蛍光表示装置
【課題】封止するために用いる材料が制限されることなく、かつ、製造工程の増加を招くことなく、蛍光表示装置を構成する外囲器を気密に封止することができるようにする。
【解決手段】基板101の一部に排気孔109が設けられ、排気孔109が、排気孔栓121により封止され、外囲器内部の真空が保持されている。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間にリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着している。
【解決手段】基板101の一部に排気孔109が設けられ、排気孔109が、排気孔栓121により封止され、外囲器内部の真空が保持されている。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間にリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器に排気管を持たず、その一部に排気孔を設け、容器の内部がいわゆる真空状態とされて封止された蛍光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示装置は、少なくとも一方が透明な真空容器の中で、電子源から放出される電子を蛍光体に衝突させて発光させ、所望の表示を行う表示装置である。例えば、電子源としてフィラメントと呼ばれる陰極から放出される熱電子を用い、蛍光体よりなる所望の形状の表示パターンを発光させて表示を行う蛍光表示管などがある。このような蛍光表示管では、通常、電子の働きを制御するためのグリッドを備えた3極管構造が最も多く用いられている。
【0003】
このように構成されている蛍光表示装置では、外囲器の内部に上述した各構成を配置して組み立てた後、外囲器(真空容器)に設けられている排気口より内部を真空排気して所定の真空度(圧力)とした後、排気口にふた(排気孔栓)を封着して外囲器を封止して真空容器を形成している(特許文献1,2,3,4参照)。
【0004】
これらの技術では、図7に示すように、外囲器に設けた排気孔に真空ポンプ装置の排気ヘッドを介して外囲器内部を真空排気している。まず、外囲器701に設けられた排気孔702の部分に排気ヘッド710を接続して外囲器701の内部703を所望の圧力にまで排気する。排気ヘッド710は、Oリング711を介して外囲器701に密着させている。このようにして内部703を排気した後、排気ヘッド710の内部に設けられている押し上げ棒712により排気孔栓704を排気孔702の部分に押し当て、排気孔栓704で排気孔702を塞ぐようにしている。
【0005】
排気孔栓704の上には低融点ガラスなどの接着材706が設けられている。押し上げ棒712に内蔵されている加熱機構により排気孔栓704を介して接着材706を加熱して融解し、この状態で、排気孔栓704を排気孔702周囲の外囲器701に押し当てることで、接着材706を外囲器701に融着させ、排気孔栓704を排気孔702周囲に接着固定(封着)する。
【0006】
上述した方法では、外囲器全体を大きな真空排気室の中に入れて排気孔を封着する製造方法に比べて、排気孔部のみを排気ヘッドに接続して外囲器701内部を排気すればよいため、量産性に優れているという特徴を備えている。しかしながら、排気ヘッド710を接続するためのOリング711の部分は冷却され、Oリング711外側の外囲器701全体、およびオーリング711内側の排気孔栓704で塞ぐ排気孔702の部分は加熱されるため、これらの封着領域が冷却と加熱の混在した熱的環境にある。このため、上述した方法による封止では、歪を持ちやすい状態で排気孔栓の封着が行われる状態になっている。この熱歪を軽減するための封着材としては、比較的低温で封着できる材料が求められている。
【0007】
また、封着部に使用する各材料(ガラス基板、封着材、排気孔栓)の熱膨張係数は、各温度(例えば接着材が固化する温度)で完全に一致しているわけではない。このため、排気孔栓の封着材の熱膨張係数や固化する温度(ガラス転移点、軟化点もはくは屈伏点などによって想定される)によっては、封着部に応力が溜まった状態になりやすい。このように、応力が溜まった状態では、封着部(接着面)のクラックの発生によりリークに至る場合が発生する。従って、蛍光表示装置における封止においては、排気孔の封止に用いる接着材の低融点化および用いる材料の熱膨張係数の制御が重要となる。
【0008】
【特許文献1】実公昭60−012256号公報
【特許文献2】特開昭63−284742号公報
【特許文献3】特開平01−200544号公報
【特許文献4】特開平04−061727号公報
【特許文献5】特開昭52−130274号公報
【特許文献6】特開昭53−131751号公報
【特許文献7】実公昭58−10291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、RoHS指令への適合などにより無鉛化が進められている中で、接着材に用いるフリットガラスの低融点化および熱膨張係数の制御は容易ではない。鉛を用いないガラスは一般には融点が高くなる傾向にあり、上述したような排気孔栓の接着に適用可能な低融点ガラスは限られ、多くの場合、良好な特性を得ることが難しく、品質と信頼性を確保することが困難である。また必然的により高価な材料を用いることになる。
【0010】
ところで、RoHS指令への適合を考慮すると、接着材(封着剤)にいわゆる無鉛はんだを用いることが考えられる。無鉛はんだを用いる場合、様々な材料の選択が可能であり、接着材の低融点化がガラス材料に比べてより容易に実現できる。しかしながら、はんだ材を用いる場合には、排気孔の周囲部に予めめっき法やスパッタリング法などで薄膜金属層を形成しておく必要があり、大きな基板の中の排気孔が配置された局部のみに薄膜をパターン形成するにはスペース効率やハンドリングおよび成膜コストの点で量産性に問題があった(特許文献5,6,7参照)。
【0011】
以上に説明したように、無鉛化を実現しようとすると、従来では、製造工程の増加を招くことなく、接着材の材料を制限することなく、より安価な材料を用いて蛍光表示装置を構成している外囲器内部を封止することができず、製造コストの上昇や品質、信頼性の低下を招くという問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、封止するために用いる材料の選択肢を広げるとともに、環境負荷を低減し、量産性を高め、かつ品質と信頼性を保持した状態で蛍光表示装置を構成する外囲器を気密に封止することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る蛍光表示装置は、蛍光体層が形成された陽極および電子放出源を内部に収容するガラスからなる外囲器と、この外囲器に形成された排気孔と、外囲器の排気孔の部分に無鉛ガラスよりなる基板側接着層で接着された穴あき部品と、穴あき部品に無鉛材料からなる排気孔栓側接着層で接着され、穴あき部品の穴部に連続する排気孔を封止する排気孔栓とを少なくとも備えるものである。
【0014】
上記蛍光表示装置において、穴あき部品は、金属から構成されていればよい。また、穴あき部品は、ガラスおよびセラミックから選択された材料から構成されていてもよい。また、排気孔栓側接着層は、無鉛ガラスから構成されていればよい。また、排気孔栓側接着層は、400℃以下の温度で溶融する鉛を含まない金属から構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、無鉛ガラスよりなる接着層で接着された穴あき部品に排気孔栓を接着することで排気孔を封止するようにしたので、封止するために用いる材料の選択肢が広がり、環境負荷の少ない無鉛材料が使えるとともに、量産性を損なうことなく、品質と信頼性を保持した状態で、蛍光表示装置を構成する外囲器を気密に封止することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以下で説明する穴あき部品および排気孔栓を接着する材料はいずれも無鉛材料であり、鉛を含まず鉛以外の材料から構成されたものである。
【0017】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1A,図1B,図1C,および図1Dを用いて説明する。図1A,図1B,図1C,および図1Dは、本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の構成を示す断面図である。また、図1Bは、図1Aの一部を拡大して示している。
【0018】
この蛍光表示装置は、例えばガラスなどの絶縁性を備える基板101上に配線層102が形成され、配線層102上には絶縁層103が形成されている。また、絶縁層103の上には所定の位置にアノード電極104が形成され、アノード電極104は、絶縁層103に開けられたスルーホール103aを介して配線層102に接続している。また、アノード電極104の上には蛍光体層105が形成され、蛍光体層105の上部には、グリッド106が配置され、グリッド106の上方にフィラメント107が配置されている。
【0019】
一方、基板101の端部には、上部容器108が配置され、基板101と上部容器108とによりガラスからなる外囲器が構成されている。基板101と上部容器108とは、低融点ガラスよりなる封着層110により封着されている。また、基板101の外囲器内部の一部(周辺部)に、配線層102に接続する電極111が形成され、電極111には、外部との接続のためのリード112が接続している。リード112は、上部容器108と基板101との接触部の封着層110を通して外部に取り出されている。
【0020】
また、基板101の一部に排気孔109が設けられ、排気孔109が、排気孔栓121により封止され、外囲器内部の真空が保持されている。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間にリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層(基板側接着層)123により基板101に接着し、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着している。排気孔栓121は、穴あき部品122にガラス接着層124で接着され、穴あき部品122の穴部に連続する排気孔109を封止している。
【0021】
穴あき部品122は、例えば、よく知られた426合金より構成され、中央部に直径2mmの円形開口部を備えた板厚0.1mmの円盤である。このように構成された穴あき部品122は、例えば、よく知られたエッチングプロセスやプレス型抜きなどにより、より大きな1枚の426合金板を加工することで、容易に量産可能である。
【0022】
なお、穴あき部品122は、金属材料であり、適度な可塑性(延性)を持っているため、排気孔栓の接着時などに発生する応力がある程度吸収可能である。例えば、穴あき部品の材料としては426合金に限らず、他に適度な可塑性を有し、本目的に適した熱膨張係数を持つ材料であればよく、50Ni−Fe合金,52Ni−Fe合金,およびSUS430などから構成してもよい。また、穴あき部品122の材料は、使用する接着層の材料特性に合わせて選定すればよい。ここで、排気孔栓121の封着によって応力が発生する場合、発生する応力と相反する方向の応力が発生する材料から選択すればよい。この場合、穴あき部品122は、熱膨張係数が40〜110×10-7/℃の範囲の材料から構成するとよい。
【0023】
また、穴あき部品122のガラス接着層123側の面は、低融点ガラスとの密着性を向上させるために、酸化膜(不図示)が形成されている。同様に、穴あき部品122のガラス接着層124側の面にも、ガラス接着層124との密着性を向上させるために酸化膜(不図示)が形成されている。
【0024】
また、ガラス接着層123は、軟化点が350〜450℃程度,熱膨張係数70〜90×10-7/℃程度の無鉛低融点ガラスである。このガラス接着層123は、溶融して穴あき部品122を接着するとき、および接着した後において、基板101との間に亀裂が生じるなどの応力が発生しないガラス材料であればよく、例えば、上部容器108と基板101を封着する封着層110と同様の無鉛低融点ガラスなどを用いるとよい。これら無鉛の低融点ガラスは、鉛を含まない材料から構成されたガラス材料であり、例えば、低融点化させる主要材料である鉛を、ビスマス,スズ,およびリンなどで置き換えたものがある。なお、ガラスなどの製造過程で意図せずに鉛が混入する場合もあるが、このように極微量の鉛が含まれる場合も含めて、「鉛を含まない」および「無鉛」としている。
