説明

血管状態推定装置、血管状態推定方法及び血管状態推定プログラム

【課題】血管の状態を精度良く簡易に推定すること。
【解決手段】血管状態推定装置は、2つの光センサを有する。また、血管状態推定装置は、光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。そして、血管状態推定装置は、光センサごとに、電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する。そして、血管状態推定装置は、光センサごとに、特徴点識別部によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する。そして、血管状態推定装置は、光センサごとに算出した差分に基づいて人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管状態推定装置、血管状態推定方法及び血管状態推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管の伸展性や弾力性が加齢により変化することを踏まえ、血管の状態を推定する推定装置がある。例えば、推定装置は、加速度脈波や血圧脈波を用いることで、血管の状態が何歳に相当するかを推定する。
【0003】
例えば、加速度脈波を用いて血管の状態を推定する場合について更に説明する。例えば、推定装置は、利用者の指尖容積脈波を検出し、検出した指尖容積脈波を2回微分することで、図16に示すような加速度脈波を生成する。なお、図16は、加速度脈波の一例について説明するための図である。図16の横軸は時間軸を示し、図16の縦軸は、指尖容積脈波を2回微分することで得られた値を示す。また、図16のa〜eは、加速度脈波に含まれる特徴点各々を示す。図16に示す例では、推定装置は、基線を基準とした場合における特徴点a、b、dの高さを算出し、特徴点b、dの高さをそれぞれ特徴点aの高さで除算する。ここで、除算することで得られた値である「b/a」や「d/a」と年齢との間には相関関係があることを踏まえ、推定装置は、「b/a」や「d/a」を用いて血管の状態を推定する。例えば、推定装置は、利用者の血管の状態が20代であると推定する。
【0004】
また、血圧脈波を用いて血管の状態を推定する場合について更に説明する。例えば、まず、利用者の両腕と両足首に予めカフを装着しておく。そして、推定装置は、血圧脈波が心臓から両腕に伝搬するまでの時間と、血圧脈波が心臓から両足首に伝搬するまでの時間との差を測定することで、血圧脈波が伝搬する速度である脈波伝搬速度を測定する。そして、脈波伝搬速度と年齢との間には相関関係があることを踏まえ、推定装置は、測定した脈波伝搬速度を用いて血管の状態を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−102250号公報
【特許文献2】特開2000−51166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、加速度脈波を用いた手法では、精度が悪いという課題があった。すなわち、脈波は様々な要因によって変化し、例えば、血圧値によって変化する。また、血圧値もまた、様々な要因によって変化し、例えば、利用者の呼吸によって変化する。このため、加速度脈波を用いる推定装置では、測定するごとに脈波が変化する結果、精度が悪かった。例えば、加速度脈波を用いる推定装置では、処理を行うごとに得られる年齢の幅が大きかった。このように、加速度脈波を用いた手法では、精度が悪いという課題があった。
【0007】
また、例えば、血圧脈波を用いた手法では、簡易に測定できないという課題があった。すなわち、推定装置では、利用者がカフを予め装着しなければならなかった。また、カフを装着すると、利用者の足首や両腕が締め付けられることになり、利用者への負荷が大きかった。また、カフを用いる場合には、装置を小型化することが難しかった。このように、血圧脈波を用いた手法では、簡易に測定できないという課題があった。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、血管の状態を精度良く簡易に推定可能な血管状態推定装置、血管状態推定方法及び血管状態推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示する血管状態推定装置の一つの態様によれば、人体へ光を照射する発光素子と、前記発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、前記発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する光センサを備える。また、血管状態推定装置は、少なくとも2つの光センサを有する。また、血管状態推定装置は、前記光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて前記人体の脈波を検出し、該脈波を電気信号に変換する脈波検出部を備える。また、血管状態推定装置は、前記光センサごとに、前記脈波検出部によって変換された電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、該n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する特徴点識別部を備える。また、血管状態推定装置は、前記光センサごとに、前記特徴点識別部によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する差分算出部を備える。また、血管状態推定装置は、前記差分算出部によって前記光センサごとに算出された差分に基づいて前記人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する血管状態推定部を備える。
【発明の効果】
【0010】
開示する血管状態推定装置の一つの態様によれば、血管の状態を精度良く簡易に推定可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る血管状態推定装置の構成の一例について説明するブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係る血管状態推定装置の構成の一例について説明するブロック図である。
【図3】図3は、実施例2における光センサの使用態様の一例について説明する図である。
【図4】図4は、実施例2における光センサの構造の一例について説明する図である。
【図5】図5は、実施例2における搭載基板の詳細な一例について説明する図である。
【図6】図6は、実施例2における光センサによって変換された電気信号が示す波形の一例について説明する図である。
【図7】図7は、実施例2における閾値テーブルに記憶された情報の一例について説明する図である。
【図8】図8は、実施例2における脈波間隔算出部による脈飛びがあった箇所を識別する処理の一例について説明する図である。
【図9A】図9Aは、実施例2における2次微分波形の一例について説明する図である。
【図9B】図9Bは、実施例2における2次微分波形の一例について説明する図である。
【図10】図10は、実施例2における特徴点識別部による特徴点識別処理について更に説明する図である。
【図11】図11は、実施例2における差分算出部による出現時間の差分算出処理の一例について説明する図である。
【図12A】図12Aは、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。
【図12B】図12Bは、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。
【図12C】図12Cは、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。
【図13】図13は、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。
