説明

蛍光式温度センサ、蛍光式温度センサの調整方法、及び温度の測定方法

【課題】温度を正確に測定可能な蛍光式温度センサを提供する。
【解決手段】励起光を発する発光体2と、励起光が伝播する光導波路15と、光導波路15の端部115から放射した励起光が照射される蛍光体1と、蛍光体1及び光導波路15の端部115の相対位置を調整する調整部17と、蛍光体1の蛍光を受光し、蛍光強度を測定する蛍光測定器3と、発光体2が消灯した後の蛍光強度の減衰特性に基づき、蛍光体1の雰囲気温度を算出する温度算出部302と、を備える蛍光式温度センサを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定技術に係り、蛍光式温度センサ、蛍光式温度センサの調整方法、及び温度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光物質の蛍光寿命が温度によって変化する性質を利用した、蛍光式温度センサが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。蛍光式温度センサは、電磁波等の影響を受けないため、過酷な環境下で温度を測定可能であるという、長所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−178575号公報
【特許文献2】特開2009−128145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる長所を有する蛍光式温度センサの適応分野は多岐にわたり、蛍光式温度センサのさらなる精度の向上が求められている。そこで、本発明は、温度を正確に測定可能な蛍光式温度センサ、蛍光式温度センサの調整方法、及び温度の測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、(a)励起光を発する発光体と、(b)励起光が伝播する光導波路と、(c)光導波路の端部から放射した励起光が照射される蛍光体と、(d)蛍光体及び光導波路の端部の相対位置を調整する調整部と、(e)蛍光体の蛍光を受光し、蛍光強度を測定する蛍光測定器と、(f)発光体が消灯した後の蛍光強度の減衰特性に基づき、蛍光体の雰囲気温度を算出する温度算出部と、を備える蛍光式温度センサであることを要旨とする。
【0006】
本発明の他の態様は、(a)発光体から励起光を発することと、(b)励起光を光導波路に伝播させることと、(c)蛍光体及び光導波路の端部の相対位置を調整すること、及び光導波路の端部から放射した励起光を蛍光体に照射することを繰り返すことと、(d)蛍光体及び光導波路の端部の相対位置と、蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における蛍光体の蛍光強度の減衰特性と、の関係をモニタすることと、(e)蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、蛍光強度の減衰特性の所定の基準値を用意することと、(f)蛍光強度の減衰特性が所定の基準値に最も近似する蛍光体及び光導波路の端部の相対位置を抽出することと、を含む、蛍光式温度センサの調整方法であることを要旨とする。
【0007】
本発明のさらに他の態様は、(a)発光体から励起光を発することと、(b)励起光を光導波路に伝播させることと、(c)光導波路の端部から放射した励起光を蛍光体に照射することと、(d)蛍光体及び光導波路の端部の相対位置を調整することと、(e)蛍光体の蛍光を受光し、蛍光強度を測定することと、(f)発光体を消灯後の蛍光強度の減衰特性に基づき、蛍光体の雰囲気温度を算出することと、を含む、温度の測定方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度を正確に測定可能な蛍光式温度センサ、蛍光式温度センサの調整方法、及び温度の測定方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサの第1の模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る発光体の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光強度の時間変化の例を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の製造工程を示す第1の模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の製造工程を示す第2の模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るルビーの結晶構造の模式図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路及び蛍光体の保持部材の斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る励起光を消灯後の、蛍光体の蛍光強度の雰囲気温度に依存する減衰特性の例を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の雰囲気温度と、蛍光寿命と、の関係の例を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路と、蛍光体と、の相対位置関係を示す第1の模式図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の回転角度と、蛍光寿命と、の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路と、蛍光体と、の相対位置関係を示す第2の模式図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の移動距離と、蛍光寿命と、の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路と、蛍光体と、の相対位置関係を示す第3の模式図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光体の傾斜角度と、蛍光寿命と、の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路と、蛍光体と、の相対位置関係を示す第4の模式図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路及び蛍光体の間隔と、蛍光寿命と、の関係を示すグラフである。