説明

蜂の子およびローヤルゼリーを含有する抗酸化組成物

【課題】本発明の目的は、安全に摂取可能な抗酸化剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、特定の原料を組み合わせて含むことにより相乗的に抗酸化効果を発揮する抗酸化剤を提供することである。
【解決手段】本発明により、蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分として蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤、ならびに当該抗酸化剤を含む経口摂取用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に酸素は、生命体にとって必須のものであるが、一方で生体に害を及ぼすことも知られている。特に、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素および脂質などが酸化されて生じる過酸化物は、生体に大きな障害をもたらすことが指摘されている。近年、生活慣習病として位置づけられている血栓症や脳循環関連の疾患の発症にも酸化ストレス、特に血管内皮細胞の酸化ストレスが関与していることが知られている。さらに、酸化ストレスは、老化促進に関与し、皮膚のしわ、シミ、くすみなどを誘発することも知られている。このため、生体において、有害な酸化反応を制御することは、健康の維持および美容にとって大変有用なことであり、種々の抗酸化剤が注目されている。
【0003】
また、食品などの経口摂取用組成物の品質低下に酸化が関与することが知られている。特に油脂類の酸化は色や風味の悪化、栄養価の低下などを引き起こし、場合によっては酸化により生じた過酸化物が消化障害を引き起こすこともある。経口摂取用組成物の酸化を防止する抗酸化剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエンなどが使用されている。
【0004】
従来、日本の一部の地域では、蜂の幼虫または蛹を「蜂の子」として食用に供している。蜂の子は、特定のアミノ酸組成を有する食品であり、疲労回復効果などを有するとの報告がされている(特許文献1〜3)。
【0005】
ローヤルゼリーは、働き蜂の頭部の分泌腺(咽頭腺)から分泌される乳白色のクリーム状の物質で、ミツバチの女王蜂の餌となる物質である。ローヤルゼリーは滋養強壮を目的とした健康食品に多く用いられており、化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤の成分としても使用されている(特許文献4〜7)。
【特許文献1】特開2002−17296号公報
【特許文献2】特開2006−197911号公報
【特許文献3】特開2001−204421号公報
【特許文献4】特開2001−292712号公報
【特許文献5】特開2002−20226号公報
【特許文献6】特開2003−219816号公報
【特許文献7】特開2006−280249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化ストレスから体を守るために、また、経口摂用組成物の酸化を防ぐために、日常的に摂取可能であり、かつ安全な抗酸化剤が求められている。本発明の目的は、安全に摂取可能な抗酸化剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、特定の原料を組み合わせて含むことにより相乗的に抗酸化効果を発揮する抗酸化剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、蜂の子およびローヤルゼリーを含む組成物に良好な抗酸化効果を見いだし、本発明を完成させた。
本発明の一つの側面によれば、蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤が提供される。
【0008】
本発明で使用される蜂の子は、食用に供せられている蜂の幼虫または蛹であれば特に限定されず、例えば、ミツバチ科の蜂(例えば、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)、トウヨウミツバチ(Apis cerana)、サバミツバチ(Apis koschevnikovi)、キナバルヤマミツバチ(Apis nuluensisi)、クロオビミツバチ(Apis nigrocincta)、オオミツバチ(Apis dorsata)、ヒマラヤオオミツバチ(Apis laboriosa)、コミツバチ(Apis florea)、クロコミツバチ(Apis