説明

血管硬化度評価装置、血管硬化度算出装置、および血管硬化度算出プログラム

【課題】
本発明は、血管の硬化度を評価あるいは算出する装置等に関し、身体の各部の血管の硬化度を評価、算出するのに好適な装置等を提供する。
【解決手段】
測定対象部位の脈波速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を測定し、Ln(Ps/Pd)・PWV2/(ΔP)(但し、ΔP=Ps−Pd、Lnはeを底とする自然対数である)を含む演算式、あるいは、測定対象部位の脈波速度PWVと血圧(平均血圧Pmと拡張期血圧Pd)を測定し、Ln(Pm/Pd)・PWV2/(ΔP)(但し、ΔP=Pm−Pd、Lnはeを底とする自然対数である)を含む演算式に基づいて測定対象部位の血管の硬化度を指標する評価値を算出して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の硬化度を評価あるいは算出する血管硬化度評価装置および血管硬化度算出装置、並びに、演算処理装置内で実行されその演算処理装置を血管硬化度算出装置として動作させる血管硬化度算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、益々の高齢化社会を迎え、動脈硬化性疾患の早期診断、早期治療への対策が急務とされている。このためには、先ずは、動脈硬化がどの程度進んでいるかを正しく測定、評価する必要がある。
【0003】
動脈硬化を非観血的に定量診断する手法の1つとして大動脈について2点間の脈波の伝播速度である脈波速度(PWV:Pulse Wave Velocity)を測定する大動脈脈波速度検査法が知られている。
【0004】
脈波速度は硬い物質中で速く、軟かい物質中では遅いこと、さらに、健康な動脈壁は柔かく弾力性に富み、動脈硬化の血管壁は硬くもろいことが知られている。大動脈脈波速度検査法は、この性質を利用するものであり、概略的に言うと大動脈の2点間の脈波の伝播速度を測定し、その速度が速いほど動脈硬化が進んでいると診断するものである。この脈波速度(PWV)は、通常、m/secの単位で表現される。
【0005】
図1は、脈波速度測定法の一例を示す模式図である。この図1に示す脈波速度測定法は、Frank法と呼ばれる測定法である。
【0006】
ここでは、図1(A)に示すように、2つの脈波センサを用い、それぞれ頸動脈と大腿動脈の脈波を測定する。また、大動脈弁口から各脈波測定点までの距離a,b+cを測る。大動脈弁口と大腿動脈測定用の脈波センサとの間を直線で測らずに折れ線(距離bと距離c)で測るのは、大動脈が延びる経路を考慮したものである。
【0007】
図1(B)は、各脈波センサで測定された、頸動脈波(a)および大腿動脈波(b)を示している。
【0008】
これらの脈波の所定の立ち上がり点、例えば波高値の1/5だけ立ち上がった点どうしの時間Tを求める。
【0009】
このように距離a,b,cと時間Tを求めることにより、脈波速度PWVは、
【0010】
【数1】

【0011】
により求められる。
【0012】
特許文献1には、上記の脈波速度測定法を基にした改良技術が開示されている。尚、この特許文献1では、頸動脈および大腿動脈波の脈波に代えて上腕動脈および足関節動脈の脈波測定が行なわれている。
【0013】
図2は、脈波速度測定法のもう1つの例を示す模式図である。この図2に示す脈波速度測定法は、吉村法と呼ばれる測定法である。
【0014】
図1に示すFrank法と同様に頸動脈と大腿動脈の脈波を測定する2つのセンサに加え、さらに大動脈弁口にもセンサを配置してII音の開始点を計測する。また、大動脈弁口と大腿動脈脈波測定用センサとの間の直線距離Dを測る。この直線距離Dと動脈の実際の経路との相違を補正するため、その直線距離Dを1.3倍する。
【0015】
また、図2(B)の(b)に示す頸動脈波の立ち上がりのタイミングから大腿動脈波の立ち上がりまでの時間Tと、大動脈弁口のII音のタイミングから、頸動脈波上の、そのII音を捉えたタイミングまでの時間tを測定する。
【0016】
このように、直線距離Dと、時間T,tを求めることにより、脈波速度PWVが、
【0017】
【数2】

【0018】
により求められる。
【0019】
ここで、脈波速度は、血圧により変動する。これは、血圧が上がるとその分血管が内部の血液に押されて膨張し、見かけ上血管が硬くなるためである。
【0020】
図3は、最小血圧(拡張期血圧)と大動脈脈波速度との関係を示すグラフである。この図3は、73の症例について、最小血圧(拡張期血圧)と大動脈脈波速度との関係を調べたものである。
【0021】
この図3に示すように、血圧が上昇すると大動脈脈波速度も高速となる。
【0022】
図4は、脈波速度補正カーブを示した図である。
【0023】
図3に示すように脈波速度は血圧によって変化する。そこで、図3に示すような多数の症例について統計的に解析し、図4に示すように脈波速度補正カーブを求めておく。実際の測定にあたっては脈波速度を測定するとともに血圧を測定し、測定した脈波速度を図4に示す脈波速度補正カーブに従って、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgのときの脈波速度に換算する。ここでは、この最小血圧(拡張期血圧)80mmHgのときの脈波速度に換算したときの脈波速度をPWV’と表記する。
【0024】
特許文献1でも、この血圧による補正が行なわれている。
【0025】
こうすることにより、その症例の脈波測定時の血圧には依存しない。その症例の脈波速度が求められ、その脈波速度を元に動脈硬化の診断が行なわれる。
【0026】
また、後の説明のために非特許文献1,2を挙げておく。
【特許文献1】特許第3140007号公報
【非特許文献1】「Stiffness Parameter βによるヒト頸動脈洞硬化の診断」脈管学Vol.25,No.80.1985 p.1199−1204
【非特許文献2】「Arterial Stiffness and Plus WaveVelocity Clinical Applications」 RolandASMAR,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上記のように脈波速度測定時に血圧も測定しておいて、測定された脈波速度を血圧で補正することにより、その補正された脈波速度を元に動脈硬化の進行程度の診断や動脈硬化に起因する様々な病気の診断に役立てることができる。
【0028】
ここで、動脈硬化は全身で同時に同一の状態で進行するとは限らず、身体の各部ごとに異なる場合もある。したがって動脈硬化の進行状況を精密に検査するには、身体の様々な部分の血管の脈波速度を簡便に測定できる測定法が好ましい。
【0029】
ところが、上記の脈波速度測定法の場合、血圧によって補正する必要があり、このためには、図4に示すような補正カーブをあらかじめ高精度に求めておく必要がある。この図4は大動脈の特定部位を特定の脈波測定法で測定したときの補正カーブであり、この図4に示すような補正カーブは、身体の部位ごとに異なる。この補正カーブを身体の様々な部位それぞれについて全て高精度に求めておくというのは、極めて困難である。このため従来は、脈波速度測定法は、例えば図1,図2に示すようにして特定の部位を測定する測定法として採用されていた。
【0030】
