説明

血糖応答に対するよりもインスリン応答に対してより大きな影響を有する炭水化物組成物

本発明は、可溶性食物繊維とグルコースシロップを含む、血糖応答よりもインスリン応答に対してより大きな影響を有する炭水化物組成物、それを調製する方法および食物におけるそれらの使用を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖応答よりもインスリン応答に対してより大きな影響を有する炭水化物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マルトデキストリン、グルコースシロップ、および純粋デキストロースをはじめとするデンプン加水分解産物は、従来、穀物または塊茎デンプンの酸性および/または酵素的加水分解によって生成される。これらの加水分解産物は、直鎖および分枝糖類の複雑な混合物を含有し、事実上、グルコースと、極めて様々な分子量のグルコースポリマーとの混合物である。それらを分類する第1の方法は、従来、デキストロース当量またはD.E.の概念によって表される、それらの還元力の測定である。定義上、100のD.E.が、これらのポリマーを構成するモノマーである、純粋グルコースまたはデキストロースに割り当てられる。非常に大きなグルコースポリマーであるデンプンは、0に近いD.E.を有する。これらの2つの値の間にあらゆる種類のデンプン加水分解産物があり、最も加水分解されたものは100に近いD.E.を有し、最小限加水分解されたものは0に向かう傾向があるD.E.を有する。双方の範囲の間で、マルトデキストリンは1〜20のデキストロース当量(DE)を有し、グルコースシロップは20を超えるDEを有する。
【0003】
25〜63DEのグルコースシロップおよびマルトースシロップなどのデンプン加水分解産物は、それらの入手のしやすさ、高許容限界、加工性、および低価格のために食品用途で広く使用されている。健康的な食餌と肥満症に関心がある人々にとっては、グルコースシロップは糖含量が高いという欠点を有する。
【0004】
イヌリン、FOS、およびポリデキストロースなどの可溶性食物繊維は、多数の先進国(例えば米国、ヨーロッパ)の食餌に蔓延している繊維欠乏を低下させるための有益な食品成分として、より認識されるようになってきている。食物繊維は、便通、糞便重量増大、大腸発酵刺激、血液総コレステロールおよび/またはLDLコレステロールレベルの低下、および食後血糖および/またはインスリンレベルの低下をはじめとするその多数の健康上の利点で良く知られている。特に欧州特許第443789号明細書は、血糖値にいかなる影響も及ぼすことなくインスリン分泌を節約するための食品複合材料中におけるピロデキストリンの使用を開示する。しかし市販される可溶性食物繊維は、過剰な鼓腸および下痢の形態の消化不耐性、低粘度、および望ましくない味覚と口当たりという欠点を抱えている。
【0005】
「オリゴ糖類」という用語は、単純な単糖または二糖類よりも大きいが、多糖類(9単位を超える)よりも小さい炭水化物を包含する。
【0006】
マルトオリゴ糖類、イソマルトオリゴ糖類(IMO)、およびフルクトオリゴ糖類などの「オリゴ糖類」は、特にアジア市場においてより注目を浴びるようになっている。オリゴ糖類は、多様な機能性食品のための成分として食品加工業者によって購入されている。IMOはアジアで過去15〜20年間にわたって生産されており、多様な食品用途で使用されている。IMOの現行の使用の大部分は、日本、中国、韓国などのアジア諸国における健康食品成分としての使用である。IMOの使用は、日本ではその他のあらゆる不消化オリゴ糖類よりも普及している。2003年には、日本におけるIMOの需要は11,000トンと推定された。IMOは、甘味料として日本で長年使用されている。IMOシロップは、日本では伝統的発酵食品中で効果的に使用されている。
【0007】
イソマルトオリゴ糖類は、具体的には、特にイソマルトース、パノース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、ニゲロース、コージビオース、およびより高級な分枝オリゴ糖類をはじめとする、α−D−(1,6)−結合があるグルコースオリゴマーである。ヒト腸管酵素はα−(1,4)−グリコシド結合を容易に消化する一方で、α−D−(1,6)−結合、特に連結長鎖ポリマーのα−D−(1,6)−結合は、それらのヒト胃腸管通過に際して容易に加水分解されない。これが、オリゴ糖類、例えばイソマルトオリゴ糖類の持つ利点の一つが、例えばプレバイオティクスなどの健康増進効果であることの理由である(Kohmoto T.,Fukui F.,Takaku H.,Machida Y.,et al.,Bifidobacteria Microflora,7(2)(1988),61−69;Kohmoto K.,Tsuji K.,Kaneko T.Shiota M.,et al.,Biosc.Biotech.Biochem.,56(6)(1992),937−940;Kaneko T,Kohmoto T.,Kikuchi H.,Fukui F.,et al.,Nippon Nogeikagaku Kaishi,66(8)(1992),1211−1220,Park J−H,Jin−Young Y.,Ok−Ho S.,Hyun−Kyung S.,et al.,Kor.J.Appl.Microbiol.Biotechnol.,20(3)(1992),237−242)。
【0008】
日本、中国、香港、韓国、および台湾では、IMOは規制当局によって認識されており、この食品成分は数十年間にわたり販売されている。目下、IMOは、この製品をプレバイオティクス機能および消化健康の総合的改善のような健康上の利点を示すいくつかの機能性食品に添加することで、これらの国々のローカル人口によって消費されている。
【0009】
オリゴ糖類の生理学的および機能的利点には、消化耐性、粘度、および望ましい味覚と口当たりが含まれる。しかし既存のオリゴ糖類は、単糖類および二糖類の総計と定義される糖含量が比較的高く、Association of Official Analytical Chemistsにより認可された繊維法による測定で、検出可能なレベルの食物繊維が低いという欠点を有する。例えば市販のイソマルトオリゴ糖類、例えばIMO500およびIMO900製品は、典型的に20〜35%の単糖類、10〜40%の二糖類、および5%未満の食物繊維を有する。
