説明

血管位置取得装置および血管位置取得方法

【課題】使用環境に関わらず血管領域が鮮明に撮像された近赤外画像を取得することが可能な血管位置取得装置および血管位置取得方法を提供する。
【解決手段】血管位置取得装置100は、生体を撮影する際の撮影条件を設定する撮影条件設定部101と、撮影条件に基づいて近赤外光が照射された生体からの反射光または透過光を撮影し近赤外光画像を生成する画像撮影部102と、近赤外光画像内の血管像を血管領域として抽出する血管領域抽出部103と、血管領域に基づいて血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、血管領域を評価するための血管評価値を算出する血管評価値算出部104と、血管評価算出部104において算出された血管評価値に基づいて最適撮影条件を決定する撮影条件決定部105とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて生体情報を取得する装置の技術に関するものであり、特に、生体の血管位置を画像で取得する血管位置取得装置および血管位置取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の血管位置を画像で取得する装置として、近赤外光を用いたものがある。これは、血液中のヘモグロビンが近赤外光を吸収する性質を利用したものであり、生体に近赤外波長の光を照射し、生体からの反射光もしくは透過光を近赤外感度の高い白黒CCDカメラで撮像している。撮像した画像においては、血管が存在する領域だけ反射もしくは透過が少なくなり、画像上で暗く映し出される。従って、暗く映し出された領域を画像処理により抽出することで血管領域を特定することができる。
【0003】
また、このような近赤外光による血管位置取得方式においては、撮影用の近赤外光以外の光、すなわち、外光が、撮影される画像の品質に多大な影響を与え、外光により血管領域が暗く映し出されなくなるため、使用環境に応じて撮影条件の最適化を行う必要がある。これは、一般的に撮影画像内の特定の領域から特徴量を求め、求めた特徴量に基づいて撮影条件を決定する手法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図10は、特許文献1で開示された環境の変化があっても、それに影響されることなく、常に静脈パターンを鮮明に撮影する撮影方式の処理(指を撮影した指画像において行う処理)の内容を示すフローチャートである。まず指の輪郭を抽出し、指の内側の領域を確定する(ステップS600)。そして、ステップS616に進み、ステップS616から始まる光量調整モードでは、撮像画像が最適になるよう光源出力を調整する。まず、点灯している光源と反対側の指の領域の平均輝度が目標範囲内であるかチェックし(ステップS616)、目標範囲より低ければ(ステップS618)、光量を上げる(ステップS620)。目標範囲より高ければ、さらに光量を下げられるかチェックし(ステップS622)、下げられるようならば下げる(ステップS624)。ところが、光源の光量を最低出力としてもなお白飛びが見られる。より具体的には、指の輪郭線付近に集中的に飽和輝度の画素が見られる場合には、感度調整モードに遷移して、次にさらにカメラの感度を下げる(ステップS610)。カメラ感度調整モードでは、光量調整モードと同様に点灯している光源と反対側の指領域の平均輝度が目標範囲内であるかチェックし(ステップS606)、目標範囲より高ければ(ステップS608)、カメラの感度を下げる(ステップS610)。目標範囲より低ければ、さらに感度を上げられるかチェックし(ステップS612)、上げられるようならば上げる(ステップS614)。カメラの感度を設定しうる最高値に設定してなお目標値に達しないならば、感度調整では撮像に限界があるので、光源の光量を上げて(ステップS620)、光量調整モードに遷移する。ここで、上記フローでは、カメラの感度調節範囲に上限を設け、上限を超える場合、光量調節に遷移するようにしている。以上を繰り返し、指の明るさが目標範囲内となった時点で、画質制御を終了する(ステップS626)、ことで、外光の強度によらずに最適な画質で指を撮像することができる。
【特許文献1】特開2006−155575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の血管位置取得装置では、指領域の平均輝度値を評価値として用いており、目的とする血管の特徴、すなわち、撮影画像における血管領域が暗く映し出される特徴が評価値に反映されていないため、撮影画像内の血管領域がどのくらい鮮明に映っているかの評価を行うことができず、血管領域が暗く映し出され最もよく現れている最適な画像を確実に得ているとはいえない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、使用環境に関わらず血管領域が鮮明に撮像された近赤外光画像を取得することが可能な血管位置取得装置および血管位置取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る血管位置取得装置は、撮影条件設定手段と、画像撮影手段と、血管領域抽出手段と、血管評価値算出手段と、撮影条件決定手段とを備えている。撮影条件設定手段は、生体を撮影する際の撮影条件を設定する。画像撮影手段は、撮影条件に基づいて近赤外光が照射された生体からの反射光または透過光を撮影し近赤外光画像を生成する。血管領域抽出手段は、近赤外光画像内の血管像を血管領域として抽出する。血管評価値算出手段は、血管領域に基づいて血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、血管領域を評価するための血管評価値を算出する。撮影条件決定手段は、血管評価算出手段において算出された血管評価値に基づいて最適撮影条件を決定する。
【0008】
ここでは、血管評価値算出手段が、例えば、周辺領域とのコントラスト差を表すような血管領域を評価するための血管評価値を算出し、撮影条件決定手段が血管評価値に基づいて撮影条件を決定している。
【0009】
なお、血管評価値は、例えば、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算したり、皮膚評価画素の輝度値と血管評価画素の輝度値との比を求めたりすることによって算出される。
【0010】
従来、近赤外光を用いて血管位置を取得する装置においては、近赤外光以外の光、すなわち、外光に影響されることなく血管位置を取得するための方法として、指領域の平均輝度を算出し、これに基づいて撮影条件を調整していた。ところが、撮像画像中における指部分全体は最適画質に調整されるものの、抽出対象となる血管部分を最も効果的に抽出できるように撮像されているとは限らない。
【0011】
そこで、本発明の血管位置取得装置においては、血管評価値算出手段が、血管領域に基づいて血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、皮膚評価画素の輝度値および血管評価画素の輝度値に基づいて血管領域を評価するための血管評価値を算出している。そして、撮影条件決定手段が、血管評価算出手段において算出された血管評価値に基づいて撮影条件を決定している。
【0012】
これにより、血管評価画素における輝度値と皮膚評価画素における輝度値との関係から近赤外光画像において血管領域を最も鮮明に撮像することができる撮影条件を決定する血管評価値を算出することができる。
この結果、撮影条件を血管評価値に基づいて決定することができるので使用環境に関わらず血管領域が鮮明に撮像された近赤外光画像を取得することが可能となる。
【0013】
第2の発明に係る血管位置取得装置は、第1の発明に係る血管位置取得装置であって、血管評価値算出手段は、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することによって血管評価値を算出する。
【0014】
ここでは、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することによって血管評価値を算出している。
これにより、血管領域と周辺領域とのコントラスト差の程度を反映した評価値を算出することが可能となる。この結果、血管領域が周辺領域に比べて最も暗く映し出される撮影条件を決定することができる。
【0015】
第3の発明に係る血管位置取得装置は、第1または第2の発明に係る血管位置取得装置であって、血管評価値算出手段は、複数の撮影条件において血管評価値を算出し、撮影条件決定手段は、血管評価値が最大の時の撮影条件を最適撮影条件として決定する。
【0016】
ここでは、複数の撮影条件において血管評価値を算出し、その中で血管評価値が最大となる時の撮影条件を最適撮影条件として決定している。
これにより、血管領域を最も鮮明に撮像することができる撮影条件を決定することが可能となる。
【0017】
第4の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、血管評価値算出手段は、血管評価画素算出手段と、皮膚評価画素算出手段と、評価値算出手段とを有している。血管評価画素算出手段は、血管領域の幅方向において中心となる画素を血管評価画素とする。皮膚評価画素算出手段は、血管領域の輪郭画素を幅方向において外側に所定の画素膨張させ、膨張させた画素を皮膚評価画素とする。評価値算出手段は、血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、注目範囲に存在する血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、近赤外光画像における全ての血管評価画素位置においてそれぞれ求め、差分値を全て足し合わせることで血管評価値を算出する。
【0018】
ここでは、血管評価画素算出手段が、血管領域の幅方向において中心となる画素を血管評価画素として抽出し、皮膚評価画素算出手段が、血管領域の輪郭画素を幅方向において外側に所定の画素、言い換えれば、所定の層分膨張させ、膨張させた画素を皮膚評価画素としている。そして、評価値算出手段が、血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、注目範囲に存在する血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、近赤外光画像における全ての血管評価画素位置においてそれぞれ求め、算出した差分値を全て足し合わせることで血管評価値を算出している。
【0019】