本発明は、上記事情に鑑み、血管の硬化度を簡便に評価、算出するのに好適な血管硬化度評価装置および血管硬化度算出装置、並びに、プログラムを実行することにより演算を行なう演算処理装置をそのような血管硬化度算出装置として動作させる血管硬化度算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成する本発明の血管硬化度評価装置のうちの第1の血管硬化度評価装置は、脈波速度PWVを求める脈波速度計測部と、収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を求める血圧測定部と、脈波速度計測部で求められた脈波速度と血圧測定部で求められた血圧とを用いて、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする。
【0032】
ここで、本発明の第1の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよく、この場合に、上記評価値算出部が、上記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであってもよい。
【0033】
あるいは、本発明の第1の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0034】
さらには、本発明の第1の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0035】
また、上記目的を達成する本発明の血管硬化度算出装置のうちの第1の血管硬化度算出装置は、脈波速度PWVを表わすデータもしくは脈波速度算出用のデータと、収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
ここで、本発明の第1の血管硬化度算出装置においても、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよく、この場合に、上記評価値算出部が、上記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであってもよい。
【0037】
あるいは、本発明の第1の血管硬化度算出装置において、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよく、あるいは、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0038】
さらに、上記目的を達成する本発明の血管硬化度算出プログラムのうちの第1の血管硬化度算出プログラムは、プログラムを実行する演算処理装置内で実行され、その演算処理装置を、脈波速度PWVを表わすデータもしくは脈波速度算出用のデータと、収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えた血管硬化度算出装置として動作させることを特徴とする。
【0039】
ここで、本発明の第1の血管硬化度算出プログラムにおいても、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよく、この場合に、上記評価値算出部が、上記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであってもよい。
【0040】
あるいは、本発明の第1の血管硬化度算出プログラムにおいても、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよく、あるいは、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0041】
従来より、血管の硬さを表わすパラメータとして、下記の式(1)に示すスティフネスパラメータ(Stiffness Parameter)βが知られている(前掲の非特許文献1参照)。
【0042】
β=Ln(Ps/Pd)・(D/ΔD) ……(1)
但し、Ps:収縮期血圧
Pd:拡張期血圧
D:拡張期血管半径
ΔD:血管半径の増加分
Ln:eを底とする自然対数
である。
【0043】
但し、このスティフネスパラメータβを表わす式(1)には、簡便に測定することのできない、血管の半径Dやその変化分ΔDが変数として入っている。そこで、ここでは、この式(1)中の、血管の半径Dやその変化分ΔDを、簡便かつ安価に測定できる変数に置き換えることを考える。
【0044】
ここで、脈波速度PWVに関連する式として、下記の式(2)に示すBramwell−Hillの式が知られている(前掲の非特許文献2参照)。
【0045】
PWV2={(ΔP)・V}/{(ΔV)・ρ}
=(ΔP/ρ)・(V/ΔV) ……(2)
但し、ΔP=Ps−Pd
ρ:血液密度
V:血管体積
ΔV:血管体積の変動分
血管は円筒モデルで考えることができ、血管長Lの血管の体積Vは、半径をDとすると、
V=(π・L・D2) ……(3)
となる。この式(3)は、体積Vは、半径Dの2乗に円周率πと長さLを乗じることにより求められることを表わしており、したがって、
(ΔV)/V={πL(D+ΔD)2−πLD2}/(πLD2
={2D(ΔD)2+(ΔD)2}/D2
=(2ΔD)/D+(ΔD/D)2 ……(4)
ここで、D>>(ΔD)であるから、式(4)の中の(ΔD/D)2は充分小さく、(2ΔD)/Dに比べて無視できる。したがって、式(4)は、
(ΔV)/V=(2ΔD)/D ……(5)
と表わすことができる。
【0046】
この式(5)を変形すると、
{D/(ΔD)}/2={V/(ΔV)} ……(6)
となる。この式(6)を式(2)に代入すると、
PWV2=(ΔP/ρ)・(D/ΔD)/2
={(ΔP)/(2ρ)}・(D/ΔD) ……(7)
この式(7)を変形し、
D/ΔD=PWV2/{(ΔP)/(2ρ)} ……(8)
この式(8)を式(1)に代入すると、
β=Ln(Ps/Pd)・PWV2/{(ΔP)/(2ρ)} ……(9)
となる。ここで、ρは血液密度であり定数であるため、
K=2ρ ……(10)
と置くと、式(9)は、
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/(ΔP) ……(11)
となる。
【0047】
この式(11)は、脈派速度PWVと、血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd、ΔPは(Ps−Pd)である)とを変数とするものであり、これら脈派速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)は、いずれも非侵襲的に、かつ簡便に測定することができ、したがって血管の硬化度の指標となるスティフネスパラメータβを簡便に求めることができる。
【0048】
尚、必ずしも式(9)あるいは式(11)に従うスティフネスパラメータβ自体を血管の硬化度の指標として採用する必要はなく、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/(ΔP)
を含む演算式に基づいて測定対象部位の血管の硬化度を指標する評価値を求めればよい。
【0049】
例えば評価値として、
β’=A・β+B
=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B ……(12)
但し、A,Bは変換調整定数である。
を採用してもよい。変換調整定数A,Bとしては、例えば、上述の式(11)のβを、医者が頭に記憶している従来の脈波伝播速度PWVを用いた診断における数値常識と同じ数値常識が適用できるように変換するための定数が採用される。
【0050】
あるいは、評価値として、
β”=E・√(β)+F
