説明

血液処理設備のための制御装置および制御方法

【課題】患者に与えられる実際の全透析量にわたる継続的な制御を確保する。
【解決手段】処理ユニットを血液の循環のための第1の区画部と処理液体の循環のための第2の区画部に分離する半透膜を含む処理ユニットを少なくとも備える、血液処理設備のための制御装置である。この制御装置は、処理手続の過程の間に測定される測定情報の項目を受信し、前記測定された情報から、少なくとも、前記設備によって実行される体外血液処理の進捗を示す、有意パラメータの値を計算すべく適合されている。前記制御装置は、また、前記計算された有意パラメータを、同一のパラメータについての所定の参照値と比較し、且つ前記設備によって行われる1つ以上の動作を自動的に制御するための前記比較に応答する出力制御信号を生成すべく適合されてもいる。本発明は、また、前記制御装置を備える設備に、また前記制御装置が実行すべくプログラムされ得る制御方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理設備のための制御装置および制御方法に関する。本発明は、また前記制御装置を備える血液処理設備にも関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、血液透析または他の血液処理設備のような血液処理設備上で動作可能な、プログラマブルコンピュータのような装置に関連しており、プログラマブル制御装置は、所定の且つ測定された情報の項目を受信すべく、またそれに応答して1つ以上の出力信号を生成すべく適合されている。一般に、出力信号は、血液処理設備により行われる可変動作を制御するために採用され、且つそれゆえ処理手続制御方法を自動的に実行する。
【背景技術】
【0003】
血液透析および他の血液処理機械の技術分野においては、機械の作用を制御するために、あるパラメータの測定された値を用いることが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1および特許文献2は、両方とも、透析液体側に2つの伝導セル32、50を設けた装置を開示しており、一方のセルは透析器の上流で、且つ他方は透析器の下流で動作する。2つのセルは、透析液体の伝導度またはナトリウム濃度を測定することができる。検出器で測定されたデータは、比較され、最終的には透析溶液の組成を制御するために使用される。
【0005】
ガンブロ株式会社(Gambro)の特許文献3において、患者の状態値の測定値を採用することは、血液透析設備の機能的局面を制御するのに有利である。このやり方において、血液透析設備は、患者の特定の処理の要求に従属的に制御されても良い。特に、この参照例は、患者の血液におけるある溶質についての濃度、および実際のクリアランス(ここではml/minでKとして示されている)またはダイアリサンス値(ここではml/minでDとして表されている)のような、他の重要なパラメータを決定することを教示している。もしも、例えば、特許文献3のシステムが、患者の血液のナトリウムの濃度または伝導度を決定するように適合されていれば、透析液体濃度は、血液と透析液体の伝導度の間の平衡を実現するために制御され得て、それによって個々に適合する制御を得て患者のための快適さを提供するはずである。
【0006】
また、特許文献4から、血液処理装置が、実際のナトリウムダイアリサンスを検出し、その後に外挿法により尿素クリアランスを導くことができることも知られている。そのような、計算された尿素クリアランスは、その後に所望の尿素クリアランス値と比較され、そして必要な場合には、透析ポンプまたは血液ポンプの流速、あるいは処理時間が変更される。処理時間が変更された場合には、限外濾過ポンプのUFレートも変更される。
【0007】
一方、最近の20年の間に特定の指数、すなわちKT/V指数が、透析処理を特に示すものとみなされてきた。さらに、詳細には、KeshaviahとCollinsの(Keshaviah P,Collins A:「高速高効速度重炭酸塩血液透析(Rapid high−efficency bicarbonate hemodialysis)」, Trans Am Soc Artif Intern Organs 32:17,1986年)は、良好に文書で証明され且つ良好に設計されて透析の適切さのパラメータとしてKT/V指数を用いる、短期透析の研究を報告した。1985年にGotchとSargentの(Gotch F, Sargent JA:「国際共同透析研究の機械論的解析(A mechanistic analysis of the National Cooperative Dialysis Study(NCDS))」、Kidney Int.28:526,1985年)によって紹介された、この指数は、尿素の分布容積(V、ml)によって除算された、透析装置の尿素クリアランス(K、ml/min)と透析セッションの期間(T、min)の積として計算される。GotchとSargentは、米国における大規模な国際共同透析研究(National Cooperative Dialysis Study(NCDS))のデータを解析し、そして0.9から1.0のKT/V値が適切な透析治療を構成すると決定した。0.8よりも小さい値は、治療失敗の高い可能性に結びつく。KeshaviahとCollins(Keshaviah P,Collins A:「高速高効速度重炭酸塩血液透析(Rapid high−efficency bicarbonate hemodialysis)」,Trans Am Soc Artif Intern Organs 32:17,1986年)も、もしも治療が1よりも大きいKT/Vを維持して処方されれば、酢酸塩が重炭酸塩によって置換され且つ増大された死亡率および罹病速度に結びつかないときに、短期で且つ高速の透析処理が良好に許容されることを説明した。
【0008】
上述の著作物を考慮して、ある溶質についての値DまたはK(Durea=Kureaであることに再度留意されたい)が、ここでは時間T後に達成される透析量として示される、値Kを決定するために採用されている。
【0009】
市場において入手可能な血液処理機械における現在続いているアプローチは、血液透析処理手続の間における時間進行につれて与えられる全透析量KT値に関連する情報の測定値を得て、そして提供することである。この測定値および提供される情報は、
処理手続の所定の期間と、
血流速と、
血液透析器の選択と、
を含むパラメータに本質的に基づいている。
【0010】
上述のパラメータの組み合わせは、設定された時間増分の後に測定される平均測定瞬時クリアランス値、選択された透析器のダイアリサンス(生体外のクリアランス値である)、および有効処理時間の積分として与えられる全透析量値Kの測定値を得るために採用されている。有効処理時間は、この間に血液透析器の半透膜を横切る血液溶質の拡散性(概して対流性でもある)の移動が生じる時間である。
【0011】
上述の手続は、血液透析処理手続の間に患者に与えられるKT値から作られる測定を基本的に可能とする。
【0012】
予め予定された全時間Ttotの間、通常続く処理の最後に、機械はユーザにKtotの値および値Ktot/Vを提供する。
【0013】
しかしながら、この手続は、多数の欠点を有している。特に、クリアランスに関連する、血流速および有効処理時間のような要素は、変化する傾向がありまたは血液透析処理手続の間に追随するのが困難である。さらにまた、血液透析器製品のダイアリサンスまたはクリアランス容量は、血液透析処理手続時間の間にかなり変化させ得る。今日の血液透析監視設備および血液透析手続法は、設定された時間増分にわたって患者に与えられる透析量を査定しまたは測定するための手段を備えているかもしれないが、処理の間に継続的に、実際に患者に与えられる透析量の値を制御するために、そして患者に与えられる検出された透析量の関数として透析機械の作動パラメータへの作用を実現するために利用できる手段はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第097366号
【特許文献2】米国特許第4508622号
【特許文献3】欧州特許第0330892号
【特許文献4】欧州特許第0532433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の全体の目的は、患者に与えられる実際の全透析量にわたる継続的な制御を確保することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、処理の過程において測定される透析量の値の関数として、血液処理機械のいくつかのパラメータを制御することにある。
【0017】
さらにまた、本発明の目的は、所定の透析量の達成を、実質的に同時に発生する他の処方(群)の達成に調和させることを可能とする制御装置および血液処理設備を提供することにある。
【0018】
さらなる目的は、所定の透析量の、所定の重量減損の、そして、患者の血液におけるある物質の濃度のような、さらに所定の処方の同期的な達成のためのシステムを提供することにある。
【0019】
本発明のその他の目的は、もし可能であれば、処理の最後に要求された所定の結果を達成すると同時に、処理時間を短縮すべく適合された、システムを呈示することにある。
【0020】
またさらに、本発明の目的は、処理の間、規則的な間隔で継続的に、多数のパラメータについての更新された値を表示することを可能とする制御装置、および前記制御装置を用いる設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述のそして他の目的が、1つ以上の添付された特許請求の範囲の請求項に記載の制御装置、制御方法および設備によって得られる。
【0022】
本発明による制御装置は、処理手続の過程の間に測定される測定情報の1つ以上の項目を受信し、前記測定された情報から、少なくとも前記設備によって実行される体外血液処理の進捗を示す有意パラメータを計算し、前記計算された有意パラメータを、少なくとも同一のパラメータについての所定の参照値と比較し、そして前記設備によって行われる1つ以上の動作を自動的に制御するための前記比較に応答する少なくとも1つの出力制御信号を生成すべく適合されている。前記有意パラメータは、
処理の最初から時間T経過した後の特定の溶質についての、前記設備に付随された血液処理ユニットの実際のダイアリサンスDTiまたはクリアランスKTiと、
処理を受けている患者の血液における物質の濃度、または経過時間Tにおいて達成される患者の血漿伝導度CpTiと、
