説明

血管ステントの表面全体のコーティング

格子状または網目状の血管ステントの表面全体をコーティングするための方法において、血管ステントは、最初に、血管ステントの材料表面を被覆する薄層が付与され、次いで、第2のコーティング工程では、血管ステント全体の表面がコーティングされる。この表面全体のコーティングは、支柱と個々の支柱間の隙間との両方を被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格子状または網目状の内部人工器官の表面全体をコーティングするための方法に関する。この内部人工器官は、最初に、内部人工器官の材料表面(すなわち、格子または網目を形成している支柱)を被覆する薄層が設けられ、次いで、内部人工器官の表面領域全体または連続的な表面領域がコーティングされ、該表面領域全体または連続的な表面領域のコーティングは、支柱および個々の支柱間の隙間を被覆する。
【背景技術】
【0002】
体内の通路に関する病理学的な変化は、その狭窄または全体の閉塞さえ導き得る。動脈硬化および急性血栓症は、心筋梗塞または卒中の発作のような病状の原因となることが多い。
【0003】
体内の通路に関するしばしば生じる別の危険は、悪性および良性の腫瘍増殖である。腫瘍は、細胞分裂が早くそして無制御のため、中空器官に隣接する領域および中空器官内に広がり、そのため、腫瘍は罹患した体内の通路を妨げまたは閉塞する。食道ガン、大腸ガン、肺ガン、腎臓ガン、胆管、膵臓および尿道の閉塞は、このような病状の例として列挙され得る。
【0004】
この20年の間、ステントは、狭窄した血管の治療のために適した局所的な治療方法であることが示されてきた。バルーンカテーテルによって罹患した部位が拡張された後、あるいは狭窄部分が除去された後でさえ、ステントは、罹患した部位に配置され、この部位は拡張される。したがって、ステントは、罹患した血管の本来の直径を回復させるような程度にまで血管壁を拡張し、そして血管は開いた状態が保持される。
【0005】
特に、血液と接触するステントの場合、このステントは外因性の材料なので、再狭窄形成の原因になる。ステント材料の改良された生体適合性を提供することを目的とするステントの開発の努力が行われ、材料疲労の減少と組み合わせたより高い可撓性および外来表面の減少が、ステントで誘発される再狭窄の割合をさらに最小限にすることが意図される。
【0006】
抗再狭窄活性薬剤のキャリアとして働く生体適合性、生分解性または生物安定性の材料を用いたステント表面のコーティングは、ステント本体によって満たされる上記列挙された基本的な必要条件を加えた場合、期待できる改良された開発であることが示されている。この活性薬剤は、時間および濃度の点で必要条件に適合する放出によって、再狭窄促進プロセスを停止すると考えられる。ステント自体によって満たされる必要条件、ならびにコーティング材料、コーティングの質および活性薬剤により満たされる必要条件は、同様に高い。
【0007】
同一の基本的な本体は、例えば、食道または気管支内で腫瘍増殖によって生じる狭窄を予防または妨害するために用いられる。動脈硬化を治療するための血管ステントとは反対に、これらのステントは、ステント本体を被覆しているポリマーコーティングを備えており、機械的なバリアーとしての機能のため、管腔から隙間への腫瘍内部増殖の再発を予防または少なくとも減少させると考えられる。
【0008】
体内の管腔に挿入される全ての外来材料に共通の特徴は、管腔の通常の機能を損なう局所的な状態を除去または遅らせながら、該材料が、可能であれば、制限されない可撓性、すなわち標的器官の生理的に必要な自由な運動性を保証すると考えられる事実でなる。この可撓性は、中空体の材料およびデザインに依存しており、それにより中空体は、血管壁の比較的狭い領域を被覆し、そして幅広い網目構造または網目状構造を有する。
【0009】
インプラントの特徴に関する種々の必要条件は、病気の臨床的な特徴および適用部位に依存すると考えられるべきである。したがって、例えば、動脈に挿入される内部人工器官に関する必要条件は、食道に挿入される内部人工器官に満たされる必要条件とは異なる。ステントは、罹患した領域を全体的に被覆し得る場合、腫瘍の治療においてバリアーとしてのみ用いられ得る。一方、コーティングされたおよびコーティングされていない血管ステントの外来表面は両方とも、ステントで誘発される再狭窄を防止するために、できるだけ制限されるべきである。前者は、ステントに代表的である大きな隙間が透過可能ではないままであり、そして腫瘍増殖を阻害し得る場合にのみ可能である。これは、内部人工器官を囲んでいるポリマー殻によって達成される。
【0010】
しかし、血管ステントについて、最も重要な必要条件は血液適合性表面であるが、食道ステントの場合には、対照的に、ステントが飲み込みのぜん動運動により胃に滑り落ちることを防止する様式で確実に取り付けられることが、強制的な必要条件である。内部人工器官の材料およびポリマー殻の材料は、さらに胃酸(逆流、嘔吐)に一定の抵抗性を有するべきである。
【0011】
明らかに、気管に配置されるステントは、呼吸を損なってはならず、そしてポリマー殻は、粘液および分泌液の排出を妨げ得ない。さらに、ポリマー殻は、くしゃみおよび咳中に生じる高圧および気流速度への一定の抵抗を処理しなければならない。腎管、尿道または例えば胆管に関して、それぞれの環境に依存してその他の必要条件が満たされなければならない。
【0012】
適用部位に依存して、外表面と管腔に面する内表面との間でこのような医療デバイスの表面構造を、できるだけ区別する必要がある。
【0013】
ポリマーで被覆されたステントは、それぞれの部位に適合する様式でその機能を満たすと考えられ、そして理想的な場合、標的器官の機能を妨げることなくまたは損なうことなくその機能を提供または支持すると考えられるので、ポリマー殻を有するステントを提供することを目的とする種々の概念が準備された。
【0014】
しかし、非血管適用のためのステントの適用は、まだ確立されていない。
【0015】
したがって、US5876448(WO93/22986)は、このステントの内側部分に沿ってシリコーンチューブが設けられた自己拡張食道ステントを記載しており、チューブは、チューブによって被覆されていない近位および遠位末端部分におけるよりも小さい直径を有するようにステントを圧縮する。近位および遠位末端は被覆されておらず、そのため、これらの自由なステントの支柱によって、腔の壁への改良された固定を付与する。しかし、このステントは、それ自体の成功を示していない。なぜなら、ステント本体の圧縮は、例えば、嘔吐時にステントに加えられる力により、ステントを移動させ、そしておそらくその自由端で食道壁の損傷を引き起こすことを増加させるという問題を生じるからである。
【0016】
さらに、シリコーンチューブは、これらの状況下で引き裂かれ得または引き離され得る。粘液または食物粒子が、管壁とシリコーンコーティング層との間に付着し得、さらに、起こり得る炎症の危険性が、患者に対して種々の極端な負の結果を導き得る。
【0017】
WO2005/030086はまた、ポリウレタン殻を有する自己拡張ステント本体の表面を完全にコーティングする方法を記載し、ポリマーでのステントの最初のスプレーコーティングの後、ポリマーは、バルーンまたは別の適切な中空の金型によって、支柱の内表面に薄膜の形態で付与される。この方法は、ステントの表面を完全に被覆するコーティングが管腔側に付与されるという事実を含み、そのため、ステントの支柱は、その外表面で血管壁に確実にステントを固定し得る。次いで、軟化点より高い温度でシステムを加熱することは、ステントにポリウレタンを焼鈍する役割を果たす。ここに、ポリマー殻がコーティングされたステントに定量的に結合されず、したがって、所定の状況下で、永久にステントに付着しないままであるという問題が存在する。さらに、加熱が小さな穴を発生させ得、これは、おそらく移植中に増加し得、そして最終的にコーティング材料の剥離およびステント全体の非局在化さえ導き得る。
【0018】
さらに、ポリマーの軟化点以上の温度での加熱は、一方で、スプレーコーティングがステントの支柱の外表面にも存在すること、および他方では、ポリマー層がステントに付着するだけではなくバルーン(これもまたポリマーでなる)にも付着することを導き得る。したがって、内側のコーティング層が、バルーンの除去の際に少なくとも部分的にステントから離れるので、バルーンの回収は付着の問題を引き起こす。したがって、食物粒子または粘液は、剥離しているコーティングと内壁との間に付着し得、コーティング層をステントから分離し、まず第一に通路の開通性を損なう。剥離した材料は管中に突出し、さらに炎症、吐き気および咳の原因となり、したがって、さらに全体でステントの脱固定を促進する。
【0019】
コーティングについては、ステントの末端が特に問題のある領域である。なぜなら、コーティングにおける最初の穴が、多くの場合、これらの領域で形成され得るからであり、これはステントの支柱の末端が被覆層を貫通していることによる。管壁に生じる損傷の可能性に加えて、これはまた、さらにコーティングの剥離を容易にする。
【0020】
US5951599は、表面の一部が完全にコーティングされたステントの例を記載している。そこに記載されたステントは、血管内の動脈瘤の治療に用いられると考えられる。動脈瘤は、血管壁の異常な拡張であり、血液が集まり凝固し、したがって、血管の拡張を増大する。それによって、血栓症の危険性が増加し、最終的に血管の破裂を導く。US5951599は、小さな網目状のポリマーネットワークを有する血管ステントの自由な隙間を満たすことによって、この問題に対処することを試みており、このポリマーネットワークは、血管内の拡張部位上に配置され、動脈瘤を被覆し、そのため拡張部位内の血流が淀む。流れの妨害の結果として、固体の血栓が形成され、次に動脈瘤の成長を停止する。さらに、ポリマー被覆層は、血液バルジまたは血塊部分が血液循環内へ流れることを防止し、したがって、他の部位において梗塞を生じることを防止すると考えられる。乏しい付着性に固有の問題も生じ、ステントの機能を低下させ、したがって、患者に対して危険性を増加させる。現在、動脈瘤は、今でもなお金属ワイヤー(「コイル」)を充填することによって治療されており、拡張部位内への血流を停止すると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記不利益を避けるインプラントを提供すること、およびこのようなインプラントを製造するための最適な方法を提供することを目的とする。
【0022】
該目的は、本発明の独立請求項の技術的な教示によって達成される。さらに、本発明の有利な実施態様は、従属請求項、明細書および実施例に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
先行技術の問題が、内部人工器官の支柱に第1の下部層(該層は、支柱間または内部人工器官の表面において、隙間を被覆しない)を付与し、次いで、内部人工器官の表面または個々の支柱間の隙間を被覆すると考えられる層を付与し、そのため内部人工器官の格子状または網目状構造由来の少なくとも部分的に連続した表面領域を有する管状構造を生じることによって解決され得ることを見出した。ここで、2つの層は、内部人工器官の個々の支柱を囲んでいる両方のポリマー層の接触点で、分離不可能なユニットを形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
したがって、体内の通路のための内部人工器官は、コーティングが付与される。体内の通路は、本願において一般的に「管」といい、例えば、血管、静脈、食道、胆管、腎管、気管、気管支、小腸部分、大腸部分またはその他のほぼ管状の体内の通路であり、該内部人工器官は、ステントのように格子状または網目状構造を有する。用語「体内の通路」は、生来の体内の通路または管腔だけではなく、バイパスまたはイレオストミーのような人工的な体内の開口部および管腔を含む。したがって、本発明のコーティングされた内部人工器官のさらなる用途は、例えば、喉頭インプラント、バイパス、カテーテルまたはイレオストミーであり、一般的に、十分な運動性を有する閉塞していない体内の管腔が、同時に最適な管壁の供給を維持する一方で、周囲に対する移植された異物の衝撃を最小限にするような生体内または生体の任意の領域が、重要である。
【0025】
ステントのような内部人工器官は、固体チューブを形成するのではなく、網目状ネットワークで構成されている。ステントを詳細に検査すると、ステントは、例えば、レーザーによって固体チューブから切断され、そのため個々の相互に連結されている支柱が形成される。本願で用いられている用語「支柱」は、ステント足場の個々の固体部分(ステントの支柱)のことをいい、一定の交点で相互に連結され、そして内部人工器官の拡張可能なおよび可撓性の構造を形成する。
【0026】
ステントの切断において、個々の支柱間部分(本明細書では「隙間」という)は、切り取られる。したがって、内部人工器官は、多くの固体足場エレメント(例えば、支柱、リング、らせん、ワイヤーおよび交点)を有し、これらは共に内部人工器官を形成し、交点および支柱のような固体エレメント間の多くの隙間を形成する。現在の内部人工器官の実施態様では、支柱は交点で交わり、そのため隙間は、周囲の支柱と交点とによって定められる。しかし、交点を有さないか、または実質的に有さず、支柱が、例えばリング状またはらせん状の形状を有する内部人工器官の実施態様もある。このような内部人工器官のいくつかの場合、少数または1つの隙間のみ(例えば、2つのらせんの組み合わせによって定められる)が、多くの隙間の代わりに存在する。いくつかの場合のこのような隙間は、明確に定められず、その代わりに、1つまたは2つ以上の開口端または開口面を有し得る。いずれにせよ、本明細書で用いられる用語「隙間」は、内部人工器官の固体エレメント間の開口または限定された領域をいう。
