクション18Bは、ガイドトラック18に沿って交互に配置され得る。
【0084】
送達セクション18Aは、連結領域25を介してリセットセクション18Bに連結し得る(また、図3参照)。特に、リセットセクション18Bの遠位端は、連結領域25を介して送達セクション18Aの遠位端に連結し得る。リセットセクション18Bの近位端は、送達セクション18Aの近位端に、又は他の連結領域を介して他方の送達セクション18Aの近位端に連結し得る。
【0085】
リセットセクション18Bは、送達セクション18Aに沿って軸方向に伸びる。リセットセクション18Bは、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して、送達セクション18Aより傾きが小さくなり得る。リセットセクション18Bは、送達セクション18Aのブロッキング手段19の軸位置におけるブロッキング手段が無い。
【0086】
リセットセクション18Bは送達セクション18Aから角度オフセットされる。リセットセクション18B及び送達セクション18Aの間の角度オフセットは軸方向に変化してもよい。特に、リセットセクション18Bと送達セクション18Aの間の角度オフセットは、リセットセクション18Bと送達セクション18Aの間に配置された連結領域25に向かって軸方向に減少され得る。
【0087】
好ましくは、連結領域25は個々の部分18A、18Bの端部に配置される。連結領域25は軸方向に伸長し得る。セクションセパレータ29は、連結領域25に配置され得る。セクションセパレータ29は、例えば、階段であってもよい。セクションセパレータ29は、逆流防止機構を提供する。セクションセパレータ29の機能は、図4〜6の記述と関連して説明される。
【0088】
ガイドトラック18を介して、特に、送達セクション18A及びリセットセクション18Bを介して、ピストンロッドアセンブリ32は、固定ラック6に固定される。特に、ピストンロッドアセンブリ32は、送達セクション18A及びリセットセクション18Bの相互作用部材23との機械的協動の故に、固定ラック6に固定される。ガイドトラック18は、薬物24の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリ32の軸方向及び回転方向の運動を可能とするために、相互作用部材23に沿って通過し得る(図4〜6の記述参照)。
【0089】
図4A及び図4Bは、プライミング用量の設定後、図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【0090】
図5A及び図5Bは、プライミング用量が送達された後の図4の薬物送達デバイスの部分断面図を概略的に示す。
【0091】
デバイス1の初期状態において、駆動機構の部材、例えば、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間にギャップがあり得る。ギャップは、製造又は組立の許容誤差から発生し得る。ギャップのサイズは変化し得る。しかし、薬物24を送達したとき、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間にギャップは、用量の精度を低下させるかもしれない。何故ならば、ピストンロッドアセンブリ32は、ピストン12が前進して、薬物24が放出される前に、ギャップを閉じる必要があるからである。
【0092】
デバイスのプライミング、特に、プライミング用量の投与は、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間のギャップを取り除こうとしているかもしれない。ギャップを取り除いた後、薬物24の第一の用量が、設定でき、使用者に送達できる。
【0093】
プライミング用量を設定し、送達する前に、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して軸始動位置に位置決めし得る。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及びガイドトラック18を用いてハウジング2に固定される。
【0094】
用量を設定し、送達するとき、相互作用部材23は、送達セクション18Aと機械的に相互作用するように配置され得る。特に、カートリッジ10内に保持される薬物24のプライミング用量を設定する前に、相互作用部材23は、ガイドトラック18の送達セクション18Aの最遠位の用量セクションに位置決めし得る。相互作用部材23は、最遠位の用量セクションの遠位端に配置されたブロッキング手段19に隣接し得る。プライミング用量を投与した後、相互作用部材23は、送達セクション18Aの最遠位の用量セクションを続ける用量セクションに位置決めし得る。
【0095】
設定及び送達のための駆動機構の次の作動において、第一の用量が記述される。プライミング用量の設定及び送達は、同一方法で行える。
【0096】
第一の用量を設定するために、使用者は、ハウジング2に対して近位方向に用量部材9を引き得る。用量部材9が、ハウジング2に対して回転方向に固体されるので、用量部材9は、用量の設定のために回転可能ではない。第二のラック7は、ハウジング2に対して用量部材9と同一距離を近位的に変位し得る。
【0097】
これは、ギア8に軸8Aの周囲を回転させることになる。ギア8は、第一のラック6に沿ってハウジング2に対して近位方向に、用量部材9及び第二のラック7により動いた距離の半分の距離を動くことがし得る。それにより、ギア8に連結した駆動部材5は、ハウジング2に対して近位方向に変位する。
【0098】
ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及びブロッキング手段19の機械的相互作用の故に、ハウジング2に対する近位方向の移動に抗して固定される。
【0099】
駆動部材5が用量設定方向に移動するとき、駆動部材5は、デバイス1をプライミングした後、駆動部材5が隣接する第一の相互作用表面17Aから、その後、近位的に続く相互作用表面17Bに向かって軸方向に変位し得る。第一の相互作用表面17Aとその後の相互作用表面17B間の距離は、送達すべき用量のサイズに対応し得る。
【0100】
駆動部材5が近位的に変位するとき、駆動機能15は、第一の相互作用表面17Aとその後に続く相互作用表面17Bの間に配置された傾斜面31に沿って、近位的に案内される。駆動部材5の近位端が回転運動に抗して固定されるので、駆動部材5、特に、その遠位端部分は、ピストンロッドアセンブリの主縦軸28の周囲を、駆動機能15及び傾斜面31の機械的相互作用により、弾性的に捻じれ偏向し得る。傾斜面31の端部において、駆動機能15は、それが設定用量の送達に対してその後の相互作用表面17Bと機械的協動することが可能な位置であるように、傾斜面の端部にはめ込み得る。駆動機能15は、相互作用表面17Bの平坦部分に隣接する。クリック音は使用者に、用量が設定された聴覚的な、及び/又は、触覚的なフィードバックを与え得る(図4)。設定用量が送達されたとき、駆動機能15は、相互作用表面17Bと機械的に協動し、特に、隣接する。
【0101】
設定用量を投与するために、使用者は、用量部材9をハウジング2に対して、遠位方向に押し得る。それにより、第二のラック7は、同一距離を遠位方向に移動する。これは、用量を設定したときのギア8の回転と比較して、軸8Aの周囲で反対方向に、ギア8を回転させる。ギア8が回転すると、それは、用量部材9と第二のラック7により動いた距離の半分の距離をハウジング2に対して遠位方向に第一のラック6に沿って駆動部材5と一緒に動き得る。
【0102】
それにより、駆動機能15は、相互作用表面17Bと機械的に相互作用し、例えば、隣接する。駆動機能15と相互作用表面17Bとの機械的相互作用の故に、ピストンロッドアセンブリ32は、軸始動位置から離れて、用量送達方向に、即ち、ハウジング2に対して遠位方向に動く。ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して駆動部材9が軸方向に変位する距離の半分の距離を遠位方向に動く。それ故、デバイス1は、2:1の機械的効率を提供する。異なった機械的効率は、例えば、図示する通り、固定及び移動ラック6、7と相互作用するギアよりむしろ、固定された、及び移動するピボットと相互作用するレバーを用いて達成できる。
【0103】
ピストンロッドアセンブリ32がハウジング2に対して遠位的に変位するとき、送達セクション18Aの最遠位の用量セクションは、相互作用部材23に沿って通過する。用量セクションの軸方向の伸長は、ピストンロッドアセンブリ32がハウジング2に対して遠位方向に移動する距離に相当し得る。用量セクションの軸方向の伸長は用量のサイズに相当し得る。用量セクションの軸方向の伸長は、図2Cにおいて矢印21で表示される。用量セクションの軸方向の伸長は、二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの間の距離より小さいか又は同等である。
【0104】
第一の用量を投与する間、相互作用部材23は、最遠位部分の傾斜面30(また、図2Cの矢印参照)と相互作用する。傾斜面30の端部で、相互作用部材23は、最遠位部分と隣接用量セクションの間に配置されるブロッキング手段19と機械的に相互作用するために、クリックし得る。それ故、第一の用量が送達された後、相互作用手段23は、最遠位部分に隣接する用量セクションのブロッキング手段19と機械的に協動し得る。
【0105】
可撓性の歯部を含み得る相互作用部材23は、例えば、隣接した用量セクションのブロッキング手段19と機械的に協動するためにクリックするとき、聴覚的な、及び/又は、触覚的なフィードバックは用量が投与されたことを表示するために与えられる(図5参照)。送達セクション18A内で軸始動位置に戻るピストンロッドアセンブリ32の軸方向の移動は、ブロッキング手段19及び相互作用部材23の機械的相互作用により阻止し得る。
【0106】
軸方向の変位に加えて、ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及び送達セクション18Aの協動の故に、ハウジング2に対して用量送達中に回転し得る。それにより、相互作用部材23及び送達セクション18A、特に、送達セクション18Aの側壁の機械的相互作用は、ハウジング2に対するピストンロッドアセンブリ32の回転を画成し得る。特に、用量セクション及びピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28により形成される角度は、ピストンロッドアセンブリ32の回転角に相当し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、設定用量を送達するとき、45°又はそれ以下で回転し得る。例えば、ピストンロッドアセンブリ32は、用量送達のために約15°回転する。
【0107】
用量を投与中、ピストンロッドアセンブリ32の回転の故に、駆動機能15が相互作用する相互作用表面17Bは回転し、そして駆動機能15上を摺動する。従って、相互作用表面17Bと隣接する相互作用表面17Cは、非相互作用位置から相互作用位置へ回転する。特に、ピストンロッドアセンブリ32の回転運動の故に、相互作用表面17Cは、相互作用表面17Bが用量の設定及び投与のために駆動機能15と機械的に相互作用する前に有していた角度位置に回転し得る。この方法において、薬物24のその後の用量の送達が容易にし得る。
【0108】
好ましくは、ピストンロッドアセンブリ32が軸方向に、及び回転方向に変位した後、相互作用部材23は、上記の通り、隣接した用量セクションのブロッキング手段19に隣接し得る。あるいは、ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が、隣接した用量セクションのブロッキング手段19に対して、ある距離を保って配置されるように、薬物送達の方向に変位され得た。
【0109】
図6A及び図6Bは、最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【0110】
薬物24の第一の用量の送達から(図1参照)、ピストンロッドアセンブリ32が軸始動位置にあるとき、最終用量の送達まで(図6)、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して360°又はそれ以下で回転し得た。好ましくは、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して180°より小さい角度で回転した。第一の用量の送達から最終用量の送達までの回転角は、その全体の軸方向の伸長から分かる通り、送達セクション18Aの角度の拡がりに対応する。
