説明

血液生成物を調製するための方法およびシステム

【課題】血液を成分に分離するための使い捨てセットであって、そのような処理準備血液生成物を容易に調製することを可能するためにセット内にパッケージされた光感受性物質化合物を含むセットを提供する。
【解決手段】分離容器と、生成物収集コンジットを経由して分離容器に接続された少なくとも1つの生成物バッグと、を備える血液分離および病原体減少の予め接続された使い捨てセットを請求する。少なくとも1つの生成物バッグは光感受性物質を含んでもよく、または、少なくとも1つの生成物バッグに流体的に接続されている光感受性物質を含む第2のバッグがあってもよい。また、分離容器に流体的に接続された、全血を収集するための追加バッグがあってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
健常な供血者から収集された全血は、日常的に、成分、すなわち、血小板、血漿および赤血球に分離される。1つまたはそれ以上の分離された成分は、特定の成分を必要とする可能性がある患者に、後に投与(輸血)するために使用される。たとえば、赤血球は、失血の代替として、または、慢性貧血の患者を治療するために、投与されてもよい。血漿は、凝固因子欠乏症を治療するために、投与されてもよい。血小板は、一般に、血小板を生成する能力が化学療法によって危うくされている癌患者に対する療法として投与される。
【背景技術】
【0002】
従来、これらの血液成分を得るには2つの方法がある。1つの方法は、供血者/患者から全血を収集して、これを、全血収集後のある時間期間に、手動で成分に分離することである。
【0003】
全血を成分に分離するための別の方法は、自動細胞分離装置を使用することである。アフェレーシス機械は、自動的に全血を成分に分離し、収集手順中に、収集されなかった血液成分を供血者へ戻す装置である。
【0004】
上述のような全血の手動処理に対する代替が、自動装置を使用する全血の自動処理である。
【特許文献1】米国特許第6,258,577号
【特許文献2】米国特許第6,277,337号
【特許文献3】国際特許出願第PCT/US2006/031492号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
患者へ輸血される前に、全血が手動で分離されようと、アフェレーシスによろうと、自動処理によろうと、分離された血液成分は、輸血が意図された血液成分の安全性を確実にするために、追加処理を受けてもよい。具体的には、収集された血液成分を処理して、特定の血液成分内に存在することがあるウイルスおよび/またはバクテリア(「病原体」)を除去するかまたは他のやり方で不活性化する。多くの病原体不活性化方法は、不活性化されるべき血液成分に光感受性物質化合物を結合することを含み、これは、光で刺激されるときには、病原体に作用して、複製する能力を破壊する。
【0006】
血液を成分に分離するステップおよび成分を減少する病原体は、典型的に、1つの手順の一部として一緒には行われない。血液が成分に分離された後の時間のある点で、光感受性物質化合物および不活性化されるべき血液成分が、典型的に、光に露出されるべき別個の照明バッグに加えられる。そのような手順は、追加バッグおよびバッグの追加殺菌接続を必要とし、したがって、複数の接続中に汚染の可能性が増加する。
【0007】
したがって、血液を成分に分離するための使い捨てセットであって、そのような処理準備血液生成物を容易に調製することを可能するためにセット内にパッケージされた光感受性物質化合物を含むセットを提供することが望ましい。本発明が方向づけられるのは、血液分離および病原体減少プロセスの簡略化である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、分離容器と、生成物収集コンジットを経由して分離容器に接続された少なくとも1つの生成物バッグと、を備える血液分離および病原体減少の予め接続された使い捨てセットを請求する。少なくとも1つの生成物バッグは光感受性物質を含んでもよく、または、少なくとも1つの生成物バッグに流体的に接続されている光感受性物質を含む第2のバッグがあってもよい。また、分離容器に流体的に接続された、全血を収集するための追加バッグがあってもよい。
【0009】
また、前記使い捨てセットの使用方法も請求されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に有用な「光感受性物質」は、1つまたはそれ以上の規定された波長で放射線を吸収し、その後、吸収されたエネルギーを使用して化学プロセスを実行するいずれの化合物として規定されている。
【0011】
多くの光感受性物質が、本発明に使用されてもよい。ポルフィリン、ソラレン、キナクリン、および、メチレンブルー等の染料は、すべて本発明とともに使用されてもよい。
【0012】
