行動拠点特定システム、行動拠点特定方法及び行動拠点特定プログラム
【課題】ユーザの行動拠点を自動的に特定できる行動拠点特定システムを提供する。
【解決手段】行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される現在位置を測位した測位点と測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する手段と、前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する手段と、所定期間内に各メッシュ領域において測位日数、測位回数及び滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と対応付けたメッシュデータを生成する手段と、前記2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する手段と、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を行動拠点メッシュ領域として特定する手段と、を備える。
【解決手段】行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される現在位置を測位した測位点と測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する手段と、前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する手段と、所定期間内に各メッシュ領域において測位日数、測位回数及び滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と対応付けたメッシュデータを生成する手段と、前記2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する手段と、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を行動拠点メッシュ領域として特定する手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System :全地球測位システム)等を利用する情報処理技術に関し、特に、GPSを利用して測位した移動端末の測位情報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを利用した様々なサービスが提供されている。かかるサービスの一例として、下記特許文献1には、電子メールに関する情報と経路上の送信地点とを設定する手段と、車両の現在の自車位置を算出する手段と、算出された自車位置が前記設定された送信地点に到達したか否かを監視する手段と、自車位置が送信地点に到達した場合に、前記設定された電子メールを送信する送信手段とを有するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯端末、インターネット、ナビゲーションシステム等の急激な普及に伴い、様々なシーンでGPSの利用用途が拡大している。その結果、GPS機能を搭載した携帯端末の利用者間では、GPSを利用したサービスの利便性向上に対するニーズが、益々高まっている。例えば、携帯端末のGPS機能を利用したサービスの一例として、携帯端末の現在位置を定期的に測位し、当該測位した現在位置が、ユーザが予め設定した目的地に近づいた場合に、その旨をユーザに通知したり当該目的地に関連する情報を提供したりするサービスが知られている。
【0005】
ここで、ユーザが設定していない所定の施設や場所等についても、ユーザの現在位置に基づいて、関連情報を自動的に送信することが考えられる。しかし、この場合には、対象地近辺にいる全てのユーザが関連情報の送信対象となるところ、当該対象地とユーザの行動拠点との関係によっては、関連情報が有用になる場合もあれば不用になる場合もある。例えば、対象地が観光地である場合、観光目的で訪れたユーザに対して観光情報を送信することは、ユーザの利便性を高める一方、当該観光地に住んでいるユーザに対して観光情報を送信することは、ユーザの利便性を逆に損なってしまう。また、対象地がショッピングモールである場合、ショッピングモールの週末セール情報は、当該対象地近辺に自宅があるユーザにとっては有益になる一方、たまたま訪れたユーザには不要である可能性が高い。
【0006】
従って、このような問題を回避するために、ユーザの行動拠点(例えば、自宅、勤務地、学校、行きつけのお店、ショッピングセンター、ゴルフ場など)を、予めユーザ自身に設定させる方法が考えられる。しかし、そのような設定作業をユーザに要求することは、サービスの利便性に欠ける。また、行動拠点は変わり得るため、ユーザは、行動拠点が変わるたびに設定を変更しなければならず、作業が煩雑になりやすい。
【0007】
したがって、本発明は、ユーザの行動拠点を自動的に特定することができる行動拠点特定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する行動拠点らしさ算出手段と、前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値が所定の日常圏閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、前記設定された日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化し、当該グループ化されたメッシュグループ毎に、グループ別行動拠点パラメータを計算するグループ処理手段と、を備え、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記計算されたグループ別行動拠点パラメータに基づいて前記メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について行動拠点らしさを算出し、前記行動拠点特定手段は、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点メッシュ領域として特定することを特徴とする。
【0010】
