説明

蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体およびリン酸アルケニル置換体

【課題】スフィンゴシンの細胞内での存在場所や代謝機構を解明するために有用な、リン酸エステル部分が加水分解されにくい、蛍光標識基部位を有するスフィンゴシン類縁体を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)


(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Zは蛍光標識基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とする蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体またはその許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスフィンゴ脂質の細胞内での挙動を解明するために有用な、蛍光標識基を導入したスフィンゴシン類縁体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴミエリンの代謝物であるスフィンゴ脂質は、細胞死、細胞増殖、細胞分化、プロテインキナーゼC阻害など様々な生体内情報伝達に関与していることから大きな注目を集めており、スフィンゴ脂質が関係する生体現象の解明が多くの研究者により積極的に行われている。
【0003】
そのスフィンゴ脂質の1つであるスフィンゴシンは主に酵母細胞に存在するが、これは哺乳動物細胞においてシグナル分子として知られているスフィンゴシンに対応しており、多くの研究が行われている。しかしながら、スフィンゴシンの細胞内での存在場所や発現に至る経路、作用機序などの情報は充分に得られていない。
【0004】
現在、この代謝機構を解明するものとして、C6−NBDフィトスフィンゴシンやC12−NBDフィトスフィンゴシンという化合物が市販されているが、これらは副鎖であるアシル基に蛍光標識基ユニットがあり、この部分は加水分解酵素により切断されるため、フィトスフィンゴシンが代謝されたフィトスフィンゴシン−1−リン酸の細胞内の局在場所や代謝物の挙動を解明するためには有用ではない。
【0005】
このような問題を解決するために代謝をうけない主鎖に蛍光標識基を導入した化合物も開発されている。例えば、特許文献1には、スフィンゴシン類縁体のアルキル基末端に蛍光標識基を導入した化合物が記載されている。また、特許文献2には、フィトスフィンゴシン類縁体のアルキル基末端に蛍光標識基を導入した化合物が記載されている。
【特許文献1】特開2003−261794号公報
【特許文献2】特開2004−269381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載されている化合物は細胞内でリン酸エステル部分が加水分解されるため、受容体との複合体の挙動観測が困難であるという問題を有している。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、スフィンゴシンの細胞内での存在場所や代謝機構を解明するために有用な、リン酸エステル部分が加水分解されにくい蛍光標識基部位を有するスフィンゴシン類縁体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体は、下記一般式(I)
【化1】

【0009】
(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Zは蛍光標識基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とするものである。
【0010】
上記一般式(I)で表される化合物は、塩基であるアミン部位と酸であるリン酸部位を分子内に含んでいるため、溶液中のpHや単離する時のpHによって、アミノ酸類のように分子内塩や溶液中の酸・塩基との分子間塩を形成することがあるが、本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体はこのような許容される塩も包むものである。これらの許容される分子間塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩などの酸性塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などの塩基性塩が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体は、蛍光標識基を代謝を受けないスフィンゴシンの主鎖に導入しているため、フィトスフィンゴシン−1−リン酸の細胞内の局在場所や代謝物の挙動を解明するのに有用である。また、本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体はリン酸エステル部分のリンと主鎖の炭素の結合が強固であって、細胞内でリン酸エステル部分が加水分解されにくいため、フィトスフィンゴシン−1−リン酸の受容体との複合体の挙動を解明するのにも有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体は、下記一般式(I)
【化2】

【0013】
(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Zは蛍光標識基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とする。
【0014】
本発明における低級アルキル基とは、枝分かれを有していてもよい炭素数1から8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等を例示することができる。
【0015】
本発明のアミノ基の保護基としては、公知のアミノ基の保護基がいずれも使用でき、たとえばメトキシカルボニル基、t−ブトキシキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-メトキシフェニル基等を挙げることができる。
【0016】
本発明の水酸基の保護基としては、公知の水酸基の保護基がいずれも使用でき、たとえばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、p−メトキシベンジル基、
等を例示することができる。
【0017】
とQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよく、QとQが一体となって環を形成している保護基の例としては、ジフェニルマレイミド環、フタルイミド環、ジチアコハク酸イミド環、テトラメチルジシラザシクロペンタン環、テトラメチルジシライソインドリン環等を例示することができる。
【0018】
2とQ、あるいはQとQが一体となって環を形成している保護基の例としては、オキサゾリジンノン環、ジメチルオキサゾリジン環等を例示することができる。
【0019】
本発明の蛍光標識基とは、アミノ基と結合することが可能な蛍光標識ユニットであれば何ら限定されることはなく、たとえば、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール基、7−ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール基、アントラセニル基、ダンシル基等を例示することができる。
【0020】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、公知の化合物からたとえば下記に示すメタセシス反応を利用し、水酸基やアミノ基を保護・脱保護することにより容易に製造することができる。
【化3】

【0021】
メタセシス反応には、既存の各種メタセシス触媒が好適に用いられるが、中でもルテニウムカルベン錯体が、反応効率の点で好ましい。
【0022】
メタセシス反応は反応に関与しない溶媒中で行うことが好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化溶媒等を例示することができる。
【0023】
メタセシス反応の反応温度は、0℃〜150℃の温度範囲から適宜選択することができるが、反応速度ならびに経済的観点から室温(20℃)〜80℃の範囲が好ましい。
以下、本発明を実施例および参考例によりさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0024】
(参考例1)
【化4】