【図14】図14は、実施例2に係る血管状態推定装置による処理の流れの一例について説明するフローチャートである。
【図15】図15は、実施例2に係る血管状態推定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する図である。
【図16】図16は、加速度脈波の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、開示する血管状態推定装置、血管状態推定方法及び血管状態推定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例により開示する発明が限定されるものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0013】
図1を用いて、実施例1に係る血管状態推定装置100の構成の一例について説明する。図1は、実施例1に係る血管状態推定装置の構成の一例について説明するブロック図である。血管状態推定装置100は、図1に示す例では、光センサ101と、光センサ102と、脈波検出部103と、特徴点識別部104と、差分算出部105と、血管状態推定部106とを有する。
【0014】
光センサ101や光センサ102は、人体へ光を照射する発光素子と、発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する。
【0015】
脈波検出部103は、光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。また、特徴点識別部104は、光センサごとに、脈波検出部103によって変換された電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する。
【0016】
差分算出部105は、光センサごとに、特徴点識別部104によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する。また、血管状態推定部106は、差分算出部105によって光センサごとに算出された差分に基づいて人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する。
【0017】
このように、実施例1によれば、血管の状態を精度良く推定可能である。すなわち、脈波は様々な要因によって変化し、例えば、血圧値によって変化する。また、血圧値もまた、様々な要因によって変化し、例えば、利用者の呼吸によって変化する。この結果、脈波の時間軸を基準とした場合における特徴点の高さを用いて血管の状態を推定すると、精度が悪かった。しかしながら、実施例1によれば、特徴点各々の出現時間は血圧値などによる変動を受けにくいことを踏まえ、特徴点の出現時間の差分に基づいて血管の状態を推定するので、精度良く推定することが可能である。
【0018】
また、実施例1によれば、カフを用いる手法と比較して、血管の状態を簡易に推定可能である。
【実施例2】
【0019】
[血管状態推定装置の構成]
次に、実施例2に係る血管状態推定装置200について説明する。まず、図2を用いて、実施例2に係る血管状態推定装置200の構成の一例について説明する。図2は、実施例2に係る血管状態推定装置の構成の一例について説明するブロック図である。血管状態推定装置200は、図2に示す例では、光センサ201と、光センサ202と、出力部203と、記憶部300と、制御部400とを有する。
【0020】
光センサ201と光センサ202とは、制御部400と接続される。また、光センサ201や光センサ202は、人体へ光を照射する発光素子と、発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する。また、光センサ201と光センサ202とは、それぞれ異なる太さの血管がある人体の部分に光を照射する。
【0021】
ここで、発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が該当する。また、受光素子は、例えば、PD(Photo Diode)が該当する。発光素子として用いられるLEDは、例えば、760nm付近の波長の光を照射する。なお、以下では、発光素子として用いられるLEDが760nm付近の波長の光を照射する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、発光素子として用いられるLEDは、760nmよりも長波長側の光を照射しても良く、760nmよりも短波長側の光を照射しても良く、利用者が任意の波長を選択して良い。
【0022】
図3を用いて、光センサ201や光センサ202の使用態様の一例について説明する。図3は、実施例2における光センサの使用態様の一例について説明する図である。図3では、血管状態推定装置200が移動体端末である場合を例に示した。図3に示す例では、光センサ201は、クリップ状の形状を有し、利用者によって耳朶に装着されることで耳と接触する。また、図3に示す例では、光センサ201は、ケーブルを介して血管状態推定装置200の筐体と接続される。また、図3に示す例では、光センサ202は、血管状態推定装置200の筐体に設けられ、利用者によって指が押しつけられることで指と接触する。
【0023】
なお、以下では、図3に示すように、光センサ201は耳と接触し、光センサ202が指と接触する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光センサ201や光センサ202が接触する箇所は、利用者が任意に選択して良い。
【0024】
また、以下では、図3に示すように、光センサ201は、クリップ状の形状を有して耳に装着される場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光センサ201は、クリップ状ではなく板状であっても良く、利用者が任意の形状を選択して良い。
【0025】
また、以下では、図3に示すように、光センサ201は、ケーブルを介して血管状態推定装置200の筐体と接続される場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光センサ201は、無線を介して血管状態推定装置200の筐体と接続されても良く、利用者が任意の接続形態を選択して良い。また、同様に、光センサ201は、血管状態推定装置100の筐体に設けられても良い。
【0026】
また、以下では、図3に示すように、光センサ202は、血管状態推定装置200の筐体に設けられる場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光センサ202は、ケーブルや無線を介して血管状態推定装置200の筐体と接続されても良く、利用者が任意の接続形態を選択して良い。
【0027】
光センサ201の構造の一例について、図4を用いて説明する。図4は、実施例2における光センサの構造の一例について説明する図である。図4には、光センサ201について、光センサ201を形成する各部を分解した上で示した。図4に示すように、光センサ201は、カバーケース504に、開閉可能なふたとしてクリップ状に可動する開口制御ラバー501が取り付けられる。その上で、開口制御ラバー501のカバーケース504側の面には、可視光をカットする可視光カットフィルタ502と、LED(Light Emitting Diode)やPD(Photo Diode)が搭載される搭載基板503とが順に積層される。
【0028】
ここで、可視光カットフィルタ502は、開口制御ラバー501を透過した可視光線を遮断することで、搭載基板503に搭載されたPDが、開口制御ラバー501を透過した可視光線を検知しないようにする。搭載基板503に搭載されたLEDは、発光素子に対応し、搭載基板503に搭載されたPDは、受光素子に対応する。なお、光センサ202は、例えば、搭載基板503が血管状態推定装置200の筐体に設けられることで実現される。
