説明

血糖値測定装置、音声報知方法およびプログラム

【課題】最優先で対処する必要のある音声報知をユーザに明確に示す。
【解決手段】音声報知イベントの優先度、該音声報知イベントに対応する音声ファイルの指定されたアドレスおよび音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが紐付けされて記憶されたデータ記憶部を参照して、発生中の音声報知イベントの数を算出するとともに、発生中の音声報知イベントに関する各情報を取得する。そして、算出された発生中の音声報知イベントの数が複数である場合、発生中の音声報知イベントの優先度の比較を行う。そして、最も優先度が高いと判定された音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値を測定するために用いる血糖値測定装置、この血糖値測定装置による音声報知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糖尿病患者の診断、治療、医療指導を行うため、携帯型の血糖値測定装置が用いられている。この血糖値測定装置は、医師や糖尿病療養指導士の指導の下、糖尿病患者(ユーザ)自身で血液中のグルコース濃度を測定する装置である。
【0003】
ところで、糖尿病患者は、その病気の特性上、視力に障害を持ってしまう場合がある。そのため、糖尿病患者は、血糖値測定装置の表示部に表示された文字等を確認することが困難であり、血糖値測定装置を正確に操作できない可能性がある。
【0004】
そこで、視力に障害のあるユーザでも使えるようにするため、血糖値を測定するための動作や測定結果、発生したエラー等のイベントを音声で報知する血糖値測定装置(特許文献1)が考えられた。この血糖値測定装置は、音声で報知すべきイベント(以下、「音声報知イベント」という)を検出すると、検出した音声報知イベントに応じた音声ファイルを再生する。これにより、再生された音声ファイルに応じた音声が音声出力部から出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−58359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された血糖値測定装置では、複数の音声報知イベントが同時あるいはほぼ同時に発生した場合、発生した音声報知イベントに対応するすべての音声ファイルが順次再生される。そのため、装置の操作に不慣れなユーザや視力に障害のあるユーザが、複数再生される音声ファイルの中から、どの音声による報知に対処すればよいのか判断に迷う、という問題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、最優先で対処する必要のある音声報知をユーザに明確に示すことができる血糖値測定装置、音声報知方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、音声報知イベントの優先度、該音声報知イベントに対応する音声ファイルの指定されたアドレスおよび音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが紐付けされて記憶されたデータ記憶部を参照して、発生中の音声報知イベントの数を算出するとともに、発生中の音声報知イベントに関する各情報を取得する。そして、算出された発生中の音声報知イベントの数が複数である場合、発生中の音声報知イベントの優先度の比較を行う。そして、最も優先度が高いと判定された音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声報知イベントが複数発生している場合、発生中の音声報知イベントの中で最も優先度の高い音声報知イベントに対応する音声ファイルのみを再生することができる。これにより、最優先で対処する必要のある音声報知をユーザに明確に示すことができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置の上面側を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置の下面側を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るチップを示す外観斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るA−A´線に沿った血糖値測定装置を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るイベント情報基本テーブルを示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の血糖値測定装置の実施の形態例について、図1〜図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付す。
【0012】
説明は以下の順序で行う。
1.一実施形態例
1−1.血糖値測定装置の構成例
1−2.血糖値測定装置の内部構成例
1−3.制御部の機能的な構成例
1−4.血糖値測定装置の動作例
【0013】
1.一実施形態例
本発明の一実施形態例を、図1〜図8を参照して説明する。本実施の形態では、血糖値を測定するための動作や測定結果、発生したエラー等を音声で報知する血糖値測定装置において、音声を報知すべきイベント(音声報知イベント)が複数発生した際に、最も重要な音声ファイルのみを再生する血糖値測定装置101の例について説明する。