【0010】
それでもなおIMOは、多数の無視できない利点もまた提示する。IMOシロップはスクロースの約半分の甘さなので、液糖シロップの一部または全部をそれらで置き換えて、飲料のための異なる甘さプロフィールを作り出せる。それらはまた、非発酵性糖シロップとしてビール製造中に添加して発酵性糖のいくらかを置き換え、得られたビールの残留甘さと口当たりを改変し得る。それらの虫歯予防特性は、それらを砂糖代替物質として多数の菓子製品中で使用することで利用し得る。齲歯は、歯の表面に不溶性のグルカンガム(プラーク)が形成し、このプラーク下に歯のエナメル質を攻撃する酸が形成することで引き起こされる。細菌感染に対する改善された抵抗性をもたらす、報告されたより高い水分保持(水結合)能力は、製パン工業において老化速度がより遅い製品を開発する上で利点であり得る。しかし有用で興味のある主要な利点および主要な分野は、プレバイオティクス製品を対象として含む機能性食品分野にあるように見える。日本では、健康上の利点が報告された多数のいわゆる機能性食品が販売され、そのいくつかは成分としてIMOを使用する。プレバイオティクスは、小腸を未消化で通過し、次に大腸中で発酵して、一連の単鎖脂肪酸、具体的には酪酸を生じる非消化炭水化物である。推奨用量で使用された場合、IMOは下痢を引き起こさないことがが臨床試験で報告されている。IMOは報告によれば、腸管内微生物叢の調節を助け、腸管微生物の均衡を改善する、腸内のビフィズス菌などのプロバイオティクス細菌(有益な生菌)によって、優先的に選択される食物源である。
【0011】
目下、IMOは米国では、特に様々な飲料中の可溶性繊維およびプレバイオティクスの原料として、多くの企業によって配合されている。しかし欧州連合では、一般集団によるIMOの使用は、プレバイオティクスおよび繊維の機能性がある栄養甘味料として想定されており、甘味付けの目的で多様なその他の食品および飲料製品と混合される。IMOは一般食品成分として使用され、飲料産業、乳業、およびあらゆる種類の菓子およびデザート製造業によって製造される一連の食品と共に調合される。
【0012】
最近まで炭水化物は、それらの重合度を基準にして「単純」および「複合」に分類されている。しかしそれらの健康に対する影響は、構成糖タイプ(例えばグルコース、果糖、ガラクトース)と炭水化物の物理的形状の双方に左右される、それらの生理学的効果(すなわち血糖を上昇させる能力)に基づいての方が、より十分に説明され得る。この分類は、グリセミック指数(GI)と称される。GIは、食後の血糖に対するそれらの影響に従って、炭水化物食品を分類するために導入された。GIは、参考製品(グルコースまたは精白パン)の炭水化物等価負荷後の対応する面積の百分率で表される、試験品摂取後の増分血糖面積と定義される。GIは、血糖値を増大させるそれらの能力(速度および大きさ)によって、炭水化物を含有する食品を分類する。それは等しい糖質(50gの炭水化物)条件下で、単独食品によって誘発される血糖値増大と、最も頻繁には純粋グルコース溶液が使用される選択された基準食品によって誘発される血糖値増大とを比較することによって測定される。GIは、調査食品摂取後2時間以内の血糖値または曲線下面積の和と、選択された基準食品によって定義される観察された変化とを比較することで定義される。基準食品により得られる応答の値を100として、全てのその他の食品はこの値と比較して%値で表される。GI値は、3つのカテゴリーに分類される。高GI(>70)、中間(GI(56〜69)、および低GI(0−55)。インスリン指数(II)は、対応するインスリン面積増分から計算され得る。IIはグルコース測定値をインスリン測定値で単に置き換えることで、GIと同一条件下で得られる。指数は、血糖応答が、I型糖尿病における異常な炭水化物代謝の中核を成す、主要同化ホルモンであるインスリンの応答を適切に反映していないかもしれないという、持たれ得る懸念の結果として導入された。
【0013】
異なる食品に対するグルコースおよびインスリン応答は、顕著に変動し得ることが今や確定している。応答の多様性は、炭水化物、タンパク質、および脂肪のタイプおよび量;食品形態食品加工法;食物繊維などの一連の要因に起因し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
健康な食餌と肥満症に関心がある人々の間では、より低いインスリン応答と、血糖応答に対するより少ない影響を誘発する炭水化物に対する必要性が認識されている。より具体的には、低いインスリン応答と、低い糖レベルと、消化耐性、粘度、および望ましい味覚と口当たりという利点がある可溶性食物繊維とを有する炭水化物に対する必要性がある。したがって費用効率が高く工業的に実行可能な技術によって、前記炭水化物を製造する方法が有利であることが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者らは、特定の範囲の可溶性食物繊維がある炭水化物組成物は、血糖応答よりもインスリン応答に対して、より大きな影響を及ぼし得ることを意外にも観察した。さらに発明者らは、可溶性食物繊維を還元糖グルコースシロップと組み合わせた場合に、この効果差がより強いこともまた観察した。
【0016】