【0027】
本発明は、コーティング方法を開示し、一方で、該方法は、内部人工器官の表面を増加させ、内部人工器官は、薬剤の放出のために用いられ得、そのため、より多量の薬剤は、個々の支柱に厚いコーティング層を付与する必要がないように管の増加した表面領域に組み込まれ、そして均一に付与され得る。さらに、本発明のコーティング方法は、腫瘍によって閉塞される危険のある体内の通路の開通性を維持するような特定の適用のために、内部人工器官の完全にコーティングされた表面を提供する。該内部人工器官は、同時に拡張のための十分な可撓性を有しながら、管を永久に開通状態に保つことができる。
【0028】
この目的は、内部人工器官の格子状または網目状の足場の表面を完全に被覆することにより達成された。本明細書で用いられる用語「表面全体をコーティングする」は、隙間の表面全体を被覆するコーティングのことをいう。コーティングはまた、連続するコーティング層としても記載され、すなわち、薄膜が隙間に形成され、ここで、薄膜は、この隙間を定める支柱のみに接する。このコーティングは、つり橋状に、隙間にまで広がり、つり橋状の先端に取り付けられるのみであり、隙間において固体の下地に接していない。このコーティング層(表面全体を被覆する)が、支柱または内部人工器官に十分付着することを確実にするために、支柱は、第1のコーティング工程において、少なくとも部分的にポリマーでコーティングされるが、隙間は被覆されていない。そして、この第1のポリマーコーティング層を湿潤させた後または部分的に溶解した後、表面をポリマーBで完全にコーティングする工程が第2のコーティング工程として続く。ここで、第1のポリマーコーティング層は、第2のポリマー層への改良された付着特性をもたらし、表面全体に付与されるかまたは連続した層であると考えられる。
【0029】
ポリマーAおよびポリマーBはまた同一であり得、そして好都合には、これらはコーティング溶液中の濃度に関する限りのみ異なる。
【0030】
したがって、本発明は、格子状または網目状の内部人工器官(特に、ステント)の表面を完全にコーティングするための方法に関する。ここで、第1のコーティング工程では、内部人工器官の格子状または網目状構造を形成する支柱は、完全にまたは部分的にポリマーコーティングで被覆され、そして第2のコーティング工程では、支柱の格子状または網目状構造を形成する支柱間の少なくとも隙間の一部の表面全体がポリマーコーティングでコーティングされる。
【0031】
これは、最初に、内部人工器官の固体の足場に、ポリマーコーティングが付与されることを意味し、コーティングは個々の支柱を取り囲む。2つの交点間の支柱部分の好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、よりさらに好ましくは少なくとも90%、そして特に好ましくは少なくとも96%は、第1のポリマーコーティングが付与される。さらに、交点の少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、よりさらに好ましくは少なくとも90%、および特に好ましくは少なくとも96%が、第1のポリマーコーティングでコーティングされることが好ましい。少なくとも2つの支柱が互いに交差する点を、交点という。
【0032】
支柱または交点は、ワイヤーの周りの管状または絶縁体状の第1のコーティングによって取り囲まれ;それにもかかわらず、このコーティングは、個々の支柱を取り囲むのみであり、まだ2つの隣接する支柱を相互に連結していない。第1のコーティングは、支柱と交点との間の隙間の上にまで広がると考えられるすぐ上のコーティングに、改良された付着特性を与えるための支持層として働く。
【0033】
本発明によれば、第2のコーティングが付与される前に、第1のコーティングを乾燥しまたは乾燥させあるいは硬化させ、次いで、湿潤させまたは浸漬させまたは部分的に溶解しまたは部分溶解に曝露することが好ましい。第2のコーティングは、少なくとも部分的に内部人工器官の格子の足場の支柱と交点との間の隙間にまで広がりまたは隙間を被覆しまたは上塗りする。部分的にとは、少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、よりさらに好ましくは少なくとも90%、および特に好ましくは少なくとも96%の連続した表面または隙間の表面全体がコーティングされていることを意味する。明らかに、隙間を被覆している第2のポリマー層はまた、支柱および交点を被覆するが、これがまたその内表面および外表面を被覆することは強制的ではない。付着特性を付与する下部のポリマーコーティング層のため、例えば、第2のポリマー層が支柱および交点の外表面または内表面(すなわち、内部人工器官の表面)のみを被覆すれば十分である。さらに、強制的ではないが、内部人工器官の表面が、その表面の一部分のみではなく、本発明によって完全にコーティングされていることが好ましい。例えば、部分的なコーティングは、活性薬剤が単に一方のみの管に供給される場合、または腫瘍が一方のみから管に圧力を及ぼす場合に有利である。したがって、用語「部分的なコーティング」とは、内部人工器官の下部、上部、後部、前部、右側または左側のコーティングのことをいう。しかし、部分的なコーティングはまた、例えば、内部人工器官の表面積全体に対して、隙間の表面領域の50%のみが被覆されていることをいい得る。
【0034】
さらに、内部人工器官の個々の支柱または交点は、凹部または穴を有し得、例えば、薬剤で満たされ得、そして第1のポリマーコーティングおよび第2のコーティングで被覆され得る。凹部および穴のこのような被覆は先行技術であり、そして好ましい実施態様として考えられ得るが、本発明の主要な局面ではない。
【0035】
コーティングされていない内部人工器官または裸のステントは、医療用のステンレス鋼、チタン、クロム、バナジウム、タングステン、モリブデン、金、ニチノール、マグネシウム、亜鉛、これらの合金のような従来の材料で作製され得るか、またはセラミック材料またはポリマーで構成され得る。これらの材料は、自己拡張可能またはバルーン拡張可能のいずれかであり、生物安定性または生分解性である。
【0036】
本発明の格子状または網目状の内部人工器官の表面を完全にコーティングするための方法は、以下の工程を包含する:
a)格子または網目を形成する支柱間に隙間を有する不連続な格子状または網目状の内部人工器官を提供する工程、
b)該支柱(格子または網目を形成する)をポリマーAで、少なくとも部分的にコーティングする工程、
c)該ポリマーAでコーティングされた該内部人工器官の表面を、有機溶媒で湿潤させる工程、
d)該格子状または網目状構造を形成する該支柱間の隙間の少なくとも一部分の表面全体を、ポリマーBのポリマーコーティングでコーティングする工程。
【0037】
用語「不連続表面を有する格子状または網目状の内部人工器官」とは、内部人工器官が固体チューブまたは円筒ではないことをいう。「少なくとも部分的」または「少なくとも一部分」は、パーセンテージによって既に上で定義されており、そして用語「湿潤させること」は、第1のポリマー層の湿潤を含むだけではなく、第1の層の膨潤、部分的な溶解または溶解部分への曝露も含む。湿潤工程は、好ましくは、内部人工器官に有機溶媒または有機溶媒混合物を噴霧することにより、あるいは内部人工器官を有機溶媒または有機溶媒混合物に浸漬することにより、あるいは内部人工器官を有機溶媒または有機溶媒混合物で飽和した雰囲気中に保管することにより行われる。
【0038】
本発明の別の実施態様は、格子状または網目状の内部人工器官の表面全体をコーティングするための方法であり、該方法は以下の工程を包含する:
a)個々の支柱間に隙間を有する内表面および外表面を有する支柱を含む不連続な格子状または網目状の内部人工器官を提供する工程、
b)該支柱の該内表面および該外表面をポリマーAで、少なくとも部分的にコーティングする工程、
c)該ポリマーAでコーティングされた該内部人工器官の表面を、有機溶媒で湿潤させる工程、
d)該内表面および/または該外表面ならびに該支柱間の隙間の少なくとも一部分の表面全体を、ポリマーBのポリマーコーティングでコーティングする工程。
【0039】
支柱は、ほぼ円形であると想定され、用語「内表面」とは、内部人工器官の長手方向軸に面する支柱の表面部分をいい、そして用語「外表面」は、内表面と面していない部分を表す。したがって、内表面および外表面という用語のみで、明確に区別される。
【0040】
好ましくは、コーティング工程b)は、スプレーコーティングまたはエレクトロスピニングによって行われ、一方、工程c)およびd)は、好ましくは、ディップコーティング、マイクロピペッティング、エレクトロスピニングまたは/および「シャボン玉法」によって行われる。
【0041】
ポリマー表面は、内表面および/または外表面上で、ポリマーCで完全にまたは部分的にコーティングされ得る。
【0042】
したがって、例えば、分泌物、粘液などの排出を妨害しないために十分に滑り得るままである気管気管支ステントの管腔側にとっては重要である。親水性は、ポリビニルピロリドン(PVP)のような適切なポリマーでコーティングすることによって増加され得る。
【0043】
用いられる好ましいコーティングされていない内部人工器官は、連続構造よりもむしろ内表面と外表面との間に位置する凹部または隙間を処理する構造を有する。
【0044】
用語「内表面および外表面」への言及は、本発明の方法に用いられる内部人工器官が、好ましくは管状構造をとるようにすることを示す。コーティングされる内部人工器官は、好ましくは引き伸ばされ、そして管状、らせん状、円筒状、網目状、編み上げおよび/または格子状構造のような中空体が好ましい。
【0045】
このコーティング方法は、完全な表面コーティングに関して先行技術の上記の欠点を克服する。したがって、患者が曝される危険を除去する。
【0046】
一方、本発明に用いられ得るこのような医療デバイスは、固体材料(例えば、ステントの個々の支柱)にコーティングを付与することによって、および支柱によって定められる開口領域をポリマー層Bで満たすことによってコーティングされ得る。このポリマー層は、ポリマー特性のため、ポリマーAでコーティングされたステントの支柱の隙間を被覆し得る。コーティングの安定性は、ポリマーBおよびポリマーAの2つの組み合わせた層の機能であり、この層は、医療デバイスのエレメントを取り囲む。
【0047】
したがって、表面構造にこのような隙間を有する任意の医療デバイスは、例えば、個々の支柱間にこのような隙間を示すステントの場合のように、本発明によってコーティングされ得る。
【0048】
固体部分のコーティング、例えば、内部人工器官の個々の支柱のコーティングは、好ましくは、スプレーコーティングまたはエレクトロスピニングによって行われる。したがって、得られる層は、表面全体に付着したコーティング層よりもかなり薄い。第1のコーティング工程はまた、ディッピング法、プラズマ蒸着法または気相コーティングによって行われ得る。
【0049】
好ましくは、ポリマーAは、第1のコーティング工程で用いられ、一方、第2のコーティング工程ではポリマーBが用いられる。しかし、両方のコーティング工程において、同じポリマーを用いることも可能である。
【0050】
第1のコーティングのための生分解性または/および生物安定性のポリマーA、および用途の種類に依存して第2のコーティングを被覆するための生分解性または再吸収性のポリマーAまたは/および生物安定性のポリマーが、用いられ得る。
【0051】
以下のポリマーが、生物学的に安定なポリマーまたは遅い生分解性を有するポリマーとして列挙され得る:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートのようなポリアクリル酸およびポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンハライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアレーン、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィンエラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸エステル、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテート、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテートコポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、シリコーンプレポリマー、ポリシロキサンのようなシリコーン、ポリビニルハロゲンおよびコポリマー、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサン、キトサン誘導体、アマニ油のような重合可能な油剤、およびコポリマーおよび/またはこれらの混合物。
【0052】