内因性光感受性物質もまた使用されてもよい。「内因性」という用語は、身体による合成の結果として、または、必須栄養素(たとえばビタミン)としての摂取または代謝産物および/または副産物の生体内での形成のため、のいずれかで、人体または動物体に自然に見られることを意味する。内因性光感受性物質が使用されるときには、特にそのような光感受性物質が本質的に毒性ではないかまたは光放射後に毒性の光生成物を産しないときに、汚染除去後に除去または浄化ステップが必要ではなく、汚染除去された生成物を、直接患者の身体に戻すことができるか、または、治療的効果を必要としている患者に投与することができる。
【0013】
本発明に使用されてもよいそのような内因性光感受性物質の例は、アロキサジン、たとえば、7、8−ジメチル−10−リビチルイソアロキサジン(リボフラビン)、7、8、10−トリメチルイソアロキサジン(ルミフラビン)、7、8−ジメチルアロキサジン(ルミクロム)、イソアロキサジン−アデニンジヌクレオチド(フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD))、および、アロキサジンモノヌクレオチド(フラビンモノヌクレオチド(FMN)およびリボフラビン−5−リン酸としても知られている)である。「アロキサジン」という用語は、イソアロキサジンを含む。
【0014】
血液および血液成分を不活性化するために光感受性物質として内因性イソアロキサジンを使用することは、Goodrichらに付与された米国特許第6,258,577号および第6,277,337号に記載されており、矛盾しないまで参照してここに組み込まれる。
【0015】
不活性化されるべき血液および血液成分と混合される光感受性物質の量は、流体に存在することがあるいずれの病原性核酸を適切に不活性化するのに十分な量であるが、毒性量(所望の成分に対して)または不溶量よりも少ない。リボフラビンを光感受性物質として使用する場合には、約50〜500μMの間の最終濃度で流体に加えてもよい。病原性核酸は、いずれの望ましくない核酸、たとえば、白血球、バクテリアまたはウイルスに含まれた核酸を含む。核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)かリボ核酸(RNA)かまたは両方を含む。
【0016】
光感受性物質が加えられた血液または血液成分は、適切な波長の光に露出されて、光感受性物質を活性化し、病原性核酸に実質的に永久的な損傷を生じさせる。
【0017】
アフェレーシス使い捨てセット
図1は、アフェレーシス機械とともに使用される典型的な使い捨てセット70を示す。使用されてもよい1つのそのような機械は、登録商標トリマ(TRIMA)アフェレーシス機械であり、ガンブロBCT社(Gambro BCT, Inc.)(米国、コロラド州、レイクウッド(Lakewood))が販売している。
【0018】
図面では、類似要素は類似参照符号を使用して示されていることに注意されたい。
【0019】
使い捨てセット70は、血液を様々な血液成分に分離するための分離容器130を含む。セット70はまた、蠕動ポンプループ112を有する流体流れカセット110と、血液および血液成分を供血者から受け取り供血者へ戻すための受取および戻りライン124と、供血者から抜いた血液に抗凝固剤を加えるための抗凝固剤ライン120と、システムから取り除かれた気体をバッグ60内に受け取るための気体ライン80と、を含む。チュービングセット70および分離容器130は相互接続されて単回使用のための閉鎖ディスポを形成する。
【0020】
分離された血液成分を受け取るための様々な収集ラインおよびバッグもまた、使い捨てセット70の一部であってもよい。
【0021】
赤血球収集ラインまたはコンジット82は、分離された赤血球を分離容器130から受け取り、赤血球生成物バッグ62へ導く。所望により、生成物バッグ62の赤血球へ保存溶液(単に1つの例として)を加えるのに、スパイク接続126が利用可能である。
【0022】
血漿収集ラインまたはコンジット84は、分離された血漿を分離容器130から受け取り、血漿生成物バッグ64へ導く。
【0023】
血小板収集ライン86は、収集された血小板を分離容器から受け取り、血小板生成物バッグ66へ導く。
【0024】
試料セット90もまた、使い捨てセット70の一部であってもよい。試料セット90は、血液試料が試料バッグ91へ流体的に流れるのに通るラインまたはコンジット94を含む。血液試料は、次いで、試料装置92を通って回収されてもよい。
【0025】
光感受性物質75を含む溶液を、バッグセットの製造および組立中に、生成物バッグ62、64および66に置くことができる。分離された血液成分は、分離容器130から、既に光感受性物質75を含んでいる生成物バッグ内に流れる。
【0026】