経過時間Tにおいて達成される透析量KTiと、
経過時間Tにおいて達成される重量減損WLTiと、
1つ以上の上記パラメータに比例しまたはこれらの既知の関数であるパラメータと、
を含むグループから選択された1つであり得る。
【0023】
前記制御装置は、前記処理ユニットの下流で動作する伝導度センサから、またはやはり処理ユニットの下流で動作する濃度センサから、測定された情報を受信するように適合され、規則的な時間間隔で透析量の達成値を計算し、且つ処理の最後における、所定の全透析量値KTと所定の全重量減損WLの両方の達成を実現するために第2の区画部からの移動速度を規制している。
【0024】
前記移動速度は、限外濾過ポンプのスピードを変化させることによって、またはもしも設備が限外濾過のみに専用化されたポンプを含んでいなければ、前記第2の区画部の出力における廃棄ラインに関連付けられたポンプのスピードを変化させることによって制御される。
【0025】
前記制御装置は、指示を達成するために必要な、一定時間間隔における残りの処理手続時間Ttrまたは全処理時間Ttotを推定するためにプログラムされ得る。
【0026】
前記制御装置は、また、WLとKTの間の比によって決定される、係数Rと、処理時間Tにて測定される瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiとの、積に実質的に等しい時間Tにおける流体移動速度UFTiを維持すべくプログラムされ得る。この場合、制御装置が、2つの指示および終端に同期し、所定の値における処理は、残り処理時間または各間隔における処理時間の計算の必要性なしに到達し得る。
【0027】
安全な測定は、処理時間または第2の区画部からの流体の移動が、所定の範囲の外側に存在することを回避させるべく提供されても良い。
【0028】
所定の参照値が患者血液の伝導度または濃度目標Cpendを備えていても良く、この場合制御装置は、前記推定された全処理時間Ttotにまたは以前に、前記伝導度または濃度目標Cpendに達する物質のための血液伝導度または濃度を有するために、第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を、血液伝導度または濃度目標Cpendの関数として制御するようにプログラムされていることに留意されたい。
【0029】
代わりとしては、制御装置は、残りの処理時間の計算の必要なしに、他の処方(例えば所定の全重量減損または所定の全透析量)が到達したときに、前記伝導度または濃度目標Cpendに到達するために、第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を制御するためにプログラムされている。
【0030】
さらなる態様によれば、前記制御装置は、
残り時間Ttrと、
全処理時間Ttotと、
経過時間Tにおけるダイアリサンス測定のクリアランスと、
時間後に達成された透析量KTTiと、
時間後に達成された重量減損WLTiと、
時間後に達成された患者の伝導度と、
より多くの有意パラメータについての所定の値と、
上記値の1つ以上に比例する値と、
を含むグループの値のうちの1つ以上を時間間隔Tにて表示すべく適合されているディスプレイ画面に結合されている。
【0031】
本発明は、制御方法にも関する。
【0032】
本発明は、さらにまた、プログラマブル制御装置のためのプログラムを含み、前記プログラムは、制御装置によって実行したときに、該制御装置が、特許請求の範囲に開示された工程を実行すべくプログラムしているプログラム格納手段に関する。
【0033】
上述されたような本発明と、過去において追求していたアプローチとの重要な相違は、本発明において必要とされる処理手続時間は、所定の時間である必要はないが、しかし所定の値の達成に依存する時間であろう。したがって、本発明によれば、処理時間は、血液透析処理手続の間の設定された時間増分の後に測定される物質(通常尿素が参照物質である)の有効クリアランス値の測定値に関連され得る、測定された情報によって制御されるかもしれない。
【0034】
クリアランス値は、透析流体内への血液透析製品の半透膜を超える血漿における物質の対流性転移を導く、限外濾過によって影響されることに留意されたい。実際、全ての血液透析処理手続は、患者における過剰流体の減損を達成するために限外濾過が必要とされる。制御装置は、それゆえ、限外濾過から続く、対流性クリアランスを含みまたは考慮すべく適合されている。最も望ましくは、したがって、制御装置は、拡散性および対流性クリアランス値の両方、または便宜的にはこれら2つの値の統合された測定値に関連する出力情報を提供すべく適合されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に従った制御装置に結合される血液透析設備の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に従った制御装置の作動原理を示すフロー図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に従った制御装置の作動原理を示すフロー図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に従った制御装置の作動原理を示すフロー図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に従った制御装置の作動原理を示すフロー図である。
【図6】作動原理の一部として本発明の制御装置によって実行され得るルーチンのフロー図である。
【図7】作動原理の一部として本発明の制御装置によって実行され得るルーチンのフロー図である。
【図8】本発明の制御装置および設備に結合されるであろう表示画面を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、添付された例示的な図表を参照して説明されるであろう。
【0037】
本発明に従った制御装置、および制御装置に結合されまたは該制御装置を備える血液処理設備の特定の実施形態が、以下に説明される。この説明の目的のために、特定の血液処理設備、すなわち透析設備に言及されている。しかしながら、本発明は、そのような設備に限定されるものではなく、そして他の種類の血液処理機械に結合して使用され得る。添付の概略図面および特許請求の範囲を含めて、明細書を参照して、以下における符号は、次のように識別される意味を有するであろう。
【0038】
tot=全処理時間
=経過した処理時間、すなわち処理セッションの初めから経過した有効な処理時間
tr=残っている処理時間
max=最大処理時間
min=最小処理時間
=平均ダイアリサンス
Ti=時間Tにおける実際のダイアリサンス
=平均クリアランス
Ti=時間Tにおける実際のクリアランス
KT=透析量値
KT=所定の透析量値
KTTi=時間Tにおける統合された透析量値
WL=重量減損
WL=所定の重量減損
WLTi=時間Tにおける重量減損
UF=処理ユニットの第2の区画部からの流体移動速度
UFTi=時間Tにおける処理ユニットの第2の区画部からの流体移動速度
さて、図1の概略図を参照すれば、符号1は、制御装置2、例えばプログラマブル制御装置を備えており、またはこれに結合された、概して例えば血液透析設備のような血液処理設備を示している。図示されたような設備は、半透膜6で隔離された第1のすなわち血液区画部4および第2のすなわち透析液区画部5を備えている、血液透析器のような、血液処理ユニット3に結合されている。血液ポンプ7は、血液を、患者から血液動脈ライン8に沿って血液区画部内へそして血液区画部から出て血液静脈ライン9に沿って点滴筒10へそして患者(図示せず)へ戻るようにポンプ送りするために血液透析器の上流に設けられている。もちろん図1の実施形態に示されている血液ポンプの位置および数ならびに特定の処理ユニットは、例示する目的のみのためのものであり、そして本発明の範囲を限定することを意図してはいない。
【0039】
例えば、透析液調製部16から来る、透析液は、透析液入口ライン11に沿って透析液区画部5へ、そして透析液区画部から出て透析液出口ライン12に沿って血液透析器における血液流に対する逆流方向に搬送される。流体平衡システムは、処理の間に所望の重量減損速度を与えるように、第2の区画部に入る流体の量および該第2の区画部を出る流体の量を、制御する責務を担っている。例えば、平衡システムは、ライン12から分岐している限外濾過ライン13a上で動作する可変スピード限外濾過ポンプ13に結合され、且つ限外濾過液を、血液区画部から半透膜を横切って透析液室内へ、そして透析液出口ライン12から出すようにポンプ送りするために設けられていても良い。平衡システムは、従来の手段、例えば図1に示された道筋で、血液透析器製品3の上流および下流に配置された流量計14、15を備えることができる。流量計は、制御装置が流量計14によって測定される新たな透析液体の流速を流量計15によって測定される使用済み液体流速に等しく維持させるべく、少なくとも限外濾過ポンプおよび廃液ポンプ12aに作用することができるようにするために、制御装置2に結合されている。コンジット12を分岐した限外濾過ポンプ13は、流量計15の上流で動作するので、このようなポンプ13の流速は、重量減損速度を規定する。他の平衡システムは、透析液区画部に与えられ且つこれから引き出される透析液容量および/または重量を制御することを含んでいても良い。動脈ラインおよび/または静脈ライン8、9に置換流体を注入するための点滴ライン(添付図表に示されていない)も設けられていても良い。点滴ライン流速は、この点滴ラインに結合された流量計、容積計または重量計によって制御され得る可変スピードポンプによって取得され得る。1つ以上の点滴ラインの使用の場合には、液体の全体の平衡を制御するために、いかなる点滴液体の流速も、処理の間、正確に制御される必要がある。この点において、流速センサまたは容積測定センサは、一般に透析または点滴ラインがライン上に生成され、または液体の連続的な発生源から来ているときに使用されるとともに、重量センサは、液体が容器から引き出されまたは容器へ搬送される実施形態にはよくあることに留意されたい。例えば、新しい透析液バッグおよび廃液容器を用いる血液透析回路の場合には、透析器の第2の区画部に入る流体と該第2の区画部に存在する流体の間の全体の重量差に関する情報を有する制御装置を提供するために、前記容器に結合された1つまたは2つの分離されたスケールを使用することが知られている。
【0040】