andreniformis));スズメバチ科の蜂(例えば、オオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)、ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)、キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)、コガタスズメバチ(Vespa analis)、モンスズメバチ(Vespa crabro)、チャイロスズメバチ(Vespa dybowskii)、クロスズメバチ(Vespula flaviceps)、キオビホオナガスズメバチ(Dolichovespula media)、ヤミスズメバチ(Provespa属));およびアシナガバチ科の蜂(例えば、セグロアシナガバチ(Polistes jadwigae)、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)、フタモンアシナガバチ(Polistes chinensis)、コアシナガバチ(Polistes snelleni)、キボシアシナガバチ(Polistes mandarinus))などの幼虫または蛹を使用することができる。本発明では、例えば、ミツバチ科の蜂(特に、セイヨウミツバチ)、オオスズメバチ、キイロスズメバチまたはクロスズメバチの蜂の子を、好ましくはセイヨウミツバチの蜂の子を使用することができる。
【0009】
蜂の子は、例えば、女王蜂、働き蜂および雄蜂、好ましくはオス蜂の幼虫または蛹を使用することができ、抗酸化効果に優れることから、例えば、孵化後10〜24日後、好ましくは20〜22日後の蛹を使用することができる。
【0010】
採取した蜂の子は、例えば、乾燥・粉砕し、粉末状にして使用することができ、例えば、特開2002−17296号公報(段落番号[0006])に開示された方法で調製した蜂の子の粉末を本発明に用いてもよい。本発明の1つの態様においては、採取後に−80〜−5℃で冷凍した蜂の子を使用前に自然解凍し、攪拌機で混合後、得られた混合物を10〜20分間煮沸殺菌し、凍結乾燥の後に篩分(10〜200メッシュ)して得られた粉末を使用することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記蜂の子粉末から、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)および/または水を抽出溶媒として用いて得られる蜂の子抽出物を使用することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記蜂の子粉末を、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素により分解して得られる酵素分解物を使用することができる。
本発明の1つの態様において、蜂の子に水を加え、撹拌しながら25〜50℃で30分〜3時間加熱抽出し、室温まで冷却後、濾過して得られた溶液(蜂の子抽出液)に任意で賦形剤を加え、その後噴霧乾燥し、造粒・篩分して得られる粉末を本発明の蜂の子として使用することができる。
【0013】
本発明において、蜂の子抽出液に賦形剤を加えることで製造における取り扱いを容易にすることができる。本発明で使用できる賦形剤としては、医薬または食品に利用可能な賦形剤、例えば、デキストリン、コーンスターチ、米粉、乳糖、バレイショデンプン、還元澱粉糖化物、二酸化ケイ素などを使用することができる。
【0014】
本発明の抗酸化剤中の蜂の子の配合量は、特に制限されないが、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、とくに好ましくは80重量%以上含有されることが好ましい。
【0015】
本発明で使用されるローヤルゼリーは、食用に供せられているローヤルゼリーであれば特に限定されず、例えば、「ローヤルゼリーの表示に関する公正競争規約」(社団法人全国ローヤルゼリー公正取引協議会により作成)に記載されている「生ローヤルゼリー」、「乾燥ローヤルゼリー」および「調製ローヤルゼリー」を使用することができ、いずれも、例えば、ミツバチ科の蜂(特に、セイヨウミツバチおよびその亜種(Apis mellifera、Apis mellifera adansonii、Apis mellifera scutellata))から採取されるローヤルゼリー、好ましくはセイヨウミツバチから採取されるローヤルゼリーを使用することができる。本発明では、例えば、セイヨウミツバチから採取されるローヤルゼリーを乾燥して得られる粉末を使用することが好ましい。
【0016】