=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F ……(13)
但し、E,Fは変換調整定数である。
を採用してもよい。脈波伝播速度PWVとβは、PWVを変数としたときβが二次曲線を描く関係となっているので、式(13)を採用するとこの関係が一次式の直線関係となるように変換される。このような変換を行なうとともに、従来の脈波伝播速度PWVを採用した診断における、医者が頭に記憶している数値常識と同じ数値常識が適用できるように変換調整定数を定義すると、より精確に、従来のPWVを採用した診断における数値常識に近づけることができる。
【0051】
上記目的を達成する本発明の血管硬化度評価装置のうちの第2の血管硬化度評価装置は、脈波速度PWVを求める脈波速度計測部と、平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を求める血圧測定部と、脈波速度計測部で求められた脈波速度と血圧測定部で求められた血圧とを用いて、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする。
【0052】
ここで、本発明の第2の血管硬化度評価装置において、上記血圧測定部が、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を平均血圧Pmとして求めるものであってもよい。
【0053】
また、本発明の第2の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよい。
【0054】
あるいは、本発明の第2の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0055】
さらには、本発明の第2の血管硬化度評価装置は、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0056】
また、上記目的を達成する本発明の血管硬化度算出装置のうちの第2の血管硬化度算出装置は、脈波速度PWVを表わすデータもしくは脈波速度算出用のデータと、平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする。
【0057】
ここで、本発明の第2の血管硬化度算出装置において、上記データ取得部が、平均血圧Pmを表わすデータあるいは平均血圧Pm算出用のデータとして、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を表わすデータあるいは該最大点の血圧算出用のデータを取得するものであってもよい。
【0058】
また、本発明の第2の血管硬化度算出装置においても、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよい。
【0059】
あるいは、本発明の第2の血管硬化度算出装置において、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよく、あるいは、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0060】
さらに、上記目的を達成する本発明の血管硬化度算出プログラムのうちの第2の血管硬化度算出プログラムは、プログラムを実行する演算処理装置内で実行され、その演算処理装置を、脈波速度PWVを表わすデータもしくは脈波速度算出用のデータと、平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えた血管硬化度算出装置として動作させることを特徴とする。
【0061】
ここで、本発明の第2の血管硬化度算出プログラムにおいても、上記データ取得部が、平均血圧Pmを表わすデータあるいは平均血圧Pm算出用のデータとして、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を表わすデータあるいは該最大点の血圧算出用のデータを取得するものであってもよい。
【0062】
また、本発明の第2の血管硬化度算出プログラムにおいても、上記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであってもよい。
【0063】
あるいは、本発明の第2の血管硬化度算出プログラムにおいても、上記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであってもよく、あるいは、上記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであってもよい。
【0064】
本発明の第2の血管硬化度評価装置、第2の血管硬化度算出装置、第2の血管硬化度算出プログラムは、それぞれ、本発明の第1の血管硬化度評価装置、第1の血管硬化度算出装置、第1の血管硬化度算出プログラムにおける収縮期血圧Psを平均血圧Pmに置き換えたものに相当する。この置き換えに伴い、ΔP=Ps−Pdも、ΔP=Pm−Pdに置き換えられる。
【0065】
血圧をオシロメトリック法で測定した場合、カフの減圧過程で得られる脈波の最大点の血圧が平均血圧Pmとして求められるが、この平均血圧Pmは収縮期血圧Ps,拡張期血圧Pdと比較して高精度に求めることが可能である。また、脈波速度PWVを求めるにあたっては、図1,図2に示すように、脈波波形の立ち上がりのタイミングや脈波波形上のピーク近傍に存在するノッチ(大動脈弁口のII音に対応する)のタイミングを捉えることにより脈波速度PWVが求められるが、脈波波形の立ち上がりのタイミング(ほぼ脈波のボトムに相当する)は拡張期血圧Pdに対応しており脈波波形のピーク近傍に存在するノッチのタイミング(ほぼ脈波波形上のピークに相当する)は平均血圧Pmに対応している。この点からも収縮期血圧Psを用いる代わりに平均血圧Pmを用い、その平均血圧Pmと拡張期血圧Pdとの比(Pm/Pd)や差(ΔP=Pm−Pd)を変数とした演算式を採用することにより、高精度の評価値を得ることができる。
【0066】
また、収縮期血圧Psを平均血圧Pmに置き換えた演算式は、脈波速度PWVと血圧(平均血圧Pmと拡張期血圧Pd、ΔP=Pm−Pdとを変数とするものであって、これらの変換も非侵襲的にかつ簡便に測定することができる。
【発明の効果】
【0067】
以上、説明したように、本発明によれば、血管の硬化度を簡便に評価、算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下本発明の実施形態について説明する。
【0069】
図5は、本発明の血管硬化度評価装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0070】
この血管硬化度評価装置100は、脈波速度計測部101と、血圧測定部102と、評価値算出部103と、評価値出力部104とから構成されている。
【0071】
脈波速度計測部101では、脈波センサにより測定対象部位の脈波速度PWVが計測される。図1、図2を参照しながら説明したように、脈波速度測定法には何種類か存在するが、ここでは、特定の測定法に限定されるものではない。
【0072】
脈波速度測定法自体は広く知られた技術であり、ここではこれ以上の評価説明は省略する。
【0073】
血圧測定部102では、血圧計により、測定対象部位の収縮期血圧(最高血圧)Psと拡張期血圧(最小血圧)Pdが測定される。血圧測定法自体も広く知られた技術であり、これ以上の詳細説明は省略する。
【0074】