【0025】
11-ヒドロキシ-1-ウンデセン(10.0 ml, 49.9 mmol)のTHF(100 ml)溶液に、0 ℃でトリエチルアミン(17.4 ml, 124.8 mmol)、メシルクロリド(5.79 ml, 74.9 mmol)を順次加え、10分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行い、11-メタンスルホニルオキシ-1-ウンデセンを得た。11-メタンスルホニルオキシ-1-ウンデセン(3.00g, 12.08 mmol)のDMF(24.2 ML)溶液に0 ℃でアジ化ナトリウム(1.178 g, 18.12 mmol)を加え、50 ℃で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに4.8%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、11-アジド-1-ウンデセンを得た(2.228 g, quant.)。11-アジド-1-ウンデセンの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0026】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ5.81 (tdd, J = 6.6, 10.3, 17.1 Hz, 1H), 4.99 (tdd, J = 1.5, 2.2, 17.1 Hz, 1H), 4.93 (tdd, J = 1.2, 2.2, 10.3 Hz, 1H), 3.25 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.60 (m, 2H), 1.28 - 1.45(m, 14H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ139.2, 114.1, 51.5, 33.8, 29.4, 29.3, 29.11, 29.06, 28.9, 28.8, 26.7
【0027】
(参考例2)
【化5】

【0028】
11-アジド-1-ウンデセン(11.49 g, 58.72 mmol)のTHF(147 ml)、水(14.7 ml)溶液に室温でトリフェニルホスフィン(23.98 g, 88.08 mmol)を加え、60 ℃で12時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣を減圧蒸留(2 mmHg, 86 - 87 ℃)により精製し、11-アミノ-1-ウンデセンを得た(8.29 g, 83% yield)。11-アミノ-1-ウンデセンのIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0029】
IR (NaCl neat): 3296, 2924, 2854, 1642, 1462, 993, 909 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ5.81 (tdd, J = 6.8, 10.3, 17.1 Hz, 1H), 4.99 (tdd, J = 1.5, 2.2, 17.1 Hz, 1H), 4.93 (tdd, J = 1.2, 2.2, 10.3 Hz, 1H), 2.68 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.28 - 1.45(m, 14H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ139.2, 114.1, 42.3, 33.9, 33.8, 29.6, 29.5, 29.4, 29.1, 28.91, 26.87
【0030】
(参考例3)
【化6】

【0031】
11-アミノ-1-ウンデセン(3.00 g, 17.72 mmol)のTHF溶液に0 ℃で4-クロロ-7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール(3.536 g, 17.72 mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに9%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、11-[(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ]-1-ウンデセンを得た(3.56 g, 60% yield)。11-[(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ]-1-ウンデセンのIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0032】
IR (KBr disk): 3418, 3324, 2924, 2855, 1622, 1561, 1300, 1258, 1111 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.50 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.19 (br m, 1H), 6.17 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.81 (tdd, J = 6.8, 10.3, 17.1 Hz, 1H), 4.96 (tdd, J = 1.5, 2.2, 17.1 Hz, 1H), 4.93 (tdd, J = 1.2, 2.2, 10.3 Hz, 1H), 3.49 (m, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.81 (tt, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.30 - 1.51(m, 12H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ144.1, 144.0, 143.7, 138.9, 136.7, 123.0, 113.9, 98.5, 44.0, 33.6, 29.20, 29.15, 29.0, 28.8, 28.7, 28.3, 26.7
【0033】
(参考例4)
【化7】

【0034】
p-メトキシ安息香酸(0.94 g, 9.39 mmol)のトルエン(18.8 ml)溶液に室温でジフェニルリン酸アジド(DPPA)(2.23 ml, 10.33 mmol)、トリエチルアミン(1.44 ml, 10.33 mmol)を順次加え、10分間攪拌した後、(3R, 4S)-4,5-エポキシ-3-ヒドロキシ-1-ペンテン(1.50 g, 9,86 mmol)を加え、100 ℃に昇温し、1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに17〜25%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、((3R,4S)-4,5-エポキシ-1-ペンテン-3-イル)p-メトキシフェニルカルバメートを得た(1.829 g, 78% yield)。(3R,4S)-4,5-エポキシ-1-ペンテン-3-イル)p-メトキシフェニルカルバメートの比旋光度、IR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0035】
[α]D23.0 +23.9 (c = 0.82, CHCl3)
IR (KBr disk): 3333, 2955, 1701, 1597, 1526, 1231, 1051 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.28 (md, J = 8.1 Hz, 2H), 6.85 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 6.58 (brm, 1H), 5.84 (ddd, J = 6.8, 10.5, 17.3 Hz, 1H), 5.45 (md, J = 17.3 Hz, 1H), 5.35 (md, J = 10.5 Hz, 1H), 5.29 (m, 1H), 3.18 (ddd, J = 2.7, 3.9, 3.9 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 4.2, 4.9 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 2.7, 4.9 Hz, 1H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ156.2, 142.8, 131.7, 129.3, 120.7, 120.0, 114.3, 74.5, 44.5, 52.1, 44.8.
【0036】
(参考例5)
【化8】

