説明

血液検査器での血液分析用使い捨てカセットおよびその使用方法

血液分析用使い捨てカセット(10)であって、このカセットは、充填口(94)を有するサンプリングセクション(70)を含む上部パネル(22)を有するハウジング(20)と、前記ハウジングの上部パネル(22)に凹みとして形成され、ダイアフラム(39)で封止された少なくとも一対のチェンバー(30、32、34、36)であって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが1つ以上のチャネル(50、52、54、56)によって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための試薬を所定量含むこれらチェンバーと、試薬を含む前記チェンバーに隣接し、接続され、上部パネル(22)から窪んだ出口キャビティー(69)と、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティー(60)を覆うカバー(61)とを含み、試薬を含むチェンバーに対して試薬を封止するサンプル出口(60)とを含む。さらに血液分析器で血液パラメーターを測定するための使い捨てカセットの使用方法を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液分析器による血液サンプルの測定用の使い捨てカセットおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液分析は、病院用の高容量、高速度で完全に自動化された機器から、開業医用の小型のカウンターなどに置かれる機器まで種々のものが市販されている。これらの機器の殆どには、自動でサンプルを調製し、測定するための複数の試薬とクリーナーが搭載されている。これらの血液分析器は、高容量、バッチ式のサンプル分析、サンプルの吸引調製の自動化、クリーニングサイクルの自動化などの利点を有することが知られているが、これらの機器は、比較的高価で、多量の試薬を使用し、高度なメンテナンスおよび試薬の在庫管理が要求される。従ってこれらの機器を最小限のメンテナンス、トレーニングおよび技量が要求される緊急医療室などの、より患者に近い環境に適用させるのは困難である。
【0003】
ここ数年の間にこのようなより患者に近いところでの試験を行うというニーズを満たすために1つのサンプル分析用の試薬を含む使い捨てカセットおよびこの使い捨てカセットに適用した血液検査器が開発されている。
【0004】
特許文献1には種々の測定のために血液をサンプリングまたは区分けするための旋回バルブと、血液分析用に予め充填された試薬を含む2つのシリンダーを有する使い捨てカセットが開示されている。試薬と血液の混合は、各シリンダーに位置するピストンによって影響を受ける。カセットの構造は、複雑で、製造コストもかかる。このカセットでは予め充填された試薬が、それ自体が可動な部材である旋回バルブによってカセットの別の部分から分離される。カセットは、クリーナーを含まず、機器の測定装置は、機器に設けられた洗浄液で洗浄される。
【0005】
特許文献2にはハウジングの表面の凹みによって形成され、ダイアフラムで封止された複数の容器部と、これら封止された容器部を相互に連結する複数のチャネルを含む使い捨てカセットが開示されている。2つの容器部は、希釈剤を、1つの容器部は、溶血剤を、他の容器部は、クリーナーをそれぞれ含む。このカセットは、血液をカセットに運ぶために使用される毛細管またはマイクロピペットを収容するように構成された長尺の孔を有する。血液の一部は、第1の希釈剤と混合するためにスライドバルブでセグメント化され、第1の希釈された血液を形成し、希釈されたサンプルをスライドバルブによって2つに分け、その内の1つを第2の希釈剤と混合して、赤血球測定のための第2の希釈されたサンプルを形成し、別のサンプルを溶血剤と混合し、白血球測定のための溶解サンプルを形成する。第2の希釈されたサンプルと溶血サンプル混合物は、カセットの2つの対向する側部の封止された開口部に挿入される針を介して血液分析器に排出される。
【0006】
このカセットには封止された容器部に交互に圧力を加えることによって簡単に混合することができるという利点があるが、いくつかの不利な点があって使用が難しくなる。このカセットには液体試薬を移動させる際に安全に封止することができない。液体試薬は、それ自体が可動部材であるスライドバルブによってのみ他のセクションへ流れるのを制限される。液体試薬は、血液の異なる部分を異なる試薬に対して分離するスライドバルブとの界面で漏れやすくなり、スライドバルブを化学的に汚染する可能性があり、予め充填された試薬が希釈の比を決定し、究極的には測定される血球の濃度を決定するので、測定誤差の原因になる。
【0007】
さらにこのカセットは、2つの連続した希釈工程を必要とするので、希釈剤の使用量が多くなり、サンプル混合物を調製するのに時間がかかる。当然のことながら、測定の精度は、2回目の混合だけでなく、最初の希釈における混合を完全に行い、その質にも依存する。さらにこのカセットは、血液を充填するための特別なツールである毛細管ホルダーを必要とし、これは作業者が試験される各血液のためのホルダーにガラス毛細管を挿入する必要があるので、サンプルを調製する時間全体が長くなってしまう。また細いガラス管は、挿入時に適切に位置合わせされないと壊れやすく、作業者が生体有害物質に晒されやすくなるので、怪我などのリスクも高くなる。さらにこのカセットは、血液分析器の複雑なインターフェースを必要とする。サンプル混合物をカセットの2つの対向する側部から抜き出すので、カセットは、カセットの上に位置する圧力を加える装置と両側のサンプル混合物を引き抜く装置に対して水平に位置させなければならない。またこのような構造により細胞を計数する装置に接続した導管内に気泡が入り込むことを避けるのが難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、装置内での相互の汚染を防止し、血液測定の精度を向上させるために貯蔵および移動の際にカセットに含まれた試薬を確実に封止することができる改良されたカセットを提供することが望まれている。さらには簡単な手順でかつ短い調整時間で赤血球および白血球の両方の測定のためのサンプル混合物用の単一の希釈工程を提供できるカセットも望まれている。さらに血液分析器の簡単なインターフェースで支持することができるカセットを提供することも必要とされている。さらに作業員が便利にかつ安全に使用することができ、トレーニングおよび技量が最小限ですむカセットを提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、本発明は血液分析のための使い捨てカセットに関する。1つの実施態様において、この使い捨てカセットは、充填口を有するサンプリングセクションを含む上部パネルを有するハウジングと、このハウジングの上部パネルに凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された少なくとも一対のチェンバーであって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが1つ以上のチャネルによって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための試薬を所定量含むこれらチェンバーと、試薬を含むチェンバーに隣接し、接続されたサンプル出口とを含む。サンプル出口は、上部パネルから窪んだ出口凹部と、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティーを覆うカバーとを含み、試薬を含むチェンバーに対して試薬を封止する。またこの使い捨てカセットは、クリーニング液を含むクリーナーチェンバーと、このクリーナーチェンバーに隣接し、接続されたクリーナー出口とを含む。クリーナー出口は、クリーナーチェンバーに対してクリーニング液を封止する。
【0010】
さらに使い捨てカセットは、サンプリングセクション内に配置されたサンプリングスレッドを含み、これは充填位置とフラッシング位置との間でスライド可能である。サンプリングスレッドは、平坦な上部面と、この面に形成された凹部形状のサンプリングキャビティーとを含む。充填位置にあるとき、このサンプリングキャビティーは、充填口と流体連通し、フラッシング位置にあるとき、対の混合チェンバーを相互連結するように構成された1つ以上のチャネルと流体連通する。
【0011】
1つの実施態様において、ダイアフラムはハウジングの上部パネルの上側を封止し、ダイアフラムと換気開口部上の上部パネルの上側との間にスペースを維持する。さらにカセットは、換気開口部の周囲で上部パネルから上に延びた換気リップ部を含み、ダイアフラムと換気開口部との間の距離を維持する。さらにカセットは、換気開口部に配置された1組の電極を含んでもよく、その上端部は、電気接続のために上部パネルに位置している。これらの電極は、血液センサーとして機能する。
【0012】
別の態様において本発明は、本発明の使い捨てカセットを使用して血球の測定のための血液サンプルを調製する方法に関する。この方法は、上記の使い捨てカセットを供する工程と、カセットのサンプリングセクションに充填口から血液を充填する工程と、挿通エレメントによってサンプル出口のディバイダーを挿通し、1つ以上のチャネルを介して対のチェンバーの第1チェンバーと第2チェンバーとの間に流体連通を生じさせる工程と、サンプリングスレッドを使用して一定量の血液を区分けする工程と、第1チェンバーを覆うダイアフラムの一部に圧力を加え、サンプリングセクションを介して試薬が流れるようにし、区分けされた量の血液を第2チェンバー内に流し込む工程と、第1および第2チェンバー間で圧力を交互に掛けて試薬と血液を往復動させて混合に影響を与えるようにし、サンプル混合物を得る工程とを含む。
【0013】
さらにこの方法は、サンプル混合物をサンプル出口を介して血液検査装置内に抜き出し、この装置の導管を介してサンプル混合物の1つ以上の測定のための血液検査機器内に導入する工程を含む。さらにこの方法は、カセットのクリーナーチェンバーに含まれているクリーニング液を血液分析器内に抜き出し、前記血液装置を洗浄し、かつ、使用済みサンプル混合物を導管からサンプル出口を介してカセットのチェンバーに戻す工程も含む。