さらに、ポリマーAを用いたコーティング工程の前の工程において、血液適合性の層が、好ましくは医療デバイスのコーティングされていない表面に共有結合され得るか、または例えば、グルタルジアルデヒドを用いて架橋により同様に固定され得る。このような層は、血液凝固を活性化せず、コーティングされていないステント材料が血液と接触する場合に有用である。したがって、第一に、例えば、動脈瘤の治療のためのUS595159に記載されるように、このような血液適合性の層で部分的にコーティングされたステントを提供することが好ましい。
【0053】
好ましい血液適合性の層は、以下の好ましい薬剤でなる:天然で得られるヘパリンおよび約13kDの市販されているヘパリンの標準分子量に対して、五糖の分子量範囲で異なる硫酸化およびアセチル化度を有する位置選択的に調製されたその誘導体(その抗血栓効果に関与する); ヘパラン硫酸塩およびその誘導体、赤血球グリコカリックスのオリゴ糖および多糖、オリゴ糖、多糖、完全に脱スルホン化およびN−再アセチル化されたヘパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、N−カルボキシメチル化および/または部分的にN−アセチル化されたキトサン、ポリアクリル酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールおよびこれらの物質の混合物。
【0054】
生分解性または吸収性ポリマーとしては、例えば、以下のポリマーが使用され得る:ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドとポリグリコリドとのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸エステル、ポリヒドロキシブチレート−コ−吉草酸エステル、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水マレイン酸のようなポリ無水物、ポリヒドロキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、オリゴカプロラクトンジオールとオリゴジオキサノンジオールとからのようなマルチブロックポリマー、PEGとポリ(ブチレンテレフタレート)とからのようなポリエーテルエステルマルチブロックポリマー、ポリピボトラクトン(polypivotolactone)、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトングリコリド、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイド、ソフトポリウレタン、骨格中にアミノ酸残基を有するポリウレタン、ポリエチレンオキサイドのようなポリエーテルエステル、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステルおよびそれらのコポリマー、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質をベースとするポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、改変されたゼイン、ポリヒドロキシアルカノエート、ペクチン酸、アクチン酸、改変および未改変のフィブリンおよびカゼイン、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、さらにヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、およびPEGとポリプロピレングリコールとのコポリマー、アラビアゴム、グアーゴム、ゼラチン、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、上記の物質の改変体およびコポリマーおよび/または混合物。
【0055】
さらに、表面を完全にコーティングする第2の工程で生じる外表面は、水平または平坦でないことが好ましいが、ステントの構造(すなわち、支柱の構造)は、まだ目に見えることが好ましい。その利点は、管壁に面する内部人工器官のコーティングされた外表面が波形および粗い構造を有するという事実でなり、管内で改良された固定を保証する。
【0056】
さらに、第2のコーティング工程は、2段階でなることが好ましい。コーティングされる医療デバイスは、好ましくは片側に、ほとんどの場合両側に、少なくとも1つの開口端を有する管状である。第2のコーティング工程[工程c)、d)]を行うために、医療デバイスは、好ましくは、所望の直径を有する棒またはピンに配置され、そして適切な溶媒に浸漬される。棒またはピンは、コーティング後、医療デバイスの所望の将来の内径に相当する直径を有する。
【0057】
さらに、医療デバイスは、層が医療デバイスの内表面に滑らかで均一なコーティングを形成するようなディップコーティングによってコーティングされるが、医療デバイスの表面構造をコーティングから隆起させ、またはコーティングの下の目に見える構造を維持する様式で、外表面に付着されることが好ましい。この目的のために、第1のコーティング工程は必要である。なぜなら、距離は、ステント支柱と棒との間のポリマー層に相当する距離であり、表面全体のディップコーティングに必要とされる距離が、ポリマーAを用いたコーティングによってのみ生じ得るからである。ポリマー溶液Bは、医療デバイスの管腔側に開いた、これらの中間領域中を流れ、これを満たし得る。
【0058】
好ましくは、ポリマーBの適切な溶解に適切な湿潤特性を有する有機溶媒が、溶媒として用いられる。用いられる溶媒は、既に低濃度でポリマーBを含み得る。そのため、溶液の粘度は、特に、医療デバイスの内表面の、適切かつ完全な湿潤をさらに付与するために十分に低い。工程c)の湿潤に用いられる溶媒中のポリマーBの濃度は、工程d)のコーティングに用いられる溶液中のポリマーBの濃度よりも低い。低い蒸気圧を有する溶媒、例えば、アセトン、THF、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノール、エーテル、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたは酢酸が、溶媒として用いられる。
【0059】
湿潤工程c)は、表面全体を被覆しているポリマーBのポリマー層における気泡の包含を防止する利点を有し、ならびにポリマーAのポリマー層とポリマーBのポリマー層との間の強固な付着または融合を有する。なぜなら、両ポリマーは、用いられる溶媒に完全に(AおよびB)または部分的に(A)のいずれかで可溶であるからである。
【0060】
湿潤工程の代わりにまたは湿潤工程に加えて、2つのポリマー層は、熱への曝露の際に融合され得る。
【0061】
溶媒で湿潤させたまたは既にポリマーBの希釈溶液で湿潤させたあるいは部分的にコーティングされた医療デバイスの表面は、次いで、より濃いポリマーBの溶液で完全にコーティングされる。このコーティングは、医療デバイスをより濃いディッピング溶液B中に入れることによって、またはポリマーBの希釈溶液の濃度を高めることによって行われ得、最初の実施態様が好ましい。
【0062】
さらに、湿潤溶液およびコーティング溶液が同じ溶媒を含むことが好ましい。しかし、この事実は強制的ではない。それにもかかわらず、湿潤溶液のための溶媒および工程d)によって表面を完全にコーティングするための溶媒が混合され得、好ましくは、ポリマーBを溶解する同じ能力を有し、またはポリマーBを沈殿させないまたはコーティング溶液を濁らせない能力を有することは重要である。
【0063】
ディッピング法の特定の場合として、界面重縮合が医療デバイスの表面全体をコーティングするために用いられ得る。この方法では、ディッピング溶液は、混合され得ない2つのモノマー溶液でなり、両方のモノマー溶液に溶解しないポリマーが、相界面に薄膜を形成する。薄膜は、ゆっくりおよび注意深く反応容器の中心から繊維として、該薄膜を引き上げることによって、反応容器の端で均一に形成される。この工程は、モノマー溶液が、チューブを破壊させる程度に希釈されるまで行われる。
【0064】
より低い溶液へのステントの導入によって、引き上げ速度が適切であるならば、ポリマー薄膜を引き上げ得、そのため、ポリマー薄膜は、本体を取り囲んでチューブ状にコーティングする。
【0065】
この方法は、表面全体を被覆するコーティング層を付与すると考えられるポリマーコーティングを形成するために、完全に適切であり、このコーティング層は、例えば、酸塩化物またはジアミンまたはジオールでなる。反応容器はU字管である。酸塩化物は、好ましくは、1g/ml以上の密度を有する有機溶媒に溶解される。有機溶媒または有機溶媒混合物としては、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素が用いられ得る。薬剤は、例えば、酸塩化物と反応しない限り、酸塩化物を含む有機溶液に添加され得る。ジアミン(または例えばジオール)は水に溶解されている。親水性の薬剤は、ジアミンまたはジオールと反応しない限り、これを水溶液に添加し得る。おそらく親油性の薬剤を含む酸塩化物の有機溶液は、U字形の反応容器に満たされ、そして反応容器の一方の脚部のみが、おそらく親水性の薬剤を含むジアミンの水溶液で満たされる。そのため、界面重合は、もっぱらこの脚部で起こり、界面薄膜の形成後に終了する。第1のコーティングで提供される内部人工器官は、心棒に配置され、そして酸二塩化物の有機溶液のみを含む反応容器の脚部中に、ガイドワイヤーに沿って浸漬され、そして反応容器の底部を通る。移動の遅延は、既に存在する個々の支柱を取り囲むポリマーコーティングを浸漬するのに、または部分的な溶解に曝露するのに、または部分的に溶解するのに十分である。内部人工器官は、ポリマー界面薄膜が形成される反応容器の第2の脚部に引き出され、そして有機溶液がジアミンの水溶液で上塗りされる。界面のパッシベーションの際に、薄膜は内部人工器官に付着し、内部人工器官と共に引き出され、薄膜はチューブ形状をとり、被膜状に内部人工器官を取り囲む。
【0066】
好ましい実施態様では、有機溶液ならびに上清水溶液の再充填が、コンピューター制御様式で行われ、そして内部人工器官は、コンベアーベルト上でのように次々と反応装置を介して運ばれる。そのため、ポリマー界面薄膜は、引き裂かれずまたは妨害されず、そして多数の連続して配置された内部人工器官の周りに管状に付着する。ポリマーチューブの切断、これを補強するために内部人工器官の末端の周りの縁を折り曲げまたは折り返すこと、およびさらにできる限り表面を完全に被覆するポリマーコーティング層を硬化させることが、必要条件およびポリマーに依存して、公知の標準的な方法で行われる。
【0067】
工程d)による医療デバイスの表面全体または医療デバイスの一部分のコーティングはまた、個々の隙間でマイクロピペッティングによって行われ得る。ここで、医療デバイスの選択された領域は、マイクロピペットで満たされ、そのためポリマー薄膜が、医療デバイスの限られたエレメント間の空間を均一に被覆する。
【0068】
工程d)におけるコーティングはまた、いわゆるエレクトロスピニングによって設計され得る。ここで、反応パラメータの変動は、ナノスケールの直径から表面を完全に被覆する層にまで及ぶ個々のポリマー繊維の製造の可能性、および指示された様式での対象物の付与の可能性を提供する。この方法は、必要に応じて、例えば組織工学用途に必要とされるような、構造エレメントとしても空間設計の可能性を提供する。
【0069】
このようなインプラントの表面全体をコーティングするためのさらなる変動は、窒素または酸素または別の適切な気体によって、リングを介してバルーンのように「膨張」する適切なエラストマー溶液でなる(シャボン玉形成に類似する)。内部人工器官は、泡の形成中にリング径の中心に正確に置かれるピンによってこのバルーン中に容易に導入され得る。
【0070】
周囲が縮むことによりサイズが小さくなる前に、中空体が、ポリマー溶液から形成されるこのような「バルーン」中に挿入されると、ポリマー薄膜は、中空体を取り囲み、したがって、支柱は突起部として目に見える。第2の工程において、外表面がコーティングされた本体は、内表面がコーティングされ、そのため、一方では、滑らかな表面が形成され、他方では、外表面のポリマーが内部のポリマーと融合され、したがって、両方のポリマーはユニットを形成する。これは、例えば、金型(直径がコーティングされた内部人工器官の直径よりもわずかに小さい)にコーティングされたステントを置くことおよびポリマー溶液で隙間を満たすことによって達成され得る。次いで、内表面がこのようにコーティングされた中空体は、ツールから注意深く取り出され、そして乾燥される。
【0071】
ポリマー溶液の界面張力および粘着力は、個々の部分にポリマー薄膜を付与することによって部分的にコーティングするために、同様に用いられ得る。
【0072】
第1のコーティングのための溶液は、好ましくは0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは0.5〜25質量%の濃度のポリマーAを含む。
【0073】
この第1の下部層(好ましくはスプレーコーティングまたはエレクトロスピニングによって付与される)の厚みは、好ましくは0.0001と1000μmとの間、さらに好ましくは0.001と500μmとの間、特に好ましくは0.1と250μmとの間である。
【0074】
表面を完全にコーティングするためのポリマーBの濃度は、好ましくは0.1と80質量%との間、さらに好ましくは1と50質量%との間、特に好ましくは5と30質量%との間である。
【0075】
