説明

血糖値測定装置

【課題】食事内容を選択する際に適切な管理を行うことが出来る血糖値測定装置を提供する。
【解決手段】食品のメニューに記された食品情報を読み取る読取部1と、この読取部1が読み取った複数の食品の栄養情報を保持する栄養情報保持部2と、使用者の血糖値を測定する血糖値測定部3と、測定した前記血糖値を蓄積する血糖値蓄積部4と、蓄積した前記血糖値に基づいて、前記栄養情報保持部2が保持した食品群から選択可能な食品の組み合わせを判定する食品判定部5と、この食品判定部5の判定結果を表示する表示部6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が、食事で摂取するカロリーや栄養素等の管理を簡単に行うための健康管理端末がある。この端末は、メニューから料理の詳細を読み取ると、その料理のカロリーをデータベースから取り寄せる。そして、使用者のその日の運動量から消費カロリーを求め、その料理を摂取しても良いかどうかを判断するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−039774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この技術を用いれば、その日の運動量に応じて変動する必要な摂取カロリーが分かり、それに基づいて料理を選択することが出来て使用者の健康管理に有用である。ところが、従来の技術では間接的に消費カロリーを推定するものであるため、血糖値の調整が必要な使用者にとっては適切な管理が困難であるという課題を有していた。
【0004】
そこで本発明は、食事内容を選択する際に適切な管理が出来るようにした血糖値測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そしてこの目的を達成するために、本発明の血糖値測定装置は、食品のメニューに記された食品情報を読み取る読取部と、この読取部が読み取った複数の食品の栄養情報を保持する栄養情報保持部と、使用者の血糖値を測定する血糖値測定部と、測定した前記血糖値を蓄積する血糖値蓄積部と、蓄積した前記血糖値に基づいて、前記栄養情報保持部が保持した食品群から選択可能な食品の組み合わせを判定する食品判定部と、この食品判定部の判定結果を表示する表示部とを備えた事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明の血糖値測定装置によれば、使用者の血糖値の状態に基づいて摂取可能な食品を選択するようにしたので、食事内容を選択する際に適切な管理が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の血糖値測定装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0008】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における血糖値測定装置の構成を示している。図1に示すように本実施の形態の血糖値測定装置は、食品のメニューに記された食品情報を読み取る読取部1と、この読取部1が読み取った複数の食品の栄養情報を保持する栄養情報保持部2と、使用者の血糖値を測定する血糖値測定部3と、測定した前記血糖値を蓄積する血糖値蓄積部4と、蓄積した前記血糖値に基づいて、前記栄養情報保持部が保持した食品群から選択可能な食品の組み合わせを判定する食品判定部5と、この食品判定部の判定結果を表示する表示部6とを備えている。さらに、食品判定部5は、食後の血糖値を推定する血糖値推定部7を有する。
【0009】
まず、読取部1と栄養情報保持部2について説明する。例えば、読取部1はメニューに表示されている2次元バーコードを撮像するカメラである。近年、健康志向の高まりから、レストラン等の外食店では、メニューに掲載した食品のカロリー情報やGI(Glysemic Index)情報を提供するようになりつつある。ここでは、メニュー上に、食品と、その栄養情報として、GI情報がQRコード(登録商標)のような2次元バーコードで表したものが掲載されたものとする。ここでGI情報は、2次元バーコードではなく、1次元のバーコードや数字が表記された状態で提供されるものでも良い。数字を読み取る時には、読取部1は、OCR(Optical Character Reader)で構成されていれば良い。
【0010】
この読取部1で読み取られたGI情報は、食品と関連付けされて栄養情報保持部2に保持される。使用者は、その食事で摂取する食品の数だけ、読取部1を用いてメニューからGI情報を取得する。すると栄養情報保持部2には、表1に示すように、それらが食品と関連付けられて保持される。
【0011】
【表1】

【0012】
表1に示した例では、使用者が選択した候補として、食品A、食品B、食品C、食品D、飲物A、飲物Bを読取部1で読み取っている。
【0013】
次に、血糖値測定部3と血糖値蓄積部4について説明する。血糖値測定部3は、使用者の血液から血糖値を測定するものである。まず、血糖値測定部3に血糖値センサ(図示せず)を装着する。次に、使用者が血液を点着すると、血糖値測定部3は血糖値の測定を行う。
【0014】
この血糖値の測定は、例えば次に示す電気化学方式で実現される。血糖値センサには、電極と、この電極上の血液を点着する位置に試薬が塗布されており、血液が点着されるとこの試薬と反応する。電極には予め電圧が印加されており、この試薬の反応によって電極を流れる電流量が変化する。この電流の変化量を検量線に当てはめ、血糖値を推定する。血糖値測定部3で測定された血糖値は、血糖値蓄積部4に送られる。
【0015】
血糖値蓄積部4は、血糖値測定部3から血糖値が送られると、内蔵の時計(図示せず)から時刻を取得し、血糖値と関連付けて蓄積する。血糖値の測定頻度は、使用者の状態によって異なるが、血糖値蓄積部4には、少なくとも直前の24時間の測定結果が蓄積されるようにする。
【0016】
次に、本実施の形態の特徴の一つである食品判定部5について詳細に説明する。食品判定部5は、食事後に使用者が高血糖、または低血糖に陥らないように、食事で摂取可能な食品を判定するものである。食品判定部5は、まず、栄養情報保持部2から使用者が食事の候補と考えて読み取った食品のGI情報を読み出す。そして、表2の如く、それら全ての食品の組み合わせを構成して、それぞれの組み合わせの総GIを求める。
【0017】
【表2】