当業者にとっては、本発明が、特定の平衡システムとは独立に、いかなる種類の血液処理機械にも使用され得ることは明らかである。
【0041】
さて、図1の実施形態の詳細な説明に戻り、設備10は、
従来の血液透析、HD、点滴が存在せず且つ透析液体が透析器(図1)の第2の区画部において循環すること、
血液濾過、HF、透析液体が存在せず、同時に溶質および血漿水がライン12を通してポンプ送りされ、且つ置換流体(図示せず)が体外回路にまたは患者内に直接的に注入されること、
血液透析濾過、HDF、HDとHFの組み合わせであること、
処理ユニットが対応して変更される場合には他の血液処理、
のような異なる処理を行うべく適合され得る。
【0042】
設備1の一般的構成の上述の説明の後に、以下において制御装置2のより詳細な分析が提供されるであろう。
【0043】
制御装置2は、付随するメモリおよび設備1の構成要素と通信するのに適するインタフェースを有するプログラマブルマイクロプロセッサを少なくとも備えている。もちろん本発明の制御装置は、この実施形態がコストおよび柔軟性に関して最も適切であるとは感じられないが、アナログタイプ(analogical type)の計算機を備えることも可能であろう。
【0044】
制御装置2は、処理手続の過程の間に測定される測定された情報の1つ以上の項目を受信すべく適合されている。図示された実施形態においては、測定された情報は、透析器3の下流、すなわちライン12上で測定された、透析液体の伝導度または少なくともある物質についての透析液体の濃度を含んでいる。図1に示されるように、制御装置は、処理ユニットの下流で処理液体の伝導度を測定するための測定手段18に接続されている。代わりに、制御装置は、処理ユニットの下流で処理液体におけるある物質の濃度を測定するための手段に接続されていてもよい。測定された情報は、透析器3の上流、すなわちライン11上で測定された、透析液体の伝導度または少なくともある物質についての透析液体の濃度を含んでいても良いので、図1の設備1は、処理ユニットの上流の処理液体の伝導度、または処理ユニットの上流における処理液体における物質の濃度の、少なくとも一方を測定するための測定手段17も含んでいる。
【0045】
処理ユニットの上流で動作する測定手段17によって実行される測定は、伝導度または濃度の設定値または既知の値によって置換され得るであろう。もしも測定された情報が尿素濃度であれば、尿素は新しい透析液体には存在しないので、上流で測定を実行する必要すらないことに留意されたい。
【0046】
測定手段が伝導度を測定するために専用化されている場合、各測定手段17、18は、少なくとも伝導度セルを備えている。もしも測定手段が、イオンの濃度を測定するために専用化されているならば、前記手段は、イオン選択センサまたは尿素センサを備えている(新しい透析液体に、尿素のように、ある程度の量が存在しない場合には、センサをライン11上に使用する必要がないことにも留意されたい)。
【0047】
そこで、制御装置2は、測定された情報(例えば処理ユニットの上流および下流の伝導度の値)から少なくとも当該設備によって実行される生体外の血液処理の進捗を示す有意パラメータの値を計算すべくプログラムされている。
【0048】
本発明によれば、前記有意パラメータは、
処理の最初から時間T経過した後の特定の溶質についての前記設備に付随された血液処理ユニットの実際のダイアリサンスDTiまたはクリアランスKTi
処理を受けている患者の血液における物質の濃度、または経過時間Tにおいて達成される患者の血漿伝導度CpTi
経過時間Tにおいて達成される透析量KTi
経過時間Tにおいて達成される重量減損WLTi
1つ以上の上記パラメータに比例しまたはこれらの既知の関数であるパラメータ、
を含むグループから選択された1つである。
【0049】
最後に、前記制御装置は前記計算された有意パラメータを少なくとも所定の同一のパラメータについての所定の参照値とを比較し、且つ前記設備によって行われる1つ以上の動作を自動的に制御するために前記比較に応答して少なくとも1つの出力制御信号を生成すべく適合されている。
【0050】
例えば、1つ以上の有意パラメータの計算された値を同一のパラメータについての対応する参照値と比較した後に制御装置2は、前記第2の区画部からの流体の移動速度を自動的に制御するために、前記比較に応答して出力信号を生成しても良い。
【0051】
測定される情報の測定、有意パラメータ(群)の計算、およびそれぞれの参照値との比較は、以下に図表に示された実施形態に関連して詳細に説明されるように、継続的に、規則的な時間間隔で、処理の間に(または少なくとも処理の有効部分の間に)なされることに留意されたい。
【0052】
本発明を実施するために最も容易であると感じられる方法は、時間間隔が、例えば各15分に、実際に一定で且つ予め固定されていることである。しかしながら、本発明は、規則的であるが一定ではない時間間隔、すなわち、制御装置が知るべきまたは気づくべき、特定の規則または規則群に従った時間間隔を用いても実施され得る。
【0053】
第1の実施形態において、制御装置2は、図2に示される各工程を実行すべくプログラムされている。
【0054】
処理がスタートされた後、制御装置は、予め規定された時間、例えば10または15分、待機し、それから図2に示されるループ、その後各連続する時間間隔で繰り返される、ループサイクル20を初めて実行する。
【0055】
さらに詳細には、この実施形態によれば、制御装置は、推定される残りの処理手続時間Ttrおよび/または推定される全処理時間Ttotを、時間Tにおける有意パラメータの計算された値の関数として決定するために、プログラムされている。換言すれば、制御装置は、もしもある実際の有意であると思われるパラメータの値が処理の間に変化すると、処理の期間を変更することができる。
【0056】
特に、第1の実施形態による制御装置は、処理の終わりに達成されるべき透析量KTおよび全重量減損WLについての所定の値を(ループサイクル20の最初の工程21として)受信する。
【0057】
その後に、第2の工程22として、処理時間Tにおける伝導度または濃度測定値に対応する瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTiを決定する。それから、制御装置は、時間Tにおいて達成される有効な透析量KTTiを計算する(工程23)。一旦KTTiが計算されると、制御装置は、残りの処理手続時間Ttrを、前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KTTi、および処理時間Tにおいて測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTiの関数として推定するために、工程24に進む。代わりとして、または推定される残り処理時間の決定に関連して、制御装置2は、推定される全処理時間Ttotの値を決定するためにプログラムされている。
【0058】
全処理時間の推定値は、例えば前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KT、そして経過した処理時間Tの関数として計算され得る。
【0059】
あるいは、前記制御装置は、推定される全処理時間Ttotを、経過した処理時間Tと残りの処理手続時間Ttrの推定される値の合計として計算し得る。
【0060】
一旦推定される残りの処理時間または推定される全処理時間が瞬間Tにおいてわかると、制御装置は、時間Tまでに達成される実際の測定された全重量減損WLTiを決定し、且つ所定の全重量減損WLを達成するために前記第2の区画部からの流体移動速度UFを設定し、実質的に同時に所定の全透析量値KTとして達成される工程25に進む。
【0061】
移動流速の制御は、説明されたように、時間Tに達成される実際の透析量の計算から導かれる、推定される全処理時間の数分前の所定の全重量減損を達成するのと同様の方法でもなされ得ることに留意されたい。
【0062】
一旦、訂正されると、必要に応じて(第2の区画部から得た流速が既に良好に調整されている場合であろう)、ループ端部および制御装置は、連続する時間間隔で、すなわち、予め規定されたまたは制御装置によって計算された時間の後に、工程21または工程22からスタートしてループを繰り返す。図2の場合において、時間間隔は15分に等しい。
【0063】
さらに詳細には、推定される処理手続時間Ttrまたは推定される全処理時間Ttotの関数として流体移動速度を、継続的に制御するためにプログラムされた、制御装置は、式、
【数1】

【0064】
に従って、推定される残り処理時間Ttrによって除算された、時間Tにおける重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しく、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定する。
【0065】
あるいは、制御装置は、式、
【数2】

【0066】
に従って、推定された全処理時間Ttotと経過処理時間Tの間の差分によって除算された、時間Tにおける測定された重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しい、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定するためにプログラムされ得る。
【0067】
説明されたように、制御装置は、時間Tiに測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンスDTiの値に基づいて、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの処理の間に規則的な時間間隔で再計算および更新するためにプログラムされている。瞬時Tiにおける、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの決定のための代案として、制御装置は、クリアランスKTi−kまたはダイアリサンスDTi−kの最新の値(すなわち、Tの前の1つ以上の時間間隔において決定される値)を用いてプログラムされても良い。
【0068】
処理の間にダイアリサンスおよび/またはクリアランス値を計算するために、既知のいかなる方法も適切である。既知の方法は、前記瞬時クリアランス値KTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiが、処理時間Tにおいて、次のサブ工程、
