説明

蛍光検出デバイス

本発明は、サンプル(111)を支持するための支持手段(101)と、前記サンプル(111)によって蛍光が放出されるようにするサンプル励起手段と、前記蛍光を検出するための検出手段とを備える蛍光検出デバイスであって、前記支持手段(101)は、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面(115)を有する層を備え、前記検出手段は、複数の方向に向け直された前記蛍光を収集できるような観測円錐をカバーする蛍光検出デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光学の分野、より詳細には、蛍光画像化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光信号は、特に生物学において、多くの研究及び応用に利用されている。主な技術的な障害となるのが、蛍光信号の弱さである。即ち、大部分の応用及び研究ではしばしば、蛍光マーカー(fluorescent marker)又は蛍光物質(fluorophore)の量が制限される。例えば、バイオチップの場合又はセル中のわずかな量の分子をモニタする場合、感度を増大させることが重要となる。蛍光信号の増大は、蛍光量子効率の低い分子についても必要とされる。
【0003】
現在、この要求は、特定の観測法、特に全反射のエバネッセント波を利用した照明法により、基本的に満足される。また、蛍光信号の弱さのため、しばしば割高で、大量の時間を必要とし、制御を要する増幅バイアスをもたらすような、追加の増幅法を利用することが必要となる。代表的なケースはDNAチップであり、この場合には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅ステップがしばしば重要となる。蛍光信号を増大し、このような増幅ステップの必要性を最小にするために、多くのタイプの支持体が開発されている。
【0004】
米国特許第5866433号に記載のいくつかの支持体は、透明で不活性な分離層の下に金属ナノ粒子が存在することで誘起されるような、増大蛍光(enhanced fluorescence)に基づいている。
【0005】
透明なスペーシング層を有するミラータイプの支持体も存在する。米国特許第4649280号で提案された支持体は、透明なスペーシング層で覆われた完全なミラーである。米国特許第5006716号は、選択的な方向に蛍光を誘起するような周期的波状導電層を有し、そのため、明確に規定された方向に沿った励起及び検出を必要とするようなミラーを提案している。このタイプの支持体を使用するには、そのため、特定の励起及び観測の構成が必要である。
【0006】
しかしながら、蛍光信号の増大をある程度可能にするこれらの支持体は全て、特に検出デバイスの特定の性質又は当該検出デバイスの特定の使用形態に関して、数多くの欠点を有する。従って、このような支持体の使用は、依然として複雑及び/又は割高である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、少なくとも、上述の欠点のうちの少なくとも1つは克服するような、簡易化された蛍光検出デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、特許請求の範囲で規定されるような蛍光検出デバイスとなる。
【0009】
より詳細には、サンプルを支持するための支持手段と、前記サンプルによって蛍光が放出されるようにするサンプル励起手段と、前記蛍光を検出するための検出手段とを備える蛍光検出デバイスであって、前記支持手段は、前記蛍光を複数の方向に向け直す(redirect)ような粗い表面を有する層を備え、前記検出手段は、複数の方向に向け直された前記蛍光を収集できるような観測円錐(observation cone)をカバーすることを特徴とするような蛍光検出デバイスが提供される。
【0010】
その結果、このようなデバイスは、サンプルの励起蛍光物質から生じる蛍光信号の増大をもたらし、前記蛍光信号が、選択的な方向にではなく、広い透過ローブ内に放出されることになる。従って、広い開口にわたる検出により、蛍光信号の大部分を収集できるようになる。従って、収集される蛍光信号は、前もって増幅することなしに、且つ/又は特定の検出システムや特定の構成を使用することなしに、増大されることになる。
【0011】
上記支持手段の層の粗い表面は、少なくとも3つのパラメータにより規定される粗さを有する。即ち、粗さの標準偏差(standard deviation of roughness)を表す第1のパラメータにより規定される粗さ、粗さの平均空間周期(average spatial period of roughness)を表す第2のパラメータにより規定される粗さ、及び粗さの空間周期のレンジ(range of spatial periods of roughness)を表す第3のパラメータにより規定される粗さである。第2及び第3のパラメータは、粗い界面のトポグラフィ画像のパワースペクトルの半径方向プロファイルから得られる。第1のパラメータは、0ではなく、100ナノメートル(nm)未満であり、第2のパラメータは、0ではなく、1000nm未満であり、第3のパラメータは、0ではなく、1500nm未満である。
【0012】
本発明による蛍光検出デバイスの、好適であるが非限定的な態様は、次の通りである。
【0013】
前記観測円錐は、少なくとも10度の頂角(apex angle)により規定される。
【0014】
