説明

蛍光分光分析装置及び蛍光分光分析方法

【課題】波長により異なる有効計測空間体積を補正する手段を設けて正しい計測結果が得られるようにすること。
【解決手段】試料に照射するための励起光を発生する少なくとも一つの励起光源1,7と、励起光を試料内で極微小領域に集光する対物レンズ13と、該励起光によって励起される蛍光を集光するレンズ20,26と、少なくとも二つ以上の光検出器18,24と、各検出器18,24の前方にピンホール21,27を配置して実効的に極微小な蛍光検出空間を生成する共焦点光学系と、を具備し、各検出器18,24によって検出される蛍光強度の相互相関信号を用いて分析を行なう蛍光分光分析装置であって、各検出器18,24によって検出される蛍光強度に対応する有効計測空間体積を補正する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光分光分析装置及び蛍光分光分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DNA塩基配列の解析、SNPs(一塩基多型)解析、蛋白質相互作用の解析など、ゲノム関連解析に蛍光種の統計分布解析の技術を用いた方法が用いられている。統計分布解析には、蛍光相関分光解析法、蛍光強度分布解析法などが知られている。蛍光相関分光分析法は蛍光強度の揺らぎを解析し、分子毎の拡散時間や平均分子数を求める手法で、Single molecule Detection in Solution,69p.,Ch.Zander,J.Enderleing,R.A.keller eds, (WILEYVCH Verlag Berlin 2002)等に詳述されている。また、蛍光強度分布解析法は、蛍光揺らぎ
【数1】