【0014】
別の実施態様において使い捨てカセットは、さらにハウジングの上部パネルの凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された第2の対のチェンバーであって、チェンバー上のそのダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが別の1つ以上のチャネルによって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための第2の試薬を所定量含むこれらチェンバーと、第2の試薬を含むチェンバーに隣接し、接続された第2のサンプル出口とを含む。第2のサンプル出口は、上部パネルから窪んで、かつ、カバーによって覆われた出口キャビティーおよびその中に配置されたディバイダーを含み、第2サンプル出口は、第2の試薬を含むチェンバーに対して第2の試薬を封止する。両方のサンプル出口は、対のチェンバーの同じ側に位置する。
【0015】
この実施態様ではサンプリングスレッドは、さらに平坦な上面に窪みとして形成された第2のサンプリングキャビティーを含む。充填位置にあるとき、この第2のサンプリングキャビティーは、充填入口と流体連通し、フラッシング位置にあるとき、第2のサンプリングキャビティーは、第2の対のチェンバーを相互に連結するように構成されたチャネルと流体連通する。
【0016】
この実施態様により本発明の方法は、さらにサンプリングスレッドを使用して第2の量の血液を区分けする工程と、第2の挿通エレメントによって第2サンプル出口にディバイダーを挿通し、追加のチャネルを介して第2の対のチェンバーの第1チェンバーと第2チェンバーの間で流体連通を生じさせる工程と、第2の対のチェンバーの第1チェンバーを覆うダイアフラムの一部に圧力を加え、サンプリングセクションを介して第2の試薬が流れるようにし、第2の量の血液を第2の対のチェンバーの第2チェンバー内に流し込む工程と、第2の対のチェンバーの第1および第2チェンバー間で圧力を交互に掛けて試薬と血液を往復動させて混合に影響を与えるようにし、第2サンプル混合物を得る工程とを含む。
【0017】
本発明の利点は、本発明の実施態様を示す添付図面を参照した以下の説明より明らかになる。
【0018】
図中、同じ部材には同じ符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の使い捨てカセットの斜視図である。
【図2】ダイアフラムのない図1に示した使い捨てカセットの底面図である。
【図2A】サンプリングスレッドとサンプリングガスケットが取り除かれた使い捨てカセットの底面図である。
【図3】図1に示した使い捨てカセットの上面図である。
【図4】図1に示した使い捨てカセットのサンプリングスレッドの上面図である。
【図4A】図1に示した使い捨てカセットのサンプリングスレッドの底面図である。
【図4B】サンプリングスレッドとカセットの上部パネルの下側とのスナップ嵌合機構の一部を示す。
【図5】図1に示した使い捨てカセットのサンプリングガスケットの上面図である。
【図5A】図1に示した使い捨てカセットのサンプリングガスケットの底面図である。
【図6】サンプリングスレッドが充填位置にある使い捨てカセットのサンプリングセクションを例示する図である。
【図6A】サンプリングスレッドがフラッシング位置にある使い捨てカセットのサンプリングセクションを例示する図である。
【図7】充填位置における充填入口、第1および第2サンプリングキャビティーおよび換気開口部間の連通を示す図6の2−2’線に沿った使い捨てカセットのサンプリングセクションの拡大断面図である。
【図7A】血液サンプルが充填された後のサンプリングセクションを示す。
【図7B】カセットが換気開口部75内に配置された一組の電極を血液センサーとして有する態様を示す。
【図8】2つのセグメント構造と挿通針とサンプル出口との相互作用を示す第1サンプル出口の断面図である。
【図8A】2つのセグメント構造と挿通針とサンプル出口との相互作用を示す第1サンプル出口の断面図である。
【図8B】2つのセグメント構造と挿通針とサンプル出口との相互作用を示す第1サンプル出口の断面図である。
【図9】本発明の使い捨てカセットが使用される本発明の一態様における血液分析器の斜視図であり、カセットを受け取る移動式のドア形状のインターフェースが開いた状態を示している。
【図9A】水平な開いた状態にある図9に示した血液分析器のカセット受け取りインターフェースの前方斜視図である。
【図10】本発明の使い捨てカセットが使用される本発明の別の態様における血液分析器の斜視図であり、カセットを受け取る移動式のトレイ形状のインターフェースが開いた状態を示している。
【図11】水平な開いた状態にあり、カセットコンパートメント内に使い捨てカセットを有する図9に示した血液分析器のカセット受け取りインターフェースの前方斜視図である。
【図12】血液分析器の血液測定アセンブリのカセットインターフェースの挿通エレメントと使い捨てカセットとの係合を示す図である。
【図13】選択された混合チェンバーに圧力を加える、血液分析器の圧力混合アセンブリのプランジャーの交互の移動を示す。
【図13A】選択された混合チェンバーに圧力を加える、血液分析器の圧力混合アセンブリのプランジャーの交互の移動を示す。
【図14】血液分析器での赤血球および白血球測定のための血液サンプルの調製工程中の第1の対の混合チェンバー内の第1サンプル混合物と第2の対の混合チェンバー内の第2サンプル混合物の移動を示す使い捨てカセットの図である。
【図14A】血液分析器での赤血球および白血球測定のための血液サンプルの調製工程中の第1の対の混合チェンバー内の第1サンプル混合物と第2の対の混合チェンバー内の第2サンプル混合物の移動を示す使い捨てカセットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1つの態様において本発明は、特に血液測定のための血液分析器での血液サンプルの測定のための使い捨てカセットを提供する。
【0021】
図1から3に示す1つの実施態様において、使い捨てカセット10は、上部パネル22および側壁24a−24dを含むハウジング20を含む。図示した実施態様においてハウジング20は、中空の下側を有する、長さ約8cm、幅約5cm、高さ約1cmの矩形のブロック形状を有する。この使い捨てカセットは、ダイアフラムで封止されたハウジング20の上部パネル22に形成された窪み形状の複数のチェンバーまたは容器部と、選択されたチェンバーを連結するように構成された複数のチャネルを含む。これらのチェンバーのいくつかは血液と試薬とを混合するために使用されるので、ここでは混合チェンバーとも言う。図示した実施態様において、使い捨てカセット10は第1の対の混合チェンバー30および32と、第2の対のチェンバー34および36と、クリーナーチェンバー38とを有する。これらすべてのチェンバーは、ハウジング20の上部パネル22に形成された窪み形状であり、ダイアフラム39によって封止されている。一例として混合チェンバーは、長さが約2.2cm、幅が約1.6cm、深さが約0.8cmである。
【0022】
好ましくは各チェンバーは、例えば約0.5から2mmの高さを有する上部パネル22の上側22aから隆起した境界を有する。ダイアフラム39で上部パネルに封止する場合、ダイアフラムは、チェンバーを確実に封止するために境界に熱溶接される。図示の実施態様においてダイアフラム39は、カセット10の上側と言われる上部パネル22の上面全体を封止する。当然のことながらダイアフラムは、各チェンバーの一体化された部分である。図1に示すように窪み上の領域にあるダイアフラム39は、上部パネル22から変位したドーム形状である。ダイアフラムは、後述するようにチェンバーが液状の試薬で満たされているのでチェンバー32、34、38の位置で示すように上部パネル22の上にあるか、またはチェンバーが空のときにチェンバー30、36の位置に示すように窪みの面に実質的に位置する。ダイアフラムは、窪みの上の領域では可撓性である。
【0023】
チェンバー32などの第1の対の混合チェンバーの1つのチェンバーは、所定量の血液希釈剤で満たされている。チェンバー34などの第2の対の混合チェンバーの1つのチェンバーは、所定量の溶血剤が満たされている。希釈剤および溶血剤は、後述する血液分析器で測定するための血液サンプルを調製するために使用される。さらにクリーナーチェンバー38はクリーニング液で満たされている。
【0024】
希釈剤および溶血剤は、両方とも当業界で知られている血液分析に使用される。血液希釈剤は、血液サンプルの赤血球と血小板を測定するために血液サンプルを希釈するための等浸透圧水性溶液である。溶血剤は、赤血球細胞を溶かし、白血球細胞を一定の度合い保存する1種以上の界面活性剤を含み、これにより白血球細胞の数を数え、大きさを測定することができる。クリーニング液は、界面活性剤を含み、また酵素を含んでもよい。
【0025】
図2に示すように各チェンバーは、底部に底部開口部、即ち開口部40、42、44、
46および48を有する。カセット10の製造の際にはダイアフラム39が最初に上部パネル22上を封止し、希釈剤および溶血剤が開口部42および44を介してチェンバー32および34に充填され、クリーニング液が開口部48を介してチェンバー38内に充填される。充填した後、全ての底部開口部は、別のダイアフラムで封止される。このダイアフラムは、側壁24aから24dの底縁部の周囲を封止することができ、従ってカセット10の下側全体を封止する。この封止機構は、構造が単純であり、製造組み立て工程においてコストがかからない。この一体型ダイアフラム構造によって従来の装置で一般に使用される複数のラバーストッパーを使用せずにすみ、ラバー部材と試薬との特に貯蔵時の適合性の問題を避けることができる。
【0026】
