説明

蛍光画像用診断方法および診断装置

本発明は、迷光とは無関係に、対象物の同一領域を表す蛍光発光による部分画像を評価する方法と装置に関する。上述対象物の2つの部分画像が、カメラ(10)によって赤色と緑色で生成される。商画像が、上述2つの部分画像からピクセル毎に生成され、所定の赤色/緑色の比率を有する画像ポイントの発生頻度が、上述商画像について決定される。上述で得られた分布曲線について、平均値と幅とが決定される。上述分布曲線の平均値および幅は、閾値を計算するために使用される。上述商画像は、上述閾値を用いて修正され、注目すべき詳細部分に関して当該部分のコントラストが強調されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光画像診断方法およびその方法を実施する診断装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
例えば、独国特許出願番号10 2004 491 A1号において、病気の組織および健康な組織は、組織が持つ色によって区別されることが知られている。エナメル質または類似の組織は、青色光または紫外線が放射されると、放射された組織は、蛍光を発光し、この結果、病気の組織および健康な組織おいて、発光された蛍光内に異なるスペクトル成分が観察され、例えば異なる赤色または緑色の成分が観察される。
【0003】
赤色の成分に変化、または緑色の成分に変化することは、病気の組織を識別するための目的に使用することができる。蛍光の赤色および緑色の成分の比率を試験してみると、病気の組織を特に感度高く検出することが可能である(独国特許出願番号10 2004 024 494 A1号、参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蛍光画像から病気の組織を識別するための既知の方法において、結果は、迷光(摂動光)によって影響される不都合が未だに存在している。
【0005】
従って、本発明によって、同一の記録ポイントから作成される蛍光画像を診断するのに、迷光すなわち摂動光により干渉される影響を低減する方法および装置が特定される。
【0006】
本発明に従って、上述の目的は、請求項1による方法で達成され、また該方法を実施するための請求項17の装置によっても達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、対象物(組織)上の同一ポイントにおいて異なる波長で記録された2つの部分画像、すなわち第1の部分画像および第2の部分画像が、画像内の強度の比率でピクセル毎に再生され、そして、商画像(quotient image)が生成される。この商画像のために、分布スペクトラムが計算され、分布スペクトラムは、部分画像の信号の商(quotient)が得られた頻度を特定するものである。このスペクトラムは、最大値を有する分布曲線によって特徴付けられ、さらに、分布曲線の幅、例えば半値幅によっても特徴付けられる。
【0008】
上述分布曲線の形状は、摂動光の影響から大きく自立している。周囲から生じる摂動光のおかげで、上述分布曲線は、摂動光の色に影響されて移動し、分布曲線の表示に使用される座標系の横座標の方向において多かれ少なかれ移動し、ある場合には広がることがある。
【0009】
本発明によって、摂動光に影響されない分布曲線の特有の特性(形状維持)は、病気の組織および健康な組織を識別する閾値を決定するのに使用することができる。この閾値を使用することで、コントラスト画像が生成され、例えば、上述の計算された閾値を超えるピクセルから、コントラスト画像が作成される。
【0010】
このようにして、コントラスト画像内に、病気の組織に関する非常に重要な表示が得られる。病気の組織の領域は、対象物の元々の全体画像上に鮮明に見ることができるコントラスト画像内に、一層確実に識別できるようになる。
【0011】
本発明の更なる進展の利点は、従属の請求項において特定される。
【0012】
請求項2の方法によって生成されるコントラスト画像は、病気の組織および病気でない組織との著しく明白な識別によって区別される。
【0013】
商画像が、全体画像のピクセル強度から直接形成されるとき、商画像は、分数の分母内の小さな変化が分数の値に大きな変化を生じるために、特に強度の低い領域において雑音が大きくなる。請求項3による方法の場合、商の形成によって生じるノイズが低減され、部分画像の信号に追加される定数がより大きくなれば、減衰は一層大きくなる。逆に言えば、定数の増加と共に、診断の感度は、当然低下する。定数の適切な選択、すなわち初期値は、これまでの記録から事前に設定することができ、個別の事例においては組織に関する記録から現在の条件に適用できるような、定数の適切な選択によって、実際の処置に役立つ妥協策が、ノイズ解消および診断感度の間で達成することができる。
【0014】
請求項4による方法は、増幅係数をカラーのマッチングに使用するときに、部分画像のピクセル強度のために大きく異なるような増幅係数を考慮している。