【0014】
1−1.血糖値測定装置の構成例
図1は、本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置101の上面側を示す外観斜視図、図2は、この血糖値測定装置101の下面側を示す外観斜視図である。
血糖値測定装置101は、図1に示すように、その上面側に、各種の情報を表示する表示部102と、血糖値測定装置101のON/OFFを切り替える電源ボタン103と、データ記憶部405(後述する図4参照)に記憶された血糖値の過去履歴を、表示部102に表示させる履歴呼出ボタン104と、一度再生された発生中の音声報知イベントに関する音声ファイルを再度再生させるための再生ボタン108とを備える。また、血糖値測定装置101は、図2に示すように、その下面側に、再生中の音声を出力する音声出力部112と、音声出力部112から出力される音声の大きさを調節する音量設定スイッチ113とを備える。
【0015】
また、血糖値測定装置101は、チップ(tip)110が着脱されるホルダ107と、ホルダ107に装着されたチップ110を取り外すイジェクタ106とを備える。また、血糖値測定装置101は、各部が配置される筐体105を備える。筐体105の内部には、不図示のプリント回路基板が配置されており、所定の演算・血糖値の測定処理を行う。
【0016】
チップ110は、ケース111に格納され、血糖値を測定するまでは外気に触れない状態で衛生的かつ乾燥した状態に保たれる。チップ110の内部には、試験紙202(後述する図2参照)が固定されている。
【0017】
試験紙202に血液が浸潤すると、化学反応を起こして試験紙202が発色する。血糖値測定装置101は、試験紙202が発色する部位に光を照射し、この部位が反射した光の受光光量を測定することによって、血糖値を測定する。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係るチップ110を示す外観斜視図である。
チップ110は、試験紙202と、試験紙202の周囲に形成される4本の突起部114a〜114dとを備える。突起部114a〜114dは、ホルダ107にはめ込まれ、チップ110がホルダ107に固定されるとともに、外縁部に設けられたフランジがホルダ107の先端に密着して、外部からの入光を遮る。
【0019】
図4は、図1におけるホルダ107およびチップ110のA−A′線における断面図である。
【0020】
血糖値測定装置101は、試験紙202に対して所定の波長の光を発する発光部303と、光を受光し、受光信号を発生する受光部304とを備える。
チップ110は、先端に付着した血液を毛細管現象により吸い取る細管302と、細管302を通じて吸い取られた血液がしみ込む試験紙202とを備える。
【0021】
発光部303には、例えば、波長が630nmの光線を発光する発光ダイオードが用いられる。受光部304には、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタが用いられる。
【0022】
受光部304は、ホルダ107にチップ110が取り付けられている状態では、試験紙202から反射した光を受光し、受光信号を発生する。
【0023】
チップ110の細管302は、所定の剛性を有する剛性材料で構成される。このような剛性材料としては、例えば、各種樹脂材料が挙げられる。特に、検体を迅速に導入、展開するのに適したものとして、アクリル系樹脂等の親水性の高い材料または親水化処理されたものが好ましい。
【0024】
試験紙202は、血液(検体)を吸収可能な担体に、試薬(発色試薬)を担持(含浸)させたものである。この担体は、好ましくは多孔性膜(シート状多孔質基材)で構成される。この場合、多孔性膜は、血液中の赤血球を濾過できる程度の孔径を有するものが好ましい。
【0025】
試験紙202の担体としては、多孔性膜の他に、例えば、不織布、織布、延伸処理したシート等のシート状多孔質基材が挙げられる。
多孔性膜等の担体の構成材料としては、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ポリスルホン類またはセルロース類等が挙げられるが、試薬を溶解した水溶液を含浸させたり、血液の採取時には血液の吸収・展開を迅速に行うため、親水性を有する材料または、親水化処理されたりしたものが好ましい。
【0026】
担体(多孔質膜)に含浸する試薬(発色試薬)としては、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOD)と、ペルオキシダーゼ(POD)と、4−アミノアンチピリン(4−AA)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)のような発色剤とが挙げられる。さらに、リン酸緩衝液のような緩衝剤が含まれていてもよい。なお、試薬の種類、成分については、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0027】
1−2.血糖値測定装置の内部構成例
次に、血糖値測定装置101の内部構成例について図5を参照して説明する。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置101の内部構成を示すブロック図である。