ハウジング20は、希釈剤および溶血剤に使用される薬剤に不活性な合成高分子材で作製され、これらの試薬および血液に適合性を有する。当業界で知られている種々の好適な材料を本発明の目的に使用することができる。一例としてポリプロピレンをハウジングをプラスチック成型するために使用することができる。ダイアフラム39とカセット10の底部側を封止するために使用される第2のダイアフラムは、試薬と血液に適合する柔軟性のある合成高分子材料からなる薄い層から作製される。ダイアフラムは、透明であることが好ましい。当業界で知られている種々の好適な材料を本発明の目的のために使用することができる。一例としてポリアミド/ポリプロピレンフィルムラミネートをダイアフラムとして使用される。
【0027】
図3に示すようにカセット10は、下記に詳しく説明するように混合チェンバーを相互に連結するように構成された複数のチャネルを含む。図示した態様においてこれらのチャネルは、ハウジング20の上部パネル22に設けられた溝または窪みによって形成され、これらの溝の上側はチャネルを形成するためにダイアフラム39によって封止されている。この構造によって溝は、ハウジング20の上部パネル22の一体部品として成型することができ便利である。各チャネルもチェンバーを囲む境界と同じ高さを有する上部パネル22の上側22aから隆起した境界を有する。ダイアフラム39で上部パネルを封止する際にダイアフラムはチャネルを確実に封止するためにチャネルの境界に熱溶接される。
【0028】
図1および3に示すようにカセット10は、充填入口94と外部から封止された換気開口部75を有するサンプリングセクション70を有する(図2Aおよび3参照)。ハウジング20の上部パネル22は充填リム開口部74(図1および2A参照)を有し、この中に図5を参照して詳述するサンプリングガスケット90の充填リム94aが挿入される。図1および3に示すようにカセット10は、換気開口部75の周囲に上部パネル22の上側22aから隆起した換気リップ部75aを有する。図示の実施態様ではリップ部75aは、チェンバーの周囲の境界と同じ高さの半球形状を有する。換気リップ部は、他の好適な形状または構造であってもよく、好ましくは開口構造であって、換気開口部の周囲を完全に閉じないものである。ダイアフラム39で上部パネル22全体を封止する際、ダイアフラムはチェンバーとチャネルの周囲の境界のみに溶接され、従ってダイアフラムと上部パネルの残りの領域の上部パネル22の上側22aと間にスペースがある。このスペース72は、サンプリングセクション70に存在し、換気リップ75aによって、図7に示すようにダイアフラムと換気開口部75との間に距離を確実に保たれる。この封止構造によってカセットに外部から封止された換気機構が提供され、この独自の構造的特徴の利用法は、血液の充填を参照して後述する。これとは別にダイアフラムが上部パネル22の上側全体に溶接された場合、換気開口部の周囲の上部パネルの領域は、僅かに窪み、ダイアフラムと換気開口部との間に空間を設ける。ダイアフラム39は、充填リム開口部74上の開口部を覆わずに残し、血液サンプルを後述するように充填入口94を介してカセット内に充填することができる。
【0029】
任意ではあるがカセット10は、図7Bに示すように換気開口部75内に配された一対の電極76a、76bを血液センサーとして有する。電極の上端部76a’および76b’は、上部パネル22または電極インターフェースを形成するハウジング20の側壁に位置し、このインターフェースは、ダイアフラム39によって囲まれたその周囲と電気接続するために露出している。電極インターフェースは、カセットが血液分析器に使用される際に血液分析器のカセットインターフェースの検知器に接続されるように構成されている。
【0030】
図に示すようにチャネル50の第1端部は混合チェンバー30に接続し、チャネル52の第1端部は、サンプル出口60を介して混合チェンバー32に接続している。同様にチャネル54の第1端部はサンプル出口64を介して混合チェンバー34に接続し、チャネル56の第1端部は、混合チェンバー36に接続している。チャネル50および52の第2端部は、互いに隣接して位置し、チャネル54および56の第2端部は、互いに隣接して位置している。これら4つのチャネルの第2端部は、充填入口94に隣接してサンプリングセクション70に位置している。第2の端部でこれら4つのチャネルはそれぞれ図3の符号50a、52a、54aおよび56aで示すように溝の底部で開口している。後で詳しく説明するサンプリングセクションに配置されたサンプリングガスケットを介してチャネル50および52は、流体連通し、チャネル54および56は、流体連通している。
【0031】
好ましくは使い捨てカセット10は、特定のカセットを識別するためのバーコードをさらに含む。図1に示した実施態様では二次元バーコードが使用されている。バーコードは、カセットに含まれる希釈材および溶血剤のロットナンバーなどの製品情報を含むことが可能である。
【0032】
使い捨てカセット10は、ハウジング20のサンプリングセクション70に配置された図2に示すようなサンプリングスレッド80を含む。図4および4Aは、サンプリングスレッド80の上方斜視図および下方斜視図である。図に示すようにサンプリングスレッド80は、平坦な上面82、第1サンプリングキャビティー86および第2サンプリングキャビティー88を有する。これらサンプリングキャビティーは、両方とも上面82に形成された窪み形状であり、それぞれ所定の容量を有する。サンプリングキャビティー86は、赤血球測定のための所定量の血液サンプルを区分けするために使用される。サンプリングキャビティー88は、白血球測定のための所定量の血液サンプルを区分けするために使用される。一例としてサンプリングキャビティー86は、約0.1マイクロリットルの容量を有し、サンプリングキャビティー88は、約5マイクロリットルの容量を有する。血液サンプルの赤血球の濃度は、実質的に白血球濃度より高いので、サンプリングキャビティー86は、実質的にサンプリングキャビティー88より小さい。
【0033】
サンプリングスレッド80は、側壁24aに位置するプッシャーウインドウ29を介して利用可能となるプッシャーインターフェース84を含む(図1および2参照)。カセット10が血液分析器に置かれると、血液分析器のスレッドプッシャー160(図6および12に示すように)がプッシャーインターフェース84を押し、後で説明する充填位置からフラッシング位置へとサンプリングスレッド80を移動させる。サンプリングスレッド80は、さらにその裏に一式の強化リブ81を含む。サンプリングスレッド80は、カセットに使用される血液と試薬に適合性を有する合成高分子材で作製される。当業界で知られている種々の好適な材料を本発明の目的に使用することができる。好ましくはポリカーボネートがスレッドの作製に使用される。
【0034】
さらにサンプリングスレッド80は、2つの長尺のスロット83および85を含み、これらはサンプリングスレッド80とハウジング20の上部パネル22の下側22bとのスナップ嵌合機構の雌部である。図2および2Aに示すようにハウジング20のサンプリングセクション70は、サンプリングスレッド80のスナップ嵌合のための上部パネル22の下側から延びた2組の雄エレメント26を有する。図4Bに示すようにサンプリングスレッド80が上部パネル22の下側にスナップ嵌合されると、スレッドは雄エレメント26にしっかりと保持される。しかしながら、サンプリングスレッド80は、プッシャーによって押されると長尺のスロット83の長さ内でスライドすることができる。
【0035】
図2Aはカセットからサンプリングスレッド80が取り除かれた状態のカセット10の下方斜視図である。図に示すようにハウジング20のサンプリングセクション70は、後述するサンプリングガスケット90を設置するための上部パネル22の下側に形成された窪み状のガスケットシート28を有する。さらにチャネル50、52、54および56のチャネル開口部50a、52a、54aおよび56a、充填開口部74および換気開口部75がガスケットシート28にそれぞれ位置している。
【0036】
カセット10は、ガスケットシート28内に配置される図5および5Aに示すサンプリングガスケット90を含む。サンプリングガスケット90は、これが設置されるときにハウジング20の上部パネル22の下側のガスケットシート28に対して直接位置する平坦な上面91を含む。サンプリングガスケット90は、円形の充填リム94aに囲まれた充填入口94を含み、このリムは、ハウジング20の充填リム開口部74の内径に対応する外径を有する。充填リム94aは、充填リム開口部74内に挿入され、従ってサンプリングガスケット90の充填入口94は、血液サンプルを充填するためにカセット10の上側から直接利用することができるようになる。サンプリングガスケット90もまたハウジング20の上部パネル22の換気開口部75と位置合わせされる換気開口部95を有する。
【0037】
サンプリングガスケット90は、カセットに使用される血液および試薬に適合性を有する弾性材料で作製される。当業界で知られている種々の好適な弾性材が本発明の目的のために使用可能である。好ましくはシリコーンが使用される。サンプリングガスケット90の厚さは、ガスケットシート28の深さより大きく、従ってサンプリングガスケット90の下面92は、ガスケットシート28からはみだし、サンプリングスレッド80の平坦な上面82に直接位置する。
【0038】
サンプリングガスケット90は、チャネル50および52のチャネル開口部50aおよび52aの下に位置し、これらに位置合わせされる第1の貫通孔96とチャネル54および56のチャネル開口部54aおよび56aの下に位置し、これらに位置合わせされる第2の貫通孔98を含む。従ってチャネル50および52は、第1貫通孔96によって接続され、第1の対の混合チェンバー30および32が確実に流体連通する。同様にチャネル54および56は、第2貫通孔98によって連結され、第2の対の混合チェンバー34および36が確実に流体連通する。
【0039】
図5Aに示すようにサンプリングガスケット90は、サンプリングスレッド80の上面82に直接接触する平坦な下面92を有する。下面92には充填入口94の外側から換気開口部95の外側に延びた長尺の凹部97がある。サンプリングガスケット90の平坦な下面92がサンプリングスレッド80の平坦な上面82に直接位置するので、凹部97は、血液を充填するスペースを形成する。
【0040】