【0029】
また、図5を用いて、搭載基板503の詳細な一例について説明する。図5は、実施例2における搭載基板の詳細な一例について説明する図である。図5に示す例では、光センサ201の搭載基板503である場合を例に示した。つまり、図5に示す例では、搭載基板503が耳507と接触する場合を例に示した。
【0030】
図5に示すように、搭載基板503の平面上には、LEDなどの発光素子505と、PDなどの受光素子506とが設けられる。また、搭載基板503は、耳507と接触する。ここで、図5に示すように、受光素子506は、発光素子505から照射された光のうち、耳507によって反射された光を受光し、受光した光の変化量を検知する。あるいは、受光素子506は、発光素子505から照射された光のうち、耳507を透過した光を受光し、受光した光の変化量を検知する。
【0031】
光センサ201は、光センサ202と同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。例えば、光センサ201は、耳にて脈波を検出し、電気信号に変換する。また、光センサ202は、光センサ201と同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。例えば、光センサ202は、指にて脈波を検出し、電気信号に変換する。
【0032】
光センサ201や光センサ202が脈波を検出する処理について、更に説明する。まず、発光素子が光を照射する箇所の血流量と、受光素子が受光する光の量との間には、相関関係にある。具体的には、発光素子が光を照射する箇所の血流量が増加すればするほど、発光素子が光を照射する箇所の血流によって吸収される光の量が増加し、受光素子が受光する光の量が減少する。次に、心臓の鼓動により発生した脈波が到達すると、血管が広がり、発光素子が光を照射する箇所の血流量が増加する。つまり、光センサ201や光センサ202は、受光素子によって受光される光の変化量を検出することで、発光素子が光を照射する箇所の血流量の変化を検知する。また、この結果、光センサ201や光センサ202は、血流量の変化を検知することで、脈波を検出する。
【0033】
図6を用いて、光センサ201や光センサ202によって変換された電気信号が示す波形の一例について説明する。なお、図6は、光センサによって変換された電気信号が示す波形の一例について説明する図である。ここで、図6の(1)は、光センサ201によって変換された電気信号が示す波形の一例を示す。言い換えると、図6の(1)は、耳と接触した光センサについての波形である。図6の(2)は、光センサ202によって変換された電気信号が示す波形の一例を示す。言い換えると、図6の(2)は、指と接触した光センサについての波形である。図6の(1)や(2)の横軸は、時間軸を示し、図6の(1)や(2)の縦軸は、受光素子によって受光された光の量を示す。つまり、縦軸は、光センサが光を照射する箇所における血流量を示す。また、この結果、図6の(1)や(2)において、血流量があがっている箇所は、心臓の鼓動により発生した脈波が到達したことを示す。
【0034】
図2の説明に戻る。出力部203は、制御部400と接続される。出力部203は、制御部400から情報を受け付け、受け付けた情報を出力する。出力部203は、例えば、モニタやディスプレイ、タッチパネル、又は、スピーカなどが該当する。なお、出力部203によって出力される情報の詳細については、ここでは説明を省略し、関係する各部について説明する際に併せて説明する。
【0035】
記憶部300は、制御部400と接続される。また、記憶部300は、制御部400による各種処理に用いるデータを記憶する。記憶部300は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置である。記憶部300は、図2に示す例では、閾値テーブル301を有する。
【0036】
閾値テーブル301は、後述するように、血管状態推定部406によって用いられる閾値を記憶する。例えば、図7を用いて、閾値テーブル301に記憶された情報の一例について説明する。図7は、実施例2における閾値テーブルに記憶された情報の一例について説明する図である。図7に示す例では、血管の状態が相当する年代を示す「年代」を記憶する場合を示した。また、図7の「閾値」に含まれる「s」は、後述するように、血管状態推定部406によって算出される値である。図7の「s」の詳細については、血管状態推定部406について説明する際に併せて説明するため、ここでは説明を省略する。
【0037】
図7に示すように、閾値テーブル301は、年代に対応付けて閾値を記憶する。例えば、図7に示す例では、閾値テーブル301は、年代「20代」に対応付けて閾値「0<s<2」を記憶し、年代「30代」に対応付けて閾値「2<s<4」を記憶する。また、図7に示す例では、閾値テーブル301は、年代「40代」や「50代」についても閾値を記憶する。すなわち、例えば、閾値テーブル301は、血管状態推定部406によって「s=1」であると算出された場合には、血管の状態が「20代」に相当することを記憶する。
【0038】
なお、以下では、図7に示すように、閾値テーブル301は、年代ごとに閾値を記憶する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、閾値テーブル301は、年齢ごとに閾値を記憶しても良く、利用者が任意に設定した範囲ごとに閾値を記憶して良い。
【0039】
制御部400は、光センサ201、光センサ202、出力部203及び記憶部300と接続される。制御部400は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部400は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。制御部400は、図2に示す例では、脈波間隔算出部401と、脈波間隔算出部402と、n次微分処理部403と、特徴点識別部404と、差分算出部405と、血管状態推定部406とを有する。
【0040】
なお、図2に示す例では、脈波間隔算出部401と脈波間隔算出部402とを別の制御部として記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、統合して1つの制御部としても良い。また、脈波間隔算出部401と脈波間隔算出部402とは、それぞれ、光センサ201や光センサ202と統合しても良い。
【0041】
脈波間隔算出部401は、光センサ201によって変換された電気信号が示す波形から、連続する2つの脈波の間の脈波間隔を算出する。具体的には、脈波間隔算出部401は、電気信号が示す波形のうち最大点を識別し、隣接する最大点間の間隔を算出することで脈波間隔を算出する。また、脈波間隔算出部402は、脈波間隔算出部401と同様に、光センサ202によって変換された電気信号が示す波形から、脈波間隔を算出する。
【0042】
また、脈波間隔算出部401や脈波間隔算出部402は、それぞれ、脈波間隔を用いて脈飛びがあった箇所を識別する。脈飛びがあった箇所を識別する処理の一例について、図8を用いて説明する。図8は、実施例2における脈波間隔算出部による脈飛びがあった箇所を識別する処理の一例について説明する図である。図8の(1)は、光センサ201についての波形を示し、図6の(1)に対応する。つまり、図8の(1)は、耳と接触した光センサについての波形である。図8の(2)は、光センサ202についての波形を示し、図6の(2)に対応する。つまり、図8の(2)は、指と接触した光センサについての波形である。図8の(1)や(2)の横軸は、時間軸を示し、図8の(1)や(2)の縦軸は、血流量を示す。また、図8の(1)の横軸と図8の(2)の横軸とは、それぞれ対応するものとして説明する。言い換えると、横軸が同じ位置である場合には、図8の(1)と(2)とが同じ時間におけるデータを示すものとして説明する。また、図8の「脈波n」(nは自然数)は、波形に含まれる脈波それぞれを示し、図8の「最大点」は、脈波それぞれに含まれる最大点を示す。また、図8の「脈波間隔」は、脈波間隔算出部401や脈波間隔算出部402によって算出される脈波間隔を示す。
