説明

蛍光灯点灯装置

【課題】人感センサーなどを併用した蛍光灯点灯装置では、蛍光灯の点滅が多いため一般の安定器ではランプ寿命が極端に短くなる。そのため安定器は蛍光灯のフィラメントを常時予熱にしたり、蛍光灯の始動をソフトスタートする回路を付加して点滅に対するランプ寿命の改善を図っている。しかしこの方法では安定器が高価かつ大きくなる欠点がある。
【解決手段】 蛍光灯点灯時のフィラメント電圧が5V以上、かつ蛍光灯始動時のフィラメント予熱電圧も5V以上にしてなる蛍光灯点灯装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人感センサーなどを併用して蛍光灯を頻繁に点滅させる蛍光灯点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラピッドスタート式蛍光灯の点灯時のフィラメント電圧は3.6Vが最適で、始動時のフィラメント予熱電圧は3.4〜4.2Vとされている。
【0003】
磁気回路式の安定器では、通常一対のフィラメント巻線を全て1次コイル側に巻回しているため、予熱時と点灯時のフィラメント電圧は大差なく約3.6V程度に設定されている。通常この値に設定されていれば、一般の使用方法ではランプ寿命については問題がなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蛍光灯の寿命は点灯時間と点滅回数により決定され、特に点滅回数が多いと寿命は大幅に短くなる。一般には一回の点滅で約1〜2時間寿命が短くなり、1日20〜30回も点滅すると寿命は半減してしまう。
【0005】
最近、省エネの見地から人感センサーなどを併用し、人がいないときは蛍光灯を消灯し、人が来るとセンサーが感知し、蛍光灯を点灯させる点灯方式が多くなってきている。例えばトイレなどの照明は頻繁に人が出入りするため蛍光灯の点滅が多く、1日50〜100回になることもある。
【0006】
このような場所に一般の蛍光灯器具を使用すると、ランプ寿命は定格寿命の半分以下になってしまう。そのため、蛍光灯点灯装置を工夫し、蛍光灯のフィラメントを常時予熱にしたり、蛍光灯の始動をソフトスタートにしたりしている。しかし、このような方法を採用すると、常時予熱用の回路やソフトスタートを形成する回路が必要になり、安定器が高価かつ大きくなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような点滅の多い場所で使用される照明器具で、点滅によるランプ寿命を大幅に改善した点灯装置を提案するもので、予熱時のフィラメント電圧を通常設定されている3.4〜4.2Vより高くなるよう設計することにより、始動時にランプフィラメントを素早く予熱し、ランプフィラメントから熱電子を出しやすくし、その結果ランプフィラメントのストレスを軽減し、点滅に対するランプ寿命を長くなるようにしたものである。
【0008】
当然点灯時のフィラメント電圧も高くなり、点灯中のランプ寿命は短くなるが、点滅の多い使用場所では点灯している時間も短いため、点灯中のランプ寿命と点滅によるランプ寿命を考慮するとトータル的なランプ寿命は一般の安定器を使用したときよりも長くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予熱時のフィラメント電圧を4.2Vを超える値にすることにより、人感センサーなどを併用した点灯時間が短く、点滅回数の多い場所で使用されてもランプ寿命を長く保つことができ、安価で小型の点灯装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施例を示すラピッドスタート式点灯装置の回路図である。
【0012】
電源1が安定器の1次コイル2に印加されると、二次コイル3で蛍光灯6が始動するのに必要な電圧に昇圧され、同時に1次コイルの上に巻回されたフィラメント予熱コイル4,5により蛍光灯6のフィラメント6a、6bが加熱される。
【0013】
フィラメント予熱巻線4および5は一般の安定器よりフィラメント電圧を高く設定しているため(例えば5V)、蛍光灯6のフィラメント6a、6bは一般の安定器より早く熱電子の放出を促すため、蛍光灯6の両端に加わる二次電圧を低く抑えることができ、蛍光灯6のフィラメント6a、6bには放電の際のストレスも小さく、フィラメントに塗布された金属酸化物質の消耗も少ない。
【0014】
蛍光灯6が点灯すると、点灯時のフィラメント電圧は約5V程度で、最適値の3.6Vよりも高くなるが、センサーなどを併用している場所では点滅が多く、点灯時間も短いため点灯中のランプ寿命と点滅によるランプ寿命を考慮するとトータル的なランプ寿命は一般の安定器を使用したときよりも長くなる。
【0015】
表1は、フィラメント予熱電圧が6Vと3.6Vの安定器を10秒オン・オフサイクルでFHF86ランプを点滅させたときの試験結果である。
【表1】

この結果からも点滅の多い使用ではフィラメント電圧を高くしたほうが良いことが分かる。
なお、安定器は磁気回路式だけではなく、インバータ式も同様の効果があることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す放電灯点灯装置の回路図。
【符号の説明】
【0017】
1・・・電源
2・・・安定器の一次コイル
3・・・安定器の二次コイル
4・・・フィラメント予熱コイル
5・・・フィラメント予熱コイル
6・・・蛍光灯
6a・・・蛍光灯のフィラメント
6b・・・蛍光灯のフィラメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯点灯時のフィラメント電圧が5V以上、かつ蛍光灯始動時のフィラメント予熱電圧も5V以上にしてなる蛍光灯点灯装置。

【図1】
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