【0015】
請求項5に係る発明の更なる進展によって、商の形成からノイズを除去する結果として、商画像のダイナミックレンジは、全体画像のダイナミックレンジに近くなることが確保される。
【0016】
請求項6によれば、商画像の円滑化は、部分画像の各々において検出されるノイズ成分に従って設定することができる。
【0017】
請求項7に係る発明は、ノイズの無い商画像を生成するときに使用することができる定数のために好ましい値を特定する。
【0018】
前記商画像から導かれた分布曲線は、解析曲線によって表示することができ、請求項8に係る場合において、上述の分布曲線の興味あるパラメータ(最大値と幅)は、コンピュータによる計算によって自動的に容易に決定することができる。
【0019】
多くの応用例において、ガウス曲線または通常分布の形状内の分布曲線は、請求項9で特定したように、特に好ましいものである。
【0020】
請求項10によれば、病気の組織および健康な組織の間の識別に使用できる閾値は、所定の事例で見いだされた記録の条件に適用することができる。
【0021】
請求項10との関連で、請求項11に係る方法において、分布曲線の所定の部分は、より強いシステム依存性または不規則な不確実性を抱えることを考慮していない。
【0022】
分布曲線で役立つ部分および分布曲線で考慮しない部分の分離は、請求項12において、非常に単純な方法で、かつ短時間にもたらすことができる。
【0023】
請求項12との関連で、請求項13で特定される値は、不規則性によって著しく影響を受ける分布曲線の末端部分を切り捨てるのに、特に適していることが証明されている。
【0024】
請求項14で特定する方法と共に、現在記録されている状況に対して、病気の組織および健康な組織を識別する閾値を自動的に適用するのに、更に一層良い方法が得られた。この関係において、一方で、病気の領域が認識されないリスクが、取り除かれ、他方で、健康な領域を誤って病気の領域として表示するリスクが、低く維持される。
【0025】
閾値を決定する2つの部分係数間に関する、請求項15で特定する重み付けは、特に好ましいことが判明した。
【0026】
請求項16に係る発明の更なる進展は、容易に理解できるように、病気の領域および対象物の全体画像を互いに関連付けることを可能にする。対象物の領域を病理学的に交換して観察することを容易にしている。
【0027】
請求項18で特定する装置は、市販の安価なコンポーネントを使用して、非常に容易に構築することができる。
【0028】
請求項19に係る装置は、病気の組織領域および対象物の全体を空間的に配置することに関して、再び有利である。
【0029】
請求項20に係る装置の場合、対象物の興味ある種々の画像を、随意に検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、以下の図面を参照しながら、例示的な実施例を基にして、以降に一層詳細に説明されることになる。
【図1】医科用蛍光カメラの概略図、並びに該カメラを使用する操作及び評価用ユニットのブロック図である。
【図2】初期損傷または初期裂溝を有する歯の咬合表面の全体画像の図である。
【図3】赤色、緑色、および青色のカラーに対応する、図2に示す歯の咬合表面の3色による部分画像の図である。
【図4】歯の咬合表面の青色画像で赤色画像をピクセル毎に除算して得られた商画像の図である。
【図5】図4に示す商画像による図2に示す全体画像への乗算によって得られた、歯の咬合表面を修正した全体画像の図である。
【図6】ピクセル画像信号の赤色/緑色の比率でプロットした商画像内のピクセルの頻度分布を示す図である。
【図7】図6に示すピクセル頻度分布を考慮に入れた、図4に示す商画像から生成されたコントラスト画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1において、歯科用蛍光カメラのハンドピースは、全体を10として表示される。該ハンドピースは、光学系12を含み、この光学系は、単一レンズ、並びに、赤色、緑色、および青色用の3つの画像変換器14R、14G、および14Bから、概略的に構成される。上述3つの画像変換器は、2色性のビーム・スプリッター16R、16G、および16Bを経由して当該画像変換器に向けられた、光学系12によって生成された歯18の画像を所有している。
【0032】
以下でなされる説明が、全ての画像変換器または全てのフィルターにとって等しいことが維持される範囲において、文字R,G,およびBの追加が省略されることがある。
【0033】
配置されることを明確に表現する理由で、3つの画像変換器14は、図1において、カメラのハンドピース10の光学軸から等しい距離に表示されている。実際において、各々の距離は異なっており、それは、光学系12と各画像変換器との間の光学的な全体経路が、各々の画像変換器にとって歯の像の大きさが等しくなるようにしているので、各々の距離は異なっている。
