説明

血行促進装置

【課題】日常生活に支障を与えることが多い男女の性機能に関する不全を解消するための有効な刺激を与える。
【解決手段】生体信号を検出する検出手段、前記検出手段により検出された生体信号の特徴期に陰茎先端部を吸引する吸引手段、前記特徴部以外の期間において、陰茎部の根本を加圧する加圧手段よりなる組み合わせ構成、及び膣組織に挿入され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第1のバルーン体と、陰核組織周辺に配置され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第2のバルーン体よりなる組み合わせ構成により、血行の促進を可急的に図り、組織的活性をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血行を促進するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今般、現代的ストレスや、生活習慣病により、男女を問わず性器機能不全の傾向があり、性生活の充実が図れない場合が多く見られる。
又、女性特有の出産後の尿失禁等の機能不全も多い。
男性における勃起不全は、精神的ストレス、事故の後遺症等により生じ、更に今般、急速に広がりつつある20代からの糖尿病による勃起不全は、大きな問題となろうとしている。
勃起不全は、日常生活に対し重大な影響を与えるため、様々な勃起誘発器が提案されている。
【0003】
例えば、実用新案登録第3035482号公報には、陰茎を挿入するシリンダの先端に吸引部を設け、先端から陰茎を引くことで、勃起を誘発させる手法や、陰茎の根本に、複数の加圧性リングを装着して、根本から先端方向へ、個々のリングを加圧することで、血行を促進させる器具が示されている。
これらは何れも、物理的刺激を体の状態を考えずに加える点で、単なる刺激に他ならず、刺激が必ずしも血行促進に有効に働くとは言い難い。
特表平10−500884号公報には、電気刺激により、上述した各種不全の解消を図ろうとする提案がされている。
【0004】
【特許文献1】特表平10−500884号公報
【特許文献2】実用新案登録第3035482号公報
【特許文献3】実開平5−11935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術は、血行促進が実現されているかどうかわからない状態で単に刺激を与えるものにすぎず、痛みを与えるだけのものに留まる可能性もあり、逆効果になる場合もある。電気刺激については、感電の危険性も多く、使用には、十分な注意が必要であり、性器には向かない。
本発明は、この様に単に陰茎、膣組織、陰核組織に刺激を与えるだけでなく、勃起を誘発する血行の促進を、生体の状態に応じて有効に行おうとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑み本発明者は、鋭意研究の結果、生体信号から特徴期を検出し、当該特徴期に生体に対し血行を促進する陰圧又は陽圧を加えることで、無理が無くしかも効果的な血行促進を可能とし、各種不全を解消させることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、血行は、心臓が、生体端部へ血液を送り出すタイミング(収縮期)と心臓へ血液が戻るタイミング(拡張期)を脈波、心電図等の生体信号から検出し、各種タイミングに適当な陽圧、陰圧を加えることで、経皮付近の毛細血管を含む血管内の血流の可及的な促進を可能とし、このことが、男性、女性の機能的不全の解消に有効であることを知見したのである。
【0007】

又、生体信号を検出する検出手段、前記検出手段により検出された生体信号の特徴期に、陰茎の根本部であって、睾丸を挟んだ両側に刺激を与える刺激手段、前記収縮期に陰茎先端部方向から陰茎を吸引する吸引手段、前記検出手段により検出された生体信号の他の特徴期に前記刺激手段であって、睾丸と、陰茎との間を押圧する第2の押圧手段よりなる構成により、より簡単な構成で、勃起不全を解消する。
更に、生体信号を検出する検出手段、前記検出手段により検出された生体信号の特徴期に、陰茎の根本部であって、睾丸を挟んだ両側に刺激を与える刺激手段、前記収縮期に陰茎先端部方向から陰茎を吸引する吸引手段、前記検出手段により検出された生体信号の他の特徴期に前記刺激手段であって、睾丸と、陰茎との間を刺激する第2の刺激手段の組み合わせ構成により、生体が持つ血行促進に好適なタイミングで、適当な刺激を与えることにより、勃起不全を解消する。