本発明の1つの態様において、採取後に−80〜−5℃で冷凍したローヤルゼリーの原液を凍結乾燥の後に攪拌機で粉砕し、篩分(10〜200メッシュ)して得られた粉末を本発明のローヤルゼリーとして使用することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記ローヤルゼリー粉末から、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)および/または水を抽出溶媒として用いて得られるローヤルゼリー抽出物を使用することができる。
【0018】
本発明においては、前記ローヤルゼリー粉末およびローヤルゼリー抽出物を、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素により分解して得られる酵素分解物を使用することができる。
【0019】
本発明の1つの態様において、ローヤルゼリーに水を加え、撹拌しながら25〜50℃で30分〜3時間加熱抽出し、室温まで冷却後、濾過して得られた溶液(ローヤルゼリー抽出液)に任意で賦形剤を加え、その後噴霧乾燥し、造粒・篩分して得られる粉末を本発明のローヤルゼリーとして使用することができる。
【0020】
本発明において、ローヤルゼリー抽出液に賦形剤を加えることで製造における取り扱いを容易にすることができる。本発明で使用できる賦形剤としては、医薬または食品に利用可能な賦形剤、例えば、デキストリン、コーンスターチ、米粉、乳糖、バレイショデンプン、還元澱粉糖化物、二酸化ケイ素などを使用することができる。
【0021】
本発明の蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤は、配合比率はとくに制限されないが、ローヤルゼリー1重量部に対して蜂の子が0.6重量部以上であることが好ましく、1.2重量部以上であることがより好ましい。また、ローヤルゼリー1重量部に対して蜂の子が60重量部以下であることが好ましい。この範囲内であれば、優れた抗酸化効果を奏する抗酸化剤とすることができる。
【0022】
本発明の抗酸化剤中の蜂の子およびローヤルゼリーの配合量は、特に制限されないが、好ましくは合計で50重量%以上、より好ましくは合計で60重量%以上、さらに好ましくは合計で70重量%以上、とくに好ましくは合計で80重量%以上含有されることが好ましい。
【0023】
本発明において使用される各原料には、それぞれの原料に特有の成分が含まれている。
蜂の子に特有の成分としては、蛹や成虫の外殻成分であるキチンが挙げられ、蜂の子の乾燥粉末に1〜10重量%含まれている。
【0024】
ローヤルゼリーに特有の成分としては、デセン酸が挙げられ、ローヤルゼリーの乾燥粉末に2〜10重量%含まれている。
本発明の一つの態様において、本発明の抗酸化剤に含まれる蜂の子由来のキチンの量は、例えば0.0005重量%以上、特に0.001重量%以上であり、例えば0.1重量%以下、特に0.05重量%以下である。また、本発明の抗酸化剤に含まれるローヤルゼリー由来のデセン酸の量は、例えば0.0015重量%以上、特に0.003重量%以上であり、例えば0.3重量%以下、特に0.08重量%以下である。
【0025】
なお、本発明の抗酸化剤における各成分は、それぞれ当業者に周知の方法によって測定することができ、その測定値に基づいて配合量を算出することができる。
本発明の抗酸化剤は、優れた抗酸化効果を奏することから、そのまま又は経口摂取用組成物に配合して用いることができる。例えば、本発明の抗酸化剤を経口摂取用組成物に配合して用いた場合、活性酸素に起因して生じる各種障害などの治療、改善および/または予防用としてだけではなく、当該経口摂取用組成物自体の酸化防止剤としても有効に使用できる。本発明の経口摂取用組成物中の抗酸化剤の配合量は特に制限されないが、優れた抗酸化効果を得るために、アスコルビン酸当量として0.0003重量%以上であることが好ましい。ここで、経口摂取用組成物には、食品組成物および経口摂取用医薬組成物が含まれる。
【0026】
本発明の食品組成物は、抗酸化作用を有する健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品、サプリメントなど)、病者用食品などとすることができる。
本発明の食品組成物は、本発明の抗酸化剤(好ましくは、アスコルビン酸当量として0.0003重量%以上)を含み、アスコルビン酸やトコフェロールなどの公知の酸化防止剤を含まなくとも非常に優れた抗酸化効果を奏し、安全であり、色、風味、栄養価などの点で長期安定性に優れる。また、本発明の食品組成物は、高い抗酸化活性を有するので、当該食品組成物の摂取により、生体内に存在する活性酸素に起因して生じる各種障害(心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、癌、脳卒中、白内障、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症、シミ、ソバカス、しわ、肝斑、くすみ、その他の肌の衰えなど)の改善および/または予防用、ならびに肌のハリ、肌のつや、化粧ののり、肌のかさつき、肌のきめ、肌のくすみ、肌の吹き出物・にきび、肌の弾力性の改善および/または予防用として摂取することができる。