使用前に生成物バッグの光活性物質の劣化を防止するために、且つ、使い捨てセットの保管中に光活性溶液が蒸発するのを防止するために、生成物バッグを、取り外し可能な不透明なオーバーラップ77内に含むことができ、これは、血液生成物を加える前に周囲光が光活性物質を活性化するのを防止する。光フィルタリング物質の特定の組成は、使用されている光活性物質の光感受性スペクトルにしたがって変動する。リボフラビンが、使用されている光感受性物質である場合には、オーバーラップ77は、箔から作られる。
【0027】
生成物バッグにまたは生成物バッグに予め接続された第2のバッグに既に光感受性物質を有することによって、照明バッグを各生成物バッグに接続することと、光感受性物質を含むバッグを照明バッグに接続することと、不活性化されるべき生成物を生成物バッグから照明バッグ内に流すことと、光感受性物質溶液を照明バッグの生成物内に流すことと、の各ステップは、すべて排除され、複数の接続中の汚染の可能性を減少する。
【0028】
図2に示された血液分離および病原体減少使い捨てセット71の別の実施形態において、リボフラビン溶液75を含むバッグ32、34、36を、コンジットによってそれぞれ各生成物バッグ62、64および66に流体的に接続することができる。リボフラビン溶液を含むバッグを、保護箔オーバーラップに包むことができ、周囲光による光感受性物質の劣化を防止し、使い捨てセットの保管中にバッグを通して溶液が蒸発するのを防止する。
【0029】
生成物が各バッグに収集された後に、各リボフラビン溶液バッグ32、34、36に位置する壊れやすいコネクタ23は、壊れることができ、リボフラビン溶液を生成物バッグ内に排出するのを可能にする。生成物バッグは次いで照明することができる。
【0030】
別の実施形態において、光活性物質を含むバッグを、スパイクポート120(単に1つの例として)を通して使い捨てセット70に取り付けることができ、生成物(単/複)が収集された後に、流体流れカセット110、分離容器130を通って、生成物バッグ(単/複)62、64および66内に流れることができる。
【0031】
図1および2に示されたように、血小板、血漿および赤血球を収集するために3つの生成物バッグがあるが、1種類のみの血液成分を収集するために、1つのみの生成物バッグを、生成物コンジットを経由して分離容器に予め接続することができることに注意されたい。また、2種類の血液成分を収集するために、生成物コンジットを経由して分離容器に予め接続された2つの生成物バッグがあることが可能である。
【0032】
自動全血処理使い捨てセット
図3は、自動全血分離装置を使用して、先に収集された全血を、血漿生成物、血小板生成物および赤血球生成物に分離収集するのに使用される使い捨てバッグセット72を示す。バッグセットは、ガンブロBCT社(Gambro BCT, Inc.)(米国、コロラド州、レイクウッド(Lakewood))によって製造され国際特許出願第PCT/US2006/031492号に記載されている登録商標アトレウス(Atreus)機械等の機械を使用して、自動全血分離装置とともに使用することができる。このセット72は、全血を様々な血液成分に分離するためのバッグ1であってもよい分離容器と、3つの生成物収集バッグ2、3および4を備える。
【0033】
分離バッグ1は、実質的に円形の外側縁6および内側円形縁7を有する環状分離チャンバ5を備える。分離バッグ1は、環状チャンバ5の内側縁7に接続されているセミフレキシブルディスク形状の接続要素9をさらに備える。ディスク形状の接続要素9は、これの中に包埋された分配チャネル10を備え、これは、通路11を通って環状チャンバ5に連通する。分配チャネル10は、実質的に円の弧に沿って延出する。
【0034】
第1の生成物バッグ2は、2つの目的を有し、全血収集バッグおよび赤血球成分バッグの両方として連続して使用される。第1の生成物バッグは、分離プロセス前に、当初、供血者から一定容量の全血(通常、約450ml)を受け取り、その後、分離プロセス中に、赤血球成分を受け取るように意図されている。第1の生成物バッグ2は、平らであり実質的に矩形である。これは、クランプ15が嵌められた第1の移送チューブ14によって分離バッグ1に接続されている。第1の移送チューブ14は、第1の生成物バッグ2の上部縁に接続された第1の端と、分配チャネル10の第1の端に接続された第2の端と、を有する。
【0035】
抗凝固剤は典型的に、全血が加えられる前に、第1の生成物バッグ2に加えられる。典型的に、約63mlの抗凝固剤溶液が、約450mlの全血供与に加えられる。第1の生成物バッグ2内から取り外すことができる壊れやすいピン23は、抗凝固剤が第1の生成物バッグ2から第1の移送チューブ14を通って分離バッグ1内に流れるのを防止する。壊れやすいピン23はまた、第1の移送チューブ14内に位置することもできる。
【0036】