【0043】
ここで、図8の(1)に示す例では、脈波1〜6間における連続する2つの脈波間の脈波間隔には、他の脈波間隔のn倍(nは自然数)となる脈波間隔はない。言い換えると、図8の(1)に示す例では、脈波間隔は、どれも同じような値になる。この場合、脈波間隔算出部401は、脈飛びがないと判定する。一方、図8の(2)に示す例では、脈波1〜2間の脈波間隔は、脈波2〜5間における連続する2つの脈波間の脈波間隔と比較して2倍の値になる。この場合、脈波間隔算出部401は、脈波1〜2間において脈飛びがあったと識別する。なお、脈波間隔算出部401による処理結果は、後述するように、特徴点識別部404によって用いられる。
【0044】
n次微分処理部403は、光センサごとに、電気信号が示す波形に対してn次微分(nは自然数)を実行する。具体的には、n次微分処理部403は、光センサ201についての波形に対してn次微分(nは自然数)を実行し、また、光センサ202についての波形に対してn次微分(nは自然数)を実行する。以下では、特に言及しない限り、n次微分処理部403は、2次微分を実行する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n次微分処理部403は、1次微分や3次微分を実行しても良く、利用者が任意の微分回数を設定して良い。
【0045】
例えば、n次微分処理部403は、2次微分を実行した場合には、図9Aや図9Bに示すような2次微分波形が得られる。ここで、図9Aと図9Bとは、実施例2における2次微分波形の一例について説明する図である。図9Aの(1)は、光センサ201についての波形を示し、図6の(1)や図8の(1)に対応する。つまり、図9Aの(1)は、耳と接触した光センサについての波形である。図9Aの(2)は、図9Aの(1)に対して2次微分することで得られた2次微分波形である。つまり、図9Aの(2)は、耳についての2次微分波形である。図9Bの(1)は、光センサ202についての波形を示し、図6の(2)や図8の(2)に対応する。つまり、図9Bの(1)は、指と接触した光センサについての波形である。図9Bの(2)は、図9Bの(1)に対して2次微分することで得られた2次微分波形である。つまり、図9Bの(2)は、指についての2次微分波形である。
【0046】
また、図9Aや図9Bの横軸は、時間軸を示す。また、図9Aの(1)や図9Bの(1)の縦軸は、血流量を示す。図9の(1)の横軸と図9の(2)の横軸とは、それぞれ対応するものとして説明する。また、図9Aの(2)や図9Bの(2)の縦軸は、2次微分により得られた値を示す。
【0047】
特徴点識別部404は、光センサごとに、2次微分波形に含まれる特徴点を識別する。具体的には、特徴点識別部404は、光センサ201に対応する2次微分波形に含まれる脈波ごとに特徴点を複数識別する。また、特徴点識別部404は、光センサ202に対応する2次微分波形に含まれる脈波ごとに特徴点を複数識別する。
【0048】
また、特徴点識別部404は、脈波間隔算出部401による処理結果に基づいて、両方の2次微分波形に脈波が含まれるタイミングを識別する。そして、特徴点識別部404は、識別したタイミングに含まれる脈波ごとに、少なくとも4つの特徴点を識別する。つまり、特徴点識別部404は、2次微分波形に含まれる脈波ごとに少なくとも4つの特徴点を識別する。
【0049】
図10を用いて、特徴点識別部404による特徴点識別処理について更に説明する。図10は、実施例2における特徴点識別部による特徴点識別処理について更に説明する図である。なお、図10の(1)は、耳についての2次微分波形であり、図9Aの(2)に対応する。また、図10の(2)は、指についての2次微分波形であり、図9Bの(2)に対応する。図10の(1)に示すように、耳についての2次微分波形には脈飛びがなく、図10の(2)に示すように、指についての2次微分波形には脈波1と脈波2との間に脈飛びがある場合を例に説明する。
【0050】
また、図10の(1)や(2)の横軸は、時間軸を示し、図10の(1)や(2)の縦軸は、2次微分処理により得られた値を示す。図10の(1)の横軸と図10の(2)の横軸とは、それぞれ対応するものとして説明する。図10の「脈波n」(nは自然数)は、波形に含まれる脈波それぞれを示し、図10の「特徴点a〜e」は、特徴点識別部404によって脈波ごとに識別された特徴点を示す。また、図10の「脈飛びあり」に示すように、脈飛びがあった箇所を示した。なお、特徴点「a」〜「e」は、それぞれ、1番特徴点〜5番特徴点とも称する。なお、1番特徴点は、脈波に含まれる特徴点のうち出現時間が1番目になる特徴点を示す。また、同様に、2番特徴点〜5番特徴点は、それぞれ、脈波に含まれる特徴点のうち出現時間が2番目〜5番目になる特徴点を示す。
【0051】
この場合、特徴点識別部404は、図10の(1)の脈拍1、3〜6と同じタイミングにおいて、図10の(2)に示す2次微分波形にも脈波が含まれると識別する。この結果、特徴点識別部404は、図10の(1)の脈拍1、3〜6について特徴点を識別する。また、特徴点識別部404は、脈拍1、3〜6と同じタイミングにある脈波について特徴点を識別する。例えば、特徴点識別部404は、図10の(1)の脈拍1〜5について特徴点を識別する。なお、図10に示すように、図10の(1)の脈拍1、3〜6は、それぞれ、図10の(2)の脈拍1〜5と同じタイミングになる。
【0052】
また、図10に示すように、特徴点識別部404は、脈拍ごとに少なくても4つの特徴点を識別する。例えば、特徴点識別部404は、特徴点a〜eあるいは特徴点a〜dを脈拍ごとに識別する。なお、図10の(1)や(2)に示すように、特徴点a〜dについては、ほとんどの2次微分波形において識別可能である。図10の(1)に示すように、特徴点eについては、識別できないことが多々あることが知られている。
【0053】
なお、図10に示す例では、図10の(1)に示すように、耳についての2次微分波形において、特徴点識別部404が特徴点eを識別できなかった場合を例に示した。また、図10の(2)に示すように、指についての2次微分波形において、特徴点識別部404が特徴点eを識別できた場合を例に示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、耳についての2次微分波形において特徴点eを識別できた場合であっても良く、指についての2次微分波形において特徴点eを識別できなかった場合であっても良い。
【0054】
差分算出部405は、光センサごとに、特徴点識別部404によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する。具体的には、差分算出部405は、光センサ201に対応する2次微分波形の特徴点について差分を算出する。また、差分算出部405は、光センサ202に対応する2次微分波形の特徴点について差分を算出する。ここで、出現時間の差分は、時間が該当する。例えば、出現時間の差分は、1秒や5m秒などの時間が該当する。
【0055】
例えば、差分算出部405は、他方の光センサと比較して太い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、3番目の特徴点と4番目の特徴点との間の第1の差分を算出する。また、差分算出部405は、他方の光センサと比較して細い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、1番目の特徴点と2番目の特徴点との間の第2の差分を算出する。
【0056】
