説明

蛍光ランプ装置及び照明装置

【課題】発光管を比較的強固に固着できるとともに発光管の支持体からの落下を減少ないしは防止できる蛍光ランプ装置を提供する。
【解決手段】支持体13に支持された発光管11の両端部を結ぶ直線と直交する方向に曲げ力を加えられた場合、この方向に対しては硬度の大きい接着剤22が使用されているため、揺れや変位が生じ難い。発光管の両端部を結ぶ直線と同じ方向に曲げ力を加えられた場合、この方向は2点以上が固定されているため揺れや変位が生じ難い。長期間の使用に対しては、硬度の小さい接着剤21として耐久性のよいものを選定することにより、落下の問題を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲した発光管を有する蛍光ランプ装置及びこの蛍光ランプ装置を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蛍光ランプ装置としては、電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプが存在し、小形軽量化が進み、特に電球形蛍光ランプは一般の白熱電球と外観的にはかなり近似したものとなってきており、一段と普及が進んでいる。
【0003】
特に近年では、例えば下記の特許文献1に示されるように、螺旋状に形成した放電容器を有する蛍光ランプが提案されている。
【特許文献1】特開2003−173760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の蛍光ランプは、中間部を螺旋形状とした発光管の両端部を発光管保持体により保持してなるものである。前記保持体にはソケットへ接続するための口金を設けるとともに、内部に発光管を点灯するための点灯装置を内蔵することにより電球形蛍光ランプを構成できるものである。
【0005】
しかし、特許文献1のもののように発光管を、この発光管の両端部の2点のみで保持体に保持させる構造では、保持強度が十分ではなく、特に、両端部を結ぶ線と直交する方向の曲げ力に対して弱いという問題がある。
【0006】
このため、保持体と発光管の両端部外面とをセメントで強固に固着することが考えられるが、セメントは長期間高温状態時に置かれると脆くなり、発光管落下の心配がある。
【0007】
本発明は、上述したような課題に着目し、発光管を比較的強固に固着できるとともに発光管の支持体からの落下を減少ないしは防止できる蛍光ランプ装置および照明装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の蛍光ランプ装置は、それぞれ電極を封装した両端部を一端側として中間部を屈曲形成してなる発光管と;一対の挿通孔を有し、この挿通孔に発光管の各端部を挿通させて発光管を支持する支持体と;各挿通孔の近傍および発光管の端部の外面を接着させるものであって、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍に用いられるものは相対的に硬度が小さく、その余の部分に用いられるものは相対的に硬度が大きく選ばれている接着剤と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明において発光管は、両端部を支持体の挿通孔に挿通されて支持されるものを前提とし、中間部の屈曲形状は、一例としては螺旋形状であるが、U字状のものを複数個連結したもの等その他の形状であってもよい。
【0010】
支持体は、各挿通孔としていわゆる孔ではなく、一部が開口した切欠きのようなものでよい。また、各挿通孔の周囲に発光管端部の外面に対向する壁を設けて、接着剤の保持力、接着面積の向上を図ったものでもよい。そして、支持体は一端側に口金を有し、他端側で発光管を支持すようにしたものであってもよく、さらに、発光管を高周波電力で点灯する電子化された点灯装置を内蔵したものであってもよい。
【0011】
接着剤は、相対的に硬度が小さいものと大きいものとの組合せである。そして、これらは、長期間の高温下使用により、相対的に劣化程度が小さい性質のものと大きい性質のものとの関係のものが選ばれる。または、価格が安価なものと高価なものとの関係から選ぶことができる。すなわち、接着剤としては、接着力が強固で、耐久性がよく、安価なものが理想的であるが、このような接着剤は容易に入手できないため、特に両端部を結ぶ線と直交する方向の曲げ力に対して弱い部分には硬度の大きい接着剤Aを用い、残余の部分には耐久性、コストあるいはその他の面で接着剤Aを補完する接着剤Bを用いるものである。接着剤A、Bとしては、セメント、シリコーン樹脂等であるが、前記の関係を有するものを適宜選定、組合せ可能である。
【0012】
なお、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍とは、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分を含み、その周辺領域意味するが、接着剤の塗布領域という面からも必ずしも厳密に規定できない。ある程度、残余の部分との相対関係で規定される。例えば、挿通孔の中心から見て、各挿通孔の中心を通る直線と交差する部分を中心とする90度範囲を相対的に硬度の小さい接着剤が使用される範囲とし、残余の範囲を硬度が大きい接着剤が使用される範囲とする。
【0013】
接着剤は必ずしも発光管端部の外面の全周囲に設けられる必要はなく、特に一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍に関しては、各挿通孔において一方の交差する部分のみであってもよい。
【0014】