【0111】
最終用量を投与した後、駆動機能15は、ピストンロッド3の近位端に最も近く配置された相互作用表面17と協動する(図6)。相互作用部材23は、ピストンロッドスリーブ4の近位端に最も近く配置された用量セクションと相互作用する。デバイス1は、代替カートリッジに保持された薬物の複数の用量を投与するためにリセットし得る。次に、薬物送達デバイス1のリセットの作動を記述する。
【0112】
先ず、カートリッジホルダ11は、ハウジング2から解放される。空のカートリッジ10はカートリッジホルダ11から取り除かれる。ピストンロッドアセンブリ32は、その軸始動位置へ戻し得る。ピストンロッドアセンブリ32の軸始動位置は、上記の通り、ピストンロッドアセンブリ32の以前の始動位置に対してピストンロッドアセンブリ32の主縦軸の周りに、180°回転し得る。それ以降、代替されたカートリッジは、カートリッジホルダ11内に組み入れられる。代替カートリッジを保持するカートリッジホルダ11は、最終的にハウジング11に固定される。
【0113】
薬物送達デバイス1をリセットするために、特に、ピストンロッドアセンブリ32をその軸始動位置に戻してリセットするために、最終用量が投与された後、送達セクション18Aと協動するために、未だ配置されている相互作用部材23は、リセットセクション18Bと協動する必要がある。この目的のために、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して用量送達中と同一方向に回転する。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が連結領域25と機械的に協動するように回転し得る(図2及び3参照)。それにより、連結領域25は、相互作用部材23上を通過する。相互作用部材23は、セクションセパレータ29と相互作用する。セクションセパレータ29は、例えば、階段であってもよい。
【0114】
セクションセパレータ29が相互作用部材23上を通過したとき、セクションセパレータ29は、相互作用部材23を送達セクション18Aとの相互作用に戻させるハウジング2に対して反対方向のピストンロッドアセンブリ32の回転をブロックし得る。それ故、セクションセパレータ29は、連結領域25と相互作用部材23間の一方向の連結を提供する。セクションセパレータ29が相互作用部材23を通過するとき、使用者は、デバイス1がピストンロッドアセンブリ32のリセット運動のために用意ができていることを表示し得る聴覚的、及び/又は、触覚的フィードバックが与えられる。
【0115】
送達セクション18Aとリセットセクション18Bの間の角度が拡がる連結領域25を別にして、送達セクション18Aとリセットセクション18B間の角度方向における遷移は、相互作用部材23及び送達セクション18Aの側壁との機械的協動の故に阻止し得る。それ故、デバイス1のリセットは、カートリッジ10に保持される最終用量が送達されなく、そして相互作用部材23が、連結領域25を介してリセットセクション18Bとの相互作用をもたらさない場合、阻止し得る。従って、最終用量の送達後に、デバイス1のリセットが完結せずに、即ち、ピストンロッドアセンブリ32が、リセットセクション18Bに沿って、別の連結領域25へ移動せずに、そして相互作用部材23を、送達セクション18A、又は連結領域25を介した別の送達セクションとの機械的協動にもたらすため投与の送達中と同じ方向に回転させなければ、更なる用量の設定及び用量の送達は阻止し得る。
【0116】
デバイス1をリセットするためにピストンロッドアセンブリ32のハウジング2に対する用量送達中と同一方向における回転は、ピストンロッドアセンブリ32をその軸始動位置へ戻るようリセットするとき、相互作用表面17及び駆動機能15の機械的協動が阻止され得る位置へ相互作用表面17を置くのに役立つかもしれない。ピストンロッドアセンブリ32の回転の故に、相互作用表面17は、駆動機能15に対して角度変位し得る。それ故、相互作用表面17は、角度オフセットを有する駆動機能15の軸位置を通過し得る。駆動機能15は、相互作用表面17から離れた軸方向のチャンネルに配置され得る。
【0117】
ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が機械的にリセットセクション18Bと協動するように回転したとき、ピストンロッドアセンブリ32は、軸始動位置に向かってリセットセクション18Bに沿って軸方向に変位する(図3における矢印参照)。
【0118】
リセットセクション18Bは図2及び3と関連して記述する通り、ブロッキング手段19が無くてもよい。好ましくは、相互作用部材23がリセットセクション18Bと協動するとき、送達セクション18Aのブロッキング手段19が角度オフセットを有する相互作用部材23の軸位置を通過し得るように、リセットセクション18Bは、送達セクション18Aから角度オフセットされる。それ故、ピストンロッドアセンブリ32を軸始動位置へ軸方向に変位させるとき、ブロッキング手段19は、相互作用部材23との機械的相互作用なしで相互作用部材23の軸位置を通過し得る。これは、ピストンロッドアセンブリ32の送達セクション18Aに沿って軸方向への変位を可能にする。この方法において、リセット可能な薬物送達デバイスが実現される。
【0119】
リセットトラック18Bは、使用者が軸始動位置に向かって、カートリッジホルダ11に固定された代替カートリッジと共に、又は分離して、ピストンロッドアセンブリ32を押すことがし得るように配置され得る。
【0120】
リセットトラック18Bは、例えば、傾斜面形状であってもよく、又は傾斜面を含んでもよい。傾斜面は遠位方向に上昇する。ピストンロッドアセンブリ32が、リセットトラック18Bに沿って、軸始動位置へ動いたとき、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して回転可能であり得る。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23を送達部材18A又は他の送達セクション18Aと機械的協動を実施させるために、薬物送達中と同一方向に回転し得る。相互作用部材23を送達セクション18Aと係合させるピストンロッドアセンブリ32のこの回転は、カートリッジホルダ11が、例えば、ネジ山を用いて再取付けされたとき、ハウジング2に対して発生するピストンロッドアセンブリ3、4の機構とカートリッジホルダ11の機構の間での協動により実施し得る。以前は、ハウジング2に対する回転が、相互作用部材23及びリセットセクション18Aの側壁との機械的協動により阻止し得た。
【0121】
ピストンロッドアセンブリ32の回転のために、相互作用部材23は、連結領域25と協動し得る。それにより、前記連結領域25に配置されるセクションセパレータ29は、相互作用部材23上を通過し得る。相互作用部材23はセクションセパレータ29をクリックし得る。これは使用者に、正しくリセットされたことを聴覚的にフィードバックし得る。以前に記述した通り、セクションセパレータ29は逆流防止機構としての役割を果たす。セクションセパレータ29は、再び、ハウジング2に対して用量の送達中、相互作用部材23をリセットセクション18Bとの相互作用に引き戻す方向とは反対方向においてピストンロッドアセンブリ32の回転をブロックし得る。
【0122】
ピストンロッドアセンブリ32の送達セクション18Aと、又は別の送達セクション18Aとの協動に相互作用部材23を加えるためのハウジング2に対する回転は、相互作用表面17及び駆動機能15の機械的協動が薬物24のプライミング用量、又は次の第一の用量、即ち、代替カートリッジからの第一の用量を送達することを可能にするように、相互作用表面17を角度位置へ加えることにも役立つ。
【0123】
上記の駆動機構は、少数のコンポーネントを提供する。それ故、駆動機構はコストに鋭敏なデバイス用途として、特に魅力的である。更に、デバイス1及び、特に、駆動機構は、少数のコンポーネントの故に、製造及び組立に誤差が起こり難くなり得る。デバイス1は、簡単な使用者作動を提供し得る。
【0124】
デバイス1は、例えば、30IU又はそれ以上の用量を、例えば、50IUの用量を設定し、及び送達するように構成することができ、それにより、高い用量精度を提供し得る。あるいは、デバイス1は、5IU、若しくはそれ以下、好ましくは、1IU若しくはそれ以下、又は高い用量精度を有するいかなる中間用量に対しても設計し得る。
【0125】
デバイス1は、カートリッジ10内に保持される薬物24の事前に設定された複数の用量を投与するのに特に適しているかもしれない。
【0126】
更なる特徴及び改良は、添付の図面と関連した典型的な実施態様の次の記述から明白になるであろう。
【0127】
参照番号:
1:薬物送達デバイス;
2:ハウジング;
3:ピストンロッド;
4:ピストンロッドスリーブ;
5:駆動部材;
6:第一のラック;
7:第二のラック;
8:ギア;
8A:車軸;
9;用量部材;
10:カートリッジ;
11:カートリッジホルダ;
12:ピストン;
13:遠位端;
14:近位端;
15:駆動機能;
16:係合手段;
17:相互作用表面;
17A:相互作用表面;
17B:相互作用表面;
17C:相互作用表面;
18:ガイドトラック;
18A:送達セクション;
18B:リセットセクション;
19:ブロッキング手段;
20:矢印;
21:矢印;
22:停止部材;
23:相互作用部材;
24:薬物;
25:連結領域;
26:矢印;
27:ベアリング部材;
28:ピストンロッドアセンブリの主縦軸;
29:セクションセパレータ;
30:傾斜面;
31:傾斜面;
32:ピストンロッドアセンブリ;
【技術分野】
【0001】
この開示は、薬物送達デバイス用アセンブリ及び薬物送達デバイスに組み入れるのに好適なピストンロッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスにおいて、通常は薬物を含むカートリッジが提供される。ピストンはカートリッジに保持される。ピストンは、薬物の用量を送達するためピストンロッドによりカートリッジに対して変位する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、改良された薬物送達デバイス、例えば、高い用量精度を有するデバイスの提供を容易にする駆動機構を提供することである。更に、改良された薬物送達デバイスに組み込むのに好適なピストンロッドアセンブリが提供される。
【0004】
この目的は、特許請求範囲の独立項の主題により実現され得る。更なる特徴及び有益な実施態様は従属項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様によると、薬物送達デバイス用のアセンブリが提供される。アセンブリはリセット可能な駆動機構であり得て、又はそれを含み得る。駆動機構はピストンロッドアセンブリを含み得る。ピストンロッドアセンブリは、ガイドトラックを含み得る。ガイドトラックは、連続したガイドトラックであってもよい。ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリに沿って続き得る。ガイドトラックは、少なくとも一つの送達セクションを含み得る。送達セクションは二つの側壁を含み得る。二つの側壁は穴のあいたガイドを形成し得る。ガイドトラックは少なくとも一つのリセットセクションを含み得る。リセットセクションは、送達セクションに継続するよう都合よく配置される。送達セクションは、少なくとも一つのブロッキング手段を含み得る。駆動機構は相互作用部材を含む。相互作用部材は可撓性部材であってもよい。相互作用部材はガイドトラックと協動するように構成し得る。薬物の送達のために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置から離れて用量送達方向の軸方向に変位可能である。好ましくは、可撓性の相互作用部材は、送達セクションと、特に、用量送達手法中に協動し得る。ブロッキング手段は、ピストンロッドアセンブリが用量送達方向に変位するとき、相互作用部材を通過し得る。好ましくは、ピストンロッドアセンブリの軸始動位置に向かう変位は、相互作用部材が送達セクションと協動するとき、ブロッキング手段と相互作用部材の機械的相互作用により阻止される。薬物送達デバイスをリセットするために、相互作用部材は、ガイドトラックのリセットセクションと協動するように構成し得る。デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置に向かって変位し得る。ブロッキング手段は、相互作用部材から、特に、相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、オフセットされ得る。ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に向かって変位するとき、特に、相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、ブロッキング手段は相互作用部材の軸位置を通過し得る。
