説明

蛍光温度センサ

【課題】簡易かつ確実に蛍光材料の緩和時間を算出することができ、測定精度を維持しつつ応答性を高めることができる蛍光温度センサを提供する。
【解決手段】蛍光温度センサは、光励起された蛍光材料1が発する蛍光を受光するフォトダイオード4と、フォトダイオード4の出力信号を第1のサンプリング周期でサンプリングした第1のデジタルデータに対して、該第1のデジタルデータを第1のサンプリング周期以上の第2のサンプリング周期でリサンプリングした第2のデジタルデータから蛍光材料1の緩和時間τを算出する緩和時間算出手段53と、算出された緩和時間τに対応した温度信号を生成する温度信号生成手段54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光励起された蛍光材料の蛍光から温度信号を生成する蛍光温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蛍光温度センサとしては、特許文献1に示すように、光励起された蛍光材料の蛍光の減衰特性を光検出器で検出し、この減衰特性と蛍光材料の温度との関係から温度を算出するものが知られている。
【0003】
具体的にかかる蛍光温度センサでは、蛍光材料の蛍光強度Iと経過時間tとが、基準発光強度I0、緩和時間τで表される以下の関係式 I=I0−t/τ を満たすことから、該関係式に基づいて緩和時間τを求め、蛍光材料における緩和時間τと温度との関係から温度を算出する。
【0004】
ここで、緩和時間τは、上記関係式の対数をとることによって得られる関係式 lnI [i]= ln(I0) −t[i]/τ の右辺第2項の直線近似を最小二乗法により行うことで、その傾きとして算出される。ここで、iは、光検出器から出力をサンプリングすることによって得られたデジタルデータ列の番号を示す。
【特許文献1】米国特許第5107445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蛍光温度センサでは、緩和時間τを算出するために、デジタルデータに対して対数変換および最小二乗法の処理を施さなければならない。そのため、デジタルデータのデータ数が多い場合には、緩和時間τの算出に時間が掛かり、センサとしての応答性が悪いという問題がある。
【0006】
これに対して、データ数を一定に制限することも考えられるが、蛍光材料は、高温では緩和時間τが短く、低温では緩和時間τが長くなるため、データ数を一定に制限すると、高温側では減衰終了後の0成分が混入し、低温側では、緩和時間τを算出するのに必要な減衰域を認識できるデータとはならない。そのため、正確な緩和時間τを求めることができず、温度センサの測定精度が低下してしまうという不都合を生じる。
【0007】
上記の事情に鑑みて、本発明は、簡易かつ確実に蛍光材料の緩和時間を算出することができ、測定精度を維持しつつ応答性を高めることができる蛍光温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の蛍光温度センサは、光励起された蛍光材料の蛍光から温度信号を生成する蛍光温度センサであって、前記蛍光材料に投光する発光素子と、前記蛍光材料が発する蛍光を受光する受光素子と、該受光素子の出力信号を第1のサンプリング周期でサンプリングして得られる第1のデジタルデータを、前記第1のサンプリング周期以上の第2のサンプリング周期でリサンプリングして得られる第2のデジタルデータから前記蛍光材料の緩和時間を算出する緩和時間算出手段と、前記緩和時間算出手段によって算出された緩和時間に対応した温度信号を生成する温度信号生成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第1発明の蛍光温度センサによれば、第1のデジタルデータからデータ数を間引くように、第1のサンプリング周期以上の第2のサンプリング周期でリサンプリングを行う。そして、リサンプリングされた第2のデジタルデータに対して、対数変換および最小二乗法の処理を施すことで、もとの第1のデジタルデータのデータ数が多い場合にも、緩和時間を簡易かつ確実に算出することができ、センサとしての応答性を向上させることができる。
【0010】
さらに、第2のデジタルデータは、一定のデータ数を有する第1のデジタルデータをリサンプリングするため、初めからデータ数を制限する場合とは異なり、不要なデータが混入することがない。そのため、正確な緩和時間を算出することができる。