図6および6Aは、本発明の使い捨てカセットのサンプルの量を区分けする機構を例示している。図6においてサンプリングスレッド80は、その充填位置4Aにあり、図6Aにおいてサンプリングスレッド80は、フラッシング位置4Bにある。サンプリングスレッド80の2−2’線の相対位置を参照されたい。図6の充填位置において、充填入口94、換気開口部95およびサンプリングスレッド80の第1および第2サンプリングキャビティー86、88は、全てサンプリング80の2−2’線に位置合わせされている。これにより血液8が充填入口94を介して満たされるとき、血液8は第1サンプリングキャビティー86および第2サンプリングキャビティー88内へと流れ込み、凹部97を満たす(図6の影が付けられた箇所を参照)。
【0041】
充填入口94、凹部97、第1および第2サンプリングキャビティー86、88および換気開口部95間の連通を図6の2−2’線に沿った断面を示す図7で視認することができる。充填中、カセットは図7に示すように充填入口94が起立した状態で水平位置にある(図11も参照されたい)。上述のように換気リップ部75aは、ダイアフラム39と換気開口部75の周囲の上部パネル22の上側72aとの間に一定の距離を維持し、ダイアフラム39と上部パネル22の上側との間にスペースができる。このスペースは、約1mmの高さを有する。図7Bは、血液サンプルが充填された後のサンプリングセクションの断面を示している。血液サンプルは、20マイクロリットルまたは40マイクロリットルマイクロピペットなどの市販のマイクロピペットを使用して充填することができる。図7Bに示すように20マイクロリットルの血液サンプルが充填入口94を介して充填されると、血液はサンプリングキャビティー86、88および凹部97を満たし、さらには換気開口部75およびその真上の少量のサンプルが入り込むスペース72内に入り込む。充填中、キャビティー86、88および凹部97のスペース内の空気は、換気開口部75を介してスペース72内に放出される。従ってサンプリングキャビティー内に気泡は存在しない。当然のことながらダイアフラム39は上部パネル22を覆うが、キャビティー86、88と凹部97から空気を放出するのに充分なスペース72が設けられている。
【0042】
当然のことながら、カセット10の外側から封止された換気機構は、充分に空気を排出するが、血液がカセットの外に出ることを妨げ、血液サンプルの測定中の整体有害物質による汚染を最小限に抑えることができる。さらにこの外部封止換気機構は、サンプルが過剰に充填された場合に血液が換気開口部から上方にあふれ出る場合のセーフガードになる。さらに当然のことながらかなりの量の血液サンプルが過剰に充填された場合、上部パネル22上のスペース72は、血液が戻って充填入口94を介してあふれ出るのを防ぐために過剰の血液を吸収するバッファー領域として機能する。
【0043】
図7Aおよび7Bから解るように図7Bの実施態様において、血液サンプルが充填されると、電極76a、76bが血液に浸され、電気回路を閉じ、発生する電気信号が血液分析器の検知器によって感知され、サンプル調製工程を監視または制御するためのシステム制御によって利用可能になる。
【0044】
充填に続いてサンプリングスレッド80は、プッシャー160または作業員によって摺動で図6Aに示すフラッシング位置4Bへと押し込まれる。このフラッシング位置において、サンプリングガスケット90の第1および第2貫通孔96、98は、サンプリングスレッド80の2−2’線と位置合わせされる。当然のことながら、サンプリングスレッド80の第1および第2サンプリングキャビティー86、88が凹部97から移動すると、第1および第2キャビティー86、88より上の血液は、サンプリングスレッド80の平坦な上面82に対してサンプリングガスケット90の凹部97の縁部97aによって剪断される。これにより所定の量の血液が赤血球測定のための第1サンプリングキャビティー内にセグメント化または区分けされ、所定量の血液が白血球測定のための第2サンプリングキャビティー88内にセグメント化または区分けされる。
【0045】
本発明の使い捨てカセットのサンプル分離機構を用いることによって、極めて少量の血液が全血球計算(CBC、16の血液学パラメータ)を報告するための血液サンプルの測定に必要とされる。通常、約20マイクロリットルの血液しかマイクロピペットを用いてカセット内に充填されない。さらに充填容量が測定のための区分けされたサンプル容量に直接関係しないので、血液サンプルの充填量の要件は、許容度が大きくなる。通常、カセットは約20%の充填量の誤差範囲を有するので、最小限の訓練および技量レベルしか作業員に要求されない。さらに血液サンプルを市販のマイクロピペットを使用して直接充填することができるので、過剰量の血液によって生じる誤差を避けるためにピペットの外側に残った血液をふき取るためにティッシュペーパーを使用する必要がない。これによりティッシュペーパーを使用したことによる粒子による汚染を防ぐことができる。
【0046】
図6Aから明らかなようにフラッシング位置4Bにおいて、チャネル開口部50a、52aは、サンプリングガスケット90の第1貫通孔96によって第1サンプリングキャビティー86に接続され、チャネル開口部54a、56aは、サンプリングガスケット90の第2貫通孔98によって第2サンプリングキャビティー88に接続される。これによりチェンバー30、32は、チャネル50、52を介して流体連通し、チェンバー34、36は、チャネル54、56を介して流体連通する。この位置で混合チェンバー32内の血液希釈剤チャネル52から第1サンプリングキャビティー86を介してチャネル50内に流入し、チャネル50は、第1サンプリングキャビティー86内の所定量の血液を混合チェンバー30内に移送する。同様に混合チェンバー54内の溶血剤がチャネル34から第2サンプリングキャビティー88を介してチャネル56内に流れ込み、チャネル56は、第2サンプリングキャビティー88内の所定量の血液を混合チェンバー36内に移送する。
【0047】
ここで図1、3および8から8Bを参照すると使い捨てカセット10は、さらに第1サンプル出口60と、第2サンプル出口64と、クリーナー出口68とを含み、これらを介してサンプル混合物とクリーニング液が血液分析器の導管内に排出される。図8から8Bは、サンプル出口60の構造および作用機構を詳しく示している。図に示すように第1サンプル出口60は、ハウジング20の上部パネル22から窪んだ出口キャビティー62と、カバー61とを含む。出口キャビティー62は、ディバイダーまたは膜63によって隔てられたセグメント62a、62bを含む。図に示すようにセグメント62aは、混合チェンバー32に隣接して位置し、これに接続し、セグメント62bは、チャネル52に接続している(図3および2Aも参照されたい)。カセット10が血液分析器と係合する前に混合チェンバー32に予め充填された血液希釈剤は、チェンバー32と第1サンプル出口60のセグメント62aに保持され、希釈剤がカセットの他の部分に流れ込まないようにする膜63によって封止されている。図8Aおよび8Bに例示するようにカセット10が血液サンプルを測定するための血液分析器と係合すると、挿通針182がカバー61を挿通し、膜63を抜けて、開口部63aを形成する。挿通針182が僅かに抜かれると(図8Bに示すように)、セグメント62a、62bが開口部63aを介して流体連通し、第1の対の混合チェンバー30、32間で流体連通が生じる。後述する混合の後、第1サンプリングキャビティー86によって分離された第1の量の血液と希釈剤とで形成された第1サンプル混合物は、第1サンプル出口60から針182を通って測定のための血液分析器の導管内に抜き出される。
【0048】
第2サンプル出口64の構造は、実質的に第1サンプル出口と同じであり、ディバイダーまたは膜(図示せず)によって隔てられた図3に示すような2つのセグメント66a、66bを含む出口キャビティーを有する。セグメント66aは、混合チェンバー34に接続され、セグメント66bは、チャネル54に接続している。第2サンプル出口64の作動機構は、第1のサンプル出口60で説明したものと同じである。
【0049】
サンプル出口60、64は、両方とも混合チェンバーの一方の側、即ちサンプルセクションと混合チェンバーの間に位置している。血液分析器でのサンプルの調製工程中、カセット10は図12に示すように垂直位置にあり、サンプル出口60、64は混合チェンバーの下に位置する。この構造は、後述するサンプル出口での気泡の発生を最小限に抑えることができる。
【0050】
ディバイダーは、ハウジングの作製に使用するのと同じ高分子材料で例えば厚さ0.2から0.3mmの薄膜であってもよく、プラスチック成型によってハウジングと一体に形成することも可能である。しかしながらディバイダーは、これら2つのセグメントの間に配置される別個の膜部材または溶接されたドアー上のものなどの別個の部材であってもよい。さらにこれら2つのセグメント間を分割する他の好適なものも本発明の目的のために使用することが可能である。例えば上記とは別にディバイダーを図8に示すように下に配置するのではなく、挿通可能なカバーに隣接して配置してもよい。ピンはディバイダー上に配置され、このピンはディバイダーを壊す為に押し込む事ができる。これとは別に2つの孔を有する針を使ってもよい。この設計では針が膜を挿通し、下側の孔がセグメント62a内に封止された試薬に浸され、上の孔がセグメント62bの膜に上に位置し、針自体が2つのセグメントを連通させる導管となる。
【0051】
図8に示すようにカバー61は、ハウジングの上部パネル22から窪んだカバーシート61aに位置している。これによりカバー61は、完全にその周囲のシート61aによって囲まれ、支持され、漏れを防ぐためにカバーの周囲を完全に封止することになる。サンプル出口のカバーは、弾性材から作製され、従って挿通針の周囲を確実に封止する。この弾性材は、カセットに使用される試薬と血液に対して適合性を有する。当業界で知られている種々の好適な弾性材を本発明の目的のために使用することができる。好ましくはシリコーンが使用される。
【0052】