【0025】
また、ガラス接着層124は、ガラス接着層123に比べて軟化点の低い材料(無鉛ガラス)を使った方がよく、250〜400℃の範囲に軟化点を持つ無鉛の低融点ガラス材から構成するとよい。実用的には、例えば、上記低融点ガラス材のフリット(フリットガラス)よりなる排気孔栓側接着層(ガラス接着層124)を排気孔栓121に形成しておけばよい。
【0026】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、図1Cに例示するように、穴あき部品122の一方の面に低融点ガラスのフリット(フリットガラス:ガラス粉末)よりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品122となる材料の板部材を用意し、この板部材を公知のエッチングプロセスにより加工し、複数の穴あき部品が連結部で連結された状態とする。次いで、これらにウエット水素処理を施し、両方の面に薄い酸化膜を形成する。水蒸気を含んだ水素雰囲気によるウエット水素処理によれば、426合金が露出してる両方の面に、酸化クロムを主体とした薄い酸化膜を形成することができる。
【0027】
次に、上述したように酸化膜が両面に形成された複数の部品が連結されたシートの一方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの間での接着において発生する膨張の整合性を優先したガラス材料より構成する。なおここで、他方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成しておいてもよい。この後、形成したフリットガラス層が溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に、連結部を切断して各部分を切り離すことで、ガラス接着層123が形成された複数の封着部品(穴あき部品122)が得られる。
【0028】
次に、上述したように作製して用意した封着部品(穴あき部品122)は、上部容器と基板とを封着する工程で、予め基板101に形成された排気孔109の部分に同時に接着固定される。このとき、穴あき部品122の穴部に排気孔109が連続した状態にする。この接着固定は、上部容器と基板の封着に使用するフリットガラス(封着層110)と同様に、穴あき部品122のガラス接着層123を排気孔109部分の基板101に当接させた状態で、ガラス接着層123に用いている無鉛のガラスを融解させることで行う。
【0029】
このとき、接着のための加熱温度は、ガラス接着層123の十分な融解を得るため480℃前後と比較的高い温度となるが、この工程では、Oリングのような冷却部が無く、ワーク全体が均一に加熱されるため排気孔栓の封止工程ほどの温度の制限がない。このため、ガラス接着層123に用いるガラス材料は、比較的軟化点の高い材料でも使用することができ、上部容器の封着に使用するフリットガラスと同じものでもよい。
【0030】
例えば、上述した穴あき部品122の接着工程では、ベルト炉のような均一な熱的環境下で行われる。このため、局所的な温度差によって生じる熱的歪はなく、穴あき部品と基板とを信頼性よく接着することができる。
【0031】
一方、従来より用いられている排気孔栓121を用意し、また、図1Dに示すように、排気孔栓121の一方の面に、250〜400℃の範囲の軟化点を有する無鉛の低融点ガラス材のフリット(フリットガラス)よりなるガラス接着層124を形成して封止部品とする。ガラス接着層(排気孔側接着層)124は、公知のスクリーン印刷法により塗布することで形成すればよい。また、印刷形成したガラス接着層はペースト材料からなるため、脱バインダーが必要で、一例として450℃程度の温度で仮焼しておく。排気孔栓の材料としては、板厚0.18mm程度の426合金が一般的に使用されているが、接着する際に発生する応力に応じて、金属、ガラス、セラミックの中から熱膨張特性の適当な材料を選択して使っても良い。
【0032】
次に、前述したように、基板101の排気孔109の部分に穴あき部品122が接着され、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に固定された状態の蛍光表示装置に対し、図7を参照して既に説明した手法により、外囲器内の真空排気と排気孔109の排気孔栓121による封止とを行う。まず、基板101の排気孔109の周囲に排気ヘッドを接続して排気を行う。この排気においては、よく知られているように、外囲器を加熱して外囲器内部における脱ガスを行う。
【0033】
以上のようにして外囲器内部を所定の圧力にまで真空排気した後、排気ヘッド内に配置されて加熱機構を内蔵している押し上げ棒の上に上記封止部品を配置し、加熱機構を動作させて排気孔栓を430℃程度に加熱し、ガラス接着層124を溶融させる。この際、接着剤としてのガラスを真空中で溶融することで、内包されているガスの除去も同時に行われる。
【0034】
この加熱の温度は、ガラス接着層124を構成しているフリットガラス(低融点ガラス材)が融解する温度とすればよい。ここで、図7を参照して既に説明した手法により、押し上げ棒を動作させて封止部品を加熱しながら既に接着されている穴あき部品122に当接させることになるが、接着のために当接させて加熱している時間は僅かであるため、Oリングの冷却などに影響はない。穴あき部品に封止部品(排気孔栓)を当接させた後は、加熱機構を停止しガラス接着層124を冷却、固化させる。これらの工程を経ることにより、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層124により接着され、排気孔109が、排気孔栓121により封止された状態が得られる。
【0035】
本実施の形態によれば、前述のような局所的な温度差が発生する熱的環境にある中、溶融接着における無鉛のガラス接着層124の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122の物理的な延び、縮みと変形により吸収されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるガラス接着層124を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0036】
ガラス接着層124の熱膨張係数が70〜90×10-7/℃の範囲であれば、亀裂の発生などがない状態で問題なく封止が可能であることが確認されている。これに対し、穴あき部品122を用いずに、排気孔栓121を直接基板101に接着する場合、軟化点が比較的高く、熱膨張特性の整合性が調整できないまま無鉛ガラス材料を用いると、局所的な熱歪と材料の持つ熱膨張特性の違いによって発生する応力に耐えられず、亀裂などが発生し、真空リークに至っている。このように、穴あき部品122を用いることで、より高い軟化点でかつ熱膨張特性の整合性が完全に取れないの無鉛ガラス材料でも封着材として用いることが可能となり、材料選択の範囲がより広くなる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、排気孔栓121および穴あき部品122を用い、低融点ガラスで接着するようにしたので、はんだで接着する場合のように基板101の排気孔109の部分に、予めメタライズ層(金属層)などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品122は、前述した作製例からも明らかなように、低コストで大量生産が容易である。さらに、使用した低融点ガラスは、鉛を含まず、ビスマス,スズ,リンなどで主要成分を代替した材料を用いることができるので、RoHS指令への適合など対環境性に配慮した製品を生産することができる。
【0038】
ところで、穴あき部品122の外形は、円形に限らず、矩形や多角形などの異形であってもよい。また、穴あき部品122の中央部に設けられる開口部は、排気孔109の形状に一致させる必要はなく、円形に限らず他の形状であってもよい。ただし、穴あき部品122の中央部に設けられる開口部は、排気孔109より広く形成されている方が望ましい。
【0039】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、ガラス板より構成されたリング状の穴あき部品322を備え、穴あき部品322がガラス接着層(基板側接着層)123により基板101に接着し、穴あき部品322と排気孔栓121とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着しているようにしたものである。なお、穴あき部品322は、セラミックから構成されていてもよい。他の構成は、実施の形態1と同様であり、説明は省略する。
【0040】
穴あき部品322は、例えば、熱膨張係数88×10−7/℃のアルミノケイ酸塩ガラスより構成され、中央部に直径2mmの円形開口部を備えた板厚0.6mmの正方形の穴あき板である。このように構成された穴あき部品322は、例えば、よく知られたスクライブカットやダイシングまたはエッチングプロセスなどにより、より大きな1枚のガラス板をチップ状に切断加工することで、容易に量産可能である。
【0041】
なお、ガラスはもともと脆い性質があるため過大な応力が溜まるとクラックに至りやすい。従って、穴あき部品322として使用するガラス材料の熱膨張係数は、接着する下地材のソーダライムガラスの熱膨張係数と大きく異なる材料は使用できないが、熱膨張係数が70〜90×10−7/℃程度の、例えばアルミノケイ酸塩ガラスや亜鉛ホウケイ酸ガラス、またはショット社のスーパーホワイトガラスなどが使用できる。また、セラミック材料は、ガラスほど脆くはないので、使用できる熱膨張係数の許容範囲はやや広がるが、材料としては、たとえばアルミナやフォルステライトなどが使用できる。
【0042】
なお、穴あき部品322の材質と熱膨張係数を選定し、この上に封着するガラス接着層124、および排気孔栓121を封着した結果発生する応力と相反する応力をあらかじめ下地として作りこんでおくことによって、排気孔栓121の封着時に発生する応力を相殺することができる。
【0043】
この場合、例えば排気孔栓121の接着によって圧縮応力が生じる場合は、引っ張り応力が発生する穴あき部品322を下地として予め作りこんでおくことで、排気孔栓121の接着時に両者が相殺するように働く。具体的には、接着層124の熱膨張係数だけでなく、接着層124が固化して固定されたときの排気孔栓121と接着層124および下地材の熱膨張係数の差に関係するので、426合金のような熱膨張特性が非線形の材料では接着層124によって固定される温度(軟化点、屈伏点などで想定)が問題になる。
【0044】
固定される温度は、接着層124の軟化点などに依存するが、固定された応力状態が圧縮か引っ張りかによって穴あき部品322の特性を決定する。例えば、排気孔栓121が426合金(426alloy)で、400℃付近(想定固化温度A)で固化する熱膨張係数αが80×10−7℃の接着材(フリットガラスa)を使うと、発生する応力は単純なソーダライムガラスが下地の場合は圧縮応力となり、この場合は、穴あき部品322に基板101を構成するガラスより熱膨張係数αの小さな材料を使用すると逆応力を予め作りこんでおくことができ、排気孔栓121接着時の応力を相殺することができる(図2参照)。
【0045】
一方、固化する温度が300℃付近(想定固化温度B)と低い接着材(フリットガラスb)を用いる場合、接着材の熱膨張係数αが同じでも426合金の熱膨張係数αが変化するので、応力の向きは反転する(図2参照)。このように熱膨張特性が非線形の場合、温度を特定しないと熱膨張が特定できない。なお、本実施の形態では、穴あき部品322がガラスより構成されているため、ガラス接着層123およびガラス接着層124との接着面に酸化膜を形成する必要がない。これは、穴あき部品322をセラミックで構成する場合も同様である。
【0046】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、穴あき部品322の一方の面に無鉛の低融点ガラスよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品322となる材料のガラス板を用意し、このガラス板に、後述する複数の穴あき部品322となる領域毎に、例えば直径2mmの貫通孔を形成する。これらの複数の貫通孔は、例えば、ドリルを用いて形成することができる。また、公知のエッチングプロセスや超音波加工などを用いてもよい。