また、前記ユーザの行動拠点が、当該ユーザの生活の本拠である第1行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには、第1優先順位を有する測位日数及び第2優先順位を有する滞在時間が設定され、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第1行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別測位日数が最大のメッシュグループを第1行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第1行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記測位日数及び前記滞在時間を各優先順位に従って使用することにより、第1行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする。
【0011】
また、前記ユーザの行動拠点が、ユーザが継続して滞在する第2行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する滞在時間及び第2優先順位を有する測位日数が設定され、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第2行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別滞在時間が最大のメッシュグループを第2行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第2行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記滞在時間及び前記測位日数を各優先順位に従って使用することにより、第2行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする。
【0012】
また、複数の行動拠点が特定される場合に、前記行動拠点特定手段は、特定された一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域が、過去に特定された他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域と一致する場合は、当該他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域を含むメッシュグループを除外したメッシュグループを対象に、前記一の行動拠点の行動拠点らしさを再度算出するように前記行動拠点らしさ算出手段を制御することを特徴とする。
【0013】
また、複数の行動拠点が特定される場合に、前記行動拠点らしさ判定手段は、一の行動拠点のメッシュグループが特定できる場合において、他の行動拠点のメッシュグループが特定できない場合は、前記一の行動拠点のメッシュグループに含まれる当該一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域以外のメッシュ領域を対象に、前記他の行動拠点の行動拠点らしさを算出することを特徴とする。
【0014】
また、前記メッシュデータ生成手段は、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする。
【0015】
また、前記配分手段は、前記測位点間時間が所定時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定距離未満である場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分することを特徴とする。
【0016】
また、前記配分手段は、前記測位点間時間が所定の時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定の距離未満でない場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しないことを特徴とする。
【0017】
また、前記配分手段は、前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータのうち優先順位に従う少なくとも1の行動拠点パラメータの値が最も大きいメッシュ領域を、前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、行動拠点特定方法としても成立する。行動拠点特定方法は、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納するステップと、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成するステップと、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するステップと、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出するステップと、前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとしても成立する。このプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0021】
また、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザの行動拠点を当該ユーザの移動に基づいて自動的に特定することができる行動拠点特定装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】行動拠点特定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】基礎データの一例を説明する図である。
【図3】日別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図4】測位点間の時間配分を説明する図である。
【図5】期間別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図6】日常圏の設定を説明する図である。
【図7】メッシュグループの一例を示す図である。
【図8】行動拠点メッシュグループ及び行動拠点メッシュの一例を説明する図である。