【0037】
((3R,4S)-4,5-エポキシ-1-ペンテン-3-イル)p-メトキシフェニルカルバメート (13.88 g, 55.69 mmol)のTHF(111 ml)、DMF(11 ml)溶液に0 ℃で水素化ナトリウム(0.267 g, 11.14 mmol)を加え、45分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに33〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、(4R,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンを得た(13.68g, 99% yield)。(4R,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンの比旋光度、IR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0038】
[α]D23.5 +5.8 (c = 0.82, CHCl3)
IR (KBr disk): 3319, 2909, 1721, 1611, 1518, 1426, 1254, 1155, 1030 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.30 (md, J = 8.8 Hz, 2H), 6.93 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 6.01 (ddd, J = 6.3, 10.5, 17.3 Hz, 1H), 5.54 (ddd, J = 0.98, 0.98, 17.3 Hz, 1H), 5.39 (ddd, J = 0.98, 0.98, 10.5 Hz, 1H), 5.01 (m, 1H), 4.02 (ddd, J = 2.7, 4.1, 6.1 Hz, 1H), 3.81 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.67 (ddd, J = 2.7, 6.6, 12.0 Hz, 1H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ157.9, 134.3, 128.9, 125.2, 125.1, 118.9, 114.6, 76.3, 64.0, 59.6, 55.5
【0039】
(参考例6)
【化9】

【0040】
(4R,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン (0.500 g, 2.01 mmol)の塩化メチレン(20.1 ml)溶液に-78 ℃で2,6-ルチジン(0.304 ml, 2.61 ml)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.439 ml, 2.61 mmol)を順次加え、10分間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに17〜50%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、(4S,5R)-4-トリフルオロメタンスルホニルオキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンを得た(0.743 g, 97% yield)。(4S,5R)-4-トリフルオロメタンスルホニルオキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンのIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0041】
IR (KBr disk): 3449, 1732, 1516, 1410, 1248, 1221, 1150 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.26 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 6.95 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 6.01 (ddd, J = 6.6, 10.5, 17.1 Hz, 1H), 5.59 (ddd, J = 0.73, 1.2, 17.1 Hz, 1H), 5.48 (ddd, J = 0.73, 0.98, 10.5 Hz, 1H), 4.92 (dddd, J = 0.98, 1.2, 5.6, 6.3 Hz, 1H), 4.54 (dd, J = 4.6, 11.0 Hz, 1H), 4.50 (dd, J = 3.2, 11.0 Hz, 1H), 4.26 (ddd, J = 3.2, 4.6, 5.4 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ158.6, 154.9, 132.9, 127.6, 125.4, 120.5, 75.7, 71.5, 61.3, 55.5
【0042】
(参考例7)
【化10】

【0043】
メチルホスホン酸ジメチル(3.19 ml, 29.41 mmol)のTHF(46 ml)溶液に-78 ℃でn-ブチルリチウムの1.6Nヘキサン溶液(17.4 ml, 28.86 mmol)を滴下し、同温で30分間攪拌した後、同温で(4S,5R)-4-トリフルオロメタンスルホニルオキシメチル-3-p-メトキシフェニル-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン (5.903 g, 15.48 mmol)のTHF(46 ml)溶液を滴下し、10分間攪拌した。反応混合物に反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜4%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、[2-((4R,5R)-3-p-メトキシフェニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルを得た(3.957 g, 72% yield)。[2-((4R,5R)-3-p-メトキシフェニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルの比旋光度、IR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0044】
[α]D23.5 -4.1 (c = 1.06, CHCl3)
IR (KBr disk): 3015, 2955, 1748, 1516, 1429, 1408, 1242, 993, 820 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.29 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 6.93 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 5.98 (ddd, J = 6.6, 10.5, 17.1 Hz, 1H), 5.53 (ddd, J = 0.73, 1.2, 17.1 Hz, 1H), 5.41 (ddd, J = 0.73, 0.98, 10.5 Hz, 1H), 4.65 (dddd, J = 0.98, 1.2, 5.6, 6.6 Hz, 1H), 4.11 (ddd, J = 3.9, 5.6, 6.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.69 (d, J = 10.7 Hz, 3H), 3.67 (d, J = 11.0 Hz, 3H), 1.91 - 2.02 (m, 2H), 1.64 - 1.73 (m, 2H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ157.6, 155.2, 134.1, 128.8, 124.6, 119.4, 114.5, 78.2, 61.7 (d, Jc-p = 17.4 Hz), 55.3, 52.4 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 52.3 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 24.3 (d, Jc-p = 4.1 Hz), 19.0 (d, Jc-p = 143.9 Hz)
【0045】
(参考例8)
【化11】