本発明の蛍光ランプ装置は、支持体に支持された発光管の両端部を結ぶ直線と直交する方向に曲げ力を加えられた場合、この方向に対しては硬度の大きい接着剤が使用されているため、揺れや変位が生じ難い。発光管の両端部を結ぶ直線と同じ方向に曲げ力を加えられた場合、この方向は2点以上が固定されているため揺れや変位が生じ難い。したがって、運搬時の落下や取り付け時の揺れ等によって、発光管が変位することが無いまたは少ない。長期間の使用に対しては、硬度の小さい接着剤として耐久性のよいものを選定することにより、落下の問題を解消する。
【0015】
請求項2の蛍光ランプ装置は、それぞれ電極を封装した両端部を一端側として中間部を屈曲形成してなる発光管と;一端側に口金を有するとともに他端側に発光管支持部を有し、前記発光管支持部には一対の挿通孔を形成し、この挿通孔に発光管の各端部を挿通させて発光管を支持するカバーと;発光管の一方の端部に発光管内部に連通させて設けられ、先端部が口金内まで延在している細管と;発光管支持部の各挿通孔の近傍および発光管の端部の外面を接着させるものであって、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍に用いられるものは相対的に硬度が小さく、その余の部分に用いられるものは相対的に硬度が大きく選ばれている接着剤と;カバーに取り付けられ発光管を覆うグローブと;を具備していることを特徴とする。
【0016】
点灯装置は、例えば、円盤状の回路基板を備え、この回路基板に電子部品を実装したもので、インバータ等を構成し、高周波電力を出力して放電容器内に放電を生起させる。グローブは透光性であり、装置全体の小形化の要請から、比較的発光管に接近して配置される。
【0017】
請求項2の蛍光ランプ装置は、発光管の変位が無いまたは少ないから、グローブに当ることも無くなる。
【0018】
請求項3の蛍光ランプ装置は、請求項1または2記載の発明において、前記接着剤は、相対的に硬度が小さいものとしてシリコーンであり、相対的に硬度が大きいものはセメントであることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の照明装置は、照明器具本体と;請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプ装置と;を具備していることを特徴とする。
【0020】
照明器具本体は、特に限定されず、埋込形、露出形等どのようなものであってもよい。
【0021】
請求項4の照明装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載発明の作用を備えたものとなる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、支持体に支持された発光管の両端部を結ぶ直線と直交する方向に曲げ力を加えられた場合も、発光管の両端部を結ぶ直線と同じ方向に曲げ力を加えられた場合も、発光管の揺れや変位が生じ難い。このため、運搬時の落下や取り付け時の揺れ等によっても発光管が変位することを防止できる。長期間の使用に対しては、硬度の小さい接着剤として耐久性のよいものを選定することにより、落下の問題を解消できる。
【0023】
請求項2の発明によれば、発光管がクローブに当って破損することを防止できる。
【0024】
請求項3の発明によれば、発光管が変位することを防止できるとともに、長期間使用しても落下の問題を解消できる。
【0025】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の発明の効果を奏する照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の蛍光ランプ装置及び照明器具の実施形態につき説明する。
【実施例1】
【0027】
図1および図2は本発明の実施形態である蛍光ランプ装置を示し、図1は一部を切り欠いて示す正面図、図2は要部である放電管および支持体の接着部分を図1の2‐2‘に沿って示す断面図である。
【0028】
10は蛍光ランプ装置で、螺旋状に形成された発光管11と、この放電容器11を支持するともに支持部とは反対側に口金12を有する支持体13と、支持体13に収納された発光管11を点灯する点灯装置14とを有している。
【0029】
発光管11は、1本のガラス管からなる直管状部材を、その長手方向で略二等分して屈曲し、二等分した直管状部材の略中央を頂部とし、両端に短い直管部分を残して螺旋状に形成し、いわゆる2重螺旋形状をなしている。頂部は最冷部を形成するための凸部としている。
【0030】
この発光管11は、透明な無鉛ガラスで管外径寸法を7〜10mm、旋回軸方向の全長を60〜90mmに構成され、内面には例えば3波長の蛍光体層が形成され、かつ、適宜の放電媒体が封入されている。そして、放電路長は、例えば500〜1000mmに形成される。ここで、放電路長は、一方の電極から、発光管11の管の中心を通って他方の電極に至るまでの距離である。
【0031】
図1中の15は、発光管11の一方の端部に、管内部と連通して封止された細管で、発光管11を構成するガラスと同様の透明な無鉛ガラスで構成されている。この細管15内には主アマルガム16を封入するようにしてもよい。そして、図1に示すように主アマルガム16を封入した先端部が口金12内に位置するようにすれば、主アマルガム16を低温領域に配置できる。
【0032】
本実施形態の支持体13は、電球形蛍光ランプ装置としてのカバーを兼用しており、発光管支持部17と、口金支持部18とを有している。発光管支持部17は、円形の皿状に形成され、底面部に一対の挿通孔19、19を有している。また、一対の挿通孔19、19の周囲には略全周囲に亘って壁20、20を形成している。
【0033】
前記挿通孔19、19に挿通された発光管11の各端部の外面と前記周壁20、20との間には接着剤21、22が設けられ、発光管11の各端部と発光管支持部17とを固着している。ここで、接着剤21は、一対の挿通孔19、19の中心を通る直線と交差する部分の近傍に設けられるものであり、相対的に硬度が小さい。例えば、シリコーン樹脂からなるものである。また、接着剤22はその余の部分に設けられるものであり、相対的に硬度が大きい。例えば、セメントからなるものである。