【0027】
本発明の医薬組成物は、本発明の抗酸化剤(好ましくは、アスコルビン酸当量として0.0003重量%以上)を含み、非常に優れた抗酸化活性を有するので、当該医薬組成物の摂取により、生体内に存在する活性酸素に起因して生じる各種障害(心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、癌、脳卒中、白内障、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症、シミ、ソバカス、しわ、肝斑、くすみ、その他の肌の衰えなど)の治療、改善および/または予防用、ならびに肌のハリ、肌のつや、化粧ののり、肌のかさつき、肌のきめ、肌のくすみ、肌の吹き出物・にきび、肌の弾力性の治療、改善および/または予防用として摂取することができる。また、本発明の医薬組成物はそれ自体も酸化されにくく、本発明の抗酸化剤以外の有効成分の酸化や変色などを長期間防ぐことができる。
【0028】
本発明の経口摂取用組成物は、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の着色剤、保存剤、香料、風味剤、コーティング剤等の成分を配合することもできる。
また、本発明の経口摂取用組成物は、上記抗酸化剤に加えて、さらに植物の加工物、機能性成分、または薬効成分を配合することができる。なお、これらの成分は、1種単独で上記抗酸化剤と組み合わせて使用してもよいし、また、2種以上を任意に組み合わせて上記抗酸化剤と併用することもできる。
【0029】
併用できる植物の例としては、本発明で使用する抗酸化剤と同様に、抗酸化作用などを有する植物抽出物(例えば、アカメガシワ、カキノキ、クワ、セイヨウオトギリソウ、ツボクサ、サクヨウガレーガ、ヤーバサンタ、ローズヒップ、アスナロ、アセンヤク、イタドリ、イチヤクソウ、アンズ、ケイカンカ、ハクカユマトウ、シラカバ、セイヨウサンザシ、セイヨウノコギリソウ、タラヨウ、ドクダミ、トルメンチラ、バクモンドウ、ヒバ、ブドウ、ムクロジ、モッカ、レイシ、ローマカツミレなどの抽出物);ヒアルロニダーゼ阻害作用を有する植物抽出物(例えば、ブドウの種子、ひじき、モロヘイヤ、ハマスゲ、穀類(例えば、豆、米および麦など)、ハーブ類(例えば、ミルラ、バジル、タイムなど)、カカオエキス、コーヒーエキス、梅肉エキス、サンザシエキス、およびクロレラなどの抽出物);女性ホルモン様作用を有する大豆抽出物やブラックコホシュエキス;血圧降下作用および精神安定を有する米胚芽抽出物などを挙げることができる。さらに本発明の抗酸化剤はプロポリスと併用してもよい。
【0030】
また、本発明の経口摂取用組成物の栄養面を向上させる成分の例としては、フィチン酸、黒ニンニク、黒酢、ローヤルゼリー、黒胡椒、エゾウコギ、トンカットアリ、パフィア、ムイラプアマ、タヒボ、田七人参、紅景天、羅漢果、レイシ、ニガウリ、カイアポ、ヤーコン、マテ茶、スギナ、トナカイの角などを挙げることができる。
【0031】
機能性成分の例としては、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤などを挙げることができる。
ここで、抗酸化剤の例としては、制限されないが、乾燥酵母、グルタチオン、リポ酸、ケルセチン、カテキン、コエンザイムQ10、エンゾジノール、プロアントシアニジン類、アントシアニジン、アントシアニン、カロチン類、リコピン、フラボノイド、リザベラトロール、イソフラボン類、亜鉛、イチョウ葉、月桃葉、ハイビスカス、メラトニンを挙げることができる。
【0032】
血糖降下剤の例としては、制限されないが、難消化性デキストリン、グアバ葉、小麦アルブミン、L-アラビノース、豆鼓エキス、桑葉、しょうが、サラシア、α-リノレン酸、アマチャヅル、オオムギ、キダチアロエ、セイヨウタンポポ、ダイダイ、チョウセンアザミ、ニンニク、ハトムギ、バナバ、ビルベリー、ブラックコホシュ、マコモ、コタラヒム、杜仲葉を挙げることができる。
【0033】
抗コレステロール剤の例としては、制限されないが、大豆タンパク質、リン脂質結合大豆ペプチド、キトサン、植物ステロールエステル、植物ステロール、植物スタノールエステル、難消化性デキストリン、アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮、アスタキサンチン、イノシトール、コエンザイムA、カルシウム、マグネシウム、カルニチン、シルクプロテイン、タウリン、メチオニン、α-リノレン酸、グアガム、コンドロイチン硫酸、アマチャヅル、アルファルファ、イチョウ、オオバコ、オオムギ、オーツ麦、オリーブ、ガジュツ、ギムネマ、キャッツクロー、クコ、クロレラ、スピルリナ、西洋サンザシ、大豆サポニン、唐辛子、ニンニク、ビルベリー、ベニバナ、ユッカ、ラフマ、アガリクス、紅麹を挙げることができる。