血糖値測定装置101は、上述した表示部102、音声出力部112、発光部303、受光部304に加え、受光部304が発生した受光信号をデジタルデータに変換するA/D変換部409、各部を制御する制御部402、制御発振部403、時計発振部404、データ記憶部405、外部出力部406、電源407、電源電圧検出部408および操作部410を有する。
【0029】
筐体105の内部に設けられるプリント回路基板には、マイクロコンピュータ(MPU:MicroProcessingUnit)で構成される制御部402が搭載されており、血糖値測定装置101の諸動作を制御する。この制御部402には、受光部304からの信号に基づいて目的とする血中成分(ブドウ糖)を算出する演算部(不図示)が内蔵される。この演算部は、必要に応じて、例えばヘマトクリット値補正計算等も行う。
【0030】
発光部303および受光部304は、ホルダ107(図3参照)に収納、保持される。発光部303は、制御部402と電気的に接続され、受光部304は、増幅器(不図示)およびA/D変換部409を介して制御部402と電気的に接続される。
【0031】
発光部303は、制御部402からの信号により作動し、所定の時間間隔でパルス光を発する。このパルス光は、例えば、その周期が0.5〜3.0msec程度、1パルスの発光時間が0.05〜0.3msec程度とされる。また、このパルス光の波長は、好ましくは500〜720nm程度、より好ましくは580〜650nm程度とされる。
【0032】
ホルダ107の先端部には、チップ110が着脱自在に装着される。ホルダ107にチップ110が装着されると、ホルダ107の先端面は、チップ110が備える試験紙202に対面する。この状態で、発光部303から発せられた光は試験紙202に照射され、試験紙202で反射された反射光は、受光部304に受光され、光電変換される。受光部304は、その受光光量に応じたアナログ信号を出力し、所望の値に増幅する。その後、アナログ信号は、A/D変換部409にてデジタル信号に変換され、制御部402に入力される。
【0033】
制御部402は、A/D変換部409を介して受光部304から供給される受光信号に基づいて、受光光量を測定する。そして、制御部402は、測定された受光光量に基づいて、試験紙202に付着した血液の血糖値を測定する。測定された血糖値は、血糖値の測定日時と紐付けられてデータ記憶部405の第3のメモリ(後述)に記憶される。
【0034】
また、制御部402は、音声報知イベントの発生の有無を検出する。そして、発生中の音声報知イベントに関するフラグを立て、音声報知イベントが解消されると音声報知イベントに関するフラグを下ろす。なお、このフラグは図5にて後述するイベント情報基本テーブル502に書き込まれる。
【0035】
また、制御部402は、音声報知イベントに関するフラグが立っているか否かを確認し、フラグが立っている音声報知イベントに対応する音声ファイルを再生する。再生された音声ファイルに応じた音声が音声出力部112から出力される。ただし、音声報知イベントが複数発生している場合には、優先度が最も高く設定された音声報知イベントに対応する音声ファイルのみを再生する。なお、制御部402の音声再生制御に関する機能については、図7にて後述する。
【0036】
制御発振部403は、タイマを構成するもので、一定時間間隔のクロックパルスを発振し、制御部402のマイクロコンピュータの動作用基準信号の供給を行う。
【0037】
時計発振部404は、絶対時間(日時)を特定する時計を構成するもので、一定時間間隔のクロックパルスを発振し、制御部402が内蔵する時計制御回路の動作用基準信号の供給を行う。
【0038】
外部出力部406は、求められた血糖値のデータを、例えばパソコンのような外部装置へ出力する。このため、外部出力部406は、例えば、RS−232Cのような通信ポートを内蔵する。また、赤外線通信を行う場合には、外部出力部406は、赤外線発光素子およびその駆動回路を内蔵する。
【0039】
電源407として、不図示の電池が筐体105の内部に装填される。電源407は、血糖値測定装置101が備える各ブロックに電力を供給する。電源電圧検出部408は、この電池の電圧を検出し、検出された電圧値(検出値)を制御部402へ出力する。これにより、電池の残量をチェックすることができる。
【0040】
操作部410は、上述した電源ボタン103、履歴呼出ボタン104等を総称するものである。操作部410は、以下のような種々のスイッチの入力を検出し、その信号を制御部402へ入力する。スイッチの種類としては、電源スイッチ、履歴呼出スイッチ、時刻設定・変更スイッチ、リセットスイッチ、ブザー作動/不作動選択スイッチ、50Hz/60Hz商用電源周波数選択スイッチ等が挙げられる。電源スイッチは、電源ボタン103の押圧により、電源407からの電力のオン又はオフを切り替える。
【0041】
データ記憶部405は、不図示の第1のメモリ(RAM)、第2のメモリ(ROM)および書き換え可能な不揮発性メモリである第3のメモリ(不揮発性RAM)を備える。
【0042】
第1のメモリには、受光部304より入力された受光光量のデジタルデータが、所定のフォーマットに従って記憶される。
【0043】
第2のメモリには、血糖値測定装置1を制御するプログラムが記憶されている。また、第2のメモリには、音声報知イベントが発生した際に再生される音声ファイルが記憶される。
