説明

融雪槽

【課題】生活排水の温熱を利用して融雪を行なうことにより、設置費及びランニングコストの節減を図った融雪槽を提供する。
【解決手段】投雪孔2を備えた融雪槽本体3に、生活排水を導入するための生活排水導入パイプ4を接続し、且つ、排水パイプ5を接続した融雪槽1を提供する。生活排水導入パイプ4は、多階建てマンションの生活排水路に接続され、生活排水路は、浴槽及び/又は台所に接続されている。更に、融雪槽1は、地上から投雪自在の地中埋設型融雪槽であり、投雪孔2はグレーチング蓋8を備えている。更に又、融雪槽1は、融雪槽本体3内の下部の水を強制排水するための排水ポンプ9を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活排水の温熱を利用して融雪を行なうようにした融雪槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の融雪槽は、灯油や電気などを熱源として設置されるものが多く、設置費及びランニングコストにおいて高コストとなる問題点があった。
特許文献1も温水ボイラを利用する融雪槽の一例を示している。
【特許文献1】特開2000−154512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したように、従来の融雪槽は、灯油や電気などを熱源とするため、設置費及びランニングコストがかかるという問題がある。
一方、温水を含む生活排水が、その熱を有効利用されることなく、そのまま排水されており、特に、多階建てマンションの多量の生活排水は大量の熱源となる可能性があり、融雪等への有効利用が望まれている。
【0004】
以上の現状に鑑み、本発明は、生活排水の温熱を利用して融雪を行なうことにより、設置費及びランニングコストの節減を図った融雪槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、投雪孔を備えた融雪槽本体に、生活排水を導入するための生活排水導入路を接続したことを特徴とする融雪槽を提供するものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記生活排水導入路は、多階建てマンションの生活排水路に接続されていることを特徴とする請求項1記載の融雪槽を提供するものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記生活排水導入路は、浴槽及び/又は台所に接続された生活排水路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の融雪槽を提供するものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記融雪槽は、地上から投雪自在の地中埋設型融雪槽であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記投雪孔にグレーチング蓋を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【0010】
請求項6に係る発明は、前記融雪槽は、前記融雪槽本体内の下部の水を強制排水するための排水ポンプを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【0011】
請求項7に係る発明は、前記融雪槽本体内に、大型冷蔵庫の排熱側と熱交換する熱交換手段に接続された配管が蛇行して配設されることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【0012】
請求項8に係る発明は、前記生活排水導入路は、流路切替手段を備え、前記流路切替手段によって、前記融雪槽内に生活排水を導入自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記流路切替手段は、前記生活排水導入路の分岐路と、前記生活排水導入路の前記分岐路の分岐部よりも下流の下流路との両路に夫々配設される開閉弁であることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一に記載の融雪槽を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の発明によれば、投雪孔を備えた融雪槽本体に、生活排水を導入するための生活排水導入路を接続した融雪槽を提供するので、生活排水の温熱を利用して融雪を行なうことにより、灯油や電気などを熱源を不要として、熱源の設置費及びランニングコストの節減を図った融雪槽を提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、前記生活排水導入路は、多階建てマンションの生活排水路に接続されているので、請求項1記載の発明の効果に加え、多階建てマンションの多量の生活排水を融雪のための大量の熱源として利用することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、前記生活排水導入路は、浴槽及び/又は台所に接続された生活排水路に接続されているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、浴槽排水及び/又は台所排水に含まれる温水を融雪のための熱源として利用できる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、前記融雪槽は、地上から投雪自在の地中埋設型融雪槽であるので、請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、地上から容易に投雪できると共に、地中の熱を熱源として利用することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、前記投雪孔にグレーチング蓋を備えるので、請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、蓋をしたまま投雪することができ、又は、蓋が比較的軽量であるので、蓋を開けやすいという利点がある。