【図9】測位情報DB、基礎データDB、日別メッシュDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】期間別メッシュDBと日常圏DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図11】行動拠点DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図12】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図13】日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】日別メッシュデータ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】期間別メッシュデータ生成処理および日常圏設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】行動拠点特定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】自宅判定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】勤務地判定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図19】自宅判定確認及び勤務地判定確認を説明するための図である。
【図20】自宅判定確認処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図21】勤務地判定確認処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態の行動拠点特定システムは、端末からの測位情報を利用してユーザの日常生活圏(以下、「日常圏」という。)を自動的に設定し、この設定した日常圏の中から、ユーザの特定の行動拠点を特定する。日常圏の中からユーザの行動拠点を特定する方法としては、例えば、測位回数などを行動拠点パラメータとして利用することが考えられるところ、行動拠点パラメータが1種類のみでは、行動拠点特定の精度が悪いという問題がある。そこで、本願発明では、少なくとも2種類以上の行動拠点パラメータをその優先順位に応じて利用することにより行動拠点を特定することとし、これにより、行動拠点特定の精度を向上させている。以下、本実施形態では、ユーザの生活の本拠であり、ユーザとの結びつきが最も強いと想定される第1行動拠点(例えば、「自宅」)と、ユーザが継続して滞在するものの生活の本拠ほどその場所との結びつきが強くない第2行動拠点(例えば、「勤務地」や「学校」)を、それぞれ特定する場合について説明する。
【0025】
[1.行動拠点特定システムの構成]
図1は、本実施形態に係る行動拠点特定システムの概略構成の一例を示すブロック図である。行動拠点特定システム(行動拠点特定装置)10は、ネットワークNを介して携帯移動端末装置(以下、「携帯端末」という。)20と相互に接続されている。
【0026】
行動拠点特定システム10は、主制御手段101、通信手段102、測位情報格納手段103、基礎データ生成手段104、メッシュデータ生成手段105(日別メッシュ生成手段106(滞在秒数/測位回数集計手段107、配分補完手段108)、期間別メッシュ生成手段109を含む)、日常圏設定手段110、メッシュグループ処理手段111、行動拠点らしさ算出手段112、行動拠点特定手段113、測位情報DB114、基礎データDB115、日別メッシュDB116、期間別メッシュDB117、日常圏DB118、行動拠点DB119などの各種機能実現手段を主に備える。
【0027】
行動拠点特定システム10には、図示してはいないが、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のサーバ・コンピュータを適用することができ、例えば、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより、上記各機能実現手段として機能する。なお、行動拠点特定システム10は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0028】
主制御手段101は、行動拠点特定システム10の動作全体及び上述した各手段の動作を制御する。通信手段102は、ネットワークNを介して携帯端末20と通信することにより各種情報を送受信するためのインタフェースである。通信手段102は、携帯端末20から送信される測位情報を受け付ける受付手段としても機能する。
【0029】
測位情報格納手段103は、携帯端末20から送信される測位情報を測位情報DB114に格納する。測位情報については後述するが、携帯端末20の現在位置を測位した測位点(座標情報)と、当該測位点の測位時刻と、携帯端末20のユーザを一意的に識別するユーザ識別情報(ID)と、が含まれる。
【0030】
基礎データ生成手段104は、測位情報DB114に格納されている測位情報に基づいて、ユーザ毎かつ測位日毎に測位点及び測位時刻を地図の該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する。メッシュ領域とは、緯度経度に基づいて地図を網の目状に分割して得られる複数の分割領域であり、仕様や設計に応じて適宜分割領域のサイズを設定することができる(例えば、ユーザが頻繁に滞在するエリアを特定したい場合はサイズを大きく設定し、一方、ユーザが頻繁に訪れる店などを特定したい場合はサイズを小さく設定することができる)。該当するメッシュ領域とは、測位点の座標情報が属するメッシュ領域を意味する。図2は、測位情報DB114に格納されている測位情報に基づいて基礎データが生成される様子を説明する図である。同図には、ユーザ(Aさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に測位点及び測位時刻を対応付けた基礎データB1が該当日におけるユーザの行動軌跡として記載されている。なお、生成された基礎データは、基礎データDB115に格納される。
【0031】
図1に戻り、メッシュデータ生成手段105は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の測位日数、測位回数及びユーザの滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した少なくとも2つの行動拠点パラメータとを対応付けたメッシュデータを生成する。測位日数は、所定期間内に該当メッシュ領域で測位が行われた日数の合計(同一日は二重加算しない)であり、該当メッシュ領域にユーザが滞在した日数を示すものであるため、以下これを「滞在日数」という。測位回数は、所定期間内に該当メッシュ領域で測位が行われた回数の合計である。ユーザの滞在時間は、所定期間内に該当メッシュ領域にユーザが滞在した時間の合計である。本実施形態では、滞在時間を秒数にて表すため、以下これを「滞在秒数」ともいう。行動拠点パラメータには、特定する行動拠点の内容に応じて、滞在日数、測位回数および滞在秒数のうちの少なくとも2つの任意の組み合わせを設定することができるが、3つ全てを設定してもよいし、他の情報を追加してもよい。なお、メッシュデータには、日別メッシュデータと期間別メッシュデータとがあり、以下、これらについて説明する。