【0003】
で表され、結合分子の数NABは、
【数2】

【0004】
で求められる。
【非特許文献1】Single molecule Detection in Solution,69p.,Ch.Zander,J.Enderleing,R.A.keller eds, (WILEYVCH Verlag Berlin 2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蛍光強度相互相関分光分析は顕微鏡にレーザを導入し(一台でも良い)、そのレーザ光によって励起された溶液中の蛍光分子から発生する異なる波長の蛍光の強度を測定し相互相関解析を行うことが従来行われていた(特表平11−502608号公報)。
【0006】
通常の光学顕微鏡の上部から蛍光色素励起用のレーザを入射する(一台でも良い)。波長が異なる二台のレーザを用いる場合はダイクロイックミラー(ビームコンバイナ)により二波長のレーザビームを重畳する。レーザ光は対物レンズによって集光され観測領域を作り出す。試料容器中に、観察する蛍光標識された溶液が入れられる。例えば、結合する二種類の分子に、それぞれ異なる波長の蛍光を発する蛍光色素をそれぞれ結合させてある。観測領域中に存在する試料の蛍光標識から蛍光が発生し再び対物レンズを通過してビームスプリッタにより検出器へと導かれる。波長の異なる二つの蛍光はダイクロイックミラーにより分離され、バリアフィルターによって励起光など不要な光を遮蔽する。それぞれの検出器の前には集光レンズとピンホールが設けられており、コンフォーカル検出を行うのが普通である。このことにより非常に小さな観測領域のみからの蛍光を検出することができる。検出器で得られた蛍光信号は解析装置で解析され所望の測定が、例えば蛋白質の相互作用の測定などが行われる。
【0007】
蛍光色素Aで標識された分子MA の数NA は、蛍光色素Aの蛍光強度の自己相関から求められ、蛍光色素Bで標識された分子MB の数NB は、蛍光色素Bの蛍光強度の自己相関から求められる。両方の分子MA 、MB が結合した分子MABの数NABは、蛍光色素AとBが同じ揺らぎになることから相互相関で求められる。MA 、MB それぞれ単独の(未結合の)分子数をそれぞれNSA、NSBとすると、NSA=NA −NAB、NSB=NB −NABで求めることができる。結合率Dc は、全分子数に対する結合分子の割合で示される。すなわち、
c =NAB/(NSA+NSB+NAB)。しかし、実際には、レーザのアライメント誤差、ピンホールの調整誤差、光学系の色収差、波長による回折の違いなどにより、二つの波長に対する有効計測空間体積が異なり、正しい計測結果が得られないことがある。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、波長により異なる有効計測空間体積を補正する手段を設けることにより、正しい計測結果が得られる蛍光分光分析装置及び蛍光分光分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、試料に照射するための励起光を発生する少なくとも一つの励起光源と、前記励起光を試料内で極微小領域に集光する集光光学系と、該励起光によって励起される蛍光を集光する検出光学系と、少なくとも二つ以上の検出器と、各検出器の前方にピンホールを配置して実効的に極微小な蛍光検出空間を生成する共焦点光学系と、を具備し、前記各検出器によって検出される蛍光強度の相互相関信号を用いて分析を行なう蛍光分光分析装置であって、前記各検出器によって検出される蛍光強度に対応する有効計測空間体積を補正する手段を備える。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明に係る蛍光分光分析装置において、前記二つの検出器は、それぞれが異なる波長領域の蛍光を検出する。
【0011】
また、第3の発明は、第1または第2の発明に係る蛍光分光分析装置において、前記励起光源は、波長の異なる二つの光源である。
【0012】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明に係る蛍光分光分析装置において、前記有効計測空間体積は、標準試料を用いて求められる。
【0013】
また、第5の発明は、第4の発明に係る蛍光分光分析装置において、前記標準試料は、2つの蛍光色素が100%結合し、単独の蛍光色素が存在しない標準試料である。
【0014】
また、第6の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明に係る蛍光分光分析装置において、測定した拡散時間の比を用いて補正を行なう。
【0015】
また、第7の発明は、第5または第6の発明に係る蛍光分光分析装置において、励起光のビームプロファイルを考慮した補正式を用いて補正を行なう。
【0016】
また、第8の発明は、試料に照射するための励起光を少なくとも一つの励起光源により発生し、前記励起光を集光光学系により試料内で極微小領域に集光し、該励起光によって励起される蛍光を検出光学系により集光し、少なくとも二つ以上の検出器と、各検出器の前方にピンホールを配置してなる共焦点光学系により実効的に極微小な蛍光検出空間を生成し、前記各検出器によって検出される蛍光強度の相互相関信号を用いて分析を行なう蛍光分光分析方法であって、前記各検出器によって検出される蛍光強度に対応する有効計測空間体積を補正する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、波長により異なる有効計測空間体積を補正する手段を設けたので、正しい計測結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の蛍光分光分析装置の全体構成を示す図である。また、図2は、本蛍光分光分析装置のブロック図である。ここでは、試料の螢光観察を行なうために共焦点光学顕微鏡100を用いる。蛍光分光分析装置は、基本的な構成として、共焦点光学顕微鏡100本体に加えて、レーザ光源1、レーザ光源7、CCDカメラ10、試料ステージ8、ステッピングモータ11、コンピュータ32(図2)、TVモニタ12、照明光源17等からなる。
【0019】
レーザ光源1,7は、励起する螢光物質の種類により異なる発振波長のものを用いる。本発明では螢光物質として、ローダミン・グリーン(Rhodamine Green:RhG)、サイファイヴ(Cy5) の2種類を用いている。これに伴い、励起光としてのレーザは螢光物質ローダミン・グリーン(RhG)を励起するために、波長488nmのアルゴンレーザ、またサイファイヴ(Cy5) を励起するために、波長632.8nmのヘリウムネオン(He・Ne)レーザを用いている。
【0020】