【0011】
このように、第1発明の蛍光温度センサによれば、簡易かつ確実に蛍光材料の緩和時間を算出することができ、測定精度を維持しつつその応答性を高めることができる。
【0012】
第2発明の蛍光温度センサは、第1発明の蛍光温度センサにおいて、前記緩和時間算出手段は、前記第1のデジタルデータとして、前記蛍光の強度がその初期値から所定の割合に減衰するまでの前記出力信号をサンプリングしたデジタルデータを用いることを特徴とする。
【0013】
緩和時間を算出するためには、少なくとも、所定の蛍光強度から、これに比して蛍光強度が所定の割合に減衰するまでの減衰特性が必要であるところ、第2発明の蛍光温度センサによれば、該所定の蛍光強度を蛍光強度の初期値とすることで、緩和時間を算出するのに必要とされる減衰特性の区間を最小とすることができる。これにより、第1のサンプリングデータのデータ数を必要最小限に限定することができ、ひいては、第2のサンプリングデータのテータ数を減らして、緩和時間を簡易かつ確実に算出することができ、センサとしての応答性を向上させることができる。
【0014】
第3発明の蛍光温度センサは、第1または第2発明の蛍光温度センサにおいて、前記緩和時間算出手段は、前記第2のデジタルデータが予め指定した所定のデータ数より少ない場合に、該第2のデジタルデータとして前記第1のデジタルデータを用いることを特徴とする。
【0015】
第3発明の蛍光温度センサによれば、リサンプリングを実行することにより、第2のデジタルデータのデータ数が、予め指定した所定のデータ数、例えば緩和時間を算出するのに要求されるデータ数を下回る場合に、第2のデジタルデータを第1のデジタルデータとする。これにより、リサンプリングを実行することにより緩和時間の算出精度が低下することを回避することができ、センサとしての測定精度を維持することができる。なお、所定のデータ数として前述した緩和時間を算出するのに要求されるデータ数より大きい値を設定し、より確実に算出精度の維持を図るようにしても構わない。
【0016】
第4発明の蛍光温度センサは、第1〜第3のいずれかの蛍光温度センサにおいて、前記緩和時間算出手段は、前記第1のデジタルデータに対して、該第1のデジタルデータに含まれ得るノイズを低減した上で、前記リサンプリングを行うことを特徴とする。
【0017】
受光素子の出力信号には、電気ノイズ等が含まれることがあるため、これをサンプリングした第1のデジタルデータにもノイズ成分が含まれ得る。第4発明の蛍光温度センサによれば、第1のデジタルデータに対して、例えば、移動平均を取ること等によりノイズ成分を低減した上でリサンプリングを行う。そのため、緩和時間を算出する際にノイズの影響を低減することができ、緩和時間を精度よく算出することでき、センサとしての測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態として、本発明の蛍光温度センサが搭載された蛍光温度センサについて、図1〜図4を参照して説明する。
【0019】
図1を参照して、本実施形態の蛍光温度センサの全体的な構成について説明する。蛍光温度センサは、温度によって異なる蛍光特性を示す蛍光材料1と、蛍光材料1に投光するLED2と、LED2を駆動する駆動回路3と、蛍光材料1が発する蛍光を受光するフォトダイオード4と、フォトダイオード4からの出力信号から対応する温度検出値を算出する信号処理部5とを備える。
【0020】
また、蛍光温度センサは、蛍光材料1への投光および蛍光材料1の蛍光の受光を行う光ファイバ7と備える。光ファイバ7は他端側が分岐して、LED2からの光を蛍光材料1に伝達する投光用光ファイバ7aと、蛍光材料1の蛍光をフォトダイオード4に伝達する受光用光ファイバ7bとなっている。
【0021】
蛍光材料1は、光ファイバ7の一端部を覆うように設けられた温度計測部1aの中に、光ファイバ7のコア部に対向するように配置される。
【0022】
LED2は、LEDモジュール2a内に配置された、例えば青色系の波長を発光色とする発光ダイオードである。LEDモジュール2aは、投光用光ファイバ7aが接続されるコネクタ部2bを有し、コネクタ部2bを介して接続された投光用光ファイバ7aがLED2の発光部と対向している。
【0023】
駆動回路3は、LED2の発光に必要な駆動電流の大きさおよび発光時間を規定したパルス電流を一定の処理周期でLED2に印加する制御回路を備える。これにより、駆動回路3は、例えば、蛍光材料1に対応して、一回の計測におけるLED2の発光時間を1ms〜500msの間のいずれかの時間とする所定の大きさのパルス電流をLED2に印加する。