前記粗い表面を有する前記層は、連続的(continuous)又は準連続的(quasi-continuous)である。
【0015】
前記粗い表面を有する前記層は、導電層である。
【0016】
前記導電層は、銀、金、銅、アルミニウム、又は白金で形成されている金属層である。
【0017】
前記導電層は、半導体である。
【0018】
前記導電層の厚さは、20nmよりも大きい。
【0019】
前記支持手段は、蛍光プロセスに伴う励起波長及び放出波長に対して透明なスペーシング層(spacing layer)を含む。
【0020】
前記スペーシング層は、ポリマーの層、又はセラミック層である。
【0021】
前記スペーシング層の厚さは、20nmよりも大きい。
【0022】
前記スペーシング層の厚さは、約60nmであり、前記導電層の厚さは、約60nmであり、前記導電層の表面の粗さは、第1のパラメータによれば約20nmと規定され、第2のパラメータによれば約350nmと規定され、第3のパラメータによれば約600nmと規定される。
【0023】
前記スペーシング層は、厚さ勾配に従うよう構成されており、前記支持手段の第1の端部から前記支持手段の第2の端部へと増加している。
【0024】
前記励起手段は、照明円錐(illumination cone)をカバーする。
【0025】
本発明による蛍光検出デバイスは、サンプル中の蛍光物質をモニタするのに使用可能である。該蛍光検出デバイスは特に、蛍光物質間エネルギー移動(inter-fluorophore energy transfers)の研究用に使用可能である。
【0026】
本発明による蛍光検出デバイスの、好適であるが非限定的な別の使用は、透明なサンプルの厚さの測定に関する。
【0027】
更に、本発明による蛍光検出デバイス用のサンプル支持手段が提供され、前記サンプル支持手段は、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面を有する層を備えることを特徴とする。
【0028】
最後に、本発明は、支持手段により支持されているサンプルを、前記サンプルにより蛍光が放出されるよう励起するステップと、励起された前記サンプルにより放出された前記蛍光を検出するステップと、を順々(successive)に備える蛍光検出方法に関する。この蛍光検出方法は、前記支持手段は、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面を有する層を備え、前記蛍光検出ステップは、複数の方向に向け直された前記蛍光を収集できるような円錐内で観測を行うステップを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明のその他の特性及び利点は、以下の説明から明らかになろう。以下の説明は、専ら例示の目的で与えられており、決して限定的なものではなく、添付の図面を参照しつつ読まれるべきものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明による蛍光検出デバイスの概略図を表す。このデバイスは、サンプル(11)を支持するための支持手段(1)と、励起手段(2)と、蛍光検出手段(3)とを備える。
【0031】
サンプル(11)の励起手段(2)は、該サンプル中にある検出対象の蛍光物質を励起するよう構成されている。即ち、蛍光物質は、その入射光吸収スペクトル(即ち励起スペクトル)とその蛍光放出スペクトルという、2つのスペクトルにより特徴づけられる。そのため、励起手段(2)は、光源(21)と、検出対象の蛍光物質の吸収スペクトルに対応する波長で励起手段(2)が入射放射(incident radiation)を放出できるようにする、励起フィルタ(22)とを備える。更に、この励起手段(2)は、分析対象のサンプルがある照明円錐に従って励起されるよう、ある立体角にわたって広がるレンジ(励起領域)を有していてもよい。
【0032】
蛍光検出デバイスの検出手段(3)は、検出対象の蛍光物質の放出スペクトル特性に対応する蛍光放射(fluorescent radiation)のみを検出するよう構成されている。そのため、検出手段(3)は、観測手段(31)と、検出対象の蛍光の放射特性のみを透過させる放出フィルタ(32)とを備える。更に、この検出手段(3)は、ある観測円錐をカバーする、即ち、ある観測円錐を観測領域とする。そのため、この検出手段(3)は、数多くの方向に放出された放射の検出が可能である。この観測円錐は、少なくとも10度の頂角により規定することができる。
【0033】
蛍光検出デバイスは更に、入射放射をサンプルの方に反射し、検出対象の蛍光物質により放出された蛍光の放射特性のみを透過させるような、ダイクロイックミラー(4)を備える。
【0034】
例えば、支持体(1)を使用するための光学系の構成は、標準的な共焦点のモノフォトニック蛍光顕微鏡又はバイフォトニック蛍光顕微鏡の構成でもよいし、スキャナの構成でもよい。
【0035】
また、支持体(1)が、放出された蛍光を自己増大(self-enhance)するよう製造される場合、液浸対物レンズ(水、油)の使用はもはや必要ではない。従って、支持体(1)がもたらす自己増大により、単純な空気対物レンズの使用が可能になる。単純な空気対物レンズの使用は、液浸対物レンズの使用が複雑又は面倒な場合に特に有利である。
【0036】
図2、3、4、及び5は、表面の粗さを規定するために選択されたパラメータを表す。
【0037】