【0046】
[2-((4R,5R)-3-p-メトキシフェニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステル (0.100 g, 0.281 mmol)のアセトニトリル(4.3 ml), 水(1.4 ml)に、-15 ℃で硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(CAN)(0.617 g, 1.126 mmol)を加え、7分間攪拌した。反応混合物に飽和食塩水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜9%のメタノールを溶かしたもの)により粗精製し、[2-((4R,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルを得た(0.059 g, 84% yield)。[2-((4R,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0047】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ6.58 (br d, 5.1 Hz, 1H), 5.90 (ddd, J = 6.8, 10.3, 17.1 Hz, 1H), 5.44 (ddd, J = 0.73, 0.98, 17.1 Hz, 1H), 5.35 (md, J = 10.3 Hz, 1H), 4.55 (mdd, J = 6.6, 6.6 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 11.0 Hz, 3H), 3.77 (d, J = 10.8 Hz, 3H), 3.63 (m, 1H), 1.81 - 1.97 (m, 4H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ158.6, 133.8, 119.4, 82.4, 58.22 (d, Jc-p = 14.1 Hz), 52.7 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 52.6 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 27.5 (d, Jc-p = 5.0 Hz), 21.0 (d, Jc-p = 143.9 Hz)
【0048】
(参考例9)
【化12】

【0049】
[2-((4R,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステル (0.423 g, 1.69 mmol)の塩化メチレン(17.0 ml)溶液に0 ℃でジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.104 g, 0.849 mmol)、トリエチルアミン(0.473 ml, 3.39 mmol)、ジ-t-ブチルジカーボネート(Boc2O)(0.443 g, 2.546 mmol)を順次加え、30分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜2%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、[2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルを得た(0.363 g, 61% yield)。[2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルのIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0050】
IR (NaCl neat): 2982, 1817, 1725, 1372, 1327, 1256, 1159cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ5.87 (ddd, J = 6.1, 10.5, 17.1 Hz, 1H), 5.46 (ddd, J = 0.73, 1.2, 17.1 Hz, 1H), 5.36 (md, J = 10.5 Hz, 1H), 4.56 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 3.76 (d, J = 11.0 Hz, 6H), 2.06 - 2.17 (m, 2H), 1.71 - 1.81 (m, 2H), 1.55 (s, 9H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ151.3, 149.2, 133.5, 119.2, 84.4, 77.5, 59.8 (d, Jc-p = 18.2 Hz), 52.6 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 52.6 (d, Jc-p = 5.8 Hz), 27.9, 25.7 (d, Jc-p = 4.1 Hz), 19.7 (d, Jc-p = 144.8 Hz)
【0051】
(参考例10)
【化13】

【0052】
[(1R,2R)-1-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-2-ヒドロキシブタ-3-エニル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(7.304 g, 22.03 mmol)のTHF(110 ml)溶液に0℃で水素化ナトリウム(793 mg, 33.05 mmol)を加え、50℃に昇温し2時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに13〜50%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン(5.264 g, 93% yield)を得た。(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0053】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ5.90 (ddd, J = 6.8, 10.6, 17.2 Hz, 1H), 5.49 (ddd, J = 1.0, 2.1, 17.2 Hz, 1H), 5.37 (ddd, J = 1.2, 2.0, 10.6 Hz, 1H), 5.09 (m, 1H), 3.89 (ddd, J = 4.3, 7.5, 8.1 Hz, 1H), 3.59 (dd, J = 4.3, 10.3 Hz, 1H), 3.54 (dd, J = 7.4, 10.3 Hz, 1H), 0.89 (s, 9H), 0.061 (s, 3H), 0.057 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ158.7, 130.3, 120.2, 78.8, 62.4, 56.9, 25.7, 18.1, -5.5.
【0054】
(参考例11)
【化14】

【0055】
(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン (7.365 g, 28.65 mmol)のTHF(150 ml)溶液に0℃で水素化ナトリウム(1.719 g, 42.98 mmol)を加え30分撹拌した後4-メトキシベンジルクロリド(5.83 ml, 43.0 mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(21.267 g, 57.306 mmol)を順次加え、室温で13時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに7〜25%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン(10.882 g, quant.)を得た。(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0056】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ7.23 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 6.87 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 5.99 (ddd, J = 7.1, 10.6, 17.4 Hz, 1H), 5.41 (ddd, J = 1.1, 1.2, 17.4 Hz, 1H), 5.34 (ddd, J = 0.9, 1.1, 10.5 Hz, 1H), 4.89 (m, 1H), 4.89 (m, 1H), 4.85 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.68 (m, 1H), 3.55 - 3.62 (m, 2H), 0.90 (s, 9H), 0.070 (s, 3H), 0.053 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ159.3, 158.1, 131.5, 129.4, 128.3, 120.3, 114.1, 77.6, 59.2, 58.5, 55.3, 45.9, 25.7, 18.0, -5.7.
【0057】
(参考例12)
【化15】

【0058】
(4R,5R)-4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシメチル)-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン (10.731 g, 28.426 mmol)のMeOH(150 ml)溶液に0℃で2N-HCl(57 ml)を加え、室温で12時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに33〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、(4S,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン(7.447 g, 99% yield)を得た。(4S,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オンの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0059】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ7.26 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 6.88 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 6.05 (ddd, J = 6.9, 10.5, 17.2 Hz, 1H), 5.50 (md, J = 17.2 Hz, 1H), 5.40 (md, J = 10.6 Hz, 1H), 4.94 (mdd, J = 7.1, 8.0 Hz, 1H), 4.72 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.62 - 3.74 (m, 3H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ159.4, 158.1, 131.4, 129.4, 128.3, 120.5, 114.3, 77.3, 59.2, 58.8, 55.3, 46.2.
【0060】
(参考例13)
【化16】