【0032】
日別メッシュ生成手段106は、ユーザ毎に、所定単位期間毎の各メッシュ領域における測位回数及び滞在秒数を表すデータとして、単位期間別メッシュデータを生成する。所定単位期間とは、メッシュデータを生成する最小単位期間であり、例えば、「1日」や「半日」など、仕様・設計に応じて適宜設定することができる。本実施形態では、所定単位期間に「1日」が設定されているため、以下、単位期間別メッシュデータを「日別メッシュデータ」という。図3は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて日別メッシュデータが生成される様子を説明する図である。同図には、ユーザ(Aさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に滞在秒数と測位回数を対応付けたメッシュデータM1が記載されている。なお、本実施形態ではメッシュ領域ごとに測位回数と滞在秒数を算出して対応づける場合について説明しているが、測位回数又は滞在秒数のみを算出して対応づけるようにしてもよい。生成された日別メッシュデータは、日別メッシュDB116に格納される。
【0033】
図1に戻り、日別メッシュ生成手段106は、具体的には、滞在秒数/測位回数集計手段107と、配分補完手段108とを有する。
【0034】
滞在秒数/測位回数集計手段107は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて、各メッシュ領域における測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在秒数を所定単位期間ごとに算出し、各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在秒数とを対応付ける。各メッシュ領域における測位回数は、該当メッシュ領域において測位が行われた回数を合計することにより算出する。各メッシュ領域における滞在秒数は、後述する配分補完手段108により該当メッシュ領域に配分された配分時間を合計することにより算出する。
【0035】
配分補完手段108は、メッシュ領域に対応付けられた測位点から、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点を選択する。第1測位点は移動前地点、第2測位点は移動後地点とも呼ばれる。次に、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの時間(以下、「測位点間時間」という。)と、第2測位点と第1測位点との間の距離(以下、「測位点間距離」という。)と、を算出する。そして、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて配分条件を決定し、当該決定した配分条件に従って、当該測位点間時間を第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(第1測位点の第1メッシュ領域と第2測位点の第2メッシュ領域を含む)に配分する。なお、配分には0時間を配分することも含まれ、この場合には、配分しないことと実質的に同じである。
【0036】
配分条件は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、携帯端末からの測位情報の送信条件や構成に応じて、以下のように配分条件を設定している。具体的には、本実施形態における携帯端末20は、所定の送信時間間隔(例:5分)で測位情報を行動拠点特定システム10へ送信し、ユーザが移動しない場合は、消費電力セーブ等の理由により測位情報を送信しないように構成されている。すなわち、ユーザが電波圏内にいる場合、携帯端末20からの測位情報は、ユーザが移動している場合にのみ所定の送信時間間隔で送信される。したがって、第1測位時刻と第2測位時刻間の測位点間時間から移動時間を除いた時間(以下、「移動時間減算済み時間」)は、移動前地点である第1測位点にユーザが滞在していた時間と推定することができるから、当該移動時間減算済み時間を、第1測位点のメッシュ領域に配分する。
【0037】
次に、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容(移動手段や移動経路)を推定できる場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がある場合)は、第1測位点から第2測位点への推定された移動経路(以下、「推定移動経路」という。)上に位置するメッシュ領域に、移動時間を略均等に配分する(第1配分条件)。すなわち、推定移動経路上のメッシュ領域について滞在秒数を補完する。一方、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容を推定できない場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がない場合)は、移動時間のメッシュ領域への配分は行わない(0時間を配分する)(第2配分条件)。すなわち、メッシュ領域への滞在秒数の補完は行われない。
【0038】
移動内容の推定可否を判断する方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、測位点間時間及び/又は測位点間距離が所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満である場合は、歩行などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができるとする。一方、所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満でない場合は、例えば地下鉄利用時などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができないとすることができる。
【0039】