表面(S)のトポグラフィを特徴づける統計パラメータは、基準面(R)を基準として決定される。この基準面(R)の位置は、様々な表面地点の高さの平均に相当する。図2は、表面トポグラフィの1次元ビューを表すプロファイルを表す。このプロファイルは、使用される第1のパラメータ、即ち、高さのプロファイルを特徴づける粗さの標準偏差∂を提示する。このパラメータは、基準面(R)からのプロファイルの差h(x,y)の値の平方自乗平均に相当する。即ち、
【数1】

である。但し、L及びLは、分析対象の粗い界面の寸法であり、h(x,y)は、位置(x,y)における基準面(R)の上方での表面の高さである。
【0038】
更に、粗さは、表面の面の粗さを特徴づける2つのパラメータλ及びΔλにより規定されることになる。このパラメータのペアは、分析対象の粗い表面のトポグラフィの画像から得られたパワースペクトルから決定される。原子間力顕微鏡(AFM)による粗い表面の観測により、図3に示すように、そのトポグラフィの画像を得ることができる。表面トポグラフィのこの画像から開始して、画像のフーリエ変換のノルムに相当するパワースペクトルを取り扱うことができる。この新たな表現は、与えられた方向に沿ったサイン関数を基底とする表面成分と等価である。粗い表面は選択的な方向を有していないので、そのスペクトル表現も選択的な方向を有さないことになる。この場合、図4に示すように、パワースペクトルの半径方向プロファイルだけしか考慮しないことが可能である。表面の粗さは、基本的に、半径方向スペクトルに有意な値を有する空間周波数からなる。図5に示すように、空間周期λの関数として半径方向プロファイルを表すことも可能である。スペクトルバンドΔλは、半径方向プロファイルの最大高さの半分の高さにて規定される。半径方向プロファイルのこのスペクトルバンドΔλは、表面を構成するリップルの様々な波長を提示する。従って、空間周期の平均値λ及びスペクトルバンドΔλは、表面の粗さを正確に規定するのに十分なものとなる。
【0039】
様々な粗さ特徴づけパラメータについて規定したので、蛍光信号を増大させるために使用される支持体(1)についてより詳細に説明する必要がある。蛍光を増大させるための重要な特徴が、スペーシング層により覆う必要のある導電層の存在や、粗い界面の存在にある。
【0040】
電磁放射が導電層に到達できようにするためには、スペーシング層は、蛍光プロセスに伴う波長(検出対象の蛍光物質の励起波長及び放出波長)に対して透明でなければならない。このスペーシング層の厚さは、一般に数十ナノメートル(nm)であり、与えられる蛍光物質及び励起波長に対して調節することができる。このスペーシング層は、ポリマー層(PPMA、PEG等)又はセラミック層(SiO、Al、TiO等)とすることができる。対物レンズが例えば生物分子を観察するためのものである場合、サンプル自体がこのスペーシング層を構成することもでき、この場合、サンプルの脂質層、細胞膜等が、スペーシング層を形成することになる。後者の場合には、スペーシング層を備える支持体を使用する必要がなくなる。
【0041】
導電層の性質は重要ではない。導電層は例えば、金、銀、銅、アルミニウム、又は白金のような金属で構成してもよい。導電層は代わりに、半導体とすることもできる。この層は、連続的又は準連続的とするが、その厚さは重要ではない。連続的とは、層が、蛍光に関する支持体の活性表面を完全に覆っていることを意味する。準連続層は、非常に小さな不完全性(imperfection)を有し、支持体の活性表面の全体を完全には覆っていないような層である。
【0042】
導電層とスペーシング層との間の界面に存在するプラズモン励起現象は、蛍光放射のエネルギーの損失を引き起こし、その結果、検出される蛍光信号の減衰を引き起こす可能性がある。にもかかわらず、表面の粗さによるプラズモンと伝搬電磁波との間の結合は、このエネルギーを蛍光信号に移動させることができる。従って、支持体(1)は更に、そのような結合が生じるような粗い界面(15)を備えており、その結果として生じる増大蛍光信号が、検出手段(3)により検出されるようになる。この界面の粗さは、粗さの標準偏差∂によれば、0ではなく数十ナノメートルに匹敵すると規定され、パラメータλ及びΔλによれば、0ではなく数百ナノメートルに匹敵すると規定される。粗い表面の等方的でランダムな性質も、非常に重要である。なぜならば、スペクトル拡散(全ての方向に沿って存在する様々な空間周波数)は、入射ビームを表面と結合させ、サンプルの蛍光物質により放出された蛍光を、検出手段によりカバーされる(観測領域とされる)観測円錐全体にわたって向け直す方法であるからである。
【0043】
図6は、支持体(101)を表しており、当該支持体(101)では、粗い界面は導電層(113)の表面(115)となっている。導電層(113)の表面(115)が粗いような当該支持体(101)は、次のように形成することができる。
【0044】
支持体(101)は、基板(114)を備え、当該基板(114)上に、導電層(113)と、スペーシング層(112)と、サンプル(111)とが順々に堆積される。当該基板(114)は、スライドガラス又はシリコンウェハとすることができる。
【0045】
導電層(113)は、多くの様々な技法により形成することができる。例として、支持体の表面は、化学的又は機械的な侵食により粗くすることができ、その場合、導電材料の堆積は、熱蒸着、レーザーアブレーション、電気化学、スパッタリング等により行うことができる。支持体が既に導電性である場合には、専ら1つのステップでそれを粗くすることになる。
【0046】