【0061】
(4S,5R)-4-ヒドロキシメチル-3-(4-メトキシベンジル)-5-ビニルオキサゾリジン-2-オン (1.900 g, 7.216 mmol)の塩化メチレン(35 ml)溶液に-78℃で2,6-ルチジン(1.01 ml, 8.66 mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.46 ml, 8.66 mmol)を順次加え、10分間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、中和した後クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに20〜33%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、トリフルオロメタンスルホン酸(4R,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イルメチルエステル(2.935 g, quant.)を得た。トリフルオロメタンスルホン酸(4R,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イルメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0062】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ7.23 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 6.90 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 5.85 (ddd, J = 6.4, 10.8, 17.1 Hz, 1H), 5.57 (ddd, J = 1.2, 1.2, 17.1 Hz, 1H), 5.50 (ddd, J = 1.2, 1.2, 10.8 Hz, 1H), 5.00 (dddd, J = 1.1, 1.2, 6.4, 8.5 Hz, 1H), 4.85 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 4.48 (dd, J = 4.8, 10.8 Hz, 1H), 4.39 (dd, J = 4.8, 10.8 Hz, 1H), 4.10 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 3.89 (td, J = 4.6, 8.2 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ159.7, 156.9, 129.6, 129.0, 126.9, 122.0, 118.4 (q, JC-F = 320.1 Hz), 71.7, 55.8, 55.3, 46.5.
【0063】
(参考例14)
【化17】

【0064】
メチルホスホン酸ジメチル(2.35 ml, 21.65 mmol)のTHF(35 ml)溶液に-78℃で1,6N n-ブチルリチウム(13.5 ml, 21.65 mmol)を滴下し、同温で30分間撹拌した。この混合物を-78℃に冷却したトリフルオロメタンスルホン酸(4R,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イルメチルエステル(2.935 g, 7.216 mmol)のTHF(35 ml)溶液中にTLCにて原料がほぼ消失するまで滴下した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜1.3%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、{2-[(4S,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル]-エチル}-ホスホン酸ジメチルエステル(1.826 g, 69% for 2 steps)を得た。{2-[(4S,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル]-エチル}-ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0065】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ7.23 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 6.88 (md, J = 8.7 Hz, 2H), 5.90 (ddd, J = 6.8, 10.5, 17.2 Hz, 1H), 5.51 (ddd, J = 1.1, 1.2, 17.2 Hz, 1H), 5.44 (mdd, J = 1.1, 10.5, Hz, 1H), 4.88 (mdd, J = 7.1, 7.8 Hz, 1H), 4.80 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 3.97 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.71 (d, J = 11.0 Hz, 3H), 3.70 (d, J = 10.7 Hz, 3H), 3.66 (dt, J = 3.2, 7.8 Hz, 1H), 1.75 - 1.95 (m, 2H), 1.59 - 1.68 (m, 2H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ159.3, 157.5, 130.2, 129.4, 127.5, 121.0, 114.2, 77.7, 56.6 (d, JC-P = 17.7 Hz), 52.45 (d, JC-P = 6.8 Hz), 52.40 (d, JC-P = 6.8 Hz), 45.6, 20.6, 19.9 (d, JC-P = 140 Hz).
【0066】
(参考例15)
【化18】

【0067】
{2-[(4S,5R)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル]-エチル}-ホスホン酸ジメチルエステル(2.733 g, 7.399 mmol)のアセトニトリル(22 ml)、水(7.4 ml)溶液中に0℃で硝酸二アンモニウムセリウム(12.170 g, 22.198 mmol)を加え同温で10分間撹拌した。反応混合物に飽和食塩水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜4.8%のメタノールを溶かしたもの)により2回精製し、[2-((4S,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)-エチル]-ホスホン酸ジメチルエステル(1.482 g, 80% yield)を得た。[2-((4S,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)-エチル]-ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0068】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ7.41 (brm, 1H), 5.90 (ddd, J = 6.9, 10.5, 17.2 Hz, 1H), 5.48 (mdd, J = 1,2, 17.2 Hz, 1H), 5.41 (mdd, 0.9, 10.5 Hz, 1H), 5.07 (dd, J = 7.4, 7.8 Hz, 1H), 3.94 (m, 1H), 3.75 (d, J = 10.8 Hz, 3H), 3.74 (d, J = 10.7 Hz, 3H), 1.65 - 2.13 (m, 4H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ158.9, 130.4, 120.6, 80.2, 55.8 (d, Jc-p = 13.4 Hz), 52.7 (d, Jc-p = 6.2 Hz), 52.7 (d, Jc-p = 6.3 Hz), 24.4 (d, Jc-p = 4.8 Hz), 21.2 (d, Jc-p = 142.8 Hz).
【0069】
(参考例16)
【化19】