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、前記融雪槽は、前記融雪槽本体内の下部の水を強制排水するための排水ポンプを備えているので、請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、融雪槽本体内の下部の比較的冷たい水を排出して、熱源となる生活排水の融雪槽本体内からの流出を防止することができる。又、融雪を行なわない時、融雪槽内の水を排出することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、前記融雪槽本体内に、大型冷蔵庫の排熱側と熱交換する熱交換手段に接続された配管が蛇行して配設されるので、請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、大型冷蔵庫の排熱を融雪の熱源として利用することができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、前記生活排水導入路は、流路切替手段を備え、前記流路切替手段によって、前記融雪槽内に生活排水を導入自在に構成されているので、請求項1乃至7のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、融雪槽の融雪機能を必要としない場合、特に、夏場等に於いては、切替手段によって融雪槽内に生活排水を導入せず、融雪槽内に水道水等の水を蓄え、防火用水等として利用することが可能である。
【0022】
請求項9記載の発明によれば、前記流路切替手段は、前記生活排水導入路の分岐路と、前記生活排水導入路の前記分岐路の分岐部よりも下流の下流路との両路に夫々配設される開閉弁であるので、請求項1乃至8のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、開閉弁の一方を閉じ、他方を開くことにより、生活排水導入路又は分岐路に生活排水の流れを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1に於いて、1は、本発明の融雪槽であり、融雪槽1は、投雪孔2を備えた融雪槽本体3に、生活排水を導入するための生活排水導入路である生活排水導入パイプ4を接続し、且つ、排水パイプ5を接続したものである。尚、生活排水導入パイプ4の接続部は、排水パイプ5の接続部よりも高い位置に設けられる。又、投雪孔2は、融雪槽1の上方開口部をそのまま利用するものであっても良い。
【0024】
前記生活排水は、一個建て住宅の生活排水でも良いが、好適には、多階建てマンション、特に、5階建て以上のマンションの生活排水が適しており、多階建てマンションの多量の生活排水は、融雪のための大量の熱源として利用することができる。尚、多階建てマンション以外の多階建てビル、例えば、ホテル、旅館等の排水など、温水を含む排水であれば、本発明の融雪槽1に使用して本発明の効果が期待できる。
【0025】
又、前記生活排水は、浴槽排水及び/又は台所排水を含んでいることが好ましく、浴槽排水及び/又は台所排水に含まれる温水を融雪のための熱源として利用できる。
【0026】
更に、前記融雪槽1は、地中埋設型融雪槽として形成され、地上から投雪できるように、投雪孔2が地表に露出するように地中6に埋設される。地中6に埋設することにより、地中6の熱を熱源として利用することができる。
【0027】
更に又、前記融雪槽1は、上部に天板7を備え、天板7に形成された投雪孔2にグレーチング蓋8を備える。グレーチング蓋5によって、蓋をしたまま融雪槽1内に投雪することができ、又は、蓋が比較的軽量であるので、蓋を開けやすいという利点がある。
【0028】
そして、前記融雪槽1は、融雪槽本体3内の下部の水を強制排水するための排水ポンプ9を備え、融雪槽本体3内の下部の水を排水ポンプ9に接続された配管10を介して公共用排水溝12に強制排水するように構成されている。これによって、融雪槽本体3内の下部の比較的冷たい水を排出して、熱源となる生活排水の融雪槽本体3からのオーバーフローによる流出を防止することができる。又、融雪を行なわない時、排水ポンプ9によって融雪槽1内の生活排水及び融雪水等を排出することも可能である。
尚、排水ポンプ9の吸入口(図示せず)には、濾過フィルター(図示せず)が配設されている。又、図に於いて、排水ポンプ9を融雪槽本体3内の下部に設置したが、その構成に代えて、排水ポンプ9を地上に設置し、排水ポンプ9が配設された配管10の先端を融雪槽本体3内の下部に開口させても良い。
【0029】
更に、融雪槽本体3内に、大型冷蔵庫(図示せず)の排熱側と熱交換する熱交換手段(図示せず)に接続された配管11が蛇行状態に配設される。これにより、大型冷蔵庫の排熱を融雪の熱源として利用することができる。
【0030】
満水状態から溢れた(オーバーフローした)融雪槽1内の水は、融雪槽1から排水パイプ5を介して公共用排水溝12に排水される。
又、排水ポンプ9による排水も配管10を介して公共用排水溝12に排水される。
尚、図に於いて、13は、融雪槽本体3底部下方に敷き詰められる砂利を示す。
【0031】
図2は、前記融雪槽1と、多階建てマンション21の生活排水路22とを生活排水導入パイプ4によって接続した状態を示している。
生活排水路22には、各階各室の浴槽23,23…や台所24,24…が接続されており、浴槽23,23…及び台所24,24…から、生活排水路22へ温水を含む排水が排出される。
