説明

蛍光ランプ

【課題】高い残光効率を維持することのできる蛍光ランプを提供する。
【解決手段】蛍光ランプ1は、U字形発光管4と、U字形発光管4とは別個に設けられ、照射された光エネルギーを蓄積して、該蓄積した光エネルギーを放出することで発光可能な残光性を有する蛍光体が形成された残光管5とを有し、残光管5は、U字形発光管4によって囲まれた位置に配置されている。このため、残光管5の蛍光体には、U字形発光管4が発した光が四方から照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプに関する。より詳しくは、残光性を有する蛍光体が形成された残光管を備えた蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電路を構成するバルブの内壁面に蛍光体層が形成された蛍光ランプがある。このような蛍光ランプでは、特許文献1や2に開示されているようにバルブはU字状や二重螺旋形を呈し、蛍光ランプに電力が供給されることでバルブ内で生じた放電により紫外線が発生し、この紫外線を蛍光体層が可視光に変換することで、蛍光ランプは点灯する。
【0003】
特許文献3には、バルブ内で放電が生じる蛍光ランプが複数取り付けられた照明器具が開示されている。この照明器具において、前記複数の蛍光ランプには、照射された光エネルギーを蓄積する蛍光体が蛍光体層に混入された蛍光ランプが含まれている。この蛍光ランプでは、蛍光体が蓄積した光エネルギーを放出することで、電力の供給が停止された後も光を発するようになっている。
【特許文献1】特開2007−273264号公報
【特許文献2】特開2007−280940号公報
【特許文献3】特開平9−82117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献3の照明器具では、放電により生じた電子を衝突させる水銀が蛍光ランプのバルブ内に封入される。この水銀は、前記蛍光体を劣化する要因になり得る。この水銀による蛍光体の劣化が生じた場合には、前記蛍光体の残光効率が低下する。
【0005】
また特許文献3には、前記複数の蛍光ランプを、所定の線に対して対称的に配置することや立体的に配置させることが開示されている。この配置は、照明器具の明るさのバランスを考慮したものであって、図4に示す配置では、蛍光体層に蛍光体が混入された蛍光ランプは、前記複数の蛍光ランプのうち一番外側に配置されている。この配置では、蛍光ランプが発した光の多くは、蛍光体に光エネルギーを蓄積させるために寄与しない。このため特許文献3は、残光効率を高めるべく蛍光ランプの配置を考慮したものではない。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い残光効率を得ることのできる蛍光ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る蛍光ランプは、
発光管と、
前記発光管とは別個に設けられ、照射された光エネルギーを蓄積して、該蓄積した光エネルギーを放出することで発光可能な残光性を有する蛍光体が形成された残光管とを有し、
前記残光管は、前記発光管によって囲まれた位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、残光管が発光管によって囲まれた位置に配置されていることで、残光管の蛍光体には、発光管が発した光が四方から照射されるため、蛍光体に十分な光エネルギーが蓄積されるようになる。このため、蛍光体に光エネルギーを蓄積させるために、残光管に発光管としての機能を持たせて、残光管自らが発した光を蛍光体に吸収させる必要がない。よって、残光管に電力を供給する必要がない。またさらに、残光管の内部に、水銀など蛍光体の劣化を生じさせる気体を封入する必要がなくなるため、蛍光体の劣化は小さく抑えられる。以上のことから、蛍光ランプに供給する電力を小さく抑えた状態で、残光管の蛍光体に高い光エネルギーを蓄積させることができるため、高い残光効率が得られる。
【0009】
また、残光管が発光管に囲まれた位置に配置されていることで、残光管は、発光管が外側に向けて発する光の妨げにならない。このため、発光管が外側に向けて発する光の光束や照度が、残光管によって低下することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、この発明の実施の形態1について図1、2を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。図1は、実施の形態1における蛍光ランプ1の側面図であり、図2は、実施の形態1における蛍光ランプ1の平面図である。
【0011】
蛍光ランプ1は、口金2と、カバー3と、点灯装置(図示せず)と、U字形発光管4と、残光管5とを備えている。
【0012】