【0034】
免疫賦活剤の例としては、アガリクス、ラクトフェリン、冬虫夏草、アルギニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、キチン、キトサン、アロエ、キダチアロエ、エキナセア、オウギ、キャッツクロー、クコ、スピルリナ、ハトムギ、紅花、マカ、マコモ、ラフマを挙げることができる。
【0035】
薬効成分の例としては、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ミネラル分(鉄、亜鉛、マグネシム、ヨードなど)、脂肪酸(EPA、DHAなど)を挙げることができる。
【0036】
ここでビタミンの例としては、ビタミンA群に属するビタミン〔例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン及びそれらの薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など〕、ビタミンB群に属するビタミン〔例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール、パンガミン酸及びそれらの薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など〕、ビタミンC群に属するビタミン〔アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など〕、ビタミンD群に属するビタミン〔例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール及びそれらの薬理学的に許容される塩類など〕、ビタミンE群に属するビタミン〔例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など〕、その他のビタミン〔例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン(ビタミンP)、エリオシトリン、ヘスペリジン及びそれらの薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など〕を挙げることができる。
【0037】
またアミノ酸の例としては、ロイシン、イソイロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、シスチンまたはこれらの薬理学的に許容される塩類(例えばアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩酸システインなど)、などを挙げることができる。好ましい例は、バリン、ロイシンおよびイソロイシン等の分岐鎖アミノ酸、グルタチオン、システイン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、メチオニン、スレオニン、リジン、シスチン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、プロリン、アミノエチルスルホン酸である。
【0038】
また、上記本発明の経口摂取用組成物は、上記の抗酸化剤をそのまま経口用組成物として使用してもよいし、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒剤(ドライシロップを含む)、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、錠剤(チュアブル剤などを含む)、散剤(粉末剤)、丸剤などの各種の固形製剤、または内服用液剤(液剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)などの液状製剤等の形態で調製することが望ましく、なかでもカプセル剤、錠剤の形態が各成分の安定性や摂取の簡便さの点からは好ましいが、特に限定されるものではない。
【0039】
カプセル剤、錠剤形態の本発明の経口摂取用組成物は、薬学的に許容される公知の担体を用いることができ、医薬や食品(特にサプリメント)の分野で採用されている通常の製剤化手法を適用することができる。例えば、錠剤は、各成分を処方に従って添加配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、得られた調製混合物を打錠することによって調製することができる。
【0040】