【0044】
第3のメモリには、測光値から求めた吸光度と目的とする血糖値との関係(検量線)や、個々の血糖値測定装置1毎に固有の校正値が予め記憶される。ここで言う固有の校正値には、例えば、受光光量の規定値、吸光度計算の補正係数等がある。また、第3のメモリには、過去に測定した数日分の血糖値が、その測定日時と紐付けられて記憶される。
【0045】
また、第3のメモリには、図6に示すイベント情報基本テーブル502が記憶される。
イベント情報基本テーブル502には、発生中の音声報知イベントに関する音声ファイルの再生制御を制御部402が行うための情報が書き込まれる。
【0046】
このイベント情報基本テーブル502の「イベントID」フィールドには、音声報知イベントを識別するためのIDが書き込まれる。
【0047】
また、イベント情報基本テーブル502の「音声ファイル保存先アドレス」には、同一レコードにある「イベントID」フィールドに格納されたイベントIDで示される音声報知イベントが発生した際に再生される音声ファイルのアドレスが書き込まれる。
【0048】
また、イベント情報基本テーブル502の「イベントフラグ」フィールドには、同一レコードにある「イベントID」フィールドに格納されたIDで示される音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが書き込まれる。すなわち、‘真’が格納された「イベントフラグ」と同一のレコードの「イベントID」に格納されたIDで示される音声報知イベントが、発生中の音声報知イベントに該当する。一方、‘偽’が格納された「イベントフラグ」と同一のレコードの「イベントID」に格納されたIDで示される音声報知イベントが、発生中でない音声報知イベントとなる。
【0049】
また、イベント情報基本テーブル502の「優先度」フィールドには、同一レコードにある「イベントID」フィールドに格納されたIDで示される音声報知イベントの優先度が書き込まれる。「優先度」フィールドに格納される優先度は、例えば‘1’、‘2’または‘3’の3種類の数値であり、数値が低いほど優先度が高いことを示す。
【0050】
優先度‘1’の音声報知イベントは、ユーザにとって最もリスクの高い音声報知イベントに該当し、血糖値の測定結果が異常に高い(あるいは、異常に低い)場合に発生する音声報知イベントである。
【0051】
優先度‘2’の音声報知イベントは、ユーザにとって2番目にリスクの高い音声報知イベントに該当し、周辺の温度や明るさが正常の範囲にない場合やチップ110に汚れが付着している場合に発生する音声報知イベントである。
【0052】
優先度‘3’の音声報知イベントは、ユーザにとってあまりリスクのない音声報知イベントに該当し、血糖値の測定結果が通常の場合や電池の残量不足が生じた場合に発生する音声報知イベントである。なお、同じ優先度が設定された音声報知イベントは同時に発生しないようになっている。
【0053】
1−3.制御部の機能的な構成例
次に、音声ファイルの再生制御に関する制御部402の機能的な構成について図7を参照して説明する。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る制御部402の機能的な構成を示すブロック図である。
制御部402は、音声報知イベント検出部602と、優先度判定部603と、再生制御部604とから構成される。
【0055】
音声報知イベント検出部602は、イベント情報基本テーブル502の「イベントフラグ」フィールドを確認することにより、発生中の音声報知イベントの数を算出する。具体的には、「イベントフラグ」フィールドが‘真’のレコードの数を、発生中の音声報知イベントの数として算出する。
【0056】
また、音声報知イベント検出部602は、イベント情報基本テーブル502から、発生中の音声報知イベントに関する各情報(ID、優先度、アドレス等)を取得する。
【0057】
また、音声報知イベント検出部602は、イベント情報基本テーブル502の「イベントフラグ」フィールドを常に監視しており、音声報知イベントの新たなる発生および解消を確認する。
【0058】
優先度判定部603は、新たな音声報知イベントの発生が検出されて発生中の音声報知イベントの数が複数であると検出された場合、新たに発生した音声報知イベント(のイベントID)に対応する優先度と、発生中の音声報知イベントに対応する優先度との比較を行う。具体的には、全ての発生中の音声報知イベントの中で、新たに発生した音声報知イベントの優先度が最も高いか否かを確認する。
【0059】
また、優先度判定部603は、発生中の音声報知イベントの数が複数であると検出された後に、音声報知イベントが解消された場合、解消された音声報知イベント(のイベントID)に対応する優先度と、発生中の音声報知イベントに対応する優先度との比較を行いその高低を判定する。より具体的には、発生中の音声報知イベントと比較して解消された音声報知イベントの優先度が最も高いか否かを確認する。
【0060】
再生制御部604は、音声報知イベント検出部で602検出された発生中の音声報知イベントの数に応じて音声ファイルの再生制御を行う。
【0061】
再生制御部604は、発生中の音声報知イベントの数が一つである場合、発生中の音声報知イベントに対応するアドレスに保存された音声ファイルを検索して再生する。
【0062】
再生制御部604は、発生中の音声報知イベントの数が複数である場合、優先度判定部603による比較結果に基づいた再生制御を行う。