また、移動時間の算出方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、携帯端末20の送信時間間隔を利用する方法や、測位点間距離と移動手段(例:電車、車、徒歩)に応じた所定時速より移動時間を計算する方法などがある。本実施形態では、第1配分条件の場合は、携帯端末20における測位情報の送信時間間隔(例:5分)を移動時間として設定する。また、第2配分条件の場合は、測位点間距離と予め設定した所定の時速(例:30km)とに基づいて第1測位点から第2測位点への移動時間を算出する。なお、所定の時速は、推定した移動手段などに応じて適宜設定することができ、例えば、第1配分条件については徒歩時速を利用して移動時間を算出するようにしてもよい。
【0040】
また、移動経路の特定方法も、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、第1測位点と第2測位点とを結んだ結線によって移動経路を表している。なお、図4(A)において結線は、直線で示されているが、結線は直線に限られず、例えば、道路、路線、建物などに応じて推定される任意の移動経路に沿った形状を有することができる。また、結線上に位置するメッシュ領域のうち、第1測位点と第2測位点のメッシュ領域以外のメッシュ領域を、補完メッシュ領域という。
【0041】
なお、日別メッシュ生成手段106では、測位情報を所定単位期間毎に管理しているので、第1測位点と第2測位点が日をまたぐ場合(例えば、基準時刻(例:0時/24時)をまたぐ場合)がある。すなわち、当該単位期間において最初に測位された測位点(以下、「最初測位点」という。)と最後に測位された測位点(以下、「最後測位点」という。)については、組み合わせるべき移動前測位点又は移動後測位点が他の日に属する。そこで、本実施形態では、第3配分条件として、最初測位点については、対応する移動前測位点が他の日に属するため、基準時刻(例:0時)から最初測位点の測位時刻までの時間を滞在秒数として当該最初測位点のメッシュ領域に配分する。また、最後測位点については、対応する移動後測位点が他の日に属するため、当該最後測位点の測位時刻から基準時刻(例:24時)までの時間を当該最後測位点のメッシュ領域に配分する。なお、第3配分条件では、メッシュ領域に配分する最大時間を設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では最大6時間が設定されている。
【0042】
図4(A)は、第1配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、第1測位点と第2測位点との間の測位点間時間(9:40−9:30=10分)から移動時間(5分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(5分(300秒))を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。次に、第1測位点と第2測位点間のメッシュ領域に滞在秒数を補完すべく、第1測位点と第2測位点との結線上に位置する6つのメッシュ領域に移動時間(5分)を略均等(50秒ずつ)に配分している。
【0043】
図4(B)は、第2配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、測位点間距離(10km)と所定の時速(例:30km/時)より第1測位点と第2測位点との間の移動時間(20分)を算出し、測位点間時間(11:30‐9:30=120分)より当該移動時間(20分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(100分)を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。なお、ここでは、第1測位点と第2測位点間に位置するメッシュ領域への補完は行われないので、移動時間は配分されていない。
【0044】
図4(C)は、第3配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、最初測位点(測位時刻7:30)については、最大時間である6時間が配分されており、最後測位点(測位時刻23:30)については、当該測位時刻から0時までの30分が配分されている。
【0045】
次に、図1に戻り、期間別メッシュ生成手段109について説明する。期間別メッシュ生成手段109は、日別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数を所定の集計期間ごとに集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在秒数、滞在日数を対応付けた集計期間別メッシュデータ(以下、「期間別メッシュデータ」という。)を生成する。所定の集計期間は、設計や仕様に応じて適宜設定することができ、その期間内容に特に限定はないが、例えば、直近7日、直近30日、直近180月、直近365日などの集計期間を設定することができる。また、複数の集計期間を同時に設定してもよい。なお、期間別メッシュデータが既に存在する場合は、新たに追加する追加対象日(例:最新測位日)と減算対象日(例:既存集計期間内の最も古い測位日)の日別メッシュデータを日別メッシュDB116より読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を加算する一方、メッシュ領域毎に当該減算対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を減算する。図5は、日別メッシュデータから期間別メッシュデータを生成する様子を説明する図である。同図は、日別メッシュデータM5から生成された期間別メッシュデータM6において、メッシュ領域ごとに滞在秒数、測位回数、滞在日数が関連付けられている様子を示している。
【0046】
日常圏設定手段110は、期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数及び滞在回数のうちの少なくとも2つ以上の組合せが、所定の閾値以上であるメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する。
【0047】