評価値算出部103では、脈波速度計測部101で求められた脈波速度と血圧測定部102で求められた血圧とを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて測定対象部位の血管の硬化度を指標する評価値が算出される。具体例については後述する。
【0075】
評価値出力部104では、評価値算出部で算出された評価値が出力される。この評価値の出力態様は、特定の出力態様に限られるものではないが、例えば表示画面上に表示出力され、あるいは、プリンタでプリント出力され、さらには、その評価値を表わすデータを外部に出力(送信)される。
【0076】
図6は、本発明の血管硬化度算出装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0077】
この血管硬化度算出装置200は、データ取得部201と、評価値算出部202と、評価値出力部203とから構成されている。
【0078】
この血管硬化度算出装置200は、図5に示す血管硬化度評価装置100と比べると、脈波速度計測部101と血圧測定部102が備えられていない。これは、脈波速度を測定する脈波速度計および血圧を測定する血圧計は既存のものであってもよく、既存の脈波速度計や血圧計を採用する場合は、それら脈波速度計や血圧計で得られた脈波速度データや血圧データを取り込んで評価値を算出、出力すればよい。図6の血管硬化度算出装置200はこの考えの元に構成されたものである。この図6の血管硬化度算出装置200を構成するデータ取得部201では、測定対象部位の脈波速度PWVを表わすデータと測定対象部位の血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を表わすデータの取得が行なわれる。
【0079】
あるいは、このデータ取得部201では、脈波速度PWVを直接表わすデータでなくても、その脈波速度PWVを算出するためのデータ、例えば図1(B)あるいは図2(B)に示すような波形を表わす波形データを外部から取得し、データ取得部201内部でその波形データに基づいて脈波速度PWVを求めてもよい。
【0080】
また、これと同様に、データ取得部201では、血圧を直接表わすデータでなくても、外部からはその血圧算出用のデータを取得し、その血圧算出用データを元にしてデータ取得部201内部で血圧を求めてもよい。
【0081】
図6の血管硬化度算出装置200を構成する評価値算出部202および評価値出力部203の各作用は、図5の血管硬化度評価装置100を構成する評価値算出部103および評価値出力部104の各作用とそれぞれ同一であり、重複説明は省略する。
【0082】
本実施形態では、図6に示す血管硬化度算出装置200は、コンピュータとそのコンピュータ内で実行されるプログラムとの複合で構成されている。そこで以下では先ず、そのコンピュータの構成について説明する。
【0083】
図7は、本発明の血管硬化度算出装置の一実施形態として動作するコンピュータの外観図である。
【0084】
このコンピュータ10は、CPU、RAM、ハードディスク等を内蔵した本体部11、本体部11からの指示により表示画面12aに画面表示を行うディスプレイ12、このコンピュータ内にオペレータの指示や文字情報を入力するためのキーボード13、表示画面12a上の任意の位置を指定することによりその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス14を備えている。
【0085】
本体部11は、さらに、外観上、フレキシブル(FD)22(図7には図示せず;図8参照)やCDROM20が装填されるFD装填口11aおよびCDROM装填口11bを有しており、その内部には、装填されたFDやCDROMをドライブする、FDドライブ116、CDROMドライブ117(図8参照)も内蔵されている。
【0086】
ここでは、CDROM20に本発明にいう血管硬化度算出プログラムが記憶されており、このCDROM20がCDROM装填口11bから本体部11内に装填され、CDROMドライブ117によりそのCDROM20に記憶された血管硬化度算出プログラムがこのコンピュータのハードディスク内にインストールされる。このコンピュータシステムのハードディスク内にインストールされた血管硬化度算出プログラムが起動されると、このコンピュータは、本発明の血管硬化度算出装置の一実施形態として動作する。
【0087】
図8は、図7に示す外観を有するコンピュータのハードウェア構成図である。
【0088】
ここには、中央演算処理装置(CPU)111、RAM112、入力インターフェース113a,113b、プリンタインターフェース114、ハードディスクコントローラ115、FDドライブ116、CDROMドライブ117、マウスコントローラ118、キーボードコントローラ119、およびディスプレイコントローラ120が備えられており、それらはバス110で相互に接続されている。
【0089】
FDドライブ116、CDROMドライブ117は、図7を参照して説明したように、FD22、CDROM20が装填され、装填されたFD22、CDROM20をアクセスするものである。
【0090】
また、2つの入力インターフェース113a,113bには、それぞれ脈波速度計(図5の脈波速度計測部101に相当する)および血圧計(図5の血圧測定部102に相当する)が接続され、それらの脈波速度計および血圧計で測定された測定対象部位の脈波速度データおよび血圧データが入力される。
【0091】
またプリンタインターフェース114には、用紙上に画像や文字をプリント出力するプリンタが接続され、このコンピュータ内部で算出された血管硬化度評価値データがこのプリンタインターフェース114を経由してプリンタに送られ、そのプリンタで血管硬化度評価値がプリント出力される。
【0092】
さらに、図5には、ハードディスクコントローラ113によりアクセスされるハードディスク21、マウスコントローラ116により制御されるマウス14、キーボードコントローラ117により制御されるキーボード13、およびディスプレイコントローラ118により制御されるディスプレイ12も示されている。
【0093】
前述したように、CDROM20には血管硬化度算出プログラムが記憶されており、CDROMドライブ117により、そのCDROM20から血管硬化度算出プログラムが読み込まれ、バス110を経由し、ハードディスクコントローラ115によりハードディスク21内に格納される。実際の実行にあたっては、そのハードディスク21内の血管硬化度算出プログラムはRAM112上にロードされ、CPU111により実行される。
【0094】
ディスプレイ12には、このコンピュータ内で算出された血管硬化度を表わす評価値が表示され、またキーボード13やマウス14からの入力情報が表示される。
【0095】
図9は、図7、図8に示すCDROM20に記憶された血管硬化度算出プログラムの概念的な構成図である。
【0096】
ここに示す血管硬化度算出プログラム300は、データ取得部301、評価値算出部302、および評価値出力部303から構成されている。この血管硬化度算出プログラム300が図7に示すコンピュータ10にインストールされて実行されたときの、この血管硬化度算出プログラム300を構成する各部301〜303の作用は、それぞれ図6に示す血管硬化度算出装置200を構成する各部201〜203の作用と同一である。すなわち、図6に示す血管硬化度算出装置200を構成するデータ取得部201は、図9に示す血管硬化度算出プログラム300を構成するプログラム部品としてのデータ取得部301と、そのデータ取得部301を実行するCPU111やデータの取得を担う入力インターフェース113a,113bなどとの複合により構成される。