2種類のレーザ光源1、7から発せられたレーザ光をダイクロイックミラー4により同一の光路上を通るようにして、共焦点光学顕微鏡100に導き、試料ステージ8上に載置された試料9に励起光として集光する。すなわち、アルゴンレーザからなるレーザ光源1から発せられたレーザ光は、レンズ2によりビーム直径を拡大されてコリメート光とされた後、ミラー3により反射されてダイクロイックミラー4を透過し、光接続端子5を介して共焦点光学顕微鏡100に入射する。入射したレーザ光はダイクロイックミラー15で反射された後、切り換えミラー14を通過して対物レンズ13により、試料ステージ8上に載置された試料9に励起光として集光される。
【0021】
また、ヘリウムネオンレーザからなるレーザ光源7から発せられたレーザ光は、レンズ6によりビーム直径を拡大されてコリメート光とされた後、ダイクロイックミラー4により反射された後、光接続端子5を介して共焦点光学顕微鏡100に入射する。入射したレーザ光はダイクロイックミラー15で反射された後、切り換えミラー14を通過して対物レンズ13により、試料ステージ8上に載置された試料9に励起光として集光される。
【0022】
また、ハロゲンランプ、あるいはメタルハライドランプなどにより構成される照明用の光源17からの光線を共焦点光学顕微鏡100本体に導き、切り替えミラー14を介して試料9全体を照明する。試料9から発せられる螢光信号をCCDカメラ10で受光し、TVモニタ12、あるいは顕微鏡接眼部を通して、試料9の螢光顕微鏡観察を行なう。
【0023】
ただし、試料9を測定するときには、切り替えミラー14を測定光路の外に移動させる。共焦点光学顕微鏡100本体の試料ステージ8には2個のステッピングモータ11がそれぞれ90°方向に取り付けられており、それぞれのステッピングモータ11は、試料ステージコントローラ(図示しない)に接続されている。試料ステージコントローラはコンピュータ32に接続されており、コンピュータ32からの指令により、2個のステッピングモータ11を駆動し、試料ステージ8をX方向及びY方向に移動させる。
【0024】
以下に、蛍光相関分光測定の手順を説明する。共焦点光学顕微鏡100本体に入射されたレーザ光源1のアルゴンレーザ光はダイクロイックミラー15により反射されて対物レンズ13に導かれる。同様にして、共焦点光学顕微鏡100本体に入射されたレーザ光源7のヘリウムネオンレーザ光はダイクロイックミラー15により反射されて対物レンズ13に導かれる。
【0025】
ここでの対物レンズ13は、微小な共焦点領域の形成のためにNA(開口数)1.0程度の大きい開口数の対物レンズを用いる。これにより得られる共焦点領域は、直径0.6μm程度、長さ2μm程度の略円筒状となる。この測定領域に存在する蛍光分子をレーザ光により励起し、蛍光信号(フォトンパルス)を得る。
【0026】
得られた螢光信号は励起光が通ったと同じ光路を通ってダイクロイックミラー15を透過し、ミラー16で反射され、ダイクロイックミラー25に入射する。ダイクロイックミラー25は、レーザ光源1からのアルゴンレーザ光で励起された試料9より発せられた蛍光を反射する。また、レーザ光源7からのヘリウムネオンレーザ光で励起された試料9より発せられた蛍光を通過する。つまり、ダイクロイックミラー25は、螢光物質ローダミン・グリーンによる螢光を反射させ、螢光物質サイファイヴによる螢光を透過させるスペクトル特性を持っている。
【0027】
ダイクロイックミラー25により分離された2種類の蛍光信号は、それぞれレンズ20,26によりピンホール位置に集光され、ピンホール21、27を通過して、光検出器18、光検出器24に入射される。各光検出器18、24から発せられた電気信号はそれぞれ光ファイバ19−1,19−2を通って、共焦点光学顕微鏡100本体に取り付けられた光接続端子22に導かれ、光ファイバ23を介して信号処理装置30(図2)に導かれる。
【0028】
なお、光接続端子22としては、例えばFCコネクタ、SCコネクタ、STコネクタなどが好適する。また光検出器18,24としては、アバランシェ・フォトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode)や光電子増倍管が好適する。光ファイバ23としては、例えばコア直径100μm、NA0.22のマルチモードファイバーを用いる。
各光検出器18,24から出力された光強度信号(フォトンパルス)に対応する電気信号は信号処理装置30で波形整形され、on-offの2値化パルスに変換されて、相関解析装置31に導かれる。相関解析装置31に入力された2値化パルス信号に対して相関演算が行なわれ、自己相関関数あるいは相互相関関数が求められる。
【0029】
相関解析装置31での解析結果はコンピュータ32に導かれ、得られた自己相関関数から、蛍光物質の並進拡散速度や測定領域中の蛍光分子の数の変化などが求められる。あるいは相関解析装置31を用いず、信号処理装置30から出力されるon-offの2値化パルス信号を直接コンピュータ32に入力し、コンピュータ32にて相関解析を行なって、蛍光強度ゆらぎの相互相関関数を求めても良い。
【0030】
螢光物質として、ローダミン・グリーン(Rhodamine Green:RhG)、サイファイヴ(Cy5)以外に、例えばTMR(Tetramethylrhodamine)、5-Tamra(5-carboxytetramethylrhodamine)などを用いても良い。この場合、螢光物質TMRを励起するために、波長514.5nmのアルゴンレーザ、螢光物質5-Tamraを励起するために波長543.5nmのヘリウムネオンレーザなどを励起レーザ光源として用いればよい。その他螢光色素としてFITC(Fluorescein-isothiocyanate)、TOTO 1、Acridine-Orange、Texas-Redなどを用いても良い。
【0031】
なお、試料として異なる蛍光波長の二つの色素を用いた場合には、二つの検出器18,24は、それぞれ異なる波長領域の蛍光を検出する。また、二つの色素の励起波長が異なる場合には、波長の異なる二つの光源を用いる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る計測方法について説明する。図3は、レーザ光源の2つの波長に対する有効計測空間体積の違いを示している。VA,effは、光検出器18が測定する有効計測空間体積であり、VB,effは、光検出器24が測定する有効計測空間体積である。このように、2つの波長に対する有効計測空間体積が異なっている場合には、正しい計測結果が得られない。そこで、本実施形態では、VA,effと、VB,effとの共通部分である相互相関の有効計測空間体積VAB,effを用いて補正を行うようにする。
【0033】
以下に、この補正の手順を詳細に説明する。ここでは、標準試料を用いて有効計測空間体積を求め、補正を行なうこととする。例えば、蛍光分子A、Bが両方とも一つの分子に標識されて、単独で蛍光分子に標識された分子および単独の蛍光分子が存在しない理想的な標準試料を考える。すなわち結合率100%の試料である。その場合、蛍光分子Aの自己相関によって得られる濃度CAOと蛍光分子Bの濃度CBOと相互相関による濃度CABO は等しいはずだから、
【数3】