なお、ここでいう「血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲」における「中心」には、重心の場合も含まれる。
これにより、画像撮影手段によって生成された近赤外光画像に撮像された血管領域全体に対して血管評価値を算出することができるので、血管領域全体をより最適に撮影することが可能となる。
【0020】
第5の発明に係る血管位置取得装置は、第4の発明に係る血管位置取得装置であって、皮膚代表値は、注目範囲に存在する皮膚評価画素の輝度値の平均値とし、血管代表値は、注目範囲の中心に位置する血管評価画素の輝度値、または、注目範囲内に存在する血管評価画素の輝度値の平均値とする。
【0021】
ここでは、皮膚代表値および血管代表値を、注目範囲に存在する皮膚評価画素あるいは血管評価画素の輝度値を用いて算出している。
これにより、注目範囲に含まれる複数の画素情報の代表値を容易に算出することができる。
【0022】
第6の発明に係る血管位置取得装置は、第4または第5の発明に係る血管位置取得装置であって、皮膚評価画素算出手段は、膨張させたそれぞれの皮膚評価画素に対して、膨張させた回数を血管領域からの距離として対応づけて記憶し、評価値算出手段は、注目範囲に存在する皮膚評価画素のうち、注目範囲に存在する血管像の太さの半径と等しい血管領域からの距離を持つ皮膚評価画素のみ用いて皮膚代表値を求める。
【0023】
ここでは、皮膚評価画素算出手段が、例えば、輪郭画素を幅方向において外側に1画素膨張させた場合、その画素に対して「1」、2画素膨張させた場合、その画素に対して「2」を、血管領域からの距離として記憶する。そして、評価値算出手段は、注目範囲に存在する血管像の太さの半径と等しい血管領域からの距離を持つ皮膚評価画素、例えば、上記「1」を記憶した画素のみ用いて皮膚代表値を求める。
【0024】
これにより、近赤外光画像内において血管像の太さが変化しても、血管評価画素と血管の輪郭までが狭い細い血管では、血管の輪郭に近い皮膚評価画素を、血管評価画素と血管の輪郭までが広い太い血管では、血管の輪郭から遠い皮膚評価画素を自動的に選択することができるので、血管像の太さによらずに同条件で評価値を算出することができる。
【0025】
第7の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第6の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、皮膚評価画素算出手段は、近赤外光画像において最大径を持つ血管像の半径と等しい回数分、血管領域を膨張させる。
【0026】
ここでは、皮膚評価画素算出手段が、近赤外光画像において最大径を持つ血管像の半径と等しい回数分、血管領域を膨張させている。
これにより、近赤外光画像中の血管像の太さが異なっていても、血管像の太さに応じた皮膚評価画素を確実に選択できる。
【0027】
第8の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第7の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、注目範囲は、近赤外光画像において最大径を持つ血管像の太さの直径と、血管領域を1画素分ずつ膨張させた回数とに基づいて1辺の画素数を設定した正方形形状とし、注目範囲には、血管評価画素と皮膚評価画素とが必ず含まれる。
【0028】
ここでは、注目範囲の1辺の画素長について、近赤外光画像おける最大径の血管像の直径と血管領域を膨張させる回数とに基づいて、例えば、最大血管径+膨張回数×2として算出する。
これにより、注目範囲に、無駄なく血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素を含むことができる。
【0029】
第9の発明に係る血管位置取得装置は、第8の発明に係る血管位置取得装置であって、注目範囲における血管像の太さの半径は、注目範囲に存在する血管領域の画素数を注目範囲の1辺の画素数で除して設定する。
【0030】
ここでは、血管像の太さの半径について、注目範囲内に存在する血管領域の画素数を注目範囲の1辺の画素数で除して設定している。
これにより、血管像の太さの半径を容易に算出することが可能となる。
【0031】
第10の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第9の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、評価値算出手段は、注目範囲の血管像が分岐している場合、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。
【0032】
ここでは、上記条件の場合、評価値算出手段は、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。また、評価値算出手段は、注目範囲の血管像が分岐している場合には、あらかじめその注目範囲での差分値の算出を行わないようにしてもよい。
【0033】
ここで、血管が分岐している箇所では、血管が近接しているため意図する皮膚評価画素が得られないという問題がある。
これにより、上記問題のある注目範囲における差分値を除外することができるので、血管評価値の精度を高めることが可能となる。また、差分値の算出を行わないようにすれば効率よく血管評価値の算出を行うことが可能となる。
【0034】
第11の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第10の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、評価値算出手段は、注目範囲の血管評価画素の画素数が所定値、または、注目範囲の中心に位置する血管評価画素に連結する血管評価画素の画素数と異なる場合、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。
【0035】
ここでは、上記条件の場合、評価値算出手段は、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。また、評価値算出手段は、上記条件の場合には、あらかじめその注目範囲での差分値の算出を行わないようにしてもよい。
【0036】
なお、上記所定値は、例えば、注目範囲内に血管が1本走っていた場合、注目範囲の1辺の画素長を設定してもよい。これは、血管評価値の画素数は、注目範囲の1辺の画素長と等しくなるためであり、このように設定しておけば1本の血管であることを簡単に判定することができる。
【0037】
ここで、注目範囲を広く設定した場合、注目範囲に細い血管が複数含まれることが起こり、この場合も、血管が近接しているため意図する皮膚評価画素が得られないという問題がある。
【0038】
これにより、上記問題のある注目範囲における差分値を除外することができるので、血管評価値の精度を高めることが可能となる。また、差分値の算出を行わないようにすれば効率よく血管評価値の算出を行うことが可能となる。
【0039】
第12の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第11の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、評価値算出手段は、注目範囲の皮膚評価画素の画素数が所定値よりも少ない場合、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。
【0040】
ここでは、上記条件の場合、評価値算出手段は、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。また、評価値算出手段は、上記条件の場合には、あらかじめその注目範囲での差分値の算出を行わないようにしてもよい。
【0041】
ここで、血管が斜め方向に走行していたり、血管の太さが想定していたよりも太い場合、血管評価画素に対応する皮膚評価画素が注目範囲に含まれないことが起こる。そして、皮膚評価画素が少ない場合には、精度よく皮膚代表値を求めることができないという問題がある。
【0042】
これにより、上記問題のある注目範囲における差分値を除外することができるので、血管評価値の精度を高めることが可能となる。また、差分値の算出を行わないようにすれば効率よく血管評価値の算出を行うことが可能となる。
【0043】
第13の発明に係る血管位置取得装置は、第4から第12の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、評価値算出手段は、注目範囲における差分値が所定値よりも小さい場合、差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。
【0044】
ここでは、上記条件の場合、評価値算出手段は、注目範囲において算出される差分値を血管評価値を算出する際の要素から除外する。また、評価値算出手段は、上記条件の場合には、あらかじめその注目範囲での差分値の算出を行わないようにしてもよい。
【0045】
ここで、差分値が小さいものはノイズとして扱い、上記差分値を破棄することで血管評価値の精度を向上させることができる。この際用いる所定値は、例えば、想定される近赤外光画像における血管領域とその周辺の皮膚領域の輝度値の差に基づいて、差が大きいと想定される場合は大きめの値を、差が小さいと想定される場合は小さめの値を設定することができる。
これにより、上記問題のある注目範囲における差分値を除外することができるので、血管評価値の精度を高めることが可能となる。
【0046】
第14の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、血管評価値算出手段は、近赤外光画像における中央付近に限定した評価範囲を対象に血管評価値を算出する。
【0047】
ここでは、血管評価値算出手段が、近赤外光画像における中央付近に限定し、血管評価値を算出する。
これにより、近赤外光が良く当たっている中央の画素領域でのみ血管評価値を算出することができるので、血管評価値の精度を高めることが可能となる。また、対象範囲を絞ることで血管評価値を算出するための演算量を減らすことができる。
【0048】
第15の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、画像撮影手段において撮影した近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成する縮小画像作成手段をさらに備えており、血管領域抽出手段は、縮小近赤外光画像に対して血管領域を抽出し、血管評価値算出手段は、縮小近赤外光画像に対して血管評価値を算出する。