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサの第2の模式図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサの調整方法及び温度の測定方法のフローチャートである。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る光導波路及び蛍光体を保持する保持部材の模式図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る保持部材の第1の上面図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る保持部材の第2の上面図である。
【図23】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る保持部材の第3の上面図である。
【図24】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る保持部材の第4の上面図である。
【図25】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る光導波路の模式図である。
【図26】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る蛍光式温度センサの第1の模式図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサの第1の模式図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサの第2の模式図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサの第3の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサは、図1に示すように、励起光を発する発光体2と、励起光が伝播する光導波路15と、光導波路15の端部115から放射した励起光が照射される蛍光体1と、蛍光体1及び光導波路15の端部115の相対位置を調整する調整部17と、蛍光体1の蛍光を受光し、蛍光強度を測定する蛍光測定器3と、発光体2が消灯した後の蛍光強度の減衰特性に基づき、蛍光体1の雰囲気温度を算出する温度算出部302と、を備える。
【0012】
発光体2は、図2に示すように、例えば円筒状のパッケージ21と、パッケージ21の開口を覆う光学窓22と、パッケージ21の内部に配置された発光素子23と、を備える。パッケージ21には、メタルCANパッケージ及び樹脂成型パッケージ等が使用可能である。光学窓22には、石英ガラス等からなる透明板及びレンズ等が使用可能である。発光素子23には、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)及び半導体レーザ(LD:Laser Diode)等の半導体発光素子が使用可能である。より具体的には、発光素子23には、AlGaInPをチップ材料とする四元素系発光素子、及びInGaNをチップ材料とする三元素系発光素子が使用可能である。例えば、発光素子23には、図1に示す通電制御部501が接続される。通電制御部501は、発光素子23を点滅するように通電(ON/OFF)を制御し、発光素子23から蛍光体1の励起光を断続的に放射させる。
【0013】
発光体2に対向して、ダイクロイックミラー11が配置されている。ダイクロイックミラー11は、励起光を反射して、励起光の進行方向を直角に折り曲げる。ダイクロイックミラー11で反射された励起光は、レンズ12及び光導波路15を経て、光導波路15の端部115に対向して配置された蛍光体1に到達する。光導波路15の端部115は、例えば、平面研摩されている。光導波路15には、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Poly(methyl methacrylate))からなるプラスチック光ファイバ等が使用可能である。あるいは、光導波路15は、コア及びクラッドを含む光ファイバと、光ファイバを覆う保護管と、を備えていてもよい。ただし、励起光及び蛍光を伝搬可能であれば、光導波路15はこれらに限定されない。
【0014】
発光体2から励起光を照射された蛍光体1は、蛍光を発する。図3に示すように、蛍光強度は、発光体2の発光強度に依存して、時間経過とともに一定の値まで増加する。また、発光体2を消灯すると、蛍光強度は時間経過とともに減衰する。励起光が消光した瞬間又は直後と比較して蛍光強度が1/eに低下するまでに要する時間は、蛍光体1の蛍光寿命τとして定義される。なお、eは自然対数である。
【0015】
図1に示す蛍光体1は、蛍光物質、又は遷移金属がドープされた蛍光物質からなる。遷移金属がドープされた蛍光物質としては、ルビー等のCr3+系材料、Mn2+系材料、Mn4+系材料、及びFe2+系材料が使用可能である。あるいは、蛍光体1は、ユウロピウム(Eu)がドープされたアルミン酸ストロンチウム(SrAl24系)からなる。例えば、蛍光体1は、熱伝導性の保持部材16に設けられた凹部の底面に格納されている。
【0016】