ポリマーBまたはCでなる第2のポリマー層(必要に応じて1種以上の薬剤を含む)の厚みは、好ましくは0.1と1500μmとの間、さらに好ましくは1と1000μmとの間、特に好ましくは2と500μmとの間である。
【0076】
さらに、医療デバイスまたは内部人工器官の内表面の外層が、外表面と異なるポリマーB’でなることが好ましく、これは、例えば、ポリマーB’’でコーティングされる。このようなコーティングは、例えば、ピンまたは棒(直径が医療デバイスまたは内部人工器官自体よりも小さい)に医療デバイスまたは内部人工器官を置き、次いで、医療デバイスまたは内部人工器官の内表面および外表面を、ポリマーB’でコーティングすることによって得られ得る。この工程は、さらなるコーティング工程が続き、ここで、外表面のみがポリマーB’’でコーティングされ得る。なぜなら、医療デバイスまたは内部人工器官の内表面とピンまたは棒の表面との間の隙間は、既にポリマーB’で完全に満たされているからである。別の可能性は、医療デバイスまたは内部人工器官と同じ直径のピンまたは棒の使用、およびポリマーB’での外表面および隙間のコーティングでなり、医療デバイスまたは内部人工器官の内表面に、ポリマーB’’’を付与する役割を果たすさらなるコーティングの付与が続く。
【0077】
第1の下部かつ薄いコーティング層の付与は、特に、イオン放出、腐食およびガルバーニ電気対の形成に対する保護を提供するための金属、金属塩、合金または上述の材料の混合物でなる医療デバイスまたは内部人工器官の付与に有利である。この下部のコーティング層は、例えばプラスチック材料(例えばテフロン(登録商標))のような非金属材料でなる医療デバイスまたは内部人工器官が用いられる場合、省かれ得る。このような場合、表面全体を被覆しているコーティング層は、医療デバイスの材料に結合され得る。
【0078】
さらに好ましい実施態様では、ポリマーAおよび/またはポリマーBの溶液が用いられ、この溶液は、さらに少なくとも1つの抗増殖剤、抗転移剤、抗血管新生剤、抗炎症剤、消炎剤、細胞増殖抑止剤、細胞傷害剤および/または抗血栓剤を含む。この活性薬剤は、共有結合、粘着結合、またはイオン結合され得る。したがって、ポリマーAを含む層に少なくとも1種の活性薬剤を、および/または好ましくはポリマーBを含む層に少なくとも1種の活性薬剤を、好ましくは活性薬剤を放出する層の形態(薬剤放出システム)で含む、コーティングされた医療デバイスまたは内部人工器官が得られる。明らかに、さらなるコーティング工程において、第1および好ましくは第2の層に活性薬剤を付与することはまた可能であり、そのため、さらなる活性薬剤の層が存在する。
【0079】
活性薬剤の濃度は、好ましくは内部人工器官のコーティングされている表面全体(すなわち、表面は、コーティングされた支柱の総表面および支柱間の被覆された隙間の表面を考慮して計算される)について0.001〜500mg/cmの範囲である。
【0080】
活性薬剤は、コーティング方法に依存して、第1および/または第2のポリマー層の下、中および/または上に存在し得る。以下の活性薬剤は、抗増殖剤、抗転移剤、抗血管新生剤、抗炎症剤、消炎剤、細胞増殖抑止剤、細胞傷害剤および/または抗血栓剤として好ましく用いられる:シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ピメクロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、ダウナイマイシン(daunaimycin)、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、ホリマイシン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4−ヒドロキシオキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、8−α−エルゴリン、ジメチルエルゴリン、アグロクラビン、1−アリルリスリド、1−アリルテルグリド、ブロムエルグリド(bromerguride)、ブロモクリプチン(2−ブロモ−12’−ヒドロキシ−2’−(1−メチルエチル)−(2−メチルプロピル)−5’−α−エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン)、エリモクラビン(elymoclavine)、エルゴストリスチン(ergostristine)(12’−ヒドロキシ−2’−(1−メチルエチル)−5’−(フェニルメチル)−(5’−α)−エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン)、エルゴクリスチニン、エルゴコルニン(12’−ヒドロキシ−2’,5’−ビス(1−メチルエチル)−(5’−α)−エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン)、エルゴコルニニン(ergocorninine)、エルゴクリピン(9Cl−12’−ヒドロキシ−2’−(1−メチルエチル)−5’−(2−メチルプロピル)−(5’−α)−エルゴタマン−3’,6,18−トリオン)、エルゴメトリン、エルゴノビン、(エルゴバシン、INN:エルゴメトリン、8,β(S)−9,10−ジデヒドロ−N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−6−メチル−エルゴリン−8−カルボキサミド)、エルゴシン、エルゴシニン(ergosinine)、エルゴメトリニン、エルゴタミン(9Cl−12’−ヒドロキシ−2’メチル−5’−(フェニルメチル)−(5’−α)−エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン)、エルゴタミニン、エルゴバリン(12’−ヒドロキシ−2’−メチル−5’−(1−メチルエチル)−(5−α)−エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン)、レルゴトリル、リスリド(CAS番号:18016−80−3、3−(9,10−ジデヒドロ−6−メチルレルゴリン−8−α−イル)−1,1−ジエチル尿素)、リゼルゴール、リゼルギン酸(D−リゼルギン酸)、リゼルギン酸アミド(LSA、D−リゼルギン酸アミド)、リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD、D−リゼルギン酸ジエチルアミド、INN:リゼルギンアミド、8,β−9,10−ジデヒドロ−N,N−ジエチル−6−メチル−エルゴリン−8−カルボキサミド)、イソリゼルギン酸(D−イソリゼルギン酸)、イソリゼルギンアミド(D−イソリゼルギンアミド)、イソリゼルギン酸ジエチルアミド(D−イソリゼルギン酸ジエチルアミド)、メスレルギン(mesulergine)、メテルゴリン、メテルギン(INN:メチルエルゴメトリン、8,β(S)−9,10−ジデヒドロ−N−(1−(ヒドロキシメチル)プロピル)−6−メチル−エルゴリン−8−カルボキサミド)、メチルエルゴメトリン、メチセルジド(INN:メチセルジド、8,β−9,10−ジデヒドロ−N−(1−(ヒドロキシメチル)プロピル)−1,6−ジメチル−エルゴリン−8−カルボキサミド)、ペルゴリド(8,β−8−(メチルチオ)メチル)−6−プロピル−エルゴリン)、プロテルグリドおよびテルグリド、セレコキシブ、サリドマイド、ファスジル(登録商標)、シクロスポリン、SMC増殖インヒビター−2ω、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、PI−88(硫酸化オリゴ糖)、メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、活性化プロテインC、IL1−βインヒビター、チモシンα−1、フマル酸およびそのエステル、カルシポトリオール、タカルシトール、ラパコール、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETPインヒビター、カドヘリン、サイトカインインヒビター、COX−2インヒビター、NFκB、アンジオペプチン(angiopeptin)、シプロフロキサシン、フルロブラスチン(fluroblastin)、筋肉細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、コルチシン、テトラ硝酸ペンタエリスリトールおよびシドノンイミン(sydnonimine)のようなNO供与体、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエート、トラニラスト、カメバカウリンおよびガンの治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼインヒビター(チロホスチン)、シクロスポリンA、6−α−ヒドロキシ−パクリタキセルのようなパクリタキセルおよびその誘導体、バッカチン、タキソテール、合成的に得られるならびに天然原料である亜酸化炭素の大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o−カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、クロロキンリン酸塩、ペニシラミン、ツムスタチン、アバスチン、D−24851、SC−58125、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、β−シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、アエシン、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA〜E、インダノシン、ノコダゾール、S100プロテイン、バシトラシン、ビトロネクチンレセプターアンタゴニスト、アゼラスチン、グアニジルシクラーゼ刺激剤、金属プロテイナーゼ−1および2の組織インヒビター、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノゲンアクチベータインヒビター1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFインヒビター、IGF−1;抗生物質(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォキシチン、トブラマイシン、ゲンタマイシン)、ペニシリン類(例えば、ジクロキサシリン、オキサシリン)、スルフォンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤(例えば、アルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン薬、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第X因子インヒビター抗体、インターロイキンインヒビター、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ)、血管拡張剤(例えば、ジピラミドール(dipyramidole)、トラピジル、ニトロプルシッド)、PDGFアンタゴニスト(例えば、トリアゾロピリミジンおよびセラミン)、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン)、チオプロテアーゼインヒビター、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシスインヒビター、アポトーシス調節剤(例えば、p65、NF−κBまたはBcl−xL)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB12、葉酸、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ボスウェリア酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、D24851、SC−58125、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミダロン、天然および合成ステロイド(例えば、ブリオフィリンA(bryophyllin A)、イノトジオール(inotodiol)、マキロサイドA(maquiroside A)、ガラキノサイド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(例えば、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン)、および他の抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジン)、抗真菌剤(例えば、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン)、抗原虫剤(例えば、クロロキン、メフロキン、キニーネ)、さらに天然テルペノイド(例えば、ヒポカエスクリン(hippocaesculin)、バリングトジェノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒドロアグロスチスタチン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケリン(agroskerin)、アグロスチスタチン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロスチスタチン(17-hydroxyagrostistachin)、オバトジオリド(ovatodiolid)、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoid)B1、B2、B3、およびB7、ツベイモサイド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、B、およびC、ブルセアンチノサイド(bruceantinoside)C、ヤダンジオサイド(yadanzioside)NおよびP、イソデオキシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、C、およびD、ウルソール酸、
ハイプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン、イソイリドジャーマナル(iso-iridogermanal)、マイテンフォリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エクシサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スクルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、ロイカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18−デヒドロ−6−α−セネシオイルオキシカパリン(13,18-dehydro-6-alpha-senecioyloxychaparrin)、タクサマイリン(taxamairin)AおよびB、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド(triptolide))、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アノプテリン、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、塩化ケリブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン、シノコクリン(sinococuline)、コンブレスタチン(combrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)A、クルクミン、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、塩化ニチジン(nitidine chloride)、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボール、ギンコール、ギンコール酸、ヘレナリン、インディシン、インディシン−N−オキシド、ラシオカルピン、グリコシド1α、ジャスティシジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロサイド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin)A、マイタンシン、ライコリディシン(lycoridicine)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−AII、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコサイド(periplocoside)A、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、プシコルビン(psycorubin)、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸(manwu wheat acid)、メチルソルビフォリン(methylsorbifolin)、スパセリア(spathelia)由来のクロモン、スチゾフィリン(stizophyllin)、アカゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバラエンシン(dihydrousambaraensine)、ヒドロキシウサムバリン(hydroxyusambarine)、ストリキノペンタミン(strychnopentamine)、ストリキノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambarensine)、ベルベリン、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ビスミオン(vismione)AおよびB、および硫黄含有アミノ酸(例えば、シスチン)の群からの活性薬剤ならびに上記活性薬剤の水和物、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ化合物、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、および上記活性薬剤の混合物。
【0081】
本発明の方法は、例えば、内部人工器官および特にステント(例えば、冠状動脈ステント、血管ステント、気管ステント、気管支ステント、尿道ステント、食道ステント、胆管ステント、腎臓ステント、小腸における使用のためのステント、大腸における使用のためのステント)のコーティングに適合する。さらに、ガイドワイヤー、らせん、カテーテル、カニューレ、チューブおよび一般的なチューブ状インプラント、または上記医療デバイスの一部は、ステントに匹敵する構造エレメントが、このような医療デバイスに含まれるならば本発明によりコーティングされ得る。拡張可能な医療デバイスまたは内部人工器官が用いられる限り、コーティングは、好ましくはそれぞれのデバイスの拡張状態の間に行われる。
【0082】
コーティングされた医療デバイスは、好ましくは任意の管状構造(例えば、尿路、食道、気管、胆管、腎管、脳を含む全身の血管、十二指腸、幽門(pilorus)、小腸および大腸)の開通性を維持するために用いられるが、結腸または気管に用いられるような人工的な開口部の開通性を維持するためにもまた用いられる。
【0083】
したがって、コーティングされた医療デバイスは、狭窄、再狭窄、動脈硬化、アテローム性動脈硬化および任意のその他のタイプの血管閉塞または管腔もしくは開口部の管閉塞の予防、軽減または治療に有用である。
【0084】
さらに、ポリマーBを含み、表面全体を被覆するコーティング層の長さは、内部人工器官の長さを超えることが好ましい。そのため、内部人工器官の端は、コーティング層の端と一致しない。殻の重なり部分は、内部人工器官の縁周りの外表面に置かれ、そしてこうして形成された縁は、加圧および昇温下で下部のポリマーB層に組み込まれる。したがって、内部人工器官の縁の連続するコーティングは確実にされ、同時に、これらの弱点である剥離の危険性を除去する。さらに、ハンドリングエレメントは、ステントがいつでも安全に取り除かれ得ることによって、縁の下に取り付けられ得る。したがって、ポリマー繊維は、折り曲げて円周上に配置され得る。ここで、繊維は、1または2の反対側にループの形態で、縁からポリマー層を通って外表面に突出する。
【0085】
別の可能性は、活性薬剤のための貯蔵所としてまたは活性薬剤の導入のための(特にこの辺縁部への)この辺縁部の使用でなる。これらの活性薬剤は、中空体の完全にコーティングされた表面内/表面上に存在する可能性のある活性薬剤と異なり得る。
【0086】
要約すると、驚くべきことに、内部人工器官(特にステント)だけではなく、他の生物安定性および生分解性のステント様の医療デバイスをもコーティングするための方法を見出したことを示し得、該方法は、先行技術の上記不利点を克服する。特に問題のある殻の剥離の危険性、管内で確実な固定を提供する困難性、縁での層の貫通の危険性および金属と管壁との間の接触(これは組織刺激の原因となる)は、本発明の方法により避けられ得る。そこで、ステントを囲んでいる殻は、ステントに可撓性を付与するだけではなく、医療デバイスに機械的な剛性を付与するために寄与する。その上、側面特異的な様式で活性薬剤、例えば、管壁中へ拡散し得る細胞増殖抑止剤、および医療デバイスの内表面での感染を予防する抗生物質を導入する可能性が存在する。さらに、それぞれの移植部位で生理学的条件への適応に関するさらなる最適化が、内表面および外表面に異なるコーティングを付与する可能性により達成され得る。
【0087】
さらなる添加剤(例えば、硫酸バリウムまたは貴金属のような物質)は、おそらく埋め込まれ、こうしてコーティングされた医療デバイスを、X線写真で造影することを可能にする。さらに、外表面および内表面は、上記のように、異なる材料で取り囲まれ得る。したがって、例えば、外表面に疎水性ポリマー殻を有し、一方、内表面が親水性ポリマーでなる医療デバイスが製造され得る。
【0088】
この方法は、医療デバイスに、添加剤を含むまたは含まない任意の生物安定性または生分解性のコーティング材料を、必要に応じて殻の形態で、付与する種々の可能性を提供する。
【0089】
医療製品から剥離を生じ得る問題は、ステントの内表面がWO2005/030086に記載されるように完全にコーティングされていないが、ポリマー皮が外表面に付与されていることで排除される。コーティングは外表面に付与されるが、ステントの内表面は、必要に応じて、滑らかで連続したポリマー層によって被覆され得る。一方、コーティングされた外表面はまた、どのような間隙も示さない連続したコーティング層を有する。表面構造の粗い領域は、ステントの支柱によって形成されたステントの場合、コーティング層の下に平らではない領域として残り、そしてそこから隆起されるが、コーティング層にどのような間隙も生じない。したがって、被覆が両側および表面全体に付与するという事実にもかかわらず、管内で確実な固定が保証される。
【0090】
記載された方法によって、一方では、コーティングの剥離がもはや起こり得ないことが達成される。なぜなら、コーティングがインプラントと共にユニットを形成するからである。他方では、コーティングされたステントの固定は、最も極端な条件下でさえ保証される。金属が組織と接触しないので、組織刺激は生じ得ない。
【0091】
したがって、インプラントは、その形状および材料に関係なく、連続した被覆が完全にまたは不完全に付与され得る。
【0092】
被覆は、インプラントの組み込まれた部分であることが重要であり、そのためこの方法により、どのような状況下でも、ポリマー層とステントとの間の分離またはステントからのポリマー層の剥離は起こらない。同時に、コーティングは、その可撓性に影響することなく、インプラントの機械的な剛性を付加し得る。
【0093】
表面全体をコーティングするための本発明の方法は、好ましくは、3つの別々の処理工程でなる。
【0094】
第1の工程では、インプラントの化合物のみ(隙間ではない)が、選択されたポリマーAを含む溶液の均一で薄い層でコーティングされる。このコーティング工程は、次のコーティング工程に重要であり、表面全体を被覆すると考えられる。
【0095】
ポリマーは、合成的にまたは天然から得られ得るか、あるいはまた、異なる生分解性および/または生物安定性ポリマーの混合物で構成され得る。時間制御放出により治療過程を促進するために適切な1つ以上の活性薬剤が混合され得る。適切な活性薬剤は、疾患によって選択され得る(例えば、抗炎症剤、細胞増殖抑止剤および細胞傷害剤、抗生物質、抗血栓剤、抗真菌剤、殺菌剤および上記の活性薬剤)。
【0096】
第2の工程では、ポリマーAでコーティングされたインプラントの表面またはインプラント部分が完全にコーティングされ、この第2の工程は、エレクトロスピニングまたはマイクロピペッティングによって、ディッピング工程として行われる。
【0097】
この目的のため、インプラントまたは医療デバイスは、指への指サックに類似しているが、それを置き換えることを防ぐ様式で、大きさおよび形状が適合した金型に配置される。また、それは、変形するほどきつく取り付けてはいけない。明らかに、ステンレス製のコーティングツールでなる材料の選択が重要である。なぜなら、ツールの材料特性は、例えば、溶液からの溶媒の蒸発に影響するからである。
【0098】
マイクロピペッティング工程およびエレクトロスピニング方法が適用される場合、ディッピング法とは違って、ポリマーBで医療デバイスの隣接しない部分の隙間を被覆する可能性が存在する。
【0099】
既に記載されている滑らかな表面の生成に加え、エレクトロスピニングはまた、内表面または/および外表面の構築を可能にし、そのためそれらは、インプラントまたは部分の隙間に、小さな網目状または粗い網目状のネットワークを形成する。
【0100】
ポリマーBでのコーティング工程は、それ自体、好ましくは2工程でなる。ツール上に載せたインプラントまたはコーティングされるインプラント部分を、最初に、純粋な溶媒またはコーティングとして付与されるポリマーの非常に希釈された溶液で湿潤させる。この目的のために、ディップコーティングが好ましい。このポリマーコーティングAは、金属製インプラントと金属製被覆ツールとの間の腐食バリアーとして働く。
【0101】
一方では、液体中に本体を浸漬する際に形成される気泡は除去され得;他方では、したがって、実際の粘性あるコーティング溶液の付着性が、ポリマーAの部分溶解によって増加される。
【0102】