【0008】
更に、女性においては、膣組織に挿入され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第一のバルーン体と、陰核組織周辺に配置され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第2のバルーン体よりなる構成において、膣内、陰核近傍の血行を促進し、各種不全の解消及び尿失禁の予防を可能としたのである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薬剤投与による副作用を伴わず、有効な男女の性的不全の解消を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における検出手段は、脈波、心電図、心音図等の特徴期を検出できる生体信号であれば、いかなるものでも良い。
検出部位としては、容易な耳たぶ、指先が例示されるが、その他、性器近傍からでも心音を検出する等して検出しても良い。
本発明における特徴期とは、心臓が血液を送り出す収縮期、血液が心臓に戻ってくる拡張期に代表されるが、これに限るものではない。
【0011】
尚、本発明の特徴期として、収縮期及び拡張期が例示されるが、これらの区別は、例えば脈波のピーク部分を境にして決定しても良い場合もある。即ち、収縮期は、ピークから多少時間が経過した、部分迄であるが、与える刺激は物理的で、広範囲であることから、厳密な区別をしなくても十分な効果が得られるものである。
例えば、図5(a)、図8(a)で示すように、真の収縮期は、SLで示され、拡張期はKLで示されるが、脈波の立ち上がりからピークまでの幅S、ピークからの拡張期Kの幅とは、その差が、数msec程度であり、空気圧刺激を行う場合ほとんど両者は同一であることから、どちらを利用しても良いが、ピークを利用した場合は、回路構成が簡単で済むことから、本発明では好適である。
【0012】
本発明における吸引手段は、陰茎を包み込む筒状部材の先端に吸引口を形成したものであり、好ましくは、陰茎を包む包込み部材が筒状体の内側に設けられている。
本発明における加圧手段は、吸引手段に対して着脱自在が好ましいが、固定されても良い場合もある。
又、本発明の吸引及び加圧手段は、何れもが、過剰な空気圧になった場合、これを解除する手段を付加することが好ましい。
本発明における吸引力は、〜−100mmHg〜位が好ましいが、状態に応じて適宜選択される。
本発明における加圧力は、60mmHg前後が好適であるが、状態に応じて適宜選択される。
【0013】
本発明における刺激手段は、睾丸を挟んで、陰茎方向に対しては、環状に刺激する刺激具、その反対方向は、下方向から、押し上げるように刺激する刺激具が例示される。
尚、環状刺激具は、必ずしも環状でなくても良く、対向する2点を刺激する場合や、一点を刺激するものであっても良い。
本発明における第2の刺激手段は、第1の刺激手段を構成する刺激の一つである睾丸と陰茎とで行われる刺激を拡張期で加えることが示されるがこれに限らず、別途独立した刺激手段を設けても良い。
【0014】
本発明は、特徴期に区分した生体信号において、血液が末梢方向移動しようとする時期に相当する特徴期に陰茎を先端方向から吸引すると共に、睾丸を挟んだ両側をそれぞれ押圧するような刺激を加え、血液が末梢から心臓へ戻ろうとする時期に、陰茎と睾丸間に刺激を与えることで、血液の陰茎への効率的な供給を図り勃起を促す。
【0015】
陰茎先端方向からの吸引力は、〜−100mmHg〜 が好ましい。
本発明は、血液が末梢へ押し出される時期と、心臓に戻る時期を特徴期として区別し、それぞれの期間において、陰茎に、吸引と加圧を行うがその特徴期の一部分で加えてもよく、又空気圧でなく、機械的な刺激、電気的な刺激であっても良い場合もある。
以上の数値は、何れも例示であり、一般的に好ましい値であって、この範囲外でも、患者によっては、好ましい数値もあり得る。

膣組織内に挿入される第1のバルーンへの陽圧空気圧の圧力は、60mHg程度までが好ましく、陰圧空気圧の圧力は100mHg前後までが好ましいがこれに限るものではない。
【実施例1】
【0016】
次に本発明の実施例を図1から図5を参照して詳細に説明する。
図1において、001は、カプセルであり、円筒状を有し、少なくとも勃起した陰茎を収容可能な大きさに形成される。カプセル001は、透明又は半透明の軽量プラスチックで形成されることが好ましいが、特に限定されない。