したがって本発明は、可溶性食物繊維とグルコースシロップを含む炭水化物組成物に関し、可溶性食物繊維は膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含み、グルコースシロップは単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類を含むかまたはそれらから構成され、組成物中の可溶性食物繊維は、0.90よりも低いRIR(相対インスリン応答)/RGR(相対血糖応答)比を得るのに適した量である。好ましくは可溶性食物繊維含量は、AOAC2001.03による測定で、乾燥ベースで前記組成物の約30%〜約50%である。好ましくは可溶性食物繊維はデキストリンおよび/またはマルトデキストリンであり、好ましくは分枝デキストリンおよび/またはマルトデキストリンである。場合により可溶性食物繊維は、イヌリン、ポリデキストロース、フルクトオリゴ糖類、およびβグルカンからなる群から選択される、任意の1つ、または組み合わせの可溶性食物繊維である。好ましくは前記グルコースシロップまたは前記組成物中の可消化単糖類および二糖類(DP1およびDP2)の含量は、乾燥ベースで前記シロップまたは組成物の約10%以下、好ましくは約5%未満である。より好ましくは、グルコースシロップは、乾燥ベースで前記シロップの約75%以上のイソマルトオリゴ糖類を含有し、特に乾燥ベースで前記シロップの約80%以上のDP3〜DP8糖類を含有する。さらにより好ましくは前記シロップのパノース含量は、乾燥ベースで前記シロップの少なくとも約5%以上、好ましくは約10%または25%または40%以上である。好ましくは前記シロップのイソマルトトリオース含量は、乾燥ベースで前記シロップの約5%以上、好ましくは約15%または25%以上である。特定の実施態様では、前記組成物のDE(デキストロース当量)は約15以上40未満である(すなわち約15〜40)。別の特定の実施態様では、前記組成物のD.E.は、Lab9259製品では18〜25、Lab9244製品では23〜30である。好ましくは組成物は、実質的に乾燥している。
【0017】
本発明はまた、本発明に従った組成物を製造する方法にも関する。第1の実施態様では、本発明は、
a)デンプンをαアミラーゼで液化するステップと;
b)ステップa)によって得られた生成物に、膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含む可溶性食物繊維を添加するステップと;
c)混合物をβアミラーゼおよびプルラナーゼの少なくとも2つの酵素によって糖化するステップと;
d)DP2糖類の含量が乾燥ベースで混合物の60%よりも高い場合は、場合により混合物にトランスグルコシダーゼを添加するステップと;
e)DP1およびDP2糖類を混合物から除去するステップ
を含む、本発明に従った組成物を製造する方法に関する。
【0018】
第2の実施態様では、本発明はグルコースシロップと可溶性食物繊維との液体混合を含む、本発明に従った組成物を製造する方法に関する。
【0019】
第3の実施態様では、本発明は、グルコースシロップと可溶性食物繊維との乾式混合を含む、本発明に従った組成物を製造する方法に関する。
【0020】
本発明はまた、飲料、食品、飼料、栄養補助食品、健康補助食品または機能性食品を調製するための本発明に従った組成物の使用にも関する。したがってそれは、本発明に従った組成物を飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品成分からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素に添加するステップを含む、飲料、食品、飼料、栄養補助食品、健康補助食品または機能性食品を調製する方法に関する。特にそれは、本発明に従った組成物と、飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品材料からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素とを含む生成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従った炭水化物組成物を製造する方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
「RIR」は、本明細書中で、対照として場合により100と設定された2回のグルコース試験食の平均を使用して計算される、相対インスリン応答を意味する。インスリンレベルは、例えば実施例で詳述するようにして測定され得る。
【0023】
「RGR」は、本明細書中で対照として場合により100と設定された2回のグルコース試験食の平均を使用して計算される、相対血糖応答を意味する。血糖値は、例えば実施例で詳述するようにして測定され得る。
【0024】
「DP」は、糖類単位を意味する。
【0025】
「DP1」は、単糖類、好ましくはデキストロースを意味する。
【0026】
「可消化DP2」糖類は、本明細書中でα1→4結合がある2つのグルコース単位を意味し、したがってマルトースを指す。
【0027】
「直鎖」糖類は、本明細書中でα1→4結合のみによって連結されるグルコース単位があるオリゴ糖類を意味する。例えばマルトースは、可消化直鎖DP2糖類とみなされる。
【0028】
「分枝」糖類は、本明細書中でα1→4結合によって連結されるが、1→6結合によっても、そして場合により1→2および/または1→3結合によっても連結されるグルコース単位があるオリゴ糖類を意味する。例えばイソマルトースは、不消化分枝DP2糖類とみなされる。
【0029】
本明細書中では百分率は、特に断りのない限り乾燥ベースの重量基準で表現される。
【0030】
数との関連で「約」が使用される場合、これは好ましくは数+/−10%、より好ましくは数+/−5%、最も好ましくは「約」の付かない数それ自体を意味する。
【0031】
可溶性食物繊維の百分率は、AOAC2001.03によって測定される。
【0032】
「イソマルトオリゴ糖類」とは、本明細書中で1→6結合によって連結された、少なくとも2つのグルコース単位を含むグルコース含有オリゴ糖類を意味する。
【0033】
「デキストリン」という表現は、本明細書中では、デンプンの酸および/または酵素的加水分解によって、従来得られる、標準デキストリンを意味する。
【0034】
「マルトデキストリン」という表現は、本明細書中では、デンプンの酸および/または酵素的加水分解によって従来得られ、20未満のデキストロース当量(またはDE)として表される還元力によって特徴付けられる、標準マルトデキストリンを意味する。
【0035】
