説明

血液濾過装置

【課題】血液濾過の前段階(事前準備)から濾過作業(操作)、濾過後の作業(血液の回収、セグメントの作成)等を効率良くかつ的確に実施することができる血液濾過装置を提供すること。
【解決手段】台座(2)と当該台座(2)の上部に装置されるリフト(3)とから構成され、前記リフト(3)は、支柱(3.1)とハンガー(3.2)から構成され、前記リフト(3)の前記支柱(3.1)またはハンガー(3.2)のいずれかの箇所に、血液の冷却手段(4)と温度測定手段(5)を配置し、前記台座壁部(2.1)の途中に、フィルタホルダ(7)と、血液流路閉塞手段(8)を配置し、前記台座底部(2.2)に、重量測定手段(2.4)を配置した血液濾過装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本赤十字社の血液センターで実施されている全血採血後に、採取された血液から白血球を除去するための血液濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、全血献血に由来する輸血用血液の中にある白血球が輸血を受ける患者に与える輸血後の副作用を低減させるため、採取した血液を各製剤に分離する前の段階で白血球の除去を行うため、図6に示すように白血球除去フィルタF(以下、単に「フィルタ」と記載する場合もある)を親バッグB1と子バッグB2の途中に配置する血液バッグBが使用されるようになった。
【0003】
このような血液バッグBでは、例えば特許文献1、特許文献2の発明のように、親バッグB1を、押圧プレートで挟んで強制的に外圧をかけ濾過を行うと、十分な白血球除去性能を得られないことや、フィルタFに過度の負可がかかることで、フィルタFの破損が懸念される。
このため、フィルタFに過度の負可がかからないように、重力の作用を利用する自然落下方式による濾過が好ましい。
しかし単なる自然落下では、後述するように、作業者自身の個人的な作業に依存しなければならないため、作業者の過度の負担になっていた。このため人為的なエラーを招くことも懸念される。
【0004】
血液バッグBは図6に示すように採血針21と採血針21を血液提供者(ドナー)の静脈に刺穿した際に最初に流れ出る血液を除去する初流血除去バッグ22と、初流血除去後の血液を貯留する親バッグB1とを接続管23を介してチューブT1で接続している。さらに、親バッグB1と子バッグB2は途中フィルタFを介してチューブTで接続している。子バッグB2と子バッグB3、子バッグB4は接続管24を介してチューブT3、T4で接続している。採血針21、初流血除去バッグ22はドナーからの採血が終了した後に親バッグB1から約10cmの位置でチューブT1をシール処理して切断されるため、濾過作業を行う際はこれらは付属していない。
【0005】
自然落下方式に使用される血液濾過台31は、図7に示すように子バッグB2(子バッグB3、子バッグB4は下に重ねられている)を載せるための板状の台座32と、当該台座32を挟んで支持する支柱33と支柱33の上部を渡す梁34から構成され、梁34には親バッグB1の懸垂穴B1.1に通して掛けるハンガー35が梁の長さによって異なるが、10個ないし20個が対面式に配置されている(梁34の高さがエアー駆動で上下するものもある)。
自然落下方式で血液の濾過に必要な高さは使用される白血球除去フィルタFによって差があるが、一般的には140cmである。血液が入った親バッグB1をチューブTの口部が下になる様に懸垂穴B1.1をハンガー35に通して吊り下げる形でセットし、チューブTを下に垂らした状態にする。使用する白血球除去フィルタFにより上下の差はあるが、チューブTのほぼ中位置にフィルタFが配置されており、さらにチューブTを経て子バッグB2に接続している。親バッグB1の縦方向の長さを含めるとハンガー35から台座32までの高さは少なくとも160cmになる。さらに台座32の下部には、濾過台31が移動できるようにキャスター36が付属しており、台座32の高さは床から約20cmである。
そのため血液バッグBを濾過台31にセットした際にそれぞれ床からの位置関係は、親バッグB1が180cm、フィルタFが100cm、子バッグB2が20cmである。
【0006】
血液濾過台31は、作業室の床の上に設置して使用するが、以下の問題点がある。
(1)血液バッグBの取付け、取外しの負担