図6は、期間別メッシュデータより日常圏を設定する様子を説明する図である。同図では、直近30日のメッシュデータM7から「滞在時間が300分以上かつ滞在日数が3日以上」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって、日常圏を設定する場合や、直近7日のメッシュデータM8から「滞在時間が60分以上かつ滞在日数が2日以上」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって日常圏を設定する場合を示している。同図に示すように、日常圏には、ユーザの主な行動拠点である自宅、勤務地、通勤経路上の乗換駅路、行きつけの店など様々な場所が含まれ得る。
【0048】
図1に戻り、メッシュグループ処理手段111について説明する。メッシュグループ処理手段111は、メッシュグループ化処理とグループ別計算処理を実行する。メッシュグループ化処理は、日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域同士をグループ化する。携帯端末20のGPS測位精度が低い場合には、実際にユーザが位置するメッシュ領域ではなく、これに近接するメッシュ領域が現在位置として測位される可能性がある。そのため、本実施形態では、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグルーピングして処理することとしている。「所定の接続関係」は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、例えば、メッシュ領域の少なくとも一部が接している状態(異なるメッシュ領域の頂点同士が接する場合、メッシュ領域の辺同士が接する場合、又はその両方などを含む)と定義することができるが、これに限られず、所定数(例えば、1)の非日常圏メッシュが間に挟まれる場合も含めることができる。なお、グループ化されたメッシュ領域を「メッシュグループ」という。なお、所定の接続関係を満たすメッシュ領域が存在しない場合は、当該メッシュ領域を一メッシュグループとして取り扱う。図7(A)は、メッシュ領域のグループ化を説明するための図である。同図(A)において、メッシュデータM11は、グルーピング前の日常圏を示し、メッシュデータM12は、グルーピング後の日常圏を示す。
【0049】
グループ別計算処理は、メッシュグループ毎に、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数、グループ別測位回数を算出する。グループ別滞在日数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在日数を総計したもの(但し、重複日は二重加算しない)、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在日数の中の最大の滞在日数とすることができる。グループ別滞在秒数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在秒数を総計したもの、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在秒数の中の最大の滞在秒数とすることができる。グループ別測位回数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の測位回数を総計したもの、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の測位回数の中の最大の測位回数とすることができる。図7(B)は、グループ別滞在秒数とグループ別滞在日数が計算される一例を示している。
【0050】
次に、行動拠点らしさ算出手段112は、メッシュグループが所定の算出条件を満たすことを条件に、当該メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、この特定した行動拠点グループに含まれるメッシュ領域について、それぞれユーザの特定の行動拠点である確からしさ(以下、「行動拠点らしさ」という。)を算出する。具体的には、まず、メッシュグループの中に所定の算出条件を満たすメッシュグループがあるか否かを判定し、判定結果が否である場合は、原則、当該ユーザの行動拠点は不明であるとして処理を終了する。所定の算出条件の詳細については、後述する。他方、判定結果が是である場合は、行動拠点メッシュグループの特定処理を実行する。行動拠点メッシュグループの特定処理は、メッシュグループの中から、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数又はグループ別測位回数が、最大のメッシュグループを行動拠点メッシュグループとして特定する。例えば、行動拠点が、「自宅」の場合は、「グループ別滞在日数」が最大のメッシュグループを「自宅メッシュグループ」として選択する。他方、行動拠点が、「勤務地」の場合は、「グループ別滞在秒数」が最大のメッシュグループを「勤務地メッシュグループ」として選択する。
【0051】
行動拠点メッシュグループが特定されると、行動拠点らしさ算出手段112は、当該行動拠点メッシュグループに含まれるメッシュ領域について、滞在日数、滞在秒数、測位回数のうちの少なくとも2つ(行動拠点パラメータ)を各優先順位に従って用いることにより、行動拠点らしさを算出する。例えば、行動拠点が「自宅」である場合は、「滞在日数」(第1優先順位)を用いて自宅らしさを算出し、これにより自宅が特定できない場合は、「滞在秒数」(第2優先順位)を用いて自宅らしさを算出する。他方、行動拠点が「勤務地」である場合は、「滞在秒数」(第1優先順位)を用いて勤務地らしさを算出し、これにより勤務地が特定できない場合は、「滞在日数」(第2優先順位)を用いて勤務地らしさを算出する。「自宅」の場合に「滞在日数」が「滞在秒数」よりも優先順位が高く設定されているのは、土日祝日を含めて出掛け先に関わらず出発地点は自宅が多いため、滞在日数は最大になると想定されるからである。他方、「勤務地」の場合に「滞在秒数」が「滞在日数」よりも優先順位が高く設定されているのは、自宅の最寄駅や乗換駅などは、土日祝日も利用されて勤務地よりも滞在日数が多くなる可能性がある一方、滞在秒数は勤務地のほうが大きくなると想定されるからである。なお、行動拠点パラメータを用いた行動拠点らしさの算出方法は、仕様や設計に応じて設定することができるが、ここでは、行動拠点パラメータの値を行動拠点らしさを示す値とする。また、自宅及び勤務地の特定処理について、「測位回数」(第3優先順位)を追加してもよい。
【0052】