当然のことながら、サンプル出口は複数の機能を有する。その1つは第1または第2サンプル出口は、1つの試薬を1つのチェンバーのみに対して封止し、試薬がカセットのサンプリングセクションおよび他のチェンバーおよびチャネルに流れ込むのを制限する。使用前にこのように制限することによってカセットの貯蔵および移送の際の試薬の漏れの危険を低減する。ディバイダーが挿通されると、各サンプル出口は、1対の2つの混合チェンバーを相互に連結するチャネルの一部となる。さらにサンプル出口は、調製されたサンプル混合物がカセットから測定のための血液分析器内に引き込まれる際のポートでもあり、測定後の使用済みサンプル混合物は、後述するようにサンプル出口を介してカセット内に戻される。
【0053】
クリーナー出口68は、単純な構造であり、上述した弾性材からなるカバーによって覆われた出口キャビティー69を有する。出口キャビティー69は、ハウジング20の上部パネル22に形成された凹部であり、クリーナーチェンバー38に接続する一方の側に延びている(図2および3参照)。クリーナーチェンバー38に充填されているクリーニング液は、図8に示したような方法で針などの挿通エレメントを用いてクリーナー出口68から抜き出すことができる。
【0054】
好ましくは上述の各出口もチェンバーおよびチャネルを囲む境界の高さと同じような高さの上部パネル22の上側22aから隆起した境界を有する。ダイアフラム39が上部パネル22を封止する際、ダイアフラムは出口を封止するために出口の境界に熱溶接される。出口のカバーが上述のように挿通されると、カバーの上のダイアフラム39も挿通される。
【0055】
使い捨てカセット10は、後述する血液分析器に使用される。図9、9Aおよび13を参照すると血液分析器100は、カセット収容インターフェース120と、血液測定アセンブリ170と、圧力アクチュエーターアセンブリ190と、システム制御部200と、ユーザーインターフェース210とを含む。
【0056】
図9および9Aに示す実施態様において、カセット収容インターフェース120は、ドアー形状であり、ドアヒンジ124を使用して閉じた位置と開いた位置の間で移動可能である。図9Aは、開いた状態の水平位置にあるカセット収容インターフェース120を示している。カセット収容インターフェース120は、ドアパネル122と、2つの側壁132a、132b、後壁133および前部にあるストッパー139によって形成されたカセットコンパートメント130とを含む。図示の実施態様において底部134は、ドアパネル122の内面であるが、カセットコンパートメントは、ドアパネルとは別個の部材であってもよい。カセットコンパートメント130は、2つの側壁の間の幅は、使い捨てカセット10の幅に対応する。壁の高さ136は、カセットの厚みより高いことが好ましい。このカセットコンパートメント130の構造および寸法によって使い捨てカセット10は、血液分析器によって実施されるサンプルの調製工程中にコンパートメント内にしっかりと保持される。
【0057】
図10は本発明の使い捨てカセットを使用することができる血液分析器の別の実施態様を示す。図示したように血液分析器300は、スライドするトレー状のカセット収容インターフェース320を含む。カセット収容インターフェース320は、前部パネル338と、コンパクトディスクドライバを開閉するために使用されるものと類似のスライド機構を下側に有するサポート310を有する。このサポートパネル310の上にカセットコンパートメント330が配置されている。カセットコンパートメント330の構造は、血液分析器100のカセットコンパートメント130と類似し、底部334と側壁を有し、カセットコンパートメント330の寸法は、実質的にカセットコンパートメント130の寸法と実質的に同じである。カセットコンパートメント320が図10に示すように開いた位置にあるとき、使い捨てカセット10は、カセットコンパートメント330の内側に置くことができる。カセットインターフェース320が血液分析器300のシステムハウジング30内にスライドして閉じた状態になると、カセットコンパートメント330は、回転機構(図示せず)によって垂直位置に回転し、カセット収容インターフェース120が閉じた位置にあるときにカセット10を血液分析器100内にあるのと同じ向きに移動させる。この実施態様では血液測定アセンブリ、圧力アクチュエーターアセンブリ、システム制御部およびユーザーインターフェースは、後述する血液分析器100のものと同じである。
【0058】
任意にカセット収容インターフェース120または320は、さらに血液サンプルの測定中にカセットがカセットコンパートメント130または330内に置かれた際に使い捨てカセット10内の血液の存在を検知するように動作可能な血液センサー140を含む。1つの実施態様において血液センサーは、当業界で知られている光学センサーである。さらにカセット収容インターフェース120または320は、カセットコンパートメントに使い捨てカセット10が存在するかを検知するように動作可能なカセットセンサー150を底部134またはカセットコンパートメントの他の位置に含んでもよい。カセットセンサー150は、機械的、電気的または光学的なセンサーであってもよい。血液およびカセットセンサーは、両方ともシステム制御部に接続され、センサーによって提供される情報は、自動化されたサンプル調製および測定のためのシステム制御部によって使用される。例えばカセットセンサーがカセットコンパートメントにカセットが入っていないことを示したとき、または血液センサーがカセットに血液が入っていないことを示したとき、血液分析器は後述するサンプル調製工程を開始しない。
【0059】
さらに血液分析器100または300は、さらにカセット収容インターフェース120または320の位置を検知する位置センサーを含む。この位置センサーは、カセット収容インターフェース120または320の好適な位置、または血液分析器の他の好適な位置に配置された機械的、電気的または光学的なセンサーであってもよい。図9および9Aに示す実施態様において、電気的マイクロスイッチである血液分析器100の位置センサー146は、ドアヒンジ124の端部に配置されている。位置センサー146は、カセット収容インターフェース120が閉じた位置または開いた位置、もしくは水平または垂直位置にあるかを検知する。位置センサーは、システム制御部に電気的に接続され、カセット収容インターフェースの開いた位置または閉じた位置を示す信号は、後述する血液分析器の作動制御において制御によって利用される。
【0060】
血液測定アセンブリ170は、血液サンプル中の血球および/またはその内容物を測定することができる1つ以上の血液測定装置を含む。1つの実施態様において、血液測定アセンブリ170は、2つの血液測定装置を含み、その内の1つは血液サンプル中の赤血球および血小板を測定するために使用され、もう一方の装置は、血液サンプルの白血球を測定するために使用される。この血液測定装置は、開口部を有する流路と、開口部を通過する個々の細胞を検知するために開口部に隣接して配置された検知器を含む。この検知器は、電気的検知器または光学検知器であってもよい。電気検知器は、水性導電性サンプル混合物中に懸濁された各血液細胞が開口部を通過した際に発生する交流インピーダンス信号(DC)または無線周波数インピーダンス信号(RF)を直接測定する。これらのインピーダンス信号は、サンプル混合物中の細胞の数を数え、細胞の大きさを測定するために使用される。光学センサーは、開口部を通過する血液細胞によって発生する光の分散または吸収信号を測定し、これらの信号は、サンプル混合物中の細胞の数を数え、細胞の大きさを測定するために使用される。血液細胞測定のための当業界で知られている好適な電気検知器または光学検知器を本発明の目的のために使用することができる。
【0061】
血液測定アセンブリ170は、さらにヘモグロビン測定装置を含み、これは所定の長さの光経路を有するキュベット、光源およびキュベットを通過する光の吸収を測定するために光経路と位置合わせされた光学検知器とを含む。好ましくはキュベットは、白血球測定のために使用される血液測定装置と流体接続し、よって血液サンプル中のヘモグロビン濃度および白血球は、1つのサンプル混合物を使用して測定することができる。白血球およびヘモグロビン濃度を測定する際に一定量の血液サンプルが溶血剤と混合され、赤血球を溶かし、ヘモグロビン色原体を形成するヘモグロビン分子を通常ヘモグロビンリガンドまたは溶血剤に含まれている安定剤と共に放出される。形成されたサンプル混合物は、キュベットと同様に流路の開口部を通過し、白血球とヘモグロビン濃度は、同じサンプル混合物を使用して順次測定することができる。
【0062】
これとは別に2つの別個のサンプル混合物を調製し、白血球およびヘモグロビン濃度を測定するために使用することができる。この構成ではヘモグロビン測定装置は、白血球測定に使用される流路から隔てられている。
【0063】
赤血球、白血球およびヘモグロビン濃度測定において発生する信号は、システム制御部200から独立したまたはこれと一体化されたデータプロセッサーによって処理される。
【0064】
さらに血液測定アセンブリ170は、使い捨てカセット10と流体接続し、使い捨てカセット10内の調製されたサンプル混合物を測定のための血液測定アセンブリ170内に移送し、測定後に血液測定装置をクリーニングするためのクリーニング液を血液測定アセンブリ170に送るように構成されたカセットインターフェース180を含む。
【0065】
1つの実施態様においてカセットインターフェース180は、挿通によって第1および第2サンプル出口60、64および使い捨てカセット10のクリーナー出口68と係合する図12に示したような針182、184、188などの1つ以上の挿通エレメントを含む。各針は、血液測定装置の1つ以上の流路に接続された導管(図示せず)に接続される。
【0066】