【0032】
図3は、前記生活排水導入パイプ4に取付けた、流路切替手段としての2つの開閉弁31,32を示し、生活排水導入パイプ4に設けた分岐路である分岐パイプ33に開閉弁31を配設し、生活排水導入パイプ4の分岐パイプ33の分岐部よりも下流の下流路である下流パイプ34に開閉弁32を配設する。
そして、開閉弁31,32の一方を閉じ、他方を開くことにより、排水流路を切替えることが可能である。
分岐パイプ33は、公共用排水溝12に接続されて、生活排水を公共用排水溝12に排水する。
図に於いて、35は融雪槽1に水道水を導入する水道管であり、36はその開閉栓(開閉弁)である。
【0033】
而して、次に、図1乃至図3に従って、前記融雪槽1の処理の流れを説明する。
先ず、融雪槽1の投雪孔2から雪を融雪槽本体3内に投げ入れる。その場合、グレーチング蓋8を通して雪を投げ入れても良く、グレーチング蓋8を開けて雪を投げ入れても良い。
次に、開閉弁32を開け、開閉弁31を閉じて、生活排水導入パイプ4の生活排水を下流パイプ34を介して融雪槽1に導入する。これにより、融雪槽1内の雪は生活排水を熱源として融雪する。
更に、融雪槽1内の雪は大型冷蔵庫に接続された配管11の熱を熱源として融雪すると共に、融雪槽1が埋設されている周囲の地中6の熱を熱源として融雪する。
【0034】
満水位置を超えて溢れた(オーバーフローした)融雪槽1内の生活排水及び融雪水は、排水パイプ5を介して公共用排水溝12に排水される。
一方、前記排水ポンプ9を駆動して、融雪槽1内の下部の比較的冷たい水を排出して、熱源となる生活排水の融雪槽1からのオーバーフローによる流出を防止する。これにより、生活排水の熱を効率良く熱源として利用できる。排水ポンプ9の駆動は、融雪槽1内が満水とならないように水位を検知して自動制御することが好ましいが、手動で行なう構成としても良い。
【0035】
そして、融雪槽1の融雪機能を必要としない、特に夏場等は、開閉弁31を開けて、生活排水を公共用排水溝12に流し、開閉弁32を閉じて、融雪槽1内への生活排水の導入を止め、一方、水道管35の開閉栓36を所定時間開いて水道水を融雪槽1内に蓄えれば、融雪槽1内の水は例えば防火用水として利用することができ、融雪槽1は防火用水槽としての機能を果たすことができる。尚、融雪槽1内に水道水を蓄える前に、融雪槽1内に貯留する生活排水及び融雪水等を前記排水ポンプ9で強制排水することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による融雪槽の正面縦断面図である。
【図2】本発明による融雪槽を多階建てマンションの生活排水路に接続した状態を示す正面縦断面図である。
【図3】本発明による融雪槽を防火用水槽として利用するための配管及び開閉弁を示した融雪槽の平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 融雪槽
2 投雪孔
3 融雪槽本体
8 グレーチング蓋
9 排水ポンプ
10,11 配管
21 多階建てマンション
22 生活排水路
23 浴槽
24 台所
31,32 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投雪孔を備えた融雪槽本体に、生活排水を導入するための生活排水導入路を接続したことを特徴とする融雪槽。
【請求項2】
前記生活排水導入路は、多階建てマンションの生活排水路に接続されていることを特徴とする請求項1記載の融雪槽。
【請求項3】
前記生活排水導入路は、浴槽及び/又は台所に接続された生活排水路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の融雪槽。
【請求項4】
前記融雪槽は、地上から投雪自在の地中埋設型融雪槽であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の融雪槽。
【請求項5】
前記投雪孔にグレーチング蓋を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の融雪槽。
【請求項6】
前記融雪槽は、前記融雪槽本体内の下部の水を強制排水するための排水ポンプを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の融雪槽。
【請求項7】
前記融雪槽本体内に、大型冷蔵庫の排熱側と熱交換する熱交換手段に接続された配管が蛇行して配設されることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の融雪槽。
【請求項8】
前記生活排水導入路は、流路切替手段を備え、前記流路切替手段によって、前記融雪槽内に生活排水を導入自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一に記載の融雪槽。
【請求項9】
前記流路切替手段は、前記生活排水導入路の分岐路と、前記生活排水導入路の前記分岐路の分岐部よりも下流の下流路との両路に夫々配設される開閉弁であることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一に記載の融雪槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−75291(P2008−75291A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253737(P2006−253737)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(506317473)
【出願人】(506317484)
【Fターム(参考)】