図11を用いて更に説明する。図11は、実施例2における差分算出部による出現時間の差分算出処理の一例について説明する図である。図11の(1)は、耳についての2次微分波形であり、図9Aの(2)や図10の(1)に対応する。また、図11の(2)は、指についての2次微分波形であり、図9Bの(2)や図10の(2)に対応する。また、図11の(1)や(2)の横軸は、時間軸を示し、図11の(1)や(2)の縦軸は、2次微分処理により得られた値を示す。図11の(1)の横軸と図11の(2)の横軸とは、それぞれ対応するものとして説明する。図11の「脈波n」(nは自然数)は、波形に含まれる脈波それぞれを示す。図11の「特徴点a〜d」は、特徴点識別部404によって識別された特徴点を示す。
【0057】
この場合、差分算出部405は、図11の(1)の「耳差分1」〜「耳差分5」に示すように、耳についての2次微分波形に含まれる脈拍1、3〜6について、特徴点aが出現する時間と、特徴点bが出現する時間との間の差分の絶対値を算出する。また、差分算出部405は、図11の(2)の「指差分1」〜「指差分5」に示すように、指についての2次微分波形に含まれる脈拍1〜5について、特徴点cが出現する時間と、特徴点dが出現する時間との間の差分の絶対値を算出する。
【0058】
なお、以下では、耳についての2次微分波形と指についての2次微分波形とについて、それぞれ、特徴点c−d間の出現時間の差分と特徴点a−b間の出現時間の差分とを算出する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、差分算出部405は、耳についての2次微分波形について、特徴点a−b間の出現時間の差分や特徴点b−c間の出現時間の差分を算出しても良い。また、例えば、差分算出部405は、指についての2次微分波形について、特徴点b−c間の出現時間の差分や特徴点c−d間の出現時間の差分を算出しても良い。また、差分算出部405は、耳についての2次微分波形と指についての2次微分波形との両方において、同じ特徴点間の差分を算出しても良い。
【0059】
血管状態推定部406は、差分算出部405によって光センサごとに算出された差分に基づいて人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する。具体的には、血管状態推定部406は、光センサごとに算出された差分間の差分であるセンサ間差分を、差分算出部405が算出した複数の差分ごとに算出する。例えば、血管状態推定部406は、第1の差分と第2の差分との間の差分を脈波ごとに算出することでセンサ間差分各々を算出する。図10に示す例を用いて説明すると、血管状態推定部406は、耳差分1〜5と、指差分1〜5との間の差分をそれぞれ算出することで、センサ間差分1〜5を算出する。
【0060】
なお、血管状態推定部406は、5つのセンサ間差分を算出する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、4つ以下のセンサ間差分を算出しても良く、6つ以上のセンサ間差分を算出しても良く、利用者が任意に設定して良い。
【0061】
また、血管状態推定部406は、センサ間差分各々が広く分散した場合には狭く分散した場合よりも血管年齢が高いと推定し、センサ間差分各々が狭く分散した場合には広く分散した場合よりも血管年齢が低いと推定する。なお、血管年齢は、血管の状態が相当する年齢を示す。つまり、血管年齢が「20代」であると推定された場合には、血管の状態が、20代の人の血管の状態と同等であることを示す。
【0062】
図12A〜図12Cを用いて、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明する。なお、図12A〜図12Cは、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。図12Aは、30歳代の利用者のデータから算出された指差分と耳差分との関係を示した図である。図12Bは、40歳代の利用者のデータから算出された指差分と耳差分との関係を示した図である。図12Cは、50歳代の利用者のデータから算出された指差分と耳差分との関係を示した図である。図12A〜図12Cにおいて、横軸は、脈拍数を示し、縦軸は、指差分又は耳差分の絶対値を示す。
【0063】
図12Aに示すように、30歳の利用者のデータでは、指差分と耳差分とが全体的に同じように変化した。つまり、図12Aに示す例では、指差分が増加した場合には耳差分も増加し、指差分が減少した場合には耳差分も減少した。一方、図12Bに示すように、43歳の利用者のデータでは、指差分と耳差分とが同じように変化したり、同じように変化しなかったりした。つまり、図12Bの601に示す例では、指差分が増加した場合には耳差分も増加し、指差分が減少した場合には耳差分も減少した。言い換えると、図12Bの601に示す例では、指差分と耳差分とが同じように変化した。これに対して、図12Bの602に示す例では、指差分が増加した場合には耳差分が減少し、指差分が減少した場合には耳差分は増加した。言い換えると、図12Bの602に示す例では、指差分と耳差分とがばらばらに変化した。また、図12Cに示すように、50歳の利用者のデータでは、指差分と耳差分とが全体的にばらばらに変化した。
【0064】
つまり、年齢が低い場合には、センサ間差分がどれも同じような値になる結果、複数のセンサ間差分の分散の程度は、年齢が高い場合と比較して低くなると考えられる。一方、年齢が高い場合には、センサ間差分がばらばらな値になる結果、複数のセンサ間差分の分散の程度は、年齢が低い場合と比較して高くなると考えられる。
【0065】
図13を用いて、センサ間差分の分散と年齢との関係について更に説明する。図13は、センサ間差分の分散と年齢との関係について説明するための図である。図13の横軸は、センサ間差分の値を示し、図13の縦軸は、対応するセンサ間差分の値が得られる確率を示す。つまり、縦軸の値が高ければ高いほど、対応するセンサ間差分の値が得られる確率が高いことを示す。言い換えると、血管状態推定部406が複数のセンサ間差分を算出した場合に、同じ値のセンサ間差分が算出される確率が高いことを示す。
【0066】
図13に示すように、20代の場合には、他の年代と比較してピークの縦軸の値が最も高く、他の年代と比較してピークの横軸の幅が最も小さくなる。また、ピークの縦軸の値は、20代から50代へと加齢に従って値が小さくなり、ピークの横軸の幅は、20代から50代へと加齢に従って値が大きくなる。
【0067】
このように、センサ間差分の分散と年齢との間には、年齢が高くなるに従って、センサ間差分の分散の程度が大きくなるという関係がある。このことを踏まえ、血管状態推定部406は、血管の状態の推定し、推定結果を出力する。具体的には、利用者によって、センサ間差分の標準偏差の範囲が年代ごとに予め算出され、閾値テーブル301に格納される。その上で、血管状態推定部406は、センサ間差分各々の標準偏差を算出し、算出した標準偏差の値がいずれの閾値に該当するかを判定し、該当すると判定した閾値に対応する年齢を推定結果とする。なお、図7の「s」は、センサ間差分の標準偏差を示す。
【0068】
なお、例えば、血管状態推定部406は、下記の(数1)や(数2)を用いることで、標準偏差「s」を算出する。
【0069】
【数1】

【0070】
【数2】

【0071】
なお、(数1)は、「n」個算出したセンサ間差分の平均値を算出する式を示す。(数1)の「x」は、センサ間差分の値を示す。(数2)に示すように、標準偏差「s」は、(数1)にて算出した平均値を用いて算出される。
【0072】
つまり、血管状態推定部406は、センサ間差分各々について標準偏差を算出し、算出したセンサ間差分に対応する年代を閾値テーブル301から取得する。そして、取得した年代を推定結果として利用者に出力する。例えば、図7に示す例を用いて具体的に説明すると、血管状態推定部406は、算出した標準偏差が「1」である場合には、「20代」であると推定する。そして、血管状態推定部406は、推定結果となる「20代」を出力部203を介して利用者に出力する。
【0073】