本発明の組成物は、膵臓酵素による消化に抵抗性である、デンプンまたはその他の原料由来の少なくとも1つの炭水化物を含む可溶性食物繊維と、グルコースシロップとを含む。
【0036】
組成物中の可溶性食物繊維の含量は、0.90よりも低く、好ましくは0.86以下、より好ましくは0.83以下のRIR(相対インスリン応答)/RGR(相対血糖応答)比を得るのに適した量である。例えば比率は、0.70〜0.90、好ましくは0.75〜0.8であり得る。好ましくは比率は、0.5、0.6、または0.7よりも高い。
【0037】
特に本発明は、可溶性食物繊維とグルコースシロップとを含む炭水化物組成物に関し、可溶性食物繊維は膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含み、グルコースシロップは単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類を含むかまたはそれらから構成され、組成物中の可溶性食物繊維の含量は、乾燥ベースで組成物の30%以上、好ましくは少なくとも約30または35%である。例えば組成物中の可溶性食物繊維の含量は、乾燥ベースで組成物の約30%〜約50%、好ましくは約35%〜45または50%の範囲に及び得る。可溶性食物繊維とは、水溶性であること意味する。
【0038】
可溶性食物繊維は、例えばイヌリン、フルクトオリゴ糖類、βグルカンまたはポリデキストロースであり得るが、好ましくはデンプン、例えばトウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたはキャッサバデンプンに由来する不消化可溶性食物繊維である。したがって可溶性食物繊維は、好ましくはデンプンに由来する、好ましくは不消化デキストリンおよび/またはマルトデキストリンである。より好ましくは可溶性食物繊維は、本質的に不消化デキストリンおよび/またはマルトデキストリンを含むかまたはそれらから構成される。デキストリンまたはマルトデキストリンは、そのままで、またはそれらの水素化形態で使用されてもよい。不消化デキストリンは酸性媒体中におけるデンプンの乾燥ローストによって得られ、より具体的にはピロデキストリンと称される。
【0039】
好ましくは可溶性食物繊維は、不消化デキストリン、マルトデキストリンまたはその混合物である。
【0040】
好ましい実施態様では、不消化デキストリンまたはマルトデキストリンは、分枝デキストリンまたはマルトデキストリンである。「分枝デキストリン」または「分枝マルトデキストリン」という表現は、本発明の目的で、標準デキストリンよりも高比率の1→6グルコシド結合があり、そしてまた1→2および1→3グルコシド結合もある分枝デキストリンを意味するものと理解される。標準デキストリンまたはマルトデキストリン中では、1→6グルコシド結合の比率は総グルコシド結合の約4〜5%である。したがって好ましい分枝デキストリンは、総グルコシド結合の10〜35%、好ましくは総グルコシド結合の25〜30%の1→6グルコシド結合比、場合により総グルコシド結合の5〜15%の1→2または1→3グルコシド結合比を示す。特にこれらの不消化デキストリンについては、(その開示を参照によって本明細書に援用する)欧州特許出願公開第443789号明細書に記載される。特にこれらの不消化マルトデキストリンについては、(その開示を参照によって本明細書に援用する)欧州特許出願公開第1006128号明細書に記載される。例えばこれらの不消化マルトデキストリンは、出願人によってNUTRIOSE(登録商標)の名称の下に市販されるものであり得る。
【0041】
グルコースシロップは、単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類を含むかまたはそれらから構成される。特定の実施態様では、組成物のグルコースシロップは、コーンシロップであり得る。コーンシロップは35よりも高く、好ましくは55よりも高いDEを有し得る。グルコースシロップは、例えば市販されるIMO(500)製品(昭和)イソマルトオリゴ糖(IMO)シロップであり得る。PCT出願国際公開第2004/068966号パンフレットおよび欧州特許出願第875585号明細書は、IMOに富んだシロップを製造する方法を教示する。
【0042】
好ましい実施態様では、組成物のグルコースシロップは可消化糖の含有量が低い。好ましくは組成物のグルコースシロップは、好ましくは乾燥含量でシロップの約10%未満、より好ましくは約5%未満に、単糖類および可消化直鎖二糖類(DP1およびDP2)の含量が低下している。より特定的な実施態様では、組成物のグルコースシロップは、好ましくは乾燥含量でシロップの約10%未満、より好ましくは約5%未満に、イソマルトースをはじめとする単糖類および二糖類(DP1およびDP2)含量が低下している。このようなイソマルトオリゴ糖類シロップは、IMO(900)製品(昭和)として市販されている。これに加えて、好ましい実施態様では、組成物は乾燥含量で組成物の約10%未満、より好ましくは約5%未満の単糖類および可消化直鎖二糖類(DP1およびDP2)含量を有する。これに加えて、組成物は、乾燥含量で組成物の約10%未満、より好ましくは約5%未満のイソマルトースをはじめとする単糖類および二糖類(DP1およびDP2)含量を有し得る。
【0043】
好ましい実施態様では、可消化糖含有量の低いグルコースシロップは、乾燥ベースで前記シロップの約75%以上のイソマルトオリゴ糖類を含有する。
【0044】
既存のIMOは、通常、βアミラーゼおよびトランスグルコシダーゼを使用して、液化デンプンまたはマルトースから出発し、メンブランまたはクロマトグラフィー分離による単糖類の除去を通じてIMOを濃縮し、所望のIMOレベルを得て製造される。したがって、イソマルトースはIMOの主要構成要素の1つなので、それらは既存のIMO製品中に高濃度(>20%)で存在する。さらにイソマルトースからマルトースを分離することはほぼ不可能なので、既存のIMO製品は単糖類と二糖類の分離から得られ、IMO製品中のマルトースなどの二糖類の高濃度につながる。例えば基本的なIMO500は、高濃度のデキストロース(>25%)、マルトース(20%)、およびイソマルトース(15%)を有する。さらに既存のIMOは、食品用途において繊維を表示できる十分高い繊維含量を有さない。