ポリマーAでコーティングすることによって得られるインプラントとツールとの間の間隔は、第2のコーティング工程のために必須である。なぜなら、この間隔の存在のみのため、ポリマーBを含む被覆溶液が、毛細管効果によりインプラントの内表面に達し、そしてコーティングツールの表面を、ポリマーAで完全にコーティングされた隣接するインプラントエレメントの自由な空間に広げるからである。
【0103】
したがって、インプラントは、その内表面上に、要求される滑らかな平らな表面を得る。外表面には、インプラントのエレメントがポリマー層から隆起され、例えば、食道または気管に存在し得る極端な条件下でも、インプラントの確実な固定を提供する。
【0104】
さらに、この方法により、内表面のポリマー材料と異なるポリマー材料を含む外表面を提供し得る。したがって、内表面は、例えば、気管ステントの場合、さらに、親水性ポリマーで被覆され得る。これは、粘液の排出をさらに改良し得る。
【0105】
その上、適切な活性薬剤をコーティングに導入するさらなる可能性が存在し、外表面上の活性薬剤は、内表面に組み込まれる薬剤と異なり得る。
【0106】
インプラントの端により損傷が生じることを避けるために、さらなる工程が、端を完全にコーティングしなければならない医療デバイスの表面のために有利である。得られるコーティングは、インプラントの縁に沿って切断されるのではなく、突出部分が両端に残され、この突出部分は、この最終処理工程中にインプラントの縁に折り重ねられる。折り重ね部分は、圧力および熱の付与によって、下部の層に組み込まれる。切断縁は、もはや目に見えない。折り曲げられた縁および下部のコーティングは、もはや一方と他方と区別できないように組み合わされる。たったこれだけにより、コーティングが縁で剥離し得る危険性は除去される。別の利点は、より厚いコーティングが容易に損傷され得ないことでなる。これは、例えば、気管ステントが咳をする間にずれて、そのため、支柱の端が、より薄いコーティングを通って貫通し得る場合、いつでも起こり得る。結果として、気管の損傷は、コーティングされていない開口先端のため生じるが、同じことがまたコーティング内の弱点を示し、さらなる問題を引き起こし得る。こうして達成される高められた安全性に加えて、より厚い辺縁層はまた、例えば、インプラントを取り除くために必要な、エレメントの取り付けを可能にする。ここで、この層は、縁の周りに円周上に配置され得、したがって、デバイスにシールされ得る。活性薬剤は、この折り曲げられたコーティングの縁に同様に導入され得、次いで、この貯蔵所からゆっくりと放出される。
【0107】
例えば、ガルバーニ電気対(この電気対は、金属間で直接接触する場合に容易に生じ得る)が生じる危険性のない、より厚い縁およびコーティング全体に組み込まれ得る重金属塩または貴金属によって、X線写真処理での視認性を改良する可能性もある。
【0108】
したがって、本明細書に記載された方法は、本明細書に記載された公知の内部人工器官の問題を十分に克服することが示されている。この目的のため、インプラントの形状および材料、生体適合性コーティング材料および活性薬剤に関する種々の可能性は制限されず、第一に、患者に対して有用な組み合わせから生じる。
【0109】
したがって、現在まで、例えば、胆管ガンの制限のためのステントの使用は標準的処置ではない。しかし、ほんの10%の症例では、外科的除去が好結果である。このような患者の平均余命は1年である。この方法により完全にコーティングされ、胆管に適用するために適合させたインプラントの使用は、必要に応じて化学療法剤を含み得、一方では、内部人工器官が一定の反対の圧力を発揮して体内の管腔の狭窄を予防し、そして同時に、腫瘍の増殖を遅らせ得るかまたは停止さえさせ得る。したがって、高いまたは良好な生活の質を維持しながら、寿命を延長する治療を少なくとも提供する。
【0110】
さらに、本発明のコーティングはまた、血管系に使用され得る。動脈瘤の形成の場合、例えば、血液が供給され続けることによる動脈瘤の増大を防ぐ様式で用いられ得る。
【0111】
添付の実施例のように、このような医療デバイスは、組織工学の基礎として用い得る。エレクトロスピニングが、主要な方法の選択であると思われる。
【実施例】
【0112】
実施例1:スプレー処理によるステントのプレコーティング
ステントを回転子の棒に固定し、1%ポリウレタン溶液を、ピストルを上下にゆっくと動かすことによって、非常にゆっくりした回転速度でスプレーする。スプレー後、ステントはつや消しの灰色であり、そのため、視覚でスプレー制御が行われ得る。縁を正確にスプレーすることが特に重要であり、さらに円周上にスプレーすることにより確実にされ得る。次いで、ステントを乾燥させる。
【0113】
実施例2:ポリスルホンスプレー溶液:
176mgのPS(ポリエーテルスルホン、オデル(Odel(登録商標))、ソルベイ(Solvay)から入手)を量り取り、その20gまでクロロホルムを注ぎ足し(0.88%PS溶液)、そして実施例1のステントにスプレーする。
【0114】
実施例3:スプレーされたステントの表面全体のディップコーティングによるコーティング。
ポリウレタンをTHFに溶解し、14%溶液を得る。実施例1でプレコーティングされたステントを、適切な金型に注意深く載せる。
【0115】
金型に取り付けられたステントを含むツールを、気泡の上昇が見え得るまで、最初に先端を純粋なTHFに浸漬する。次いで、ステントを14%ポリウレタン溶液にゆっくり浸漬する。15秒後、芯をゆっくり取り出し、すぐに水平方向において、そしてPUがステントに均一に分布するように芯を回転し、そして乾燥させる。
【0116】
一旦、PUの作動を停止して、芯を換気フード下で乾燥させ、次いで、乾燥炉中で95℃にて45分間焼き戻す。冷却後、ツールからステントを取り外すために、温かい0.3%SDS溶液に浸漬する。流水下で精製し、0.5mNaOHですすいだ後、徹底的に流水下およびDI水下ですすぐ。
【0117】
実施例4:PU/テルグリドでスプレーされたステントの表面全体のディップコーティングによるコーティング
ディッピング溶液は、ポリマー中で30質量%のテルグリドでなり、次いで、THFで10%に希釈される。その後の手順は、実施例2に記載された通りである。
【0118】
実施例5:PU/シクロスポリンでスプレーされたステントの表面全体のディップコーティングによるコーティング
ディッピング溶液は、ポリマー中で30質量%のシクロスポリンAでなり、次いで、THFで10%の濃度に希釈される。その後の手順は、実施例2に記載された通りである。
【0119】
実施例6:スプレーコーティング方法によりパクリタキセルでコーティングされたステントの表面全体のコーティング
表面全体が実施例1および実施例2によりポリマーでコーティングされたステントを、薄い金属棒に水平に取り付けて回転および供給デバイスの回転軸に取り付け、10rpmで回転させる。ステントを、ステントの内表面が棒に接触しないように取り付ける。ステントを、2.2cmの供給幅、4cm/sの供給速度、および8cmのステントとノズルとの間の距離で、それぞれのスプレー溶液でスプレーする。次いで、室温(約15分)で一晩にわたり換気フード中で乾燥させた後、再度、ステントの重さを量る。
【0120】
スプレー溶液の調製:44mgのタキソールを6gのクロロホルムに溶解する。
【0121】
実施例7:PUで被覆されたステントの縁の折り重ね
ポリマー殻の突出している縁をエタノールで洗浄し、PUが共にくっつくことを防ぐ。次いで、PUの縁を、ステントの縁を円周上に折り重ねる。もはや折り目が見えなくなるまで、縁を平らにする。この工程中に、あまりにもきつく縁を折り重ねないことが重要である(王冠構造ではない)。なぜなら、そうでなければ、ステントの端がコーティングを貫通し得、穴を生じるからである。
【0122】
実施例8:活性薬剤の貯蔵所としての縁の使用
完全にコーティングされたステントの両端上のポリマー殻の重なっている縁を、実施例6に記載されるように後ろに折り曲げ、そしてファスジルの30質量%のエタノール/水(50:50、v:v)溶液の200μlで満たして平にする。次いで、工程が実施例6のように続き得るまで、わずかに乾燥させる。
【0123】
実施例9:ステントを取り出すためのハンドリングエレメントの取り付け
この目的のため、固いポリウレタン繊維を、実施例3でコーティングされた中空体の重なっているポリマーの縁のまわりに、円周上に取り付ける。そのため、繊維の最初と最後とが直線に沿って接続し、実施例7に記載されるように折り重ね後、ステントの端の直下で終わる。ループの形成のため、この繊維を、繊維の最初から90度の角度で針を用いて突出しているポリマー殻を通して導き、そして最初の穿刺から十分な距離で、外表面に戻る。そのため、ステントの長手方向軸に対して90度の角度を有し、および円の中心に向かって方向に合わせたハンドルが形成される。同様の手順を、繊維の最後が繊維の最初に着く前に、繊維の最初から270度の角度で行う。次いで、縁の折り重ねは、長手軸に垂直の位置からこれに平行な位置に2つのループの位置を変える。そのため、両部のポリマーのループは、コーティングされた中空体のループ形状の拡張とみなされ得る。実施例10に記載されるように折り曲げられた縁をシールすることによって、PU繊維は、しっかりと縁に組み込まれ得る。
【0124】
実施例10:折り重ねのシーリング
折り曲げられた縁を、圧力および熱の付与によりシールする。この目的のため、ステントを再び金型に取り付ける。シリコーンフォームストリップが詰められたそれぞれ1つのホースクランプを各ステントの端に置き、トルクレンチで締め付ける。次いで、ステントを、乾燥炉中に95℃で少なくとも4時間入れる。冷却後、クランプを外してステントを取り外し、実施例3のようにSDS浴中で湿潤させることにより、浄化し空気乾燥する。
【0125】
実施例11:完全なコーティングの管腔側の親水性コーティング
イソプロパノール、メチルエチルケトンおよびジアセトンアルコールの溶媒を1:2:1の容量比で混合し、PVP中で撹拌して35%溶液を得る。
【0126】
ステント(ポリマーでコーティングされた表面全体を有する)を、PVP溶液を、円錐体とステントとの間の空間に満たし得るように金属の円錐体に取り付ける。そのようにすることにおいて、内側のみがコーティングされるべきなので、溶液の液滴が、より上方の縁を流れ落ちないことが重要である。わずかの遅延の後、ステントを引き上げ、そして溶液を円錐体上から排出する。したがって、この溶液は、ステントから滴り落ちる。
【0127】
乾燥および架橋:乾燥炉での乾燥後、ステントをUVチャンバー内で垂直位置に置き、照明が上からステントに照らし得、500ワットの光でステントを照射し得る。次いで、架橋していない過剰のPVPを、水でステントを徹底的にすすぐことによって除去する。
【0128】
実施例12:ステントの部分コーティング(d=3mm)
溶液:3.2mgのPUを20mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解
スプレーコーティングされたステントを、滑らかな基材と完全に接するように、適切な自由に回転可能な金型に取り付ける。
【0129】
コーティングを少なくとも2層付与する。ここで、溶液は、刷毛によって吸収され、そして溶液で完全に被覆されるまでコーティングされる領域に塗布される。
【0130】
一旦、コーティングされるために選択された各領域を、所望のコーティングの厚みが達成されるまで満たされた後、ステントを90℃で乾燥させる。冷却後、ステントを金型から取り外す。
【0131】
実施例13:エレクトロスピニングによるポリエーテルスルホン繊維の小さな網目状ネットワークでのステント部分のコーティング
溶液:塩化メチレン中の20質量%ポリエーテルスルホン
溶液を、エレクトロスピニング装置のガラスピペットに充填する。12kVの電圧をかけ、そしてポリエーテルスルホン繊維を、3ml/時間の流速でコーティングされるべきステント部分に付与する。ここで、ステントまでの距離は25cmであり、ステントの支柱を次々とコーティングする。
【0132】
実施例14:界面重縮合によるステントの表面全体のコーティング
界面重縮合に用いられる金型を、ツールを安定かつ直立した様式で置き得るように、一端を先細りの円錐形および他端を平坦にした棒またはピンで構成する。そのため、細いワイヤーを、先細の端に取り付け、これはコーティング工程の全体を通じて上方に向けられ、ワイヤーが引き上げデバイスに接続されて、ステントが、垂直方向に上方に引き出され得る。
【0133】
ステントを、適切な金型に注意深く取り付け、反応容器の中心に置く。反応容器は、500mlのクロロホルム中に15mlのアジピン酸二塩化物の溶液を含む。金型を、下にある溶液によって完全に被覆しなければならない。引き上げデバイスに取り付けられた細いワイヤーのみが、容器から突き出ている。その後、600mLの水に22gのα,ω−1,6−ヘキサメチレンジアミンおよび40gの炭酸ナトリウムの混合物を含む溶液をゆっくりと上塗りする。ポリマー薄膜を界面領域に形成する。ステントを溶液からゆっくり規則正しく引き出す。そのため、こうして形成されたチューブがステントを取り囲み得る。コーティングが1cmだけステントの端に重なる場合、縮合反応を、上向きの動きの妨害によって停止する。このように包まれたステントを、次いで、50%エタノールですすぎ、徹底的に水で洗浄し、そして乾燥炉中で30℃にて乾燥させる。
【0134】
実施例15:ステント表面に血液適合特性を与えるヘパリン誘導体を有するステントの共有結合コーティング