さらに、必要に応じて、製剤化のための添加物、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、分散剤、湿潤剤、防腐剤、粘稠剤、pH調整剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、溶解補助剤などを配合することができる。また、液剤の形態にする場合は、ペクチン、キサンタンガム、グアガムなどの増粘剤を配合することができる。これにより、蜂の子など水に溶けにくい成分を多く配合した場合であっても液剤中に首尾よく分散させることができ、また安定性も向上させることができる。また、コーティング剤を用いてコーティング錠剤にしたり、ペースト状の膠剤とすることもできる。さらに、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。
【0041】
さらに、顆粒状、粉末状、液状等の形態の本発明の経口摂取用組成物は、例えば、飲料、菓子類、パン類、スープ類等の各種飲食品;ドッグフード、キャットフード等の各種ペットフード等に添加して各種飲食品として調製することもできる。これらの飲食品の製造方法は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
【0042】
本発明の抗酸化剤または経口摂取用組成物の投与量は、対象の体型、年齢、体調、重篤度等により、適宜選択することができ、例えば、体重60kgの成人を基準として、本発明の抗酸化剤が100〜3000mg/日、好ましくは300〜2000mg/日、さらに好ましくは500〜1000mg/日の用量で使用される。当該経口摂取用組成物の投与は、単回投与または複数回投与であってもよく、たとえば他の抗酸化剤などの他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の抗酸化剤は優れた抗酸化作用を有する。これにより、(1)当該抗酸化剤を含む経口摂取用組成物の変色、風味の悪化、および栄養価の低下を防止し、ならびに当該経口摂取用組成物に含まれる有効成分の効果を長期間安定化することができる、(2)当該抗酸化剤を含む経口摂取用組成物を摂取することで、生体内に存在する活性酸素に起因して生じる各種障害(心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、癌、脳卒中、白内障、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症、シミ、ソバカス、しわ、肝斑、くすみ、その他の肌の衰えなど)の治療、改善および/または予防、ならびに肌のハリ、肌のつや、化粧ののり、肌のかさつき、肌のきめ、肌のくすみ、肌の吹き出物・にきび、肌の弾力性などを改善および/または予防することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において示されるパーセンテージは特に言及がなければ重量%を意味する。
【0045】
各試料の調製
試験に使用した蜂の子およびローヤルゼリーは以下の方法で調製した。
[蜂の子]
セイヨウミツバチの孵化後20〜22日の蛹を採取後に−18℃で冷凍した。その後使用前に自然解凍した蜂の子を攪拌機で混合後、得られた混合物を60分間煮沸殺菌した。その後、凍結乾燥して篩分(50メッシュ)し、蜂の子粉末を得た。
【0046】
また、得られた蜂の子粉末のキチン含量をキチン・キトサン実験マニュアル(キチン・キトサン研究会編 技報堂出版)の「第5章 キチン,キトサンの分析」に従って測定した結果、キチン含有率は5.0重量%(乾燥粉末重量あたり)であった。
【0047】
[ローヤルゼリー]
採取後に−18℃で冷凍したローヤルゼリーの原液を凍結乾燥して得られた固体を粉砕機で粉砕し、篩分(50メッシュ)して得られた粉末をローヤルゼリーとして使用した。また、得られたローヤルゼリー粉末を高速液体クロマトグラフィー法(高速液体クロマトグラフィーハンドブック(改定2版)、日本分析化学学会関東支部編参照)に供し、デセン酸含有率を測定した結果、デセン酸の含有率は5.9重量%(乾燥粉末重量あたり)であった。
【0048】
[試験例1]抗酸化活性測定試験
[試料溶液の調製]
以下表1〜4に従い、所定の濃度となるように調製した各試料の粉末のジメチルスルホキシド溶液から100μLを取り、遠心分離(5000rpm×5分)の後に、上澄み液から10μLを採取し試料溶液とした。
【0049】
[測定方法]
ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(以下、DPPHと称する;ナカライテスク、#13933−61)をエタノール(Wako、特級)に溶解させ、200μMのDPPH/エタノール溶液を調製した。96ウェルマイクロプレートの各ウェルに、DPPH溶液(190μL)および試料溶液(10μL)を加え、5分間撹拌後、30分間室温にて放置し、その後マイクロプレートリーダー(テカンジャパン株式会社製、製品名:GENios)にて530〜550nmの波長の吸光度を測定した。