002は、吸引口であり、カプセル001と一体的に形成され、003は、連結チューブである。連結チューブ003は、シリコーン等の柔軟性を有する樹脂、プラスチックからなり、好ましくは、非変形性を有する。
004は、シール部材であり、加圧用リングが、カプセル001の内側に収容された際、その隙間をシールするためのものである。
【0017】
005は、リング基材であり、主に硬質性プラスチックよりなり、加圧用リングを構成する際の、基材として利用される。
006は、加圧用カフであり、内部空気圧の増加減少により伸縮するものであり、ゴム、伸縮性樹脂よりなる。
加圧用カフ006は、リング基材005の内側に、加圧カフ形成用チューブを挿入し、加圧カフ形成用チューブの両端部を外側方向に折り曲げることで、形成され、リング基材005の外周方向に位置する加圧カフ形成用チューブの両端部の折り曲によって形成された凸状部分は、シール部材を形成する。
007は、空気圧入力口であり、外部より、空気圧を注入するための入力口である。
008は、導管であり、加圧空気力を伝達する為のものである。
009は、接続部であり、着脱自在なコネクタ構造を有する。
【0018】
010は、開閉弁であり、手動又は自動ににより、空気圧入力口007への空気圧の伝搬を接続又は遮断する。
接続部009と、開閉弁010は、一体的な構成が好ましく、又、加圧用リングにより近いところに設置されることが好ましい。
011は、固定用バンドであり、連結チューブ003の一部を固定し、連結チューブ003の揺動を抑える。
012、013、017,018,019,020は、調整弁であり、外部電気信号により開閉を行うものである。
調整弁012、及び調整弁013には、外部排気口012a、外部排気口013aが設けられる場合がある。この場合、調整弁は、調整弁入力部と調整弁出力部の接続の開閉の他、調整弁入力部と調整弁出力部との接続、調整弁出力部と、外部排気口との接続の切り換え動作も行う。当該外部排気口は、緊急の際、圧力を放出する為に用いられる場合や、圧力の調節に用いられる。この排気口は、これらの調整弁になくても良く、排気口034が代用しても良い。
【0019】
014は、陰圧タンクであり、一時的に陰圧を貯留するためのものである。015は、陽圧タンクであり、一時的に陽圧を貯留するためのものである。
016は、ポンプであり、陽圧及び陰圧の空気圧を形成するためのもので、電動モータ、一方向性を有する機能弁等を組み合わせて形成する。
ポンプ016は、駆動制御回路31により動作が制御されることが好ましい。
021から028は、導電線であり、電気信号を伝達するためのものである。
029は、切り込み部である。
切り込み部029は、図3で示すようにカプセル001に、加圧リングを装着する際、空気圧入力口007が、回転しながら誘導されて、移動するような構成を有し、切り込み部029の端部に加圧リングの空気圧入力口007が到達することで、カプセル001に、加圧用リングが固定され、加圧用リングをカプセル001からはずすときは、逆方向に回転させながら移送させる。
【0020】
030は、ストッパーであり、加圧用リングが、これ以上カプセルの奥へ移動しないように設けられたリング上の突起である。
035a,035b、及び036a、036bは、導管であり、空気圧を伝達させるためのものである。
032及び033は、圧力センサであり、それぞれのタンク内の圧力を測定し、導電線022,027を介して駆動制御回路へテ゛ータを送信する。
034は、排気口であり、外部へ、陰圧空気圧、陽圧空気圧を排出するための部分である。
31は、駆動制御回路であり、各調整弁へ、導線を介して制御手段を出力したり、収縮期、拡張期間を特定する為の演算処理を行うためのものである。
32は、信号処理回路であり、入力される脈波信号から、ピーク時相をとらえたパルス及び収縮期に相当するパルス又は拡張期に相当するパルス等を出力するためのものであり、例えばピークホールド回路と、信号処理機能を有する演算回路で構成され、その他、フィルタ、増幅回路等を備えている。
【0021】
信号処理回路32と、駆動制御回路31は、特に区別する必要はなく、その構成も任意の場合がある。
33は、脈波検出器であり、例えば、赤外線LEDと、フォトトランジスタの組み合わせにより構成され、耳たぶ、指先などに装着され、脈波を電気信号に変換して出力する。
尚、心音、心電図を利用することで、生体の他の部位から検出するものであっても良い。