【0049】
ここでは、縮小画像作成手段が、近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成し、血管領域抽出手段および血管評価値算出手段は、上記縮小した近赤外光画像に対して各種処理を実行する。
これにより、演算を行う対象画素を減らすことができるので血管評価値を算出するための演算量を大幅に減らすことが可能となる。
【0050】
第16の発明に係る血管位置取得装置は、第15の発明に係る血管位置取得装置であって、縮小画像作成手段は、近赤外光画像において最大径を持つ血管像の太さの直径が一定になるように倍率を決定し、近赤外光画像を縮小する。
【0051】
ここでは、縮小画像作成手段は、近赤外光画像において最大径を持つ血管像の太さの直径が一定になるように倍率を決定し、近赤外光画像を縮小する。
これにより、撮影対象の変更等によりカメラと生体との距離が変化し、近赤外光画像内の対象物の大きさが変わって血管径が変化しても、縮小近赤外光画像においては、血管径を常に一定にすることができるため、血管評価値を算出する際に用いる多種のパラメータを個別に修正する手間を省くことができる。
【0052】
第17の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第16の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、生体に照射する近赤外光の光量とする。
ここでは、生体に照射する近赤外光の光量を調節し、撮影条件を設定している。
これにより、血管評価値に基づいて容易に撮影条件を変えることが可能となる。
【0053】
第18の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第16の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、生体に照射する近赤外光の波長とする。
【0054】
ここでは、血管への吸光率や生体への透過率に影響を及ぼす生体に照射する光の波長を調節し、撮影条件を設定している。
これにより、血管評価値に基づいて容易に撮影条件を変えることが可能となる。
【0055】
第19の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第16の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、特定の波長のみ通過させる光学フィルタの通過帯域とする。
【0056】
ここでは、外光の影響を低減するために用いられ、特定の波長のみ通過させる光学フィルタの通過帯域を調節し、撮影条件を設定している。
これにより、血管評価値に基づいて容易に撮影条件を変えることが可能となる。
【0057】
第20の発明に係る血管位置取得装置は、第1から第16の発明のいずれか1つに係る血管位置取得装置であって、撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、生体を撮影する画像撮影手段の絞り値とする。
【0058】
ここでは、生体を撮影する、例えば、CCDカメラのレンズの絞り値を調節し、撮影条件を設定している。
これにより、血管評価値に基づいて容易に撮影条件を変えることが可能となる。
【0059】
第21の発明に係る血管位置取得装置は、第1の発明に係る血管位置取得装置であって、撮影条件設定手段は、小さい値から大きい値に、もしくは、大きい値から小さい値に比例して変化するように撮影条件を設定するパラメータ設定し、撮影条件決定手段は、血管評価値算出手段で求めた複数の血管評価値のうち時間軸方向に連続する血管評価値の前後で値が所定値以上変化した場合を除いて、最適撮影条件を決定する。
【0060】
ここでは、撮影条件設定手段に上記条件でパラメータを設定した場合において、血管評価値算出手段で算出された血管評価値が上記条件の場合、撮影条件として決定をしない。
ここで、例えば、近赤外光の光量を0から順次上げていき、撮影した近赤外光画像の特徴が大きく変化しないように撮影条件を設定しているにもかからず、血管評価値が大きく変化している場合、撮影中に対象物が動いた、もしくは、外光が大きく変化したと判断することができる。
【0061】
これにより、対象物が動いた場合等、撮影条件以外の要素が変化した場合を反映した血管評価値を取り除くことができるので、不適切な撮影条件を決定することを回避することができる。
【0062】
第22の発明に係る血管位置取得方法は、撮影条件設定工程と、画像撮影工程と、血管領域抽出工程と、血管評価値算出工程と、撮影条件決定工程とを備えている。撮影条件設定工程は、生体を撮影する際の撮影条件を設定する。画像撮影工程は、撮影条件に基づいて近赤外光が照射された生体からの反射光または透過光を撮影し近赤外光画像を生成する。血管領域抽出工程は、近赤外光画像内の血管像を血管領域として抽出する。血管評価値算出工程は、血管領域に基づいて血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、血管領域を評価するための血管評価値を算出する。撮影条件決定工程は、血管評価算出工程において算出された血管評価値に基づいて最適撮影条件を決定する。
【0063】
ここでは、血管評価値算出工程では、例えば、周辺領域とのコントラスト差を表すような血管領域を評価するための血管評価値を算出し、撮影条件決定工程では、血管評価値に基づいて撮影条件を決定している。
【0064】
なお、血管評価値は、例えば、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算したり、皮膚評価画素の輝度値と血管評価画素の輝度値との比を求めたりすることによって算出される。
【0065】
従来、近赤外光を用いて血管位置を取得する方法においては、近赤外光以外の光、すなわち、外光に影響されることなく血管位置を取得するための方法として、指領域の平均輝度を算出し、これに基づいて撮影条件を調整していた。ところが、撮像画像中における指部分全体は最適画質に調整されるものの、抽出対象となる血管部分を最も効果的に抽出できるように撮像されているとは限らない。
【0066】
そこで、本発明の血管位置取得方法においては、血管評価値算出工程において、血管領域に基づいて血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、皮膚評価画素の輝度値および血管評価画素の輝度値に基づいて血管領域を評価するための血管評価値を算出している。そして、撮影条件決定工程において、血管評価算出工程で算出された血管評価値に基づいて撮影条件を決定している。
【0067】
これにより、血管評価画素における輝度値と皮膚評価画素における輝度値との関係から近赤外光画像において血管領域を最も鮮明に撮像することができる撮影条件を決定する血管評価値を算出することができる。
この結果、撮影条件を血管評価値に基づいて決定することができるので使用環境に関わらず血管領域が鮮明に撮像された近赤外光画像を取得することが可能となる。
【0068】
第23の発明に係る血管位置取得方法は、第22の発明に係る血管位置取得方法であって、血管評価値算出工程は、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することによって血管評価値を算出する。
【0069】
ここでは、皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することによって血管評価値を算出し、血管評価値を算出している。
これにより、血管領域と周辺領域とのコントラスト差の程度を反映した評価値を算出することが可能となる。この結果、血管領域が周辺領域に比べて最も暗く映し出される撮影条件を決定することができる。
【0070】
第24の発明に係る血管位置取得方法は、第22と第23の発明に係る血管位置取得方法であって、血管評価値算出工程は、複数の撮影条件において血管評価値を算出し、撮影条件決定工程は、血管評価値が最大の時の撮影条件を最適撮影条件として決定する。
【0071】
ここでは、複数の撮影条件において血管評価値を算出し、その中で血管評価値が最大となる時の撮影条件を最適撮影条件として決定している。
これにより、血管領域を最も鮮明に撮像することができる撮影条件を決定することが可能となる。
【0072】
第25の発明に係る血管位置取得方法は、第22から第24の発明のいずれか1つに係る血管位置取得方法であって、血管評価値算出工程は、血管評価画素算出工程と、皮膚評価画素算出工程と、評価値算出工程とを有している。血管評価画素算出工程は、血管領域の幅方向において中心となる画素を血管評価画素とする。皮膚評価画素算出工程は、血管領域の輪郭画素を幅方向において外側に所定の画素膨張させ、膨張させた画素を皮膚評価画素とする。評価値算出工程は、血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、注目範囲に存在する血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、近赤外光画像における全ての血管評価画素位置においてそれぞれ求め、差分値を全て足し合わせることで血管評価値を算出する。
【0073】
ここでは、血管評価画素算出工程で、血管領域の幅方向において中心となる画素を血管評価画素として抽出し、皮膚評価画素算出工程で、血管領域の輪郭画素を幅方向において外側に所定の画素、言い換えれば、所定の層分膨張させ、膨張させた画素を皮膚評価画素としている。そして、評価値算出工程で、血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、注目範囲に存在する血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、近赤外光画像における全ての血管評価画素位置においてそれぞれ求め、算出した差分値を全て足し合わせることで血管評価値を算出している。
【0074】
なお、ここでいう「血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲」における「中心」には、重心の場合も含まれる。
これにより、画像撮影工程によって生成された近赤外光画像に撮像された血管領域全体に対して血管評価値を算出し撮影条件を決定することができるので、血管領域全体をより最適に撮影することが可能となる。
【0075】