【0024】
フォトダイオード4は、フォトダイオードモジュール4a内に配置されて、照射された光の光量(輝度)を測定する。フォトダイオードモジュール4aは、受光用光ファイバ7bに接続されるコネクタ部4bを有し、コネクタ部4bを介して接続された受光用光ファイバ7bがフォトダイオード4の受光部と対向している。
【0025】
信号処理部5は、A/D変換手段51と、データ前処理手段52と、緩和時間算出手段53と、温度信号生成手段54とを備える。
【0026】
A/D変換手段51は、アナログデジタル変換回路を備え、フォトダイオード4の出力信号を予め設定された第1のサンプリング周期(例えば、0.001msec)でアナログデジタル変換する。
【0027】
データ前処理手段52は、主に、A/D変換手段51で変換後に得られた第1のデジタルデータを、第1のサンプリング周期以上の第2のサンプリング周期(例えば、0.005msec)でリサンプリングしたデータに加工する。ここで、データ前処理手段52は、第2のサンプリング周期を、第1のサンプリング周期の整数倍として、第1のデジタルデータから、第1のサンプリング周期の整数倍のデータだけを抽出する。すなわち、データ前処理手段52は、第1のデジタルデータから第2のサンプリング周期に当たらないデータを間引き処理することに相当する。
【0028】
緩和時間算出手段53は、データ前処理手段52による処理によって得られた第2のデジタルデータから緩和時間τを算出する。具体的に緩和時間算出手段53が、緩和時間τを算出するアルゴリズムは、以下の通りである。
【0029】
まず、蛍光材料1の蛍光強度Iと経過時間tとの関係を、蛍光強度の初期値I0および緩和時間τで規定した下式(1)の対数をとると、式(2)が得られる。
【0030】

I[i] = I0−t[i]/τ ・・・(1)
⇔ lnI[i]= ln(I0) −t[i]/τ ・・・(2)

上式(2)において、iは、離散時刻系における時間を表す整数値であって、第2のデジタルデータに含まれる第2のサンプリング周期毎の時系列データの番号に対応している。
【0031】
緩和時間算出手段53は、第2のデジタルデータを用いて、式(2)により表される直線の傾きを最小二乗法によって同定することにより、緩和時間τを算出する。
【0032】
温度信号生成手段54は、緩和時間τと温度との関係を規定したマップやデータテーブル(以下、マップ等という)を備えて、緩和時間算出手段53によって算出された緩和時間τから対応する温度信号を生成して出力する。
【0033】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、信号処理部5により緩和時間τを算出し、温度信号を生成・出力する処理について説明する。
【0034】
まず、信号処理部5は、A/D変換手段51により第1のサンプリング処理を実行する(STEP10)。ここで、A/D変換手段51は、フォトダイオード4の出力信号を第1のサンプリング周期でアナログデジタル変換する。
【0035】
そして、信号処理部5は、蛍光材料1の蛍光強度Iが所定の割合に減衰するまで第1のサンプリング処理を実行する。ここで、所定の割合として例えば自然対数eを用いるものとし、第1のサンプリング処理としては蛍光強度の初期値I0を自然対数eで除算した(STEP20)。
【0036】
蛍光強度Iが、かかる強度まで減衰している場合には(STEP20でYES)、データ前処理手段52により、第2のサンプリング周期設定処理を実行し(STEP30)、かかる強度まで減衰していない場合には(STEP20でNO)、第1のサンプリング処理を継続する。このように、第1のデジタルデータのデータ数を、緩和時間τを算出するのに最小限必要なデータ数に限定することで、その後の処理量を低減してセンサとしての応答性を向上させることができる。
【0037】
ここで、第2のサンプリング周期設定処理では、第1のデジタルデータのデータを間引くことにより、第2のデジタルデータが所望のデータ数となるように、第2のサンプリング周期を設定する。
【0038】
具体的に、データ前処理手段52は、第1のデジタルデータのデータ数Sと、第2のデジタルデータの所望のデータ数Aから、下式(3)にしたがって間引き率Xを算出する。
【0039】

X = S / A ・・・(3)