【0034】
3つの画像変換器14は、従来のCCDまたはCMOSの画像変換器でも可能であり、各画像変換器は、横列(line)および縦列(column)に配置されたピクセル群を含む画像を格納する。これらピクセル群からの読み出しは、このようなタイプの画像変換器で知られているように、横列毎または縦列毎に実行される。
【0035】
本発明を記載する目的で、上述画像変換器、上述画像変換器に接続されるスイッチング回路、および全体画像を適切に保持できるメモリが存在することを想定し、以下に各々について詳細に記載する。上述メモリ自体は、既知のものであり、詳細に記載する必要はない。スイッチング回路の各々は、入力用メモリと出力用メモリとを適切に有し、スイッチング回路自身および互いに接続するスイッチング回路は、各場面において全体画像にアクセスすることができるものとする。
【0036】
画像変換器14Rおよび14Gは、計算回路20の2つの入力に接続され、計算回路は、赤色および緑色に対応する部分画像から商画像を生成する。この生成は、商画像の信号QRG(i)を、ピクセルi毎にIR(i)またはIG(i)の強度と共に計算することで、ピクセル毎に達成される。この関係において、計算回路20は、商を形成する前に、定数aRおよびaGを外側から受信し、この定数を信号IR(i)および信号IG(i)の各々に加える。
【0037】
商画像のピクセルQ(i)は、以下の式によって、順次付与される。
Q(i)=(IR(i)+aR)/(IG(i)+aG
ここで、下記条件は、
R/aG=mean(IR(i)/(IG(i))
優先的に実施される。
【0038】
平均的強度が、著しく異なることがないとき、
R=aG=a
を、近似値として選択することができる。
【0039】
これらの定数aRおよびaG、またはaを加えた結果として、信号IG(i)の強度が低いとき、ノイズによる変動は、商に大きな変化を与えないことが保証される。
【0040】
実際、30から120までの範囲内の値、好ましくは50から100までの範囲内の値、更に好ましくは80に近似する値が、有効であることが証明されている。
【0041】
非常に強度の低いIRおよびIGのために、強度の比率として、単一値aだけが使用され、近似的に値1が得られる。また、この値は、カラーマッチングの過程において、IRおよびIGのための増幅係数を調整することで、健康な組織のためにも得られる。IRおよびIGのためのカラーマッチングが、非常に異なる増幅係数によって与えられるとき、上述したように、異なるaRおよびaGで処理する方が、目的にかなっている。
【0042】
計算回路20の出力において、商画像が、結果として得られ、このとき、商画像のピクセルは、赤色の要素および緑色の要素の比率が、歯18の元々の全体画像内において、どの位の大きさになるかを示すことになる。
【0043】
次の計算回路22は、入力側で与えられた商画像を所有し、その商画像から、商画像の分布曲線を計算する。すなわち、計算回路22は、ピクセルQ(i)の頻度Hが、商Q(i)が所定の値qを有するためには、どのくらい大きいかを確定する。
【0044】
計算回路22が利用できるようにする結果は、図6に提示される分布曲線である。
【0045】
次の計算回路24は、与えられた分布曲線を所有し、当該分布曲線の幅を決定する。
【0046】
計算回路24は、測定された分布曲線から半値幅を単純に決定する方法で処理することができる。しかし、計算回路24は、解析曲線を最小二乗法で測定された分布曲線に適用する方法で好ましいことに処理することができる。この処理において、ガウス関数は、好ましいことに分布曲線として選択される。
【0047】
そして、ガウス関数を選択した場合は、下記の式を有する。
H(q)=A exp(−0.5(q−u)/σ2
ここで、μは、ガウス曲線が存在する範囲で最大となるQ値であり、σは、ガウス曲線の標準偏差である。
【0048】
詳細に説明すると、計算回路24は、測定された商信号の中から、外部から計算回路に交信される所定の閾値sよりも大きな値を有する商信号だけを使用する方法で処理する。この方法によって、低い強度のピクセルによる商での不規則性が、ガウス関数の振幅および半値幅の決定までに広がらないことを保証する。
【0049】
また、計算回路24の出力信号は、分布曲線の平均値mを計算する、次の計算回路26を通過する。この計算は、例えば確認されたガウス関数の振幅および標準偏差を根拠として採用することで、解析的に達成されることが可能になる。
【0050】
次の計算回路28は、閾値Sを計算することを提供し、この閾値Sは、病気の組織および健康な組織の間の識別を可能にするように意図されたものである。この閾値の値は、下記の式によって計算される。
S=m+b*σ
上述の式において、mは、上述の分布曲線で計算された平均値であり、σは、当該分布曲線の標準偏差値である。
【0051】