第26の発明に係る血管位置取得方法は、第22から第25の発明のいずれか1つに係る血管位置取得方法であって、画像撮影手段において撮影した近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成する縮小画像作成工程をさらに備えており、血管領域抽出工程は、縮小近赤外光画像に対して血管領域を抽出し、血管評価値算出工程は、縮小近赤外光画像に対して血管評価値を算出する。
【0076】
ここでは、縮小画像作成工程において、近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成し、血管領域抽出工程および血管評価値算出工程において、上記縮小した近赤外光画像に対して各種処理を実行する。
【0077】
これにより、演算を行う対象画素を減らすことができるので血管評価値を算出するための演算量を大幅に減らすことが可能となる。また、撮影対象の変更等によりカメラと生体との距離が変化し、近赤外光画像内の対象物の大きさが変わって血管径が変化しても、縮小近赤外光画像においては、血管径を常に一定にすることができる。このため、血管評価値を算出する際に用いる多種のパラメータを個別に修正する手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0078】
本発明によれば、使用環境に関わらず血管領域が鮮明に撮像された近赤外光画像を取得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下に、本発明の血管位置取得装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
本発明の実施の形態1として、LED光源から近赤外光を生体である腕に対し上部から照射し、腕からの反射光を近赤外光波長のみを透過する光学フィルタを通して、近赤外波長の感度が高い白黒のCCDカメラで撮像し、デジタル化した近赤外光画像を取得する場合を例として説明を行う。この近赤外光画像は、1画素を8bitで表し、画素値は、輝度を示す濃淡画像とする。このようにして撮像された近赤外光画像においては、血液中のヘモグロビンは近赤外光を吸収する性質をもっているため、血管が存在する領域だけ反射光が少なくなり、血管が存在する画素の輝度値は小さくなる。
【0080】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1における血管位置取得装置100の説明を行う。図1は、本発明の実施の形態1における血管位置取得装置100の要部概略構成を示すブロック図である。
【0081】
血管位置取得装置100は、撮影条件設定部(撮影条件設定手段)101、画像撮影部(画像撮影手段)102、血管領域抽出部(血管領域抽出手段)103、血管評価値算出部(血管評価値算出手段)104および撮影条件決定部(撮影条件決定手段)105を含んで構成される。また、さらに、血管評価値算出部104は、血管評価画素算出部(血管評価画素算出手段)1041、皮膚評価画素算出部(皮膚評価画素算出手段)1042および評価値算出部(評価値算出手段)1043を含んで構成される。
【0082】
撮影条件設定部101は、生体に照射する近赤外光の光量等の調節パラメータ値を予め複数記憶しておき、記憶している調節パラメータ値を順次画像撮影部102に出力する。
画像撮影部102は、CCDカメラ、近赤外LED光源、光学フィルタで構成されており、撮影条件設定部101が出力する調節パラメータに応じて撮影条件を調節し、生体に対して近赤外光を照射し、その反射光を、光学フィルタを通してCCDカメラで撮影することで近赤外光画像を生成し、生成した近赤外光画像を血管領域抽出部103と血管評価値算出部104に出力する。また、血管位置取得装置100から出力近赤外光画像106として出力する。
【0083】
血管領域抽出部103は、画像撮影部102から出力される近赤外光画像において、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さくなっている画素を血管領域として抽出し、抽出した血管領域の位置情報を示す血管領域画像を血管評価値算出部104に出力する。
【0084】
血管評価値算出部104は、画像撮影部102から出力される近赤外光画像と、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報とを元に、近赤外光画像の血管領域を評価するための血管評価値を算出し、算出した血管評価値を撮影条件決定部105に出力する。
【0085】
具体的には、血管評価値算出部104に含まれる血管評価画素算出部1041は、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報に基づき、血管評価値を算出する際に血管画素として用いる血管評価画素を算出し、算出した血管評価画素を示す血管評価画素画像を評価値算出部1043に出力する。
【0086】
皮膚評価画素算出部1042は、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報に基づき、血管評価値を算出する際に血管領域に隣接する皮膚画素として用いる皮膚評価画素を算出し、算出した皮膚評価画素を示す皮膚評価画素画像を評価値算出部1043に出力する。
【0087】
評価値算出部1043は、画像撮影部102から出力される近赤外光画像、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像、血管評価画素算出部1041から出力される血管評価画素画像および皮膚評価画素算出部1042から出力される皮膚評価画素画像を用いて、近赤外光画像における皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することで血管評価値を算出する。
【0088】
撮影条件決定部105は、複数の撮影条件で算出した血管評価値算出部104から出力される血管評価値の中で最大となる撮影条件を最適な撮影条件として決定し、決定した撮影条件を撮影条件設定部101に出力する。そして、撮影条件設定部101において、撮影条件決定部105から出力される最適な撮影条件を設定し、画像撮影部102で近赤外光画像を撮影することで、血管領域が周辺領域とのコントラスト差により最も暗く映し出され鮮明に現れている近赤外光画像を血管位置取得装置100から出力近赤外光画像106として出力する。
【0089】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態1の血管位置取得装置100の動作について、撮影条件として生体に照射する近赤外光の光量の調節パラメータを用いる場合を例として図2から図7を用いて詳細に説明する。
【0090】
図2は、本発明の実施の形態1における血管位置取得装置100が行う処理を示すフローチャートである。図2のフローチャートは、ステップS101ないしステップS107からなり、ステップS101は撮影条件設定工程の一例を、ステップS102は画像撮影工程の一例を、ステップS103は血管領域抽出工程の一例を、ステップS1041からステップS1043からなるステップS104は血管評価値算出工程の一例を、ステップS105は全ての撮影条件を終了したかどうかの判定を行う工程を、ステップS106は撮影条件決定工程の一例を、ステップS107は撮影条件決定工程で決定した撮影条件で近赤外光画像を撮影する工程を、それぞれ示す。
【0091】
まず、撮影条件設定部101において、生体に照射する近赤外光の光量の調節パラメータの初期値を設定する(ステップS101)。なお、この光量の調節パラメータは、最小の光量を0、最大の光量を255とするデジタル値とし、5刻みで52個の調節パラメータが記憶されているものとする。また、初期値は0とし、順次、値が大きくなるように調節パラメータを設定していく。このように設定することで、撮影される近赤外光画像は、暗い画像から明るい画像に徐々に変化する。なお、上記調整パラメータとしては、近赤外光の光量に加え、CCDカメラの感度や光量調節の絞り量を用いてもよい。
【0092】
次に、画像撮影部102において、撮影条件設定部101で設定された光量の調節パラメータで、近赤外光を生体に照射し、生体からの反射光を近赤外光波長のみを透過する光学フィルタを通して、CCDカメラで撮像した近赤外光画像を生成する(ステップS102)。そして、生成した近赤外光画像を血管領域抽出部103と血管評価値算出部104とに出力する。
【0093】
次に、血管領域抽出部103において、画像撮影部102から出力された近赤外光画像に対して、血管画素を血管領域として抽出する(ステップS103)。これは、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さくなっている画素を血管画素として抽出することで行う。なお、近赤外光画像と同サイズの画像メモリを用意しておき、抽出された血管領域の位置情報は、血管領域に対応する画素値を1、その他の画素値を0とすることで画像データ(血管領域画像)として記憶しておく。
【0094】
以下、血管領域抽出処理について説明する。図3は、本発明の実施の形態1における血管領域抽出処理を説明する図である。図3(a)は、画像撮影部102から出力された血管が映っている近赤外光画像300であり、図3(b)は図3(a)における近赤外光画像300の破線矢印で示す水平ライン上のL1―L2間の輝度値を示す輝度グラフである。また、301は、血管を示し、302は、皮膚を示している。
【0095】
血管領域抽出処理は、血管領域抽出部103が図3(a)に示すように近赤外光画像300の水平ライン上のL1―L2間の画素を抜き出し、抜き出した画素の輝度値に基づき血管301であるかどうかの判定に用いる輝度閾値TH1を算出する。そして、血管領域抽出部103は、算出した輝度閾値TH1とL1―L2間の中点となる注目画素の輝度値とを比較し、注目画素の輝度値が輝度閾値TH1よりも小さい場合、注目画素を血管位置として抽出する。図3(b)では、注目画素C1の輝度値が輝度閾値TH1よりも小さいので、注目画素C1は、血管領域抽出部103によって血管301として抽出される。
【0096】
なお、本実施の形態においては、L1―L2間の距離は、例えば、撮像する近赤外光画像300において想定される血管の太さの最大径の2倍の画素数を設定する。また、輝度閾値TH1は、L1―L2間の画素の輝度値のうち値の大きいほうからL1―L2間の画素数の半分を抜き出し、抜き出した画素の輝度平均値を算出し、算出した輝度平均値を0.8倍した値とする。このように輝度閾値TH1を算出することで、血管位置と皮膚位置とを分離する閾値を算出することができる。
【0097】
なお、ここで用いた数値は一例であり、L1―L2間の距離は、血管301と皮膚302とが必ず含まれるように画素距離を設定すればよい。また、平均値に用いる画素の個数は、L1―L2間の距離から必ず皮膚302の画素となる個数分を設定し、皮膚画素の輝度平均値を求め、輝度閾値TH1は、算出した皮膚画素の輝度平均値を元に皮膚画素の輝度値よりも小さくなる値を設定すればよい。