例えばハンガー35が180cmの位置にあるので、親バッグB1をハンガー35にセットする際には腕を作業者の肩よりも高い位置に上げなければならない。そして、また子バッグB2を載せる台座32が下部にあるため、血液バッグBを取り外す際には、180cmの高さにある親バッグB1をハンガーから外し、さらに20cmの高さにある子バッグB2(子バッグB3、子バッグB4も同じく)を前屈あるいは腰を落として屈んだ状態になって拾い上げる動作を行う。一回の動作で160cmの落差がある作業を複数個の血液バッグBで行うため作業者の負担は大きい。
また一度に多量の血液バッグBを処理する際には、濾過台31を複数台使用する。濾過台31の配置にも作業者が濾過中の血液バッグBに接触して血液バッグBを落としてしまう様なエラーが発生しないように十分に作業できる空間を確保する配慮が必要となる。血液センターでは作業スペースが限られており、濾過台31の配置とセグメント作成用のスペースの確保には苦慮している。
(2)濾過の開始
濾過を開始するには、親バッグB1とチューブTを接続する口部にある連通ピース25を折り、血流を確保する。連通ピース25の床からの高さは160cmであり、作業者のほとんどは腕を肩よりも高く上げて作業しなければならない。
また片方の手で親バッグB1を支えていないと、片方の手で連通ピース25を折る事が難しいため必然的に両手を使用した作業になる。
【0007】
(3)濾過終了の判断
濾過の終了は、フィルタFの表面(濾過を行う前の血液が溜まる面)が空になった状態をもって濾過終了と判断する決まりである。これを作業者の目視によって確認しているが、個々の血液をフィルタFで濾過する時間がばらついているため、作業者は複数回確認することもある。また、濾過時間が長いもの(1時間以上)はNG(不合格)となるため濾過時間の計測も必要であるが、現状では行われていないため時間的な判断も曖昧に行われている。
(4)(血液検査用)セグメントの作成
血液バッグBを濾過台31から取り外し、据置型のシーラーがある場所まで運び、フィルタFと子バッグB2間のチューブTを7cm間隔でシール処理し、7個のセグメントの作成を行う。現状では、フィルタFの下5cm程の位置にあるクランプ26を閉じチューブTを閉塞し、その後据置型のシーラーがある場所まで運び、そこでセグメントの作成を行う。
濾過台31ではセグメントを作成するための十分な作業スペースが無いということと、またフィルタFから子バッグB2までの床からの高さが100cm〜20cmであり、作業者が屈んで作業しなければならないため作業性が悪いことから、セグメントの作成のために別の作業スペースを確保しなければならない。前記にもあるように血液センターでは作業スペースが限られており、濾過台31の配置とセグメント作成用のスペースの確保には苦慮している。
(5)ローラーペンチの使用
採血当日に濾過作業を行う血液において濾過時間が長い場合、フィルタFと子バッグB2間のチューブTの中で血液が分離する事でセグメント内の成分と子バッグB2内の成分に齟齬が発生する事を防ぐため、セグメントを作成する前にチューブT内の血液をローラーペンチを使用して子バッグB2内に一時的に押し出し、子バッグB2内の血液と撹拌し、再度チューブT内に戻す作業を行う。前日に採血し、濾過を行う血液の場合は上記と同じ現象が起こりやすいため全数作業を行う。
【0008】
【特許文献1】特開2003−130865号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】特許3167478号公報(特許請求の範囲、図1、特開H06−225934)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、血液バッグを押圧プレートで挟んで強制的に外圧をかけると、白血球除去フィルタに過度の負可がかかり、フィルタの破損が懸念される点である。また自然落下による濾過では、前記のように作業者の過度の負担となり、これらにより人為的なエラーを招くことが懸念される点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、以上の課題を解決するために、作業者に対して過度の負担の掛かっていた白血球除去を行う作業を自動化によりその負担を低減することと、作業効率を向上させることで作業スペースの省略化を図ることを目的として、鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
[1]本発明は、台座(2)と当該台座(2)の上部に装置されるリフト(3)とから構成され、