【0018】
食品の組み合わせと総GIが求められると、次に、食品判定部5内の血糖値推定部7が、それぞれの組み合わせを使用者が摂取した場合の、食後8時間内での最高血糖値と最低血糖値を推定する。
【0019】
現在では、糖質を摂取した後血糖値がどのように推移するかは解明されている。図2は、高GIの食品、低GIの食品を摂取した後の血糖値の推移例を表すグラフである。曲線Aが高GIの食品、曲線Bが低GIの食品の血糖値の推移である。図2では、簡単のために食後2時間の推移を示した。この推移は、平均的なものではあるが、使用者に適応させるために、予め使用者の食後の血糖値推移を測定しておき、血糖値推定部7に保存しておいても良い。
【0020】
使用者の血糖値は、この血糖値曲線の和により求まるため、血糖値推定部7は、それぞれの食品の組み合わせの血糖値曲線を求め、そこから最高血糖値と最低血糖値を推定する。この時、血糖値推定部7は、さらに過去の使用者の血糖値履歴を用いて、最高血糖値と最低血糖値の推定を補正する。
【0021】
まず、血糖値推定部7は、血糖値蓄積部4に蓄積されている最近の血糖値測定時刻と血糖値を参照する。最近の血糖値測定時刻から、現在時刻が30分以内であれば、その血糖値を初期血糖値として、血糖値曲線を補正し、最高血糖値と最低血糖値を求める。
【0022】
一方、最近の血糖値測定時刻から30分以上経過している場合には、さらに、それより前の直近の2回の血糖値を参照する。そして、これら3回の測定した血糖値の推移から、現在の血糖値を推定し、その推定した血糖値を初期血糖値として、血糖値曲線を補正し、最高血糖値と最低血糖値を求める。
【0023】
食品判定部5は、全ての食品の組み合わせに対して、血糖値推定部7において最高血糖値と最低血糖値が推定された後、最高血糖値が最高制限値、即ち使用者にとってそれを超えると体調が悪化する可能性のある血糖値、を超える組み合わせには“オーバー”というフラグを付す。一方、食後8時間内に最低血糖値が最低制限値、即ち、それよりも血糖値が低いと低血糖状態に陥ってしまう血糖値、を下回る組み合わせには、“アンダー”というフラグを付す。そして、食品の組み合わせと、その組み合わせの総GIと、フラグの有無とを表示部6へと出力する。
【0024】
なお、ここで食後8時間内の最高血糖値と最低血糖値を判定に用いたのは、次の食事までの時間を想定したためであるが、この時間は使用者の生活習慣に合わせて、自由に設定することを可能とする。また、次の食事までの時間設定として、夜食時は長く、朝食時と昼食時は短くするようにしても良い。
【0025】
表示部6は、食品判定部5から送られて来た、食品の組み合わせ、総GI、フラグを表示する。図3は、その表示例を示したものである。フラグは、“オーバー”の時は「取り過ぎ」、“アンダー”の時は「不足」などとして表示する。
【0026】
この時、使用者が取得した食品数が多い場合は、フラグが付されていない組み合わせを優先的に表示するようにする。または、使用者が組み合わせ数を指定すると、その指定した数の組み合わせ結果を表示するようにしても良い。
【0027】
あるいは、一旦、表示部6に使用者が取得した食品の情報を表示する。そして、使用者が図示しない入力手段を用いて食品を選択すると、その選択した物の組み合わせのみを表示部6に表示するようにしても良い。
【0028】
以上のように、本実施の形態の血糖値測定装置によれば、摂取する食品の組み合わせから得られる総GI値によって変動する使用者の血糖値の変動を推定し、その変動が許容範囲内であるか否かを判定して表示するようにしたので、食事内容を選択する際に適切な管理を行うことが出来るようになる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にかかる血糖値測定装置は、使用者の健康管理を行うための血糖計や情報管理端末等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における血糖値測定装置のブロック図
【図2】血糖値の変動を示した図
【図3】表示例を示した図
【符号の説明】
【0031】
1 読取部
2 栄養情報保持部
3 血糖値測定部
4 血糖値蓄積部
5 食品判定部
6 表示部
7 血糖値推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品のメニューに記された食品情報を読み取る読取部と、
この読取部が読み取った複数の食品の栄養情報を保持する栄養情報保持部と、
使用者の血糖値を測定する血糖値測定部と、
測定した前記血糖値を蓄積する血糖値蓄積部と、
蓄積した前記血糖値に基づいて、前記栄養情報保持部が保持した食品群から選択可能な食品の組み合わせを判定する食品判定部と、
この食品判定部の判定結果を表示する表示部とを備えた血糖値測定装置。
【請求項2】
前記食品判定部は、前記血糖値蓄積部が蓄積した使用者の血糖値の履歴から、食後の血糖値を推定する血糖値推定部を備える請求項1に記載の血糖値測定装置。
【請求項3】
食後の血糖値の最高値が最高制限値を越えない食品の組み合わせを選択する
請求項2に記載の血糖値測定装置。
【請求項4】
前記食品判定部は、前記読取部が読み取った食品を全て摂取しても前記血糖値推定部が推定する食後の血糖値の所定時間内の最低値が最低制限値を下回る場合には、前記表示部に糖分の追加選択を表示させる
請求項2または3に記載の血糖値測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−178881(P2010−178881A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24672(P2009−24672)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】