【0098】
血管領域抽出部103は、この一連の処理を近赤外光画像300全体に対し、画像上部から各水平ライン毎に、画像の左側から順に1画素ずつずらしながらL1―L2間の画素を抜き出して行っていくことで、血管画素を順次抽出していく。
【0099】
なお、ここで用いた血管領域抽出処理は一例であり、他の手法により、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さくなっている画素領域を血管位置として抽出してもよい。例えば、水平ラインだけではなく垂直ラインの画素も同時に抜き出し2つのラインを用いて抽出したり、2次元平面で同様の処理を行っても良い。
そして、こうして抽出した血管領域を示す血管領域画像を血管評価値算出部104に出力する。
【0100】
次に、画像撮影部102から出力される近赤外光画像と、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報とを元に、血管評価値算出部104は、近赤外光画像の血管領域を評価するための血管評価値を算出する(ステップS104)。なお、ここで算出する血管評価値は、近赤外光画像において血管領域と皮膚領域との輝度コントラストの差が大きいほど値が大きくなるものである。
【0101】
このステップにおいては、血管領域抽出部103にて抽出した血管領域の位置情報に基づき、血管評価画素算出部1041が血管評価値の算出に用いる血管の画素を血管評価画素として算出し(ステップS1041:血管評価画素算出工程)、また、皮膚評価画素算出部1042が血管評価値の算出に用いる血管領域に隣接する皮膚の画素を皮膚評価画素として算出し(ステップS1042:皮膚評価画素算出工程)、評価値算出部1043が、近赤外光画像における皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することで血管評価値を算出する(ステップS1043:血管評価値算出工程)。
【0102】
上記輝度コントラストの差は、血管領域の輝度値とその血管領域に隣接する周辺の皮膚の輝度値との差から生じるため、血管評価画素と皮膚評価画素とを用いて血管評価値を算出することで、近赤外光画像における血管領域とその周辺の皮膚領域とのコントラストの差の程度を反映した評価値を算出することができる。
【0103】
以下、ステップS104における血管評価値算出処理をより具体的に説明する。まず、血管評価画素算出部1041が、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報を用いて、血管評価値の算出に用いる血管の画素を血管評価画素として算出する(ステップS1041)。なお、血管領域画像と同サイズの画像メモリを用意しておき、算出された血管評価画素の情報は、血管評価画素に対応する画素値を1、その他の画素値を0とすることで画像データ(血管評価画素画像)として記憶しておく。そして、後段の処理(ステップS1043)では、血管評価画素画像の各画素を参照することで血管評価画素を知ることができる。
【0104】
図4は、図3(a)に示す近赤外光画像300の血管領域画像から算出した血管評価画素を示す血管評価画素画像400であり、401は、血管評価画素を示す。血管評価画素は、図4に示すとおり、血管領域の中心線に位置する画素を設定する。
【0105】
なお、血管領域の中心線を求める方法としては、細線化処理を用いる。細線化処理とは、太さが不揃いの輪郭線を1画素幅に整える処理であり、太い輪郭線を外側から削っていき、1画素の太さになったところで処理を終了することで行う。ここでは、細線化処理として一般的によく用いられるHilditchの方法を用いて、血管領域画像の画素値が1となっている血管領域を細線化し、細線化後に画素値が1となっている画素を血管評価画素として算出する。
【0106】
なお、ここで用いた中心線を求める方法は一例であり、他の手法を用いて血管評価画素を算出してもよい。
そして、こうして算出した血管評価画素を示す血管評価画素画像を評価値算出部1043に出力する。
【0107】
次に、皮膚評価画素算出部1042が、血管領域抽出部103から出力される血管領域画像に示されている血管領域の位置情報を用いて、血管評価値の算出に用いる皮膚の画素を皮膚評価画素として算出する(ステップS1042)。なお、血管領域画像と同サイズの画像メモリを用意しておき、算出された皮膚評価画素の情報は、皮膚評価画素に対応する画素値を1以上、その他の画素値を0とすることで画像データ(皮膚評価画素画像)として記憶しておく。そして、後段の処理(ステップS1043)では、皮膚評価画素画像の各画素を参照することで皮膚評価画素を知ることができる。
【0108】
図5(a)は、図3(a)に示す近赤外光画像300の血管領域画像から算出した皮膚評価画素を示す皮膚評価画素画像500であり、501は、皮膚評価画素を示す。皮膚評価画素は、図5(a)に示すように、血管領域に隣接する周辺の画素を設定する。
【0109】
なお、血管領域に隣接する周辺の画素を設定する方法としては、膨張処理を用いる。膨張処理とは、連結成分の輪郭画素を外側に複数層分増やし厚くする処理である。ここでは、血管領域画像において血管領域以外(画素値が0)の画素を膨張処理の対象とし、対象となる対象画素を中心とする8つの隣接する画素の中で少なくとも1つの画素に画素値が0以外の値がある場合、対象画素に1以上の値を書き込む。この処理により、処理前の血管領域画像における血管領域に対して全ての方向に1画素広がり1層分膨張した血管領域を示す画像を得ることができる。そして、この1層分膨張させる処理を血管領域画像に対し複数回繰り返し行った後の複数層分血管領域を厚くした血管領域画像から、膨張させる前の血管領域画像の対応する画素の画素値を引くことで、血管領域に隣接する皮膚評価画素を示す皮膚評価画素画像を得ることができる。
【0110】
また、1層分膨張させる処理を行う回数は、本実施の形態の血管位置取得装置100で撮影される近赤外光画像において撮影されうる血管像の中で、最大径を持つ血管像の太さの半径の画素幅を予め設定しておくものとし、最大径を持つ血管像の太さの半径は、(最大血管径+1)/2で求まる整数値とする。つまり、最大血管径が5画素の場合、血管の太さの半径は3となり、膨張回数を3回とする。
【0111】
さらに、皮膚評価画素を示す皮膚評価画素画像の画素値は、膨張処理を行っている際の回数を書き込むようにする。こうすることにより、皮膚評価画素の画素値が、血管領域からの距離となる。この値は、血管評価値を算出する際に用いる。図5(b)は、図5(a)の皮膚評価画素画像500の一部分を抜き出したものであり、このようにして算出した皮膚評価画素の画素値を示したものである。なお、空白の画素は、画素値が0とする。
【0112】
そして、こうして算出した皮膚評価画素を示す皮膚評価画素画像を評価値算出部1043に出力する。
次に、評価値算出部1043が、画像撮影部102から出力される近赤外光画像、血管領域抽出部103から出力される血管抽出画像、血管評価画素算出部1041から出力される血管評価画素画像および皮膚評価画素算出部1042から出力される皮膚評価画素画像を用いて、近赤外光画像における皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算することで血管評価値を算出する(ステップS1043)。
【0113】
より具体的には、近赤外光画像における全ての血管評価画素位置において、まず、血管評価画素を中心とし所定の範囲をもつ注目範囲内に存在する皮膚評価画素の輝度値から皮膚代表値を、同注目範囲内に存在する血管評価画素の輝度値から血管代表値を求め、次に、求めた皮膚代表値から血管代表値を減算して差分値を求める。そして、これら全ての血管評価画素位置で求めた差分値を全て足しあわせることで血管評価値を算出する。ただし、注目範囲が近赤外光画像からはみ出さない位置でのみ差分値の算出を行うものとする。
【0114】
また、ここで用いる注目範囲の形状は正方形とし、1辺の画素長はステップS1042で用いた近赤外光画像において撮影されうる血管像の中で最大径を持つ血管像の太さの直径と血管領域を膨張させる回数とを用いて、最大血管径+膨張回数×2で求め、設定しておく。つまり、最大血管径は5で、膨張回数は3回なので、ここでの注目範囲の1辺の画素長は11となる。このように設定することで、注目範囲内に、無駄なく血管評価画素と血管領域に隣接する皮膚評価画素を含むことができる。
【0115】
図6は、血管評価値の算出処理を説明する図であり、図6(a)は、近赤外光画像300に対する注目範囲の走査を示し、図6(b)は、血管代表値と皮膚代表値との算出方法を説明する図である。
【0116】
図6(a)に示すとおり、まず、血管評価値に0を代入しておき、近赤外光画像300の左上の注目範囲601の位置において、注目範囲の中心画素が血管評価画素かどうかのチェックを行う。これは、血管評価画素画像の画素値を参照することで行うことができる。注目範囲の中心画素が、血管評価画素で無い場合は、注目範囲を1画素分右にずらして、再度チェックを行い、これを繰り返す。そして、注目範囲602の位置においては、注目範囲の中心画素が血管評価画素となっているため、注目範囲内の血管評価画素から血管代表値を、皮膚評価画素から皮膚代表値を求め、皮膚代表値から血管代表値を減算した差分値を求め、求めた差分値を血管評価値に加算する。この一連の処理を矢印603の順で近赤外光画像300全体に対して行うことで、近赤外光画像300における血管評価値を算出する。
【0117】
また、注目範囲における血管代表値と皮膚代表値とは次のように求める。図6(b)は、図5(b)の皮膚評価画素画像に図4の血管評価画素画像400の位置を合わせて重ね合わせた図である。図5(b)中の数字が示されている画素は、皮膚評価画素であると共にその画素値を示し、斜線画素と塗りつぶし画素は、血管評価画素を示し、さらに、塗りつぶし画素は、注目範囲604の中心にある注目画素である。
【0118】
まず、この注目範囲604における血管代表値は、注目範囲604の中心にある注目画素に対応する近赤外光画像の輝度値とする。そして、注目範囲604における皮膚代表値は、注目範囲604内の血管の半径と等しい血管領域からの距離を持つ皮膚評価画素に対応する近赤外光画像の輝度値を平均することで求める。具体的には、血管領域画像を参照し、注目範囲604内の血管の半径を求め、求めた血管の半径の値を持つ皮膚評価画素に対応する近赤外光画像の輝度値を平均する。また、血管の半径は、注目範囲を正方形としているので、注目範囲604に含まれる血管画素の面積である画素数を、注目範囲の1辺の画素長で割ることで血管径を求め、((面積/1辺の画素長)+1)/2で求めることができる。従って、図6(b)では、血管の半径は、((55/11)+1)/2=3となり、皮膚代表値は、注目範囲604内の皮膚評価画素において、画素値が3となっている画素に対応する近赤外光画像の輝度値を平均することで求める。そして、求めた皮膚代表値から血管代表値を減算した差分値を求め、血管評価値に足し合わせる。