【0097】
また、図6に示す血管硬化度算出装置200を構成する評価値算出部202は、図9に示す血管硬化度算出プログラム300を構成するプログラム部品としての評価値算出部302と、その評価値算出部302を実行するCPU111等との複合により構成される。
【0098】
さらに、図6に示す血管硬化度算出装置200を構成する評価値出力部203は、図9に示す血管硬化度算出プログラム300を構成するプログラム部品としての評価値出力部303と、その評価値出力部303を実行するCPU111、評価値を表示するディスプレイ12およびそのディスプレイ12を制御するディスプレイコントローラ120、その評価値をプリンタに向け出力するプリンタインターフェース114等の複合により構成される。
【0099】
次に、図5、図6に示す血管硬化度評価装置、血管硬化度算出装置を構成する評価値算出部103,202、すなわち、CPU111で実行される、プログラム部品としての評価値算出部302(図9参照)における評価値算出の具体例について説明する。
【0100】
以下では、評価値を求めるための演算式とその演算式に基づく評価例について説明する。
【0101】
ここでは、評価値を求めるための演算式として、上述の式(9)、すなわち、
β=Ln(Ps/Pd)・PWV2/{(ΔP)/(2ρ)} ……(9)
を採用する。
【0102】
この演算式とは別に、血管の硬化度を指標する評価値を求める演算式として、
CAVI=Ln(Ps/Pd)・1/k2・PWV2 ……(14)
が提案されている(特願2003−397902)。
【0103】
そこで、ここでは、式(9)と式(14)とを比較しながらそれらの演算式に基づく評価例を説明する。
【0104】
式(9)と式(14)とを比べると、ρとkはいずれも定数であるから、それら定数の違いを無視すると、本質的には、式(9)は、式(14)を(ΔP)で割り算した式に相当する。脈圧(ΔP)はΔP=Ps−Pdであるから、収縮期血圧Psと拡張期血圧Pdとの間に大きな差が生じた場合、式(14)についてはそれら収縮期血圧Psと拡張期血圧Pdの比Ps/Pdの対数Ln(Ps/Pd)でのみ補正される不充分な補正にとどまり、一方、式(9)の場合は、対数Ln(Ps/Pd)出の補正に加え脈圧(ΔP)でも補正されるため、式(14)と比べ血圧変動が正確に補正され、血圧変動の影響が抑えられ、血圧変動の影響を受けにくい、血管の硬化度を指標する評価値を得ることができる。
【0105】
ここでは、上記式(9)と式(14)の検証を人工透析の患者で行なった。人工透析の患者は動脈硬化が進んでいるので、その血圧が大きく変動する傾向があるのに対し、患者の血管の本質的特性は短期間には大きくは変化しないと考えられる。このため、人工透析の患者は、大きな血圧変動に対してβ(式(9))とCAVI(式(14))の測定値がどのように影響を受けるかを検証するのに適当であると考えられる。
【0106】
各測定間の時間間隔は、同日から2週間以内ではあるが患者の都合で一定ではない。血管の特性は短期間に変化するものでは無いと考えられるので、この時間間隔はβとCAVIの検証のための時間間隔としては問題にはならない。
【0107】
図10、図11は、人工透析の患者に対する1回目の検査での評価値β,CAVIと2回目の評価値β,CAVIを、各患者ごとに直線で結んで示した図であり、それぞれ本発明の実施例、比較例に相当する。
【0108】
また図12,図13は、図10,図11に示すデータと同じデータを表現を変えて示した図であり、人工透析の患者に対する1回目の検査での評価値β,CAVIを横軸にとり、2回目の評価値β,CAVIを縦軸にとって各患者ごとの評価値β,CAVIをプロットするとともにその回帰直線を示した図である。図12,図13は、それぞれ本発明の実施例、比較例に相当する。
【0109】
図10,図11では、同一患者の1回目の評価値と2回目の評価値とを結ぶ直線が水平に近いほど血圧の変動の影響を受けないことを意味し、図12,図13では、ばらつきが少ないほど血圧の影響を受けないことを意味している。
【0110】
図10〜図13からわかるように図10,図12に示す本発明の実施例(評価値β)の方が、図11,図13に示す比較例(評価値CAVI)よりも血管の影響を受けにくい評価値が得られている。
【0111】
ここに示した検証結果では、1回目と2回目の相関係数Rは評価値βについてはR=0.890であり、評価値CAVIについてはR=0.626であり、この相関係数Rによっても、評価値βの方が評価値CAVIよりも血圧の影響を受けにくいことがわかる。
【0112】
尚、ここでは評価値βとしてスティフネスパラメータを採用した例について説明したが、この評価値βを元にした評価値であれば評価値β自体と同様に高精度の評価を行なうことができる。
【0113】
例えば評価値として、
β’=A・β+B ……(12’)
但し、A,Bは変換調整定数
βは式(9)で定義されるβ
である。
【0114】
あるいは、
β”=E√(β)+F ……(13’)
但し、E,Fは変換調整定数
βは式(9)で定義されるβ
である。
を採用してもよい。この場合、医者が従来より慣れている、PWV’を採用した診断における数値常識を、そのまま当て嵌めることができる。
【0115】
図14は、脈波速度と式(9)により求められる評価値βとの対応関係を示す図である。
【0116】
横軸は最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの脈波速度PWV’、縦軸は式(9)で求められる評価値βを示している。
【0117】
この図14上の各点は、動脈硬化の疑いのある多数の患者について大動脈の脈波速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を測定し、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算した脈波速度PWV’と式(9)に従う評価値βを求めてプロットしたものである。
【0118】
評価値βは、脈波速度PWV’と強い相関があり、評価値βによって血管の硬化度を評価することができる。ただし、このままでは、医者が従来より慣れている脈波速度PWV´を採用した診断における数値常識をそのまま当て嵌めることはできない。
【0119】
図15は、脈波速度と式(12’)により求められる評価値β’との対応関係を示す図である。
【0120】
横軸は、図14と同様、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの脈波速度PWV’、縦軸は式(12’)で求められる評価値β’を示している。
【0121】
ここで、式(12’)中の定数A,Bを定めるにあたっては、動脈硬化の疑いのある、図14の場合と同じ多数の患者について大動脈の脈波速度PWVと血圧(平均血圧Pmと収縮期血圧Pd)を測定して、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算された脈波速度PWV’と式(12’)に従って、式(12’)中の係数A,Bを残したまま評価値β’を求め、それらの脈波速度PWV’と評価値β’とが統計的に同一の値となるように定数A,Bを求める。
【0122】
図15に示す例では、
A=5.8465
B=4.3255
と求められ、したがって、式(12’)は、
β’=5.8465×β+4.3255
となる。
【0123】
このような換算を行なった評価値β’を採用すると、医者が従来より慣れている、PWV’を採用した診断における数値常識をそのまま当て嵌めることができる。