行動拠点特定手段113は、行動拠点らしさ算出手段112によって計算された行動拠点らしさに基づいて、ユーザの行動拠点であるメッシュ領域を特定する。例えば、自宅らしさが最も高いメッシュ領域をユーザの「自宅」と特定し、勤務地らしさが最も高いメッシュ領域をユーザの「勤務地」と特定することができる。図8(A)は、メッシュグループの中から自宅メッシュグループが特定され、当該自宅メッシュグループ内のメッシュ領域について自宅らしさが計算され、自宅らしさが最大のメッシュ領域が、自宅メッシュとして特定される一例を示している。図8(B)は、メッシュグループの中から勤務地メッシュグループが特定され、当該勤務地メッシュグループ内のメッシュ領域について勤務地らしさが計算され、勤務地らしさが最大のメッシュ領域が、勤務地メッシュとして特定される一例を示している。
【0053】
次に、各データベースの構造について説明する。
【0054】
測位情報DB114は、携帯端末20から送信される測位情報を格納する。図9(A)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、測位情報DB114には、「測位時刻」、「ユーザID」、「緯度」、「経度」などのデータが測位情報の履歴として対応付けて格納されている。
【0055】
基礎データDB115は、基礎データ生成手段104が生成した基礎データを格納する。図9(B)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、基礎データDB115には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「測位時刻」などのデータが対応付けて格納されている。なお、「メッシュ番号」には、メッシュ領域を一意的に識別する識別情報が格納される。
【0056】
日別メッシュDB116は、日別メッシュ生成手段106が生成した日別メッシュデータを格納する。図9(C)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、日別メッシュDB116には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「滞在秒数」「測位回数」などのデータが対応付けて格納されている。
【0057】
期間別メッシュDB117は、期間別メッシュ生成手段109が生成した期間別メッシュデータを格納する。図10(A)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、期間別メッシュDB117には、「ユーザID」、「対象期間」、「メッシュ番号」、「滞在秒数合計」、「測位回数合計」、「滞在日数合計」などのデータが対応付けて格納されている。
【0058】
日常圏DB118は、日常圏設定に関するデータを格納するものであり、具体的には、日常圏設定の際に使用する日常圏条件と、設定された日常圏のデータとを含む。
【0059】
図10(B)は、日常圏DB118に含まれる日常圏条件の一例を示す図である。日常圏条件には、仕様設計に応じた内容を設定することができ、特に限定はないが、同図では、日常圏の種類と条件が対応付けて格納されている。具体的には、日常圏Aには、「対象集計期間」、「滞在日数」、「滞在分数」が設定され、日常圏Bには、「対象集計期間」、「測位日数」、「滞在分数」及び「測位回数」が設定され、日常圏Cには、「対象集計期間」と「滞在日数」が設定されている。さらに、各項目については、日常圏の種類ごとに任意の期間と、閾値としての日数、時間、回数が設定されている。同図に示すように、日常圏の条件は、抽出したい日常圏の種類に応じて設定することができる。例えば、滞在日数を重視して滞在秒数や測位回数を考慮しない場合は、通勤経路を主とした日常圏を特定することが可能であり、滞在秒数を重視して滞在日数を考慮しない場合は、訪れる回数は少ないが長居する場所(例:実家)を含む日常圏などを特定することが可能である。また、対象集計期間に長期間を設定すれば、長期旅行や出張などにいった場合に日常圏がなくなることを防止することができる一方、対象集計期間に短期間を設定すれば、日常圏を容易に特定することが可能である。
【0060】
図10(C)は、日常圏DB118に含まれるユーザの日常圏の一例を示す図である。同図では、ユーザIDごとに、「日常圏の種類」と「メッシュ番号」が対応づけて格納されている。同図によれば、日常圏の種類によって、設定された日常圏のメッシュ番号が異なることがわかる。
【0061】
行動拠点DB119は、行動拠点特定処理に関するデータを格納するものであり、図11に示すように、行動拠点らしさの算出条件を格納する算出条件テーブルと、ユーザ毎に特定された行動拠点に関するデータを格納する行動拠点データと、行動拠点らしさを算出する際に使用される測位レベル毎の係数を格納する係数テーブルを含む。
【0062】
算出条件テーブルには、行動拠点の特性に応じた条件を設定することができ、図11(A)では、一例として、自宅の場合は、「グループ別滞在日数が所定日数(n日)以上であり、かつ、グループ別滞在秒数が所定秒数(m秒)以上である」ことが設定され、勤務地の場合、「グループ別滞在秒数が所定日数(x秒数)以上であり、かつ、グループ別滞在日数が所定日数(y日)以上である」ことが設定されている。nは最低在宅日数(例:nは20日)、mは最低在宅時間(例:mは432000秒=15日×8時間×60分×60秒)、xは最低勤務日数(例:xは234000秒=13日×5時間×60分×60秒)、yは最低勤務時間(例:yは13日)である。
【0063】
行動拠点データには、図11(B)に示すように、「ユーザID」、「行動拠点の種類」、当該行動拠点の「メッシュ番号」、当該行動拠点を特定した「日付」などのデータが、行動拠点の履歴として格納される。
【0064】
係数テーブルには、図11(C)に示すように、「測位レベル」と「係数」とが対応づけて格納される。測位レベルのレベル数及び係数の値は、仕様や設計に応じて設定することができる。なお、測位レベルを用いた行動拠点らしさの算出処理については、その他の実施形態において説明する。
【0065】
[2.携帯端末の構成]
図1に戻り、携帯端末20について説明する。携帯端末20は、例えば、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータなどのGPSを利用して現在位置を測位した測位情報を所定時間間隔でアップロードする機能を備えた従来の端末装置を適用することができる。なお、図1では1つの携帯端末20を記載しているが、利用形態に応じて複数の携帯端末20を行動拠点特定システム10と接続することができる。
【0066】