【0006】
更なる態様は薬物送達デバイス用のピストンロッドアセンブリに関する。ピストンロッドアセンブリは、連続したガイドトラックを含み得る。ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリに沿って続き得る。ガイドトラックは、少なくとも一つの第一のセクションを含みうる。ガイドトラックは、少なくとも一つの第二のセクションを含み得る。第一のセクションは、少なくとも一つの第一のブロッキング手段を含み得る。第一のブロッキング手段は、第一のセクションに、及び/又は、第一のセクションに沿った一方向連結を提供するのに好適であり得る。第一のセクションは、ピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長し得る。第二のセクションは角度オフセットされ、及びブロッキング手段から角度的に分離される。第二のセクションは、ブロッキング手段から軸方向に通過して伸長し得る。
【0007】
第一のセクションは、既に記述した送達セクションであってもよい。第二のセクションは、既に記述したリセットセクションであってもよい。薬物送達デバイスは注射デバイスであってもよい。薬物送達デバイスはペン形デバイス、例えば、ペン形注射器であってもよい。好ましくは、薬物送達デバイスは、薬物の事前設定された用量、即ち、そのサイズが使用者により変更できない用量を投与するよう構成されたデバイスである。薬物送達デバイスは薬物の同等、又は異なったサイズの用量を提供できる。薬物は、例えば、長期間作用型又は短期間作用型のインスリン、ヘパリン、GLP−1、及び/又は、成長ホルモンを含む液体薬物であってもよい。
【0008】
好ましくは、リセットセクションは、送達セクションと連続した回路を形成するよう配置される。好ましくは、リセットセクションは、ブロッキング手段とは離れている。相互作用部材がリセットセクションと協動するとき、ブロッキング手段は相互作用部材からの角度オフセットできる。従って、送達セクションとリセットセクションの間の角度オフセットの故に、リセットセクションは、相互作用部材と送達セクションに配置されたブロッキング手段との相互作用なしで、相互作用部材上を通過し得る。この方法により、リセット可能な薬物送達デバイスが容易にされる。
【0009】
ピストンロッドアセンブリの用量設定中の運動は、ブロッキング手段及び相互作用部材の隣接により阻止し得る。それ故、高い用量精度を有する薬物送達デバイスが容易にされる。
【0010】
実施態様によると、リセットセクションは、送達セクションに沿って、好ましくは、全送達セクションに沿って軸方向に伸長する。
【0011】
好ましくは、リセットセクションは送達セクションに対して角度オフセットされる。リセットセクションと送達セクションの間の角度オフセットは、軸始動位置から軸方向に減少し得る。
【0012】
ピストンロッドアセンブリのその軸始動位置へ戻る設定を行うために、 リセットセクションは相互作用部材と機械的に協動する。それにより、ピストンロッドアセンブリは、角度オフセットを有する送達セクションに沿って軸方向に変位し得る。リセットセクションと送達セクションの間の角度オフセットの故に、ブロッキング手段は、相互作用部材と機械的に相互作用を行わずに、相互作用部材の軸位置を通過し得る。リセットセクションに沿ってピストンロッドアセンブリを変位させた後、ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリがカートリッジ内の薬物の第一の用量を送達する前に有していた軸位置、即ち、軸始動位置に位置決めし得る。
【0013】
好ましくは、送達セクションは、ガイドトラックの角度方向に拡がる連結領域を介してリセットセクションに連結する。
【0014】
特に、送達セクションの一端は、ガイドトラックの一連結領域を介してリセットセクションの一端に連結し得る。送達セクションの他端は、リセットセクションの他端に連結し得て、又は、好ましくは、更なる角度的に拡大していく連結手段を介して他方のリセットセクションに連結し得る。この方法において、リセットセクション及び送達セクションは、連続した回路を形成し得る。それ故、リセット可能な薬物送達デバイスが容易にされる。
【0015】
好ましくは、相互作用部材の送達セクションからリッセト部分への遷移は、連結領域を介する場合を除いて、相互作用部材と送達セクションの側壁との機械的協動の故に阻止し得る。それ故、ピストンロッドアセンブリの運動、特に、ピストンロッドアセンブリをリセットするための運動は、最終用量が実施されなければ阻止し得る。
【0016】
実施態様によると、駆動機構のリセットのために、ピストンロッドアセンブリは回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、連結領域が相互作用部材を通過し、そして相互作用部材がリセットセクションと機械的協動にもたらされるように回転可能である。この作動のために、ピストンロッドアセンブリは、用量の送達中と同じ方向に回転可能である。
【0017】
この方法において、相互作用部材及びリセットトラックの機械的相互作用が可能となり、その結果、リセット可能な薬物送達デバイスの提供が容易にされる。
【0018】
好ましくは、送達セクションは、ピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長する。リセットセクションは、送達セクションよりピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して低い傾斜で伸長する。
【0019】
送達セクション及び相互作用部材は、各設定用量の送達中にピストンロッドアセンブリの回転を画成し得る。送達セクションの二つの端部の間の角度オフセットは、第一の用量の送達から、最終用量の送達までのピストンロッドアセンブリの回転のための全回転角を決定する。好ましくは、ピストンロッドアセンブリは、各設定用量を送達するために、45°又はそれ以下で回転する。
【0020】
実施態様によると、セクションセパレータは連結領域に配置される。セクションセパレータは、相互作用部材を、連結領域を介して送達セクションと相互作用するように戻す方向にピストンロッドアセンブリの回転をブロックできる。
【0021】
セクションセパレータは、例えば、階段(step)であってもよい。セクションセパレータは、連結領域と相互作用部材の間の一方向連結を提供し得る。セクションセパレータが相互作用部材上を通過したとき、相互作用部材は、最早、反対方向における回転を介した送達セクションとの協動に戻ることはできない。それ故、相互作用部材及び送達セクションの相互作用は、相互作用部材が最終用量を送達した後、デバイスをリセットするためにリセットセクションと機械的協動にあるとき阻止し得る。デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、リセットセクションに沿って軸始動位置へ動く。
【0022】
実施態様によると、ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に戻ったとき、ピストンロッドアセンブリは回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、用量の送達中と同一方向に回転可能である。ピストンロッドアセンブリは、相互作用部材を送達セクションと、又はリセットセクションの後に配置された別の送達セクションとの機械的協動を行うために回転可能である。
【0023】
ピストンロッドアセンブリの回転の故に、リセットセクションの端部を別の送達セクションの端部に連結する、角度方向に拡がる連結領域は、相互作用部材との協動をもたらす。連結領域は、相互作用部材が送達セクションと機械的協動を行うように、相互作用部材上を通過し得る。この方法において、代替されたカートリッジに保持される薬物の複数の用量を設定し、送達することが可能となり得る。
【0024】
セクションセパレータの故に、特に、セクションセパレータ及び相互作用部材との機械的協動の故に、ピストンロッドアセンブリの相互作用部材をリセットセクションとの機械的協動に引き戻す方向における回転が阻止される。それ故、使用者に優しい、そして容易に作動できる薬物送達デバイスが達成される。
【0025】
実施態様によると、駆動機構は駆動部材を含む。駆動部材は、駆動部材の駆動機能とピストンロッドアセンブリの相互作用表面との機械的相互作用により、用量送達方向においてピストンロッドアセンブリの軸方向の変位をおこなわせるように構成し得る。薬物送達デバイスのリセットのために、ピストンロッドアセンブリは、相互作用表面が角度オフセットを有する駆動機能の軸位置を通過し得るようにするために、相互作用表面が駆動機能に関して角度変位し得るように回転可能に構成し得る。
【0026】
ピストンロッドは、駆動機能との機械的相互作用のために、少なくとも一セットの相互作用表面を含む。駆動部材、特に、駆動部材の駆動機能は、ピストンロッドアセンブリが薬物の用量を投与するためにハウジングに対して遠位方向に変位し得るように、ピストンロッドアセンブリを駆動するために相互作用機構の一つと隣接するよう作動可能である。
【0027】
ピストンロッドアセンブリのデバイスをリセットするための回転の故に、最終用量を投与した後、駆動機能及び相互作用表面の間の機械的相互作用は阻止し得る。この方法において、ピストンロッドアセンブリのリセットセクションに沿った軸始動位置に向かう軸方向の変位は可能となり、そしてリセット可能な薬物送達デバイスが達成され得る。
【0028】
好ましくは、駆動部材は、ハウジングに対する回転運動に対して固定される。
【0029】
これは駆動部材の、特に、駆動機能の、ピストンロッドアセンブリの相互作用表面との信頼できる相互作用を容易にし得る。
【0030】
実施態様によると、駆動部分は複数の用量セクションを含み得る。二つの隣接した用量セクションはブロッキング手段により分離し得る。
【0031】
用量セクションは、互いに、ピストンロッドの送達セクションに沿って変位し得る。用量セクションの軸方向の伸長は、送達される用量のサイズに対応し得る。用量セクション、特に、一用量セクションとの相互作用部材の機械的協動は、送達中のピストンロッドアセンブリの回転角を画成し得る。ブロッキング手段は、用量の設定中に、ピストンロッドアセンブリの回転及び軸方向の運動を阻止し得る。
【0032】
実施態様によると、ガイドトラックは、ピストンロッドアセンブリの外面で提供される。相互作用表面は、ピストンロッドアセンブリの内面で提供される。
【0033】
ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドを含み得る。ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドスリーブを含み得る。ピストンロッドは、ピストンロッドスリーブ内に同心円状に位置決めし得る。ピストンロッド及びピストンロッドスリーブは、回転方向に、及び/又は、軸方向に互いに固定され、又は一体的に形成し得る。ピストンロッドの表面は、ピストンロッドアセンブリの内面を形成し得る。ピストンロッドスリーブの外面は、ピストンロッドアセンブリの外面を形成し得る。この方法において、スペースを節約できる駆動機構、従って、スペースを節約できる薬物送達デバイスが達成される。
【0034】