全血収集チューブ17は、一方の端で第1の生成物バッグ2の上部縁に接続され、他方の端に、針18を備える。第1の生成物バッグ2内から取り外すことができる壊れやすいピン19は、収集チューブ17の下流端をふさぎ、抗凝固剤溶液が第1の生成物バッグ2から収集チューブ17を通って流れるのを防止する。
【0037】
第2の生成物バッグ3は、血漿成分を受け取るように意図されている。これは、平らであり実質的に矩形である。これは、第2の移送チューブ20によって分離バッグ1に接続されている。第2の移送チューブ20は、クランプ15が嵌められており、第2の生成物バッグ3の上部縁に接続された第1の端と、分配チャネル10の第2の端に接続された第2の端と、を有する。
【0038】
第3の生成物バッグ4は、血小板細胞成分を受け取るように意図されている。これもまた、平らであり実質的に矩形である。これは、第3の移送チューブ21によって分離バッグ1に接続されている。第3の移送チューブ21は、第3の生成物バッグ4の上部縁に接続された第1の端と、分配チャネル10に接続された第2の端と、を有し、分配チャネル10と分離チャンバ5との間の通路11に面するようにする。第3の移送チューブ21にもまた、クランプ15が嵌められている。
【0039】
赤血球生成物の白血球除去が望ましい場合には、第1の生成物バッグ2は白血球除去フィルタ(図示せず)に接続されてもよい。フィルタは、チュービング14に沿って位置してもよい。
【0040】
光感受性物質75を含む溶液を、バッグセットの製造および組立中に、少なくとも生成物バッグ3および4に置くことができる。分離された血液成分は、分離バッグ1から、既に光感受性物質75を含んでいる生成物バッグ3、4内に流れる。図3には示されていないが(図4参照)、光感受性物質溶液を含む第2のバッグを、コンジットによってバッグ2に流体的に接続することができる。分離された赤血球成分がバッグ2へ戻った後に、光感受性物質溶液を加えることができる。壊れやすいピン23は、光感受性物質75が生成物バッグ2、3、4から分離バッグ1内に流れるのを防止する。
【0041】
使用前に生成物バッグ2、3および4の光活性物質75の劣化を防止するために、生成物バッグを、取り外し可能な不透明なオーバーラップ77内に含むことができ、これは、周囲光が光活性物質を活性化するのを防止し、且つ、チュービングセットの保管中に光活性溶液が蒸発するのを防止する。光フィルタリング物質の特定の組成は、使用されている光活性物質の光感受性スペクトルにしたがって変動する。リボフラビンが、使用されている光感受性物質である場合には、オーバーラップ77は、箔から作られる。
【0042】
生成物バッグまたは生成物バッグに予め接続された第2のバッグのいずれかに光感受性物質を有することによって、照明バッグを各生成物バッグに接続することと、光化学物質を含むバッグを照明バッグに接続することと、生成物を照明バッグ内に流すことと、光化学溶液を照明バッグの生成物内に流すことと、の各ステップは、すべて排除され、複数の接続中の汚染の可能性を減少する。
【0043】
図4に示された血液分離および病原体減少セット73の別の実施形態において、リボフラビン溶液75を含むバッグ42、44、46を、それぞれ各生成物バッグ2、3および4に流体的に接続することができる。リボフラビン溶液75を含むバッグを、保護箔オーバーラップ77に包むことができ、周囲光による光感受性物質の劣化を防止し、バッグを通して溶液が蒸発するのを防止する。
【0044】
生成物が各バッグに収集された後に、各リボフラビン溶液バッグ42、44および46に位置する壊れやすいコネクタ23は、壊れることができ、リボフラビン溶液を生成物バッグ(単/複)内に排出するのを可能にする。次いで、生成物バッグ(単/複)を照明することができる。
【0045】
別の実施形態において、光感受性物質を含む追加バッグ(図示せず)もまた、分離バッグ1に取り付けられてもよい。光感受性物質を、分離された血液成分が生成物バッグに収集された後に、追加バッグから分離バッグを通って生成物バッグ内に計量供給してもよい。あるいは、光感受性物質を、分離プロセス前に、分離バッグ内に計量供給することができる。分離された血液生成物は、生成物バッグ内に流れるときには、既に光感受性物質を含んでいる。
【0046】
図5および6に示されたように、血小板、血漿および赤血球を収集するために3つの生成物バッグがあるが、1種類のみの血液成分を収集するために、1つのみの生成物バッグを、生成物コンジットを経由して分離容器に予め接続することができることに注意されたい。また、2種類の血液成分を収集するために、生成物コンジットを経由して分離容器に予め接続された2つの生成物バッグがあることが可能である。
【0047】
自己均衡バッグセット
別の使い捨てバッグセット74は、自らバランスのとれる別の自動全血分離装置とともに使用されてもよく、図5に示されている。この使い捨てセットは、自らバランスのとれる別の自動全血分離機器とともに使用されてもよく、国際特許出願第PCT/US2006/021674号に記載されている。このバッグセットは、可撓性のある分離バッグ200およびそれに接続された3つの可撓性のある血液生成物バッグ202、203、204を備える。
