説明

蛇行防止コンベアベルト

【課題】 被搬送物に多少でも偏りが生じる場合であっても、搬送中の横ズレを自動的に解消して、ベルトを中心に戻すことにより、回転ローラの側部にベルトのストッパーを設置することなく、搬送エネルギーを無駄に使用しないで、ベルトの長期間にわたる使用を可能とし、しかも被搬送物の落下を回避して安全で、しかも安価な蛇行防止コンベアベルトを提供する。
【解決手段】 搬送用ベルト2を支承し、かつ搬送方向に間隔をおいて設置した回転ローラを、搬送方向と直交する方向に設置した少なくとも二個のローラ3,3にて形成し、該2個のローラ3,3の直径をそれぞれ中央部から端部方向に向けて大径となるように円錐台状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を蛇行することなく、安定に搬送することの可能な蛇行防止コンベアベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンベアベルト1′は、図3に示すように、搬送用ベルト2′と、これを下から支承する三個の回転ローラ3′とからなっており、この回転ローラ2′は直径の均一な円筒形状をなしているので、被搬送物に多少でも偏りが生じる場合には搬送中に横ズレが生じてしまい、搬送用ベルト2′と被搬送物が回転ローラ2′から逸脱して被搬送物が落下するおそれがあった。
【0003】
そこで、図3に示すように、回転ローラの側部にはベルトのストッパー5が設置されており、過度の横ズレを防止する作用をさせていた。しかし、このストッパー5はベルトの側縁部と圧接して過度の横ズレを単に回避するのみであって、ベルトを中心に戻す効果に欠けるので、ベルトとストッパーとの圧接が継続して、搬送エネルギーを無駄に使用するのみならず、ベルトの損傷が早く、しかも接触時の衝撃によって被搬送物の落下をも生じる欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる現状に鑑み、被搬送物に多少でも偏りが生じる場合であっても、搬送中の横ズレを自動的に解消して、ベルトを中心に戻すことにより、回転ローラの側部にベルトのストッパーを設置することなく、搬送エネルギーを無駄に使用しないで、ベルトの長期間にわたる使用を可能とし、しかも被搬送物の落下を回避して安全で、しかも安価な蛇行防止コンベアベルトの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成するものであって、請求項1の発明は、搬送用ベルトを支承し、かつ搬送方向に間隔をおいて設置した回転ローラを、搬送方向と直交する方向に設置した少なくとも二個のローラにて形成し、該2個のローラの直径をそれぞれ中央部から端部方向に向けて大径となるように円錐台状に形成したことを特徴とする蛇行防止コンベアベルトである。
【0006】
請求項2の発明は、前記2個の回転ローラは、その回転軸がそれぞれ中央部から端部方向に向けて上方に傾斜するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の蛇行防止コンベアベルトである。
【0007】
請求項3の発明は、前記2個の回転ローラの間には、直径が均一なローラが水平に設置されていることを特徴とする請求項1記載の蛇行防止コンベアベルトである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被搬送物に多少でも偏りが生じる場合であっても、搬送中の横ズレを自動的に解消して、ベルトを中心に戻すことが可能であり、これによって、回転ローラの側部にベルトのストッパーを設置する必要がなくなり、ストッパーとの接触による搬送エネルギーを無駄に使用することがなくなり、ベルトの長期間にわたる使用を可能とし、しかも衝撃による被搬送物の落下を未然に回避して安全で搬送が可能であり、安価となる利点も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその実施例である図面にしたがって具体的に説明する。
図1〜図2において、1は本発明の蛇行防止コンベアベルトであって、該蛇行防止コンベアベルト1は、搬送用ベルト2と二個の回転ローラ(サイドローラ)3,3とセンターローラ4とで主として形成されてなるものである。
【0010】
搬送用ベルト2は、砂、土、砕石、砂利、鉱石、穀物などのバラ物のほか各種の形状の被搬送物を上部に載置して搬送し得る丈夫な無端ベルトであって、いかなる形状、素材からなるものであっても良い。幅は40ないし180cmのものが好適に使用されるが、これに限らない。
【0011】
二個の回転ローラ3,3は、搬送用ベルト2を下から支承し、かつ搬送方向に間隔をおいて設置され、被搬送物を載置して搬送用ベルト2を所望の場所に搬送するものである。なお、回転ローラ3,3は、搬送用ベルト2のリターン状態において上または下から支承するものであっても良い。回転ローラ3,3は、固定、立設された複数のスタンドに設けられた軸受に回転可能に設置されたローラであって、駆動ローラ、従動ローラのいずれであっても良いが、従動ローラの方が多い。搬送方向に設置する間隔は、100ないし120cmが好適に採用されるが、これに限らず各種の間隔とすることができる。
【0012】
二個の回転ローラ3,3は、図に示すように、それぞれ中央部から端部方向に向けて大径となるように円錐台状に形成されており、搬送方向と直交する方向に対称に設置されている。このため、回転ローラの中央部側は小径であるから、回転ローラの表面速度は小さいのに対して、回転ローラの端部側は大径であるから、回転ローラの表面速度は大きく、従って回転速度の大きい端部側から回転速度の小さい中央部側に向かって搬送用ベルト2は搬送力がかかることとなる。しかし、回転ローラ3、3は二個が対称に設置されているので、中央部を中心として両方からの搬送力が釣り合って搬送用ベルト2は前方に搬送され、蛇行防止効果が奏されることとなる。
【0013】
なお、2個の回転ローラ3,3は、その回転軸がそれぞれ中央部から端部方向に向けて上方に傾斜するように設置されているので、前述の回転ローラ3,3の両方からの搬送力が釣り合って搬送用ベルト2は前方に搬送され、一層の蛇行防止効果が奏されることとなる。傾斜角度(トラフ角)は、各種の角度とすることができ、特に20度ないし60度であることが望ましい。比重が比較的軽い被搬送物の場合には、20度の傾斜角度が望ましく、一般的な比重の被搬送物の場合には30度の傾斜角度が望ましく、比重の大きい被搬送物の場合には45度の傾斜角度が望ましく、特殊の場合には60度の傾斜角度を採用する。
【0014】
センターローラ4は2個の回転ローラ3,3の間には、直径が均一なローラが水平に設置されており、被搬送物の荷重を安定に支承している。
【0015】
搬送用ベルト2のリターンローラは、上記のキャリヤローラと同じものを使用しても従来のキャリヤローラであっても良く、その設置間隔は、上記のキャリヤローラの設置間隔よりも広くすることが望ましいが、これに限らない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明の蛇行防止コンベアベルトの実施例を示す正面図である。
【図2】 本発明の蛇行防止コンベアベルトを構成する回転ローラの実施例を示す斜視図である。
【図3】 従来の蛇行防止コンベアベルトの側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 蛇行防止コンベアベルト
2 搬送用ベルト
3 回転ローラ
4 センターローラ
5 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用ベルトを支承し、かつ搬送方向に間隔をおいて設置した回転ローラを、搬送方向と直交する方向に設置した少なくとも二個のローラにて形成し、該2個のローラの直径をそれぞれ中央部から端部方向に向けて大径となるように円錐台状に形成したことを特徴とする蛇行防止コンベアベルト。
【請求項2】
前記2個の回転ローラは、その回転軸がそれぞれ中央部から端部方向に向けて上方に傾斜するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の蛇行防止コンベアベルト。
【請求項3】
前記2個の回転ローラの間には、直径が均一なローラが水平に設置されていることを特徴とする請求項1記載の蛇行防止コンベアベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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