好ましい実施態様によると、リセット可能な薬物送達デバイス用の駆動機構が提供される。駆動機構はピストンロッドアセンブリを含み、ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリに沿って伸びるガイドトラックを含み、ガイドトラックは少なくとも一つの送達セクション及び少なくとも一つのリセットセクションを含み、リセットセクションは、送達セクションに継続するよう配置され、送達セクションは少なくとも一つのブロッキング手段を含む。駆動機構は相互作用部材を含み、相互作用部材は、ガイドトラックと協動するよう構成される。薬物の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置から離れて、用量送達方向において、軸方向に変位可能であり、ピストンロッドアセンブリが用量送達方向に変位するとき、相互作用部材が送達セクションと協動し、そしてブロッキング手段が相互作用部材を通過し、ピストンロッドアセンブリの軸始動位置に向かう軸方向の変位は、相互作用部材が送達セクションと協動するとき、ブロッキング手段及び相互作用部材の機械的相互作用により阻止される。薬物送達デバイスをリセットするために、相互作用部材は、リセットセクションと協動するように構成され、ピストンロッドアセンブリは、軸始動位置に向かって軸方向に変位し、ピストンロッドアセンブリが軸始動位置に向かって軸方向に変位するとき、ブロッキング手段は相互作用部材からオフセットされ、そして相互作用部材の軸位置を通過する。
【0035】
この方法において、容易に作動し得て、そして効率的にリセット可能な駆動機構が提供される。駆動機構は構成部品の数が少ない。それ故、コスト的に効率的で、製造及び組立において、間違いの起こり難い薬物送達デバイスが達成される。
【0036】
好ましい実施態様によると、薬物送達デバイス用のピストンロッドアセンブリが提供される。ピストンロッドアセンブリは、ピストンロッドアセンブリに沿って続く継続したガイドトラックを含み、ガイドトラックは少なくとも一つの第一のセクション及び少なくとも一つの第二のセクションを含む。第一のセクションは、第一のセクションに沿って一方向の連結を提供するのに好適な少なくとも一つの第一のブロッキング手段を含む。第一のセクションはピストンロッドアセンブリの主縦軸に対して傾斜して伸長する。第二のセクションは角度オフセットされ、そしてブロッキング手段から角度的に分離され、ブロッキング手段を超えて軸方向に伸長する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
もちろん、上記の異なった態様及び実施態様からの特徴は互いに組み合わせても、そして以下に記述する特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】薬物送達デバイスの典型的な実施態様の部分断面図を概略的に示す。
【図1B】薬物送達デバイスの典型的な実施態様の部分断面図を概略的に示す。
【図2A】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図2B】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図2C】図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。
【図3】図2の薬物送達デバイスの部分をより詳細に図示する。
【図4A】プライミング用量の設定後の図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図4B】プライミング用量の設定後の図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図5A】プライミング用量の送達後の図4の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図5B】プライミング用量の送達後の図4の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【図6A】最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【図6B】最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【0039】
類似のエレメント、同種のエレメント及び同等に作用するエレメントは、図において同一参照番号を備え得る。
【0040】
図1において、薬物送達デバイスの典型的な実施態様が示される。薬物送達デバイス1は、ハウジング2を含む。薬物送達デバイス1は、ピストンロッドアセンブリ32を含む。ピストンロッドアセンブリ32は、ピストンロッド3を含む。ピストンロッドアセンブリ32は、ピストンロッドスリーブ4を含む。
【0041】
薬物送達デバイス1は、カートリッジホルダ11を含む。薬物送達デバイス1は、カートリッジ10を含む。カートリッジホルダ11は、カートリッジ10を機械的に保持し、安定化させる。カートリッジ10は、一つの、又は、好ましくは、複数の薬物24の用量を保持し得る。薬物24は、好ましくは、例えば、短期作用型又は長期作用型インスリンなどのインスリン、GLP−L、ヘパリン又は成長ホルモンを含む液体薬物である。本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの処置、及び/又は、予防に有用であり、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも一つのペプチドを含み、ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも一つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0042】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0043】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0044】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0045】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0046】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
又は前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0047】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0048】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0049】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences 17編”、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0050】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0051】
カートリッジ10は、出口30を含む。薬物24は、カートリッジ10から出口30を介して投与し得る。出口30は、膜31により覆い得る。膜31は、カートリッジ10の貯蔵中、外部からの影響に対して薬物24を保護し得る。薬物送達デバイス1は、ピストン12を含む。ピストン12は、カートリッジ10に保持し得る。
【0052】
カートリッジ10は、好ましくは、カートリッジホルダ11内に解放可能に固定される。カートリッジホルダ11内に解放可能に固定されるカートリッジ10は、カートリッジホルダ11から隔離され、それにより、例えば、一旦カートリッジ10内にあった薬物24の全ての用量が投与されたとき、カートリッジホルダ11内へ組み入れるべきカートリッジの代替を可能にする。
【0053】
薬物送達デバイス1は、例えば、ニードルマウント、ニードル保持器、及びニードルシールにより覆われるニードルを含むニードルアセンブリ(明確に図示されていないが)を含み得る。ニードルアセンブリは、カートリッジホルダ1の遠位端に解放可能に取り付けられる。膜31は薬物24の用量を投与するためにニードルアセンブリにより穿孔される。あるいは、薬物送達デバイス1はニードルなしのデバイスであってもよい。
【0054】
薬物送達デバイス1及びハウジング2は遠位端及び近位端を有する。デバイス1の遠位端は、矢印13で示される。遠位端は薬物送達デバイス1の端部、又は薬物送達デバイス1の投与端に最も近く配置される、又は配置されるべきそのコンポーネントを指定する。デバイス1の近位端は、矢印14で示される。近位端は薬物送達デバイス1の端部又は薬物送達デバイス1の投与端から最も遠く離れて配置される、又は配置されるべきそのコンポーネントを指定する。
【0055】
薬物送達デバイス1はペン形デバイス、特に、ペン形注射器であってもよい。デバイス1は使い捨て、又は再使用可能デバイスであってもよく、そして、薬物24の固定された用量、又は薬物24の変更可能な、好ましくは、使用者が設定可能な用量を投与するように構成し得る。薬物送達デバイス1は、手動で、特に、非電気的駆動デバイスであってもよい。
【0056】
カートリッジホルダ11は、好ましくは、例えば、ねじ山連結又はスナップフィット連結を用いて、ハウジング2の遠位端に解放可能に連結される。カートリッジ11のハウジング2に対する位置は、例えば、カートリッジホルダ11の近位端部分に配置された一つ又はそれ以上の停止部材22(図1B参照)を用いて決定し得る。特に、ハウジング2の遠位端部分の隣接が、ハウジング2に対してカートリッジホルダ11の更なる近位的変位を阻止し得る。
【0057】
ハウジング2は、薬物送達デバイス1を安全に、そして快適に取り扱うことを可能にするよう設計される。ハウジング2は、薬物送達デバイス1、例えば、ピストンロッドアセンブリ32の内部コンポーネントを収納し、固定し、保護し、又は案内するように構成し得る。好ましくは、ハウジング2は、液体、ごみ又はちりなどの汚染物の内部コンポーネントに対する曝露を制限し又は防ぐ。ハウジング2は、一体の、又は多数のコンポーネントであってもよい。ハウジング2は、図1で示す通り、管状、又は円筒形を含んでもよい。あるいは、ハウジング2は非管状形を含んでもよい。
【0058】
ピストン12は、カートリッジ10内に保持される。ピストン12は、カートリッジ10に対して可動である。ピストン12は、カートリッジ10を近位的にシールし得る。ピストン12のカートリッジ10に対する遠位方向における運動は、薬物24を、出口30を通してカートリッジ10から投与させる。
【0059】
ピストンロッドアセンブリ32は、薬物送達デバイス1のハウジング2を通して作動し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、例えば、薬物24の投与目的のために、薬物送達デバイス1を通した軸運動を遷移するよう設計される。特に、ピストンロッドアセンブリ32は、力をピストン12に遷移するよう設計され、それにより、ハウジング2に対して遠位方向にピストン12を押す。この方法において、薬物24の用量はカートリッジ10から投与される。投与される用量のサイズは、ピストン12がカートリッジ10に対して遠位方向に変位する距離で決定される。
【0060】
ベアリング部材27は、ピストン12を前進させるために、ピストン12とピストンロッドアセンブリ32間に配置され得る。ベアリング部材27は、ピストンロッドアセンブリ32に固定し得て、又は分離部材であってもよい。ベアリング部材27は、ハウジング2に対して、ピストンロッドアセンブリ32と一緒に変位し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、ベアリング部材27に対して回転可能である。ピストン12とピストンロッドアセンブリ32間の回転摩擦は、この方法で最小化し得る。
【0061】
薬物送達デバイス1は駆動機構を含む。駆動機構はデバイス1のハウジング2内に位置する。ピストンロッドアセンブリ32は、駆動機構の一部であってもよい。駆動機構は駆動部材5を含む。駆動機構は、第一のラック6を含む。第一のラック6は、固定ラックであってもよい。第一のラック6は、ハウジング2に対して、軸方向の、及び回転方向の移動に抗して固定される。あるいは、第一のラック6及びハウジング2は一体であってもよい。
【0062】
駆動機構は第二のラック7を含む。第二のラック7は、可動ラックである。第二のラック7は、軸方向に動くように構成されるが、第一のラック6に対して回転方向に動かない。
【0063】
駆動機構は、ギア8を含む。ギア8は、例えば、歯付きギアホイールであってもよい。ギア8は、第一のラック6と第二のラック7間に位置する。ギア8は、第一のラック6及び第二のラック7と係合する。ギア8は、軸8Aの周囲で回転可能である。