なお、血管状態推定装置200は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)端末、移動体通信端末又はPDA(Personal Digital Assistant)を利用して実現しても良い。
【0074】
例えば、サーバに、図2に示した閾値テーブル301を搭載する。また、サーバに、脈波間隔算出部401と、脈波間隔算出部402と、n次微分処理部403と、特徴点識別部404と、差分算出部405と、血管状態推定部406との各機能を搭載することによって実現しても良い。この場合、例えば、サーバは、利用者が利用した光センサからデータを受信すると、血管の状態を推定し、推定結果を利用者が利用する情報端末に出力する。
【0075】
また、例えば、図2に示した各部を複数の装置に分散して搭載することで、血管の状態を推定しても良い。例えば、利用者が利用する情報端末(例えば、携帯電話)に、図2に示した各部のうち、光センサ201と、光センサ202と、脈波間隔算出部401と、脈波間隔算出部402と、n次微分処理部403と、特徴点識別部404と、差分算出部405とを搭載する。また、サーバに、閾値テーブル301と、血管状態推定部406とを搭載する。
【0076】
この場合、利用者が利用する情報端末は、差分算出部405によって算出された差分のデータをサーバに送信する。そして、サーバは、差分のデータを受信すると、受信した差分のデータに基づいて血管の状態を推定する。その後、サーバは、推定処理が終了すると、利用者が利用する情報端末に推定結果を送信する。また、例えば、サーバは、推定結果をデータベースに記憶しておき、利用者からサーバに対するアクセスがあると、データベースから推定結果を読み出して出力する。なお、利用者が利用する情報端末がサーバに送信する情報は、差分算出部405によって算出された差分である場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、利用者が利用する情報端末は、センサ間差分を算出した上でサーバに送信しても良く、脈波間隔算出部401〜差分算出部405によって実行される処理のうちどの段階のデータを送信しても良い。
【0077】
[血管状態推定装置による処理]
次に、図14を用いて、実施例2に係る血管状態推定装置200による処理の流れの一例について説明する。図14は、実施例2に係る血管状態推定装置による処理の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0078】
図14に示すように、光センサは、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出すると(ステップS101肯定)、脈波を電気信号に変換する(ステップS102)。つまり、光センサ201は、光センサ202と同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。また、光センサ202は、光センサ201と同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。
【0079】
そして、脈波間隔算出部401や脈波間隔算出部402は、それぞれ、光センサによって変換された電気信号が示す波形ごとに脈波間隔を算出する(ステップS103)。つまり、脈波間隔算出部401は、電気信号が示す波形のうち最大点を識別し、隣接する最大点間の間隔を算出することで脈波間隔を算出する。そして、脈波間隔算出部401や脈波間隔算出部402は、それぞれ、脈波間隔を用いて脈飛びがあった箇所を識別する(ステップS104)。
【0080】
そして、n次微分処理部403は、光センサごとに、電気信号が示す波形に対してn次微分(nは自然数)を実行する(ステップS105)。例えば、n次微分処理部403は、光センサ201によって変換された電気信号に対して2次微分を実行し、また、光センサ202によって変換された電気信号に対して2次微分を実行する。
【0081】
そして、特徴点識別部404は、光センサごとに、n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する(ステップS106)。例えば、図10の(1)に示すように、特徴点識別部404は、耳についての2次微分波形に含まれる脈波ごとに特徴点を複数識別する。また、図10の(2)に示すように、特徴点識別部404は、指についての2次微分波形に含まれる脈波ごとに特徴点を複数識別する。
【0082】
そして、差分算出部405は、光センサごとに、特徴点識別部404によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する(ステップS107)。例えば、図11の(1)に示すように、差分算出部405は、耳についての2次微分波形に含まれる脈拍について、耳差分1〜4を算出する。また、図11の(2)に示すように、差分算出部405は、指についての2次微分波形に含まれる脈拍について、指差分1〜4を算出する。
【0083】
そして、血管状態推定部406は、センサ間差分を複数算出する(ステップS108)。つまり、図10に示す例を用いて説明すると、血管状態推定部406は、耳差分1〜4と、指差分1〜4との間の差分をそれぞれ算出することで、センサ間差分1〜4を算出する。
【0084】
そして、血管状態推定部406は、血管の状態を推定する(ステップS109)。つまり、血管状態推定部406は、センサ間差分各々が広く分散した場合には狭く分散した場合よりも血管年齢が高いと推定し、センサ間差分各々が狭く分散した場合には広く分散した場合よりも血管年齢が低いと推定する。
【0085】
そして、血管状態推定部406は、推定結果を出力する(ステップS110)。例えば、血管状態推定部406は、血管状態推定装置200を利用する利用者に対して、出力部203を介して推定結果を出力する。例えば、血管状態推定部406は、「20代」であると出力する。
【0086】
なお、図14に示した処理手順は、上述した順番に限定されるものではなく、処理内容を矛盾させない範囲で適宜変更しても良い。例えば、血管状態推定装置200は、ステップS109において血管の状態を推定すると、推定結果を記憶部300に格納して処理を終了しても良い。この場合、例えば、血管状態推定装置200は、利用者から推定結果の要求を別途受け付けると、記憶部300に格納された推定結果を読み出して出力する。また、例えば、血管状態推定装置200は、ステップS104とS105やS106とを並列して実行しても良い。この場合、血管状態推定装置200は、脈飛びの箇所を識別する処理を実行するとともに、2次微分処理を実行して特徴点を識別する。そして、血管状態推定装置200は、脈飛びの箇所を識別した処理結果と、識別した特徴点とを用いて、センタ間差分を算出する。
【0087】
[実施例2の効果]
上述したように、実施例2によれば、血管状態推定装置200は、少なくとも2つの光センサを有する。また、血管状態推定装置200は、光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて人体の脈波を検出し、脈波を電気信号に変換する。そして、血管状態推定装置200は、光センサごとに、電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する。そして、血管状態推定装置200は、光センサごとに、特徴点の出現時間の差分を算出し、光センサごとに算出された差分に基づいて人体の血管の状態を推定する。そして、血管状態推定装置200は、推定結果を出力する。この結果、実施例2によれば、血管の状態を精度良く簡易に推定可能である。
【0088】
すなわち、実施例2によれば、特徴点各々の出現時間は血圧値などによる変動を受けにくいことを踏まえ、特徴点の出現時間の差分に基づいて血管の状態を推定するので、精度良く推定することが可能である。また、カフを用いる手法と比較して、実施例2によれば、血管の状態を簡易に推定可能である。
【0089】