【0048】
分離バッグ200は、少なくとも2つの目的を有し、全血収集バッグおよび分離バッグの両方として連続して使用される。これは、当初、供血者から個別容量の全血(通常、約450ml)を受け取り、後に、分離機器の分離チャンバとして使用されるように意図されている。分離バッグ200は、平らであり通常矩形である。これは、一緒に溶接される2枚のプラスチック材料の矩形シートから作られ、それらの間に、三角形頂部下流部分に接続された主要矩形部分を有する内部空間を画成するようにする。第1のチューブ400は、三角形部分の先端に接続され、第2および第3のチューブ500、600は、それぞれ、三角形部分の両側方向縁に接続されている。3本のチューブ400、500、600の近位端は、平行になるように、2枚のプラスチック材料のシートの間に包埋されている。
【0049】
分離バッグ200は、当初、一定容量の抗凝固剤溶液を含んでもよく、第1および第3のチューブ400、600は、近位端に、それぞれ、壊れやすいコネクタ23が嵌められ、これを通る液体の流れを阻止する。
【0050】
第2のチューブ500は、遠位端に接続された針1200を有する収集チューブである。供血の開始時に、針1200は、供血者の血管内に挿入され、血液は、収集(分離)バッグ200内に流れる。所望の容量の血液が収集(分離)バッグ200に収集された後に、収集チューブ500は封止され切断される。
【0051】
第1の生成物バッグ202は、分離された血漿成分を受け取るように意図されている。これは平らであり、実質的に矩形である。これは、第1のチューブ400の遠位端に接続されている。
【0052】
第2の生成物バッグ203は、分離された赤血球成分を受け取るように意図されている。これは平らであり、実質的に矩形である。これは、第3のチューブ600の遠位端に接続されている。赤血球収集バッグ203は、赤血球用に一定容量の保存溶液を含んでもよく、第3のチューブ600は、遠位端に、壊れやすいコネクタ23が嵌められ、これを通る液体の流れを阻止する。白血球除去が望ましい場合には、インライン白血球除去フィルタ(図示せず)もまた、チュービングライン600に取り付けられてもよい。
【0053】
第3の生成物バッグ204は、血小板成分を受け取るように意図され、T字形3方向コネクタ1600が、第1のチューブ400によって分離バッグ200に接続されたレッグと、第4のチューブ170によって収集された血漿バッグ202に接続された第1のアームと、第5のチューブ180によって収集された血小板成分バッグ204に接続された第2のアームと、を有する。血漿および赤血球バッグ202、203と同様に、血小板バッグ204は平らであり、実質的に矩形である。
【0054】
光感受性物質75を、バッグセットの製造および組立中に、生成物バッグ202、203および204の各々に置くことができる。分離された血液成分は、分離容器200から、既に光化学物質を含んでいる保管バッグ内に流れることができる。
【0055】
図6に示された自動全血分離装置76の別の実施形態において、リボフラビン溶液75を含むバッグ52、54、56を、それぞれ、各生成物バッグ202、203および204に流体的に接続することができる。リボフラビン溶液75を含むバッグを、保護箔オーバーラップに包むことができ、周囲光による光活性物質の劣化を防止し、バッグを通して溶液が蒸発するのを防止する。
【0056】
生成物が各バッグに収集された後に、各リボフラビン溶液バッグ52、54、56に位置する壊れやすいコネクタ23は、壊れることができ、リボフラビン溶液を生成物バッグ(単/複)内に排出するのを可能にする。次いで、生成物バッグ(単/複)を照明することができる。
【0057】
生成物バッグにまたは生成物バッグに予め接続された第2のバッグに既に光感受性物質を有することによって、照明バッグを各生成物バッグに接続することと、光化学物質を含むバッグを照明バッグに接続することと、生成物を照明バッグ内に流すことと、光化学溶液を照明バッグの生成物内に流すことと、の各ステップは、すべて排除され、複数の接続中の汚染の可能性を減少する。
【0058】
光感受性物質を含む追加バッグ(図示せず)もまた、分離バッグ200に取り付けられてもよい。光感受性物質を、分離された血液成分が生成物バッグに収集された後に、追加バッグから分離バッグ200を通って生成物バッグ内に計量供給してもよい。あるいは、光感受性物質を、分離プロセス前に、分離バッグ内に計量供給することができる。分離された血液生成物は、生成物バッグ内に流れるときには、既に光感受性物質を含んでいる。
【0059】