前記処理ユニットの前記第2の区画部を通して少なくとも第1の液体を送る工程と、
前記処理ユニットの前記第2の区画部を通して少なくとも第2の液体を送る工程であって、前記第2の液体は、少なくとも前記第1の液体のものとは異なる溶質についての伝導度または濃度を有する工程と、
少なくとも前記第1および第2の液体の両方について前記処理ユニットの下流で、処理液体における前記物質の伝導度または濃度を測定する工程と、
少なくとも前記測定された伝導度または濃度値の関数として前記瞬時クリアランス値KTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiを計算する工程と、
を用いることによって決定されることを示す。
【0069】
上述の方法およびその変形のさらなる詳細は、参照によりここに組み込まれる、次の刊行物に詳細に説明されている。
【0070】
欧州特許第0547025号
欧州特許第0658352号
欧州特許第0920887号
上記引用例の各々は、生体内での実際のダイアリサンス、血液ナトリウム濃度および透析量の決定の代替的な方法を説明している。上述の有意パラメータの1つ以上を決定することができるいかなる方法も本発明の目的のために使用され得ることに留意されたい。血液における物質の濃度および/または前記物質についての実際のダイアリサンス(欧州特許第0547025号に詳細に説明されている)を決定するための第1の既知の方法についての非限定的な例によって参照すれば、前記物質のそれぞれの濃度について異なる少なくとも2つの液体は、透析液区画部5を通して連続して循環される。
【0071】
第1の液体は、物質についての濃度の正常な所定の値における透析液体であり得て、且つ第2の液体は、透析器入口における前記物質の濃度における工程または変化を導入することによって取得され得る。工程または変化は、何らかの形で既知かまたは測定可能である必要がある。
【0072】
それから、伝導度または物質の濃度は、第1および第2の液体について透析器の上流および下流の両方で測定される。上流計測は、参照値の設定によって置換され得ることに留意されたい。この点においてもしも物質がイオン物質であれば、そのときは前記物質の濃度は透析液体の伝導度に影響を与え、特に伝導度がナトリウムイオンの濃度に大きく影響されることを考慮すれば、伝導度値の測定/計算は、血液および透析液体におけるナトリウム濃度の指示を与えることに気を付けられたい。伝導度センサは、液体流内における電解質の濃度を直接的に検出するためのイオン選択センサよりも、より一層便利で且つ使用し易いので、伝導度測定を使用することが望ましい。それから、2つの透析液体についての欧州特許第0547025号に言及された次の式を適用することによって、未知のDおよびCbinを決定することが可能となる(限外濾過およびいわゆるDonnan(ドナン)効果を無視することがない)。
【数3】

【0073】
ここで、
Cdoutは、使用された透析液体における伝導度またはナトリウムの濃度
Cdinは、新しい透析液体における伝導度またはナトリウムの濃度
Cbinは、処理されていない血液におけるナトリウムの濃度
Qdは、透析液体の流れ
Ttは、時間Tにおける溶質ナトリウムについての膜のダイアリサンス(または尿素クリアランス:尿素分子のサイズはナトリウム分子のサイズと同一であり、それゆえこれら2つの分子が同一の所定の膜を通過するための能力は、同一であることに留意されたい。従って、我々は、同一の膜について次式、Dsodium=Kureaを確立することができ、それゆえナトリウムダイアリサンスの検出がクリアランスを与える)。
【0074】
図1の実施形態を参照すると、伝導度、すなわち透析液入口ライン11に沿って透析液区画部5へ流れる透析液の伝導度を測定するためにそれぞれ配置されたセンサ17および18が設けられている。詳細には、伝導度センサ17は、透析器上流の第1および第2の液体の伝導度に関連する上流透析液伝導度測定値C1in、C2inを提供し、同時に伝導度センサ18は、透析液区画部5から透析器出口ライン12に沿って流れる第1および第2の透析液体の伝導度C1out、C2outを測定する。(透析液入口ラインへより高いまたは低い濃度の透析液溶液の小さな丸いかたまりを間欠的に導くことにより間欠的に影響されるような)伝導度の測定値は、血液透析処理手続の間または時間増分を決定した後における時間Tにおけるいくつかの点における瞬時ナトリウムダイアリサンス値(およびそれゆえ瞬時尿素クリアランス値KTi)を上述の式を用いて決定するために採用され、そのため時間Tにおいて与えられる透析量KTTiが決定され得る。上記式は、2つの未知数DTiおよびCbinが決定され得るために、透析器を通して循環される2つの透析液体について書かれ得る。図面を再び参照すると、周期的に測定される伝導度値Cd1in、Cd2inおよびCd1out、Cd2out(1および2は第1および第2の液体をそれぞれ示している)が、ライン17aおよび18aを経由して制御装置に入力される。
【0075】
上述されたように、ある一定の時間間隔までに与えられる全透析量は、何らかの適切な方法によって決定されたKTiまたはDTi値の関数として各間隔において計算され且つ更新される。詳細には、制御装置が、決定された有効処理時間Tにおいて与えられている有効全透析量KTTi値を、種々の規則的な時間間隔Tにおいて決定される瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の時間についての積分として、決定すべくプログラムされ得ることに留意されたい。あるいは、有効な処理時間Tにおいて与えられている有効な全透析量KTi値が、処理時間Tと種々の規則的な時間間隔Tにおいて決定される有効瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiの平均値の積として計算され得る。もちろん、他の適切な方法が工夫され得る。
【0076】
図3は、制御装置2の第2の実施形態が実行すべくプログラムされる各工程を示している。
【0077】
処理がスタートされた後、制御装置は、予め規定された時間、例えば10または15分、待機し、それから図3に示されるループサイクル30、その後各連続する時間間隔で繰り返される、ループサイクル30を初めて実行する。
【0078】
さらに詳細には、この実施形態によれば、制御装置は、推定される残りの処理手続時間Ttrおよび/または推定される全処理時間Ttotを決定するために、そして処理の実際の期間を知らずにできるという事実の問題として、プログラムされていない。この第2の実施形態による制御装置のねらいは、指定されたパラメータ、すなわち処理の最後において達成されるべき全クリアランス量値KT(工程31)、および処理の最後において達成されるべき指定された全重量減損WL(工程31)を受け、そして両方の前記パラメータの達成を同期させることである。
【0079】
詳細には、制御装置は、工程32に示されるように、処理の最後において達成されるべき前記全重量減損WLを、処理の最後において達成されるべき前記全クリアランス量値KTで除算することによって、所定の速度Rを決定するためにプログラムされている。
【0080】
その後に、工程33および工程34において、制御装置は、血液処理の第2の区画部からの流体移動の速度を制御し、前記制御は、時間Tにおける流体移動の前記速度UFTiを、前記所定の速度Rと処理時間Tで測定される瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiの積に実質的に等しく維持することを有する。
【0081】
ループは、その後に完結し、そして制御装置は、図2の実施形態についてのように、もしも新たな所定の値が考慮されるべきでなければ、再びループ30を工程31からまたは直接的に工程32からスタートする前に、時間間隔を待つ。
【0082】
処理時間Tにおける瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiが、図2の実施形態についてのように決定され得ることに留意されたい。
【0083】
図4には、本発明による制御装置2によってたどられるべきプログラム工程のさらなる実施形態が示されている。
【0084】
図4の制御ループ40の原理は、いくつかのさらなる特徴が加えられている図2のものと同様である。
【0085】
処理がスタートされた後、制御装置は、予め規定された時間、例えば10または15分、待機し、それから図4に示されるループ、その後各連続する時間間隔で繰り返される、ループサイクル40を初めて実行する。
【0086】
さらに詳細には、この実施形態によれば、制御装置は、推定される残りの処理手続時間Ttrおよび/または推定される全処理時間Ttotを、時間Tにおける有意パラメータの計算された値の関数として決定するために、プログラムされている。換言すれば、制御装置は、もしもある実際の有意であると思われるパラメータの値が処理の間に変化すると、処理の期間を変更することができる。
【0087】
特に、第1の実施形態による制御装置は、処理の終わりに達成されるべき透析量KTおよび全重量減損WLについての所定の値、ならびに最小許容処理時間Tminおよび最大許容処理時間Tmaxについての所定の値を(ループサイクル40の最初の工程41として)受信する。
【0088】
その後に、第2の工程42として、処理時間Tにおける伝導度または濃度測定値に対応する瞬時クリアランスKTまたはダイアリサンス値DTを決定する。それから、制御装置は、時間Tにおいて達成される有効な透析量KTTiを計算する(工程43)。一旦KTTiが計算されると、制御装置は、残りの処理手続時間Ttrを、前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KTTi、および処理時間Tにおいて測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTiの関数として、推定するために、工程44に進む。代わりとして、または推定される残り処理時間の決定に関連して、制御装置2は、推定される全処理時間Ttotの値を決定するためにプログラムされている。
【0089】
全処理時間の推定値は、例えば前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KT、そして経過した処理時間Tの関数として計算され得る。
【0090】
代わりに、前記制御装置は、推定される全処理時間Ttotを、経過した処理時間Tと残りの処理手続時間Ttrの推定される値の合計として計算し得る。
【0091】