また、実施例2によれば、血管状態推定装置200は、光センサごとに差分を複数算出する。そして、血管状態推定装置200は、光センサごとに算出された差分間の差分であるセンサ間差分を、差分算出部が算出した複数の差分ごとに算出する。そして、血管状態推定装置200は、センサ間差分各々が広く分散した場合には狭く分散した場合よりも血管年齢が高いと推定し、センサ間差分各々が狭く分散した場合には広く分散した場合よりも血管年齢が低いと推定する。この結果、実施例2によれば、センタ間差分の分散について算出するだけで、血管の状態を精度良く簡易に推定可能である。
【0090】
また、実施例2によれば、少なくとも2つある光センサは、それぞれ異なる太さの血管がある人体の部分に光を照射するので、血管の状態を精度良く推定可能である。つまり、血管の太さが違えば、加齢による血管の伸展性や弾力性に対する影響の大きさが異なることを踏まえ、それぞれ異なる太さの血管において光の変化量を検知して血管の状態を推定するので、血管の状態を精度良く推定可能である。
【0091】
また、実施例2によれば、血管状態推定装置200は、光センサごとに変換された電気信号に対して2次微分を実行し、2次微分波形に含まれる脈波ごとに少なくとも4つの特徴点を識別する。そして、血管状態推定装置200は、他方の光センサと比較して太い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、3番目の特徴点と4番目の特徴点との間の第1の差分を算出する。また、血管状態推定装置200は、他方の光センサと比較して細い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、1番目の特徴点と2番目の特徴点との間の第2の差分を算出する。そして、血管状態推定装置200は、第1の差分と第2の差分との間の差分を脈波ごとに算出することでセンサ間差分各々を算出する。この結果、血管の状態を精度良く推定可能である。
【0092】
すなわち、脈波には、心臓の鼓動により発生する駆動波と、駆動波が血管の分岐や壁にぶつかって反射することにより発生する反射波とがある。このため、電気信号が示す波形や2次微分波形に含まれる脈波は、駆動波と反射波との両方の成分が含まれる。また、血管の太さが同じであれば、血管の抹消になればなるほど、反射波の強さが強くなり、脈波のピークにおいて反射波が占める成分が大きくなると考えられる。また、血管の太さが細ければ細いほど、反射波の強さが強くなり、脈波のピークにおいて反射波が占める成分が大きくなると考えられる。また、血管は、老化すると、一度伸びた(拡張した)後の戻りが遅くなる結果、反射波に対する反応が悪くなると考えられる。
【0093】
このことを踏まえ、血管状態推定装置200は、血管の太さに応じて、駆動波の後にやってくると考えられる反射波の影響が相対的に大きい考えられる箇所の特徴点を用いて差分を算出する。耳と指とで光センサを使用する場合を例に説明すると、耳の場合には、指の血管と比較して血管が細い結果、指の場合と比較して反射波の影響が強くなると考えられ、脈波形のピーク付近に反射波の影響が現れると考えられる。このことを踏まえ、血管状態推定装置200は、耳の場合には、2次微分波形の特徴点のうち前の方にある特徴点a−bを用いて差分を算出する。また、指の場合には、耳の血管と比較して血管が太い結果、耳の場合と比較して反射波の影響が弱いと考えられ、脈波形のピークよりも後ろに反射波の影響が現れると考えられる。このことを踏まえ、血管状態推定装置200は、後ろの方にある特徴点c−dを用いて差分を算出する。このように、血管状態推定装置200は、反射波の影響が強くでると考えられる箇所を用いて血管の状態を推定するので、加齢による影響を精度良く検知でき、血管の状態を精度良く推定可能である。
【実施例3】
【0094】
さて、これまで本発明の実施例1及び2について説明したが、本発明は上記した実施例1及び2以外にも、その他の実施例にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施例について説明する。
【0095】
例えば、上述の実施例では、血管状態推定装置が、推定結果として年代を出力する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、血管状態推定装置は、血管の状態が良好か良好ではないかを出力しても良く、血管年齢が利用者の年齢よりも若いか老いているかを出力しても良く、利用者が任意に設定して良い。
【0096】
[システム構成]
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、上述した実施例では、血管状態推定装置200が、血管状態を推定し、推定結果を出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、血管状態推定装置200は、血管状態を推定することなく、センサ間差分についての標準偏差の値と閾値テーブルとを併せて出力するにとどめても良い。
【0097】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(図1〜図14)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、図3に示した閾値テーブル301のデータは、利用者が任意の値に変更しても良い。
【0098】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、光センサ201と光センサ202と出力部203とを血管状態推定装置200の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしても良い。また、血管状態推定部406と閾値テーブル301とを別の装置が有し、ネットワーク経由で接続されて協働することで、上述した血管状態推定装置200の機能を実現するようにしても良い。
【0099】
[コンピュータ]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図15を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する血管状態推定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図15は、実施例2に係る血管状態推定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する図である。
【0100】
図15に示すように、実施例2におけるコンピュータ3000は、操作部3001、マイク3002、スピーカ3003、ディスプレイ3004、光センサ3005、通信部3006、CPU3010、ROM3011、HDD(Hard Disk Drive)3012、RAM(Random Access Memory)3013をバス3009などで接続して構成されている。
【0101】
ROM3011には、上記の実施例2で示した脈波間隔算出部401〜血管状態推定部406の各部と同様の機能を発揮する制御プログラムが格納される。すなわち、図15に示す例では、ROM3011には、脈波間隔算出プログラム3011aと、n次微分処理プログラム3011bと、特徴点識別プログラム3011cとが予め記憶される。また、ROM3011には、差分算出プログラム3011dと、血管状態推定プログラム3011eとが予め記憶される。なお、これらのプログラム3011a〜3011eについては、図2に示した血管状態推定装置200の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。
【0102】
ここで、脈波間隔算出プログラム3011aは、脈波間隔算出部402と同様の機能を発揮する制御プログラムである。n次微分処理プログラム3011bは、n次微分処理部403と同様の機能を発揮する制御プログラムである。特徴点識別プログラム3011cは、特徴点識別部404と同様の機能を発揮する制御プログラムである。