【0124】
ここで、式(9),式(12’)で示される評価値β,β’は、PWV2 が変数となっているので、PWVとβ,β’との関係は2次曲線を描く関係となっている。そこで、以下では、PWVと一次式の関係を持つ評価値について説明する。
【0125】
図16は、脈波速度と、式(9)により求められる評価値βの平方根√βとの対応関係を示す図である。
【0126】
横軸は図14,図15と同様、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの脈波速度PWV’、横軸は式(9)で求められる評価値βの平方根√βを示している。
【0127】
この図17上の各点は、図14,図15と同様、動脈硬化の疑いのある多数の患者について大動脈の脈波速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を測定し、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算した脈波速度PWV’と式(9)に従う評価値βの平方根√βを求めてプロットしたものである。
【0128】
評価値√βは、脈波速度PWV’と強い相関があり、評価値√βによって血管の硬化度を評価することができる。しかも√βはPWV’に対し一次式の関係になっている。ただし、このままでは、図14に示す評価値βの場合と同様、医者が従来より慣れている脈波速度PWV’を採用した診断における数値常識をそのまま当て嵌めることはできない。
【0129】
図17は、脈波速度と式(13’)により求められる評価値β”との対応関係を示す図である。
【0130】
横軸は、図14〜図16と同様、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの脈波速度PWV’、縦軸は式(13’)で求められる評価値β”を示している。
【0131】
ここで、式(13’)中の定数E,Fを定めるにあたっては、動脈硬化の疑いのある多数の患者について大動脈の脈波速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を測定して、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算された脈波速度PWV’と式(13’)に従って、式(13’)中の係数E,Fを残したまま評価値β”を求め、それらの脈波速度PWV’と評価値β”とが統計的に同一の値となるように定数E,Fを求める。
【0132】
図17に示す例では、
E=11.212
F=−0.8336
と求められ、したがって式(13’)は、
β”=11.212×√β−0.8336
となる。
【0133】
このような換算を行なった評価値β”を採用すると、PWV’と評価値β”が一次式の関係となり、医者が従来より慣れているPWV’を採用した診断における数値常識をさらに高精度に当て嵌めることができる。
【0134】
以上は、本発明の第1の血管硬化度評価装置、第1の血管硬化度算出装置および第1の血管硬化度算出プログラム(以下、これらを総称して「第1発明」と称する)の実施形態の説明であるが、次に、本発明の第2の血管硬化度評価装置、第2の血管硬化度算出装置および第2の血管硬化度算出プログラム(以下、これらを総称して「第2発明」と称する)の実施形態について説明する。
【0135】
以下では、図5〜図9をそのまま参照し、第1発明の実施形態との相違点のみ説明する。
【0136】
図5は、前述のとおり、血管硬化度評価装置の実施形態を示すブロック図である。
【0137】
ここで説明する実施形態では、図5に示す血管硬化度評価装置100の血圧測定部102において、患者の血圧を測定するにあたりオシロメトリック法が採用され、測定対象部位の平均血圧Pmと拡張期血圧Pdが測定される。オシロメトリック法は広く知られた血圧測定法であり、ここでの詳細説明は省略する。
【0138】
また、評価値算出部103では、脈波速度計測部101で求められた脈波速度PWVと、血圧測定部102で求められた血圧とを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて測定対象部位の血管の硬化度を指標する評価値が算出される。演算式の具体例については後述する。
【0139】
図6は、前述のとおり、血管硬化度評価装置の実施形態を示すブロック図である。
【0140】
この図6の血管硬化度算出装置200を構成するデータ取得部201では、測定対象部位の脈波速度PWVを表わすデータと測定対象部位の血圧(平均血圧Pmと拡張期血圧Pd)を表わすデータの取得が行なわれる。
【0141】
あるいは、このデータ取得部201では、脈波速度PWVを直接表わすデータでなくても、その脈波速度PWVを算出するためのデータ、例えば図1(B)あるいは図2(B)に示すような波形を表わす波形データを外部から取得し、データ取得部201内部でその波形データに基づいて脈波速度PWVを求めてもよい。
【0142】
また、これと同様に、データ取得部201では、血圧を直接表わすデータでなくても、外部からはその血圧算出用のデータを取得し、その血圧算出用データを元にしてデータ取得部201内部で血圧を求めてもよい。
【0143】
図6の血管硬化度算出装置200を構成する評価値算出部202の作用は、図5の血管硬化度評価装置100を構成する評価値算出部103における、収縮期血圧Ps,ΔP=Ps−Pdに代わり、平均血圧Pm,ΔP=Pm−Pdを採用したときの作用と同一である。
【0144】
図9は、前述のとおり、図7,図8に示すCDROM20に記憶された血管硬化度算出プログラムの概念的な構成図である。
【0145】
ここでも、前述の第1発明の実施形態と比べ、収縮期血圧Ps,ΔP=Ps−Pdに代わり、平均血圧Pm,ΔP=Pm−Pdを採用することのみが異なる。したがって、これ以上の詳細説明は省略する。
【0146】
以下では、第2に発明における、評価値を求めるための演算式の一例として、
CAVIβm=K×Ln(Pm/Pd)・PWV2/(ΔP) ……(15)
但し、ΔP=Pm−Pd
Kは定数
である。
を採用する。
【0147】
また、比較例として、前掲の式(14)、すなわち
CAVI=Ln(Ps/Pd)・1/k2・PWV2 ……(14)
を採用し、式(14)と式(15)とを比較しながらそれらの演算式に基づく評価例を説明する。
【0148】
式(14)と式(15)とを比べると、Kとkはいずれも定数であるから、それらの定数の違いを無視すると、1つには、式(15)は式(14)を(ΔP)で割り算した式に相当する。但し、ここではΔP=Pm−Pdである。もう1つには、式(14)では収縮期血圧Psが採用されているが、式(15)は平均血圧Pmが採用されている。
【0149】
図18は、脈波速度と式(14)により求められる評価値CAVIとの対応関係を示す図である。この図は本発明に対する比較例に相当する。
【0150】
横軸は最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの脈波速度PWV’、縦軸は、式(14)で求められる評価値CAVIを示している。
【0151】
ここで式(14)中の定数kを定めるにあたっては、動脈硬化の疑いのある多数の患者について大動脈の脈波速度PWVと血圧(収縮期血圧Psと拡張期血圧Pd)を測定して、換算された脈波速度PWV’を求めるとともに、式(14)に従って、kを変数として残したままCAVIを求め、それらの値が統計的に相互に一致するように定数kを定める。図18の各点は、このようにして定めた各人のPWV’と式(14)に従うCAVIとの関係を表わしている。また、図18に示す曲線は、それら多数の点の回帰二次曲線を表わしている。ここで二次曲線を採用したのは、式(14)にPWV2が変数として入っているからである。ここでの分散RはR=0.91である。