3Sは、電気リード線の他、電磁波などの無線手段も例示される。
3Lは、電気リード線であり、信号処理回路32と、駆動制御回路31との電気的接続を行うためのものである。
カプセル001内には、加圧リングを介して陰茎Pが挿入されるが、陰茎Pを効率よく吸引するために図2で示すような、薄いゴム、樹脂よりなる柔軟性キャップ031を付加しても良い。
【0022】
次に図1で示した実施例の動作を図4、図5を参照して詳細に説明する。
陰茎Pを、加圧リングの加圧用カフ006を介して、カプセル001に挿入する。脈波検出器33を、生体に装着する。
ポンプ016を駆動させ、陰圧タンク014、陽圧タンク015にそれぞれ、空気気圧を蓄積するよう、調整弁017と、調整弁018を開き、調整弁019と調整弁020を閉じる信号を、それぞれ、導電線022から導電線026を介して出力する。
陰圧タンク014、及び陽圧タンク015を利用することは、収縮期と拡張期という時間幅が数百mSECの短い時間で、陰圧と、陽圧を切り換える場合、一時的に貯留しておくことで、短時間の切替が可能になる点で好適であるが、ポンプ自体が機能的に代替する際は無くても良い場合もある。
脈波検出器33から得られる脈波がアナログ光電変換されて、リード線3Sを介して、信号処理回路32に入力される。(図5(a))
信号処理回路32は、入力された脈波アナログ信号の収縮期Sの間隔の幅を持つパルスを形成し、これを駆動制御回路31に出力する(図5(b))。駆動制御回路31は、この信号に基づいて、 駆動制御回路31は、収縮期(K又はKL)を検出した際、調整弁012を開く信号を導電線021を介して出力する。
【0023】
陰圧タンク014とカプセル001内は、吸引口002、連結チューブ003を介して互いに連通して陰茎Pを吸引する(図4(a)及び図5(c))。この吸引により、心臓が血液を押し出すことによって生じる血流K1を促進することができる。
駆動制御回路31は、更に、調整弁013に対し、導電線028を介して、開く為の信号を出力する。
その際の信号は、半開きといった、開き方を調整するものとし、加圧用カフ006に対する加圧量を少なくするものが好ましい。
その際の圧力値を図5(d)のKAでしめす。この加圧量KAは、吸引による血液の陰茎先端への流入を阻害するような強さでないことが好ましい。
【0024】
次に、駆動制御回路31が、脈波検出器33,信号処理回路32から拡張期間(K、KL)に相当する信号を入力したとき、 駆動制御回路31は、導電線021を介して、調整弁012を閉じるか、外部排気口012を行う方向へ切り換えるための信号を出力する。
調整弁012の外部排気口012aと、カプセル001内を接続させても良く、その際、拡張期間で、吸引を停止解除する動作を行わせても良い。
図5(b)は,拡張期間に外部排気口012を用いて、吸引を解除し、カプセル001内を大気圧に戻す状態を示す。
場合によっては、カプセル001内の吸引を持続するように、調整弁012を閉じた状態にしても良く、その際多少吸引力を弱める様に、外部排気口012aと、カプセル001内の多少の接続を行っても良い。
【0025】
更に駆動制御回路31は、調整弁013を開き、接続部009,開閉弁010、空気圧入力口007を介して加圧空気圧を加圧用カフ006内に供給する。
加圧用カフ006は、膨張し、陰茎の根幹を、加圧量KBで締め付ける(図4(b)及び図5(d))。
この繰り返しにより、陰茎には、収縮期(S又はSL)に血行を先端方向に促進される為、勃起刺激が与えられる。
勃起後、手動で、駆動制御回路31に、収縮期の吸引を停止させ、加圧部への加圧を維持する指示を行う。
駆動制御回路31は、外部排気口012aからカプセル001内の吸引力を逃がし、カプセル内を大気圧に調節し、調整弁013を閉じる。調整弁013が閉じることで、加圧用カフ006内は、加圧状態が維持される。
開閉弁010を手動で閉じ、接続部009を、切り離す。加圧用カフ006内は、加圧状態を維持し、陰茎P内の血流は、根幹方向が閉じられたまま阻害され(K2)、勃起状態が持続する。
【0026】
加圧用カフ006を回し、空気圧入力口007を切り込み部029に沿って、外部方向移動させて、加圧用カフ006と、カプセル001を切り離す。
切り離した状態を、図4(c)に示す。
この様に根幹を押圧されていることから血流の戻りK2が阻止され、勃起が持続し、このままの利用が可能となる。
尚、開閉弁010は適時容易に開く様な構成が好ましい。