前記リフト(3)は、支柱(3.1)とハンガー(3.2)から構成され、
前記リフト(3)の前記支柱(3.1)またはハンガー(3.2)のいずれかの箇所に、血液の冷却手段(4)と温度測定手段(5)を配置し、
前記台座壁部(2.1)の途中に、フィルタホルダ(7)と、血液流路閉塞手段(8)を配置し、
前記台座底部(2.2)に、重量測定手段(2.4)を配置した血液濾過装置(1)を提供する。
[2]本発明は、前記血液の冷却手段(4)は、ペルチェ素子である[1]に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[3]本発明は、前記フィルタホルダ(7)に血液センサ(7.1)を配置した[1]または[2]に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[4]本発明は、前記血液流路閉塞手段(8)は、ローラー(8.2)、シーラー(8.3)及び気泡センサ(8.4)を有する[1]から[3]のいずれか1項に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[5]本発明は、前記台座(2)と前記リフト(3)に、それぞれRFID読取・書込手段(2.3(3.3))を装着した[1]から[4]のいずれか1項に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[6]本発明は、警報手段(9)を配置した[1]から[5]のいずれか1項に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[7]本発明は、制御手段(10)を設けて、血液濾過の開始前から終了後までの、血液の温度、濾過状態等を管理・制御することができる[1]から[6]のいずれか1項に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
[8]本発明は、前記制御手段(10)は、操作手段(10.1)、設定手段(10.2)、表示手段(10.3)、記憶手段(10.4)、電源部(10.5)を有する[1]から[7]のいずれか1項に記載の血液濾過装置(1)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の血液濾過装置は、血液濾過の前段階(事前準備)(例えば、血液バッグBの受け入れ入力作業、製造番号、重量、温度の確認)から濾過作業(操作)(例えば、血液温度の測定・制御、濾過時間の測定、濾過状態の監視、異常の報知、終了の報知、データの記録)、濾過後の作業(血液の回収、セグメントの作成)等を効率良くかつ的確に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[血液濾過装置1]
図1は、本発明の血液濾過装置1の全体図(外観)で、図2は、本発明の血液濾過装置1のブロック図、図3は図1の一部拡大正面図、図4は図1の一部拡大縦断面図、図5は揺動手段の一例を示す概略図である。
血液濾過装置1は、図1に例示するように、複数の血液バッグB(親バッグB1と子バッグB2を、チューブTを介して接続し、チューブTの途中に、フィルタFを装着している)を、簡便に装着して、血液濾過(血液成分の分離)を行うことができる。
血液バッグBの親バッグB1、子バッグB2には、それぞれ、RFID(RFID.B1、RFID.B2が装着されている。
「RFID」とは、「Radio Frequency Identification」の略で、ID情報を埋め込んだタグを意味する。
これらの「RFID」は、血液バッグB[親バッグB1・子バッグB2(赤血球)・子バッグB3(血漿)・子バッグB4(MAP)]の製造日時とロットを特定することができる数字、と任意で割り当てられた1つしか存在しない血液バッグのIDが予め記録されており、作業を行う毎に採血日時、採血装置のID、採血作業者のID、製剤工程の受け入れ日時、濾過作業の日時、濾過時間、作業者ID等の情報を随時追加して入力することができる。また、随時記録する方法とは別に血液バッグを特定できる唯一のIDのみが製造時に入力された状態であり、各作業を行う際には血液バッグのIDを読み取る装置が備えられており、作業を管理するサーバー等で血液バッグの作業状況を確認できる方法でも使用できる。
【0013】
本発明の血液濾過装置1は、図1に例示するように、台座2と当該台座2の上部に装置されるリフト3とから構成される。