【0119】
このようにして血管評価値を求めることで、近赤外光画像内において血管像の太さが変化しても、血管評価画素と血管の輪郭までが狭い細い血管では、血管の輪郭に近い皮膚評価画素を、血管評価画素と血管の輪郭までが広い太い血管では、血管の輪郭から遠い皮膚評価画素を自動的に選択することができるので、血管像の太さによらずに同条件で評価値を算出することができる。また、注目範囲を正方形としているため、血管の走行方向によらずに同様の処理で血管評価値を求めることができる。
【0120】
なお、ここでは注目範囲の1辺の画素長を、最大血管径+膨張回数×2で求めているが、これは、最大血管径を持つ血管が水平又は垂直方向に存在した場合に隙間なく皮膚評価画素が注目範囲に入るように設定しているためである。ところが、最大血管径をもつ血管が斜め方向にあった場合には、注目範囲から皮膚評価画素がはみ出してしまい注目範囲内の血管評価値の算出に用いる皮膚評価画素が少なくなるという問題が発生する。従って、注目範囲の1辺の画素長を、最大血管径+膨張回数×2+α(αは2の倍数)としてもよい。ただし、α値を大きくすると演算量が増加するため2または4程度とし、このα値は、近赤外光画像内の血管の特徴に応じて設定すればよい。
【0121】
また、説明において、血管代表値は、注目範囲の中心に位置する血管評価画素に対応する近赤外光画像の輝度値としているが、注目範囲に含まれる全ての血管評価画素に対応する近赤外光画像の輝度値の平均値としてもよい。このように求めることで、平均値を算出するため演算量は増加するが、ノイズに対して強くなる。また、皮膚代表値は、注目範囲に含まれる全ての皮膚評価画素に対応する近赤外光画像の輝度値の平均値としてもよい。この場合、血管評価値の算出に用いる皮膚評価画素の選択を行わないので高速に処理することが可能となり、ラフに評価する際に有効である。
【0122】
また、さらに、算出する血管評価値の精度を高めるために次の処理を行っても良い。まず、注目範囲内の血管の形状が分岐している場合、その位置での血管評価値の算出処理を行わないようにする。これは、血管が分岐している箇所では、血管が近接しているため意図する皮膚評価画素が得られないためである。血管の分岐は、注目範囲内の全血管評価画素位置において、連結する血管評価画素の数をカウントし、カウント数が3以上となっている場合、分岐していると判断することができる。
【0123】
さらに、注目範囲内の血管評価画素の画素数が所定値と異なっている場合、その位置での血管評価値の算出処理を行わないようにしてもよい。これは、注目範囲を広く設定した場合、注目範囲内に細い血管が複数含まれることが起こり、この場合も、血管が近接しているため意図する皮膚評価画素が得られず、こういう位置での血管評価値の算出を防ぐ。
【0124】
なお、ここで用いる所定値は、例えば、注目範囲内に血管が1本走っていた場合、血管評価値の画素数は注目範囲の1辺の画素長と等しくなるため、注目範囲の1辺の画素長を設定しておけば簡単に判定することができる。
【0125】
また、上記所定値ではなく、注目範囲の中心に位置する血管評価画素に連結する注目範囲内の血管評価画素の画素数と比較してもよい。この値を用いれば、所定値を用いる場合に比べ演算量は増加してしまうが、注目範囲内に短く細い血管が複数存在し、血管評価画素の画素数が前述した所定値と一致してしまう場合でも、確実に血管評価値の算出を防ぐことができる。
【0126】
また、注目範囲内の血管評価値算出に用いる皮膚評価画素の画素数が所定数よりも少ない場合、その位置での血管評価値の算出を行わないようにしてもよい。これは、血管が斜め方向に走行していたり、血管の太さが想定していたよりも太い場合、血管評価画素に対応する皮膚評価画素が注目範囲外となってしまうことで起こる。そして、皮膚評価画素が少ないと精度よく皮膚代表値を求めることができない。このため、このようなケースについては、血管評価値の算出を回避する。ここで用いる所定数は、例えば、注目範囲内の血管評価画素の画素数を設定しておけば、一定量以上の血管を挟む両側の皮膚評価画素を用いて皮膚代表値を求めることができる。
【0127】
また、各血管評価画素位置において皮膚代表値と血管代表値との差分値を求める際、求めた差分値が所定値よりも小さい場合、求めた差分値を破棄し足し合わせないようにしてもよい。これは、差分値が小さいものはノイズとして扱い、破棄することで血管評価値の精度を向上させることができる。この際用いる所定値は、想定される近赤外光画像における血管領域とその周辺の皮膚領域の輝度値の差を元に設定すればよく、差が大きいと想定される場合は大きめの値を、差が小さいと想定される場合は小さめの値を設定する。
【0128】
また、血管評価値を算出するステップS104の各処理は、近赤外光画像の中央付近の限定した評価範囲内に含まれる領域でのみ行ってもよい。こうすることで、生体に照射している近赤外光が良く当たっている中央の画素領域でのみ血管評価値を算出することができ、また、範囲を絞ることで演算量を減らすことができる。
【0129】
以上のステップS104の処理により、近赤外光画像における血管領域の特徴を反映した血管評価値を求めることができる。具体的には、血管領域とその周辺領域とのコントラスト差が大きくはっきりと映し出されているほど、また、血管領域の面積が大きく沢山の血管が映し出されているほど、値が大きくなる血管評価値を求めることができる。そして、求めた血管評価値を撮影条件決定部105に出力する。
【0130】
次に、ステップS105において、全ての撮影条件において血管評価値の算出を行ったかどうか判定を行う。終了していない場合は、ステップS101に戻り、次の撮影条件を設定し、続くステップS102からステップS104の処理を行い、全ての撮影条件を終了した場合は、ステップS106に進む。
【0131】
次に、血管評価値算出部104にて算出した全撮影条件における血管評価値に基づいて、撮影条件決定部105が、最適な撮影条件を決定する(ステップS106)。図7は、ステップS101において設定した近赤外光の光量を順次強めながら撮影した近赤外光画像に対し算出した血管評価値を示すグラフの一例であり、横軸は近赤外光画像を撮影した際に用いた撮影条件の番号であり、縦軸は血管評価値を示す。図7において、最初は光量が0のため撮影した近赤外光画像に血管が映らず血管評価値が0となっているが、光量を上げていくと共に、血管評価値が上昇している。しかしながら、光量を上げすぎると画像の輝度が全体的に飽和してくるため、血管評価値が下降していく。従って、図7に示すグラフのピーク位置701である血管評価値の中で最大となる値を持つ撮影条件が、最も血管領域とその周辺領域とのコントラストの差が現れる撮影条件であると決定することができる。そして、決定した撮影条件の番号を、撮影条件設定部101に出力する。
【0132】
そして、撮影条件設定部101では、撮影条件決定部105から出力された撮影条件の番号に対応する光量を設定し、画像撮影部102において撮影して得られた近赤外光画像を出力近赤外光画像106として、血管位置取得装置100から出力する(ステップS107)。
【0133】
なお、撮影条件決定部105におけるステップS106において撮影条件を決定する際、時間軸方向に連続する撮影条件で撮影しているにもかかわらず、算出した血管評価値の前後で値が所定値以上変化した場合には、撮影条件を決定しないようにしてもよい。これは、ステップS101において、近赤外光の光量を0から順次上げていき、撮影した近赤外光画像の特徴が大きく変化しないように撮影条件を設定しているにもかからず、血管評価値が大きく変化しているため、撮影中に対象物が動いた、もしくは、外光が大きく変化したと判断することができる。対象物が動くと撮影条件以外の要素が変化し、最大の血管評価値をもつ撮影条件が最適であるとはいえなくなるため、撮影条件を決定しないようにする。
【0134】
具体的には、血管評価値の前後で値が所定値以上変化した場合、撮影条件決定部105は、撮影条件の番号以外の値、例えば、−1を撮影条件設定部101に出力する。撮影条件設定部101は、−1が入力されると再度撮影条件の初期値から順次設定を行い、血管評価値を算出する一連の処理を繰り返し行うようにする。
【0135】
また、ここで用いる所定値は、例えば、全ての撮影条件における血管評価値のピーク値の20%を設定すればよい。ただし、撮影条件設定部101において設定する撮影条件の個数が少ない場合や、設定する調節パラメータが大きく異なる場合は、連続する前後の血管評価値でも値が大きく変化するため、所定値を決定するためのパーセンテージを大きく設定しておけばよい。
【0136】
以上のステップS101からステップS107の一連の処理を行うことで、近赤外光画像において血管領域が周辺領域とのコントラスト差により最も暗く映し出され、鮮明に現れている近赤外光画像を確実に得ることが可能となる。
【0137】
なお、本実施の形態1の説明において、撮影条件設定部101におけるステップS101において設定する撮影条件を、生体に照射する近赤外光の光量を例として説明したが、光量以外にも、近赤外光画像における血管像のコントラストの差に影響を及ぼす撮影条件を設定してもよい。例えば、血管への吸光率や生体への透過率に影響を及ぼす生体に照射する光の波長や、外光の影響を低減するために用いる特定の波長のみ通過させる光学フィルタの通過帯域や、生体を撮影するCCDカメラのレンズの絞り値とすることも可能であり、同様の処理で、それら撮影条件の中で最適な近赤外光画像を得ることが可能である。
【0138】
近赤外光の波長は、波長が異なるLEDを光源として複数種類用意しておき、撮影条件を設定する際に、順次、波長毎に点灯を切り替えてやればよい。光学フィルタの通過帯域は、通過帯域が異なる光学フィルタを複数種類用意しておき、撮影条件を設定する際に、順次、光学フィルタを切り替えてやればよい。カメラレンズの絞り値は、電気式で行い、撮影条件を設定する際に、絞り値の調節パラメータを変化させればよい。さらに、これら複数の撮影条件を組み合わせても同様に、その中で最適な近赤外光画像を得ることができる。
【0139】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2における血管位置取得装置800の説明を行う。図8は、本発明の実施の形態2の血管位置取得装置800の要部概略構成を示すブロック図である。