次の計算回路30は、与えられたものを所有し、所有するものは、一方は上述閾値Sであり、他方は商画像である。計算回路30は、個別ピクセルの強度および閾値Sを考慮に入れながら、商画像をピクセル毎に修正する。
【0052】
上述修正は、強度の変更及び/又はカラーの変更になる可能性がある。ただし、強度の変更は、優先的に常に着手される。
【0053】
商画像のピクセル群のために、ピクセルの強度は、閾値よりも大きいときは、例えば更に上昇させられ、強度が、閾値よりも低いピクセルは、ピクセルの強度は、弱められる。この方法で、修正された商画像すなわちコントラスト画像が得られ、コントラスト画像において、病気の組織領域は、著しく強調されることになる。
【0054】
強調された病気の組織領域が、結果として歯18の健康な領域の弱い画像上に現れることになる。
【0055】
また、上述修正において、コントラストの強調は、閾値Sより小さなピクセルに輝度0を指定するのに対して、閾値Sより大きい強度のピクセルにフルスケールで最大輝度を与えるような極端な方法で着手することもできる。この方法で、病気の組織領域を非常に高いコントラストにする画像が得られる。
【0056】
図1から明らかなように、3つの画像変換器14R、14G、および14Bは、さらに重層回線32の入力に接続され、この結果として、重層回線32の出力において、全体画像が提供され、提供画像は、無修正の形で観察された歯科対象領域の画像を再生する。
【0057】
下流のミキサー回路34において、無修正の歯の全体画像は、計算回路30内で計算されたコントラスト画像と連結することができ、例えば、ピクセル毎の画像の強度による乗算によって連結される。
【0058】
上述した種々の画像および商画像のピクセルの赤色/緑色の比率に関する分布曲線は、双方向スイッチ36を経由してコンピュータ38へ随意に通過させることができ、コンピュータ38は、機器全体を制御している。このコンピュータ38は、計算回路20、22、および28で必要な定数a,b,およびSを提供する。これら定数の提供は、コンピュータ38に接続される大容量の記憶デバイスに格納される基礎的な値に基づき、また、キーボード40から入力される個別の事情に従うことが考慮される、コンピュータからの是正の修正に従うことで達成される。
【0059】
上述した種々の画像が、コンピュータ38に接続されるモニター42上で表示される。また、これらの画像は、プリンター44を経由して永久保存用として書類化することも可能である。
【0060】
種々の画像を中央の記録保管所に送信する目的のため、また患者のデータを中央の記録保管所と交換する目的のために、コンピュータ38は、データライン46と接続しており、データライン46は、ネットワークの部分にすることも可能である。
【0061】
上述の診断機器を用いて、バクテリアで覆われた組織の特定領域を、認識することができ、例えば歯の表面において認識することができる。
【0062】
歯18が、UV光源によって紫外線を照射されると、緑色の強力な蛍光発光が、健康な領域において見られる。一方、バクテリアに被覆された歯の表面領域において、赤色の蛍光発光が、一層強くなる。
【0063】
健康な歯の材質上にバクテリアによる攻撃が増加するにつれ、緑色の蛍光画像は減少していく。蛍光画像における赤色および緑色の比率を観察することで、健康な歯の領域および病気の歯の領域の全体が、結果として得ることができる。
【0064】
上述したように、健康な歯の組織および病気の歯の組織の間のコントラストは、ピクセル毎に形成される歯の赤色の部分像および歯の緑色の部分像の商によって、改善することができ、この結果、各事例において、定数aが、商信号の一層強力なノイズを除去するために、商の形成前に赤色および緑色の部分信号に加えられる。
【0065】
図2から図4において、商信号生成の成果として、歯の裂溝領域に存在する初期障害に対する一層優れた強調が、すでに達成している。
【0066】
図6は、商画像のピクセル強度の発生頻度分布 H(q)を示す。
【0067】
上述発生頻度分布を生成する過程において、赤色または緑色のチャネル内での強度0の値は、考慮されていない。
【0068】
図6による商画像の輝度値の分布曲線において、分布曲線の最大値は、0.813に存在する。上述した内容によれば、病気の領域は、赤色/緑色の商qの値よりも高い値に存在する。
【0069】
図6において、最小二乗法を適用して得られたガウス分布は、ダッシュ記号によって示されている。ガウス曲線の適用は、頻度Hが、合計して最大頻度Hmaxの15%以上になる測定ポイントだけで効果があった。
【0070】
図6の曲線のために、標準偏差σの0.0194が計算され、最大値周辺範囲における分布の平均値m=0.813が計算される。既に述べたように、これら2つの値の計算のために、分布曲線の測定ポイントは、頻度H(q)が、合計して最大頻度Hmaxの15%を超えるポイントだけが考慮される。
【0071】
計算回路30のための閾値Sは、下記の式によって計算される。
S=m+bσ