【0064】
駆動部材5の近位端部分は、ギア8の軸8Aに連結する(図2A参照)。近位端部分において、駆動部材5は係合手段16を含む。係合手段16は、例えば、窪み、又は開口部を含み得る。係合手段16を介して、ギア8、特に、軸8Aは、駆動部材5の近位端部分に連結される。例えば、ギア8は、駆動部材5に対して係合手段16を用いてスナップフィット(snap-fitted)できればよい。それ故、ギア8は駆動部材5に対して、軸8Aの周囲で回転可能である。ギア8は駆動部材5に対して軸方向に固定される。
【0065】
デバイス1は少なくとも一つの相互作用部材23を含む(図1B参照)。相互作用部材23は、例えば、ラグ(lug)であってもよい。相互作用部材23は、可撓性の歯であってもよい。相互作用部材23は、ハウジング2に対して、回転方向に、そして軸方向に固定される。好ましくは、相互作用部材23は固定ラック6の一部である。相互作用部材23は、半径方向の内側に突出し得る。相互作用部材23は、後でより詳細に記述する通りピストンロッドアセンブリ32と機械的に協動するように構成される。
【0066】
駆動機構は、用量部材9を含む。用量部材9は、用量の設定及び送達に対して可動である。用量部材9は、好ましくは、ハウジング2に対して、回転方向に固定される。第二のラック7は、剛性的に、及び恒久的に用量部材9に取り付けられる。あるいは、第二のラック7及び用量部材9は、一体構造である。第二のラック7及び用量部材9は、ハウジング2に対して、及び第一のラック6に対して一緒に軸方向に動くように構成される。駆動機構の作動は、図4から6の記述と関連して後で記述する。
【0067】
図2A〜2Cは、図1の薬物送達デバイスの部分を概略的に示す。図2Aは、駆動部材5を示す。図2Bは、ピストンロッド3を示す。図2Cは、ピストンロッドスリーブ4の遠位端部分を示す。図3は、ピストンロッドスリーブ4を示す。
【0068】
駆動部材5は、例えば、ロッドを含み得る。駆動部材5は、少なくとも一つの駆動機構15を備えることがし得る。この実施態様において、駆動部材5は、二つの駆動機能15を含む。
【0069】
駆動機能15は、例えば、ラグであってもよい。駆動機能15は、駆動部材5の遠位端領域に位置決めし得る。駆動機能15は、駆動部材5と一体的に形成し得る。あるいは、駆動機能15は、駆動部材5に連結し得る。駆動機能15は、駆動部材5から半径方向に突出し得る。二つの駆動機能15が存在すれば、これらの駆動機能15は反対方向に配置され得る。
【0070】
駆動機能15は、ピストンロッドアセンブリ32と機械的相互作用するように構成される。特に、駆動機能15は、ピストン12が用量の送達のためにハウジング2に対して遠位方向に前進するように、ピストンロッドアセンブリ32を駆動させるために、ピストンロッドアセンブリ32を作動させ得る。これは、以下により詳細に記述される。
【0071】
駆動部材5は弾性的に変形可能な部材であり得る。特に、駆動部材5は、設定荷重下では捻じれることが可能であるが、投与荷重下では圧縮可能ではない。
【0072】
駆動部材5は、薬物24の用量を設定するために、ハウジング2に対して用量設定方向に移動する。用量設定方向は、ハウジング2に対して、近位方向であり得る。駆動部材5は、薬物24の設定用量を送達するためにハウジング2に対して用量送達方向に変位する。用量送達方向はハウジング2に対して遠位方向であり得る。駆動部材5は、ハウジング2に対して回転運動に抗して固定される。
【0073】
ピストンロッド3(図3B)は、好ましくは、ピストンロッドスリーブ4(図2C)の内側に同心円状に位置する。ピストンロッド3及びピストンロッドスリーブ4は、互いに、剛性的に、及び恒久的に固定される。ピストンロッド3は、例えば、ピストンロッドスリーブ4に接着し得る。あるいは、ピストンロッドアセンブリ32は一体であってもよい。駆動部材5は、ピストンロッドアセンブリ32内に配置され得る。
【0074】
ピストンロッドアセンブリ32は、内面を有する。ピストンロッドアセンブリ32は、外面を有する。ピストンロッド3の表面は、ピストンロッドアセンブリ32の内面を形成し得る。ピストンロッドスリーブ4の外面は、ピストンロッドアセンブリ32の外面を形成し得る。
【0075】
ピストンロッド3は、少なくとも相互作用表面17のセットを含む。相互作用表面17は、駆動機能15と機械的相互作用をするように配置される。好ましくは、ピストンロッド3は、相互作用表面17の二つのセットを含む。都合よく、ピストンロッド3は、主縦軸の周囲で、180°回転対称を有する。好ましくは、駆動部材5は、二つの駆動機能15を含む。相互作用表面17のセットは、駆動部材5の駆動機能15の一つと相互作用するように構成し得る。相互作用表面17の他方のセットは、他方の駆動機能15と相互作用するように構成し得る。特に、駆動部材5は、ピストンロッド3の相互作用表面17の一つと駆動部材5の駆動機能15との機械的相互作用によるピストンロッドアセンブリ32の用量送達方向における軸方向の移動を行うように構成し得る。
【0076】
二つのセットの内の一つの相互作用表面17は、相互作用表面17の他方のセットから角度オフセットされて配置され得る。相互作用表面17の各セットの中で、個別の相互作用表面17A、17Bなどは、互いに軸オフセットし得る。各セットの中で、相互作用表面17は、また、互いに角度オフセットし得る。二つの隣接した相互作用表面17A、17Bは、少なくとも、部分的に角度を以って重なる。
【0077】
相互作用表面の相互作用表面17のセットは、少なくとも、部分的に、ピストンロッド3に沿って、階段状に配置され得る。特に、相互作用表面17は、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28の周りに、らせん状階段のように配置され得る。それにより、階段の一つが、隣接した階段に対して突出し部分を有し得る。相互作用表面17は、ピストンロッド3に沿って等間隔に配置され得る。二つの隣接した相互作用表面17の間の距離は、薬物24の用量のサイズに対応し得る。この方法において、固定用量の薬物送達デバイス、即ち、薬物24の事前に設定された用量、特に、そのサイズが使用者により変更できない用量を送達するデバイスの提供が可能となる。
【0078】
二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの角度オフセットは、用量を送達するときピストンロッドアセンブリ32が回転する回転角と同じであり、それは図4〜6の説明と関連して記述される。二つの隣接した相互作用表面17A、17Bは、傾斜面31を介して、互いに連結し得る。傾斜面31は軸方向に配向し得る。傾斜面31は、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して傾斜して続いている。傾斜面31と先行する相互作用表面の間で、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して平行に続く部分が配置され得る。この部分は、ハウジング2に対して近位方向に上昇する傾斜面31により続いていく。
【0079】
ピストンロッドスリーブ4(図2C及び図3)は、円筒形状であってもよい。ピストンロッドスリーブ4は、少なくとも一つのガイドトラック18を含み得る。ガイドトラック18は、ピストンロッドスリーブ4の外面に沿って続いていく。ガイドトラック18は、ガイドチャンネルであってもよい。ガイドトラック18は、穴のあいたガイドであってもよい。ガイドトラック18は、後でより詳しく記述する通り、ピストンロッドスリーブ4の周りに角度を以って配置された連続したガイドトラックであってもよい。
【0080】
ガイドトラック18は、少なくとも一つの送達セクション18Aを含む。送達セクション18Aは、二つの側壁を含む。二つの側壁は、溝付きガイド(slotted guide)を形成する。送達セクション18Aは、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して傾斜している。送達セクション18Aは、曲がっていてもよい。送達セクション18Aは、互いに続く複数の用量セクションを含む。一つの用量セクションは、送達セクション18Aの傾斜した部分として画成される。用量セクションは、図2Cにおいて矢印21で表示される。個々の用量セクションは、傾斜面30を含む。傾斜面30は、端部を有し得る。端部は、ブロッキング手段19を画成し得る。ブロッキング手段19は、後でより詳細に記述する通り、送達セクション18Aに沿って、送達セクション18Aと相互作用部材23の間での一方向連結を可能にする。二つの隣接用量セクションはブロッキング手段19により分離し得る。傾斜面30は、近位方向においてブロッキング手段19の方向に上昇し得る。
【0081】
用量セクションの軸方向の伸長が、ピストンロッド3の二つの対応する相互作用表面17の間の軸方向の距離に対応し得る。用量セクションは、後で詳細に記述するピストンロッドアセンブリ32の回転を画成するために、相互作用部材23と共に好適であり得る。特に、用量セクションの角度の拡がりは、相互作用部材23がその用量セクションと相互作用するとき、ピストンロッドアセンブリ32の回転のための回転角を画成し得る。回転角は、上記で述べたとおり、二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの角度オフセットに対応し得る。
【0082】
送達セクション18Aは、その総軸方向の拡がりを超えて360°より小さい角度で角度方向に拡がる。送達セクション18Aのその総軸方向の拡がりを超えた角度の拡がりは、薬物24の第一の用量の送達から、薬物24の最後の利用可能な、即ち、最終用量の送達までのピストンロッドアセンブリ32の全回転角を画成し得る。好ましくは、送達セクション18Aは、角度方向で180°又はそれ以下で拡がる。
【0083】
ガイドトラック18は、少なくとも一つのリセットセクション18Bを含み得る。リセットセクション18Bは、送達セクション18Aを継続するように配置される。特に、リセットセクション18Bは、送達セクション18Aと連続した回路を形成するように配置される。連続した回路は、全体のピストンロッドアセンブリ32の周りに続いていく。ガイドトラック18は、閉鎖トラックであり得る。少なくとも二つの送達セクション18A及び少なくとも二つのリセットセクション18Bがある場合、送達セクション18A及びリセットセクション18Bは、ガイドトラック18に沿って交互に配置され得る。
【0084】
送達セクション18Aは、連結領域25を介してリセットセクション18Bに連結し得る(また、図3参照)。特に、リセットセクション18Bの遠位端は、連結領域25を介して送達セクション18Aの遠位端に連結し得る。リセットセクション18Bの近位端は、送達セクション18Aの近位端に、又は他の連結領域を介して他方の送達セクション18Aの近位端に連結し得る。
【0085】
リセットセクション18Bは、送達セクション18Aに沿って軸方向に伸びる。リセットセクション18Bは、ピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28に対して、送達セクション18Aより傾きが小さくなり得る。リセットセクション18Bは、送達セクション18Aのブロッキング手段19の軸位置におけるブロッキング手段が無い。
【0086】
リセットセクション18Bは送達セクション18Aから角度オフセットされる。リセットセクション18B及び送達セクション18Aの間の角度オフセットは軸方向に変化してもよい。特に、リセットセクション18Bと送達セクション18Aの間の角度オフセットは、リセットセクション18Bと送達セクション18Aの間に配置された連結領域25に向かって軸方向に減少され得る。
【0087】
好ましくは、連結領域25は個々の部分18A、18Bの端部に配置される。連結領域25は軸方向に伸長し得る。セクションセパレータ29は、連結領域25に配置され得る。セクションセパレータ29は、例えば、階段であってもよい。セクションセパレータ29は、逆流防止機構を提供する。セクションセパレータ29の機能は、図4〜6の記述と関連して説明される。
【0088】