リフト3は、台座2から略垂直に立ち上がる支柱3.1と、当該支柱3.1から略正面(方向)に配置される(血液バッグBの)ハンガー3.2から構成される。
またハンガー3.2には親バッグB1の口部にある連通ピース26を機械的に開放する開放手段3.6が備えられている。開放手段3.6の機構としてソレノイドを使用することができる。
あえて詳細は図示しないが、リフト3は、台座2から自動で上下に伸縮する。自動で伸縮する機構として電動シリンダやエアシリンダ等を使用する事ができる。また制御部10によりリフト3の高さの調整や移動速度の調整も行うことができる。
リフト3は親バッグB1を血液濾過装置1にセットする際には下降した状態になり、ハンガー3.2が台座2上面に位置する警報部9とほぼ同じ位置で停止する。親バッグB1をセットして濾過作業を開始するとリフト3は上昇し、濾過に適した位置(制御部10によって任意に設定ができる)で停止する。さらに、濾過が終了し、親バッグB1を取り外すときにはリフト3は下降し、次の親バッグB1がセットされるまで下降位置で待機状態にすることもできる。
血液濾過装置1にも、血液バッグBの親バッグB1、子バッグB2に装着したそれぞれのRFID.B1(B2)の読み込みと書き込みを行うRFID読取・書込手段を備える。
図1の例示では、リフト3のハンガー3.2と、台座2の壁部2.1の下部に、それぞれRFID読取・書込手段3.3(2.3)が装着されている。
【0014】
[冷却手段4]
血液の冷却手段4が、親バッグB1の背面に装着されている。
冷却手段4は、図1に例示するように、板状に形成され、ハンガー3.2の下部に装着されている。冷却手段4は、親バッグB1の熱を吸収することにより、親バッグB1内の血液を冷却する役割を果たす。
本発明の冷却手段4として、「ペルチェ素子」が使用される。「ペルチェ素子」は、2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルチェ効果(Peltier effect)を利用した板状の半導体素子であり、電圧を印加すると一方の面が吸熱を行い(吸熱面)、反対の面が発熱する(発熱面)。小型であり騒音振動を発生しないことから、一般的にはコンピュータのCPU冷却手段や医療機器の冷却手段として使用されている。
【0015】
[温度測定手段5]
温度測定手段5が、親バッグB1の背面に配置されている。温度測定手段5として、熱電対や白金測温抵抗体、サーミスタなどの接触式の温度センサや、非接触式の赤外線放射温度計等を使用することができる。
血液の冷却手段4と温度測定手段5の配置位置は、前記に限定されず、血液バッグB(親バッグB1)の温度を測定できれば、前記支柱3.1またはハンガー3.2のいずれかの箇所に、配置しても良い。
温度測定手段5では濾過を開始した時点で親バッグB1中の血液温度が濾過に適した温度(制御部10により任意に設定できる)であるかを確認し、適した温度であった場合はそのまま濾過作業を開始するが、適した温度ではない場合(例えば、25℃を適した温度と設定しており、測定した温度が30℃であった場合)は、冷却手段4を作動させて親バッグB1から吸熱を行い血液を冷却して設定されている温度にしてから、濾過を開始することもできる。
【0016】
[フィルタホルダ7]
台座壁部2.1の途中に、フィルタホルダ7と、血液流路閉塞手段8を配置される。
フィルタホルダ7には、図4に例示するように血液センサ7.1(発光部と受光部を有する)が装着(内蔵)される。血液センサ7.1として赤外線をフィルタに照射して反射光を観測することで、フィルタ内の血液が残っているかを確認できる。また血液センサとして超音波のドップラ効果を利用した超音波回帰式センサを使用する事が出来る。
【0017】
[血液流路閉塞手段8(自動ローラー・自動シーラーユニット)]
血液流路閉塞手段8(「自動ローラー・自動シーラーユニット」ともいう)は、図3に例示するようにチューブTを通す切り欠きのあるカバー8.1で覆われており、内にチューブTをしごいてチューブ内の血液を子バッグ1に送り出す一対のローラー8.2と、チューブTに対してシール処理を行う一対のシーラー8.3が配置されている。さらにシーラー8.3の電極内にはチューブカッター8.5が配置されており、シール処理後のチューブTを切断できる。
さらにシーラー8.3の下には気泡センサ8.4が配置されている。