【0070】
[2-((4S,5R)-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)-エチル]-ホスホン酸ジメチルエステル (320 mg, 1.28 mmol)の塩化メチレン(13 ml)溶液に0℃で4-ジメチルアミノピリジン(78 mg, 0.64 mmol)トリエチルアミン(0.36 ml, 2.57 mmol)、Boc2O(420 mg, 1.93 mmol)を順次加え、20分間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え中和した後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜1%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、(4S,5R)-4-[2-(ジメトキシホスホリル)-エチル]-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステル(420 mg, 94% yield)を得た。(4S,5R)-4-[2-(ジメトキシホスホリル)-エチル]-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0071】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ5.90 (ddd, J = 6.6, 10.8, 17.2 Hz, 1H), 5.58 (md, J = 17.2 Hz, 1H), 5.51 (md, J = 10.8, Hz, 1H), 5.00 (m, 1H), 4.35 (dt, J = 4.8, 6.6 Hz, 1H), 3.741 (d, J = 10.8 Hz, 3H), 3.737 (d, J = 10.8 Hz, 3H), 2.02 - 2.14 (m, 1H), 1.84 - 1.97 (m, 1H), 1.70 - 1.82 (m, 2H), 1.55 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ151.3, 149.2, 129.0, 121.9, 84.3, 77.8, 58.1 (d, Jc-p = 20.1 Hz), 52.5 (d, Jc-p = 6.7 Hz), 52.46 (d, Jc-p = 6.7 Hz), 27.9, 22.5 (d, Jc-p = 3.8 Hz), 20.6 (d, Jc-p = 142.8 Hz).
【0072】
(参考例17)
【化20】

【0073】
(4S,5R)-4-[2-(ジメトキシホスホリル)-エチル]-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステル(100 mg, 0.286 mmol)のメタノール(2.9 ml)溶液に室温で炭酸カリウム(0.198 g, 1.431 mmol)を加え、12分間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜2%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、(3S,4R)-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシヘキサ-5-エニル)ホスホン酸ジメチルエステル(59 mg, 64% yield)を得た。(3S,4R)-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシヘキサ-5-エニル)ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0074】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ5.86 (ddd, J = 5.5, 10.5, 17.2 Hz, 1H), 5.36 (ddd, J = 1.4, 1.6, 17.2 Hz, 1H), 5.23 (ddd, J = 1.4, 1.4, 10.5 Hz, 1H), 5.13 (brd, J = 9.2 Hz, 1H), 4.23 (m, 1H), 3.73 (d, J = 10.8 Hz, 6H), 3.67 (m, 1H), 2.22 (brm, 1H), 1.60 - 1.92 (m, 4H), 1.45 (s, 9H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ156.5, 136.9, 116.8, 79.8, 75.1, 55.4 (d, Jc-p = 16.3 Hz), 52.4 (d, Jc-p = 6.7 Hz), 28.3, 22.4, 21.5 (d, Jc-p = 142.3 Hz).
【0075】
(実施例1)
【化21】

【0076】
[2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステル (0.05 g, 0.143 mmol)の塩化メチレン(2.9 ml)溶液に11-[(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ]-1-ウンデセン (0.143 g, 0.429 mmol)、1,3-(ビス(メシチル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(Grubbs 2nd catalyst:0.004 g, 0.004 mmol)を順次加え、2時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜4%のメタノールを溶かしたもの)により粗精製し、(2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-5-[11-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ウンデカ-1-エニル]-2-オキソオキサゾリジン-4-イル)エチル)ホスホン酸ジメチルエステルを[2-(3-t-ブトキシカルボニル-2-オキソ-5-ビニルオキサゾリジン-4-イル)エチル] ホスホン酸ジメチルエステルとの混合物として得た(0.089 g)。(2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-5-[11-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ウンデカ-1-エニル]-2-オキソオキサゾリジン-4-イル)エチル)ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0077】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.50 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.59 (br m, 1H), 6.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.87 (td, J = 6.8, 14.9 Hz, 1H), 5.49 (dd, J = 7.1, 15.6 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 3.7, 7.1 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.76 (d, J = 10.7 Hz, 6H), 3.50 (m, 2H), 1.70 - 2.14 (m, 6H), 1.55 (s, 9H), 1.29 - 1.47 (m, 14 H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ151.5, 149.3, 144.3, 144.0, 137.5, 136.5, 125.5, 98.4, 84.3, 78.1, 60.1 (d, Jc-p = 18.2 Hz), 52.6 (m), 44.0, 31.9, 29.2, 29.1, 29.0, 28.8, 28.4, 28.3, 27.9, 26.8, 27.9, 25.5 (d, Jc-p = 4.1 Hz), 19.6 (d, Jc-p = 144.7 Hz)
【0078】
(実施例2)
【化22】

【0079】
(2-((4R,5R)-3-t-ブトキシカルボニル-5-[11-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ウンデカ-1-エニル]-2-オキソオキサゾリジン-4-イル)エチル)ホスホン酸ジメチルエステル (0.374 g, 0.572 mmol)のMeOH(5.7 ml)溶液に0 ℃で炭酸カリウム(0.395 g, 2.861 mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに9〜17%のアセトンを溶かしたもの)により精製し、[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルを得た(0.133 g, 37% yield)。[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0080】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.48 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.08 (br m, 1H), 6.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.71 (td, J = 7.1, 15.5 Hz, 1H), 5.47 (dd, J = 6.6, 15.6 Hz, 1H), 5.01 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.73 (d, J = 10.7 Hz, 6H), 3.50 - 3.59 (m, 3H), 2.01 (m, 2H), 1.78 - 1.91 (m, 4H), 1.43 (s, 9H), 1.28 - 1.38 (m, 14 H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz)δ156.3, 144.2, 143.9, 136.6, 133.4, 129.4, 98.4, 79.2, 73.7, 55.3 (d, Jc-p = 17.4 Hz), 52.4 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 52.3 (d, Jc-p = 6.6 Hz), 45.7, 44.0, 32.1, 29.2, 29.1, 29.0, 28.9, 28.8, 28.3, 26.8, 24.8 (m), 21.2 (d, Jc-p = 141.4 Hz)
【0081】
(実施例3)
【化23】