ガイドトラック18を介して、特に、送達セクション18A及びリセットセクション18Bを介して、ピストンロッドアセンブリ32は、固定ラック6に固定される。特に、ピストンロッドアセンブリ32は、送達セクション18A及びリセットセクション18Bの相互作用部材23との機械的協動の故に、固定ラック6に固定される。ガイドトラック18は、薬物24の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリ32の軸方向及び回転方向の運動を可能とするために、相互作用部材23に沿って通過し得る(図4〜6の記述参照)。
【0089】
図4A及び図4Bは、プライミング用量の設定後、図1の薬物送達デバイスの断面図を概略的に示す。
【0090】
図5A及び図5Bは、プライミング用量が送達された後の図4の薬物送達デバイスの部分断面図を概略的に示す。
【0091】
デバイス1の初期状態において、駆動機構の部材、例えば、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間にギャップがあり得る。ギャップは、製造又は組立の許容誤差から発生し得る。ギャップのサイズは変化し得る。しかし、薬物24を送達したとき、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間にギャップは、用量の精度を低下させるかもしれない。何故ならば、ピストンロッドアセンブリ32は、ピストン12が前進して、薬物24が放出される前に、ギャップを閉じる必要があるからである。
【0092】
デバイスのプライミング、特に、プライミング用量の投与は、ピストンロッドアセンブリ32とピストン12の間のギャップを取り除こうとしているかもしれない。ギャップを取り除いた後、薬物24の第一の用量が、設定でき、使用者に送達できる。
【0093】
プライミング用量を設定し、送達する前に、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して軸始動位置に位置決めし得る。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及びガイドトラック18を用いてハウジング2に固定される。
【0094】
用量を設定し、送達するとき、相互作用部材23は、送達セクション18Aと機械的に相互作用するように配置され得る。特に、カートリッジ10内に保持される薬物24のプライミング用量を設定する前に、相互作用部材23は、ガイドトラック18の送達セクション18Aの最遠位の用量セクションに位置決めし得る。相互作用部材23は、最遠位の用量セクションの遠位端に配置されたブロッキング手段19に隣接し得る。プライミング用量を投与した後、相互作用部材23は、送達セクション18Aの最遠位の用量セクションを続ける用量セクションに位置決めし得る。
【0095】
設定及び送達のための駆動機構の次の作動において、第一の用量が記述される。プライミング用量の設定及び送達は、同一方法で行える。
【0096】
第一の用量を設定するために、使用者は、ハウジング2に対して近位方向に用量部材9を引き得る。用量部材9が、ハウジング2に対して回転方向に固体されるので、用量部材9は、用量の設定のために回転可能ではない。第二のラック7は、ハウジング2に対して用量部材9と同一距離を近位的に変位し得る。
【0097】
これは、ギア8に軸8Aの周囲を回転させることになる。ギア8は、第一のラック6に沿ってハウジング2に対して近位方向に、用量部材9及び第二のラック7により動いた距離の半分の距離を動くことがし得る。それにより、ギア8に連結した駆動部材5は、ハウジング2に対して近位方向に変位する。
【0098】
ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及びブロッキング手段19の機械的相互作用の故に、ハウジング2に対する近位方向の移動に抗して固定される。
【0099】
駆動部材5が用量設定方向に移動するとき、駆動部材5は、デバイス1をプライミングした後、駆動部材5が隣接する第一の相互作用表面17Aから、その後、近位的に続く相互作用表面17Bに向かって軸方向に変位し得る。第一の相互作用表面17Aとその後の相互作用表面17B間の距離は、送達すべき用量のサイズに対応し得る。
【0100】
駆動部材5が近位的に変位するとき、駆動機能15は、第一の相互作用表面17Aとその後に続く相互作用表面17Bの間に配置された傾斜面31に沿って、近位的に案内される。駆動部材5の近位端が回転運動に抗して固定されるので、駆動部材5、特に、その遠位端部分は、ピストンロッドアセンブリの主縦軸28の周囲を、駆動機能15及び傾斜面31の機械的相互作用により、弾性的に捻じれ偏向し得る。傾斜面31の端部において、駆動機能15は、それが設定用量の送達に対してその後の相互作用表面17Bと機械的協動することが可能な位置であるように、傾斜面の端部にはめ込み得る。駆動機能15は、相互作用表面17Bの平坦部分に隣接する。クリック音は使用者に、用量が設定された聴覚的な、及び/又は、触覚的なフィードバックを与え得る(図4)。設定用量が送達されたとき、駆動機能15は、相互作用表面17Bと機械的に協動し、特に、隣接する。
【0101】
設定用量を投与するために、使用者は、用量部材9をハウジング2に対して、遠位方向に押し得る。それにより、第二のラック7は、同一距離を遠位方向に移動する。これは、用量を設定したときのギア8の回転と比較して、軸8Aの周囲で反対方向に、ギア8を回転させる。ギア8が回転すると、それは、用量部材9と第二のラック7により動いた距離の半分の距離をハウジング2に対して遠位方向に第一のラック6に沿って駆動部材5と一緒に動き得る。
【0102】
それにより、駆動機能15は、相互作用表面17Bと機械的に相互作用し、例えば、隣接する。駆動機能15と相互作用表面17Bとの機械的相互作用の故に、ピストンロッドアセンブリ32は、軸始動位置から離れて、用量送達方向に、即ち、ハウジング2に対して遠位方向に動く。ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して駆動部材9が軸方向に変位する距離の半分の距離を遠位方向に動く。それ故、デバイス1は、2:1の機械的効率を提供する。異なった機械的効率は、例えば、図示する通り、固定及び移動ラック6、7と相互作用するギアよりむしろ、固定された、及び移動するピボットと相互作用するレバーを用いて達成できる。
【0103】
ピストンロッドアセンブリ32がハウジング2に対して遠位的に変位するとき、送達セクション18Aの最遠位の用量セクションは、相互作用部材23に沿って通過する。用量セクションの軸方向の伸長は、ピストンロッドアセンブリ32がハウジング2に対して遠位方向に移動する距離に相当し得る。用量セクションの軸方向の伸長は用量のサイズに相当し得る。用量セクションの軸方向の伸長は、図2Cにおいて矢印21で表示される。用量セクションの軸方向の伸長は、二つの隣接した相互作用表面17A、17Bの間の距離より小さいか又は同等である。
【0104】
第一の用量を投与する間、相互作用部材23は、最遠位部分の傾斜面30(また、図2Cの矢印参照)と相互作用する。傾斜面30の端部で、相互作用部材23は、最遠位部分と隣接用量セクションの間に配置されるブロッキング手段19と機械的に相互作用するために、クリックし得る。それ故、第一の用量が送達された後、相互作用手段23は、最遠位部分に隣接する用量セクションのブロッキング手段19と機械的に協動し得る。
【0105】
可撓性の歯部を含み得る相互作用部材23は、例えば、隣接した用量セクションのブロッキング手段19と機械的に協動するためにクリックするとき、聴覚的な、及び/又は、触覚的なフィードバックは用量が投与されたことを表示するために与えられる(図5参照)。送達セクション18A内で軸始動位置に戻るピストンロッドアセンブリ32の軸方向の移動は、ブロッキング手段19及び相互作用部材23の機械的相互作用により阻止し得る。
【0106】
軸方向の変位に加えて、ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23及び送達セクション18Aの協動の故に、ハウジング2に対して用量送達中に回転し得る。それにより、相互作用部材23及び送達セクション18A、特に、送達セクション18Aの側壁の機械的相互作用は、ハウジング2に対するピストンロッドアセンブリ32の回転を画成し得る。特に、用量セクション及びピストンロッドアセンブリ32の主縦軸28により形成される角度は、ピストンロッドアセンブリ32の回転角に相当し得る。ピストンロッドアセンブリ32は、設定用量を送達するとき、45°又はそれ以下で回転し得る。例えば、ピストンロッドアセンブリ32は、用量送達のために約15°回転する。
【0107】
用量を投与中、ピストンロッドアセンブリ32の回転の故に、駆動機能15が相互作用する相互作用表面17Bは回転し、そして駆動機能15上を摺動する。従って、相互作用表面17Bと隣接する相互作用表面17Cは、非相互作用位置から相互作用位置へ回転する。特に、ピストンロッドアセンブリ32の回転運動の故に、相互作用表面17Cは、相互作用表面17Bが用量の設定及び投与のために駆動機能15と機械的に相互作用する前に有していた角度位置に回転し得る。この方法において、薬物24のその後の用量の送達が容易にし得る。
【0108】
好ましくは、ピストンロッドアセンブリ32が軸方向に、及び回転方向に変位した後、相互作用部材23は、上記の通り、隣接した用量セクションのブロッキング手段19に隣接し得る。あるいは、ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が、隣接した用量セクションのブロッキング手段19に対して、ある距離を保って配置されるように、薬物送達の方向に変位され得た。
【0109】
図6A及び図6Bは、最終用量の送達後の図1の薬物送達デバイスを概略的に示す。
【0110】
薬物24の第一の用量の送達から(図1参照)、ピストンロッドアセンブリ32が軸始動位置にあるとき、最終用量の送達まで(図6)、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して360°又はそれ以下で回転し得た。好ましくは、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して180°より小さい角度で回転した。第一の用量の送達から最終用量の送達までの回転角は、その全体の軸方向の伸長から分かる通り、送達セクション18Aの角度の拡がりに対応する。
【0111】
最終用量を投与した後、駆動機能15は、ピストンロッド3の近位端に最も近く配置された相互作用表面17と協動する(図6)。相互作用部材23は、ピストンロッドスリーブ4の近位端に最も近く配置された用量セクションと相互作用する。デバイス1は、代替カートリッジに保持された薬物の複数の用量を投与するためにリセットし得る。次に、薬物送達デバイス1のリセットの作動を記述する。
【0112】
先ず、カートリッジホルダ11は、ハウジング2から解放される。空のカートリッジ10はカートリッジホルダ11から取り除かれる。ピストンロッドアセンブリ32は、その軸始動位置へ戻し得る。ピストンロッドアセンブリ32の軸始動位置は、上記の通り、ピストンロッドアセンブリ32の以前の始動位置に対してピストンロッドアセンブリ32の主縦軸の周りに、180°回転し得る。それ以降、代替されたカートリッジは、カートリッジホルダ11内に組み入れられる。代替カートリッジを保持するカートリッジホルダ11は、最終的にハウジング11に固定される。
【0113】
薬物送達デバイス1をリセットするために、特に、ピストンロッドアセンブリ32をその軸始動位置に戻してリセットするために、最終用量が投与された後、送達セクション18Aと協動するために、未だ配置されている相互作用部材23は、リセットセクション18Bと協動する必要がある。この目的のために、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して用量送達中と同一方向に回転する。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が連結領域25と機械的に協動するように回転し得る(図2及び3参照)。それにより、連結領域25は、相互作用部材23上を通過する。相互作用部材23は、セクションセパレータ29と相互作用する。セクションセパレータ29は、例えば、階段であってもよい。
【0114】
セクションセパレータ29が相互作用部材23上を通過したとき、セクションセパレータ29は、相互作用部材23を送達セクション18Aとの相互作用に戻させるハウジング2に対して反対方向のピストンロッドアセンブリ32の回転をブロックし得る。それ故、セクションセパレータ29は、連結領域25と相互作用部材23間の一方向の連結を提供する。セクションセパレータ29が相互作用部材23を通過するとき、使用者は、デバイス1がピストンロッドアセンブリ32のリセット運動のために用意ができていることを表示し得る聴覚的、及び/又は、触覚的フィードバックが与えられる。