蛍光体1は、以下の手順で製造される。まず、ベルヌーイ法及びフローティングゾーン法等の結晶成長法を用いて、蛍光物質の結晶のインゴットを製造する。次に、蛍光物質のインゴットを粉砕し、蛍光物質の粉体を得る。さらに、蛍光物質の粉体の粒径を揃えるために、蛍光物質の粉体をメッシュ等に通す。その後、図4に示すように、蛍光物質の粉体とバインダとを混合し、蛍光混合物を得る。次に、蛍光混合物を、図5に示すように、保持部材16の凹部に積層する。さらに、積層された蛍光混合物を凹部にプレスする。その後、蛍光混合物を乾燥及び焼結することにより、バインダの溶剤を揮発させ、保持部材16の凹部に格納された蛍光体1を得る。
【0017】
例えば、蛍光体1の材料の一つであるルビーは、図6に示すコランダム構造というα型アルミナ結晶(Al23)のAl3+イオンをCr3+イオンに置換して得られる。ルビーの結晶は結晶軸(c軸)を有する。しかし、ルビーの結晶は、非軸対称性である。そのため、ルビーの結晶のインゴットに励起光を照射した場合、Cr3+の励起のされ方が、原子軌道の関係で、励起光の入射方向に対してばらつく。また、励起された電子の緩和及び再結合のされ方も、原子配置によって異なる。そのため、結晶のインゴットで観察される蛍光寿命τ等の蛍光の減衰特性は、結晶方位に依存する場合がある。
【0018】
また、結晶とはいえ、蛍光を発する要因となるCr3+イオンの分布は、必ずしも均一でない場合がある。そのため、結晶のインゴットで観察される蛍光効率が、インゴットの部位によって異なる場合がある。さらに、結晶のインゴットの内部応力によっても、蛍光寿命τ等の蛍光の減衰特性は変化し得る。
【0019】
これに対し、インゴットを粉体にし、バインダと混合することにより、結晶軸の向きをランダムに分散させ、蛍光寿命τ等の蛍光の減衰特性の結晶方位依存性を抑制することが可能となる。さらに、インゴットを粉体にすることにより、Cr3+イオンの分布を均一にすることも可能となる。また、インゴットを粉体にすることにより、内部応力を緩和することも可能となる。蛍光物質の粉体の粒径は、例えば60乃至100μmである。
【0020】
図7に示すように、蛍光体1の保持部材16の凹部の断面形状は、例えば多角形である。光導波路15の端部115は、保持部材16の凹部に挿入される。光導波路15の端部115と、蛍光体1と、の相対位置を調整可能なように、凹部の開口の面積は、光導波路15の端部115の断面積より大きく設定されている。
【0021】
図1に示すように、調整部17は保持部材16に接続されている。調整部17は、保持部材16を介して、光導波路15の端部115に対して蛍光体1を任意の方向に回転、移動、及び傾斜させる。調整部17は、例えば圧電素子(ピエゾ素子)又はモータを備える。蛍光体1が発した蛍光は、光導波路15及びレンズ12を経て、ダイクロイックミラー11に到達する。さらに、蛍光は、ダイクロイックミラー11を透過して、蛍光測定器3に到達する。蛍光測定器3は、例えば、フォトダイオード等の受光素子を含む。発光体2、ダイクロイックミラー11、レンズ12、及び蛍光測定器3は、例えば筺体10の内部に配置されている。また、筺体10と、光導波路15と、は、例えば光導波路15を固定するコネクタ14及びコネクタ14を保持するアダプタ13を介して固定されている。
【0022】
蛍光測定器3には、中央演算処理装置(CPU)300が接続されている。CPU300は、減衰特性取得部301を含む。減衰特性取得部301は、蛍光測定器3が測定した蛍光体1の蛍光強度の時間変化を観測し、蛍光体1の蛍光寿命τ等の減衰特性を取得する。温度算出部302は、CPU300に含まれている。温度算出部302は、蛍光体1の蛍光寿命τ等の減衰特性に基づいて、蛍光体1の雰囲気温度を算出する。なお、蛍光体1の雰囲気温度とは、例えば、蛍光体1又は蛍光体1を格納する熱伝導性の保持部材16に接する気体の温度である。
【0023】
図8は、蛍光体1の雰囲気温度を変えた場合における、励起光消光後の蛍光体1の蛍光強度の例を示している。ここで、第1の温度条件下で、蛍光体1の雰囲気温度は最も低く、第2乃至第5の温度条件下で、蛍光体1の雰囲気温度は順次高くなる。図8に示すように、蛍光体1の蛍光寿命τは、蛍光体1の雰囲気温度が上昇するとともに、短くなる傾向にある。したがって、図9に示すように、蛍光体1の蛍光寿命τ等の蛍光の減衰特性と、蛍光体1の雰囲気温度と、の関係を予め取得しておけば、蛍光体1の蛍光寿命τ等の蛍光の減衰特性を測定することにより、図1に示す蛍光体1の雰囲気温度を算出することが可能となる。
【0024】
図1に示すCPU300には、関係記憶部401を含むデータ記憶装置400が接続されている。関係記憶部401は、図9に示すような、予め取得された、蛍光体1の蛍光寿命τと、蛍光体1の雰囲気温度Tと、の関係を表す、下記(1)式を保存する。
T=f1(τ) ・・・(1)
温度算出部302は、蛍光測定器3を用いて測定された蛍光体1の蛍光寿命τの測定値を、上記(1)式の蛍光寿命τの変数に代入し、蛍光体1の雰囲気温度Tの測定値を算出する。
【0025】
ここで、図1に示す蛍光体1を上述したように蛍光物質の粉体から製造してもなお、蛍光体1には個体差が生じる場合がある。そのため、個体差によって、蛍光体1の蛍光の減衰特性の温度依存性が、ばらつく場合がある。例えば、蛍光体1の表面の凹凸構造の個体差が、励起光の反射又は散乱方向、蛍光体1内部への励起光の入射方向、蛍光体1内部の局所的な変換効率、並びに蛍光体1内部からの蛍光の出射方向のばらつきをもたらし得る。そのため、蛍光体1の表面の凹凸構造に個体差があると、観察される蛍光寿命のばらつきが、同一温度条件下でも生じ得る。また、蛍光体1内部における粉体の向き、粉体の形状、粉体どうしの接触の仕方、あるいは粉体間の隙間の大きさの個体差も、蛍光寿命のばらつきをもたらし得る。
【0026】