以上の様に、本実施例では、陰茎における血行の促進と、促進後の、状態の維持を図ることで、各種不全を解消することが可能となる。
【0027】
尚、陰圧と、陽圧が、設定した値となる場合の解除動作を説明する。
陰圧タンク014には、圧力センサ032が設置され、陰圧タンク014内の内部圧力の圧力信号を導電線022を介して、駆動制御回路31に送信する。
陽圧タンク015には、圧力センサ033が設置され。陽圧タンク015内の内部圧力の圧力信号を導電線027を介して駆動制御回路31へ送信する。
圧力センサの圧力値が異常に高い場合、駆動制御回路31は、調整弁012及び、調整弁013に対し、外部排気口012aと導管032aの接続、及び外部排気口012bと導管032bとの接続を行うよう導電線021及び導電線028を介して命令を信号を出力する。
更に、駆動制御回路31は、ポンプ016の動作を停止し、調整弁017、019を開くよう、導電線023,導電線024を介して指示し、
駆動制御回路31は、調整弁018,調整弁020を開くように、導電線025,導電線026を介して信号を出力する。
【0028】
この様に、調整弁を開くことで、陽圧タンク014及び陰圧タンク015内の空気圧は、排気口034を介して、排気出力される。
この様に空気圧の解除により、異常吸引加圧による陰茎の損傷を防止できる。
尚、連結チューブ003中には、開閉弁010と同様の開閉弁010aを、別途設け、手動による吸引力の維持、解除をお行わせても良い。当該開閉弁を直接カプセルに一体的に設けても良く、その際は異常時のカプセル001内部の異常吸引力を、簡単に解除可能となる。
【実施例2】
【0029】
次に本発明の他の実施例について詳細に説明する。
図6は、本発明の他の実施例であり、女性用の血行促進装置である。
駆動制御回路、ポンプなどの加圧吸引に利用される陰圧陽圧形成の構成は、図1で示すものと同様であるので、同じ番号を付して説明を省略した。
110は、合流部であり、加圧力と吸引力を交互に出力する場所である。
111は、導管で、合流部110からの空気圧を接続口119へ、出力するためのものである。接続口119は、コネクタ構造となっており、非常時等において手動での切り離し可能構成となっている。
112は、陰核IKを中心とした、生体表面を吸引、加圧するための第2のカフであり、支持導管115と、導管118を介して接続する。
113は、膣組織TK内を、加圧吸引するための第1のカフであり、支持導管115と端部を接続している。
第2のカフ112及び第1のカフ113は、何れも空気圧により膨張収縮を迅速に行うような、ゴム、シリコーン樹脂により構成される。
【0030】
114は、接続口であり、支持導管115の側面に複数設けられており、支持導管115の内部と、第1のカフ113内を接続する。
115は、支持導管であり、硬質プラスチック、硬質金属などで形成され、その大きさは、膣組織TK内へ、挿入可能な程度の大きさが好ましい。
116は、硬質カバーであり、第2のカフ112の膨張を、より、陰核IKを中心とした生体表面に伝達するため、硬質カバー116方向の第2のカフ112の膨張を阻止するためのもおである。
117は、ストッパーであり、支持導管115に装着され、支持導管115の過度の挿入を防止するためのものである。
118は、導管であり、上述の通り支持導管115内と第2のカフ112との接続を行い、第2のカフ112と第1のカフ113の空気圧の変化を同期させるためのものである。
【0031】
次に本実施例の動作を図7と図8を参照して詳細に説明する。
耳たぶ、指先などに装着された脈波検出器33は、図8(a)で示す脈波を光電変換するなどして電気信号として3Sを介して信号処理回路32へ出力する。
ポンプ016を駆動させ、調整弁017と調整弁018のみを開き、ポンプ016で発生する陽圧を陽圧タンク015、ポンプ016で発生する陰圧を陰圧タンク014に貯留する。
信号処理回路32は、図8(b)で示すように収縮期パルスを形成する。
信号処理回路32の出力は、そのまま、収縮期パルスとして利用される場合もある。
駆動制御回路31は、この信号処理回路32の出力で、収縮期期間(S又はSL)、拡張期(K又はKL)、を決定し、拡張期期間において、陽圧タンク015の陽圧を、接続口119へ出力するために、調整弁013を開く、 陽圧は、加圧力となり、合流部110,導管111,接続口119、導管118を介して第2のカフ112に到達し、更に支持導管115,接続口114を介して、第1のカフ113へ到達し、それぞれのカフを膨張させ、それぞれの生体組織の陰核IK、膣組織TSを加圧する。(図7(a))