【0115】
送達セクション18Aとリセットセクション18Bの間の角度が拡がる連結領域25を別にして、送達セクション18Aとリセットセクション18B間の角度方向における遷移は、相互作用部材23及び送達セクション18Aの側壁との機械的協動の故に阻止し得る。それ故、デバイス1のリセットは、カートリッジ10に保持される最終用量が送達されなく、そして相互作用部材23が、連結領域25を介してリセットセクション18Bとの相互作用をもたらさない場合、阻止し得る。従って、最終用量の送達後に、デバイス1のリセットが完結せずに、即ち、ピストンロッドアセンブリ32が、リセットセクション18Bに沿って、別の連結領域25へ移動せずに、そして相互作用部材23を、送達セクション18A、又は連結領域25を介した別の送達セクションとの機械的協動にもたらすため投与の送達中と同じ方向に回転させなければ、更なる用量の設定及び用量の送達は阻止し得る。
【0116】
デバイス1をリセットするためにピストンロッドアセンブリ32のハウジング2に対する用量送達中と同一方向における回転は、ピストンロッドアセンブリ32をその軸始動位置へ戻るようリセットするとき、相互作用表面17及び駆動機能15の機械的協動が阻止され得る位置へ相互作用表面17を置くのに役立つかもしれない。ピストンロッドアセンブリ32の回転の故に、相互作用表面17は、駆動機能15に対して角度変位し得る。それ故、相互作用表面17は、角度オフセットを有する駆動機能15の軸位置を通過し得る。駆動機能15は、相互作用表面17から離れた軸方向のチャンネルに配置され得る。
【0117】
ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23が機械的にリセットセクション18Bと協動するように回転したとき、ピストンロッドアセンブリ32は、軸始動位置に向かってリセットセクション18Bに沿って軸方向に変位する(図3における矢印参照)。
【0118】
リセットセクション18Bは図2及び3と関連して記述する通り、ブロッキング手段19が無くてもよい。好ましくは、相互作用部材23がリセットセクション18Bと協動するとき、送達セクション18Aのブロッキング手段19が角度オフセットを有する相互作用部材23の軸位置を通過し得るように、リセットセクション18Bは、送達セクション18Aから角度オフセットされる。それ故、ピストンロッドアセンブリ32を軸始動位置へ軸方向に変位させるとき、ブロッキング手段19は、相互作用部材23との機械的相互作用なしで相互作用部材23の軸位置を通過し得る。これは、ピストンロッドアセンブリ32の送達セクション18Aに沿って軸方向への変位を可能にする。この方法において、リセット可能な薬物送達デバイスが実現される。
【0119】
リセットトラック18Bは、使用者が軸始動位置に向かって、カートリッジホルダ11に固定された代替カートリッジと共に、又は分離して、ピストンロッドアセンブリ32を押すことがし得るように配置され得る。
【0120】
リセットトラック18Bは、例えば、傾斜面形状であってもよく、又は傾斜面を含んでもよい。傾斜面は遠位方向に上昇する。ピストンロッドアセンブリ32が、リセットトラック18Bに沿って、軸始動位置へ動いたとき、ピストンロッドアセンブリ32は、ハウジング2に対して回転可能であり得る。ピストンロッドアセンブリ32は、相互作用部材23を送達部材18A又は他の送達セクション18Aと機械的協動を実施させるために、薬物送達中と同一方向に回転し得る。相互作用部材23を送達セクション18Aと係合させるピストンロッドアセンブリ32のこの回転は、カートリッジホルダ11が、例えば、ネジ山を用いて再取付けされたとき、ハウジング2に対して発生するピストンロッドアセンブリ3、4の機構とカートリッジホルダ11の機構の間での協動により実施し得る。以前は、ハウジング2に対する回転が、相互作用部材23及びリセットセクション18Aの側壁との機械的協動により阻止し得た。
【0121】
ピストンロッドアセンブリ32の回転のために、相互作用部材23は、連結領域25と協動し得る。それにより、前記連結領域25に配置されるセクションセパレータ29は、相互作用部材23上を通過し得る。相互作用部材23はセクションセパレータ29をクリックし得る。これは使用者に、正しくリセットされたことを聴覚的にフィードバックし得る。以前に記述した通り、セクションセパレータ29は逆流防止機構としての役割を果たす。セクションセパレータ29は、再び、ハウジング2に対して用量の送達中、相互作用部材23をリセットセクション18Bとの相互作用に引き戻す方向とは反対方向においてピストンロッドアセンブリ32の回転をブロックし得る。
【0122】
ピストンロッドアセンブリ32の送達セクション18Aと、又は別の送達セクション18Aとの協動に相互作用部材23を加えるためのハウジング2に対する回転は、相互作用表面17及び駆動機能15の機械的協動が薬物24のプライミング用量、又は次の第一の用量、即ち、代替カートリッジからの第一の用量を送達することを可能にするように、相互作用表面17を角度位置へ加えることにも役立つ。
【0123】
上記の駆動機構は、少数のコンポーネントを提供する。それ故、駆動機構はコストに鋭敏なデバイス用途として、特に魅力的である。更に、デバイス1及び、特に、駆動機構は、少数のコンポーネントの故に、製造及び組立に誤差が起こり難くなり得る。デバイス1は、簡単な使用者作動を提供し得る。
【0124】
デバイス1は、例えば、30IU又はそれ以上の用量を、例えば、50IUの用量を設定し、及び送達するように構成することができ、それにより、高い用量精度を提供し得る。あるいは、デバイス1は、5IU、若しくはそれ以下、好ましくは、1IU若しくはそれ以下、又は高い用量精度を有するいかなる中間用量に対しても設計し得る。
【0125】
デバイス1は、カートリッジ10内に保持される薬物24の事前に設定された複数の用量を投与するのに特に適しているかもしれない。
【0126】
更なる特徴及び改良は、添付の図面と関連した典型的な実施態様の次の記述から明白になるであろう。
【0127】
参照番号:
1:薬物送達デバイス;
2:ハウジング;
3:ピストンロッド;
4:ピストンロッドスリーブ;
5:駆動部材;
6:第一のラック;
7:第二のラック;
8:ギア;
8A:車軸;
9;用量部材;
10:カートリッジ;
11:カートリッジホルダ;
12:ピストン;
13:遠位端;
14:近位端;
15:駆動機能;
16:係合手段;
17:相互作用表面;
17A:相互作用表面;
17B:相互作用表面;
17C:相互作用表面;
18:ガイドトラック;
18A:送達セクション;
18B:リセットセクション;
19:ブロッキング手段;
20:矢印;
21:矢印;
22:停止部材;
23:相互作用部材;
24:薬物;
25:連結領域;
26:矢印;
27:ベアリング部材;
28:ピストンロッドアセンブリの主縦軸;
29:セクションセパレータ;
30:傾斜面;
31:傾斜面;
32:ピストンロッドアセンブリ;
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ピストンロッドアセンブリ(32)であって、ピストンロッドアセンブリ(32)に沿って伸びるガイドトラック(18)を含んでなり、ガイドトラック(18)は少なくとも一つの送達セクション(18A)及び少なくとも一つのリセットセクション(18B)を含んでなり、リセットセクション(18B)は、送達セクション(18A)を延長するように配置され、その送達セクション(18A)は少なくとも一つのブロッキング手段(19)を含んでなる、該ピストンロッドアセンブリ(32);及び
−ガイドトラック(18)と協動するよう構成される相互作用部材(23);
を含んでなる、薬物送達デバイス(1)用のリセット可能な駆動機構であって、
ここで、薬物(24)の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、軸始動位置から離れて用量送達方向に軸方向に変位可能であり、相互作用部材(23)は、送達セクション(18A)と協動し、そしてブロッキング手段(19)は、ピストンロッドアセンブリ(32)が用量送達方向に変位するとき、相互作用部材(23)を通過し、ピストンロッドアセンブリ(32)の軸始動位置に向かう変位は、相互作用部材(23)が送達セクション(18A)と協動するとき、ブロッキング手段(19)と相互作用部材(23)との機械的相互作用により阻止され、
ここで、薬物送達デバイス(1)をリセットするために、相互作用部材(23)は、リセットセクション(18B)と協動するように構成され、ピストンロッドアセンブリ(32)は軸始動位置に向かって軸方向に変位し、ピストンロッドアセンブリ(32)が軸始動位置に向かって軸方向に変位するとき、ブロッキング手段(19)は、相互作用部材(23)からオフセットされ、そして相互作用部材(23)の軸位置を通過する、上記薬物送達デバイス(1)用のリセット可能な駆動機構。
【請求項2】
リセットセクション(18B)が、送達セクション(18A)と連続した回路を形成するように配置される、請求項1に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項3】
相互作用部材(23)がリセットセクション(23)と協動するとき、ブロッキング手段(19)が相互作用部材(23)から角度オフセットされる、請求項1又は2に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項4】
リセットセクション(18B)が送達セクション(18A)に沿って軸方向に伸長する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項5】
リセットセクション(18B)が、送達セクション(18A)に対して角度オフセットされ、リセットセクション(18B)と送達セクション(18A)との間の角度オフセットが、軸始動位置から離れて軸方向に減少する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項6】
送達セクション(18A)が、ガイドトラック(18)の角度的に拡大している連結領域(25)を介してリセットセクション(18B)に連結される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項7】
駆動機構をリセットするために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、連結領域(25)が相互作用部材(23)を通過し、そして相互作用部材(23)がリセットセクション(18B)と機械的協動に入れられるように回転可能である、請求項6に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項8】
連結領域(25)を介するのを除いて、送達セクション(18A)からリセットセクション(18B)への遷移がブロックされる、請求項6又は7に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項9】
セクションセパレータ(29)が、連結領域(25)に配置され、そのセクションセパレータ(29)は、相互作用部材(23)が連結領域(25)を介して送達セクション(18A)との相互作用に戻って入れられるその方向へのピストンロッドアセンブリ(32)の回転をブロックする、請求項7又は8に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項10】
送達セクション(18A)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜して伸長し、そしてリセットセクション(18B)は、送達セクション(18A)より、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜が少なく伸長する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項11】