これに対し、第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサは、蛍光体1を格納する保持部材16に接続された調整部17によって、蛍光体1への励起光のあたり方を調整し、蛍光体1が発する蛍光の減衰特性の個体差を抑制する。例えば、図10に示すように、蛍光体1を回転させると、蛍光体1の雰囲気温度が一定であっても、図11に示すように、蛍光寿命τが変化する場合がある。この場合、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの所定の基準値に、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が最も近似するよう、調整部17によって蛍光体1を回転させる。蛍光体1を回転させる間、光導波路15の端部115と、蛍光体1と、の間には例えば隙間が設けられる。また、例えば、蛍光体1を回転させる間、光導波路15の端部115の中心と、蛍光体1の中心と、が、同軸上に位置するよう設定される。
【0027】
また、図12に示すように、励起光の進行方向に対して垂直方向に蛍光体1を移動させると、蛍光体1の雰囲気温度が一定であっても、図13に示すように、蛍光寿命τが変化する場合がある。この場合、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの所定の基準値に、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が最も近似するよう、調整部17によって、励起光の進行方向に対して垂直方向に、蛍光体1を移動させる。蛍光体1を移動させる間、光導波路15の端部115と、蛍光体1と、の間には例えば隙間が設けられる。
【0028】
さらに、図14に示すように、励起光の進行方向に対して垂直な平面から蛍光体1を傾斜させると、蛍光体1の雰囲気温度が一定であっても、図15に示すように、蛍光寿命τが変化する場合がある。この場合、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの所定の基準値に、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が最も近似するよう、調整部17によって、励起光の進行方向に対して垂直な平面から蛍光体1を傾斜させる。
【0029】
またさらに、図16に示すように、光導波路15の端部115と、蛍光体1と、の間隔を変化させると、蛍光体1の雰囲気温度が一定であっても、図17に示すように、蛍光寿命τが変化する場合がある。この場合、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの所定の基準値に、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が最も近似するよう、調整部17によって、光導波路15と、蛍光体1と、の間隔を変化させる。
【0030】
図18に示すように、調整部17によって、蛍光体1と、光導波路15の端部115と、の相対位置を調整する間、蛍光体1を恒温槽100中に配置し、蛍光体1の雰囲気温度を所定の値に保ってもよい。恒温槽100の側壁は、不透明であっても、透明であってもよい。恒温槽100が透明である場合、蛍光体1と、光導波路15と、の相対位置を、撮像素子又は目視等により外部から観察しながら、調節することが可能となる。
【0031】
CPU300には、さらに入力装置321、出力装置322、プログラム記憶装置323、及び一時記憶装置324が接続される。入力装置321としては、スイッチ及びキーボード等が使用可能である。関係記憶部401に保存される蛍光体1の減衰特性及び蛍光体1の雰囲気温度の関係は、例えば、入力装置321を用いて入力される。出力装置322としては、光インジケータ、デジタルインジケータ、及び液晶表示装置等が使用可能である。出力装置322は、減衰特性取得部301が取得した蛍光体1の蛍光寿命τ等の減衰特性を出力する。また、出力装置322は、温度算出部302の算出結果に基づき、蛍光体1の雰囲気温度の測定値を出力する。プログラム記憶装置323は、CPU300に接続された装置間のデータ送受信等をCPU300に実行させるためのプログラムを保存している。一時記憶装置324は、CPU300の演算過程でのデータを一時的に保存する。
【0032】
次に図19に示すフローチャートを用いて第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサの調整方法及び温度の測定方法について説明する。
(a)ステップS101で、図18に示すように、蛍光体1が格納された保持部材16を恒温槽100に格納する。恒温槽100に格納することにより、蛍光体1の雰囲気温度を所定の値に保つ。ステップS102で、発光体2から励起光を蛍光体1に放射し、蛍光体1の蛍光寿命τの測定値を蛍光測定器3及び減衰特性取得部301を用いて得る。ステップS103で、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が、所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの基準値に一致又は近似するか否かを判定する。なお、温度測定に求められる正確性は、蛍光式温度センサの測定対象によって異なる。したがって、所定の基準値に近似しているとみなし得る範囲は、測定対象によって任意に定められ得る。
【0033】
(b)ステップS103で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似すると判定した場合、ステップS301で、図1に示すように、蛍光体1を覆っていた恒温槽100を撤去する。この際、調整部17も撤去してよい。ステップS302で、発光体2から励起光を蛍光体1に放射し、未知の雰囲気温度下で、蛍光体1の蛍光寿命τの測定値を蛍光測定器3及び減衰特性取得部301を用いて得る。減衰特性取得部301は、蛍光体1の蛍光寿命τの測定値を温度算出部302に伝送する。次に、温度算出部302は、関係記憶部401から、蛍光体1の蛍光寿命τと、蛍光体1の雰囲気温度Tと、の関係を表す、上記(1)式を読み出す。さらに、温度算出部302は、蛍光寿命τの測定値を、上記(1)式の蛍光寿命τの変数に代入し、蛍光体1の雰囲気温度Tの測定値を算出する。その後、温度算出部302は、蛍光体1の雰囲気温度Tの測定値を出力装置322に出力する。