【0034】
となる。従って、各有効計測空間体積の比は、
【数4】

【0035】
と考えられる。従って、NABを基準としたときの、NA 、NB の値をNA’、NB’とすると、
【数5】

【0036】
で求められる。補正後の結合率Dc’は、
【数6】

【0037】
となる。
【0038】
しかし、励起光強度にはプロファイルがある。以下その点を考慮する。
【0039】
自己相関、或いは相互相関によって求められるのは分子数Nであるが、装置によって決まる有効計測空間体積をVeff として、
【数7】

【0040】
の関係がある。励起光に分布がある場合(通常はレーザを用いるのでガウシアンビーム)、励起光のビームプロファイルをW(r)として、有効計測空間体積Veff は、
【数8】

【0041】
となる。二つの蛍光波長に関してビームプロファイルが異なる場合は、それぞれ、
【数9】

【0042】
相互相関の有効計測空間体積は、(1)式を計算すると、
【数10】

【0043】
となる。ここで、相互相関として欲しい体積はVABS である。すなわち、WA(r)とWB(r)が違うために、実際にはVAB,effで計測されている。
【数11】

【0044】
である。従って、
【数12】

【0045】
ここで、VABS の体積を基準に考える。
【数13】

【0046】
【数14】

【0047】
となる。従って、
【数15】

【0048】
となる。好ましくは、この式を用いるが、(3)式と同じになる。
【0049】
また、相互相関分光法を用いる理由に、結合後の分子量が小さい試料だからと言う理由がある。仮に試料の結合後の分子量の変化が小さいとして拡散係数を等しいとして、有効計測空間体積比を求めることが考えられる。蛍光色素Aが標識された分子と蛍光色素Bが標識された分子の自己相関によって得られる拡散時間を、それぞれτA 、τB 、相互相関によって得られた結合分子の拡散時間をτABとする。計測空間体積は測定される拡散時間の3/2乗に比例するから、
【数16】