【0047】
次に、個別の穴あき部品となる各領域毎に貫通孔が形成されたガラス板の一方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラス(無鉛低融点ガラス)のペースト層(フリットガラス層)を形成する。ガラス接着層123となるフリットガラス層のパターンは、外形が正方形の穴あき板の穴を中心にして円形に形成する。これは、接着面が矩形よりも円形の方が接着したときの応力が集中しにくいからである。ガラス接着層123となるフリットガラス層は、前述したように、基板101を構成するガラスとの熱膨張特性の整合性を優先したガラス材料より構成する。
【0048】
この後、形成したフリットガラス層が溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に上記複数の穴あき部品を作りこんだガラス板をスクライブカットにより切断して各個別領域に切り離せば、ガラス接着層123を備えた複数の穴あき部品322が得られる。なお、セラミック板を用いて同様にすることで、セラミックよりなる穴あき部品322を作製することができる。
【0049】
この後、前述した実施の形態1と同様にすることで、穴あき部品322を基板101の排気孔109に接着し、次いで、外囲器内部を排気するとともに、穴あき部品322の他方の面にガラス接着層124で排気孔栓121を接着すれば、排気孔栓121により排気孔109が封止された状態となる。
【0050】
本実施の形態においても、このような溶融接着におけるガラス接着層124の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品322により吸収(相殺)されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるガラス接着層124を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。ガラス接着層124の熱膨張係数が70〜90×10-7/℃の範囲であれば、亀裂の発生などがない状態で問題なく封止が可能であることが確認されている。
【0051】
これに対し、穴あき部品322を用いずに、排気孔栓121を直接基板101に接着する場合、軟化点が比較的高く、熱膨張特性の整合性が調整できないまま無鉛ガラス材料を用いると、局所的な熱歪と材料の持つ熱膨張特性の違いによって発生する応力に耐えられず、亀裂などが発生し、真空リークに至っている。このように、穴あき部品322を用いることで、排気孔栓121を接着(封着)するために用いる材料の軟化点や熱膨張係数の制約が軽減され、材料選択の範囲がより広くなる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、排気孔栓121および穴あき部品322を用い、低融点ガラスで接着するようにしたので、はんだで接着する場合のように基板101の排気孔109の部分に、予めメタライズ層などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品322は、前述した作製例からも明らかなように、大量生産が容易である。また、使用した低融点ガラスは、鉛を含まず、Bi,Sn,Pなどで主要成分を代替した無鉛材料などを用いることができるので、RoHS指令への適合など対環境性に配慮した製品を生産することができる。
【0053】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態3における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、426合金などの金属材料より構成されたリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品122と排気孔栓121とが金属接着層(排気孔栓側接着層)424により接着しているようにしたものである。金属接着層424は、例えば、無鉛はんだ材から構成されたものである。排気孔栓121は、穴あき部品122に金属接着層424で接着され、穴あき部品122の穴部に連続する排気孔109を封止している。他の構成は、実施の形態1,2と同様であり、説明は省略する。
【0054】
本実施の形態3においては、穴あき部品122のガラス接着層123側の面は、低融点ガラス(無鉛)との密着性を向上させるために、酸化膜(不図示)が形成されている。一方、穴あき部品122の金属接着層424側の面には、無鉛はんだによる接合が容易に行えるように、例えば、金,銀,ニッケルなどのはんだ濡れ性を向上させる金属層(不図示)が形成されている。
【0055】
また、ガラス接着層123は、軟化点が350〜450℃程度,熱膨張係数70〜90×10-7/℃程度の無鉛低融点ガラスである。このガラス接着層123は、溶融して接着するとき、および接着した後において、基板101との間に亀裂が生じるなどの応力が発生しない無鉛のガラス材料であればよく、例えば上部容器108と基板101を封着する封着層110と同様の無鉛低融点ガラスなどを用いるとよい。これら無鉛の低融点ガラスは、たとえば、低融点化させる主要材料であるPbをBi,Sn,Pなどで置き換えたものなどがある。
【0056】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、実施例1にも説明したように、穴あき部品122の一方の面に金属層を形成し、他方の面に低融点ガラス(無鉛材料)のフリットよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品122となる材料の板部材を用意し、この板部材を公知のエッチングプロセスにより加工し、複数の穴あき部品が連結部で連結された状態とする。このように、複数の穴あき部品が連結された状態で、一方の面にメッキにより金層(金属層)を形成する。次いで、これらにウエット水素処理を施し、他方の面に薄い酸化膜を形成する。水蒸気を含んだ水素雰囲気によるウエット水素処理によれば、例えば426合金が露出してる他方の面に、酸化クロムを主体とした薄い酸化膜を形成することができる。
【0057】
次に、上述したように金メッキ層および酸化膜が形成された複数の部品が連結されたシートの酸化膜形成面(他方の面)に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの間での接着において発生する膨張の整合性を優先したガラス材料より構成する。この後、形成したフリットガラス層のフリットガラスが溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に連結部を切断して各部分を切り離すことで、ガラス接着層123が形成された複数の封着部品(穴あき部品122)が得られる。なお、金層は、メッキに限らず、スパッタ法や蒸着法により形成してもよい。この場合、金層の形成は、基板側接着層を形成した後に行ってもよい。
【0058】
次に、上述したように作製して用意した封着部品(穴あき部品122)を、基板101の排気孔109に接着固定する。このとき、穴あき部品122の穴部に排気孔109が連続した状態にする。この接着固定は、基板と上部容器とを封着する工程で同時に行われ、穴あき部品122のガラス接着層123を排気孔109部分の基板101に当接させた状態で、ガラス接着層123に用いているガラス材料を融解させることで行う。このとき、接着のための加熱温度は、480℃前後と比較的高い温度となるが、この工程では、Oリングのような冷却部が無く、ワーク全体が均一に加熱されるため排気孔栓の封止工程ほどの温度の制限がない。このため、ガラス接着層123のガラス材料は、比較的軟化点の高い材料でも使用することができる。
【0059】
例えば、上述した穴あき部品122の接着工程では、ベルト炉のような均一な熱的環境下で行われる。このため、局所的な温度差によって生じる熱的歪はなく、穴あき部品と基板とを信頼性よく接着することができる。なお、穴あき部品の接着は、上部容器と基板とを接着する前に、蛍光面やグリッドなどの基板上構成物を焼成する工程を使って予め接着しておくこともできる。
【0060】
一方、従来より用いられている排気孔栓121を用意し、また、排気孔栓121の一方の面に無鉛はんだ材よりなる金属接着層424を形成して封止部品とする。金属接着層424は、例えばはんだペーストを塗布することやフラックスを利用したはんだ槽への浸漬などで形成すればよい。
【0061】
次に、前述したように、基板101の排気孔109の部分に穴あき部品122が接着され、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に固定された状態の蛍光表示装置に対し、図7を参照して既に説明した手法により、外囲器内の真空排気と排気孔109の排気孔栓121による封止とを行う。まず、基板101の排気孔109の周囲に排気ヘッドを接続して排気を行う。この排気においては、よく知られているように、外囲器を300℃程度に加熱して外囲器内部における脱ガスを行う。
【0062】
以上のようにして外囲器内部を所定の圧力にまで真空排気した後、排気ヘッド内に配置されて加熱機構を内蔵している押し上げ棒の上に上記封止部品を配置し、加熱機構を動作させて排気孔栓を加熱し、金属接着層424を溶融させる。この際、金属接着層424としての無鉛はんだを溶融することで、無鉛はんだ中に内包されているガスの除去も同時に行われる。
【0063】
この後、封止部品の加熱を継続しながら押し上げ棒を動作させることで溶融している金属接着層424を、既に接着されている穴あき部品122の金層形成面に当接させる。なお、この加熱の温度は、金属接着層424を構成している無鉛はんだ材が融解する温度とすればよく、例えば250℃程度とすればよい。この温度であれば外囲器のベーキング温度よりも低く、排気ヘッド710のOリング711を痛めることもない。穴あき部品に封止部品(排気孔栓)を当接させた後は、加熱機構を停止し、金属接着層424を冷却、固化させる。これらの工程を経ることにより、排気孔栓121と穴あき部品122とが金属接着層424により接着され、排気孔109が、排気孔栓121により封止された状態が得られる。
【0064】
なお、上述したはんだ付けにおいて、穴あき部品122の表面には、金層が形成されているので、はんだフラックスなどを用いることなく、金属接着層424を構成しているはんだ材が容易に濡れて金属接合が形成されるようになる。はんだフラックスを用いると、加熱により発生するガスにより、外囲器内部に配置されている蛍光表示装置の部品に悪影響を与えるが、これが金層(メタライズ層)を用いることで防げるようになる。
【0065】
本実施の形態によれば、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着における金属接着層424に用いるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122の物理的な伸び、縮みと変形により吸収されるようになる。
【0066】
特に、この穴あき部品の厚みは薄膜の数μmに対して十分な厚みを持っているので、応力吸収に有効である。この結果、例えば、熱膨張特性が異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。なお、排気孔栓を接着することによって発生する応力を相殺する方向の応力が発生する材料で、穴あき部品を予め形成しておくことで、より広範囲の接着材を使用することも可能である。
【0067】
また、従来、排気孔栓をはんだのような金属で封着する場合、基板の排気孔部周囲に金属薄膜でメタライズしておく必要があり、生産性が悪く実用化が難しかったが、本実施の形態によれば、サイズを規格化し、多面取り法により各々の表面をメタライズして生産した複数の穴あき部品122を前もって効率的かつ大量に作っておき、この部品化した下地材(メタライズした穴あき部品)を低融点ガラスで基板に接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分に、直接、メタライズ層などを形成しておく必要がなくなった。この結果、生産性を損ねることなく、無鉛はんだのような金属接合材料を排気孔栓の封止材料として使用できるようになった。また、このことで環境負荷の軽減と真空容器の信頼性の確保を両立させることができる。
【0068】