【0103】
そして、CPU3010は、プログラム3011a〜3011bをROM3011から読み出して実行することで、脈波間隔算出プロセス3010aと、n次微分処理プロセス3010bとして機能する。また、CPU3010は、プログラム3011c〜3011eをROM3011から読み出して実行することで、n次微分処理プロセス3011cとして機能する。また、CPU3010は、プログラム3011d〜3011eをROM3011から読み出して実行することで、差分算出プロセス3010dと、血管状態推定プロセス3010eとして機能する。
【0104】
なお、各プロセス3010a〜3010eは、図2に示した、脈波間隔算出部401と、脈波間隔算出部402と、n次微分処理部403と、特徴点識別部404と、差分算出部405と、血管状態推定部406とにそれぞれ対応する。
【0105】
そして、HDD3012には、閾値テーブル3012aが設けられている。なお、閾値テーブル3012aは、図2に示した、閾値テーブル301に対応する。
【0106】
そして、CPU3010は、閾値テーブル3012aを読み出してRAM3013に格納する。そして、CPU3010は、RAM3013に格納された閾値データ3013aと、光の変化量データ3013bと、電気信号の波計データ3013cと、2次微分波計データ3013dと、差分データ3013eとを用いて、血管状態推定プログラムを実行する。
【0107】
[その他]
なお、本実施例で説明した血管状態推定プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、血管状態推定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【符号の説明】
【0108】
100 血管状態推定装置
101 光センサ
102 光センサ
103 脈波検出部
104 特徴点識別部
105 差分算出部
106 血管状態推定部
200 血管状態推定装置
201 光センサ
202 光センサ
203 出力部
300 記憶部
301 閾値テーブル
400 制御部
401 脈波間隔算出部
402 脈波間隔算出部
403 n次微分処理部
404 特徴点識別部
405 差分算出部
406 血管状態推定部
501 開口制御ラバー
502 可視光カットフィルタ
503 搭載基板
504 カバーケース
505 発光素子
506 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体へ光を照射する発光素子と、前記発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、前記発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する少なくとも2つの光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて前記人体の脈波を検出し、該脈波を電気信号に変換する脈波検出部と、
前記光センサごとに、前記脈波検出部によって変換された電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、該n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する特徴点識別部と、
前記光センサごとに、前記特徴点識別部によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部によって前記光センサごとに算出された差分に基づいて前記人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する血管状態推定部と
を備えたことを特徴とする血管状態推定装置。
【請求項2】
前記差分算出部は、前記光センサごとに差分を複数算出し、
前記血管状態推定部は、前記光センサごとに算出された差分間の差分であるセンサ間差分を、前記差分算出部が算出した複数の差分ごとに算出し、該センサ間差分各々が広く分散した場合には狭く分散した場合よりも血管年齢が高いと推定し、該センサ間差分各々が狭く分散した場合には広く分散した場合よりも血管年齢が低いと推定することを特徴とする請求項1に記載の血管状態推定装置。
【請求項3】
少なくとも2つある前記光センサは、それぞれ異なる太さの血管がある人体の部分に光を照射することを特徴とする請求項1に記載の血管状態推定装置。
【請求項4】
前記特徴点識別部は、前記光センサごとに、前記脈波検出部によって変換された電気信号に対して2次微分を実行し、2次微分波形に含まれる脈波ごとに少なくとも4つの特徴点を識別し、
前記差分算出部は、他方の光センサと比較して太い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、少なくとも4つの特徴点のうち出現時間が前から3番目になる3番特徴点と4番目になる4番特徴点との間の第1の差分を算出し、他方の光センサと比較して細い血管に光を照射する光センサについて、脈波ごとに、少なくとも4つの特徴点のうち出現時間が前から1番目になる1番特徴点と2番目になる2番特徴点との間の第2の差分を算出し、
前記血管状態推定部は、第1の差分と第2の差分との間の差分を脈波ごとに算出することでセンサ間差分各々を算出することを特徴とする請求項3に記載の血管状態推定装置。
【請求項5】
情報処理装置により実行される方法であって、
人体へ光を照射する発光素子と、前記発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、前記発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する少なくとも2つの光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて前記人体の脈波を検出し、該脈波を電気信号に変換する脈波検出ステップと、
前記光センサごとに、前記脈波検出ステップによって変換された電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、該n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する特徴点識別ステップと、
前記光センサごとに、前記特徴点識別ステップによって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する差分算出ステップと、
前記差分算出ステップによって前記光センサごとに算出された差分に基づいて前記人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する血管状態推定ステップと
を含んだことを特徴とする血管状態推定方法。
【請求項6】
情報処理装置に、
人体へ光を照射する発光素子と、前記発光素子から放射された後人体を透過した光の変化量、又は、前記発光素子から放射された後人体により反射された光の変化量を検出する受光素子とを有する少なくとも2つの光センサごとに、他の光センサと同期をとって検出された光の変化量に基づいて前記人体の脈波を検出し、該脈波を電気信号に変換する脈波検出手順と、
前記光センサごとに、前記脈波検出手順によって変換された電気信号に対してn次微分(nは自然数)を実行し、該n次微分の結果得られた波形であるn次微分波形に含まれる特徴点を識別する特徴点識別手順と、
前記光センサごとに、前記特徴点識別手順によって識別された特徴点の出現時間の差分を算出する差分算出手順と、
前記差分算出手順によって前記光センサごとに算出された差分に基づいて前記人体の血管の状態を推定し、推定結果を出力する血管状態推定手順と
を実行させることを特徴とする血管状態推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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