ここで、bは、3.4が選択される。
【0072】
このことは、106の画像ポイントを有する画像において、画像信号の不規則なノイズの場合、画像ポイントの約1.2×10-6の割合が閾値にあり、かつ未だ閾値の未満である結論を有する。現実において、このことは、健康な画像ポイントが、誤って病気として報告されることが、実際に発生しないことを意味する。
【0073】
図7において、上述した鋭さは、着手されたコントラストな画像のコントラストにおいて増加し、病気の領域は、充分な輝度が与えられ、健康な領域は、所定の低い輝度が与えられる。図2に示した全体画像内で未だ注意を引かなかったポイントが、図7によるコントラスト画像内において病気のポイントとして出現することで認識されることになる。コントラスト画像を基にして目標物を検索する過程において、バクテリアは、この後で、染色された上述ポイントで、再び発見される。
【0074】
上述した方法の有利な点および上述した装置の有利な点は、特に、図6における分布曲線の最大値が、外部からの光によって生じるような移動にも拘らず、常に同一の結果が得られることである。
【0075】
上述した方法は、商画像の統計的評価によって処理するので、強力なノイズ信号の場合でも、健康な組織領域が、誤って病気として分類されることから阻止される。
【0076】
歯科において、歯の硬組織の病気は、識別子D0、D1、D2、およびD3で提供される。上述した方法および上述した機器によって、コントラスト画像を生成することができ、コントラスト画像は、本発明の目標とした方法で、重症度が初期と規定される病気でも表示することができる。このことは、適切な閾値Sを選択することで簡単に実現できる。
【0077】
記載してきた手順のおかげで、摂動光も、同様に病気の領域確認を失敗させることから阻止される。
【0078】
本発明は、病気の歯の硬組織の認識に関連して上述に記載した。また、本発明の方法および装置は、他の病気の組織の場合にも使用できることは理解されるであろうし、例えば皮膚の腫瘍または頭の腫瘍の場合、病気の領域の端部が突き止められる。前提条件は、健康な領域を、赤色および緑色の部分画像における、部分的に少しだけ変動するような、規定された強度の比率によって、特徴付けできることだけである。
【0079】
対象物を、摂動光とは無関係に作用する異なる波長によって記録した同一ポイントでの蛍光画像(画像の組)を評価する方法および装置を、上述してきた。カメラと共に、2つの組織の部分画像が、赤色および緑色で生成される。これら2つの画像から、商画像が、ピクセル毎に生成され、また商画像にとって、頻度の画像のポイントが決定され、同一色の比率が発生し、具体的には赤色および緑色の明確な比率が発生する。この方法で得られた分布曲線のために、平均値および幅が決定される。分布曲線の2つの最終的な変数は、閾値を計算するのに使用され、閾値は、コントラストの鋭さを表現する目的に使用される。上述の閾値を使用することで、商画像は、次のように修正され、例えば病気の組織領域に対応する画像の部分は、著しく強調されるようになる。
【0080】
迷光または摂動光の遮蔽が不可能なとき、本発明の方法および装置が、また使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の同一ポイントに照射された励起光によって得られる、異なる波長の蛍光発光の部分画像を評価する方法であって、
商画像は、2つの部分画像のピクセルの強度を除算することで、前記2つの部分画像からピクセル毎に生成され、規定の商が発生する頻度を特定する分布曲線が、前記商画像のために決定され、前記分布曲線の幅及び/又は平均値に基づいて閾値が決定され、診断用画像が、前記商画像から生成され、ここで、前記商画像のピクセルは、それらの強度が、前記閾値に対してどう存在するかに依存して可変的に修正され、この結果、コントラスト画像が得られる、評価方法。
【請求項2】
前記商画像のピクセルは、その強度が前記閾値よりも大きいとき、強度において増幅され、具体的には最大の強度に増幅、及び/又は第1の色に設定され、その強度が前記閾値よりも小さいとき、強度において低減され、具体的には最小の強度に低減、及び/又は第2の色に設定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
その都度、定数が、前記商の形成前に、前記2つの部分画像のピクセル信号に追加されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
2つの前記定数の比率が、前記2つの部分画像のピクセル強度の平均値の比率に等しいことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
同一定数が、両方の部分画像の前記ピクセル信号に追加されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部分画像のピクセル信号に追加される定数が、前記部分画像の信号対雑音比に依存する方法で選択されることを特徴とする請求項3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