【0063】
再生制御部604は、優先度判定部603によって、新たに発生した音声報知イベントに対応する優先度が最も高いことが確認されると、新たに発生した音声報知イベント以外の発生中の音声報知イベントに対応する音声ファイルが再生中であるか否かを確認する。再生中であるならば、再生を停止し、新たに発生した音声報知イベントに対応するアドレスに保存された音声ファイルを検索して再生する。再生中でないならば、新たに発生した音声報知イベントに対応するアドレスに保存された音声ファイルを検索して再生する。これにより、優先度の最も高い音声報知イベントに対応する音声ファイルを確実に再生することができる。
【0064】
再生制御部604は、優先度判定部603によって、解消された音声報知イベントに対応する優先度が最も高いことが確認されると、当該解消された音声報知イベントに対応する音声ファイルが再生中であるか否かを確認する。そして、再生中であるならば、再生を停止し、発生中の音声報知イベントの中で優先度の高い音声報知イベントに対応するアドレスに保存された音声ファイルを検索して再生する。再生中でないならば、発生中の音声報知イベントの中で優先度の高い音声報知イベントに対応するアドレスに保存された音声ファイルを検索して再生する。これにより、優先度の最も高い音声報知イベントが解消された場合、まだ解消されていない音声報知イベントに対応する未再生の音声ファイルを確実に再生することができる。
【0065】
1−4.血糖値測定装置の動作例
次に、音声報知イベント発生時における音声ファイルの再生制御に関する血糖値測定装置101の動作について図8を参照して説明する。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置101の動作を示すフローチャートである。
【0067】
制御部402は、新たに音声報知イベントが発生したことを検出すると、音声報知イベント検出部602に発生中の音声報知イベントが複数であるか否かを確認させる(ステップS701)。発生中の音声報知イベントが一つであるならば(ステップS701のNO)制御部402は、再生制御部604に、新たに発生した音声報知イベントに対応する音声ファイルを再生させる。これにより、再生された音声ファイルに応じた音声が音声出力部112から出力される(ステップS702)。そして、処理が終了される。
【0068】
一方、発生中の音声報知イベントが複数(ここでは2つの場合を例示)であるならば(ステップS701のYES)、制御部402は、優先度判定部603に、発生中の音声報知イベントの中で新たに発生した音声報知イベントの優先度が最も高いか否かを確認させる(ステップS703)。新たに発生した音声報知イベントの優先度が最も高いならば(ステップS703のYES)、制御部402は、再生制御部604に、新たに発生した音声報知イベント以外の発生中の音声報知イベントに対応する音声ファイルが再生中であるか否かを確認させる(ステップS704)。
【0069】
再生中の音声ファイルがあるならば(ステップS704のYES)、制御部402は、再生制御部604に音声ファイルの再生を停止させる(ステップS705)。そして、制御部402は、再生制御部604に、新たに発生した音声報知イベントに対応する音声ファイルを再生させ、再生された音声ファイルに応じた音声が音声出力部112から出力される(ステップS706)。一方、再生中の音声ファイルがないならば(ステップS704のNO)、ステップS706の処理に移行する。
【0070】
以上の処理が完了した後、制御部402は、音声報知イベント検出部602に、音声報知イベントが解消されたか否かを確認させる(ステップ707)。音声報知イベントが解消されていない間は(ステップS707のNO)、ステップS707の処理を繰り返す。一方、音声報知イベントが解消されたならば(ステップS707のYES)、制御部402は、優先度判定部603に、発生中の音声報知イベントと比較して解消された音声報知イベントの優先度が最も高いか否かを確認させる(ステップS708)。
【0071】
解消された音声報知イベントの優先度が最も高いならば(ステップS708のYES)、制御部402は、再生制御部604に、解消された音声報知イベントに対応する音声ファイルが再生中であるか否かを確認させる(ステップS709)。再生中であるならば(ステップS709のYES)、制御部402は、再生制御部604に再生中の音声ファイルの再生を停止させる(ステップS710)。そして、制御部402は、再生制御部604に、発生中の音声報知イベントに対応する音声ファイルを再生させ、再生された音声ファイルに応じた音声が音声出力部112から出力され(ステップS711)、処理が終了する。一方、解消された音声報知イベントに対応する音声ファイルが再生中でないならば(ステップS709のNO)、ステップS711の処理に移行する。
【0072】
上述したステップS703の処理にて、新たに発生した音声報知イベントの優先度が最も高くはないならば(ステップS703のNO)、音声ファイルを再生することなく、ステップS707の処理に移行する。
【0073】
上述したステップS708の処理にて、発生中の音声報知イベントのうち、解消された音声報知イベントの優先度が最も高くないならば(ステップS708のNO)、音声ファイルを再生することなく処理を終了する。なお、本実施形態の動作例では、発生中の音声報知イベントの数が2の場合を例示したが、3以上の場合にも対応して適宜処理フローを変更しうる。