【0034】
(c)ステップS103で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似しないと判定した場合、ステップS201で、調整部17によって保持部材16に格納された蛍光体1を回転させることと、蛍光寿命τの測定値を測定することと、を繰り返す。これにより、蛍光体1の回転角度と、蛍光寿命τの測定値と、の関係をモニタする。次に、ステップS202で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する回転角度が得られたか否かを判定する。所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する回転角度が得られた場合、その回転角度を保持したまま、ステップS301に進む。
【0035】
(d)ステップS202で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する回転角度が得られないと判定した場合、ステップS203で、調整部17によって保持部材16に格納された蛍光体1を、励起光の入射方向に対して垂直に移動させることと、蛍光寿命τの測定値を測定することと、を繰り返す。これにより、入射方向に対して垂直方向における蛍光体1の配置と、蛍光寿命τの測定値と、の関係をモニタする。次に、ステップS204で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する、入射方向に対して垂直方向における蛍光体1の配置が得られたか否かを判定する。所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する配置が得られた場合、その配置を保持したまま、ステップS301に進む。
【0036】
(e)ステップS204で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する配置が得られないと判定した場合、ステップS205で、調整部17によって保持部材16に格納された蛍光体1を傾斜させることと、蛍光寿命τの測定値を測定することと、を繰り返す。これにより、蛍光体1の傾斜角度と、蛍光寿命τの測定値と、の関係をモニタする。次に、ステップS206で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する蛍光体1の傾斜角度が得られたか否かを判定する。所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する傾斜角度が得られた場合、その傾斜角度を保持したまま、ステップS301に進む。
【0037】
(f)ステップS206で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する傾斜角度が得られないと判定した場合、ステップS207で、調整部17によって保持部材16に格納された蛍光体1を、励起光の入射方向と平行に移動させることと、蛍光寿命τの測定値を測定することと、を繰り返す。これにより、光導波路15の端部115及び蛍光体1の間隔と、蛍光寿命τの測定値と、の関係をモニタする。次に、ステップS208で、蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する間隔が得られたか否かを判定する。所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する間隔が得られた場合、その間隔を保持したまま、ステップS301に進む。蛍光寿命τの測定値が基準値に一致又は近似する間隔が得られない場合は、例えば、蛍光体1の交換を検討する。
【0038】
蛍光式温度センサの蛍光体1が劣化した場合、蛍光式温度センサ全体を交換するより、蛍光体1のみ、あるいは蛍光体1及び保持部材16のみを交換する方が、コストがかからない。しかし、蛍光体1の蛍光寿命τに個体差があると、蛍光体1を交換した場合に、蛍光体1の蛍光寿命τと、蛍光体1の雰囲気温度Tと、の関係を表す、上記(1)式についても修正が必要となる。これに対し、第1の実施の形態に係る蛍光式温度センサ、蛍光式温度センサの調整方法、及び温度の測定方法によれば、蛍光体1の蛍光寿命τの個体差を抑制することが可能となる。そのため、蛍光体1の蛍光寿命τと、蛍光体1の雰囲気温度Tと、の関係を表す、上記(1)式を修正する必要をなくすことが可能となる。
【0039】
なお、図19のステップS201乃至ステップS208のそれぞれを実施する順番は任意である。例えば、ステップS203及びステップS204を実施した後、ステップS201及びステップS202を実施してもよい。さらに、図18に示す調整部17によって、蛍光体1及び光導波路15の端部115の相対位置を調整した後、図20に示すように、固定部材116を用いて、光導波路15と、蛍光体1と、を固定し、調整された相対位置を保持してもよい。あるいは、ロー付、溶接加工、及びはんだ付け等により、光導波路15と、保持部材16と、を固定してもよい。あるいは、接着剤を用いて、光導波路15と、保持部材16と、を固定してもよい。
【0040】
(第1の実施の形態の第1の変形例)
図21、図22、及び図23に示すように、保持部材16の凹部の開口の形状と、保持部材16の外周の形状とは、相似でなくてもよい。また、図24に示すように、保持部材16の凹部の開口は、円形であってもよい。さらに、図7に示すように、光導波路15の断面形状は円形であってもよいし、図25に示すように、多角形であってもよい。例えば、複数の光ファイバを束ねることにより、非円形の光導波路15を構成してもよい。