【0032】
次に収縮期(図8で示す(S、SL))が到達したとき、駆動制御回路31は、調整弁013を閉じて、調整弁012を開くように導電線028と導電線021を介して信号を出力する。
調整弁012が開き、調整弁013が閉じることで、陰圧タンク014の陰圧が、合流部110を介して導管111、接続口119へ、出力される。
接続口119に到達した陰圧は、第2のカフ112へ、導管118を介して供給されると共に、支持導管115、接続口114を介して第1のカフ113へ供給される。
この陰圧により、第2のカフ112,第1のカフ113は、収縮することから、この収縮に伴って、生体組織の陰核IKと、膣組織TSが、収縮する(図7(b))。
図8(c)で示すように収縮期S又はSLに強い吸引を行い、拡張期K、KLに収縮期に比べ、比較的弱い力で加圧し、これを繰り返すことで、血行を促進させていく。
この収縮期の生体組織の収縮は、内部の血管における生体外方向へ血液の流れを促進させる。拡張期においては、生体外から、心臓方向への血液の流れを生体組織を押圧することで実現し、生体の経皮的な血行促進を図り、各種不全の治療予防を実現するものである。
尚、緊急時の駆動制御回路の動作は、実施例1と同様の動作で行われる。
【実施例3】
【0033】
以下に本発明の他の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図9は、本発明の一実施例である。11は、吸引用キャップであり、陰茎を挿入し得る程度の大きさを有する。
12は、第1押圧用カフであり、伸縮可能なリング状の空気袋で形成されている。
第1押圧カフの表面には、突起群が場合によって形成されていても良い。
13は、第2押圧用カフであり、伸縮可能な空気袋で形成されている。
14は、吸引口であり、吸引用キャップ11内を吸引するための口であって、吸引導管15と接続している。吸引導管15は、電磁駆動するバルブ24と接続している。
第1加圧用導管16は、第1押圧用カフ12とバルブ25とを接続し、第2加圧用導管17は、第2押圧用カフ13とバルブ26とを接続する。
21は、吸引力形成手段であり、ポンプ18の空気圧を空気的陰圧に変換形成し、一時的に貯留するタンクである。
22は、第1加圧力形成手段であり、ポンプ19の空気圧を空気的陽圧に変換形成し、一時的に貯留するタンクである。
【0034】
23は、第2加圧力形成手段であり、ポンプ20の空気圧を空気的陽圧に変換形成し、一時的に貯留するタンクである。
ポンプ18〜20は、空気圧を形成するものであり、後段の加圧力、吸引力を形成する手段が、それぞれ圧力を形成する為の元となる圧力を形成するものであるが、これらを一体にしても良い。例えば ポンプ18と、吸引力形成手段21を一体化し、ポンプ19と第1加圧力形成手段22を一体化し、ポンプ20と第2加圧力形成手段23を一体化してもよい。
24、25,26は、バルブであり、電気信号により、導管の開閉を行う為のものである。
バルブ24、25,26は、開閉の他、流れる方向を切り換える切替弁として働く場合もある。
27、28、29は、圧力、電気信号等、圧力メータ38、39、40で表示するための信号に変換する変換器であり、これは、表示を見て調整する為に使用される場合に必要であって、それ以外は、不要な場合もある。
38、39、40は、表示用メータであり、デジタル、アナログの手法で形成され、過剰な加圧吸引などを目視で監視して抑制したり、適当な加圧、吸引を手動で調整する場合に用いられる。
【0035】
この表示用メータ38、39、40は、圧力、加圧のタイミングなどが自動で制御される場合は、不要な場合もある。
31は駆動制御回路であり、信号処理回路32と接続し、信号処理回路32が出力する信号に応じてバルブを駆動する為の電気信号を出力する為のものであり、32は信号処理回路であり、脈波検出器33から光電変換によって脈波信号から、収縮期信号及び拡張期信号を形成するためのものである。例えば、特開平5−337195号公報に開示されているように、微分回路、ピークホールド回路等を利用して脈波のピーク値を検出すると共に、このピーク値から、数msec遅延させた地点と、次のピークを形成する波形の立ち上がりまでを拡張期とし、その他を収縮期とする様な手法が用いられる。
33は、脈波検出器であって、図中では、耳たぶの他、指先等、その他の部位に装着可能であって、発光ダイオードとCDSの組み合わせよりなり、非侵襲的に脈波を得るものである。
【0036】