【0082】
[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステル (0.077 g, 0.123 mmol)のDMF(1.23 ml)溶液に室温でイミダゾール(0.017 g, 0.246 mmol)、クロロトリエチルシラン(0.031 ml, 0.185 mmol)を加え、10分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トリエチルアミン3%を含むヘキサンに50〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-トリエチルシリルオキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルを得た(0.092 g, quant.)。[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-トリエチルシリルオキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルのIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0083】
IR (KBr disk): 3221, 2926, 2855, 1620, 1588, 1302, 1273, 1036, 816 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.48 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.89 (br m, 1H), 6.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.61 (td, J = 6.6, 15.1 Hz, 1H), 5.39 (dd, J = 7.1, 15.1 Hz, 1H), 4.65 (br d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.07 (m, 1H), 3.73 (d, J = 10.7 Hz, 6H), 3.52 (m, 3H), 2.00 (m, 2H), 1.59 - 1.90 (m, 6H), 1.43 (s, 9H), 1.29 - 1.48 (m, 12 H), 0.93 (t, J = 7.8 z, 9H), 0.58 (m, 6H)
13C NMR (CDCl3, 100 MHz)δ155.9, 144.22, 144.15, 143.9, 136.5, 133.0, 129.6, 123.4, 98.4, 79.0, 74.8, 56.0 (d, Jc-p = 18.2 Hz), 52.3 (d, Jc-p = 5.8 Hz), 44.0, 32.0, 29.3, 29.2, 29.1, 29.0, 28.8, 28.4, 28.3, 26.9, 25.0, 21.6 (d, Jc-p = 141.4 Hz), 6.73, 4.87
【0084】
(実施例4)
【化24】

【0085】
[(3R,4R,5E)-3-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-トリエチルシリルオキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステル (0.032 g, 0.043 mmol)の塩化メチレン(0.86 ml)溶液に0 ℃でトリフルオロ酢酸(0.129 ml)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに9〜26.6%のメタノールと4.3%の水を加えたもの)により粗精製し、[(3R,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルを得た(0.010 g, 44% yield)。[(3R,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMRデータを以下に示す。
【0086】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ8.50 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.73 (m, J = 1H), 5.44 (dd, J = 7.6, 15.4 Hz, 1H), 3.80 (m, 1H), 3.74 (d, J = 10.7 Hz, 6H), 3.52 (m, 2H), 2.82 - 3.02 (m, 1H), 2.68 (br m, 1H), 2.05 (m, 2H), 1.79 (m, 2H), 1.32 - 2.05 (m, 18 H)
【0087】
(実施例5)
【化25】

【0088】
[(3R,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸ジメチルエステル(0.03 g, 0.040 mmol)のアセトニトリル(1.0 ml)溶液に0 ℃でブロモトリメチルシラン(0.054 ml, 0.404 mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に室温でメタノール(1.5 ml)を加え、同温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を逆相シリカゲルクロマトグラフィー(メタノールに33%の水を加えたもの)により粗精製し、[(3R,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸を得た(0.023 g, quant.)。これを逆相HPLC(溶離液:メタノールに9%の水を加えたもの、流速:2 ml/min、保持時間:7分、カラム:Develosil C8-5 (250 x 10 mmI.D.)、検出波長:220nm)により精製した( 0.018 g, 78% yield)。[(3R,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)ペンタデカ-5-エニル]ホスホン酸のIR、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0089】
IR (KBr disk): 3455, 2930, 1655, 1588, 1402, 1298, 1256 1088 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ8.53 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.83 (dtd, J = 0.98, 6.8, 15.4 Hz, 1H), 5.44 (tdd, J = 1.5, 7.3, 15.4 Hz, 1H), 3.99 (m, 1H), 3.74 (d, J = 10.7 Hz, 6H), 3.52 (m, 2H), 3.04 (m, 1H), 2.08, (m, 2H), 1.92 - 2.04 (m, 1H), 1.58 - 1.82 (m, 5H), 1.32 - 1.48 (m, 12 H)
13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ145.6, 137.2, 135.8, 128.2, 123.5, 98.2, 71.3, 56.3(d, Jc-p = 14.1 Hz), 43.4, 31.9, 29.1, 29.0, 28.90, 28.88, 28.6, 27.8, 26.6, 24.7, 24.6, 26.6, 23.1 (d, Jc-p = 3.3 Hz), 23.0 (d, Jc-p = 142.3 Hz)
【0090】
(実施例6)
【化26】