【0140】
血管位置取得装置800は、図8に示すように、撮影条件設定部(撮影条件設定手段)101と、画像撮影部(画像撮影手段)102と、縮小画像作成部(縮小画像作成手段)807と、血管領域抽出部(血管領域抽出手段)803と、血管評価値算出部(血管評価値算出手段)804と、撮影条件決定部(撮影条件決定手段)105とを含んで構成される。なお、図1に示す実施の形態1で説明したものと同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。図1に示す実施の形態1の血管位置取得装置の構成と異なる点は、縮小画像作成部807が新しく追加された点である。
【0141】
縮小画像作成部807は、画像撮影部102から出力された近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成し、血管領域抽出部803および血管評価値算出部804に出力するものである。そして、縮小画像作成部807から出力される縮小近赤外光画像を用いて、血管領域抽出部803では血管領域を抽出し、血管評価値算出部804では血管評価値を算出することで、演算を行う対象画素を減らすことになるため演算量を大幅に減らすことができる。また、撮影対象の変更等でカメラと生体との距離が変化するなどの理由で近赤外光画像内の対象物の大きさが変わり血管径が変化しても、縮小近赤外光画像では常に血管径が一定になるため、血管評価値を算出する際に用いる多種のパラメータを個別に修正する手間を省くことができる。
【0142】
次に、本発明の実施の形態2の血管位置取得装置800の動作について図9を用いて詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態2の血管位置取得装置800が行う処理を説明するためのフローチャートである。図9のフローチャートは、ステップS201ないしステップS208からなり、ステップS201は撮影条件設定工程の一例を、ステップS202は画像撮影工程の一例を、ステップS203は縮小画像作成工程の一例を、ステップS204は血管領域抽出工程の一例を、ステップS2051からステップS2053からなるステップS205は血管評価値算出工程の一例を、ステップS206は全ての撮影条件を終了したかどうかの判定を行う工程を、ステップS207は撮影条件決定工程の一例を、ステップS208は撮影条件決定工程で決定した撮影条件で近赤外光画像を撮影する工程を、それぞれ示す。
【0143】
以下、実施の形態1と同様に、生体に照射する近赤外光の光量を撮影条件とする場合を例としてフローチャートに従って詳細に説明する。
まず、図2のステップS101と同様に、撮影条件設定部101において、生体に照射する近赤外光の光量の調節パラメータの初期値を設定する(ステップS201)。
【0144】
次に、図2のステップS102と同様に、画像撮影部102において、撮影条件設定部101で設定された光量の調節パラメータで、近赤外光を生体に照射し、生体からの反射光を近赤外光波長のみを透過する光学フィルタを通して、CCDカメラで撮像した近赤外光画像を生成する(ステップS202)。そして、生成した近赤外光画像を縮小画像作成部807に出力する。
【0145】
次に、縮小画像作成部807において、画像撮影部102から出力された近赤外光画像を縦横同倍率で縮小し、縮小近赤外光画像を作成する(ステップS203)。
なお、近赤外光画像を縮小する方法は、一般的に良く用いられているバイリニア法を用いればよい。ただし、これは一例であり他の手法を用いてもよい。
【0146】
また、縮小率は、想定される近赤外光画像内の最大血管径に基づいて設定する。具体的には、撮影対象が変わった際、各撮影対象を撮影した近赤外光画像において撮影されうる血管像の中で最大径を持つ血管像の太さの直径が一定になるように倍率を決定し、血管評価値算出部804に設定されている注目範囲の一辺の画素長や血管領域の膨張回数に対し、適した血管径となるように近赤外光画像を縮小する。さらに、縮小する際に基準となる最大径を持つ血管像の太さの直径は、予め撮影した近赤外光画像における血管像の中で最小径を持つ血管の太さの直径が、縮小近赤外光画像では太さが1となるように縮小した後、その縮小近赤外光画像における最大径を持つ血管の太さの直径を設定しておけばよい。
こうして作成した縮小近赤外光画像は、血管領域抽出部803と血管評価値算出部804に出力される。
【0147】
次に、血管領域抽出部803において、縮小画像作成部807から出力される縮小近赤外光画像に対して、血管画素を血管領域として抽出する(ステップS204)。なお、血管領域を抽出する処理は、図2のステップS103と同様のため説明を省略する。そして、抽出した血管領域の位置情報は、縮小近赤外光画像と同サイズの画像メモリを用意しておき、抽出された血管領域の位置情報は、血管領域に対応する画素値を1、その他の画素値を0とする血管領域画像として記憶し、血管領域画像を血管評価値算出部804に出力する。
【0148】
次に、縮小画像作成部807から出力される縮小近赤外光画像と、血管領域抽出部803から出力される血管抽出画像に示されている血管領域の位置情報を元に、血管評価値算出部804は、近赤外光画像の血管領域を評価するための血管評価値を算出する(ステップS205)。
【0149】
具体的には、血管領域抽出部803にて抽出した血管領域の位置情報に基づき、血管評価画素算出部1041は、図2のステップS1041と同様に血管評価画素を算出し(ステップS2051:血管評価画素算出工程)、皮膚評価画素算出部1042は、図2のステップS1042と同様に皮膚評価画素を算出し(ステップS2052:皮膚評価画素算出工程)、評価値算出部8043は、縮小近赤外光画像における皮膚評価画素の輝度値から血管評価画素の輝度値を減算し、図2のステップS1043と同様にして血管評価値を算出する(ステップS2053:血管評価値算出工程)。そして、算出した血管評価値を撮影条件決定部105に出力する。
【0150】
そして、ステップS206において、図2のステップS105と同様に、全ての撮影条件において血管評価値の算出を行ったかどうか判定を行う。終了していない場合は、ステップS201に戻り、次の撮影条件を設定し、続くステップS202からステップS205の処理を行う。全ての撮影条件を終了した場合は、ステップS207に進む。
【0151】
次に、血管評価値算出部804にて算出した全撮影条件における血管評価値に基づいて、撮影条件決定部105が、図2のステップS106と同様にして最適な撮影条件を決定する(ステップS207)。そして、決定した撮影条件の番号を、撮影条件設定部101に出力する。
【0152】
そして、撮影条件設定部101では、図2のステップS107と同様に、撮影条件決定部105から出力された撮影条件の番号に対応する光量を設定し、画像撮影部102において撮影して得られた近赤外光画像を出力近赤外光画像106として、血管位置取得装置800から出力する(ステップS208)。
【0153】
以上のステップS201からステップS208の一連の処理を行うことで、少ない演算量で、近赤外光画像における血管領域が周辺領域とのコントラスト差により最も暗く映し出され鮮明に現れている近赤外光画像を確実に得ることが可能となり、さらに、撮影対象が変わっても、血管評価値を算出する際に用いる多種のパラメータを撮影対象毎に設定する手間を省くことができる。
【0154】
なお、実施の形態2の説明において、撮影条件設定部101におけるステップS201において、撮影条件を生体に照射する近赤外光の光量を例として説明したが、実施の形態1と同様に、光量以外にも、近赤外光画像における血管の明暗の差に影響を及ぼす撮影条件を設定してもよく、例えば、血管への吸光率や生体への透過率に影響を及ぼす生体に照射する光の波長、外光の影響を低減するために用いる特定の波長のみ通過させる光学フィルタの通過帯域、生体を撮影するCCDカメラのレンズの絞り値とすることも可能であり、同様の処理で最適な近赤外光画像を得ることが可能である。さらに、これら複数の撮影条件を組み合わせても同様の処理で最適な近赤外光画像を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明にかかる血管位置取得装置および血管位置取得方法は、最適な撮影条件を決定し、血管領域が鮮明に現れている画像を得ることができ、生体の血管位置を画像で取得する装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施の形態1における血管位置取得装置のブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1における血管位置取得方法を説明するフローチャート。
【図3】(a),(b)は、図1に含まれる血管領域抽出部が行う血管領域抽出処理を説明する図。
【図4】図1に含まれる血管評価画素算出部が作成した血管評価画素画像を示す図。
【図5】(a),(b)は、図1に含まれる皮膚評価画素算出部が作成した皮膚評価画素画像を示す図。
【図6】(a),(b)は、図1に含まれる評価値算出部が行う血管評価値算出処理を説明する図。
【図7】図1に含まれる撮影条件決定部に入力された血管評価値を示すグラフ。
【図8】本発明の実施の形態2における血管位置取得装置のブロック図。
【図9】本発明の実施の形態2における血管位置取得方法を説明するフローチャート。
【図10】従来の静脈パターンを鮮明に撮影する撮影方式の処理を示す図。
【符号の説明】
【0157】
100 血管位置取得装置
101 撮影条件設定部(撮影条件設定手段)
102 画像撮影部(画像撮影手段)
103 血管領域抽出部(血管領域抽出手段)
104 血管評価値算出部(血管評価値算出手段)
1041 血管評価画素算出部(血管評価画素算出手段)
1042 皮膚評価画素算出部(皮膚評価画素算出手段)
1043 評価値算出部(評価値算出手段)
105 撮影条件決定部(撮影条件決定手段)
106 出力近赤外光画像
300 近赤外光画像
301 血管
302 皮膚
400 血管評価画素画像
401 血管評価画素
500 皮膚評価画素画像
501 皮膚評価画素
601 最初の注目範囲
602 中心に血管評価画素が存在する注目範囲
603 注目範囲の走査を示す矢印
604 注目範囲
701 ピーク位置
800 血管位置取得装置
803 血管領域抽出部(血管領域抽出手段)
804 血管評価値算出部(血管評価値算出手段)
8043 評価値算出部(評価値算出手段)
807 縮小画像作成部(縮小画像作成手段)
TH1 輝度閾値