次に、スペーシング層(112)は、この層が観察対象のサンプルに含まれていない場合、導電層を堆積するのに使用された方法と同様の方法により、この粗い表面(115)に堆積される。ポリマー層の場合、いわゆる「スピンコーティング」技法又は「浸漬コーティング」技法が利用可能である。
【0047】
特に、このような支持体は、約10−8torrの高真空下で準備可能である。先ず、厚さ60nmの銀の層の堆積が、清浄な顕微鏡スライド上に高温蒸着(300℃)により行われる。この数十ナノメートルの第1の堆積により、粗い下位層が生成される。厚さ60nmの銀の層の第2の堆積が、粗く連続的な導電層を形成するために低温(周囲温度)で行われる。粗い表面は、粗さの標準偏差∂によれば約20nmと規定され、粗さの平均空間周期λによれば約350nmと規定され、粗さの空間周期のレンジΔλによれば約600nm(200nmと800nmとの間)と規定されるような粗さを有する。次に、厚さ60nmのアルミナ(Al)の層が、パルスレーザーアブレーションにより、100のレーザショットに対して数ナノメートルという程度の堆積速度で堆積され、このようにしてスペーシング層が形成される。
【0048】
別の実施形態による図7の支持体(201)は更に、粗い表面(216)を有するスペーシング層(212)を有することになる。
【0049】
上記のタイプの蛍光検出デバイスは特に、サンプル中の蛍光物質をモニタするために使用されることになる。本発明は特に、湿式又は乾式バイオセンサ(例えばバイオチップ)に使用できるのに加え、生物学的又は医学的な画像(バクテリア、細胞、膜、生体分子、病気部分等)にも使用することができる。
【0050】
このタイプの蛍光検出デバイスは更に、信号の弱さによりしばしば制限されていた生物分子相互作用の研究にとって特に興味深い、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)等のエネルギー移動の研究にも使用可能である。即ち、支持体/蛍光物質相互作用が、電磁エネルギーの移動を変化させ、その結果、FRETタイプのプロセスを変化させる。このように、本発明による蛍光検出デバイスを使用すれば、当該プロセスを増強(enhance)することができる。
【0051】
蛍光検出デバイスは、透明なサンプルの厚さの測定にも使用可能である。
【0052】
蛍光信号の増大は、スペーシング層の厚さに依存する。透明なサンプルの厚さを測定するため、蛍光検出デバイスは、図8に示すタイプの支持体(301)を備えており、当該支持体(301)では、導電層(313)の表面(315)が粗くなっており、スペーシング層(312)は厚さ勾配を有するよう構成されており、この厚さが支持体の一端から他端へと増加している。透明なサンプルの厚さの測定量は、透明なサンプルのない支持体(301)と透明なサンプル(311)のある支持体(301)との間で検出された蛍光強度の最大変位から計算されることになる。
【0053】
このようなデバイスを使用する利点の1つは、特定のエリプソメータータイプの機器を使用する必要なしに、正確な厚さ測定がもたらされ得る点にある。
【0054】
読者は、多くの変形形態を、本明細書で説明された新しい情報及び利点を逸脱することなしに想到し得ることを理解するであろう。従って、このタイプの変形形態は全て、添付の特許請求の範囲に記載の蛍光検出デバイス及びその使用の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による蛍光検出デバイスの概略図を表す。
【図2】本発明で規定される粗い表面のプロファイルの断面図を表す。
【図3】原子間力顕微鏡により得られた、粗い表面のトポグラフィの画像である。
【図4】図3のトポグラフィ画像から得られたパワースペクトルの半径方向プロファイルを、空間周波数の関数として示す。
【図5】パワースペクトルの半径方向プロファイルを、空間周期の関数として示す。
【図6】蛍光検出デバイスの第1の好適な実施形態による支持体の断面図を表す。
【図7】蛍光検出デバイスの第2の好適な実施形態による支持体の断面図を表す。
【図8】蛍光検出デバイスの第3の好適な実施形態による支持体の断面図を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(11)を支持するための支持手段(1)と、前記サンプル(11)によって蛍光が放出されるようにするサンプル励起手段(2)と、前記蛍光を検出するための検出手段(3)とを備える蛍光検出デバイスであって、前記支持手段(1)は、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面(15)を有する層を備え、前記検出手段(3)は、複数の方向に向け直された前記蛍光を収集できるような観測円錐をカバーすることを特徴とする蛍光検出デバイス。
【請求項2】
前記観測円錐は、少なくとも10度の頂角により規定されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項3】
前記粗い表面(15)は、粗さの標準偏差(∂)により規定され、0ではなく、100nm未満であるような粗さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項4】
前記粗い表面(15)は、粗さの平均空間周期(λ)により規定される粗さを有し、前記粗さの平均空間周期(λ)は、前記粗い表面(15)のトポグラフィ画像のパワースペクトルの半径方向プロファイルから得られ、0ではなく、1000nm未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項5】