本発明の使い捨て分離および病原体不活性化セットを使用する方法において、ひとたび、分離された血液生成物が分離容器から光感受性物質を含むそれぞれの生成物バッグ内に方向づけられると、バッグ(単/複)は、いずれの公知の方法を使用して、バッグセットの残りのものから、殺菌して取り外され封止されてもよい。
【0060】
不透明なオーバーラップがチュービングの一部である場合には、ひとたび、分離された血液成分が生成物バッグに収集されると、取り外し可能な不透明なオーバーラップは、血液成分が照明される直前に生成物バッグから取り外される。
【0061】
図7に示されたように、不活性化されるべき血小板成分を含むバッグ(例目的のみのために要素66として示されている)が、使い捨てバッグセット70(図示せず、単に1つの例として与えられている)の残りのものから取り外された後に、不透明なオーバーラップ77は取り外され、バッグは即座に、血液生成物に存在することがあるいずれの病原体を不活性化するのに十分ではあるが、血液生成物に損傷を生じさせる量よりは少ない時間の間、光源105からの放射100に露出される。
【0062】
光感受性物質が、光感受性物質を含むバッグから生成物バッグに加えられる場合には、生成物バッグから取り外すべき不透明なオーバーラップはない。
【0063】
病原体が不活性化された血液生成物は、次いで、受容者に輸血される前に一定期間の間、保管されてもよく、または、病原体不活性化手順直後に受容者に輸血されてもよい。
【0064】
本開示の目的のために、本発明の範囲内である様々な変更および修正を、本発明に行ってもよいことを理解すべきである。当業者には容易に示唆されここに開示された方法の精神内に包含される多数の他の変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】自動アフェレーシス機器と協働するように設計された分離および収集バッグのセットの概略図である。
【図2】図1に示された分離および収集バッグのセットの別の実施形態の概略図である。
【図3】自動全血分離機器と協働するように設計された分離および収集バッグのセットの概略図である。
【図4】図3に示された分離および収集バッグのセットの別の実施形態の概略図である。
【図5】別の自動全血分離機器と協働するように設計された分離および収集バッグの別のセットの概略図である。
【図6】図5に示された分離および収集バッグのセットの別の実施形態の概略図である。
【図7】光で不活性化されるべき血液成分を処理するための本発明の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液分離および病原体減少用の予め接続された使い捨てセットであって、
分離容器と、
一方の端で前記分離容器に流体的に接続された生成物収集コンジットと、
前記生成物収集コンジットの他方の端に流体的に接続された少なくとも1つの血液生成物バッグと、
前記少なくとも1つの血液生成物バッグに含まれた光感受性物質と、
を備える予め接続された使い捨てセット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、赤血球生成物バッグである、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、血小板生成物バッグである、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、血漿生成物バッグである、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項5】
血小板生成物バッグをさらに備える、請求項2に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項6】
血漿生成物バッグをさらに備える、請求項5に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項7】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグを覆う取り外し可能な不透明なオーバーラップをさらに備える、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項8】
前記光感受性物質は、ソラレン(psoralen)である、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項9】
前記光感受性物質は、内因性アロキサジン(endogenous alloxazine)である、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項10】
収集バッグと、
前記収集バッグを前記分離容器に流体的に接続する移送チュービングと、
をさらに備える、請求項1に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項11】