青色の光または紫外光線による蛍光発光の励起において、第1の部分画像は、赤色で生成され、第2の部分画像は、緑色で生成され、前記追加される定数は、30から120の間になり、好ましくは50から100の間になり、さらに好ましくは80になることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記商画像の分布曲線の幅は、分布解析関数を前記分布曲線に適用する方法で、具体的には最小二乗適合を適用する方法で決定され、かつ前記分布曲線の幅、及び/又は前記分布曲線の最大値、及び/又は前記分布曲線の平均値は、前記分布解析曲線の対応する値によって事前に決定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記分布解析関数は、ガウス関数であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記閾値は、前記分布曲線の平均値に依存する方法で計算されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
発生頻度が所定の最小値を下回る前記分布曲線の領域は対象外とすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分布曲線の平均値は、振幅が前記分布曲線の最大値の所定比率よりも大きくなる曲線の領域を考慮して計算されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の部分は、0.05から0.3の間、好ましくは0.1から0.2の間、さらに好ましくは0.15となることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記閾値は、前記分布曲線の平均値、および前記分布曲線の幅に定数を乗算した値から決定されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記定数は、2から5の間、好ましくは3.5になることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象物のフィルター処理されていない全体画像または部分画像は、前記コントラスト画像と連結されること、具体的には前記コントラスト画像と乗算されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法を実施する装置であって、該装置は、
異なるカラーに基づく、対象物(18)の少なくとも2つの部分画像を提供するカメラ(10)と、
前記部分画像からピクセル毎の除算により商画像を生成する計算回路(20)であって、前記第1の部分画像のピクセル信号を前記第2の部分画像のピクセル信号で除算する、計算回路(20)と、
前記商画像内で所定のカラーの比率でピクセルの発生頻度を示す、前記商画像の分布曲線を生成し、さらに前記商画像の分布曲線の最大値及び/又は幅を決定する解析器(24)と、
所定の閾値を超えた商画像のピクセルを少なくとも使用して、診断用画像のピクセルを形成するコントラスト画像用計算回路(30)と、で実施することを特徴とする装置。
【請求項18】
前記カメラ(10)が、赤色、緑色、青色の3色のRGBの部分画像を生成するためのCCDまたはCMOS画像変換器(14R、14G、14B)を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
連結回路(34)は、前記カメラ(10)によって生成された全体画像または部分画像を前記コンスタント画像と共に連結し、具体的には前記カメラの画像と前記コンスタント画像とを乗算することを特徴とする請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記全体画像、前記コントラスト画像、または連結された全体画像は、表示装置(42)によって光学的に表示可能であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−521687(P2010−521687A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553940(P2009−553940)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001567
【国際公開番号】WO2008/113461
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(507063595)デュール デンタル アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】