ローラー8.2は、例えば、2本の円柱棒でチューブTを挟む状態で配置され、一方がもう一方に対して接近したり離れたりする方向に動作してチューブTを閉塞したり開放することができる。(開閉式クランプと同じ役割を果たす)さらにもう一方の円柱がチューブTを閉塞した状態で回転することにより。チューブT内の血液を子バッグB2に押し入れることができる。一方のローラー8.2の機構としてソレノイドやエアシリンダを使用する。回転するローラー8.2の機構としてモーターを使用する。
ローラー8.2はシーラー8.3の上に配置され、ローラー8.2の閉塞はクランプを兼ねている。
【0018】
気泡センサ8.4はローラー8.2で一時的に子バッグB2に送り出した血液がローラー8.2による閉塞が開放され、再びチューブT内に戻ってきたときに子バッグB2から気泡がチューブT内に入るのを観測するためのセンサである。気泡センサ8.4として透過型の赤外線センサや超音波回帰式センサを使用することができる。
自動ローラー・自動シーラーユニット8は、装置1の台座壁部2.1上を上下に移動することができる。図4に示すように例えば電動シリンダ8.6を使用して、電動シリンダ8.6にはローラー8.2、ローラー機構部8.21、シーラー8.3、シーラー機構部8.31、気泡センサ8.4、カバー8.1が固定されており、電動シリンダ8.6は台座壁部2.1内に配置されているレール8.7上を上下に移動することができる。
ローラー8.2が閉塞した状態で回転するのと連動して、電動シリンダ8.6が下降しチューブTをフィルタFの下から子バッグB2の口元まで移動しチューブT内の血液を子バッグB2内に送り出すことができる。
また、ローラー8.2でチューブT内の血液を子バッグB2の口元まで送り出した後、ローラー8.2の回転を停止し、開放を行うとチューブTの内圧が陰圧になることで子バッグB2内の血液がチューブT内に戻ってくる。このとき戻ってくる血液の中に気泡があるか無いかを気泡センサ8.4で確認する。気泡がない場合はその後電動シリンダ8.6は一定の間隔で一時停止しながら上昇し、一時停止した際にチューブTに対しシール処理を行う。シール処理を行う数(例えば7箇所)とセグメント間隔(例えば7cm)は設定することができる。さらに、最後にシール処理を行う箇所では、シール処理を行った後にチューブカッター8.5が作動してチューブTを切断する事もできる。気泡がある場合は制御部10を経由して警報手段9から警報を出すこともできるし、自動ローラー・自動シーラーユニット8を再び上昇させ、ローラー8.2を閉塞し血液を送り出す作業からやり直すこともできる。
【0019】
また台座底部2.2には、重量測定手段2.4(例えば、ロードセル等)を配置し、濾過した血液の重量を測定できるようにしている。
また、自動ローラー・自動シーラーユニット8によって子バックB2に送られた血液と子バッグB2内にあった血液を混和させるために揺動手段2.5を配置している。揺動手段2.5は子バッグB2を図5に例示するようにシーソーの様に揺らす運動を行う。
また揺動手段2.5はローラー8.2を開放してチューブT内に血液を戻す際には、気泡がチューブT内に入らない様にローラー8.2が開放される時点で子バッグB2のチューブTと接続される口部が下にくる状態で停止し口部付近に気泡が溜まらない様にする役割もはたす。
揺動手段2.5の動力として電動モーターを使用する。また揺動手段2.5は重量測定手段2.4の上に配置される。
【0020】
[警報手段9]
また警報手段9を配置することができる。警報手段9として、例えば、信号灯、ブザー等が使用される。警報手段9は、図1の例示では、台座壁部2.1の上部に、配置されているが、作業者が感知しやすい位置であればどこでも良い。
[制御手段10]
血液濾過装置1は、制御手段10を設けて、血液濾過の開始から終了までの、血液の温度、濾過状態等を管理・制御することができる。
制御手段10は、図2のブロック図に例示するように、操作手段10.1や設定手段10.2としてスイッチが配置されたコントロールボックスであり、コントロールボックスには例えば液晶画面などの表示手段10.3が備えられている。また記憶手段10.4として例えばDRAMやフラッシュROM等が備えられており、設定条件を記憶することができる。電源部10.5には例えばトランスが使用され、上記の各部に電源を供給する。また作業時間を記録することができる様にタイマー部10.6を有する。これらにより、下記のとおり効率良くかつ的確に血液成分の濾過を行うことができる。
【0021】
[血液濾過装置1の操作方法の説明]