【0045】
本発明は、IMO製品からイソマルトースを除去することで糖含量が非常に低いIMOをもたらし、二糖類および単糖類を除去する作業条件と特定のメンブランを選択することで三糖類から二糖類を成功裏に分離することにより、無糖食品、飲料、および医薬品用途で使用されてもよい低糖または無糖IMOの製造をもたらし、既存の方法と製品の問題を克服する。さらに具体的には、本発明に従った低糖または無糖IMOを製造する方法は二段階反応過程を伴い、高イソマルトトリオース含量のシロップを得て、ナノ濾過膜を使用したイソマルトースをはじめとする単糖類および二糖類からのDP3以上のオリゴ糖類の分離がそれに続く。好ましくは第1の反応過程は、好ましくはβアミラーゼと脱分枝酵素(より好ましくはプルラナーゼまたはイソアミラーゼまたは両者の組み合わせである)との2つの酵素を低DEおよび低DS(乾燥物質)液化デンプンと反応させて、高マルトースシロップを得るステップを伴う。デンプンの液化は、好ましくは酸または酵素、より好ましくはαアミラーゼを使用する。液化デンプンは、2〜16のDE、より好ましくは約4〜12のDE、および約25%のDSの標的範囲を含有する。反応条件は、好ましくは少なくとも52℃、より好ましくは約60℃かつ約70℃未満の温度、少なくとも4.5、より好ましくは約5.0で約5.5未満のpH、および少なくとも80%のマルトース含量のシロップを得るのに適切な反応時間、好ましくは少なくとも25時間、より好ましくは約30時間かつ約40時間未満の反応時間を伴う。第2の反応過程は、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは約60℃かつ約70℃未満の温度で、少なくとも4.5、より好ましくは約5.0かつ約5.5未満のpHで、パノース含量が少なくとも5%、好ましくは約10%であり、イソマルトトリオース含量が少なくとも5%、好ましくは少なくとも約10%または20%またはそれを超えるシロップを得るのに適切な反応時間、トランスグルコシダーゼ酵素と、少なくとも80%のマルトースを含有する高マルトースシロップとを反応させるステップを伴う。第2の反応段階で得られたシロップをナノ濾過を使用して分離し、乾燥ベースで前記シロップの少なくとも5%、好ましくは約10%、25%、40%またはそれを超えるパノース含量、乾燥ベースで前記シロップの少なくとも10%、好ましくは約15%または25%以上のイソマルトトリオース含量、および約10%未満、好ましくは約5%未満のDP1およびDP2含量を有するシロップを得る。好ましくはナノ濾過膜はDLまたはGH膜であり、標的分画分子量は約800ダルトン、標的圧力は約500psi未満、より好ましくは約300psi〜約400psi、標的温度は約55℃未満、より好ましくは約40℃〜約50℃である。
【0046】
好ましい実施態様では、上述の方法はLab9244の製造を可能にする。
【0047】
製造されるIMOは、異なるデンプン加水分解産物源を使用することで、繊維含量を有してもよい。発明者らの実験は記載される工程に従って実施され、得られた製品は意外にも以下の分析的特性を示す。デキストロース<1%、マルトース1%、イソマルトース7%、DP3>90%、特に製品Lab9244では、約25%のイソマルトトリオース、および約20%の繊維。
【0048】
デキストロースおよびマルトースは良好な消化耐性に寄与し、例えば繊維などの不消化炭水化物は便通を引き起こすことが良く知られている。意外にもLab9244などのIMO製品は、ほぼ全てのデキストロース、マルトース、およびイソマルトースの除去がありながら、依然として社内のパネル評価に基づいて、1日あたり100gよりも高い耐性を有することが分かった。さらに意外なことに、この製品は噴霧乾燥されまたはハードキャンディシステムで使用されたが、それは既存のIMO製品および同様の分子量の製品よりもはるかに高い、極めて高いガラス転移温度を有する。
【0049】
これに加えて驚いたことに、上記製品を生体外消化法(参照)で試験した際、本発明のIMO製品の4時間後の加水分解(消化)は、繊維含量の低い製品であっても非常に低いことが分かった。これは、本発明のIMO製品が緩慢に消化されて、長時間にわたるエネルギー特性を有することを示唆した。緩慢な消化は、血糖スパイクに起因する肥満症のリスクを低下させ、満腹による体重管理、および整腸を改善することで、ヒトの健康のためになる。
【0050】
好ましくは還元糖グルコースシロップ、特に還元糖イソマルトオリゴ糖類シロップは、乾燥ベースで前記シロップの約80%以上のDP3〜DP8糖類を含有する。好ましくは前記還元糖イソマルトオリゴ糖類シロップは、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、およびそれらの混合物を含んでもよい。特に本発明の炭水化物組成物は、乾燥ベースで前記組成物の約50%以上のDP3〜DP8糖類、好ましくは乾燥ベースで前記組成物の60または70%以上のDP3〜DP8糖類を含有する。より好ましくは還元糖グルコースシロップ、特に還元糖イソマルトオリゴ糖類シロップは、高含量のイソマルトトリオースおよびパノースを含有する。例えば前記シロップのイソマルトトリオース含量は、乾燥ベースで前記シロップの約20%以上、例えば約25、30、40または50%である。したがって本発明の炭水化物組成物は、乾燥ベースで前記シロップを約20%以上、例えば約25、30、40または50%含有してもよい。
【0051】
本発明の組成物はまた、DEによって特徴付けられてもよい。好ましくはDEは、約15以上40未満である。
【0052】
本発明の炭水化物組成物は、液体、ペースト状または乾燥状態であり得る。好ましい実施態様では、組成物は実質的に乾燥している。
【0053】
本発明はまた、本発明の炭水化物組成物を調製する方法にも関する。
【0054】
第1の方法は、グルコースシロップと可溶性食物繊維との乾式混合を含む。
【0055】