送達セクション(18A)及び相互作用部材(23)は、ピストンロッドアセンブリ(32)が用量を送達するために軸方向に変位するとき、ピストンロッドアセンブリ(32)が、相互作用部材(23)及び送達セクション(18A)の機械的相互作用により回転する回転角を画成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項12】
ピストンロッドアセンブリ(32)が軸方向始動位置に戻ったとき、ピストンロッドアセンブリ(32)は、相互作用部材(23)を送達セクション(18A)又は他の送達セクション(18A)との機械的協動に入れるために回転可能である、請求項1〜11いずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項13】
駆動機構が駆動部材(5)を含んでなり、その駆動部材(5)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の相互作用表面(17)と駆動部材(5)の駆動機能(15)との機械的相互作用により、用量の送達方向へのピストンロッドアセンブリ(32)の軸方向変位を駆動するように構成され、そして薬物送達デバイス(1)をリセットするために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、相互作用表面(17)が角度オフセットを有する駆動機能(15)の軸位置を通過し得るように、相互作用表面(17)が駆動機能(15)に対して角度変位するように、回転可能であるように構成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項14】
送達セクション(18A)が、二つの隣接した用量セクションがブロッキング手段(19)により分離される状態で、複数の用量セクションを含んでなる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項15】
ガイドトラック(18)がピストンロッドアセンブリ(32)の外面に備え付けられ、そして相互作用部材(17)がピストンロッドアセンブリ(32)の内面に備え付けられる、請求項13又は14に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項16】
送達セクション(18A)が、その総軸方向伸長で角度方向に360°より小さい角度で拡がる、請求項1〜15のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項17】
薬物送達デバイス(1)用のピストンロッドアセンブリ(32)であって、ピストンロッドアセンブリ(32)に沿って伸びる連続したガイドトラック(18)を含んでなり、ガイドトラック(18)は、少なくとも一つの第一のセクション(18A)及び少なくとも一つの第二のセクション(18B)を含んでなり、第一のセクション(18A)は、第一のセクション(18A)に沿った一方向性連結を提供するのに適した少なくとも一つの第一のブロッキング手段(19)を含んでなり、第一のセクション(18A)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜して伸長し、ここで、第二のセクション(18B)は、角度オフセットされ、そしてブロッキング手段(19)から角度的に分離され、そしてブロッキング手段(19)を軸方向に通過して伸長する、上記ピストンロッドアセンブリ(32)。
【請求項1】
−ピストンロッドアセンブリ(32)であって、ピストンロッドアセンブリ(32)に沿って伸びるガイドトラック(18)を含んでなり、ガイドトラック(18)は少なくとも一つの送達セクション(18A)及び少なくとも一つのリセットセクション(18B)を含んでなり、リセットセクション(18B)は、送達セクション(18A)を延長するように配置され、その送達セクション(18A)は少なくとも一つのブロッキング手段(19)を含んでなる、該ピストンロッドアセンブリ(32);及び
−ガイドトラック(18)と協動するよう構成される相互作用部材(23);
を含んでなる、薬物送達デバイス(1)用のリセット可能な駆動機構であって、
ここで、薬物(24)の用量を送達するために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、軸始動位置から離れて用量送達方向に軸方向に変位可能であり、相互作用部材(23)は、送達セクション(18A)と協動し、そしてブロッキング手段(19)は、ピストンロッドアセンブリ(32)が用量送達方向に変位するとき、相互作用部材(23)を通過し、ピストンロッドアセンブリ(32)の軸始動位置に向かう変位は、相互作用部材(23)が送達セクション(18A)と協動するとき、ブロッキング手段(19)と相互作用部材(23)との機械的相互作用により阻止され、
ここで、薬物送達デバイス(1)をリセットするために、相互作用部材(23)は、リセットセクション(18B)と協動するように構成され、ピストンロッドアセンブリ(32)は軸始動位置に向かって軸方向に変位し、ピストンロッドアセンブリ(32)が軸始動位置に向かって軸方向に変位するとき、ブロッキング手段(19)は、相互作用部材(23)からオフセットされ、そして相互作用部材(23)の軸位置を通過する、上記薬物送達デバイス(1)用のリセット可能な駆動機構。
【請求項2】
リセットセクション(18B)が、送達セクション(18A)と連続した回路を形成するように配置される、請求項1に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項3】
相互作用部材(23)がリセットセクション(23)と協動するとき、ブロッキング手段(19)が相互作用部材(23)から角度オフセットされる、請求項1又は2に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項4】
リセットセクション(18B)が送達セクション(18A)に沿って軸方向に伸長する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項5】
リセットセクション(18B)が、送達セクション(18A)に対して角度オフセットされ、リセットセクション(18B)と送達セクション(18A)との間の角度オフセットが、軸始動位置から離れて軸方向に減少する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項6】
送達セクション(18A)が、ガイドトラック(18)の角度的に拡大している連結領域(25)を介してリセットセクション(18B)に連結される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項7】
駆動機構をリセットするために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、連結領域(25)が相互作用部材(23)を通過し、そして相互作用部材(23)がリセットセクション(18B)と機械的協動に入れられるように回転可能である、請求項6に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項8】
連結領域(25)を介するのを除いて、送達セクション(18A)からリセットセクション(18B)への遷移がブロックされる、請求項6又は7に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項9】
セクションセパレータ(29)が、連結領域(25)に配置され、そのセクションセパレータ(29)は、相互作用部材(23)が連結領域(25)を介して送達セクション(18A)との相互作用に戻って入れられるその方向へのピストンロッドアセンブリ(32)の回転をブロックする、請求項7又は8に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項10】
送達セクション(18A)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜して伸長し、そしてリセットセクション(18B)は、送達セクション(18A)より、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜が少なく伸長する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項11】
送達セクション(18A)及び相互作用部材(23)は、ピストンロッドアセンブリ(32)が用量を送達するために軸方向に変位するとき、ピストンロッドアセンブリ(32)が、相互作用部材(23)及び送達セクション(18A)の機械的相互作用により回転する回転角を画成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項12】
ピストンロッドアセンブリ(32)が軸方向始動位置に戻ったとき、ピストンロッドアセンブリ(32)は、相互作用部材(23)を送達セクション(18A)又は他の送達セクション(18A)との機械的協動に入れるために回転可能である、請求項1〜11いずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項13】
駆動機構が駆動部材(5)を含んでなり、その駆動部材(5)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の相互作用表面(17)と駆動部材(5)の駆動機能(15)との機械的相互作用により、用量の送達方向へのピストンロッドアセンブリ(32)の軸方向変位を駆動するように構成され、そして薬物送達デバイス(1)をリセットするために、ピストンロッドアセンブリ(32)は、相互作用表面(17)が角度オフセットを有する駆動機能(15)の軸位置を通過し得るように、相互作用表面(17)が駆動機能(15)に対して角度変位するように、回転可能であるように構成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項14】
送達セクション(18A)が、二つの隣接した用量セクションがブロッキング手段(19)により分離される状態で、複数の用量セクションを含んでなる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項15】
ガイドトラック(18)がピストンロッドアセンブリ(32)の外面に備え付けられ、そして相互作用部材(17)がピストンロッドアセンブリ(32)の内面に備え付けられる、請求項13又は14に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項16】
送達セクション(18A)が、その総軸方向伸長で角度方向に360°より小さい角度で拡がる、請求項1〜15のいずれか1項に記載のリセット可能な駆動機構。
【請求項17】
薬物送達デバイス(1)用のピストンロッドアセンブリ(32)であって、ピストンロッドアセンブリ(32)に沿って伸びる連続したガイドトラック(18)を含んでなり、ガイドトラック(18)は、少なくとも一つの第一のセクション(18A)及び少なくとも一つの第二のセクション(18B)を含んでなり、第一のセクション(18A)は、第一のセクション(18A)に沿った一方向性連結を提供するのに適した少なくとも一つの第一のブロッキング手段(19)を含んでなり、第一のセクション(18A)は、ピストンロッドアセンブリ(32)の主縦軸(28)に対して傾斜して伸長し、ここで、第二のセクション(18B)は、角度オフセットされ、そしてブロッキング手段(19)から角度的に分離され、そしてブロッキング手段(19)を軸方向に通過して伸長する、上記ピストンロッドアセンブリ(32)。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2013−506449(P2013−506449A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531378(P2012−531378)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064401
【国際公開番号】WO2011/039210
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064401
【国際公開番号】WO2011/039210
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】
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