【0091】
(3S,4R)-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシヘキサ-5-エニル)ホスホン酸ジメチルエステル(258 mg, 0.797 mmol)の塩化メチレン(8.0 ml)溶液に室温で11-[(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ]-1-ウンデセン(1.061 g, 3.19 mmol)、1,3-(ビス(メシチル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(Grubbs 2nd catalyst) (24 mg, 0.024 mmol)を加え、40℃で3時間還流した。反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルムに0〜2%のメタノールを溶かしたもの)により精製し、[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステル(428 mg, 85% yield)を得た。[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0092】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ8.49 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.76 (brm, 1H), 6.18 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.72 (td, J = 6.6, 15.6 Hz, 1H), 5.45 (dd, J = 15.3 Hz, 1H), 4.92 (brd, J = 8.5 Hz, 1H), 4.15 (m, 1H), 3.74 (d, J = 11.0 Hz, 6H), 3.63 (m, 1H), 3.50 (td, J = 6.4, 6.4 Hz, 2H), 2.04 (dt, J = 6.6, 6.9 Hz, 2H), 1.60 - 1.92 (m, 8H), 1.44 (s, 9H), 1.29 - 1.48 (m, 12H).
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ156.4, 144.3, 144.09, 143.95, 136.6, 134.1, 228.5, 123.6, 98.5, 79.7, 75.1, 55.7 (d, Jc-p = 13.4 Hz), 52.4 (d, Jc-p = 6.7 Hz), 44.0, 32.2, 29.20, 29.16, 29.1, 28.9, 28.3, 26.8, 22.5, 21.4 (d, Jc-p = 142.8 Hz).
【0093】
(実施例7)
【化27】

【0094】
[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステル(428 mg, 0.682 mmol)のDMF(6.8 ml)溶液に室温でイミダゾール(139 mg, 2.05 mmol)、クロロトリエチルシラン(0.173 ml, 1.02 mmol)を順次加え、10分間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トリエチルアミン3%を含むヘキサンに33〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの)により精製し、[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-トリエチルシロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステル(407 mg, 80% yield)を得た。[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-トリエチルシロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステルの1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0095】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz), δ8.49 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.81 (brm, 1H), 6.18 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.63 (td, J = 6.9, 15.4 Hz, 1H), 5.38 (dd, J = 6.9, 15.4 Hz, 1H), 4.66 (brd, J = 8.7 Hz, 2H), 4.17 (m, 1H), 3.74 (d, J = 10.7 Hz, 3H), 3.73 (d, J = 10.8 Hz, 3H), 3.46 - 3.51 (m, 3H), 2.01 (m, 2H), 1.57 - 1.92 (m, 10H), 1.43 (s, 9H), 1.29 - 1.51 (m, 10H), 0.93 (t, J = 7.8 Hz, 9H), 0.57 (q, J = 7.8 Hz, 6H),
13C NMR (CDCl3, 100 MHz), δ155.9, 144.4, 144.2, 144.1, 136.7, 133.1, 129.9, 123.5, 98.4, 79.4, 75.6, 56.3 (d, JC-P = 16.3 Hz), 52.4 (d, JC-P = 6.7 Hz), 44.2, 32.1, 29.4, 29.3, 29.2, 29.03, 28.96, 28.4, 27.0, 21.5 (d, JC-P = 141.8 Hz), 21.5, 6.88, 4.96.
【0096】
(実施例8)
【化28】

【0097】
[(3S,4R,5E)-3-tert-ブトキシアルボニルアミノ-4-トリエチルシロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸ジメチルエステル(407 mg, 0.549 mmol)の塩化メチレン(5.5 ml)溶液に室温でブロモトリメチルシラン(0.72 ml, 5.49 mmol)を加え、50分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にメタノール(5.5 ml)を加え、30分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を逆相シリカゲルクロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸1%を含む水に25〜50%のメタノールを溶かしたもの)により粗精製し、[(3S,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸(289 mg, 85% yield)を得た。[(3S,4R,5E)-3-アミノ-4-ヒドロキシ-15-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ベンタデカ-5-エニル]-ホスホン酸の1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0098】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz), δ8.42 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.26 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.86 (td, J = 6.6, 15.3 Hz, 1H), 5.48 (dd, J = 6.6, 15.4 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 4.3, 5.7 Hz, 1H), 3.48 (m, 2H), 3.30 (m, 1H), 2.07 (td, J = 6.8, 6.8 Hz, 2H), 1.81 - 2.06 (m, 4H), 1.75 (tt, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.28 - 1.46 (m, 12H).
13C NMR (CD3OD, 100 MHz), δ146.5, 145.6, 145.3, 138.5, 136.9, 122.5, 99.6, 72.3, 57.5 (d, JC-P = 15.3 Hz), 44.8, 33.4, 30.52, 30.45, 30.33, 30.30, 30.1, 29.2, 28.0, 24.7 (d, JC-P = 138.9 Hz), 23.2.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Zは蛍光標識基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とする蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体またはその許容される塩。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Zは蛍光標識基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とする蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸メチレン置換体またはその許容される塩。
【請求項2】
下記一般式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは水素原子または低級アルキル基であり、QおよびQは水素原子またはアミノ基の保護基であり、Qは水素原子または水酸基の保護基である。QとQ、Q2とQあるいはQとQはそれぞれ一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とするリン酸アルケニル置換体。

【公開番号】特開2006−257069(P2006−257069A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281750(P2005−281750)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000180586)株式会社ケミクレア (20)
【出願人】(503092180)学校法人関西学院 (71)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】