第2の方法は、グルコースシロップと可溶性食物繊維との液体混合を含む。得られる炭水化物組成物は、例えば噴霧乾燥を通じてさらに乾燥させて、固体または実質的に乾燥製品にでき得る。
【0056】
これらの第1および第2の方法では、グルコースシロップと可溶性食物繊維は上で詳述した通りである。特に各構成要素の比率は、要求される百分率の最終組成物を得るために適応させなくてはならない。一般に繊維含量は、組成物の少なくとも25%、および好ましくは30%、またはなおもより多くに相当する(重量対重量)。
【0057】
2つの構成要素は、必要な可溶性食物繊維含量を有するのに適切な量で混合される。好ましい実施態様では、繊維およびグルコースに加えて、特別な結合組成物もまた配合物に添加されてもよい。
【0058】
第3の方法は、
a)デンプンをαアミラーゼで好ましくは2〜16DEの標的範囲に液化するステップと;
b)膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含む可溶性食物繊維を添加するステップと;
c)混合物をβアミラーゼおよびプルラナーゼの少なくとも2つの酵素、場合によりイソアミラーゼ、トランスグルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、およびフルクトイソメラーゼなどの1つまたはいくつかのその他の酵素で糖化するステップと;
d)DP2糖類含量が乾燥ベースで混合物の60%よりも高い場合は、場合により混合物にトランスグルコシダーゼを添加するステップと;
e)DP1およびDP2糖類を混合物から除去するステップ
とを含み、ステップc)およびd)の反応条件は、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは約60℃かつ約70℃未満の温度、少なくとも4.5、より好ましくは約5.0かつ約5.5未満のpH、および少なくとも5%、好ましくは約10%のパノース含量と、少なくとも5%、好ましくは少なくとも約10%または20%またはそれを超えるイソマルトトリオース含量のシロップを得るのに適切な反応時間を伴う。
【0059】
好ましくは可溶性食物繊維は、上で開示されるもの、特にデキストリンおよび/またはマルトデキストリン、より好ましくは分枝デキストリンおよび/またはマルトデキストリンである。ステップb)およびc)はまた、同時進行させ得る。
【0060】
DP1およびDP2の除去は、分離クロマトグラフィー、膜濾過、または分離クロマトグラフィーとそれに続く膜濾過を通じて実施し得る。好ましくは分離クロマトグラフィー条件は、約80℃未満の温度と、イソマルトースをはじめとする単糖類および二糖類からDP3以上のオリゴ糖類を分離するためのカルシウム、カリウム、またはナトリウム組成物の樹脂を含む。より好ましくは膜濾過条件は、標的圧力約500psi未満、より好ましくは約300psi〜約400psi、および標的温度約55℃未満、より好ましくは約40℃〜約50℃における、標的分画分子量約800ダルトンのナノ濾過膜、好ましくはDLまたはGH膜の使用を含む。さらにより好ましくは分離クロマトグラフィー条件には、本明細書に記載されるナノ濾過膜条件が続く。本発明はまた、本発明に従った炭水化物組成物と、飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品材料からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素と含む製品にも関する。
【0061】
本発明は、本発明に従った炭水化物組成物を飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品材料からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素に添加するステップを含む、飲料、食品、飼料、栄養補助食品、健康補助食品または機能性食品を調製する方法にさらに関する。それはまた、飲料、食品、飼料、栄養補助食品、健康補助食品または機能性食品を調製するための本発明に従った炭水化物組成物の使用にも関する。
【0062】
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、以下の実施例の過程で明らかになるであろう。
【実施例】
【0063】
実施例1:Lab9244の調製
出発原料:約25%のDSで約5のDEを有する液化デンプン(乾燥物質)
工程ステップ1:βアミラーゼ(Genencor酵素から)および脱分枝酵素(Novozymeから)、60℃、pH5.3、約30時間後、>80%マルトースがもたらされた
工程ステップ2:0.2%トランスグルコシダーゼTGL−500(Genencor酵素)、pH5.1、140F、24時間
生成物:37.8%デキストロース、8.3%マルトース、22.4%イソマルトース、9.3%パノース、9.2%イソマルトトリオース、12.9%その他
工程ステップ3:ステップ2からの生成物を400psiおよび50℃でGeneral Electric Companyからのナノ濾過膜に供給した(膜の名称DLまたはGH)。透過水を除去し、総単糖類および二糖類が10%未満になるまで、濃縮水をさらなる分画のために再循環させた。
【0064】
得られた生成物は、還元糖IMOである:0.8%DP1、1.0%DP2、7.0%イソマルトース、2.9%マルトトリオース、8.0%パノース、23.07%イソマルトトリオース、57.2%その他。総繊維は約20%。
【0065】
実施例2:Lab9259の調製
Lab9259は、下述するようにポイント2Aおよび2Bに従って、2つの異なる方法で調製し得る。
2A:
出発原料:50%デキストリン(Stadex 90)の高マルトースシロップ
工程ステップ1:pH5.2および60℃で40〜70時間の0.2%TG酵素(Genencorから)
得られた生成物:39.02%DP1、23.4%DP2、11.6%DP3、および26%DP4+。AOAC2001.03の繊維含量は17.1%であった。
【0066】
工程ステップ2:ステップ1からの生成物を400psiおよび50℃でDL膜またはGH膜(GEからの)に供給した。透過水を除去し、総単糖類および二糖類が10%未満になるまで、濃縮水をさらなる分画のために再循環させた。