【0041】
図24に示すように保持部材16の凹部の開口を円形とし、図7に示すように光導波路15の断面形状も円形とすれば、光導波路15に対して保持部材16を容易に、かつ精度よく回転させることが可能となる。また、図21、図22、及び図23に示すように保持部材16の凹部の開口が非円形とし、図25に示すように光導波路15の断面形状も非円形として、凹部の内壁と、光導波路15の外壁と、の間で適切な摩擦が生じるようにすれば、蛍光体1と、光導波路15の端部115と、の相対位置を調整した後、相対位置を保持することが容易となる。
【0042】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図1では、保持部材16に調整部17が接続されている例を示した。これに対し、図26に示すように、光導波路15に調整部17が接続されていてもよい。この場合、調整部17は、光導波路15を回転、移動、及び傾斜させることにより、光導波路15と、蛍光体1と、の相対位置を調整する。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサは、図27に示すように、CPU300が、調整部を制御する制御部303と、蛍光体1の雰囲気温度が所定の場合における、蛍光体1及び光導波路15の端部115の相対位置と、蛍光強度の減衰特性と、の関係をモニタするモニタ部304と、をさらに含む。また、データ記憶装置400が、蛍光体1の雰囲気温度が所定の場合における、蛍光体1の減衰特性の所定の基準値を保存する減衰特性記憶部402をさらに含む。また、CPU300は、蛍光体1の減衰特性が基準値に最も近似する相対位置を抽出する抽出部305をさらに含む。
【0044】
第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサを調整する際には、図28に示すように、蛍光体1を恒温槽100に格納する。また、恒温槽100の内部の温度を、CPU300のモニタ部304及び抽出部305に伝送可能な温度計101を配置する。温度計101には、例えば、サーミスタ及び白金温度センサ等が使用可能である。
【0045】
次に、制御部303が調整部17に蛍光体1を回転させることと、減衰特性取得部301が蛍光体1の蛍光寿命τ等の減衰特性を取得することと、が繰り返される。その間、モニタ部304は、温度計101で測定された所定の雰囲気温度における、蛍光体1の回転角度と、蛍光体1の蛍光寿命τと、の関係をモニタする。モニタ部304は、モニタした関係を抽出部305に伝送する。
【0046】
抽出部305は、温度計101で測定された所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの基準値を、減衰特性記憶部402から読み出す。さらに抽出部305は、モニタされた関係に基づいて、蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える蛍光体1の回転角度を抽出する。制御部303は、抽出された回転角度で蛍光体1を停止するよう、調整部17を制御する。
【0047】
蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える蛍光体1の回転角度を抽出できなかった場合は、制御部303が調整部17に蛍光体1を励起光の入射方向に対して垂直に移動させることと、減衰特性取得部301が蛍光体1の蛍光寿命τを取得することと、が繰り返される。その間、モニタ部304は、温度計101で測定された所定の雰囲気温度における、励起光の入射方向に対して垂直方向の蛍光体1の配置と、蛍光体1の蛍光寿命τと、の関係をモニタする。モニタ部304は、モニタした関係を抽出部305に伝送する。
【0048】
抽出部305は、モニタされた関係に基づいて、蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える、励起光の入射方向に対して垂直方向における蛍光体1の配置を抽出する。制御部303は、抽出された配置で蛍光体1を停止するよう、調整部17を制御する。
【0049】
蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える、励起光の入射方向に対して垂直方向における蛍光体1の配置を抽出できなかった場合は、制御部303が調整部17に蛍光体1を傾斜させることと、減衰特性取得部301が蛍光体1の蛍光寿命τを取得することと、が繰り返される。その間、モニタ部304は、温度計101で測定された所定の雰囲気温度における、蛍光体1の傾斜角度と、蛍光体1の蛍光寿命τと、の関係をモニタする。モニタ部304は、モニタした関係を抽出部305に伝送する。
【0050】
抽出部305は、モニタされた関係に基づいて、蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える、蛍光体1の傾斜角度を抽出する。制御部303は、抽出された傾斜角度で蛍光体1を停止するよう、調整部17を制御する。
【0051】
蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える、蛍光体1の傾斜角度を抽出できなかった場合は、制御部303が調整部17に蛍光体1を励起光の入射方向と平行に移動させることと、減衰特性取得部301が蛍光体1の蛍光寿命τを取得することと、が繰り返される。その間、モニタ部304は、温度計101で測定された雰囲気温度における、光導波路15の端部115及び蛍光体1の間隔と、蛍光体1の蛍光寿命τと、の関係をモニタする。モニタ部304は、モニタした関係を抽出部305に伝送する。
【0052】
抽出部305は、モニタされた関係に基づいて、蛍光寿命τの基準値に最も近似する測定値を与える、光導波路15の端部115と、蛍光体1と、の間隔を抽出する。制御部303は、抽出された間隔で蛍光体1を停止するよう、調整部17を制御する。