さらに血液分析器100は、所定量の血液と血液希釈剤または溶血剤とを混合するための使い捨てカセット10の選択された混合チェンバーに圧力を加えるための圧力アクチュエーターアセンブリ190を含む。1つの実施態様において、圧力混合アセンブリ190は、図12に略式に示すような複数のプランジャー192、194、196、198を含む。各プランジャーは、カセットが血液分析器100または300のカセット収容インターフェース120または320内に設置された際に使い捨てカセット10の1つの混合チェンバー上のダイアフラム39の領域に圧力を加えるように構成されている。図12に示した実施態様ではプランジャーは、マッシュルームのような形をしており、それぞれ半球形のプランジャーヘッドとステムを有する。プランジャーは、1つ以上のモーター(図示せず)で駆動される。図示の実施態様において、各プランジャーは、混合チェンバーの方向に直線的に移動することによって使い捨てカセット10の選択された混合チェンバーに圧力を加える。図12は、プランジャー192、194、196および198と混合チェンバーとの係合を略式に示す使い捨てカセット10の仮想面を示している(判りやすくするためにチェンバーと出口の対応する符号は、カセットにのみ示しており、仮想面には示していない)。図12はさらに針182、184、188とサンプル出口60、64およびクリーナー出口68との係合を示している。これとは別にプランジャーは、カム形状であってもよく、これは回転移動によって選択された混合チェンバーに圧力を加える。
【0067】
血液サンプルを調製、測定するための本発明の使い捨てカセットの使用方法を図11、12、13−13Aおよび14−14Aを参照した一例をもって血液分析器100を使用して説明する。
【0068】
血液分析器の血液サンプルの測定方法において、使い捨てカセット10は、図11に示すように開いた位置にあるカセット収容インターフェース120のカセットコンパートメント130内に置かれる。図示したようにカセット10は上側が上に向いた状態でサンプリングセクション70が血液分析器の内側の方に向けられる。この位置に置いて、作業員が血液サンプルをマイクロピペットを用いて充填入口94を介してカセット内に充填し、充填後カセット収容インターフェース120を閉じた位置に移動させる。位置センサーによって示されるようにカセット収容インターフェース120が閉じた位置に移動すると、血液分析器は、針182、184、188をカセットの方へと移動させ、図12に示すように第1および第2サンプリング出口60、64およびクリーナー出口68内に挿通するように血液測定アセンブリ170のカセットインターフェース180を作動させる。図12で注目すべきことはカセット10の上側が血液分析器の内側に向いて、カセット10の下側がドアパネルに面しているということである。上述したように針182は、出口キャビティー62の膜63を挿通するように移動し、僅かに後退して膜63の開口部63aを介して混合チェンバー32とチャネル52との間の流体連通を可能にする。同じことが第2サンプル出口64において針184によって行われる。クリーナー出口68の場合、針188は単にカバーを通ってその中のクリーニング液内に到達する。この時点で血液分析は、圧力アクチュエーターアセンブリ190を作動させて選択された混合チェンバーに圧力を加える。
【0069】
図12に示すようにインターフェース120を受けるカセットの閉じた位置において、プランジャー192、194、196および198は、混合チェンバー30、32、34および36に隣接して位置する。図13に示すように圧力アクチュエーターアセンブリ190は、最初にプランジャー194、196を前方に移動させ、混合チェンバー32および混合チェンバー34上の領域のダイアフラム39に圧力を加える。上述のように混合チェンバー32は、希釈剤で満たされており、混合チェンバー34は、溶血剤で満たされており、これを略式に図14に示す。図14および14Aにおいて、カセット10は、血液分析器の内側からドアパネルの方へと見た方向で示されている。第1の対の混合チェンバー30、32について圧力がプランジャー194によって混合チェンバー32に加えられると考えると、希釈剤は、混合チェンバー32から第1サンプル出口60セグメント62aおよび62bを介してチャネル52内に流れ、それから貫通孔96を介してチャネル50内に、そして混合チェンバー30に流れる。同様に圧力を混合チェンバー34にプランジャー196で加えると、溶血剤が混合チェンバー34から第2サンプル出口64のセグメント66a、66bを介してチャネル54へと流れ、さらにそこから貫通孔98を介してチャネル56内に、そして混合チェンバー36内へと流れる。従って各対のチャネル、貫通孔および混合チェンバーは、そこに含まれる各試薬で下塗りされ、全ての接触面領域は、濡れている。
【0070】
この時、システム制御部200は、カセットコンパートメント130の側壁132a内に位置するプッシャー160を作動させる(図9参照)。プッシャー160は、サンプリングスレッド80をカセット10のプッシャー開口部29を介して充填位置からフラッシング位置へと押して移動させる。上述したようにサンプリングスレッド80が充填位置からフラッシング位置へと移動することによって第1サンプリングキャビティー86内の第1の所定量の血液サンプルおよび第2サンプリングキャビティー88内の第2の所定量の血液サンプルを区分けする。サンプリングスレッド80がフラッシング位置に移動したら、上述したようにそして図13に例示するように圧力アクチュエーターアセンブリ190がプランジャー194および196を前方に移動させ、混合チェンバー32および34に圧力を加える。しかしながらこの時、図6Aおよび14Aに示すように、混合チェンバー32内の希釈剤は、チャネル52を介して流れ、第1サンプリングキャビティー86の所定量の血液をチャネル50内にフラッシュし、血液を混合チェンバー30内に搬送する。同様に混合チェンバー34内の溶血剤は、チャネル54を介して第2サンプリングキャビティー88内の所定量の血液をチャネル56内にフラッシュし、血液をチェンバー36内に搬送する、図6Aおよび14A参照。
【0071】
それから図13Aに示すように圧力アクチュエーターアセンブリ190は、プランジャー194および196を後方に移動させ、プランジャー192および198を前方に移動させて混合チェンバー30および36に圧力を加える。加圧下で混合チェンバー30内の血液と希釈剤との混合物は、上述の経路を介して逆の方向に混合チェンバー32内に流れる。同様に混合チェンバー36内の血液と溶血剤の混合物は、上述の経路を介して逆の方向に混合チェンバー34内に流れる。プランジャー194、196および192、198は、何回も交互に移動し、血液と希釈剤の混合物を混合チェンバー30および32間で前後に流れるようにし、血液と溶血剤の混合物を混合チェンバー34および36間で前後に流れるようにしている。この前後の流れによって血液と希釈剤または溶血剤とが適度に混合され、その後の測定のための第1および第2サンプル混合物がそれぞれ製せられる。サンプリングキャビティーから血液をフラッシングする前に希釈剤と溶血剤で下塗りしておくのが好ましく、これにより血液が流路の乾燥した面に接触したり、付着したりするのを妨げ、混合効率を向上させる。
【0072】
混合の後、第1サンプル混合物(血液と希釈剤)は、第1サンプル出口60から真空力によって針182と第1導管を介して血液測定アセンブリ170の第1血液測定装置内に取り込まれ、そこで赤血球が測定される。同時に第2サンプル混合物(血液と溶血剤)は、第2サンプル出口64から真空力によって針184と第2導管を介して血液測定アセンブリ170の第2血液測定装置内に取り込まれ、そこで赤血球とヘモグロビンの濃度が測定される。測定が完了すると、チェンバー38内のクリーニング液が第1および第2血液測定装置を流体接続する別個の導管内に針188を介して引き込まれ、装置を洗浄する。血液分析器のフローシステムは、クリーニング液が第1および第2サンプル混合物をそれらが来たカセット10の混合チェンバーに押し戻すように設計されている。従ってクリーニングが終わる頃には全てのサンプル混合物がカセット10に戻される。クリーニングが完了すると、血液測定アセンブリ170のカセットインターフェース180は、カセットから引き込まれる。同時に作業員は、カセット収容インターフェース120を開放位置へと移動させ、カセットを取り除く。それから新しいカセットがカセットコンパートメントに置かれ、上述の手順が別のサンプルの調製、測定のために繰り返される。
【0073】
針がサンプル出口およびクリーナー出口から抜き出された後、弾性材からなる出口のカバーが出口を封止し、液が漏れないようになっている。さらにサンプルスレッド80は、充填入り口にすでに位置合わせされていないので、使用済みのカセットは、それ自体がカセットを封止し、よって使用済みカセットから生体危険物質が漏れることはない。
【0074】
別のサンプルが血液分析器ですぐに分析されない場合、使用済みカセットは、カセットコンパートメント内に保持され、カセット収容インターフェース120は、閉じた位置に維持される。血液分析器のシステム制御部は、サンプルの分析中カセットインターフェース180をその位置に維持する。従って針182、184および188の頭部は、サンプル出口およびクリーナー液出口60、64および68の内側に留まり、全ての針は、使用済みのサンプルコンパートメントを混合チェンバー内に押し戻したきれいなクリーニング液内に浸される。このようにして針は、濡れた状態に維持され、塩の結晶または粒子が針の内側および外側に形成されなくなる。当然のことながら針は、血液細胞または粒子の計数のための血液測定装置の導管の前端部である。導管になんらかの粒子が形成されると細胞の計数の誤差の原因になり、流路を詰まらす原因にもなる。この意味からも当然のことながらサンプル出口およびクリーナー液出口は、上述の機能に加えて、血液測定アセンブリ170のカセットインターフェースの液体シールとしても機能する。この機構を使用することによって、本発明の血液分析器がカセットインターフェースからの粒子の汚染による問題を持たずに数ヶ月連続的に作動することができることを確認した。
【0075】
上述の使い捨てカセットおよび血液分析器は、より患者に近い試験現場での使用に特に適している。血液を充填し、カセットを配置するまでの血液サンプルの調製、測定のためのカセットの使用方法は、簡単であり、最小限の作業トレーニングだけで済む。本発明の使い捨てカセットは、血液サンプルを調製するために必要な試薬およびサンプルの測定後に血液分析器を洗浄するためのクリーニング液を予め含む内蔵型である。従って血液分析器は、その機器のメンテナンス、個別の試薬の利用および在庫管理が最小限で済む。
【0076】