次に本発明の血液濾過装置1の使用方法の一例について、比較例[従来の自然落下方式の血液濾過装置(濾過台)]と対比して説明する。
【表1】

【0022】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の血液濾過装置の全体図(外観)
【図2】本発明の血液濾過装置のブロック図
【図3】図1の一部拡大正面図
【図4】図1の一部拡大縦断面図
【図5】揺動手段の一例を示す概略図
【図6】血液バッグBの概略図
【図7】従来の血液濾過台
【符号の説明】
【0024】
1 血液濾過装置
2 台座
2.1 (台座)壁部
2.2 (台座)底部
2.3 (台座)RFID読取・書込手段
2.4 (台座)重量測定手段
2.5 (台座)揺動手段
2.6 (閉塞手段の)開放手段
3 リフト
3.1 (リフト)支柱
3.2 (リフト)ハンガ
3.3 (リフト)RFID読取・書込手段
3.6 (閉塞手段の)開放手段
4 冷却手段(ペルチェ素子)
5 温度測定手段(非接触式の温度センサ)
7 フィルタホルダ
7.1 血液センサ
8 血液流路閉塞手段(自動ローラー・自動シーラーユニット)
8.1 カバー
8.2 ローラー
8.21 ローラー機構
8.3 シーラー
8.31 シーラー機構
8.4 気泡センサ
8.5 チューブカッター
8.6 電動シリンダ
8.7 レール
9 警報手段
10 制御手段
10.1 操作手段
10.2 設定手段
10.3 表示手段
10.4 記憶手段
10.5 電源部
10.6 タイマー部
B 血液バッグ
B1 親バッグ
RFID.B1 (親バッグ)RFID
B2 子バッグ
RFID.B2 (子バッグ)RFID
F (血液成分分離)フィルタ
T チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座(2)と当該台座(2)の上部に装置されるリフト(3)とから構成され、
前記リフト(3)は、支柱(3.1)とハンガー(3.2)から構成され、
前記リフト(3)の前記支柱(3.1)またはハンガー(3.2)のいずれかの箇所に、血液の冷却手段(4)と温度測定手段(5)を配置し、
前記台座壁部(2.1)の途中に、フィルタホルダ(7)と、血液流路閉塞手段(8)を配置し、
前記台座底部(2.2)に、重量測定手段(2.4)を配置した、ことを特徴とする血液濾過装置(1)。
【請求項2】
前記血液の冷却手段(4)は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項1に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項3】
前記フィルタホルダ(7)に血液センサ(7.1)を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項4】
前記血液流路閉塞手段(8)は、ローラー(8.2)、シーラー(8.3)及び気泡センサ(8.4)を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項5】
前記台座(2)と前記リフト(3)に、それぞれRFID読取・書込手段(2.3(3.3))を装着したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項6】
警報手段(9)を配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項7】
制御手段(10)を設けて、血液濾過の開始前から終了後までの、血液の温度、濾過状態等を管理・制御することができる請求項1から請求項6のいずれか1に記載の血液濾過装置(1)。
【請求項8】
前記制御手段(10)は、操作手段(10.1)、設定手段(10.2)、表示手段(10.3)、記憶手段(10.4)、電源部(10.5)を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1に記載の血液濾過装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−201582(P2009−201582A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44683(P2008−44683)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】