【0053】
以上示した、第2の実施の形態に係る蛍光式温度センサによれば、図19に示すステップS201乃至ステップS208を自動的に実施することが可能となる。なお、蛍光式温度センサを調整する際、温度計101で蛍光体1の雰囲気温度を継続的に測定し、雰囲気温度が変化する毎に、抽出部305が、温度計101で測定された所定の雰囲気温度における蛍光寿命τの基準値を取得すれば、図29に示すように、蛍光体1を恒温槽100に格納しなくともよい。
【0054】
以上、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。したがって、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、半導体製造装置のプラズマ中の基板の温度測定、通電状態でのハイブリット素子及び集積回路の温度測定等に利用可能である。したがって、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、半導体及びエレクトロニクス産業分野で利用可能である。
【0056】
また、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、原油の2次及び3次産出に用いる地中深くの蒸気の温度測定、及び温度測定に基づくオイルパイプラインからの漏れ検知等に利用可能である。したがって、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、石油化学産業分野で利用可能である。
【0057】
さらに、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、高電圧電力設備の保全等を目的とした、電力トランス巻線、高圧送電線、及び発電器等の温度測定に利用可能である。したがって、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、電力事業分野で利用可能である。
【0058】
また、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、電子レンジ等で加熱中の食材の温度測定、マイクロ波を用いる殺菌装置又は乾燥装置の温度管理、高周波加熱を用いる木材、セラミックス、及び繊維等の加熱装置、乾燥装置、及び殺菌装置の温度管理に利用可能である。したがって、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、食品産業分野、材木産業分野、及び素材産業分野で利用可能である。
【0059】
さらに、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、ハイパーサーミア装置やMRI装置の温度測定に利用可能である。したがって、本発明の実施の形態に係る蛍光式温度センサ及び温度の測定方法は、医療産業分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 蛍光体
2 発光体
3 蛍光測定器
10 筺体
11 ダイクロイックミラー
12 レンズ
13 アダプタ
14 コネクタ
15 光導波路
16 保持部材
17 調整部
21 パッケージ
22 光学窓
23 発光素子
100 恒温槽
101 温度計
115 端部
116 固定部材
301 減衰特性取得部
302 温度算出部
303 制御部
304 モニタ部
305 抽出部
321 入力装置
322 出力装置
323 プログラム記憶装置
324 一時記憶装置
400 データ記憶装置
401 関係記憶部
402 減衰特性記憶部
501 通電制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を発する発光体と、
前記励起光が伝播する光導波路と、
前記光導波路の端部から放射した前記励起光が照射される蛍光体と、
前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置を調整する調整部と、
前記蛍光体の蛍光を受光し、蛍光強度を測定する蛍光測定器と、
前記発光体が消灯した後の前記蛍光強度の減衰特性に基づき、前記蛍光体の雰囲気温度を算出する温度算出部と、
を備える蛍光式温度センサ。
【請求項2】
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置と、前記蛍光強度の減衰特性と、の関係をモニタするモニタ部を更に備える、請求項1に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項3】
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光強度の減衰特性の所定の基準値を保存する減衰特性記憶部を更に備える、請求項2に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項4】
前記蛍光強度の減衰特性が前記基準値に最も近似する前記相対位置を抽出する抽出部を更に備える、請求項3に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項5】
前記調整部により前記蛍光体を回転可能な、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項6】
前記調整部により、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を垂直方向に移動可能な、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項7】
前記調整部により、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を傾斜可能な、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項8】