本発明の使い捨てカセットおよびその使用方法は、当業界で知られている装置に対して種々の利点を有する。1つの態様において、従来の試薬カセットの共通の問題点は、貯蔵および輸送中のカセットに含まれる試薬の漏れである。当然のことながら希釈剤および溶血剤は、所定の容量で充填されており、各試薬の量が調製されるサンプル混合物の実際の希釈比を決めることになる。測定結果の精度は、区分けされる血液量と試薬量に究極的には依存する。従って貯蔵および移送中の試薬の漏れは、すべて測定結果の誤差につながり、患者の診断に影響を与える可能性が高くなる。上述したように本発明の使い捨てカセットは、各試薬を1つの混合チェンバーで封止するために独自の構造のサンプル出口を利用している。成形品構造またはその同等のものによる試薬の接触領域の減少および安全な封止によって、貯蔵中および移送中の試薬の漏れを防ぐ。上述のように従来の装置では、試薬を区分け、封止するためにサンプリングバルブが使用されている。実質的に従来の装置と異なり、本発明のカセットでは試薬封止コンパートメントがサンプリングセクションから隔てられている。当然のことながらカセットが血液分析器に設置され、針がサンプル出口の膜を挿通するまで、希釈剤および溶血剤は、サンプリングスレッドと接触しない。従ってカセットのサンプリングセクションでの化学的汚染の危険は回避される。サンプリング領域に溶血剤があると、血液が試薬と混合される前に血液細胞を溶解する可能性がある。その結果、本発明の使い捨てカセットは、インビトロの診断分析に安全に使用することができる。
【0077】
一方、ディバイダーは、混合チェンバーおよびサンプリングキャビティー間で流体連通させるために都合よく挿通エレメントで壊すことができ、またこの挿通エレメントもカセットと血液分析器間を流体連通させるための必要なインターフェースである。従って1つの挿通エレメントが2つの機能を有する。さらに上述したようにサンプルの分析の合間または機器の停止中にサンプル出口内で針の頭部が液に浸かっていることによって使用した試薬から形成される結晶の形成および粒子による機器の汚染を効果的に妨げることができる。
【0078】
インピーダンス測定を使用した粒子計数の重要な問題として、気泡がサンプル混合物に形成されるのを防がなければならない、なぜなら気泡は、インピーダンス測定装置によって粒子としてカウントされてしまうからである。本発明のカセットの構造により気泡が血液測定装置内に取り込まれる可能性を効果的に最小限に抑えることができる。図14および14Aから判るようにカセットが血液分析器と係合した垂直位置において、両方のサンプル出口が混合チェンバーの下に位置する。図14Aに示すように混合チェンバー内の液体レベルは、混合チェンバーとサンプル出口のセグメント62aまたは66aとの間の接合インターフェースの下には降りない。従って混合中に発生する気泡は、すべて液体の上面に移動し、サンプル出口に気泡は留まらない。混合の後形成されたサンプル混合物が取り出されるとき、このサンプル混合物は、気泡を含まない。
【0079】
さらなる態様において、上述したような本発明のカセット独自の構造として、ダイアフラム39が換気開口部75の上の領域を封止しているが、血液サンプルの充填の間、空気を開放するためのスペース72を残している。この外側から封止された換気機構は、換気開口部から血液が上方に溢れるのを防ぐ効果的かつ安全な手段を提供し、特に本発明の使い捨てカセットおよび血液分析器が使用されるような緊急処置における臨床環境において作業者を生体有害物質の潜在的な危険から守ることになる。さらに例えば血液を充填する際に20μlのマイクロピペットを使用する代わりに誤って100μlのマイクロピペットを使用して過剰に充填した場合、ダイアフラムの下のスペース72が充填入り口から血液が溢れるのを防ぐために過剰の血液を吸収ための緩衝領域として機能する。このような二重の防止機構は、作業者に必要とされるトレーニングおよび技量を最小限にするために設計されており、装置が扱いやすく、生体有害物質を扱うリスクを低減する。さらに血液サンプルがカセットの上側から充填されるので、血液の処理および作業者が血液に晒されるのを低減する。最初にカセットをカセットコンパートメント内に設置し、血液を市販のマイクロピペットを使用して充填することができ、ドアーまたはカセットを収容するインターフェースを閉じることができる。オペレーターは、血液が充填された後、カセットに接触せず、別の血液充填具を扱う必要がない。さらにダイアフラム39は、透明なので、換気開口部75上の領域を血液の充填を監視するために使用することもできる。例えば血液サンプルが詰まると、血液がサンプリングキャビティー88内に流れなくなる場合がある。このような状況において、血液分析器に配置され、換気開口部75の位置に案内された血液センサーは、不適切な血液の充填を感知し、システム制御部が分析工程を中断することができる。従って取り除くことが非常に困難になる詰まった血液サンプルによって形成される大きな粒子が血液測定装置の流路に導入されることがない。
【0080】
別の態様において、本発明の使い捨てカセットを使用することによって赤血球/血小板および白血球の測定を別々に行うための2つのサンプル混合物を同時に調製することができる。両方のサンプル混合物は、使い捨てカセット中で1つの希釈工程で調製される。これとは対照的に既存のカセットは、赤血球および白血球の測定のためのサンプル混合物を調製するために複数の希釈工程を必要とする。本発明のカセットは、全体の血液の測定時間を節約し、サンプル調製工程の複雑さを減少し、希釈工程がそれぞれ固有の誤差を含むので測定精度を向上させることができる。さらに希釈を別個に行うことによって2つの独立した血液の区分けおよびサンプルの調製が工程誤差を特定する追加の情報を提供するので、測定精度のセーフガードも提供する。例えば充填の総量の誤差の場合、10μlの血液しかカセットに充填されず、殆どの場合第2サンプリングキャビティー88は、完全に満たされない。この場合、白血球およびヘモグロビン測定結果は、影響を受けやすくなる。従って平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は、実質的に異なる血液サンプルであっても一定であるので、赤血球およびヘモグロビンの両方の測定に依存する派生パラメーター(derivative parameter)であるMCHCが誤差を反映することになる。このような状況において、充填の誤差は、サンプルの分離の誤差が同じように赤血球および白血球の測定に持ち越されるので、赤血球および白血球の両方の分析のために1つのアリコートの血液サンプルが分離させる既存の二重の希釈方法では容易に特定することができない。
【0081】
さらに本発明の使い捨てカセットを使用することによって、赤血球および白血球測定のための2つのアリコートの所定の量の血液のサンプリングおよび区分けが1つの簡単な方法で同時に行われる。本発明の使い捨てカセットに使用されるサンプリング機構によって正確な測定を行え、患者の血液を合計で20μl以下の少量のサンプル量で赤血球指数を供する完全血球算定(CBC)、白血球算定およびリンパ球、顆粒球および主に単核細胞を含む中間集団(middle population、MID)細胞などの少なくとも3つの亜集団(subpopulation)への白血球の分化を行うために使用される。本発明の使い捨てカセットおよび血液分析器を使用して得られるこれらのパラメーターの精度は、医師の事務所または小さな医院の検査室用に設計された機器の剪断バルブによって自動化されたサンプル吸引および区分け機器に供された試薬を用いた自動化されたサンプル希釈および混合を使用して血液サンプルを測定する既存の自動化された市販の血液分析器との互換性を有する。
【0082】
以上のことから明らかなように本発明の使い捨てカセットの構造により血液分析器の比較的簡単な強固な接続が可能になる。カセットの上側は、サンプル混合物を混合し、収納するため、さらには廃棄物を戻すための機器とのインターフェースとして使用することができ、従ってカセットは複雑でなくなり、大きさも小さくなり、機器のインターフェース構造物の関連する費用を低減することができる。
【0083】
本発明を添付の図面を参照して説明してきたが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、むしろ本発明の好ましい実施態様の例示であると考慮すべきである。しかしながら、本発明明細書の上記説明され、また添付の特許請求の範囲または法的に認められるその同等物に定義される本発明の範囲内で種々の変性および変更が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】米国特許第7335339号明細書
【特許文献2】国際公開第WO2004/045770A1号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)充填口を有するサンプリングセクションを含む上部パネルを有するハウジングと、
(b)前記ハウジングの上部パネルに凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された少なくとも一対のチェンバーであって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが1つ以上のチャネルによって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための試薬を所定量含むこれらチェンバーと、
(c)試薬を含む前記チェンバーに隣接し、接続され、上部パネルから窪んだ出口キャビティーと、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティーを覆うカバーとを含み、試薬を含むチェンバーに対して試薬を封止するサンプル出口とを含む、血液分析用使い捨てカセット。
【請求項2】
前記ディバイダーを前記サンプリング出口を2つのセグメントに分割し、これらセグメントの内の1つは、前記試薬を含む前記混合チェンバーに接続され、もう一方のセグメントが前記1つ以上のチャネルによって前記対の混合チェンバーのもう一方のチェンバーに接続される、ことを特徴とする請求項1記載の使い捨てカセット。
【請求項3】
前記カバーが弾性材料で作製され、前記カバーとディバイダーが挿通エレメントによって挿通可能である、ことを特徴とする請求項2記載の使い捨てカセット。