カバー3は、カバー本体6と、カバー本体6に接合された仕切板7とを備えている。カバー本体6は、軸方向の両端が開口する筒状を呈し、仕切板7は、カバー本体6の一端12の内周面に接合されている。
【0013】
U字形発光管4は、3つ設けられており、それぞれU字状のガラスバルブによって構成されている。各U字形発光管4における両端は、仕切板7に形成された挿通孔8に挿通されて、カバー本体6の内部に位置している。各U字形発光管4は、両端のそれぞれが連結管(図示せず)を介して他のU字形発光管4の端と接続されることで、他のU字形発光管4とともに一つの連続した放電路を構成している。放電路には水銀が封入されており、放電路を構成する各U字形発光管4の内壁面には、紫外線を可視光に変換する蛍光体層が形成されている。
【0014】
残光管5は、直管状のガラスバルブによって構成され、その一端が、仕切板に形成された挿通孔9に挿通されている。残光管5の内壁面には残光性を有する蛍光体が形成されており、蛍光体は、照射された光エネルギーを蓄積して、該蓄積した光エネルギーを放出することで発光する。なお残光管5は、U字形発光管4と別個に設けられることで、その内部がU字形発光管4内部とはつながっていない。また残光管5には、U字形発光管4のように電極が設けられたり、水銀が封入されてはいない。また残光管5は、プラスチックバルブによって構成され、その内壁面に蛍光体が形成されていてもよい。
【0015】
点灯装置は、カバー本体6の内部に収容されたものであって、U字形発光管4の電極に電気的に接続されたインバータ回路を有している。
【0016】
口金2は、軸方向の一端10がカバー本体6の他端13を被覆した状態で接着剤などにより固定されている。蛍光ランプ1は、口金2が図示しない照明器具のソケットに嵌合されることによって前記照明器具に装着され、点灯装置のインバータ回路は、口金2を介して前記照明器具の点灯回路から電力が入力されるようになっている。
【0017】
以上の構成を有する蛍光ランプ1では、口金2が照明器具のソケットに嵌合された状態で点灯装置のインバータ回路に電力が入力されると、インバータ回路は、各U字形発光管4に電力を供給する。そして、この電力の供給により、U字形発光管4の放電路内で放電が生じ、この放電によって発生した電子が水銀に衝突して紫外線が発生する。そして、この紫外線が蛍光体層により可視光に変換されることで、各U字形発光管4は点灯する。この点灯の間、残光管5の蛍光体には、各U字形発光管4からの光が照射されることで、光エネルギーが蓄積される。そして蛍光体が蓄積した光エネルギーを放出することで、電力の供給が停止してU字形発光管4が点灯しなくなった後においても、残光管5は光を発する。
【0018】
ここで本実施形態では、残光管5の蛍光体に高い光エネルギーが蓄積されるように、U字形発光管4に対する残光管5の相対位置が調整されている。すなわち、図2に示すように、U字形発光管4は円周上に配置され、残光管5は前記円周上に配置された複数のU字形の発光管のほぼ中心に配置されることでU字形発光管4によって囲まれている。これにより、残光管5の蛍光体には、U字形発光管4が発した光が四方から照射されるため、蛍光体に十分な光エネルギーが蓄積されるようになる。このため、蛍光体に光エネルギーを蓄積させるために、残光管5に発光管としての機能を持たせて、残光管自らが発した光を蛍光体に吸収させる必要がない。よって、残光管5に電力を供給する必要がない。またさらに、残光管5の内部に、水銀など蛍光体の劣化を生じさせる気体を封入する必要がなくなるため、蛍光体の劣化は小さく抑えられる。以上のことから、蛍光ランプ1に供給する電力を小さく抑えた状態で、残光管5の蛍光体に高い光エネルギーを蓄積させることができるため、高い残光効率が得られる。
【0019】
また、残光管5がU字形発光管4に囲まれた位置に配置されていることで、残光管5は、U字形発光管4が外側に向けて発する光の妨げにならない。このため、U字形発光管4が外側に向けて発する光の光束や照度が、残光管5によって低下することがない。
【0020】
なお本実施形態では、各U字形発光管4に電力を供給するために点灯装置を蛍光ランプ1に設けることとしたが、点灯装置は必ずしも蛍光ランプ1に設けられなくてもよい。
【0021】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について図3、4を参照して説明する。図3は、実施の形態2における蛍光ランプ20の側面図であり、図4は、実施の形態2における蛍光ランプ20の平面図である。なお以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行う。
【0022】
実施の形態2の蛍光ランプ20には、実施の形態1で示したU字形発光管4に代えて、スパイラル形状の発光管21が設けられている。
【0023】