【0050】
補正後の分子数は、
【数17】

【0051】
結合率は、
【数18】

【0052】
励起光の強度プロファイルを考慮しても同様Dc’’を得る。τの値は異なる。
【0053】
以下に、実際の測定結果について説明する。蛍光分子Aで標識した分子MA と蛍光標識Bで標識した分子MB が100%結合し、どちらかが単独で存在していない標準試料を測定した。その結果、自己相関及び相互相関から下記の表を得た。
【表1】

【0054】
A 、NB 、NABの値が違うのは、有効計測空間体積が異なるからと考えられる。このとき、結合率Dc は、52.7%である。(2)式から補正計数は、kA =0.68、kB =0.70である。補正された結合率Dc’は、当然100%である。NA’=NB’=NAB=6.14である。
【0055】
励起光の強度プロファイルを考慮した場合も、結合率Dc’は100%と計算され、NA’=NB’=NAB’=12.88となる。
【0056】
拡散時間による補正を行なう。(5)式より、RA =0.944、RB =0.717となり、Dc’=71%と計算される。NA’=8.53、NB’=6.27である。
【0057】
上記した実施形態によれば、波長により異なる有効計測空間体積を補正する手段を設けたので、正しい計測結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の蛍光分光分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】本蛍光分光分析装置のブロック図である。
【図3】レーザ光源の2つの波長に対する有効計測空間体積の違いを示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…レーザ光源、2…レンズ、3…ミラー、4…ダイクロイックミラー、5…光接続端子、6…レンズ、7…レーザ光源、8…試料ステージ、9…試料、10…CCDカメラ、11…ステッピングモータ、12…TVモニタ、13…対物レンズ、14…切り替えミラー、15…ダイクロイックミラー、16…ミラー、17…照明光源、18…光検出器、19−1,19−2…光ファイバ、20…レンズ、21…ピンホール、22…光接続端子、23…光ファイバ、24…光検出器、25…ダイクロイックミラー、26…レンズ、27…ピンホール、28…光接続端子、30…信号処理装置、31…相関解析装置、32…コンピュータ、100…共焦点光学顕微鏡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に照射するための励起光を発生する少なくとも一つの励起光源と、
前記励起光を試料内で極微小領域に集光する集光光学系と、
該励起光によって励起される蛍光を集光する検出光学系と、
少なくとも二つ以上の検出器と、各検出器の前方にピンホールを配置して実効的に極微小な蛍光検出空間を生成する共焦点光学系と、を具備し、
前記各検出器によって検出される蛍光強度の相互相関信号を用いて分析を行なう蛍光分光分析装置であって、
前記各検出器によって検出される蛍光強度に対応する有効計測空間体積を補正する手段を備えたことを特徴とする蛍光分光分析装置。
【請求項2】
前記二つの検出器は、それぞれが異なる波長領域の蛍光を検出することを特徴とする請求項1に記載の蛍光分光分析装置。
【請求項3】
前記励起光源は、波長の異なる二つの光源であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光分光分析装置。
【請求項4】
前記有効計測空間体積は、標準試料を用いて求められることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の蛍光分光分析装置。
【請求項5】
前記標準試料は、2つの蛍光色素が100%結合し、単独の蛍光色素が存在しない標準試料であることを特徴とする請求項4に記載の蛍光分光分析装置。
【請求項6】
測定した拡散時間の比を用いて補正を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の蛍光分光分析装置。
【請求項7】
励起光のビームプロファイルを考慮した補正式を用いて補正を行なうことを特徴とする請求項5または6に記載の蛍光分光分析装置。
【請求項8】
試料に照射するための励起光を少なくとも一つの励起光源により発生し、
前記励起光を集光光学系により試料内で極微小領域に集光し、
該励起光によって励起される蛍光を検出光学系により集光し、
少なくとも二つ以上の検出器と、各検出器の前方にピンホールを配置してなる共焦点光学系により実効的に極微小な蛍光検出空間を生成し、
前記各検出器によって検出される蛍光強度の相互相関信号を用いて分析を行なう蛍光分光分析方法であって、
前記各検出器によって検出される蛍光強度に対応する有効計測空間体積を補正することを特徴とする蛍光分光分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−17628(P2006−17628A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196998(P2004−196998)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】