【請求項4】
前記ハウジングの前記上部パネルの凹みとして形成され、ダイアフラムによって封止され、中にクリーニング液を含むクリーナーチェンバーと、このクリーナーチェンバーに隣接して配置され、接続された、前記クリーナーチェンバーに対してクリーニング液を封止するクリーナー出口とをさらに含む、ことを特徴とする請求項1記載の使い捨てカセット。
【請求項5】
前記チェンバーのそれぞれが前記凹みの底部に開口部を有し、この開口部は、前記ハウジングの下側の第2のダイアフラムによって封止されている、ことを特徴とする請求項4記載の使い捨てカセット。
【請求項6】
前記サンプリングセクションの前記上部パネルの下側に留められる、充填位置とフラッシング位置の間でスライド可能なサンプリングスレッドをさらに含み、このサンプリングスレッドは、平坦な上面と、この上面に形成された凹部状のサンプリングキャビティーとを含み、前記充填位置において、前記サンプリングキャビティーが前記充填入り口と流体連通し、前記フラッシング位置において、前記キャビティーが前記対の混合チェンバーを相互に連結するために設けられた前記1つ以上のチャネルと流体連通する、ことを特徴とする請求項1記載の使い捨てカセット。
【請求項7】
前記サンプリングセクション内の前記上部パネルの前記下側にあるガスケットシート内に配置された弾性材料からなるサンプリングガスケットをさらに含み、このガスケットは、前記サンプリングスレッドの前記平坦な上面と直接接触する平坦な下面と、前記ハウジングの前記上部パネルの充填リム開口部を介して突出した前記充填入り口を囲む充填リムと、前記ハウジングの前記上部パネルの換気開口部と位置合わせされた換気開口部と、前記対のチェンバーを相互に連結するために設けられた前記チャネルの1つにそれぞれある2つのチャネル開口部と位置合わせされる貫通孔とを含む、ことを特徴とする請求項6記載の使い捨てカセット。
【請求項8】
前記サンプリングスレッドが前記フラッシング位置にあるとき、その前記サンプリングキャビティーが前記サンプリングガスケットの前記貫通孔を介して前記対のチェンバーを相互に連結するために設けられた前記チャネルと連通する、ことを特徴とする請求項7記載の使い捨てカセット。
【請求項9】
前記ダイアフラムが前記ハウジングの前記上部パネルの上側を封止し、前記ダイアフラムと前記上部パネルの前記上側との間で前記換気開口部上にスペースを維持する、ことを特徴とする請求項7記載の使い捨てカセット。
【請求項10】
前記ダイアフラムと前記換気開口部との間の距離を維持するために前記換気開口部の周囲に前記上部パネルから隆起した換気リップ部をさらに含む、ことを特徴とする請求項9記載の使い捨てカセット。
【請求項11】
電気接続のために前記上部パネルに位置した上方端部を有する前記換気開口部内に配置された一組の電極をさらに含む、ことを特徴とする請求項7記載の使い捨てカセット。
【請求項12】
前記ハウジングの上部パネルに凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された第2の対のチェンバーであって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが別の1つ以上のチャネルによって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための第2の試薬を所定量含む第2の対のチェンバーと、前記第2の試薬を含む前記チェンバーに隣接し、接続され、前記上部パネルから窪んだ出口キャビティーと、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティーを覆うカバーとを含み、前記第2の試薬を含む前記チェンバーに対して前記第2の試薬を封止するサンプル出口とをさらに含む、ことを特徴とする請求項7記載の使い捨てカセット。
【請求項13】
両方のサンプル出口が前記対のチェンバーの同じ側に位置する、ことを特徴とする請求項12記載の使い捨てカセット。
【請求項14】
前記サンプリングスレッドが前記平坦な上面に形成された凹部状の第2のサンプリングキャビティーを含み、前記サンプリングガスケットが前記第2の対のチェンバーを相互に連結するために設けられた前記チャネルの1つにそれぞれある2つのチャネル開口部と位置合わせされる第2の貫通孔を含み、前記充填位置において、前記第2のサンプリングキャビティーが前記充填入り口と流体連通し、前記フラッシング位置において、前記第2サンプリングキャビティーが前記第2の対の混合チェンバーを相互に連結するために設けられた前記チャネルと流体連通する、ことを特徴とする請求項12記載の使い捨てカセット
【請求項15】
(a)上部パネルと充填口を有するサンプリングセクションを有するハウジングと、
前記ハウジングの上部パネルに凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された少なくとも1対のチェンバーであって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが1つ以上のチャネルによって相互に連結され、前記対のチェンバーの第1のチェンバーが血液分析のための試薬を所定量含む前記対のチェンバーと、上部パネルから窪んだ出口キャビティーと、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティーを覆うカバーとを含み、前記第1チェンバーに対して前記試薬を封止するサンプル出口とを含む使い捨てカセットを供する工程と、
(b)前記カセットの前記サンプリングセクションに前記充填口から血液を充填する工程と、
(c)挿通エレメントによってサンプル出口のディバイダーを挿通し、前記1つ以上のチャネルを介して前記対のチェンバーの前記第1チェンバーと前記第2チェンバーとの間に流体連通を生じさせる工程と、
(d)前記サンプリングセクションに配置されたサンプリングスレッドを使用して一定量の前記血液を区分けする工程と、
(e)前記第1チェンバーを覆う前記ダイアフラムの一部に圧力を加え、前記サンプリングセクションを介して前記試薬が流れるようにし、前記区分けされた量の血液を前記対の前記第2チェンバー内に流し込む工程と、
(f)前記第1および第2チェンバー間で圧力を交互に掛けて試薬と血液を往復動させて混合に影響を与え、サンプル混合物を得る工程とを含む、血液細胞の測定のための血液サンプルを調製する方法。
【請求項16】
前記サンプル混合物を前記サンプル出口を介して血液検査装置内に抜き出し、この装置の導管を介して前記サンプル混合物の1つ以上の測定のための血液分析器内に導入する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記カセットのクリーナーチェンバーに含まれているクリーニング液を血液検査装置内に抜き出し、かつ、使用済みサンプル混合物を前記導管から前記サンプル出口を介して前記カセットの前記チェンバーに戻す工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル混合物が前記導管に接続された前記挿通エレメントを用いて前記サンプル出口から取り出される、ことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記使い捨てカセットが前記ハウジングの上部パネルに凹みとして形成され、ダイアフラムで封止された第2の対のチェンバーであって、チェンバー上のダイアフラムの部分が可撓性であり、これらチェンバーが別の1つ以上のチャネルによって相互に連結され、チェンバーの1つが血液分析のための第2の試薬を所定量含む第2の対のチェンバーと、前記第2の試薬を含む前記チェンバーに隣接し、接続され、前記上部パネルから窪んだ出口キャビティーと、その中に配置されたディバイダーと出口キャビティーを覆うカバーとを含み、前記第2の試薬を含む前記チェンバーに対して前記第2の試薬を封止するサンプル出口とをさらに含み、前記方法が、
工程(b)において前記サンプリングセクションに配置された前記サンプリングスレッドを使用して第2の量の前記血液を区分けすること、
工程(c)において第2の挿通エレメントによって前記第2サンプル出口の前記ディバイダーを挿通し、前記別の1つ以上のチャネルを介して前記第2の対のチェンバーの前記第1チェンバーと前記第2チェンバーとの間に流体連通を生じさせること、
工程(d)において前記第2の対のチェンバーの前記第1チェンバーを覆う前記ダイアフラムの一部に圧力を加え、前記サンプリングセクションを介して前記第2の試薬が流れるようにし、前記第2の量の血液を前記第2の対の前記第2チェンバー内に流し込むこと、
工程(d)において前記第2の対のチェンバーの前記第1および第2チェンバー間で圧力を交互に掛けて前記第2の試薬と前記第2の量の血液を往復動させて混合に影響を与え、第2のサンプル混合物を得ることをさらに含む、ことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記第2サンプル混合物を前記第2サンプル出口を介して第2の血液検査装置内に抜き出し、この装置の導管を介して前記第2サンプル混合物の1つ以上の測定のための前記血液分析器内に導入する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図4A−4B】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図14A】
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【公表番号】特表2012−508879(P2012−508879A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536285(P2011−536285)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051262
【国際公開番号】WO2010/056185
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(599017461)ブール メディカル アーベー (6)
【Fターム(参考)】