ところで、金属接着層424は、はんだ材料などの合金に限らず、スズやインジウムなどの融点の低い単独の金属材料から構成されていてもよい。金属接着層424は、400℃以下の温度で溶融する低融点な金属材料(合金を含む)から構成されていればよい。なお、当然ながら、溶融させて接着するガラス接着層123は、外囲器を構成している基板101および穴あき部品122が溶融しない範囲の温度で溶融する低融点なガラス材料である。これは、他の実施の形態においても同様である。
【0069】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態4における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、426合金などの金属材料より構成されて一方の面にニッケル(Ni)やアルミニウム(Al)および銅(Cu)などのクラッド層522が形成されているリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品122のクラッド層522と排気孔栓121とが金属接着層424により接着しているようにしたものである。
【0070】
穴あき部品122にクラッド材を使用する目的は、ガラスよりなる基板101と接着する側は、426合金や50、52合金など比較的、基板101の熱膨張係数に近い材料を使用して下地との安定した接着を確保し、クラッドする側には金属接着層(排気孔栓側接着層)424と熱膨張の近い材料、もしくは応力吸収層およびはんだ接合層の役割を持たせる材料を配置し、排気孔栓の接着信頼性を確保することである。426合金などを使用する場合、ガラス接着層123との濡れ性を高めるため表面を酸化させておくのは前述の通りである。また、他の構成は、実施の形態1〜3と同様であり、説明は省略する。
【0071】
本実施の形態では、穴あき部品122のクラッド層522の上に、予め無鉛はんだなどからなる金属接着層424を形成しておき、この状態で、穴あき部品122をガラス接着層123によりガラス基板101に接着しておく。なお、ガラス接着層123は、予めガラス基板101の排気孔109の部分に形成しておき、この状態で、ガラス接着層123に穴あき部品122を接着してもよい。この後、封止工程において、金属接着層424に排気孔栓121を当接させて加熱することで、金属接着層424を融解させて排気孔栓121を穴あき部品122に接着させる。この封止工程では、真空排気状態の中で加熱処理が行われるので、金属接着層424が酸化されることが抑制され、溶融した金属接着層424は、安定して排気孔栓121に接着する。
【0072】
本実施の形態においても、前述した実施の形態と同様であり、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着におけるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122により吸収されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0073】
また、本実施の形態においても、排気孔栓121および穴あき部品122を用い、はんだおよび低融点ガラスで接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分には、予め薄膜のメタライズ層などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品122は、大量生産が容易である。本実施の形態のように、穴あき部品122を、複数の金属層(クラッド層、めっき層を含む)から構成することで、応力の吸収と接着材との接合(濡れ)性の向上となど複数の特性の向上を図ることができる。
【0074】
上述したように、NiやAl,Ti,Cuなど、もしくは適当な熱膨張係数を持つ合金材料のクラッド層を設けることで、応力調整機能を付加することができる。また、はんだの濡れにくい材質からなる面にはAuめっき層が形成されている穴あき部品とすることで、接着材との接合(濡れ)性を向上させるという機能を付加できる。また、はんだ接合材の追加や応力調整機能を高めるため、3層以上の複数層を積層したクラッド材を使用して穴あき部品とすることも可能である。
【0075】
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態5における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、ガラス板より構成されて一方の面に金属層622が形成されているリング状の穴あき部品322を備え、穴あき部品322がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品322の金属層622と排気孔栓121とが金属接着層424により接着しているようにしたものである。なお、穴あき部品322は、セラミックから構成されていてもよい。他の構成は、実施の形態1と同様であり、説明は省略する。
【0076】
本実施の形態においては、穴あき部品322の排気孔栓側の面に、はんだ(金属接着層424)による接合が行えるように、はんだ材との接合を可能とする金属層622が必要となる。金属層622は、例えば、金,銀,ニッケル,スズなどの金属材料から構成されていればよい。また、これら金属を組み合わせた積層構造としてもよい。また、金属層622は、例えば、スパッタ法や蒸着法あるいはメッキ法などにより形成すればよい。なお、本実施の形態では、穴あき部品322がガラスより構成されているため、ガラス接着層123の側に酸化膜を形成する必要がない。これは、穴あき部品322をセラミックで構成する場合も同様である。
【0077】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、前述した実施の形態2で説明したように、穴あき部品322の一方の面に金属層622を形成し、他方の面に低融点ガラスのフリットよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品322となる材料のガラス板を用意し、このガラス板に、後述する穴あき部品322となる個別領域毎に、例えば直径2mmの貫通孔を形成する。
【0078】
次に、穴あき部品の個別領域毎に貫通孔が形成されたガラス板の一方の面に、例えば蒸着法により金属層を形成する。次いで、上記ガラス板の他方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの熱膨張特性の整合性を優先したガラス材料より構成する。このフリットガラス層は焼成して脱バインダーした後、上記ガラス板をスクライブカットにより切断して各個別領域に切り離せば、ガラス接着層123が形成された複数の穴あき部品322が得られる。なお、セラミック板を用いて同様にすることで、セラミックよりなる穴あき部品322を作製することができる。
【0079】
この後、前述した実施の形態3と同様にすることで、穴あき部品322を基板101の排気孔109に接着し、次いで、外囲器内部を排気するとともに、穴あき部品322の金属層622に金属接着層424で排気孔栓121を接着すれば、排気孔栓121により排気孔109が封止された状態となる。
【0080】
本実施の形態によれば、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着におけるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、前述したように穴あき部品322の熱膨張係数を調整し、この上に封着する金属接着層424、および排気孔栓121を封着した結果発生する応力と相反する応力をあらかじめ下地として作りこんでおくことによって、排気孔栓121の封着時にこれらの間で発生しうる応力が、穴あき部品322により吸収(相殺)されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0081】
また、従来、排気孔栓をはんだのような金属で封着する場合、基板の排気孔部周囲にメタライズしておく必要があり、生産性が悪く実用化が難しかったが、本実施の形態によれば、サイズを規格化し、多面取り法により各々の表面をメタライズして生産した複数の穴あき部品322を前もって効率的かつ大量に作っておき、部品化した下地材(メタライズした穴あき部品322)を低融点ガラスで基板101に接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分に、直接メタライズ層などを形成しておく必要がなくなった。この結果、生産性を損ねることなく、無鉛はんだのような金属接合材料を排気孔栓121の封止材料として使用できるようになった。また、このことで環境負荷の軽減と真空容器の信頼性の確保が両立することができる。
【0082】
なお、ここでは穴あき部品322に形成する金属層622は1層の場合について説明したが、金属層622は2層以上の積層膜としてもよい。たとえば、下地材としてAlやCuなど、延性に富む材料をはんだ付用金属層の下地に積層しておくことで、応力がかかったときのクラックを防止することができる。また、排気孔栓材料については426合金を代表例として説明してきたが、この代わりに穴あき部品として取り上げた金属材料やガラス、セラミック材料に適合する材料を使用してもよく、これらの材料の選定と組み合わせによって、さらに封着時に発生する応力を適度に解消させることができる。
【0083】
なお、上述では、陽極,グリッド,フィラメントを備えるいわゆる3極構造の蛍光表示装置を例に説明したが、これに限るものではなく、グリッドを備えない2極構造の蛍光表示装置など、蛍光体層が形成された陽極を内部に備えた他の蛍光表示装置であっても同様であることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の構成を示す断面図である。
【図1B】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図1C】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図1D】本発明の実施の形態における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図2】排気孔栓を接着するときの各材料の熱膨張の関係を示す特性図である。
【図3】本発明の実施の形態2における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態4における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態5における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図7】外囲器に設けた排気孔に排気ヘッドを接続して外囲器内部を真空排気する方法について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0085】
101…基板、102…配線層、103…絶縁層、103a…スルーホール、104…アノード電極、105…蛍光体層、106…グリッド、107…フィラメント、108…上部容器、109…排気孔、110…封着層、111…電極、112…リード、121…排気孔栓、122…穴あき部品、123…ガラス接着層(基板側接着層)、124…ガラス接着層(排気孔栓側接着層)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器に排気管を持たず、その一部に排気孔を設け、容器の内部がいわゆる真空状態とされて封止された蛍光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示装置は、少なくとも一方が透明な真空容器の中で、電子源から放出される電子を蛍光体に衝突させて発光させ、所望の表示を行う表示装置である。例えば、電子源としてフィラメントと呼ばれる陰極から放出される熱電子を用い、蛍光体よりなる所望の形状の表示パターンを発光させて表示を行う蛍光表示管などがある。このような蛍光表示管では、通常、電子の働きを制御するためのグリッドを備えた3極管構造が最も多く用いられている。
【0003】
このように構成されている蛍光表示装置では、外囲器の内部に上述した各構成を配置して組み立てた後、外囲器(真空容器)に設けられている排気口より内部を真空排気して所定の真空度(圧力)とした後、排気口にふた(排気孔栓)を封着して外囲器を封止して真空容器を形成している(特許文献1,2,3,4参照)。
【0004】