上式(3)において、間引き率Xは、第1のデジタルデータのデータ何個に対して1個の第2のデジタルデータを抽出するかを表す値である。そのため、第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期と間引き率Xとの乗算値として設定される。すなわち、第2のサンプリング周期は、第1のサンプリング周期のX倍として設定される。なお、上式(3)によって算出される間引き率Xの値が少数となる場合には、少数点以下を切り捨てる。
【0040】
続いて、データ前処理手段52は、設定された第2のサンプリング周期で第2のサンプリング処理(リサンプリング処理)を実行する(STEP40)。これにより、第1のデジタルデータは、所望のデータ数の第2のデジタルデータに変換される。
【0041】
次に、緩和時間算出手段53は、第2のデジタルデータから、上式(2)により表される直線の傾きを最小二乗法によって同定することにより、緩和時間τを算出する(STEP50)。
【0042】
ここで、第2のデジタルデータは、前述のように第1のデジタルデータを間引いた所望のデータ数となっている。そのため、対数変換や最小二乗法の処理を施す場合にも、その処理量を低減することができ、緩和時間τを簡易に算出することができる。また、第2のデジタルデータのデータ数を一定にすることで、緩和時間τの算出時間を一定にすることもできる。
【0043】
さらに、第2のデジタルデータは、第1のデジタルデータをリサンプリングしているため、初めからデータ数を制限してサンプリングした場合とは異なり、不要なデータが混入することがなく、緩和時間τを精度よく算出することができる。
【0044】
次いで、温度信号生成手段54は、STEP50で算出された緩和時間τに対応する温度信号を、マップ等を参照して生成し出力する(STEP60)。
【0045】
以上が、信号処理部5により緩和時間τ算出し、温度信号を生成・出力する処理である。
【0046】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、図2に示すフローチャートの処理の変更例について説明する。なお、図3のフローチャートの処理は、図2のフローチャートの処理の一部を変更したものであるので、図2と同一処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施例では、データ前処理手段52が、STEP30で設定した第2のサンプリング周期が所定の閾値以下となっているか否かを判定する(STEP31)。ここで、所定の閾値は、緩和時間算出手段53が、かかる第2のサンプリング周期でリサンプリングを実行した場合に、フォトダイオード4の出力信号を復元することができる限界値に設定される。
【0048】
なお、第2のサンプリング周期が閾値以下か否かを判定する代わりに、前記間引き率Xが最小データ間隔以上となっているいか否かを判定するようにしてもよい。
【0049】
そして、第2のサンプリング周期が閾値以下の場合には(STEP31でYES)、設定された第2のサンプリング周期で第2のサンプリング処理(リサンプリング処理)を実行し(STEP40)、これによって得られた第2のデジタルデータに基づいて緩和時間τを算出する(STEP50)。
【0050】
一方、第2のサンプリング周期が閾値を超える場合には(STEP31でNO)、第2のサンプリング処理を行うことなく、第1のデジタルデータに基づいて緩和時間τを算出する(STEP50)。
【0051】
これにより、リサンプリングによる緩和時間τの算出精度の低下を回避して、緩和時間τの算出精度を一定に維持することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、第2のサンプリング周期が閾値以下か否かを判定しているが、これに代えて、第1のデジタルデータのデータ数をカウントして、該データ数が所定の数以下の場合には、リサンプリングを行うことなく緩和時間τを算出するようにしてもよい。これにより、測定環境が高温で蛍光の減衰が早まり、第1のデジタルデータのデータ数が少ない場合に、リサンプリングにより更にデータが間引かれることを回避して、緩和時間τの算出精度を維持することできる。
【0053】