【0067】
得られた生成物は、以下のプロフィールの還元糖高繊維IMOである。<2%DP1、<2%DP2、5.8%イソマルトース、6.4%パノース、11.44%イソマルトトリオース、72.4%その他。総繊維は35%である。
【0068】
2B:
ステップ1:実施例1からの生成物とNutriose06とを70:30の比率で混合する。
ステップ2:得られた配合物をカチオンおよびアニオンIXによって精製する
ステップ3:蒸発
【0069】
得られた生成物は、以下のプロフィールの還元糖高繊維IMOである。0.7%DP1、0.8%DP2、4.9%イソマルトース、5.6%パノース、16.1%イソマルトトリオース、66.6%その他。総繊維は35%である。
【0070】
実施例3:インスリン反応および血糖応答
方法
被験者:体型指数が25.9±3.3kg/m2である年齢30±7歳の12人の健康な被験者(9人の男性と3人の女性)について試験した。試験群の民族的背景は、次のとおり。白人7人、東アジア人1人、アフリカ系アメリカ人1人、ラテンアメリカ人1人、フィリピン人1人、およびスーダン−アフリカ人1人。個人の詳細を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
プロトコル:試験当日、被験者は10〜14時間の一晩の絶食後、朝に来訪した。体重測定を行い、指穿刺によって空腹時血液サンプルを得た後、被験者は10分間以内に試験食を摂取して、試験食開始の15、30、45、60、90、および120分間後にさらなる血液サンプルを得た。
【0073】
血液サンプル:合計8〜10滴の血液からなる各指穿刺サンプルを指穿刺によって得て、2つの別個のバイアルに分けた。抗凝固剤および保存料として少量のフッ化ナトリウムおよびシュウ酸カリウムを含有するプッシュキャップ付き平底5mlプラスチック管に、2〜3滴の末梢血を採取した。末梢血血糖値を分析するために、これらのサンプルを使用した。残る6〜8滴の末梢血はMicrovette CB300(Sarsted)バイアル内に収集して、インスリン分析のために使用した。
【0074】
試験食:8食の試験食が摂取された。全ての食事は50g炭水化物を含有し、300mlの水と混合された。試験食を表2に開示する。
【0075】
【表2】

【0076】
生化学的分析:グルコース分析のための指穿刺サンプルは最初冷蔵庫に入れて、2時間経過後、1週間以内に実施される分析まで−20℃の冷凍庫に入れた。YSIモデル2300STAT分析器(Yellow Springs,OH)を使用して、グルコース分析を実施した。Microvette管を遠心分離してラベル付きポリプロピレン管に血清を移し、インスリン分析に先だって−20℃で保存した。インスリンレベルは、ヒトインスリンEIAキット(Alpco Diagnostics)を使用して測定した。
【0077】
統計学的分析:結果を一覧にし、絶食下の面積を無視して、血糖およびインスリン応答曲線(AUC)下の増分面積を計算した。多重比較について調節したNeuman−Kuels法を使用した反復測定ANOVAによって、シリーズ内の全ての食品の結果を比較した。対照として場合により100と設定した2回のグルコース試験食の平均を使用して、相対血糖応答(RGR)および相対インスリン応答(RIR)を計算した。
【0078】
結果
結果を表3に開示する。
【0079】
【表3】

【0080】
これらの結果は、RIR/RGRの比率で示されるように、RGRと比較してRIRの特異的減少を誘発するためには、少なくとも30%の繊維の比率が必要であることを明白に実証する。さらに単糖類および二糖類含有量が低いIMOS組成物と組み合わせて繊維を使用した場合、より低いRGR/RIRの比率も観察され得る。
【0081】
実施例4:食品用途
即席朝食用シリアル
本発明に従った炭水化物組成物を含む即席朝食用シリアルのコーティングを次のようにして調製し得る。前記炭水化物組成物は、1対1の基準で標準調合物中の砂糖を置き換える。70〜72%DSの前記炭水化物組成物(乾燥物質)を120〜122℃に加熱する。続いて、およそ10%のスラリーが添加された最終製品を生成するのに十分な量で、スラリーをベースフレーク上に噴霧する。次にフレークを40℃で45〜60分間乾燥させた。標準調合物と比較で、前記炭水化物組成物を含む最終製品は、1食あたりの砂糖の量が減少して、ダブルおよびトリプル(すなわちコーティング工程後にくっつく2つおよび3つの穀物フレーク/パフ)が減少し、心地良い口当たりが社内の感覚性評価で同定された。
【0082】
飲料
本発明に従った炭水化物組成物を含む、産業界でベリーウォッシュ(belly wash)、等張飲料、および10%ジュース飲料として一般に知られている飲料を次のようにして調製し得る。前記炭水化物組成物を香味料系および高強度甘味料(例えばアスパルテームおよびアセスルファムカリウム)と共に混合して、標準調合物より少なくとも15%少ない砂糖を含有するこれらの飲料の低糖バージョンを製造する。前記飲料は、成分を精製水と混合して、この溶液を185°F以上の温度に加熱し、10分間保持して、引き続いて製品を飲料に適した容器に詰めて製造される。標準調合物と比較すると、前記炭水化物組成物を含む最終製品は、社内の感覚性評価でに基づいて許容可能な香味プロフィールを保ちながら、1食あたりおよそ2.5グラム以上のレベルの食物繊維と、最高約90%低下した砂糖レベルを含有する。
【0083】
栄養バー
本発明に従った炭水化物組成物を含む栄養バーを次のようにして調製し得る。前記炭水化物組成物は、1対1の基準で伝統的栄養バーの標準調合物中の高果糖コーンシロップを置き換える。前記炭水化物組成物を含有する栄養バー組成の一例は、次のようであり得る。
【0084】
【表4】

【0085】