これらの技術では、図7に示すように、外囲器に設けた排気孔に真空ポンプ装置の排気ヘッドを介して外囲器内部を真空排気している。まず、外囲器701に設けられた排気孔702の部分に排気ヘッド710を接続して外囲器701の内部703を所望の圧力にまで排気する。排気ヘッド710は、Oリング711を介して外囲器701に密着させている。このようにして内部703を排気した後、排気ヘッド710の内部に設けられている押し上げ棒712により排気孔栓704を排気孔702の部分に押し当て、排気孔栓704で排気孔702を塞ぐようにしている。
【0005】
排気孔栓704の上には低融点ガラスなどの接着材706が設けられている。押し上げ棒712に内蔵されている加熱機構により排気孔栓704を介して接着材706を加熱して融解し、この状態で、排気孔栓704を排気孔702周囲の外囲器701に押し当てることで、接着材706を外囲器701に融着させ、排気孔栓704を排気孔702周囲に接着固定(封着)する。
【0006】
上述した方法では、外囲器全体を大きな真空排気室の中に入れて排気孔を封着する製造方法に比べて、排気孔部のみを排気ヘッドに接続して外囲器701内部を排気すればよいため、量産性に優れているという特徴を備えている。しかしながら、排気ヘッド710を接続するためのOリング711の部分は冷却され、Oリング711外側の外囲器701全体、およびオーリング711内側の排気孔栓704で塞ぐ排気孔702の部分は加熱されるため、これらの封着領域が冷却と加熱の混在した熱的環境にある。このため、上述した方法による封止では、歪を持ちやすい状態で排気孔栓の封着が行われる状態になっている。この熱歪を軽減するための封着材としては、比較的低温で封着できる材料が求められている。
【0007】
また、封着部に使用する各材料(ガラス基板、封着材、排気孔栓)の熱膨張係数は、各温度(例えば接着材が固化する温度)で完全に一致しているわけではない。このため、排気孔栓の封着材の熱膨張係数や固化する温度(ガラス転移点、軟化点もはくは屈伏点などによって想定される)によっては、封着部に応力が溜まった状態になりやすい。このように、応力が溜まった状態では、封着部(接着面)のクラックの発生によりリークに至る場合が発生する。従って、蛍光表示装置における封止においては、排気孔の封止に用いる接着材の低融点化および用いる材料の熱膨張係数の制御が重要となる。
【0008】
【特許文献1】実公昭60−012256号公報
【特許文献2】特開昭63−284742号公報
【特許文献3】特開平01−200544号公報
【特許文献4】特開平04−061727号公報
【特許文献5】特開昭52−130274号公報
【特許文献6】特開昭53−131751号公報
【特許文献7】実公昭58−10291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、RoHS指令への適合などにより無鉛化が進められている中で、接着材に用いるフリットガラスの低融点化および熱膨張係数の制御は容易ではない。鉛を用いないガラスは一般には融点が高くなる傾向にあり、上述したような排気孔栓の接着に適用可能な低融点ガラスは限られ、多くの場合、良好な特性を得ることが難しく、品質と信頼性を確保することが困難である。また必然的により高価な材料を用いることになる。
【0010】
ところで、RoHS指令への適合を考慮すると、接着材(封着剤)にいわゆる無鉛はんだを用いることが考えられる。無鉛はんだを用いる場合、様々な材料の選択が可能であり、接着材の低融点化がガラス材料に比べてより容易に実現できる。しかしながら、はんだ材を用いる場合には、排気孔の周囲部に予めめっき法やスパッタリング法などで薄膜金属層を形成しておく必要があり、大きな基板の中の排気孔が配置された局部のみに薄膜をパターン形成するにはスペース効率やハンドリングおよび成膜コストの点で量産性に問題があった(特許文献5,6,7参照)。
【0011】
以上に説明したように、無鉛化を実現しようとすると、従来では、製造工程の増加を招くことなく、接着材の材料を制限することなく、より安価な材料を用いて蛍光表示装置を構成している外囲器内部を封止することができず、製造コストの上昇や品質、信頼性の低下を招くという問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、封止するために用いる材料の選択肢を広げるとともに、環境負荷を低減し、量産性を高め、かつ品質と信頼性を保持した状態で蛍光表示装置を構成する外囲器を気密に封止することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る蛍光表示装置は、蛍光体層が形成された陽極および電子放出源を内部に収容するガラスからなる外囲器と、この外囲器に形成された排気孔と、外囲器の排気孔の部分に無鉛ガラスよりなる基板側接着層で接着された穴あき部品と、穴あき部品に無鉛材料からなる排気孔栓側接着層で接着され、穴あき部品の穴部に連続する排気孔を封止する排気孔栓とを少なくとも備えるものである。
【0014】
上記蛍光表示装置において、穴あき部品は、金属から構成されていればよい。また、穴あき部品は、ガラスおよびセラミックから選択された材料から構成されていてもよい。また、排気孔栓側接着層は、無鉛ガラスから構成されていればよい。また、排気孔栓側接着層は、400℃以下の温度で溶融する鉛を含まない金属から構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、無鉛ガラスよりなる接着層で接着された穴あき部品に排気孔栓を接着することで排気孔を封止するようにしたので、封止するために用いる材料の選択肢が広がり、環境負荷の少ない無鉛材料が使えるとともに、量産性を損なうことなく、品質と信頼性を保持した状態で、蛍光表示装置を構成する外囲器を気密に封止することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以下で説明する穴あき部品および排気孔栓を接着する材料はいずれも無鉛材料であり、鉛を含まず鉛以外の材料から構成されたものである。
【0017】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1A,図1B,図1C,および図1Dを用いて説明する。図1A,図1B,図1C,および図1Dは、本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の構成を示す断面図である。また、図1Bは、図1Aの一部を拡大して示している。
【0018】
この蛍光表示装置は、例えばガラスなどの絶縁性を備える基板101上に配線層102が形成され、配線層102上には絶縁層103が形成されている。また、絶縁層103の上には所定の位置にアノード電極104が形成され、アノード電極104は、絶縁層103に開けられたスルーホール103aを介して配線層102に接続している。また、アノード電極104の上には蛍光体層105が形成され、蛍光体層105の上部には、グリッド106が配置され、グリッド106の上方にフィラメント107が配置されている。
【0019】
一方、基板101の端部には、上部容器108が配置され、基板101と上部容器108とによりガラスからなる外囲器が構成されている。基板101と上部容器108とは、低融点ガラスよりなる封着層110により封着されている。また、基板101の外囲器内部の一部(周辺部)に、配線層102に接続する電極111が形成され、電極111には、外部との接続のためのリード112が接続している。リード112は、上部容器108と基板101との接触部の封着層110を通して外部に取り出されている。
【0020】
また、基板101の一部に排気孔109が設けられ、排気孔109が、排気孔栓121により封止され、外囲器内部の真空が保持されている。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間にリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層(基板側接着層)123により基板101に接着し、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着している。排気孔栓121は、穴あき部品122にガラス接着層124で接着され、穴あき部品122の穴部に連続する排気孔109を封止している。
【0021】
穴あき部品122は、例えば、よく知られた426合金より構成され、中央部に直径2mmの円形開口部を備えた板厚0.1mmの円盤である。このように構成された穴あき部品122は、例えば、よく知られたエッチングプロセスやプレス型抜きなどにより、より大きな1枚の426合金板を加工することで、容易に量産可能である。
【0022】
なお、穴あき部品122は、金属材料であり、適度な可塑性(延性)を持っているため、排気孔栓の接着時などに発生する応力がある程度吸収可能である。例えば、穴あき部品の材料としては426合金に限らず、他に適度な可塑性を有し、本目的に適した熱膨張係数を持つ材料であればよく、50Ni−Fe合金,52Ni−Fe合金,およびSUS430などから構成してもよい。また、穴あき部品122の材料は、使用する接着層の材料特性に合わせて選定すればよい。ここで、排気孔栓121の封着によって応力が発生する場合、発生する応力と相反する方向の応力が発生する材料から選択すればよい。この場合、穴あき部品122は、熱膨張係数が40〜110×10-7/℃の範囲の材料から構成するとよい。
【0023】
また、穴あき部品122のガラス接着層123側の面は、低融点ガラスとの密着性を向上させるために、酸化膜(不図示)が形成されている。同様に、穴あき部品122のガラス接着層124側の面にも、ガラス接着層124との密着性を向上させるために酸化膜(不図示)が形成されている。
【0024】
また、ガラス接着層123は、軟化点が350〜450℃程度,熱膨張係数70〜90×10-7/℃程度の無鉛低融点ガラスである。このガラス接着層123は、溶融して穴あき部品122を接着するとき、および接着した後において、基板101との間に亀裂が生じるなどの応力が発生しないガラス材料であればよく、例えば、上部容器108と基板101を封着する封着層110と同様の無鉛低融点ガラスなどを用いるとよい。これら無鉛の低融点ガラスは、鉛を含まない材料から構成されたガラス材料であり、例えば、低融点化させる主要材料である鉛を、ビスマス,スズ,およびリンなどで置き換えたものがある。なお、ガラスなどの製造過程で意図せずに鉛が混入する場合もあるが、このように極微量の鉛が含まれる場合も含めて、「鉛を含まない」および「無鉛」としている。
【0025】
また、ガラス接着層124は、ガラス接着層123に比べて軟化点の低い材料(無鉛ガラス)を使った方がよく、250〜400℃の範囲に軟化点を持つ無鉛の低融点ガラス材から構成するとよい。実用的には、例えば、上記低融点ガラス材のフリット(フリットガラス)よりなる排気孔栓側接着層(ガラス接着層124)を排気孔栓121に形成しておけばよい。
【0026】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、図1Cに例示するように、穴あき部品122の一方の面に低融点ガラスのフリット(フリットガラス:ガラス粉末)よりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品122となる材料の板部材を用意し、この板部材を公知のエッチングプロセスにより加工し、複数の穴あき部品が連結部で連結された状態とする。次いで、これらにウエット水素処理を施し、両方の面に薄い酸化膜を形成する。水蒸気を含んだ水素雰囲気によるウエット水素処理によれば、426合金が露出してる両方の面に、酸化クロムを主体とした薄い酸化膜を形成することができる。
【0027】
次に、上述したように酸化膜が両面に形成された複数の部品が連結されたシートの一方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの間での接着において発生する膨張の整合性を優先したガラス材料より構成する。なおここで、他方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成しておいてもよい。この後、形成したフリットガラス層が溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に、連結部を切断して各部分を切り離すことで、ガラス接着層123が形成された複数の封着部品(穴あき部品122)が得られる。
【0028】