血液分離および病原体減少用の予め接続された使い捨てセットであって、
分離容器と、
一方の端で前記分離容器に流体的に接続された生成物収集コンジットと、
前記生成物収集コンジットの他方の端に流体的に接続された少なくとも1つの血液生成物バッグと、
第2のバッグと、
前記第2のバッグを前記少なくとも1つの血液生成物バッグに流体的に接続するコンジットと、
前記第2のバッグに含まれた光感受性物質と、
を備える予め接続された使い捨てセット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、赤血球生成物バッグである、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項13】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、血小板生成物バッグである、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの血液生成物バッグは、血漿生成物バッグである、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項15】
血小板生成物バッグをさらに備える、請求項12に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項16】
血漿生成物バッグをさらに備える、請求項15に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項17】
前記第2のバッグを覆う取り外し可能な不透明なオーバーラップをさらに備える、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項18】
前記光感受性物質は、ソラレンである、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項19】
前記光感受性物質は、内因性アロキサジンである、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項20】
収集バッグと、
前記収集バッグを前記分離容器に流体的に接続する移送チュービングと、
をさらに備える、請求項11に記載の予め接続された使い捨てセット。
【請求項21】
病原体を含むことがある血液成分を不活性化する方法であって、
分離容器の全血を少なくとも1つの成分に分離することと、
前記少なくとも1つの分離された成分を、前記分離容器から、前記分離容器に予め接続された光感受性物質を含む生成物バッグ内に流すことであって、
前記生成物バッグは取り外し可能な不透明なオーバーラップによって覆われていることと、
前記取り外し可能な不透明なオーバーラップを取り外すことと、
前記少なくとも1つの分離された成分および光感受性物質を、前記血液成分に存在することがあるいずれの病原性を不活性化するのに十分な時間であるが、前記血液成分に損傷を生じさせる時間よりは少ない時間の間、照明することと、
を備える方法。
【請求項22】
前記照明ステップの前に、前記生成物バッグを前記分離容器から取り外すステップをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
病原体を含むことがある血液成分を不活性化する方法であって、
分離容器の全血を少なくとも1つの血液成分に分離することと、
前記少なくとも1つの分離された血液成分を、前記分離容器から、前記分離容器に予め接続された生成物バッグ内に流すことと、
光感受性物質を、前記生成物バッグに予め接続されたバッグから、前記生成物バッグ内に流すことと、
前記生成物バッグを、前記血液成分に存在することがあるいずれの病原性を不活性化するのに十分であるが、前記血液成分に損傷を生じさせる時間よりは少ない時間の間、照明することと、
を備える方法。
【請求項24】
前記照明ステップの前に、前記生成物バッグを前記分離容器から取り外すステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記照明ステップの前に、前記光感受性物質を含んでいた前記バッグを前記生成物バッグから取り外すステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−237890(P2008−237890A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−37437(P2008−37437)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(506313866)ナビガント・バイオテクノロジーズ、エルエルシー (9)
【氏名又は名称原語表記】Navigant Biotechnologies,LLC
【Fターム(参考)】