【0034】
前記発光管支持部17の上部(図1において)には点灯装置14が支持されている。点灯装置14は、一般には配線板および配線板実装された電気部品群を有している。図1においては、点灯装置14として一つのボックスとして表しているが、実際には、スイッチング素子、インダクタ、コンデンサ、抵抗、整流素子等が配線板の一面側または両面に実装されている。
【0035】
グローブ23は発光管支持部17とシリコーン樹脂等により結合されている。
【0036】
本実施形態によれば、発光管11を発光管支持部17に強固に固着できるため、運搬時の落下等によって発光管が変位したり、クローブ23に当って破損したりすることがない。
【0037】
また、本実施形態のように長い細管16を設けているものにあっては、発光管11が強固に固着されている結果、この細管16が破損されることも防止できる。
【0038】
さらに、相対的に硬度の小さい接着剤21として、高温下使用でも耐久性に優れたシリコーン樹脂を使用することにより、長期使用でも発光管11が発光管支持部17の一対の挿通孔19、19から脱落することを防止できる。
【0039】
図3は蛍光ランプ装置の他の実施形態を示す正面図である。本実施形態の蛍光ランプ装置10は螺旋形状の発光管11と、一端側にピン形口金28を有し、他端側で発光管11を支持している支持体29とを有している。支持体29には点灯装置を内蔵していてもしていなくてもよい。
【0040】
次に、上記のように構成された蛍光ランプ装置を光源とした照明器具の構成を説明する。
【0041】
図4は本発明の実施形態である照明装置を、天井面に設置した状態を概略的に示した縦断面図である。 30は店舗等の天井面Xに設置されたダウンライト式の照明装置で、下面に開口部31a有する金属製の箱状をなした本体ケース31と、開口部31aに嵌合される金属製の反射体32で構成する。反射体32は、例えばステンレス等の金属板で構成し、下面周囲に飾り枠32a一体に形成する。反射体32の上面板の中央部には、蛍光ランプ装置の口金をねじ込むソケット33を設置する。このソケット33に、上述した図1の電球形蛍光ランプ20の口金24をねじ込む。これにより螺旋状をなす蛍光ランプを有する電球形蛍光ランプ20が設置されたダウンライト式照明装置が構成される。
【0042】
このように構成された照明装置30は、光源となる電球形蛍光ランプ20の配光が一般白熱電球の配光に近似することで、照明器具内に配置されたソケット近傍の反射体への光の照射量が充分に確保され、反射体の光学設計通りの器具特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】蛍光ランプ装置の一実施形態の一部を切り欠いて示す正面図。
【図2】同じく要部である放電管および支持体の接着部分を図1の2‐2‘に沿って示す断面図。
【図3】蛍光ランプ装置の他の実施形態を示す正面図。
【図4】照明装置の一実施形態を、天井面に設置した状態を概略的に示した縦断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 蛍光ランプ装置
11 発光管
12 口金
13 支持体(カバー)
14 点灯装置
15 点灯装置
20 蛍光ランプ装置
21、22 接着剤
30 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電極を封装した両端部を一端側として中間部を屈曲形成してなる発光管と;
一対の挿通孔を有し、この挿通孔に発光管の各端部を挿通させて発光管を支持する支持体と;
各挿通孔の近傍および発光管の端部の外面を接着させるものであって、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍に用いられるものは相対的に硬度が小さく、その余の部分に用いられるものは相対的に硬度が大きく選ばれている接着剤と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項2】
それぞれ電極を封装した両端部を一端側として中間部を屈曲形成してなる発光管と;
一端側に口金を有するとともに他端側に発光管支持部を有し、前記発光管支持部には一対の挿通孔を形成し、この挿通孔に発光管の各端部を挿通させて発光管を支持するカバーと;
発光管の一方の端部に発光管内部に連通させて設けられ、先端部が口金内まで延在している細管と;
発光管支持部の各挿通孔の近傍および発光管の端部の外面を接着させるものであって、一対の挿通孔の中心を通る直線に交差する部分の近傍に用いられるものは相対的に硬度が小さく、その余の部分に用いられるものは相対的に硬度が大きく選ばれている接着剤と;
カバーに取り付けられ発光管を覆うグローブと;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項3】
前記接着剤は、相対的に硬度が小さいものとしてシリコーンであり、相対的に硬度が大きいものはセメントであることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ装置。
【請求項4】
照明器具本体と;
請求項1ないし3に記載の蛍光ランプ装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−286422(P2006−286422A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105367(P2005−105367)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】