前記調整部により、前記光導波路の端部と、前記蛍光体と、の間隔を調整可能な、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項9】
凹部を有する保持部材を更に備え、前記凹部の底面に前記蛍光体が格納される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項10】
前記保持部材の前記凹部の開口に前記光導波路の端部が挿入される、請求項9に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項11】
前記凹部の開口が前記光導波路の端部の断面積より広い、請求項10に記載の蛍光式温度センサ。
【請求項12】
発光体から励起光を発することと、
前記励起光を光導波路に伝播させることと、
前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置を調整すること、及び前記光導波路の端部から放射した前記励起光を蛍光体に照射することを繰り返すことと、
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置と、前記蛍光体の蛍光強度の減衰特性と、の関係をモニタすることと、
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光強度の減衰特性の所定の基準値を用意することと、
前記蛍光強度の減衰特性が前記基準値に最も近似する前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置を抽出することと、
を含む、蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項13】
前記相対位置を調整することにおいて、前記蛍光体を回転させる、請求項12に記載の蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項14】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を垂直方向に移動させる、請求項12に記載の蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項15】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を傾斜させる、請求項12に記載の蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項16】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部と、前記蛍光体と、の間隔を調整する、請求項12に記載の蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項17】
前記相対位置を調整することの後、前記光導波路の端部に対し前記蛍光体を固定することを更に含む、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の蛍光式温度センサの調整方法。
【請求項18】
発光体から励起光を発することと、
前記励起光を光導波路に伝播させることと、
前記光導波路の端部から放射した前記励起光を蛍光体に照射することと、
前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置を調整することと、
前記蛍光体の蛍光を受光し、蛍光強度を測定することと、
前記発光体を消灯後の前記蛍光強度の減衰特性に基づき、前記蛍光体の雰囲気温度を算出することと、
を含む、温度の測定方法。
【請求項19】
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光体及び前記光導波路の端部の相対位置と、前記蛍光強度の減衰特性と、の関係をモニタすることを更に含む、請求項18に記載の温度の測定方法。
【請求項20】
前記蛍光体の雰囲気温度が所定の場合における、前記蛍光強度の減衰特性の所定の基準値を用意することを更に含む、請求項19に記載の温度の測定方法。
【請求項21】
前記蛍光強度の減衰特性が前記基準値に最も近似する前記相対位置を抽出することを更に含む、請求項20に記載の温度の測定方法。
【請求項22】
前記相対位置を調整することにおいて、前記蛍光体を回転させる、請求項18乃至21のいずれか1項に記載の温度の測定方法。
【請求項23】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を垂直方向に移動させる、請求項18乃至21のいずれか1項に記載の温度の測定方法。
【請求項24】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部から放射した前記励起光の進行方向に対して、前記蛍光体を傾斜させる、請求項18乃至21のいずれか1項に記載の温度の測定方法。
【請求項25】
前記相対位置を調整することにおいて、前記光導波路の端部と、前記蛍光体と、の間隔を調整する、請求項18乃至21のいずれか1項に記載の温度の測定方法。
【請求項26】
前記相対位置を調整することの後、前記光導波路の端部に対し前記蛍光体を固定することを更に含む、請求項18乃至25のいずれか1項に記載の温度の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−145161(P2011−145161A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5916(P2010−5916)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】