前記粗い表面(15)は、粗さの空間周期のレンジ(Δλ)により規定される粗さを有し、前記粗さの空間周期のレンジ(Δλ)は、前記粗い表面(15)のトポグラフィ画像のパワースペクトルの半径方向プロファイルから得られ、0ではなく、1500nm未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項6】
前記粗い表面(15)を有する前記層は、連続的又は準連続的であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項7】
前記粗い表面(115)を有する前記層は、導電層(113)であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項8】
前記導電層(113)は、金属層であることを特徴とする請求項7に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項9】
前記金属層は、銀、金、銅、アルミニウム、又は白金で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項10】
前記導電層(113)は、半導体であることを特徴とする請求項7に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項11】
前記導電層(113)の厚さは、20nmよりも大きいことを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項12】
前記支持手段(101)は、蛍光プロセスに伴う励起波長及び放出波長に対して透明なスペーシング層(112)を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項13】
前記スペーシング層(112)は、ポリマーの層であることを特徴とする請求項12に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項14】
前記スペーシング層(112)は、セラミック層であることを特徴とする請求項12に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項15】
前記スペーシング層(112)の厚さは、20nmよりも大きいことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項16】
前記スペーシング層(112)の厚さは、約60nmであり、前記導電層(113)の厚さは、約60nmであり、前記導電層(113)の表面の粗さは、粗さの標準偏差(∂)によれば約20nmと規定され、粗さの平均空間周期(λ)によれば約350nmと規定され、粗さの空間周期のレンジ(Δλ)によれば約600nmと規定されることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項17】
前記スペーシング層(312)は、厚さ勾配を有するよう構成されていることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項18】
前記スペーシング層(312)の厚さは、前記支持手段の第1の端部から前記支持手段の第2の端部へと増加することを特徴とする請求項17に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項19】
前記励起手段(2)は、照明円錐をカバーすることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイスの使用であって、サンプル中の蛍光物質をモニタするための前記蛍光検出デバイスの使用。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイスの使用であって、蛍光物質間エネルギー移動の研究のための前記蛍光検出デバイスの使用。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイスの使用であって、サンプルの厚さを測定するための前記蛍光検出デバイスの使用。
【請求項23】
請求項1から19のいずれか一項に記載の蛍光検出デバイス用のサンプル支持手段であって、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面を有する層を備えることを特徴とするサンプル支持手段。
【請求項24】
支持手段により支持されているサンプルを、前記サンプルにより蛍光が放出されるよう励起するステップと、
励起された前記サンプルにより放出された前記蛍光を検出するステップと、
を備える蛍光検出方法であって、
前記支持手段は、前記蛍光を複数の方向に向け直すような粗い表面を有する層を備え、前記蛍光検出ステップは、複数の方向に向け直された前記蛍光を収集できるような円錐内で観測を行うステップを備えることを特徴とする蛍光検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−532035(P2008−532035A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557624(P2007−557624)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000647
【国際公開番号】WO2006/092735
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】