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体を撮影する際の撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記撮影条件に基づいて近赤外光が照射された前記生体からの反射光または透過光を撮影し近赤外光画像を生成する画像撮影手段と、
前記近赤外光画像内の血管像を血管領域として抽出する血管領域抽出手段と、
前記血管領域に基づいて血管評価画素と前記血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、前記血管領域を評価するための血管評価値を算出する血管評価値算出手段と、
前記血管評価算出手段において算出された前記血管評価値に基づいて最適撮影条件を決定する撮影条件決定手段と、
を備えている血管位置取得装置。
【請求項2】
前記血管評価値算出手段は、前記皮膚評価画素の輝度値から前記血管評価画素の輝度値を減算することによって前記血管評価値を算出する、
請求項1に記載の血管位置取得装置。
【請求項3】
前記血管評価値算出手段は、複数の前記撮影条件において前記血管評価値を算出し、
前記撮影条件決定手段は、前記血管評価値が最大の時の前記撮影条件を前記最適撮影条件として決定する、
請求項1または2に記載の血管位置取得装置。
【請求項4】
前記血管評価値算出手段は、
前記血管領域の幅方向において中心となる画素を前記血管評価画素とする血管評価画素算出手段と、
前記血管領域の輪郭画素を前記幅方向において外側に所定の画素膨張させ、膨張させた前記画素を皮膚評価画素とする皮膚評価画素算出手段と、
前記血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する前記皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、前記注目範囲に存在する前記血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、前記近赤外光画像における全ての前記血管評価画素位置においてそれぞれ求め、前記差分値を全て足し合わせることで前記血管評価値を算出する評価値算出手段と、
を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項5】
前記皮膚代表値は、前記注目範囲に存在する前記皮膚評価画素の輝度値の平均値とし、
前記血管代表値は、前記注目範囲の中心に位置する前記血管評価画素の輝度値、または、前記注目範囲内に存在する前記血管評価画素の輝度値の平均値とする、
請求項4に記載の血管位置取得装置。
【請求項6】
前記皮膚評価画素算出手段は、膨張させたそれぞれの前記皮膚評価画素に対して、膨張させた回数を前記血管領域からの距離として対応づけて記憶し、
前記評価値算出手段は、前記注目範囲に存在する前記皮膚評価画素のうち、前記注目範囲に存在する前記血管像の太さの半径と等しい前記血管領域からの距離を持つ前記皮膚評価画素のみ用いて前記皮膚代表値を求める、
請求項4または5に記載の血管位置取得装置。
【請求項7】
前記皮膚評価画素算出手段は、前記近赤外光画像において最大径を持つ前記血管像の半径と等しい回数分、前記血管領域を膨張させる、
請求項4から6のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項8】
前記注目範囲は、前記近赤外光画像において最大径を持つ前記血管像の太さの直径と、前記血管領域を1画素分ずつ膨張させた回数とに基づいて1辺の画素数を設定した正方形形状とし、
前記注目範囲には、前記血管評価画素と前記皮膚評価画素とが必ず含まれる、
請求項4から7のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項9】
前記注目範囲における前記血管像の太さの半径は、前記注目範囲に存在する前記血管領域の画素数を前記注目範囲の1辺の画素数で除して設定する、
請求項8に記載の血管位置取得装置。
【請求項10】
前記評価値算出手段は、前記注目範囲の前記血管像が分岐している場合、前記注目範囲において算出される前記差分値を前記血管評価値を算出する際の要素から除外する、
請求項4から9のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項11】
前記評価値算出手段は、前記注目範囲の前記血管評価画素の画素数が所定値、または、前記注目範囲の中心に位置する前記血管評価画素に連結する前記血管評価画素の画素数と異なる場合、前記注目範囲において算出される前記差分値を前記血管評価値を算出する際の要素から除外する、
請求項4から10のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項12】
前記評価値算出手段は、前記注目範囲の前記皮膚評価画素の画素数が所定値よりも少ない場合、前記注目範囲において算出される前記差分値を前記血管評価値を算出する際の要素から除外する、
請求項4から11のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項13】
前記評価値算出手段は、前記注目範囲における前記差分値が所定値よりも小さい場合、前記差分値を前記血管評価値を算出する際の要素から除外する、
請求項4から12のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項14】
前記血管評価値算出手段は、前記近赤外光画像における中央付近に限定した評価範囲を対象に前記血管評価値を算出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項15】
前記画像撮影手段において撮影した前記近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成する縮小画像作成手段をさらに備えており、
前記血管領域抽出手段は、前記縮小近赤外光画像に対して前記血管領域を抽出し、
前記血管評価値算出手段は、前記縮小近赤外光画像に対して前記血管評価値を算出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項16】
前記縮小画像作成手段は、前記近赤外光画像において最大径を持つ前記血管像の太さの直径が一定になるように倍率を決定し、前記近赤外光画像を縮小する、
請求項15に記載の血管位置取得装置。
【請求項17】
前記撮影条件設定手段において設定する前記撮影条件は、前記生体に照射する前記近赤外光の光量とする、
請求項1から16に記載の血管位置取得装置。
【請求項18】
前記撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、前記生体に照射する前記近赤外光の波長とする、
請求項1から16のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項19】
前記撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、特定の波長のみ通過させる光学フィルタの通過帯域とする、
請求項1から16のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項20】
前記撮影条件設定手段において設定する撮影条件は、前記生体を撮影する前記画像撮影手段の絞り値とする、
請求項1から16のいずれか1項に記載の血管位置取得装置。
【請求項21】
前記撮影条件設定手段は、小さい値から大きい値に、もしくは、大きい値から小さい値に比例して変化するように前記撮影条件を設定するパラメータ設定し、
前記撮影条件決定手段は、前記血管評価値算出手段で求めた複数の前記血管評価値のうち時間軸方向に連続する前記血管評価値の前後で値が所定値以上変化した場合を除いて、前記最適撮影条件を決定する、
請求項1記載の血管位置取得装置。
【請求項22】
生体を撮影する際の撮影条件を設定する撮影条件設定工程と、
前記撮影条件に基づいて近赤外光が照射された前記生体からの反射光または透過光を撮影し近赤外光画像を生成する画像撮影工程と、
前記近赤外光画像内の血管像を血管領域として抽出する血管領域抽出工程と、
前記血管領域に基づいて血管評価画素と前記血管領域に隣接する皮膚評価画素とを決定し、前記血管領域を評価するための血管評価値を算出する血管評価値算出工程と、
前記血管評価算出工程において算出された前記血管評価値に基づいて最適撮影条件を決定する撮影条件決定工程と、
を備えている血管位置取得方法。
【請求項23】
前記血管評価値算出工程は、前記皮膚評価画素の輝度値から前記血管評価画素の輝度値を減算することによって前記血管評価値を算出する、
請求項22に記載の血管位置取得方法。
【請求項24】
前記血管評価値算出工程は、複数の前記撮影条件において前記血管評価値を算出し、
前記撮影条件決定工程は、前記血管評価値が最大の時の前記撮影条件を前記最適撮影条件として決定する、
請求項22または23に記載の血管位置取得方法。
【請求項25】
前記血管評価値算出工程は、
前記血管領域の幅方向において中心となる画素を前記血管評価画素とする血管評価画素算出工程と、
前記血管領域の輪郭画素を前記幅方向において外側に所定の画素膨張させ、膨張させた前記画素を皮膚評価画素とする皮膚評価画素算出工程と、
前記血管評価画素の中の1つを中心とした注目範囲に存在する前記皮膚評価画素の輝度値を用いて求めた皮膚代表値から、前記注目範囲に存在する前記血管評価画素の輝度値を用いて求めた血管代表値を減算した差分値を、前記近赤外光画像における全ての前記血管評価画素位置においてそれぞれ求め、前記差分値を全て足し合わせることで前記血管評価値を算出する評価値算出工程と、
を有している、請求項22から24のいずれか1項に記載の血管位置取得方法。
【請求項26】
前記画像撮影工程において撮影した前記近赤外光画像を縮小した縮小近赤外光画像を作成する縮小画像作成工程をさらに備えており、
前記血管領域抽出工程は、前記縮小近赤外光画像に対して前記血管領域を抽出し、
前記血管評価値算出工程は、前記縮小近赤外光画像に対して前記血管評価値を算出する、
請求項22から25のいずれか1項に記載の血管位置取得方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−172077(P2009−172077A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12392(P2008−12392)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】