制御装置は、それから図4において45で包括的に指示され、且つTtrまたはTtotの推定される値が所定の範囲内であるか否かをチェックすることを意図する、一連の動作を実行すべくプログラムされている。
【0092】
詳細には、前記制御装置は、各時間間隔において、工程45の次のサブ工程、
サブ工程46:Ti+trの合計を最小処理時間Tminおよび最大処理時間Tmaxと比較する、
サブ工程47:前記合計が前記最小処理時間Tminよりも小さい場合、前記最小処理時間Tminに等しい全処理時間Ttotを設定する、
サブ工程48:前記合計が前記最小処理時間Tmaxよりも大きい場合、前記最大処理時間Tmaxに等しい全処理時間Ttotを設定する、
サブ工程49:前記合計が最小処理時間Tminよりも小さくなくあるいは最小処理時間Tmaxよりも大きくない場合、前記合計に等しく全処理時間Ttotを設定する、
ことを実行するためにプログラムされている。
【0093】
一旦瞬間Tにおいて全処理時間がわかると、制御装置は、時間Tまでに達成される実際の測定された全重量減損WLTiを決定し、且つ実質的に前記処理時間Ttotの最後に、所定の全重量減損WLを達成するために、前記第2の区画部からの流体移動速度UFを設定する工程45に進む。もしも制御装置が、工程46において、残りの処理時間が、全処理時間についての上位の時間限界Tmaxが満たされ得ないようであるならば、制御装置は、アラーム手続52を付勢し且つオペレータの介入を求めることに留意されたい。
【0094】
もしも、逆に、残りの処理時間が、受容できるならば、移動流体速度に対する制御は、説明されたように、時間Tで達成される実際の透析量の計算から求められる推定される全処理時間の何分か前に所定の全重量減損を達成するような方法でなされることもできることに留意されたい。
【0095】
一旦、訂正されると、必要に応じて(第2の区画部から得た流速が既に良好に調整されている場合であろう)、ループ端部および制御装置は、連続する時間間隔で、すなわち、予め規定されたまたは制御装置によって計算された時間の後に、工程41または工程42からスタートするループを繰り返す。図4の場合において、時間間隔は15分に等しい。
【0096】
さらに詳細には、推定される処理手続時間Ttrまたは推定される全処理時間Ttotの関数として流体移動速度を、進行中ベースで、制御するためにプログラムされた、制御装置は、式、
【数4】

【0097】
に従って、推定される残り処理時間Ttrによって除算された、時間Tにおける重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しく、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定する。
【0098】
代わりに、制御装置は、式、
【数5】

【0099】
に従って、推定された全処理時間Ttotと経過処理時間Tの間の差分によって除算された、時間Tにおける測定された重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しい、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定するためにプログラムされ得る。
【0100】
説明されたように、制御装置は、時間Tiに測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンスDTiの値に基づいて、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの処理の間に規則的な時間間隔で再計算および更新するためにプログラムされている。瞬時Tにおける、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの決定のための代案として、制御装置は、瞬時クリアランスKTi−kまたはダイアリサンスDTi−kの最新の値(すなわち、Tiの前の1つ以上の時間間隔において決定される値)を用いてプログラムされても良い。
【0101】
処理の間にダイアリサンスおよび/またはクリアランス値を計算するために、図2の実施形態についてのように、既知のいかなる方法も適切である。
【0102】
上述されたように、ある一定の時間間隔までに与えられる全透析量は、何らかの適切な方法によって決定されたKTiまたはDTi値の関数として各間隔において計算され且つ更新される。詳細には、制御装置が、決定された有効処理時間Tにおいて与えられている有効全透析量KTTi値を、種々の規則的な時間間隔Tにおいて決定される瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の時間についての積分として、決定すべくプログラムされ得ることに気を付けられたい。代わりに、有効な処理時間Tにおいて与えられている有効な全透析量KTi値が、処理時間Tと種々の規則的な時間間隔Tにおいて決定される有効瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiの平均値の積として計算され得る。もちろん、他の適切な方法が工夫され得る。
【0103】
図5において、制御装置2が実行すべくプログラムされ得る変形プログラムループが示されている。図5の制御ループ40は、図4のループ40とほとんど同一であり、そして詳細には再び説明することはないであろう。同一の符号は対応する特徴または工程を識別するために使用されている。
【0104】
図4の実施形態におけるように、処理がスタートされた後、制御装置は、予め規定された時間、例えば10または15分、待機し、それから図5に示される、その後各連続する時間間隔で繰り返される、ループを初めて実行する。
【0105】
さらに詳細には、この実施形態によれば、制御装置は、推定される残りの処理手続時間Ttrおよび/または推定される全処理時間Ttotを時間Tにおける有意パラメータの計算された値の関数として決定するためにプログラムされている。換言すれば、制御装置は、もしもある実際の有意であると思われるパラメータの値が処理の間に変化すると、処理の期間を変更することができる。
【0106】
図4の実施形態とは異なり、図5の各工程を実行すべくプログラムされた制御装置は(ループサイクル40の最初の工程41として)、
処理の最後に達成されるべき透析量KTおよび全重量減損WLpについての所定の値と、
最小許容処理時間Tminおよび最大許容処理時間Tmaxについての所定の値と、
患者血液伝導度または濃度目標Cpendと、
患者についての尿素分布量Vと、
を受信する。
【0107】
明確に明らかにされるであろう要に、この実施形態の制御装置2は、図4の工程に従ってプログラムされた制御装置のねらいを達成するためだけでなく、第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を前記血液伝導度または濃度目標Cpendの関数として制御するためにプログラムされる。
【0108】
実際、図5の実施形態によれば、図4に関連して上述された全く同一の工程42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52を実行し、それから工程51の後で、必要に応じて、各時間間隔毎に、前記推定される全処理時間Ttotにまたはこれより前にある物質について血液伝導度または濃度が前記伝導度または濃度目標Cpendに達するために、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を変更するためにプログラムされている(図5における工程53)。
【0109】
工程53は、制御装置が時間間隔Tにおいて残りの処理時間または全処理時間を推定するとすぐに、等価的に工程50、51の前に実行され得ることに留意されたい。
【0110】
処理液体伝導度または濃度Cdの変更の工程53は、次のサブ工程、
i 物質Cについての伝導度または濃度の計算された値Cdiを間隔目標Cpiと、時間Tについての計測された瞬時ダイアリサンスまたはクリアランスDまたはKとの関数として決定する工程と、
ii 前記第2の区画部に入る処理液体の物質Cについての伝導度または濃度を前記計算された値Cdiに導く工程と、
を備える。
【0111】
詳細には、前記決定する工程は、Vが、患者についての尿素分布容量を示す次の式、
【数6】

【0112】
のうちの1つを用いる。
【0113】
上述の式において、時間間隔tに関連する患者の血液についての前記間隔目標血液伝導度または濃度Cpを、次の、
経過処理時間Tが所定の値Tよりも大きいかまたは小さいかを評価する工程と、
がTよりも小さい場合、Aは正の値であって、間隔目標血液Cpi=Cpend+Aとして代入する工程と、
がTよりも大きいかまたはTpと等しい場合、間隔目標血液Cpi=Cpendとして代入する工程と、
を含む各工程により求める。
【0114】
図示された実施形態において、前記所定の値Tは、Ttotよりも小さいか、または1時間だけ減じられたTtotに等しい。
【0115】
図2、図3、図4および図5の実施形態に関する詳細な説明の後に、以下においては、制御装置2において用いられて推定される全処理時間または推定される残りの処理時間が計算されるいずれの実施形態においても採用され得る本発明のさらなる特徴が開示されている。
【0116】
詳細には、図6に示されるように、制御装置は、もしも残りの処理時間Ttrが予め所定の値、例えば15分よりも少ないかどうかをチェックするための最終処理検査60を実行すべくプログラムされている。肯定においては、時間Tiにおける移動速度が計算され且つ最終回(ブロック25、26、50、51)のために設定され、そしてディスプレイユニット19のような出力装置へ出力信号が送られるのに対し、負においては、サイクルが何も変化なしに継続する。
【0117】
図7においては、推定処理時間が最大許容処理時間よりも大きい場合に付勢され得る、アラーム手続が示されている。実際、図4に示されるように、制御装置は、全処理時間として最大処理時間を代入しそれから予め所定の透析量が満了されないであろうことをオペレータに警告するか、または機械をバイパスモードに置きそしてオペレータの介入を求めるかすることができる。いくつかの状況において、透析ライン内における気泡の存在または他の要素が処理ユニットのパフォーマンスを低下させ、しかしながらこれは適切な補正が実行されることによって正常な特性を回復し得ることに留意されたい。もしも、オペレータの操作が、ポジティブであれば、そのときは推定される残りのまたは全処理時間が繰り返される。もしも、再び問題が残れば、さらなる介入は要求されず、機械は、(第2の区画部をバイパスしてライン11および12が接続されて)永久バイパスモードに設定されそしてアラームが与えられる。
【0118】
図示された実施形態において、制御装置は、可変スピード限外濾過ポンプ13を制御することによって、前記第2の区画部からの流体移動速度を自動的に制御するための制御信号(図1における矢印「S」)を発生すべくプログラムされていることにも、どうか留意されたい。しかしながら、前記第2の区画部からの流体移動速度は、透析回路の液圧的構造および形態に依存して異なる方法で制御されることができる。
【0119】
制御装置は、警告装置としても動作し得るディスプレイユニット19にも結合されており、そしてもしも期待された処理手続時間または残りの血液透析処理時間が予め規定された範囲内でなければ、このディスプレイユニットが付勢され得る。
【0120】
ディスプレイ19は、また、
残り時間Ttr
全処理時間Ttot
経過時間Tにおけるダイアリサンス測定のクリアランス、
時間T時間後に達成された透析量KTTi
時間T時間後に達成された重量減損WLTi
時間T時間後に達成された患者の伝導度、
より多くの有意パラメータについての所定の値、
上記値の1つ以上に比例する値、
を含むグループの値のうちの1つ以上を時間間隔Tにて表示すべく適合されている。
【0121】
図8においては、ディスプレイユニット19の実施形態が示されている。ディスプレイユニット19は、特定の事象が生じたときに、フラッシュさせるべく制御装置によって制御される各々それぞれの色の3つのフィールド100、101、102有している。第1のフィールドは、例えばグリーン色で且つ1つ以上の関連パラメータについての所定の値が、到達されたときに、フラッシュする。第2のフィールドは、例えばオレンジ色で且つ患者が処理の終了(ブロック61)が近付いたときに、フラッシュすべく制御され得る。
【0122】
第3のフィールド、例えば赤色は、アラーム状態の場合、例えば予め所定の値KTpが最大許容処理時間内に到達され得ないとき(ブロック52)、に、フラッシュすべく制御され得る。
【0123】
ディスプレイユニットは、上述された2つのバイパスモードを合図すべく付勢され得るピクトグラム103、104を含むエリア105、および上述の予め指示されそして達成される有意パラメータに関する英数文字列を表示するための種々の付加的なフィールドも備え得る。
【0124】
既に説明されたものに加えて、上述された実施形態に対するいくつかのさらなる可能性のある変形を簡単に強調することも便利である。既に述べたように、全処理時間Ttotまたは時間Tにおける残り処理時間Ttrは、最後のまたは最近の瞬時の測定されたクリアランスまたはダイアリサンス値DTiに基づいて、処理の間に規則的な、例えば同一の、時間間隔で定期的に再計算され且つ更新される。あるいは、残りの処理時間それゆえ時間Tにおける第2の区画部からの流体移動速度も、また、1つ以上の測定されたクリアランスまたはダイアリサンス値の既知の関数として計算され得る。このように、血流速、透析流体流速、血液透析器製品の半透膜の透過率における変化のような、血液透析器製品のダイアリサンスまたはクリアランスに影響し得る血液透析手続の間に生ずるパラメータにおけるいかなるそのような変化も、処理時間が再計算れる毎に自動的に計上される。本発明のこの手続はそれゆえに予め所定の透析量値KTpを保証するために必要とされる処理時間の測定値を確実にするための信頼できる手段を提供する。
【0125】
本発明の第1の目的は、患者に与えられる実際の全透析量にわたって制御を確実にすることにあることにもまた留意されたい。この制御は、例えば、本発明に従って、血液透析処理手続時間を、1つ以上の上述において識別された有意パラメータ(処理時間Tiの後に到達する有効なクリアランスまたは透析量値のように)に関する計算された値の関数として計算することによって達成され得て、そのような計算の基本成分は、そのような1つ以上の計算された値の関数として、処理時間の決定を有する。このように、この例において、計算された全有効処理時間は、時間増分Δt=例えば5分ぐらいを決定した後で、どのような既知の方法を用いても生体内で計算される、1つ以上の値KTi1、KTi2、KTi3、…、KTinの関数である必要がある。実際的な理由で、有効な処理時間の例えば15分ほど後に第1の測定された値を得ることのみが可能であるかもしれない。これを事実であると仮定すれば、初期クリアランスまたは量値KTtiの適正に正確な査定は、例えば5分の間隔の後に、与えられた測定されたクリアランス値または量が、最初の測定がなされる同一時間期間以前に与えられるクリアランス値に実質的に等しいであろうと仮定することによって、前記15分の初期処理時間の間に達成されたものが取得され得る。
【0126】
クリアランス値の継続的な測定は、一般に少なくともほんのわずかに互いに異なっているであろう。なぜなら、これらの値が、処理手続の間における透析器製品のクリアランス容量の変化(通常低下)、血流速の変化、処理された血液の起こり得る再循環、透析液体における気泡の存在、透析液体の流速、限外濾過率および他の変化に依存しているからである。
【0127】
クリアランス値の測定は、有効な処理時間の間に、すなわち血液および透析液体が血液透析器製品を通って流れている間に、なされるだけであることにもまた留意されたい。制御装置は、したがって、有効な処理時間の間にのみ測定を初期化し、そして同様に有効な処理時間の間に計算された血液透析処理手続時間に到達すべく、有効な処理時間を計算しまたは統合するのみとすべくプログラムされる。
【0128】
種々のやり方にて、例えば参照差異値に対する連続する全透析量値の間の差異の照合、および参照差異値からの偏差に比例する処理時間における増大または減少を計算することによって、測定された値の関数として血液透析処理手続時間を計算することが可能であろう。そのような手続は、例えば、もしも標準化された全クリアランスまたは透析量が達成されることとなるならば、より容易に実現され得るであろう。
【0129】
最後に、本発明は、プログラマブル制御装置2のためのプログラムを含むプログラム格納手段にも関するものであり、前記プログラムは、制御装置によって実行されたときに、制御装置に上述において開示され且つ添付された図面に示された各工程を実行させるべくプログラムするものであることに留意されたい。プログラム格納部は、後者すなわち制御装置にこれをプログラムするために制御装置に読み取られ、または結合され、または通信状態とされる光学的データキャリアおよび/または磁気データキャリアおよび/または揮発性メモリサポートを有していても良い。
【符号の説明】
【0130】
1…血液処理設備、2…制御装置、3…血液処理ユニット、4…第1の区画部、5…第2の区画部、6…半透膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ユニットを備えた血液処理設備のための制御装置であって、前記処理ユニットは、この処理ユニットを血液の循環のための第1の区画部と処理液体の循環のための第2の区画部に分離する半透膜を有し、
前記制御装置は、
処理手続の過程の間に測定される測定情報の1つ以上の項目を受信し、
前記測定された情報から、少なくとも、前記設備によって実行される体外血液処理の進捗を示す有意パラメータの値を計算するように適合されており、
前記制御装置は、また、前記計算された有意パラメータを、少なくとも、同一のパラメータについての所定の参照値と比較し、且つ前記設備によって行われる1つ以上の動作を自動的に制御するための前記比較に応答する少なくとも1つの出力制御信号を生成すべく適合されてもいる、制御装置。
【請求項2】
前記有意パラメータは、
処理の最初から時間Tが経過した後の特定の溶質についての前記設備に付随された血液処理ユニットの実際のダイアリサンスDTiまたはクリアランスKTiと、
処理を受けている患者の血液における物質の濃度または経過時間Tにおいて達成される患者の血漿伝導度CpTiと、
経過時間Tにおいて達成される透析量KTiと、
経過時間Tにおいて達成される重量減損WLTiと、
1つ以上の上記パラメータに比例しまたはこれらの既知の関数であるパラメータと、
を含むグループから選択された1つである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記測定された情報は、
前記処理ユニットの下流における処理液体の伝導度と、
前記処理ユニットの下流の処理液体における物質の濃度と、
を含むグループから選択された1つである、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2の区画部からの液体の移動速度を自動的に制御するために前記比較に応答する出力制御信号を生成する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記所定の参照値は、処理の終わりに達成されるべき全透析量値KTを含み、前記制御装置は、処理の間の時間間隔において、
処理時間Tに測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTiと、
経過処理時間Tにて、与えられている有効な全透析量KTTi値と、
前記所定の全透析量KT値を達成するために必要とされる推定される残り処理手続時間Ttrおよび推定される全処理時間Ttotの間の少なくとも1つと、
を決定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KTTi、および処理時間Tiに測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTi、の関数として推定される残り処理手続時間Ttrを決定するためにプログラムされている、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記全透析量値KT、時間Tまでに達成される有効全透析量KT、および経過処理時間Ti、の関数として推定される全処理時間Ttotを決定するためにプログラムされている、請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、各時間間隔において、経過処理時間Tおよび残り処理手続時間Ttrの推定値の合計として推定される全処理時間Ttotを更新するためにプログラムされている、請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記所定のパラメータは、また、処理の最後に達成されるべき所定の全重量損失WLを含み、前記制御装置は、処理の間の時間間隔に次の、