【0050】
[検量線の作成]
まず、試料溶液としてL−アスコルビン酸を用いて濃度と吸光度の変化を測定した。その結果を表1に示す。表中、AscはL−アスコルビン酸の濃度(重量%)、Absは試料の550nmにおける吸光度の測定値、(Bla−Abs(550nm))は(ブランク吸光度測定値−試料吸光度測定値)を示す。また、表1より検量線を作成し、以下の式を得て、各試料の抗酸化活性をL−アスコルビン酸当量(Asc(%)[EQ])で示した。
(ブランク吸光度測定値−試料吸光度測定値)=24.566×(L−アスコルビン酸濃度)+0.0029
【0051】
【表1】

【0052】
蜂の子の抗酸化活性
蜂の子粉末を試料溶液として抗酸化活性を測定し、L−アスコルビン酸当量を算出した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
上記結果より、蜂の子が抗酸化活性を有することが確認された。
ローヤルゼリーの抗酸化活性測定試験
ローヤルゼリー粉末を試料溶液として抗酸化活性を測定し、L−アスコルビン酸を算出した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
ローヤルゼリーの抗酸化効果は、蜂の子に比較して非常に低いことが確認された。
蜂の子とローヤルゼリーの混合物の抗酸化活性測定試験
蜂の子粉末およびローヤルゼリー粉末の混合物を試料溶液として抗酸化活性測定を行った。結果を表4に示す。表中の理論値は、蜂の子およびローヤルゼリーを各濃度で単独で使用した場合のAsc(%)[EQ]測定値(表2および表3)の和であり、相乗効果は、混合物のAsc(%)[EQ]測定値と理論値の比である。
【0057】
【表4】

【0058】
表4では、ローヤルゼリー1重量部に対して蜂の子を0.6〜60重量部を含む混合物において、理論値を上回る抗酸化効果を確認した。この結果より、蜂の子およびローヤルゼリーを混合することにより抗酸化活性が相乗的に高まることが確認された。
【0059】
ここで、飲食品や化粧品およびその原材料の酸化防止剤として一般的に使用されているアスコルビン酸は、例えば、食品素材に注入または配合される場合、0.0003〜0.0005重量%程度で酸化防止剤として有効である(食品添加物公定書解説書(第8版)、谷村顕雄著、廣川書店、2007年参照)。本試験の結果、蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤は、L−アスコルビン酸と同様に優れた抗酸化活性が得られており、抗酸化剤として優れていることが分かった。特に、酸化防止能に優れた経口組成物や、酸化に起因する肌などの種々の障害を治療、改善および/または予防するための経口組成物として本発明の抗酸化剤を含有することができる。
【0060】
[処方例]
処方例1〜9(錠剤)
表5に記載する処方からなる組成物を(処方例1〜9)を、慣用法に従って錠剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、それを定法に従って打錠して錠剤の形態で調製した。
【0061】
【表5】

【0062】
処方例10〜20(顆粒剤)
表6に記載する処方からなる組成物(処方例10〜20)を、慣用法に従って顆粒剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、定法に従って混合、造粒、乾燥および整粒して顆粒剤の形態にした。
【0063】
【表6】

【0064】
処方例21〜30(液剤)
表7に記載する処方からなる組成物(処方例21〜30)を、慣用法に従って液剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、定法に従って混合して液剤の形態にした。
【0065】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂の子およびローヤルゼリーを含む抗酸化剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗酸化剤を含む、経口摂取用組成物。

【公開番号】特開2010−37235(P2010−37235A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200162(P2008−200162)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】