次に、上述したように作製して用意した封着部品(穴あき部品122)は、上部容器と基板とを封着する工程で、予め基板101に形成された排気孔109の部分に同時に接着固定される。このとき、穴あき部品122の穴部に排気孔109が連続した状態にする。この接着固定は、上部容器と基板の封着に使用するフリットガラス(封着層110)と同様に、穴あき部品122のガラス接着層123を排気孔109部分の基板101に当接させた状態で、ガラス接着層123に用いている無鉛のガラスを融解させることで行う。
【0029】
このとき、接着のための加熱温度は、ガラス接着層123の十分な融解を得るため480℃前後と比較的高い温度となるが、この工程では、Oリングのような冷却部が無く、ワーク全体が均一に加熱されるため排気孔栓の封止工程ほどの温度の制限がない。このため、ガラス接着層123に用いるガラス材料は、比較的軟化点の高い材料でも使用することができ、上部容器の封着に使用するフリットガラスと同じものでもよい。
【0030】
例えば、上述した穴あき部品122の接着工程では、ベルト炉のような均一な熱的環境下で行われる。このため、局所的な温度差によって生じる熱的歪はなく、穴あき部品と基板とを信頼性よく接着することができる。
【0031】
一方、従来より用いられている排気孔栓121を用意し、また、図1Dに示すように、排気孔栓121の一方の面に、250〜400℃の範囲の軟化点を有する無鉛の低融点ガラス材のフリット(フリットガラス)よりなるガラス接着層124を形成して封止部品とする。ガラス接着層(排気孔側接着層)124は、公知のスクリーン印刷法により塗布することで形成すればよい。また、印刷形成したガラス接着層はペースト材料からなるため、脱バインダーが必要で、一例として450℃程度の温度で仮焼しておく。排気孔栓の材料としては、板厚0.18mm程度の426合金が一般的に使用されているが、接着する際に発生する応力に応じて、金属、ガラス、セラミックの中から熱膨張特性の適当な材料を選択して使っても良い。
【0032】
次に、前述したように、基板101の排気孔109の部分に穴あき部品122が接着され、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に固定された状態の蛍光表示装置に対し、図7を参照して既に説明した手法により、外囲器内の真空排気と排気孔109の排気孔栓121による封止とを行う。まず、基板101の排気孔109の周囲に排気ヘッドを接続して排気を行う。この排気においては、よく知られているように、外囲器を加熱して外囲器内部における脱ガスを行う。
【0033】
以上のようにして外囲器内部を所定の圧力にまで真空排気した後、排気ヘッド内に配置されて加熱機構を内蔵している押し上げ棒の上に上記封止部品を配置し、加熱機構を動作させて排気孔栓を430℃程度に加熱し、ガラス接着層124を溶融させる。この際、接着剤としてのガラスを真空中で溶融することで、内包されているガスの除去も同時に行われる。
【0034】
この加熱の温度は、ガラス接着層124を構成しているフリットガラス(低融点ガラス材)が融解する温度とすればよい。ここで、図7を参照して既に説明した手法により、押し上げ棒を動作させて封止部品を加熱しながら既に接着されている穴あき部品122に当接させることになるが、接着のために当接させて加熱している時間は僅かであるため、Oリングの冷却などに影響はない。穴あき部品に封止部品(排気孔栓)を当接させた後は、加熱機構を停止しガラス接着層124を冷却、固化させる。これらの工程を経ることにより、排気孔栓121と穴あき部品122とがガラス接着層124により接着され、排気孔109が、排気孔栓121により封止された状態が得られる。
【0035】
本実施の形態によれば、前述のような局所的な温度差が発生する熱的環境にある中、溶融接着における無鉛のガラス接着層124の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122の物理的な延び、縮みと変形により吸収されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるガラス接着層124を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0036】
ガラス接着層124の熱膨張係数が70〜90×10-7/℃の範囲であれば、亀裂の発生などがない状態で問題なく封止が可能であることが確認されている。これに対し、穴あき部品122を用いずに、排気孔栓121を直接基板101に接着する場合、軟化点が比較的高く、熱膨張特性の整合性が調整できないまま無鉛ガラス材料を用いると、局所的な熱歪と材料の持つ熱膨張特性の違いによって発生する応力に耐えられず、亀裂などが発生し、真空リークに至っている。このように、穴あき部品122を用いることで、より高い軟化点でかつ熱膨張特性の整合性が完全に取れないの無鉛ガラス材料でも封着材として用いることが可能となり、材料選択の範囲がより広くなる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、排気孔栓121および穴あき部品122を用い、低融点ガラスで接着するようにしたので、はんだで接着する場合のように基板101の排気孔109の部分に、予めメタライズ層(金属層)などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品122は、前述した作製例からも明らかなように、低コストで大量生産が容易である。さらに、使用した低融点ガラスは、鉛を含まず、ビスマス,スズ,リンなどで主要成分を代替した材料を用いることができるので、RoHS指令への適合など対環境性に配慮した製品を生産することができる。
【0038】
ところで、穴あき部品122の外形は、円形に限らず、矩形や多角形などの異形であってもよい。また、穴あき部品122の中央部に設けられる開口部は、排気孔109の形状に一致させる必要はなく、円形に限らず他の形状であってもよい。ただし、穴あき部品122の中央部に設けられる開口部は、排気孔109より広く形成されている方が望ましい。
【0039】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、ガラス板より構成されたリング状の穴あき部品322を備え、穴あき部品322がガラス接着層(基板側接着層)123により基板101に接着し、穴あき部品322と排気孔栓121とがガラス接着層(排気孔栓側接着層)124により接着しているようにしたものである。なお、穴あき部品322は、セラミックから構成されていてもよい。他の構成は、実施の形態1と同様であり、説明は省略する。
【0040】
穴あき部品322は、例えば、熱膨張係数88×10−7/℃のアルミノケイ酸塩ガラスより構成され、中央部に直径2mmの円形開口部を備えた板厚0.6mmの正方形の穴あき板である。このように構成された穴あき部品322は、例えば、よく知られたスクライブカットやダイシングまたはエッチングプロセスなどにより、より大きな1枚のガラス板をチップ状に切断加工することで、容易に量産可能である。
【0041】
なお、ガラスはもともと脆い性質があるため過大な応力が溜まるとクラックに至りやすい。従って、穴あき部品322として使用するガラス材料の熱膨張係数は、接着する下地材のソーダライムガラスの熱膨張係数と大きく異なる材料は使用できないが、熱膨張係数が70〜90×10−7/℃程度の、例えばアルミノケイ酸塩ガラスや亜鉛ホウケイ酸ガラス、またはショット社のスーパーホワイトガラスなどが使用できる。また、セラミック材料は、ガラスほど脆くはないので、使用できる熱膨張係数の許容範囲はやや広がるが、材料としては、たとえばアルミナやフォルステライトなどが使用できる。
【0042】
なお、穴あき部品322の材質と熱膨張係数を選定し、この上に封着するガラス接着層124、および排気孔栓121を封着した結果発生する応力と相反する応力をあらかじめ下地として作りこんでおくことによって、排気孔栓121の封着時に発生する応力を相殺することができる。
【0043】
この場合、例えば排気孔栓121の接着によって圧縮応力が生じる場合は、引っ張り応力が発生する穴あき部品322を下地として予め作りこんでおくことで、排気孔栓121の接着時に両者が相殺するように働く。具体的には、接着層124の熱膨張係数だけでなく、接着層124が固化して固定されたときの排気孔栓121と接着層124および下地材の熱膨張係数の差に関係するので、426合金のような熱膨張特性が非線形の材料では接着層124によって固定される温度(軟化点、屈伏点などで想定)が問題になる。
【0044】
固定される温度は、接着層124の軟化点などに依存するが、固定された応力状態が圧縮か引っ張りかによって穴あき部品322の特性を決定する。例えば、排気孔栓121が426合金(426alloy)で、400℃付近(想定固化温度A)で固化する熱膨張係数αが80×10−7℃の接着材(フリットガラスa)を使うと、発生する応力は単純なソーダライムガラスが下地の場合は圧縮応力となり、この場合は、穴あき部品322に基板101を構成するガラスより熱膨張係数αの小さな材料を使用すると逆応力を予め作りこんでおくことができ、排気孔栓121接着時の応力を相殺することができる(図2参照)。
【0045】
一方、固化する温度が300℃付近(想定固化温度B)と低い接着材(フリットガラスb)を用いる場合、接着材の熱膨張係数αが同じでも426合金の熱膨張係数αが変化するので、応力の向きは反転する(図2参照)。このように熱膨張特性が非線形の場合、温度を特定しないと熱膨張が特定できない。なお、本実施の形態では、穴あき部品322がガラスより構成されているため、ガラス接着層123およびガラス接着層124との接着面に酸化膜を形成する必要がない。これは、穴あき部品322をセラミックで構成する場合も同様である。
【0046】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、穴あき部品322の一方の面に無鉛の低融点ガラスよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品322となる材料のガラス板を用意し、このガラス板に、後述する複数の穴あき部品322となる領域毎に、例えば直径2mmの貫通孔を形成する。これらの複数の貫通孔は、例えば、ドリルを用いて形成することができる。また、公知のエッチングプロセスや超音波加工などを用いてもよい。
【0047】
次に、個別の穴あき部品となる各領域毎に貫通孔が形成されたガラス板の一方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラス(無鉛低融点ガラス)のペースト層(フリットガラス層)を形成する。ガラス接着層123となるフリットガラス層のパターンは、外形が正方形の穴あき板の穴を中心にして円形に形成する。これは、接着面が矩形よりも円形の方が接着したときの応力が集中しにくいからである。ガラス接着層123となるフリットガラス層は、前述したように、基板101を構成するガラスとの熱膨張特性の整合性を優先したガラス材料より構成する。
【0048】
この後、形成したフリットガラス層が溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に上記複数の穴あき部品を作りこんだガラス板をスクライブカットにより切断して各個別領域に切り離せば、ガラス接着層123を備えた複数の穴あき部品322が得られる。なお、セラミック板を用いて同様にすることで、セラミックよりなる穴あき部品322を作製することができる。
【0049】
この後、前述した実施の形態1と同様にすることで、穴あき部品322を基板101の排気孔109に接着し、次いで、外囲器内部を排気するとともに、穴あき部品322の他方の面にガラス接着層124で排気孔栓121を接着すれば、排気孔栓121により排気孔109が封止された状態となる。
【0050】
本実施の形態においても、このような溶融接着におけるガラス接着層124の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品322により吸収(相殺)されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるガラス接着層124を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。ガラス接着層124の熱膨張係数が70〜90×10-7/℃の範囲であれば、亀裂の発生などがない状態で問題なく封止が可能であることが確認されている。
【0051】