【0152】
図19は、脈波速度と式(15)により求められる評価値CAVIβmとの対応関係を示す図である。この図は本発明のうちの第2発明の実施例に相当する。
【0153】
横軸は、図18の場合と同様、最小血圧(拡張期血圧)80mmHgに換算したときの大動脈の脈波速度PWV’である。縦軸は、式(15)で求められる評価値CAVIβmである。
【0154】
ここで、式(15)中の定数Kを定めるにあたっては、図18の場合と同様、動脈硬化の疑いのある多数の患者について大動脈の脈波速度と血圧(ここでは平均血圧Pmと拡張期血圧Pd)とを測定して、換算された脈波速度PWV’と式(15)で定義されるCAVIβmを求めたときに、それらの値が統計的に相互に一致するように定数kを定める。図19の各点は、このようにして定めた各人のPWV’と式(15)のCAVIβmとの関係を表わしている。図19に示す曲線は、これも図18の場合と同様、それら多数の点の回帰二次曲線を表わしている。ここで二次曲線を採用したのは、式(15)にもPWV2が変数として入っているからである。ここでの分散RはR=0.99である。
【0155】
図18と図19を比較すると明らかなとおり、式(15)に従う評価値CAVIβmは、従来提案されている評価値CAVI(式(14))と比べ、格段に安定している。
【0156】
尚、ここでは評価値として、式(15)により定義される評価値CAVIβmを採用した例について説明したが、このCAVIβmを元にした評価値であればこのCAVIβmと同様に高精度の評価を行なうことができる。例えば評価値として
CAVIβm’=A・CAVIβm+B
但し、A,Bは変換調整定数である。
【0157】
あるいは、
CAVIβm”=E√(CAVIβ)+F
但し、E,Fは変換調整定数である。
を採用してもよい。この場合、医者が従来より慣れているPWV’を採用した診断における数値常識をそのまま当て嵌めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】脈波速度測定法の一例を示す模式図である。
【図2】脈波速度測定法の一例を示す模式図である。
【図3】最小血圧(拡張期血圧)と大動脈脈波速度との関係を示すグラフである。
【図4】脈波速度補正カーブを示した図である。
【図5】本発明の血管硬化度評価装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明の血管硬化度算出装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図7】本発明の血管硬化度算出装置の一実施形態として動作するコンピュータの外観図である。
【図8】図7に示す外観を有するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図9】CDROMに記憶された血管硬化度算出プログラムの概念的な構成図である。
【図10】人工透析の患者の1回目の検査での評価値βと同じ人工透析の患者の2回目の評価値βを、各患者ごとに直線で結んで示した図である。
【図11】人工透析の患者の1回目の検査での評価値CAVIと同じ人工透析の患者の2回目の評価値CAVIを、各患者ごとに直線で結んで示した図である。
【図12】図10に示すデータと同じデータを表現を変化を示した人工透析の患者の1回目の検査での評価値βを横軸にとり、同じ人工透析の患者の2回目の検査での評価値βを縦軸にとって各患者ごとの評価値βをプロットするとともにその回帰直線を示した図である。
【図13】図11に示すデータと同じデータを表現を変化を示した人工透析の患者の1回目の検査での評価値CAVIを横軸にとり、同じ人工透析の患者の2回目の検査での評価値CAVIを縦軸にとって各患者ごとの評価値CAVIをプロットするとともにその回帰直線を示した図である。
【図14】脈波速度と、式(9)により求められる評価値βとの対応関係を示す図である。
【図15】脈波速度と、式(12’)により求められる評価値β’との対応関係を示す図である
【図16】脈波速度と、式(9)により求められる評価値βの平方根√βとの対応関係を示す図である。
【図17】脈波速度と、式(13’)により求められる評価値βとの対応関係を示す図である。
【図18】脈波速度と、式(12)により求められる評価値CAVIとの対応関係を示す図である。
【図19】脈波速度と、式(13)により求められる評価値CAVIβmとの対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0159】
10 コンピュータ
11 本体部
12 ディスプレイ
13 キーボード
14 マウス
20 CDROM
100 血管硬化度評価装置
101 脈波速度計測部
102 血圧測定部
103 評価値算出部
104 評価値出力部
200 血管硬化度算出装置
201 データ取得部
202 評価値算出部
203 評価値出力部
300 血管硬化度算出プログラム
301 データ取得部
302 評価値算出部
303 評価値出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈波速度PWVを求める脈波速度計測部と、
収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を求める血圧測定部と、
前記脈波速度計測部で求められた脈波速度と前記血圧測定部で求められた血圧とを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする血管硬化度評価装置。
【請求項2】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の血管硬化度評価装置。
【請求項3】
前記評価値算出部が、前記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであることを特徴とする請求項2記載の血管硬化度評価装置。
【請求項4】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の血管硬化度評価装置。
【請求項5】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の血管硬化度評価装置。
【請求項6】
脈波速度PWVを表わすデータもしくは該脈波速度算出用のデータと、
収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは該血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする血管硬化度算出装置。
【請求項7】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項6記載の血管硬化度算出装置。
【請求項8】
前記評価値算出部が、前記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであることを特徴とする請求項7記載の血管硬化度算出装置。
【請求項9】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項6記載の血管硬化度算出装置。
【請求項10】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項6記載の血管硬化度算出装置。