脈波検出器33は、脈波用検出器の他、心電図用電極、心音検出用マイクロホン等が用いられる。
34、35,36は、電気リード線であり、駆動制御回路31とそれぞれのバルブ24、25、26の制御部とを電気的に接続するためのものである。
37は、連結部であり、第1押圧用カフ12と、第2押圧用カフ13とを支持接続するためのものである。吸引用キャップ11と同様の硬質性プラスチックで一体的に形成され、
皮膚に刺激性の少ない素材が選択される。
脈波検出器33、信号処理回路32,駆動制御回路31は、電気リード線によって電気的に接続している。
【0037】
図9で示した実施例の外観を示したのが図11である。
駆動回路、バルブ及びポンプ30などを一つの筐体41に収納し、電池42により駆動する構成である。
33は、図9で示した脈波検出器であり、耳たぶを挟み込むことで、固定され、脈波を光電変換により電気信号に変換して出力する。
その他の構成は、図9で付した構成と同一のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
次に、図9で示した実施例の動作を図10を参照して詳細に説明する。
予め図9で示すように、陰茎Pを吸引用キャップ11に挿入し、第2押圧用カフ13を睾丸Kと股部Lとの間に押し当てる。押し当てた状態は、好ましくは維持される為の補助具が、付随的に使用される。
脈波検出器33により、光電変換された脈波は、信号処理回路32に伝達され、増幅、ろ波され、図10(m1)で示すアナログ脈波波形として検出され、収縮期と拡張期に区別される。収縮期は、脈波のピークm2から多少遅延した期間を含むものであって、この部分は時相を持つ収縮期パルスm3を形成する。
更に収縮期パルスm3に対し、拡張期パルスm4を検出する。具体的には、収縮期パルスm3に対し例えばインバーターを用いて収縮期パルスm3を反転させることで、拡張期パルスm4を検出する。
【0039】
信号処理回路32が出力した収縮期パルスに対し、駆動制御回路31は、電気リード線34を介してバルブ24を開く命令を出力する。
バルブ24が開くと、ポンプ18の出力を負圧化した状態を蓄積していた吸引力形成手段21の負圧が、吸引導管15を介して吸引口14から、吸引用キャップ11内に伝達され、挿入されていた陰茎Pは吸引される。
陰茎Pは、吸引用キャップ11に挿入され、第1押圧用カフ12の少量の膨張によって、気密な状態を形成することが好ましく、吸引口14からの吸引力は、直接陰茎Pに作用する。
【0040】
更に信号処理回路32から出力された収縮期パルス幅において、駆動制御回路31は、電気リード線35を介してバルブ25に信号を出力し、バルブ25が開くと、ポンプ19の空気圧を所定の圧力に調整し蓄積した第1加圧力形成手段22の加圧力が、第1加圧用導管16を介して第1押圧用カフ12に伝達される。この所定量とは、約20mHg程度であり、この所定量の調整は、例えば第1加圧力形成手段22で行われたり、バルブ25の開閉の程度で行われたりする。
又信号処理回路32から出力された収縮期パルス幅において、駆動制御回路31は、電気リード線36を介してバルブ26に信号を出力し、バルブ26が開くと、ポンプ20の空気圧を所定の圧力に調整し蓄積した第2加圧形成手段23の加圧力が、第2加圧用導管17を介して第2押圧用カフ13に伝達される。この所定量とは、例えば約100mHg程度であり、この所定量の調整は、例えば第2加圧力形成手段23で行われたり、バルブ26の開閉の程度で行われたりする。
【0041】
この様に、収縮期パルスのパルス幅において、吸引口14よりの吸引力、第1加圧用カフ12による加圧、第2加圧用カフ13による加圧の3つの圧力刺激により、陰茎は、血行促進状態となる。
収縮期パルスm3の立ち下がりにおいて駆動制御回路31は、全てのバルブを閉じる命令をだすと共に、バルブ24,25,26は、例えば導管と大気圧空間との連結を行い大気圧の状態に戻す命令を出す。拡張期パルスm4が立ち上がると、駆動制御回路31は、電気リード線35を介してバルブ25に命令を出力し、バルブ25は、この命令に従って先の収縮期で第1押圧用カフ12への押圧力とは異なった押圧力を第1押圧用カフ12に加える為の加圧力を、第1押圧用カフ12へ出力する。
【0042】
第1押圧用カフ12は、先の収縮期において、陰茎を押した圧力よりは、小さい圧力(例えば、50mmHg)を例えば拡張パルスm4のパルス幅に相当する期間だけ陰茎Pに与える。
これを繰り返すことで、勃起を誘発するような血液の循環に応じた刺激を陰茎に与える。