【0074】
以上説明したように、本発明の一実施形態では、新たに音声報知イベントが発生した場合、あるいは、音声報知イベントが解消された場合、発生中の音声報知イベントの中で最も優先度の高い音声報知イベントに対応する音声ファイルのみを再生することができる。これにより、最優先で対処する必要のある音声報知イベントをユーザに明確に示すことができる。
【0075】
その上、発生中の音声報知イベントのうち最も優先度の高い音声報知イベントに対応する音声ファイルのみが再生され、その他の発生中の音声報知イベントに対応する音声ファイルは再生されないので、電池の消耗を防止することもできる。
【0076】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
101…血糖値測定装置、102…表示部、103…電源ボタン、104…呼出ボタン、105…筐体、106…イジェクタ、107…ホルダ、108…再生ボタン、110…チップ、111…ケース、112…音声出力部、113…音量設定スイッチ、114a…突起部、202…試験紙、302…細管、303…発光部、304…受光部、402…制御部、403…制御発振部、404…時計発振部、405…データ記憶部、406…外部出力部、407…電源、408…電源電圧検出部、409…A/D変換部、410…操作部、502…イベント情報基本テーブル、602…音声報知イベント検出部、603…優先度判定部、604…再生制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖値を測定する血糖値測定装置において、
音声報知イベントの優先度、該音声報知イベントに対応する音声ファイルの指定されたアドレスおよび前記音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが紐付けされて記憶されたデータ記憶部と、
前記データ記憶部を参照して、発生中の前記音声報知イベントの数を算出するとともに、発生中の前記音声報知イベントに関する各情報を取得するイベント検出部と、
前記イベント検出部で算出された発生中の前記音声報知イベントの数が複数である場合、発生中の前記音声報知イベントの優先度の比較を行う優先度判定部と、
前記優先度判定部により最も優先度が高いと判定された前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う再生制御部と、
を備える血糖値測定装置。
【請求項2】
前記音声報知イベントが新たに発生し、前記優先度判定部によって新たに発生した音声報知イベントの優先度が最も高いと判定された場合、
前記再生制御部は、再生中の音声ファイルの再生を停止し、新たに発生した前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う
請求項1に記載の血糖値測定装置。
【請求項3】
前記音声報知イベントが解消され、前記優先度判定部によって解消された前記音声報知イベントの優先度が最も高いと判断された場合、
前記再生制御部は、解消された前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を停止し、優先度の最も高い発生中の前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う
請求項2に記載の血糖値測定装置。
【請求項4】
血糖値を測定する血糖値測定装置を用いた音声報知方法において、
音声報知イベントの優先度、該音声報知イベントに対応する音声ファイルの指定されたアドレスおよび前記音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが紐付けされて記憶されたデータ記憶部を参照して、発生中の前記音声報知イベントの数を算出するとともに、発生中の前記音声報知イベントに関する各情報を取得するステップと、
算出された発生中の前記音声報知イベントの数が複数である場合、発生中の前記音声報知イベントの優先度の比較を行うステップと、
最も優先度が高いと判定された前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行うステップと、を含む
音声報知方法。
【請求項5】
血糖値を測定する血糖値測定装置で用いられるプログラムにおいて、
音声報知イベントの優先度、該音声報知イベントに対応する音声ファイルの指定されたアドレスおよび前記音声報知イベントの発生の有無を示すフラグが紐付けされて記憶されたデータ記憶部を参照して、発生中の前記音声報知イベントの数を算出するとともに、発生中の前記音声報知イベントに関する各情報を取得する手順と、
算出された発生中の前記音声報知イベントの数が複数である場合、発生中の前記音声報知イベントの優先度の比較を行う手順と、
最も優先度が高いと判定された前記音声報知イベントに対応する音声ファイルの再生を行う手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211851(P2012−211851A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78053(P2011−78053)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】