時間Tまでに達成される実際の測定される全重量減損WLTiを決定する工程と、
所定の全透析量値KTが達成されるのと実質的に同時に所定の全重量減損WLを達成するために前記第2の区画部から流体移動速度UFを設定する工程と、
のさらなる工程を実行するためにプログラムされている、請求項6または7に記載の制御装置。
【請求項10】
流体移動速度を、推定される残り処理手続時間Ttrまたは推定される全処理時間Ttotの関数として継続的に制御するためにプログラムされている、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御は、式
【数1】

に従って、推定される残り処理時間Ttrによって除算された、測定された時間Tにおける重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しい、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定することを含む、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御する工程は、式
【数2】

に従って、推定された全処理時間Ttotと経過処理時間Tの間の差分によって除算された、時間Tにおける測定された重量減損WLTiを減じた所定の全重量減損WLに等しい、時間Tにおける流体移動速度UFTiを設定することを有する、請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンスDTiの最も最近の値または値群に基づいて、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの処理の間に規則的な時間間隔で再計算および更新するためにプログラムされている、請求項5から12のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項14】
経過有効処理時間Tに与えられる有効な全透析量KTTi値の処理の間に規則的な時間間隔で再計算および更新するためにプログラムされている、請求項5から13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記瞬時クリアランス値KTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiは、処理時間Tにおいて、次のサブ工程、
前記処理ユニットの前記第2の区画部を通して少なくとも第1の液体を送る工程と、
前記処理ユニットの前記第2の区画部を通して少なくとも第2の液体を送る工程であって、前記第2の液体は、少なくとも前記第1の液体のものとは異なる溶質についての伝導度または濃度を有する工程と、
少なくとも前記第1および第2の液体の両方について前記処理ユニットの下流で処理液体における前記物質の伝導度または濃度値を測定する工程と、
少なくとも前記測定された伝導度または濃度値の関数として前記瞬時クリアランス値KTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiを計算する工程と、
を用いることによって決定される、請求項5に記載の制御装置。
【請求項16】
決定された有効処理時間Tに与えられる、有効全透析量KTTi値は、種々の一定時間間隔Tiにおいて決定される有効な瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の時間についての積分として計算される、請求項5に記載の制御装置。
【請求項17】
有効処理時間Tに与えられる、有効全透析量KT値は、種々の一定時間間隔Tiにおいて決定される有効な瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の平均値による処理時間Tiとの積として計算される、請求項5に記載の制御装置。
【請求項18】
前記所定のパラメータは、前記処理の最後において達成されるべき全クリアランス値KTと、前記処理の最後において達成されるべき所定の全重量減損WLを含み、前記制御装置は、前記処理の最後において達成されるべき全重量減損WLを前記処理の最後において達成されるべき全透析量値KTで除算することによって、所定の速度Rを決定するためにプログラムされる、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記血液処理の前記第2の区画部からの流体移動の速度を制御するためにプログラムされており、前記制御は、前記所定の速度Rと処理時間Tに測定される瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンス値DTiとの積に実質的に等しい、時間Tiにおける前記流体移動の速度UFTiを保持することを含む、請求項14に記載の制御装置。
【請求項20】
前記制御装置は、各時間間隔において、
経過処理時間Tと残りの処理手続時間Ttrの計算された値との合計を計算し、
前記合計を最小処理時間Tminおよび最大処理時間Tmaxと比較し、
前記合計が前記最小処理時間Tminよりも小さい場合、前記最小処理時間Tminに等しい全処理時間Ttotを設定し、
前記合計が前記最大処理時間Tmaxよりも大きい場合、前記最大処理時間Tmaxに等しい全処理時間Ttotを設定し、
前記合計が最小処理時間Tminよりも小さくなくあるいは最小処理時間Tmaxよりも大きくない場合、前記合計に等しく全処理時間Ttotを設定する、
ためにプログラムされている、請求項5に記載の制御装置。
【請求項21】
前記所定のパラメータは、また、処理の最後に達成されるべき所定の全重量減損WLをも備えており、前記制御装置は、処理の間の時間間隔に次の、
時間Tまでに達成される実際の測定された全重量減損WLTtの決定工程と、
前記全処理時間Ttotに所定の全重量減損WLを達成するために前記第2の区画部からの流体移動速度の設定工程と、
を含むさらなる工程を行うためにプログラムされている、請求項20に記載の制御装置。
【請求項22】
時間Tにおける流体移動速度UFTiを、式
【数3】

に従って、計算された全処理時間Ttotと経過処理時間Tの間の差分で除算された、時間Tにおける測定された重量減損WLTiが減算された所定の全重量減損WLに等しく設定することによって、時間Tにおける流体移動速度UFTiを全処理時間Ttotの関数として継続的に制御するためにプログラムされている、請求項21に記載の制御装置。
【請求項23】
クリアランスKTiまたはダイアリサンスDTiの最後のまたは最も最新の瞬時値または値群に基づいて、全処理時間Ttotおよび/または処理の間における規則的な時間間隔における残り処理時間Ttrを再計算し且つ更新するためにプログラムされている、請求項21に記載の制御装置。
【請求項24】
経過有効処理時間Tにおいて与えられる有効な全透析量KTTi値を、処理の間の規則的な時間間隔にて、再計算し且つ更新するためにプログラムされている、請求項21に記載の制御装置。
【請求項25】
決定された有効処理時間Tにて与えられる、有効全透析量KTi値は、種々の規則的な時間間隔Tにて決定される有効な瞬時透析量値DTiの時間についての積分として計算される、請求項21に記載の制御装置。
【請求項26】
前記所定の参照値は、患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記制御装置は、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を、前記血液伝導度または濃度目標Cpendの関数として制御するためにプログラムされている、請求項1、5、18または20に記載の制御装置。
【請求項27】
前記所定の参照値は、達成されるべき患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記制御装置は、必要に応じて、各時間間隔において、前記推定される全処理時間Ttotにまたは以前に前記伝導度または濃度目標Cpendに到達する物質についての血液伝導度または濃度を有する目的で、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を変更するためにプログラムされている、請求項5に記載の制御装置。
【請求項28】
前記所定の参照値は、達成されるべき患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記制御装置は、必要に応じて、各時間間隔において、前記推定される全処理時間Ttotにまたは以前に前記伝導度または濃度目標Cpendに到達する物質についての血液伝導度または濃度を有する目的で、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を変更するためにプログラムされている、請求項9に記載の制御装置。
【請求項29】
前記所定の参照値は、達成されるべき患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記制御装置は、前記処理の少なくとも一部の間に各時間間隔tにて次の、
経過時間Tに関連して、患者の血液についての間隔目標血液伝導度または濃度Cpを決定する工程と、
必要に応じて、前記第2の区画部に入る処理液体の物質Cについての伝導度または濃度を間隔目標Cpiに到達する患者の血漿伝導度を有するべく変更する工程と、
を含む各工程を行うためにプログラムされている、請求項5から25のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項30】
前記処理液体伝導度または濃度Cの変更は、次の、
iii 物質Cについての伝導度または濃度の計算された値Cdiを、間隔目標Cpiと、時間Tについての計測された瞬時ダイアリサンスまたはクリアランスDまたはKiとの関数として決定する工程と、
iv 前記第2の区画部に入る処理液体の物質Cについての伝導度または濃度を、前記計算された値Cdiに導く工程と、
を含むサブ工程を備える、請求項29に記載の制御装置。
【請求項31】
前記決定する工程は、次の式、
【数4】

(但し、Vは、患者についての尿素分布容量を示す)
を用いる、請求項30に記載の制御装置。
【請求項32】
前記決定する工程は、次の式、
【数5】

(但し、Vは、患者についての尿素分布容量を示す)
を用いる、請求項30に記載の制御装置。