スパイラル形発光管21は、二重螺旋状を呈するガラスバルブによって構成されている。スパイラル形発光管21における両端は、仕切板7の挿通孔22に挿通されて、カバー本体6の内部に位置している。スパイラル形発光管21の両端には電極が形成され、また該電極がカバー本体6内における点灯装置のインバータ回路に電気的に接続されることで、スパイラル形発光管21は、1つの連続した放電路を形成している。放電路には水銀が封入され、また、放電路を構成するスパイラル形発光管21の内壁面には、紫外線を可視光に変換する蛍光体層が形成されている。
【0024】
蛍光ランプ20において、口金2が照明器具のソケットに嵌合された状態で、点灯装置のインバータ回路に電力が入力されると、インバータ回路は、スパイラル形発光管21に電力を供給する。そして、この電力の供給がされると、スパイラル形発光管21の放電路内で放電が生じて、スパイラル形発光管21は点灯する。この点灯の間、残光管5の蛍光体には、スパイラル形発光管21からの光が照射されることで光エネルギーが蓄積される。そして、蛍光体が蓄積した光エネルギーを放出することで、電力の供給が停止してU字形発光管4が点灯しなくなった後においても、残光管5は光を発する。
【0025】
そして本実施形態では、残光管5の蛍光体に高い照射光エネルギーが蓄積されるように、スパイラル形発光管21に対する残光管5の相対位置が設定されている。すなわち、スパイラル形発光管21は、中心軸に沿って延びる空洞部を有するスパイラル形状であって、残光管5は、前記スパイラル形状の空洞部に配置されることでスパイラル形発光管21によって囲まれている。この結果、残光管5の蛍光体には、スパイラル形発光管21が発した光が四方から照射されるため、残光管5の蛍光体に高い光エネルギーを吸収させることができる。このため、蛍光体に光エネルギーを蓄積させるために、残光管5に発光管としての機能を持たせる必要がない。これにより、実施の形態1と同様、残光管5に電力を供給する必要もなく、また蛍光体の劣化を生じさせる気体を残光管5内部に封入する必要がないため蛍光体の劣化は小さく抑えられる。よって本実施形態においても、高い残光効率が得られる。
【0026】
なお実施の形態1、2では、U字形発光管4又はスパイラル形発光管21と残光管5との離隔距離等を設定することで、蛍光体に蓄積させる光エネルギーの量を調整することができ、その結果、残光管5の残光時間や、残光によって視認性が得られる時間を調節することができるようになる。
【0027】
また本実施形態においても、実施の形態1と同様に、点灯装置は必ずしも蛍光ランプ20に設けられなくてもよい。
【0028】
本発明の第1の観点に係る蛍光ランプについて、好ましくは、前記発光管は、円周上に配置された複数のU字形の発光管から構成され、
前記残光管は、前記円周上に配置された複数のU字形の発光管のほぼ中心に配置されることを特徴とする。
【0029】
または、あるいはさらに、前記発光管は、中心軸に沿って延びる空洞部を有するスパイラル形状であって、
前記残光管は、前記スパイラル形状の空洞部に配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における蛍光ランプの側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における蛍光ランプの平面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における蛍光ランプの側面図である。
【図4】本発明の実施の形態2における蛍光ランプの平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1、20 蛍光ランプ
4 U字形発光管
5 残光管
21 スパイラル形発光管
23 空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管と、
前記発光管とは別個に設けられ、照射された光エネルギーを蓄積して、該蓄積した光エネルギーを放出することで発光可能な残光性を有する蛍光体が形成された残光管とを有し、
前記残光管は、前記発光管によって囲まれた位置に配置されていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記発光管は、円周上に配置された複数のU字形の発光管から構成され、
前記残光管は、前記円周上に配置された複数のU字形の発光管のほぼ中心に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記発光管は、中心軸に沿って延びる空洞部を有するスパイラル形状であって、
前記残光管は、前記スパイラル形状の空洞部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−33964(P2010−33964A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196861(P2008−196861)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】