医療用ステンレス鋼LVM316でなる非拡張ステントを、アセトンおよびエタノールを含む超音波浴中でグリースを除去し、そして乾燥炉中で100℃にて乾燥させた。次いで、それらを、エタノール/水混合溶液(50:50(v/v))中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの2%溶液に5分間浸漬し、そして100℃で乾燥させた。次いで、ステントを純水で洗浄した。
【0135】
3mgの脱スルホン化および再アセチル化ヘパリンを、4℃で30mlの0.1MのMES緩衝液(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)pH4.75に溶解し、そして30mgのN−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メチル−p−トルエンスルホネートと混合した。ステントをこの溶液中で、4℃で15時間撹拌した。次いで、それらを水、4MのNaCl溶液および水で、それぞれ2時間すすいだ。
【0136】
実施例16:イレオストミーとしての使用のためのシリコーン殻を有するステントのディップコーティング
適切な金型に取り付けられたステントを、N−メチルピロリドンに溶解したシリコーン−ブロックポリマー(Gelest Sibrid(登録商標))の市販されている溶液を用いて、実施例2に従ってコーティングする。次いで、溶媒を乾燥炉中で75℃にて完全に除去し、そしてコーティングされたステントを温水を用いて、ツールから注意深く取り外す。重なっている縁を、実施例2および3に記載されるように、エタノールおよびTHFで湿潤させることによって折り曲げ、そしてステントに接続する。
【0137】
実施例17:シリコーン殻を有するステントのコーティング
実施例1に従ってコーティングしたステントを、適切な金型に取り付け、そしてアセトキシ架橋システム(例えば、NuSilから入手のMED1−6604;MED−6605またはMED6−6606)に従って重縮合するシリコーンプレポリマー分散液でスプレーコーティングする。その前に、分散液を、適切な溶媒(例えば、n−ヘキサン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、エーテル)によって、スプレーコーティングに適切な濃度(溶媒中に、約1〜2質量%ポリジメチルシロキサンプレポリマー)に希釈する。スプレーコーティング工程の後、ステントを室温および少なくとも30%の相対空気湿度で乾燥させる。一方、プレポリマーの重縮合は、低分子の炭酸のそれぞれの分離によって起こり、したがって、シリコーン殻を形成する。
【0138】
一旦、乾燥工程が完了すると、シリコーンでコーティングされたステントを、少量の水で金型から取り外し、次いで、水のpHになるまで水で洗浄する。
【0139】
実施例18:PBS緩衝液中での活性薬剤を充填されたステントの溶出挙動の決定
ステントの大きさに依存して、PBS緩衝液を、ステントを含む小さな容器に、ステントがPBSで完全に覆われるまで、十分に注ぐ。その後、容器をパラフィルムで閉じ、そして乾燥炉中で37℃にてインキュベートする。選択された時間間隔終了後、上清をピペットで取り出し、そのUV吸収を306nmで測定する。
【0140】
実施例19:生分解性ポリマーを有するステントの表面全体のディップコーティング
実施例1に従ってスプレーコーティングされたステントを金型に取り付け、15質量%ポリラクチド−クロロホルムディッピング溶液に入れ、そして実施例3に記載されるようにコーティングする。次いで、ステントを空気中、室温で乾燥させ、アセトンで湿潤させることによって金型から取り外す。
【0141】
実施例20:生分解性ポリマーおよび活性薬剤を有するステントの表面全体のスプレーコーティング
実施例1に従ってスプレーコーティングされたステントを金型に取り付け、全ての側から、ラパマイシンポリラクチドグリコリド溶液を均一にスプレーし、空気中で室温で乾燥させる。この工程を少なくとも2回繰り返す。次いで、完全にコーティングされたステントを金型から取り外す。
【0142】
スプレー溶液:22mgのPLGAおよび22mgのラパマイシンを量り取り、そして5gまでクロロホルムを注ぎ足す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状または網目状の内部人工器官の表面全体をコーティングするための方法であって、第1のコーティング工程として、該格子状または網目状構造を形成する該内部人工器官の支柱が、完全にまたは部分的にポリマーコーティングで被覆される工程、および第2のコーティング工程として、該格子状または網目状構造を形成する該支柱間に配置された隙間の少なくとも一部分の表面全体が、ポリマーコーティングでコーティングされる工程を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の格子状または網目状の内部人工器官の表面全体をコーティングするための方法であって、
a)格子または網目を形成する支柱間に隙間を有する不連続表面を有する格子状または網目状の内部人工器官を提供する工程、
b)該支柱をポリマーAで、少なくとも部分的にコーティングする工程、
c)該ポリマーAでコーティングされた該内部人工器官の表面を、有機溶媒で湿潤させる工程、
d)該格子状または網目状構造を形成する該支柱間の隙間の少なくとも一部分の表面全体を、ポリマーBのポリマーコーティングでコーティングする工程、
を包含する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の格子状または網目状の内部人工器官の表面全体をコーティングするための方法であって、
a)不連続表面を有し、そして個々の支柱間に隙間を有する内表面および外表面を有する支柱を含む格子状または網目状の内部人工器官を提供する工程、
b)該支柱の該内表面および該外表面をポリマーAで、少なくとも部分的にコーティングする工程、
c)該ポリマーAでコーティングされた該内部人工器官の表面を、有機溶媒で湿潤させる工程、
d)該内表面および/または該外表面ならびに該支柱間の隙間の少なくとも一部分の表面全体を、ポリマーBのポリマーコーティングでコーティングする工程、
を包含する、方法。
【請求項4】
前記コーティング工程b)が、スプレーコーティングまたはエレクトロスピニングによって行われる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記支柱間の隙間が、前記コーティング工程b)において、ポリマー層で被覆されない、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記工程c)の湿潤が、ディップコーティングまたはスプレーコーティングによって行われる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
前記工程c)の湿潤に用いられる前記有機溶媒が、前記工程d)の溶液中の前記ポリマーBの濃度よりも低い濃度で該ポリマーBを含む、請求項2から6のいずれかの項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーAおよび/または前記ポリマーBが、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートのようなポリアクリル酸およびポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンハライド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアレーン、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィンエラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸エステル、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテート、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテートコポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリシロキサンのようなシリコーン、ポリビニルハロゲンおよびコポリマー、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサン、キトサン誘導体、アマニ油のような重合可能な油剤、およびコポリマーおよび/またはこれらの混合物を含む群から選択される、請求項1から7のいずれかの項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーAおよび/または前記ポリマーBが、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドとポリグリコリドとのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸エステル、ポリヒドロキシブチレート−コ−吉草酸エステル、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水マレイン酸のようなポリ無水物、ポリヒドロキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、オリゴカプロラクトンジオールとオリゴジオキサノンジオールとからのようなマルチブロックポリマー、PEGとポリ(ブチレンテレフタレート)とからのようなポリエーテルエステルマルチブロックポリマー、ポリピボトラクトン(polypivotolactone)、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトングリコリド、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイド、ソフトポリウレタン、骨格中にアミノ酸残基を有するポリウレタン、ポリエチレンオキサイドのようなポリエーテルエステル、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステルおよびこれらのコポリマー、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質をベースとするポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、改変されたゼイン、ポリヒドロキシアルカノエート、ペクチン酸、アクチン酸、改変および未改変のフィブリンおよびカゼイン、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、さらにヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、およびPEGとポリプロピレングリコールとのコポリマー、アラビアゴム、グアーゴム、ゼラチン、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、上記の物質の改変体およびコポリマーおよび/または混合物を含む群から選択される、請求項1から7のいずれかの項に記載の方法。
【請求項10】
前記内部人工器官の表面が、ディップコーティング、エレクトロスピニングおよび/またはマイクロピペッティングによって、ポリマーコーティングで完全に被覆される、請求項1から9のいずれかの項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの抗増殖剤、抗転移剤、抗血管新生剤、抗炎症剤、消炎剤、細胞増殖抑止剤、細胞傷害剤および/または抗血栓剤が、前記ポリマーA層の下、中、および/または上に、および/または前記ポリマーB層の下、中、および/または上に、あるいは該両層の一部に塗布および/または組み込まれる、請求項1から10のいずれかの項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗増殖剤、抗転移剤、抗血管新生剤、抗炎症剤、消炎剤、細胞増殖抑止剤、細胞傷害剤および/または抗血栓剤が、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ピメクロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、ダウナイマイシン(daunaimycin)、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、ホリマイシン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4−ヒドロキシオキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、8−α−エルゴリン、ジメチルエルゴリン、アグロクラビン、1−アリルリスリド、1−アリルテルグリド、ブロムエルグリド(bromerguride)、ブロモクリプチン、エリモクラビン(elymoclavine)、エルゴクリスチン、エルゴクリスチニン、エルゴコルニン、エルゴコルニニン(ergocorninine)、エルゴクリプチン、エルゴクリプチニン、エルゴメトリン、エルゴノビン、エルゴシン、エルゴシニン(ergosinine)、エルゴメトリニン、エルゴタミン、エルゴタミニン、エルゴバリン、レルゴトリル、リスリド、リゼルゴール、リゼルギン酸、リゼルギン酸アミド、リゼルギン酸ジエチルアミド、イソリゼルギン酸、イソリゼルギン酸アミド、イソリゼルギン酸ジエチルアミド、メスレルギン(mesulergine)、メテルゴリン、メテルギン、メチルエルゴメトリン、メチセルジド、ペルゴリド、プロテルグリドおよびテルグリド、セレコキシブ、サリドマイド、ファスジル(登録商標)、シクロスポリン、SMC増殖インヒビター−2ω、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、PI−88(硫酸化オリゴ糖)、メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、活性化プロテインC、IL1−βインヒビター、チモシンα−1、フマル酸およびそのエステル、カルシポトリオール、タカルシトール、ラパコール、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETPインヒビター、カドヘリン、サイトカインインヒビター、COX−2インヒビター、NFκB、アンジオペプチン(angiopeptin)、シプロフロキサシン、フルロブラスチン(fluroblastin)、筋肉細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、コルチシン、テトラ硝酸ペンタエリスリトールおよびシドノンイミン(sydnonimine)のようなNO供与体、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエート、トラニラスト、カメバカウリンおよびガンの治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼインヒビター(チロホスチン)、シクロスポリンA、6−α−ヒドロキシ−パクリタキセルのようなパクリタキセルおよびその誘導体、バッカチン、タキソテール、合成的に得られるならびに天然原料である亜酸化炭素の大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o−カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、クロロキンリン酸塩、ペニシラミン、ツムスタチン、アバスチン、D−24851、SC−58125、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β−シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、アエシン、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA〜E、インダノシン、ノコダゾール、S100プロテイン、バシトラシン、ビトロネクチンレセプターアンタゴニスト、アゼラスチン、グアニジルシクラーゼ刺激剤、金属プロテイナーゼ−1および2の組織インヒビター、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノゲンアクチベータインヒビター1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFインヒビター、IGF−1;抗生物質(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォキシチン、トブラマイシン、ゲンタマイシン)、ペニシリン類(例えば、ジクロキサシリン、オキサシリン)、スルフォンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤(例えば、アルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン薬、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第X因子インヒビター抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ)、血管拡張剤(例えば、ジピラミドール(dipyramidole)、トラピジル(登録商標)、ニトロプルシッド)、PDGFアンタゴニスト(例えば、トリアゾロピリミジンおよびセラミン)、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン)、チオプロテアーゼインヒビター、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシスインヒビター、アポトーシス調節剤(例えば、p65、NF−κBまたはBcl−xLのアンチセンスオリゴヌクレオチド)、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB12、葉酸、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ボスウェリア酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、D24851、SC−58125、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミドロン(amidorone)、天然および合成ステロイド(例えば、ブリオフィリンA(bryophyllin A)、イノトジオール(inotodiol)、マキロサイドA(maquiroside A)、ガラキノサイド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(例えば、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン)、および他の抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジン)、抗真菌剤(例えば、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン)、抗原虫剤(例えば、クロロキン、メフロキン、キニーネ)、さらに天然テルペノイド(例えば、ヒポカエスクリン(hippocaesculin)、バリングトジェノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒドロアグロスチスタチン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケリン(agroskerin)、アグロスチスタチン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロスチスタチン(17-hydroxyagrostistachin)、オバトジオリド(ovatodiolid)、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoid)B1、B2、B3、およびB7、ツベイモサイド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、B、およびC、ブルセアンチノサイド(bruceantinoside)C、ヤダンジオサイド(yadanzioside)NおよびP、イソデオキシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、C、およびD、ウルソール酸、ハイプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン、イソイリドジャーマナル(iso-iridogermanal)、マイテンフォリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エクシサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スクルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、ロイカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18−デヒドロ−6−α−セネシオイルオキシカパリン(13,18-dehydro-6-alpha-senecioyloxychaparrin)、タクサマイリン(taxamairin)AおよびB、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド(triptolide))、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アミノプテリン、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、塩化ケリブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン、シノコクリン(sinococuline)、コンブレスタチン(combrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)A、クルクミン、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、
塩化ニチジン(nitidine chloride)、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボール、ギンコール、ギンコール酸、ヘレナリン、インディシン、インディシン−N−オキシド、ラシオカルピン、グリコシド1α、ジャスティシジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロサイド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin)A、マイタンシン、ライコリディシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−AII、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコサイド(periplocoside)A、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、プシコルビン(psycorubin)、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸(manwu wheat acid)、メチルソルビフォリン(methylsorbifolin)、スパセリア(spathelia)由来のクロモン、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、アカゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバラエンシン(dihydrousambaraensine)、ヒドロキシウサムバリン(hydroxyusambarine)、ストリキノペンタミン(strychnopentamine)、ストリキノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambarensine)、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ビスミオン(vismione)AおよびB、および硫黄含有アミノ酸(例えば、シスチン)の群からの活性薬剤、ならびに上記活性薬剤の塩、水和物、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ化合物、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、および上記活性薬剤の混合物を含む群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングされる内部人工器官が、管状、らせん状および/または網目構造を有する、請求項1から12のいずれかの項に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングされる内部人工器官が、ステント、冠状動脈ステント、血管ステント、気管ステント、気管支ステント、尿道ステント、食道ステント、胆管ステント、腎臓ステント、小腸における使用のためのステント、大腸における使用のためのステント、喉頭インプラント、バイパス、カテーテルまたはイレオストミーである、請求項1から12のいずれかの項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかの項に記載の方法で得られ得る内部人工器官。
【請求項16】
狭窄、再狭窄、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、血管閉塞、血管収縮、動脈瘤の予防、軽減または治療、および人工的な開口部およびアクセスのために適切な、請求項15に記載の内部人工器官。

【公表番号】特表2008−539832(P2008−539832A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509301(P2008−509301)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000766
【国際公開番号】WO2006/116989
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(504150209)ヘモテック アーゲー (12)
【氏名又は名称原語表記】Hemoteq AG
【Fターム(参考)】