【0043】
本発明では、例えば、図5(d)で示すように、空気圧に振動SBを与えることで、より、血行の促進を図ることを可能としている。
振動SBは、吸引加圧の両方、一方の何れにおいてでも良いが、拡張期に空気圧振動を行うことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、性器付近の経皮的血行促進を図ることで勃起不全、尿失禁、不感症等の機能不全を解消することを可能とするから、日常生活の障害を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例を示す図。
【図2】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図3】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図4】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図5】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図6】本発明の実施例を示す図。
【図7】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図8】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図9】本発明の実施例を示す図。
【図10】本発明の実施例の動作を説明するための図。
【図11】本発明の一実施例を説明するための図。
【符号の説明】
【0046】
001 カプセル
002 吸引口
003 連結チューブ
004 シール部材
005 リング基材
006 加圧用カフ
007 空気圧入力口
008 導管
009 接続部
010 開閉弁
011 固定用バンド
014 陰圧タンク
015 陽圧タンク
016 ポンプ
31 駆動制御回路
32 信号処理回路
33 脈波検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体信号を検出する検出手段、前記検出手段により検出された生体信号の特徴期に陰茎先端部を吸引する吸引手段、前記特徴部以外の期間において、陰茎部の根本を加圧する加圧手段よりなる血行促進装置。
【請求項2】
前記加圧手段は、吸引手段に対し着脱自在である請求項1に記載の血行促進装置。
【請求項3】
前記加圧手段は、前記吸引手段と離脱した際、加圧状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の血行促進装置。
【請求項4】
生体信号を検出する検出手段、前記検出手段により検出された生体信号の特徴期に、陰茎の根本部であって、睾丸を挟んだ両側に刺激を与える刺激手段、前記収縮期に陰茎先端部方向から陰茎を吸引する吸引手段、前記検出手段により検出された生体信号の他の特徴期に前記刺激手段であって、睾丸と、陰茎との間を押圧する第2の押圧手段よりなる血行促進装置。
【請求項5】
前記刺激手段と吸引手段は、同時に動作を行う請求項4に記載の血行促進装置。
【請求項6】
前記刺激手段が押圧による刺激を行う請求項4に記載の血行促進装置。
【請求項7】
前記刺激手段の刺激は陰茎周辺を押圧する請求項4に記載の血行促進装置。
【請求項8】
前記特徴期が、収縮期であり、他の特徴期が、拡張期である請求項1、4に記載の血行促進装置。
【請求項9】
膣組織に挿入され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第1のバルーン体と、陰核組織周辺に配置され、特徴期において収縮し、特徴期以外において膨張する第2のバルーン体よりなる血行促進装置。
【請求項10】
前記特徴期が収縮期である請求項9に記載の血行促進装置。
【請求項11】
前記吸引手段による吸引時、及び前記加圧手段による加圧時、吸引用空気圧及び、加圧用空気圧の何れか一方又は両方に振動を加える請求項1,4、9に記載の血行促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−149566(P2006−149566A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342732(P2004−342732)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】