【請求項11】
プログラムを実行する演算処理装置内で実行され、該演算処理装置を、
脈波速度PWVを表わすデータもしくは該脈波速度算出用のデータと、
収縮期血圧Psおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは該血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Ps−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えた血管硬化度算出装置として動作させることを特徴とする血管硬化度算出プログラム。
【請求項12】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項11記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項13】
前記評価値算出部が、前記定数Kとして
K=2ρ
但し、ρは血液密度である。
を採用した評価値
β=2ρ・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP
を算出するものであることを特徴とする請求項12記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項14】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項11記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項15】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=C・√{K・Ln(Ps/Pd)・PWV2/ΔP}+D
但し、C,Dは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項11記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項16】
脈波速度PWVを求める脈波速度計測部と、
平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を求める血圧測定部と、
前記脈波速度計測部で求められた脈波速度と前記血圧測定部で求められた血圧とを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする血管硬化度評価装置。
【請求項17】
前記血圧測定部が、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を平均血圧Pmとして求めるものであることを特徴とする請求項16記載の血管硬化度評価装置。
【請求項18】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項16記載の血管硬化度評価装置。
【請求項19】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項16記載の血管硬化度評価装置。
【請求項20】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項16記載の血管硬化度評価装置。
【請求項21】
脈波速度PWVを表わすデータもしくは該脈波速度算出用のデータと、
平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは該血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えたことを特徴とする血管硬化度算出装置。
【請求項22】
前記データ取得部が、平均血圧Pmを表わすデータあるいは平均血圧Pm算出用のデータとして、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を表わすデータあるいは該最大点の血圧算出用のデータを取得するものであることを特徴とする請求項21記載の血管硬化度算出装置。
【請求項23】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項21記載の血管硬化度算出装置。
【請求項24】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項21記載の血管硬化度算出装置。
【請求項25】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=E・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+F
但し、E,Fは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項21記載の血管硬化度算出装置。
【請求項26】
プログラムを実行する演算処理装置内で実行され、該演算処理装置を、
脈波速度PWVを表わすデータもしくは該脈波速度算出用のデータと、
平均血圧Pmおよび拡張期血圧Pdからなる血圧を表わすデータもしくは該血圧算出用のデータとを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得されたデータを用い、
Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Lnはeを底とする自然対数
ΔP=Pm−Pd
である。
を含む演算式に基づいて血管の硬化度を指標する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部で算出された評価値を出力する評価値出力部とを備えた血管硬化度算出装置として動作させることを特徴とする血管硬化度算出プログラム。
【請求項27】
前記データ取得部が、平均血圧Pmを表わすデータあるいは平均血圧Pm算出用のデータとして、オシロメトリック法を採用した場合の脈派の最大点の血圧を表わすデータあるいは該最大点の血圧算出用のデータを取得するものであることを特徴とする請求項26記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項28】
前記評価値算出部が、評価値βとして
β=K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP
但し、Kは定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項26記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項29】
前記評価値算出部が、評価値β’として
β’=A・{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+B
但し、A,Bは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項26記載の血管硬化度算出プログラム。
【請求項30】
前記評価値算出部が、評価値β”として
β”=C・√{K・Ln(Pm/Pd)・PWV2/ΔP}+D
但し、C,Dは各定数である。
を算出するものであることを特徴とする請求項26記載の血管硬化度算出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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