【請求項33】
時間間隔tに関連する患者の血液についての前記間隔目標血液伝導度または濃度Cpiを、次の、
経過処理時間Tが所定の値Tよりも大きいかまたは小さいかを評価する工程と、
もしもTがTよりも小さければ、Aは正の値であって、間隔目標血液Cpi=Cpend+Aとして代入する工程と、
もしもTがTよりも大きいかまたはTと等しければ、間隔目標血液Cpi=Cpendとして代入する工程と、
を含む各工程に従って計算するためにプログラムされている、請求項29に記載の制御装置。
【請求項34】
前記所定の値Tは、Ttotよりも小さい、請求項33に記載の制御装置。
【請求項35】
前記所定の値Tは、1時間だけ減じられたTtotに等しい、請求項34に記載の制御装置。
【請求項36】
少なくとも、処理ユニットを血液の循環のための第1の区画部と処理液体の循環のための第2の区画部に分離する半透膜を含む、処理ユニットと、前記全ての請求項のいずれか1項に従った制御装置とを備える、血液処理設備。
【請求項37】
前記処理ユニットの下流における処理液体の伝導度、または、
前記処理ユニットの下流における処理液体内の物質の濃度、
のうち少なくともいずれか1つを測定するために前記制御装置に接続された測定手段を備える、請求項36に記載の設備。
【請求項38】
前記処理ユニットの上流における処理液体の伝導度、または、
前記処理ユニットの上流における処理液体内の物質の濃度、
のうち少なくともいずれか1つを測定するための測定手段を備える、請求項36に記載の設備。
【請求項39】
処理ユニットの下流のコンジット上で動作する伝導度セルまたはイオン選択センサまたは尿素センサを含む測定するための測定手段を備える、請求項37に記載の設備。
【請求項40】
処理ユニットの上流のコンジット上で動作する伝導度セルまたはイオン選択センサを含む測定するための測定手段を備える、請求項38に記載の設備。
【請求項41】
有意パラメータまたはパラメータ群のための所定の参照値または参照値群を入力するための入力手段をも含む、請求項に記載の設備。
【請求項42】
可変スピード限外濾過ポンプを備え、前記制御装置は、前記可変スピード限外濾過ポンプを制御することによって前記第2の区画部からの液体移動速度を自動的に制御する制御信号を生成すべくプログラムされている、請求項36に記載の設備。
【請求項43】
前記制御装置は、警報装置に結合されており、前記制御装置は、もしも推定される処理手続時間または残りの血液透析処理時間が予め定められた範囲内でなければ、前記警報装置を付勢すべくプログラムされている、請求項36に記載の設備。
【請求項44】
前記制御装置は、
残り時間Ttrと、
全処理時間Ttot
経過時間Tiにおけるダイアリサンス測定のクリアランスと、
時間T時間後に達成された透析量KTTiと、
時間T時間後に達成された重量減損WLTiと、
時間T時間後に達成された患者の伝導度と、
より多くの有意パラメータについての所定の値と、
上記値の1つ以上に比例する値と、
を含むグループの値のうちの1つ以上を時間間隔Tにて表示すべく適合されるディスプレイ画面に結合されている、請求項36に記載の設備。
【請求項45】
血液処理設備のための制御方法であって、前記設備は、少なくとも当該処理ユニットを血液の循環のための第1の区画部と処理液体の循環のための第2の区画部に分離する半透膜を含む処理ユニットを備え、
前記方法は、
処理手続の過程の間に測定される測定情報の1つ以上の項目を受信する工程と、
前記測定された情報から、少なくとも、前記設備によって実行される体外血液処理の進捗を示す有意パラメータの値を計算する工程と、
前記計算された有意パラメータを、少なくとも、同一のパラメータについての所定の参照値と比較し、前記設備によって行われる1つ以上の動作を自動的に制御するために前記比較に応答して少なくとも1つの出力制御信号を生成する工程と、
の各工程を備える、方法。
【請求項46】
前記有意パラメータは、
処理の最初から時間T経過した後の特定の溶質についての前記設備に付随された血液処理ユニットの実際のダイアリサンスDTiまたはクリアランスKTiと、
処理を受けている患者の血液における物質の濃度または経過時間Tにおいて達成される患者の血漿伝導度CpTiと、
経過時間Tにおいて達成される透析量KTiと、
経過時間Tにおいて達成される重量減損WLTiと、
1つ以上の上記パラメータに比例しまたはこれらの既知の関数であるパラメータと、
を含むグループから選択された1つである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記測定された情報は、
前記処理ユニットの下流における処理液体の伝導度と、
前記処理ユニットの下流の処理液体における物質の濃度と、
を含むグループから選択された1つである、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記制御装置は、前記第2の区画部からの液体の移動速度を自動的に制御するために前記比較に応答する出力制御信号を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記所定の参照値は、処理の終わりに達成されるべき全透析量値KTを備え、前記方法は、処理の間の時間間隔において、
処理時間Tに測定される瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンス値DTiと、
経過処理時間Tにて、与えられている有効な全透析量KTTi値と、
前記所定の全透析量KT値を達成するために必要とされる推定される残り処理手続時間Ttrおよび推定される全処理時間Ttotの間の少なくとも1つと、
を決定する工程を含む、請求項45から48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
瞬時クリアランスKTiまたはダイアリサンスDTiの最も最近の値または値群に基づいて、推定される全処理時間Ttotおよび/または推定される残りの処理時間Ttrの処理の間に規則的な時間間隔で再計算および更新することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
経過有効処理時間Tに与えられる有効な全透析量KTTi値の処理の間に、規則的な時間間隔で再計算および更新することを有する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
決定された有効処理時間Tに与えられる、有効全透析量KTTi値は、種々の一定時間間隔Tにおいて決定される有効な瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の時間についての積分として計算される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
有効処理時間Tに与えられる、有効全透析量KT値は、種々の一定時間間隔Tにおいて決定される有効な瞬時クリアランスKTiまたは瞬時ダイアリサンスDTi値の平均値による処理時間Tiとの積として計算される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記所定のパラメータは、前記処理の最後において達成されるべき全クリアランス値KTと、前記処理の最後において達成されるべき所定の全重量減損WLを備え、前記方法は、前記処理の最後において達成されるべき全重量減損WLを、前記処理の最後において達成されるべき全透析量値KTで除算することによって、所定の速度Rを決定する工程を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記所定の参照値は、患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記方法は、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を、前記血液伝導度または濃度目標Cpendの関数として制御する工程を含む、請求項45または54に記載の方法。
【請求項56】
前記所定の参照値は、達成されるべき患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記方法は、必要に応じて、各時間間隔において、前記推定される全処理時間Ttotにまたは以前に、前記伝導度または濃度目標Cpendに到達する物質についての血液伝導度または濃度を有する目的で、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を変更する工程を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項57】
前記所定の参照値は、達成されるべき患者血液伝導度または濃度目標Cpendを備え、前記制御装置は、必要に応じて、各時間間隔において、前記推定される全処理時間Ttotにまたは以前に、前記伝導度または濃度目標Cpendに到達する物質についての血液伝導度または濃度を有する目的で、前記第2の区画部に入る処理液体の伝導度または濃度を変更するためにプログラムされている、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
プログラマブル制御装置のためのプログラムを含み、前記プログラムは、制御装置によって実行したときに、該制御装置が、前記全ての方法に関する請求項のいずれか1項に記載の方法に従った工程を実行すべくプログラムしている、プログラム格納手段。
【請求項59】
光学データキャリアおよび/または磁気データキャリアおよび/または揮発メモリサポートを備える、請求項58に記載のプログラム格納手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−36685(P2011−36685A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−208045(P2010−208045)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2004−533731(P2004−533731)の分割
【原出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【出願人】(501473877)ガンブロ・ルンディア・エービー (49)
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
【Fターム(参考)】