これに対し、穴あき部品322を用いずに、排気孔栓121を直接基板101に接着する場合、軟化点が比較的高く、熱膨張特性の整合性が調整できないまま無鉛ガラス材料を用いると、局所的な熱歪と材料の持つ熱膨張特性の違いによって発生する応力に耐えられず、亀裂などが発生し、真空リークに至っている。このように、穴あき部品322を用いることで、排気孔栓121を接着(封着)するために用いる材料の軟化点や熱膨張係数の制約が軽減され、材料選択の範囲がより広くなる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、排気孔栓121および穴あき部品322を用い、低融点ガラスで接着するようにしたので、はんだで接着する場合のように基板101の排気孔109の部分に、予めメタライズ層などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品322は、前述した作製例からも明らかなように、大量生産が容易である。また、使用した低融点ガラスは、鉛を含まず、Bi,Sn,Pなどで主要成分を代替した無鉛材料などを用いることができるので、RoHS指令への適合など対環境性に配慮した製品を生産することができる。
【0053】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態3における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、426合金などの金属材料より構成されたリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品122と排気孔栓121とが金属接着層(排気孔栓側接着層)424により接着しているようにしたものである。金属接着層424は、例えば、無鉛はんだ材から構成されたものである。排気孔栓121は、穴あき部品122に金属接着層424で接着され、穴あき部品122の穴部に連続する排気孔109を封止している。他の構成は、実施の形態1,2と同様であり、説明は省略する。
【0054】
本実施の形態3においては、穴あき部品122のガラス接着層123側の面は、低融点ガラス(無鉛)との密着性を向上させるために、酸化膜(不図示)が形成されている。一方、穴あき部品122の金属接着層424側の面には、無鉛はんだによる接合が容易に行えるように、例えば、金,銀,ニッケルなどのはんだ濡れ性を向上させる金属層(不図示)が形成されている。
【0055】
また、ガラス接着層123は、軟化点が350〜450℃程度,熱膨張係数70〜90×10-7/℃程度の無鉛低融点ガラスである。このガラス接着層123は、溶融して接着するとき、および接着した後において、基板101との間に亀裂が生じるなどの応力が発生しない無鉛のガラス材料であればよく、例えば上部容器108と基板101を封着する封着層110と同様の無鉛低融点ガラスなどを用いるとよい。これら無鉛の低融点ガラスは、たとえば、低融点化させる主要材料であるPbをBi,Sn,Pなどで置き換えたものなどがある。
【0056】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、実施例1にも説明したように、穴あき部品122の一方の面に金属層を形成し、他方の面に低融点ガラス(無鉛材料)のフリットよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品122となる材料の板部材を用意し、この板部材を公知のエッチングプロセスにより加工し、複数の穴あき部品が連結部で連結された状態とする。このように、複数の穴あき部品が連結された状態で、一方の面にメッキにより金層(金属層)を形成する。次いで、これらにウエット水素処理を施し、他方の面に薄い酸化膜を形成する。水蒸気を含んだ水素雰囲気によるウエット水素処理によれば、例えば426合金が露出してる他方の面に、酸化クロムを主体とした薄い酸化膜を形成することができる。
【0057】
次に、上述したように金メッキ層および酸化膜が形成された複数の部品が連結されたシートの酸化膜形成面(他方の面)に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの間での接着において発生する膨張の整合性を優先したガラス材料より構成する。この後、形成したフリットガラス層のフリットガラスが溶融する温度まで昇温してペースト中に含まれるバインダーを除去しておく。最後に連結部を切断して各部分を切り離すことで、ガラス接着層123が形成された複数の封着部品(穴あき部品122)が得られる。なお、金層は、メッキに限らず、スパッタ法や蒸着法により形成してもよい。この場合、金層の形成は、基板側接着層を形成した後に行ってもよい。
【0058】
次に、上述したように作製して用意した封着部品(穴あき部品122)を、基板101の排気孔109に接着固定する。このとき、穴あき部品122の穴部に排気孔109が連続した状態にする。この接着固定は、基板と上部容器とを封着する工程で同時に行われ、穴あき部品122のガラス接着層123を排気孔109部分の基板101に当接させた状態で、ガラス接着層123に用いているガラス材料を融解させることで行う。このとき、接着のための加熱温度は、480℃前後と比較的高い温度となるが、この工程では、Oリングのような冷却部が無く、ワーク全体が均一に加熱されるため排気孔栓の封止工程ほどの温度の制限がない。このため、ガラス接着層123のガラス材料は、比較的軟化点の高い材料でも使用することができる。
【0059】
例えば、上述した穴あき部品122の接着工程では、ベルト炉のような均一な熱的環境下で行われる。このため、局所的な温度差によって生じる熱的歪はなく、穴あき部品と基板とを信頼性よく接着することができる。なお、穴あき部品の接着は、上部容器と基板とを接着する前に、蛍光面やグリッドなどの基板上構成物を焼成する工程を使って予め接着しておくこともできる。
【0060】
一方、従来より用いられている排気孔栓121を用意し、また、排気孔栓121の一方の面に無鉛はんだ材よりなる金属接着層424を形成して封止部品とする。金属接着層424は、例えばはんだペーストを塗布することやフラックスを利用したはんだ槽への浸漬などで形成すればよい。
【0061】
次に、前述したように、基板101の排気孔109の部分に穴あき部品122が接着され、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に固定された状態の蛍光表示装置に対し、図7を参照して既に説明した手法により、外囲器内の真空排気と排気孔109の排気孔栓121による封止とを行う。まず、基板101の排気孔109の周囲に排気ヘッドを接続して排気を行う。この排気においては、よく知られているように、外囲器を300℃程度に加熱して外囲器内部における脱ガスを行う。
【0062】
以上のようにして外囲器内部を所定の圧力にまで真空排気した後、排気ヘッド内に配置されて加熱機構を内蔵している押し上げ棒の上に上記封止部品を配置し、加熱機構を動作させて排気孔栓を加熱し、金属接着層424を溶融させる。この際、金属接着層424としての無鉛はんだを溶融することで、無鉛はんだ中に内包されているガスの除去も同時に行われる。
【0063】
この後、封止部品の加熱を継続しながら押し上げ棒を動作させることで溶融している金属接着層424を、既に接着されている穴あき部品122の金層形成面に当接させる。なお、この加熱の温度は、金属接着層424を構成している無鉛はんだ材が融解する温度とすればよく、例えば250℃程度とすればよい。この温度であれば外囲器のベーキング温度よりも低く、排気ヘッド710のOリング711を痛めることもない。穴あき部品に封止部品(排気孔栓)を当接させた後は、加熱機構を停止し、金属接着層424を冷却、固化させる。これらの工程を経ることにより、排気孔栓121と穴あき部品122とが金属接着層424により接着され、排気孔109が、排気孔栓121により封止された状態が得られる。
【0064】
なお、上述したはんだ付けにおいて、穴あき部品122の表面には、金層が形成されているので、はんだフラックスなどを用いることなく、金属接着層424を構成しているはんだ材が容易に濡れて金属接合が形成されるようになる。はんだフラックスを用いると、加熱により発生するガスにより、外囲器内部に配置されている蛍光表示装置の部品に悪影響を与えるが、これが金層(メタライズ層)を用いることで防げるようになる。
【0065】
本実施の形態によれば、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着における金属接着層424に用いるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122の物理的な伸び、縮みと変形により吸収されるようになる。
【0066】
特に、この穴あき部品の厚みは薄膜の数μmに対して十分な厚みを持っているので、応力吸収に有効である。この結果、例えば、熱膨張特性が異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。なお、排気孔栓を接着することによって発生する応力を相殺する方向の応力が発生する材料で、穴あき部品を予め形成しておくことで、より広範囲の接着材を使用することも可能である。
【0067】
また、従来、排気孔栓をはんだのような金属で封着する場合、基板の排気孔部周囲に金属薄膜でメタライズしておく必要があり、生産性が悪く実用化が難しかったが、本実施の形態によれば、サイズを規格化し、多面取り法により各々の表面をメタライズして生産した複数の穴あき部品122を前もって効率的かつ大量に作っておき、この部品化した下地材(メタライズした穴あき部品)を低融点ガラスで基板に接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分に、直接、メタライズ層などを形成しておく必要がなくなった。この結果、生産性を損ねることなく、無鉛はんだのような金属接合材料を排気孔栓の封止材料として使用できるようになった。また、このことで環境負荷の軽減と真空容器の信頼性の確保を両立させることができる。
【0068】
ところで、金属接着層424は、はんだ材料などの合金に限らず、スズやインジウムなどの融点の低い単独の金属材料から構成されていてもよい。金属接着層424は、400℃以下の温度で溶融する低融点な金属材料(合金を含む)から構成されていればよい。なお、当然ながら、溶融させて接着するガラス接着層123は、外囲器を構成している基板101および穴あき部品122が溶融しない範囲の温度で溶融する低融点なガラス材料である。これは、他の実施の形態においても同様である。
【0069】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態4における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、426合金などの金属材料より構成されて一方の面にニッケル(Ni)やアルミニウム(Al)および銅(Cu)などのクラッド層522が形成されているリング状の穴あき部品122を備え、穴あき部品122がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品122のクラッド層522と排気孔栓121とが金属接着層424により接着しているようにしたものである。
【0070】
穴あき部品122にクラッド材を使用する目的は、ガラスよりなる基板101と接着する側は、426合金や50、52合金など比較的、基板101の熱膨張係数に近い材料を使用して下地との安定した接着を確保し、クラッドする側には金属接着層(排気孔栓側接着層)424と熱膨張の近い材料、もしくは応力吸収層およびはんだ接合層の役割を持たせる材料を配置し、排気孔栓の接着信頼性を確保することである。426合金などを使用する場合、ガラス接着層123との濡れ性を高めるため表面を酸化させておくのは前述の通りである。また、他の構成は、実施の形態1〜3と同様であり、説明は省略する。
【0071】
本実施の形態では、穴あき部品122のクラッド層522の上に、予め無鉛はんだなどからなる金属接着層424を形成しておき、この状態で、穴あき部品122をガラス接着層123によりガラス基板101に接着しておく。なお、ガラス接着層123は、予めガラス基板101の排気孔109の部分に形成しておき、この状態で、ガラス接着層123に穴あき部品122を接着してもよい。この後、封止工程において、金属接着層424に排気孔栓121を当接させて加熱することで、金属接着層424を融解させて排気孔栓121を穴あき部品122に接着させる。この封止工程では、真空排気状態の中で加熱処理が行われるので、金属接着層424が酸化されることが抑制され、溶融した金属接着層424は、安定して排気孔栓121に接着する。