次に、図4に示すフローチャートを参照して、図2に示すフローチャートの処理の別の変更例について説明する。なお、図4のフローチャートの処理は、図2のフローチャートの処理の一部を変更したものであるので、図2と同一処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施例では、データ前処理手段52が、STEP10,20で得られた第1のデジタルデータに対して、時系列順に所定の個数毎の移動平均を行う移動平均値算出処理を事項する(STEP21)。具体的に移動平均算出処理では、第1のサンプリング処理により得られた第1のデジタルデータを、時系列順に逐次リングバッファに格納し、この格納されたデータについて逐次移動平均を行う。そして、これによって得られた移動平均値を新たな第1のデジタルデータとして順次記憶保持する。
【0055】
そして、STEP30以下の処理では、このようにして得られた新たな第1のデジタルデータに対して処理を行う。これにより、第1のデジタルデータに含まれ得るノイズを低減した上で、緩和時間τを精度よく算出することでき、センサとしての測定精度を向上させることができる。
【0056】
以上のように、本実施形態の蛍光温度センサによれば、簡易かつ確実に蛍光材料1の緩和時間τを算出することができ、センサの測定精度を維持しつつ応答性を高めることができる。
【0057】
なお、本実施形態において、第2のサンプリング(リサンプリング)処理では、第2サンプリング周期に合った第1のデジタルデータを抽出したが、これに限らず、リサンプリング処理では、抽出されないデータを含めた代表点(平均値)として第2のデジタルデータを抽出してもよい。すなわち、第1のデジタルデータを第2のサンプリング周期毎に区切り、各区間に含まれる第1のデジタルデータの平均値をその区間の代表点として抽出し、抽出した平均値のデータを第2のデジタルデータとしてもよい。
【0058】
これにより、第2のデジタルデータとして抽出された点にノイズが含まれる場合にも、その影響を低減することができ、緩和時間τを精度よく算出することができ、センサとしての測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態の蛍光温度センサの全体構成図。
【図2】信号処理部における処理を示すフローチャート。
【図3】図2に示すフローチャートの変更例を示す説明図。
【図4】図2に示すフローチャートの他の変更例を示す説明図。
【符号の説明】
【0060】
1…蛍光材料、2…LED、3…駆動回路、4…フォトダイオード、5…信号処理部、7…光ファイバ、51…A/D変換手段、52…データ前処理手段、53…緩和時間算出手段、54…温度信号生成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光励起された蛍光材料の蛍光から温度信号を生成する蛍光温度センサであって、
前記蛍光材料に投光する発光素子と、
前記蛍光材料が発する蛍光を受光する受光素子と、
該受光素子の出力信号を第1のサンプリング周期でサンプリングして得られる第1のデジタルデータを、前記第1のサンプリング周期以上の第2のサンプリング周期でリサンプリングして得られる第2のデジタルデータから前記蛍光材料の緩和時間を算出する緩和時間算出手段と、
前記緩和時間算出手段によって算出された緩和時間に対応した温度信号を生成する温度信号生成手段と
を備えることを特徴とする蛍光温度センサ。
【請求項2】
請求項1記載の蛍光温度センサにおいて、
前記緩和時間算出手段は、前記第1のデジタルデータとして、前記蛍光の強度がその初期値から所定の割合に減衰するまでの前記出力信号をサンプリングしたデジタルデータを用いることを特徴とする蛍光温度センサ。
【請求項3】
請求項1または2記載の蛍光温度センサにおいて、
前記緩和時間算出手段は、前記第2のデジタルデータが予め設定した所定のデータ数より少ない場合に、該第2のデジタルデータとして前記第1のデジタルデータを用いることを特徴とする蛍光温度センサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の蛍光温度センサにおいて、
前記緩和時間算出手段は、前記第1のデジタルデータに対して、該第1のデジタルデータに含まれ得るノイズを低減した上で、前記リサンプリングを行うことを特徴とする蛍光温度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−294021(P2009−294021A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146712(P2008−146712)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】