栄養バーを調製する一方法は、1キログラムバッチで以下の工程を使用する。ピーナッツバターをはじめとする上に列挙した配合中の全ての湿潤成分をHobartミキサー内でおよそ2分間、低速で混合する。全ての乾燥成分を別に混合する。乾燥成分を湿潤成分を含有するHobartミキサーに添加して、およそ5分間低速で混合する。混合生地をオーブン皿に移して、およそ1/3”の均一の厚さに押し付ける。オーブン皿をアルミ箔で覆って、310°Fで10分間焼く。10分後、ベイクド製品をオーブンから取り出して、製品を室温に放冷する。冷却後、製品を望ましいサイズの長方形に切断して室温で保存する。
【0086】
標準調合物と比較して、前記炭水化物組成物を含む最終製品は、食物繊維含量が1食あたりおよそ2.5グラム以上増大し、社内の感覚性評価に基づいて許容可能な香味プロフィールを保ちながら、少なくとも15%少ない砂糖を含有する。前記炭水化物組成物を含む最終製品は、室温においてZiplocバッグ内で1ヶ月の保存した後、標準調合物を含む栄養バーよりも柔らかい質感を保つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性食物繊維とグルコースシロップを含む炭水化物組成物であって、前記可溶性食物繊維が膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含み、前記グルコースシロップが単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類を含みまたはそれらからなり、前記組成物中の前記可溶性食物繊維が0.90よりも低いRIR(相対インスリン応答)/RGR(相対血糖応答)比を得るのに適した量である、炭水化物組成物。
【請求項2】
前記可溶性食物繊維の含量が、AOAC2001.03による測定で乾燥ベースで前記組成物の約30%〜約50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記可溶性食物繊維が、デキストリンおよび/またはマルトデキストリン、好ましくは分枝デキストリンおよび/またはマルトデキストリンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記グルコースシロップまたは前記組成物中の可消化単糖類および二糖類(DP1およびDP2)の含量が、乾燥ベースで前記シロップまたは組成物の10%以下、好ましくは5%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記グルコースシロップが、乾燥ベースで前記シロップの約75%以上のイソマルトオリゴ糖類を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記グルコースシロップが、乾燥ベースで前記シロップの約80%以上のDP3〜DP8糖類を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記シロップのイソマルトトリオース含量が、乾燥ベースで前記シロップの約5%以上、好ましくは約20または30%以上である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記シロップのパノース含量が、乾燥ベースで前記シロップの約5%以上、好ましくは約20または30%以上である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物のDEが約15以上で40未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が実質的に乾燥している、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
a)デンプンをαアミラーゼまたは酸で液化するステップと;
b)膵臓酵素による消化に抵抗性の少なくとも1つの炭水化物を含む可溶性食物繊維を添加するステップと;
c)前記混合物をβアミラーゼおよびプルラナーゼの少なくとも2つの酵素を用いて糖化するステップと;
d)DP2糖類含量が乾燥ベースで前記混合物の60%よりも高い場合は、場合により前記混合物にトランスグルコシダーゼを添加するステップと;
e)DP1およびDP2糖類を前記混合物から除去するステップ
を含む、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項12】
前記グルコースシロップと前記可溶性食物繊維との液体混合を含む、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項13】
前記グルコースシロップと前記可溶性食物繊維との乾式混合を含む、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物と、飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品材料からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素とを含む、製品。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物を飲料材料、食品材料、動物飼料材料、ペットフード材料、栄養補助食品材料、健康補助食品材料、および機能性食品材料からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素に添加するステップを含む、飲料、食品、飼料、栄養補助食品、健康補助食品または機能性食品を調製する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−506405(P2013−506405A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531346(P2012−531346)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064298
【国際公開番号】WO2011/039151
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(591169401)
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
【Fターム(参考)】