【0072】
本実施の形態においても、前述した実施の形態と同様であり、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着におけるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、これらの間で発生しうる応力が、穴あき部品122により吸収されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0073】
また、本実施の形態においても、排気孔栓121および穴あき部品122を用い、はんだおよび低融点ガラスで接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分には、予め薄膜のメタライズ層などを形成しておく必要がなく、製造工程の増加を招くことがない。また、穴あき部品122は、大量生産が容易である。本実施の形態のように、穴あき部品122を、複数の金属層(クラッド層、めっき層を含む)から構成することで、応力の吸収と接着材との接合(濡れ)性の向上となど複数の特性の向上を図ることができる。
【0074】
上述したように、NiやAl,Ti,Cuなど、もしくは適当な熱膨張係数を持つ合金材料のクラッド層を設けることで、応力調整機能を付加することができる。また、はんだの濡れにくい材質からなる面にはAuめっき層が形成されている穴あき部品とすることで、接着材との接合(濡れ)性を向上させるという機能を付加できる。また、はんだ接合材の追加や応力調整機能を高めるため、3層以上の複数層を積層したクラッド材を使用して穴あき部品とすることも可能である。
【0075】
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態5における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。本実施の形態における蛍光表示装置では、排気孔109の部分における基板101と排気孔栓121との間に、ガラス板より構成されて一方の面に金属層622が形成されているリング状の穴あき部品322を備え、穴あき部品322がガラス接着層123により基板101に接着し、穴あき部品322の金属層622と排気孔栓121とが金属接着層424により接着しているようにしたものである。なお、穴あき部品322は、セラミックから構成されていてもよい。他の構成は、実施の形態1と同様であり、説明は省略する。
【0076】
本実施の形態においては、穴あき部品322の排気孔栓側の面に、はんだ(金属接着層424)による接合が行えるように、はんだ材との接合を可能とする金属層622が必要となる。金属層622は、例えば、金,銀,ニッケル,スズなどの金属材料から構成されていればよい。また、これら金属を組み合わせた積層構造としてもよい。また、金属層622は、例えば、スパッタ法や蒸着法あるいはメッキ法などにより形成すればよい。なお、本実施の形態では、穴あき部品322がガラスより構成されているため、ガラス接着層123の側に酸化膜を形成する必要がない。これは、穴あき部品322をセラミックで構成する場合も同様である。
【0077】
次に、本実施の形態における封止の方法について説明する。はじめに、前述した実施の形態2で説明したように、穴あき部品322の一方の面に金属層622を形成し、他方の面に低融点ガラスのフリットよりなるガラス接着層123を配置して一体とした封着用部品を用意する。この封着用部品の作製について説明すると、前述したように、穴あき部品322となる材料のガラス板を用意し、このガラス板に、後述する穴あき部品322となる個別領域毎に、例えば直径2mmの貫通孔を形成する。
【0078】
次に、穴あき部品の個別領域毎に貫通孔が形成されたガラス板の一方の面に、例えば蒸着法により金属層を形成する。次いで、上記ガラス板の他方の面に、公知のスクリーン印刷法によりフリットガラスのペーストからなるフリットガラス層を形成する。フリットガラスは、前述したように、基板101を構成するガラスとの熱膨張特性の整合性を優先したガラス材料より構成する。このフリットガラス層は焼成して脱バインダーした後、上記ガラス板をスクライブカットにより切断して各個別領域に切り離せば、ガラス接着層123が形成された複数の穴あき部品322が得られる。なお、セラミック板を用いて同様にすることで、セラミックよりなる穴あき部品322を作製することができる。
【0079】
この後、前述した実施の形態3と同様にすることで、穴あき部品322を基板101の排気孔109に接着し、次いで、外囲器内部を排気するとともに、穴あき部品322の金属層622に金属接着層424で排気孔栓121を接着すれば、排気孔栓121により排気孔109が封止された状態となる。
【0080】
本実施の形態によれば、排気孔栓121により排気孔109を封止するときには、金属接着層424を構成しているはんだ材が融解する程度の温度に加熱すればよいので、加熱の温度をあまり高温にすることがなく行える。また、このような溶融接着におけるはんだ材の熱膨張特性が、基板101の熱膨張特性に整合していない状態でも、前述したように穴あき部品322の熱膨張係数を調整し、この上に封着する金属接着層424、および排気孔栓121を封着した結果発生する応力と相反する応力をあらかじめ下地として作りこんでおくことによって、排気孔栓121の封着時にこれらの間で発生しうる応力が、穴あき部品322により吸収(相殺)されるようになる。この結果、例えば、熱膨張特性の異なるはんだ材料からなる金属接着層424を用いても、気密に封止した状態が安定して得られるようになる。
【0081】
また、従来、排気孔栓をはんだのような金属で封着する場合、基板の排気孔部周囲にメタライズしておく必要があり、生産性が悪く実用化が難しかったが、本実施の形態によれば、サイズを規格化し、多面取り法により各々の表面をメタライズして生産した複数の穴あき部品322を前もって効率的かつ大量に作っておき、部品化した下地材(メタライズした穴あき部品322)を低融点ガラスで基板101に接着するようにしたので、基板101の排気孔109の部分に、直接メタライズ層などを形成しておく必要がなくなった。この結果、生産性を損ねることなく、無鉛はんだのような金属接合材料を排気孔栓121の封止材料として使用できるようになった。また、このことで環境負荷の軽減と真空容器の信頼性の確保が両立することができる。
【0082】
なお、ここでは穴あき部品322に形成する金属層622は1層の場合について説明したが、金属層622は2層以上の積層膜としてもよい。たとえば、下地材としてAlやCuなど、延性に富む材料をはんだ付用金属層の下地に積層しておくことで、応力がかかったときのクラックを防止することができる。また、排気孔栓材料については426合金を代表例として説明してきたが、この代わりに穴あき部品として取り上げた金属材料やガラス、セラミック材料に適合する材料を使用してもよく、これらの材料の選定と組み合わせによって、さらに封着時に発生する応力を適度に解消させることができる。
【0083】
なお、上述では、陽極,グリッド,フィラメントを備えるいわゆる3極構造の蛍光表示装置を例に説明したが、これに限るものではなく、グリッドを備えない2極構造の蛍光表示装置など、蛍光体層が形成された陽極を内部に備えた他の蛍光表示装置であっても同様であることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の構成を示す断面図である。
【図1B】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図1C】本発明の実施の形態1における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図1D】本発明の実施の形態における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図2】排気孔栓を接着するときの各材料の熱膨張の関係を示す特性図である。
【図3】本発明の実施の形態2における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態4における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態5における蛍光表示装置の一部構成を示す断面図である。
【図7】外囲器に設けた排気孔に排気ヘッドを接続して外囲器内部を真空排気する方法について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0085】
101…基板、102…配線層、103…絶縁層、103a…スルーホール、104…アノード電極、105…蛍光体層、106…グリッド、107…フィラメント、108…上部容器、109…排気孔、110…封着層、111…電極、112…リード、121…排気孔栓、122…穴あき部品、123…ガラス接着層(基板側接着層)、124…ガラス接着層(排気孔栓側接着層)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体層が形成された陽極および電子放出源を内部に収容するガラスからなる外囲器と、
この外囲器に形成された排気孔と、
前記外囲器の前記排気孔の部分に無鉛ガラスよりなる基板側接着層で接着された穴あき部品と、
前記穴あき部品に無鉛材料からなる排気孔栓側接着層で接着され、前記穴あき部品の穴部に連続する前記排気孔を封止する排気孔栓と
を少なくとも備えることを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の蛍光表示装置において、
前記穴あき部品は、金属から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の蛍光表示装置において、
前記穴あき部品は、ガラスおよびセラミックから選択された材料から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光表示装置において、
前記排気孔栓側接着層は、無鉛ガラスから構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光表示装置において、
前記排気孔栓側接着層は、400℃以下の温度で溶融する鉛を含まない金属から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項1】
蛍光体層が形成された陽極および電子放出源を内部に収容するガラスからなる外囲器と、
この外囲器に形成された排気孔と、
前記外囲器の前記排気孔の部分に無鉛ガラスよりなる基板側接着層で接着された穴あき部品と、
前記穴あき部品に無鉛材料からなる排気孔栓側接着層で接着され、前記穴あき部品の穴部に連続する前記排気孔を封止する排気孔栓と
を少なくとも備えることを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の蛍光表示装置において、
前記穴あき部品は、金属から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の蛍光表示装置において、
前記穴あき部品は、ガラスおよびセラミックから選択された材料から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光表示装置において、
前記排気孔栓側接着層は、無鉛ガラスから構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光表示装置において、
前記排気孔栓側接着層は、400℃以下の温度で溶融する鉛を含まない金属から構成されている
ことを特徴とする蛍光表示装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−27434(P2010−27434A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188436(P2008−188436)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000117940)ノリタケ伊勢電子株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000117940)ノリタケ伊勢電子株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
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