図12に示すように、携帯端末20は、主制御手段201、通信手段202、表示手段203、操作手段204、記憶手段205、現在位置測位手段206、測位情報送信手段207などの各種機能実現手段をおもに備える。
【0067】
主制御手段201は、図示しないCPU、ROMやRAM等のメモリを含むプロセッサで構成されており、ROMに記憶された所定のプログラムをCPUが実行することにより携帯端末20の各部の動作を制御する。通信手段202は、ネットワークNを介して行動拠点特定システム10との間で各種情報を送受信するためのインタフェースである。表示手段203は、文字や画像等の情報を表示するディスプレイであり、操作手段204は、ユーザからの操作指示を受け付けるボタンやタッチパネルである。また、記憶手段205は、各種プログラムやデータを記憶する記憶装置としてのメモリである。
【0068】
現在位置測位手段206は、例えば、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を所定の受信間隔で受信し処理することによって携帯端末20の現在位置(緯度・経度)を測位する。
【0069】
測位情報送信手段207は、現在位置測位手段206が測位した測位点および測位時刻と、当該携帯端末20を保有するユーザのユーザIDとを含む測位情報を、行動拠点特定システム10へ送信する。なお、測位情報の送信は、仕様・設計に応じて適宜設定することができるが、上述したように、本実施形態では、ユーザが移動している場合には、所定の送信間隔にしたがって送信するように構成されている。ユーザが移動しているか否かは、例えば図示しない加速度センサを用いて従来技術を適用することにより判断することができる。
【0070】
ネットワークNは、行動拠点特定システム10と携帯端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0071】
[3.行動圏特定処理]
次に、上記のように構成される行動拠点特定システム10の動作の概要について、図13〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0072】
[3−1.日常圏設定処理]
最初に、日常圏設定処理について説明する。図13は、日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。行動拠点特定システム10は、携帯端末20から所定送信間隔で送信される測位情報(測位点、測位時刻、ユーザID)を受信すると、当該受信した測位情報を測位情報DB114に格納する(S100)。これにより、ユーザの移動に応じた測位情報の履歴が測位情報DB114に格納される(図3(A)参照)。
【0073】
行動拠点特定システム10は、測位情報DB114の測位情報をユーザ別日別に時系列に並び替え、ユーザ別測位日別に、測位点及び測位時刻を該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する(S200)(図6参照)。生成した基礎データを、基礎データDB115に格納する(図3(B)参照)。
【0074】
行動拠点特定システム10は、生成された基礎データに基づいて、ユーザ毎に所定単位期間(例:1日)毎の各メッシュ領域における測位回数及びユーザの滞在秒数を表す日別メッシュデータを生成する(S300)。生成した日別メッシュデータを、日別メッシュDB116に格納する(図4(A)、図7参照)。なお、日別メッシュデータの生成処理の詳細については、後述する。
【0075】
行動拠点特定システム10は、生成された日別メッシュデータに基づいて所定の集計期間における各メッシュ領域の測位回数、滞在秒数、滞在日数を集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在秒数、滞在日数を対応付けた期間別メッシュデータを生成する(S400)。生成した期間別メッシュデータを、期間別メッシュDB117に格納する(図10参照)。
【0076】
行動拠点特定システム10は、期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数及び滞在回数のうちのいずれか1つ又はこれら2つ以上の任意の組合せが、所定の日常圏条件を満たすメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する(S500)。生成した日常圏データを、日常圏DB118に格納する(図4(B)(C)、図11参照)。
【0077】
[3−1−1.日別メッシュデータ生成処理]
次に、図14を参照しながら日別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する。まず、行動拠点特定システム10は、基礎データに基づいて、メッシュ領域上の測位点から、例えば時系列に従って、移動前測位点の第1測位点と移動後測位点の第2測位点との組を特定し、当該組を特定できた場合は(S301:YES)、第1配分条件または第2配分条件を適用するためにステップ302に進み、当該組を特定できなかった場合は(S301:NO)、第3配分条件を適用するためにステップ309へ進む。
【0078】
行動拠点特定システム10は、ステップ302へ進んだ場合、第1測位点と第2測位点間の測位点間距離を算出し、第1測位点の第1測位時刻と第2測位点の第2測位時刻間の測位点間時刻を算出する(S302)。
【0079】
行動拠点特定システム10は、配分条件の一例として、算出した測位点間距離が所定基準距離未満であり、かつ、算出した測位点間時間が所定基準時間未満であるか否かを判断し(S303)、判断結果が是である場合は、第1配分条件を適用するためにステップ304へ進み、判断結果が否である場合は、第2配分条件を適用するためにステップ307へ進む。
【0080】
行動拠点特定システム10は、ステップ304へ進んだ場合、携帯端末における測位情報の送信時間間隔を移動時間に設定する(S304)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在秒数として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S305)。次に、第1測位点と第2測位点の結線上に位置する1または複数のメッシュ領域に対して、移動時間を配分滞在秒数として略均等に配分する(S306)。これにより、第1メッシュ領域、第2メッシュ領域および補完メッシュ領域に対して配分滞在秒数が適切に配分される(図8(A)参照)。
【0081】
一方、行動拠点特定システム10は、ステップ307へ進んだ場合、測位点間距離と、所定の時速情報とに基づいて、移動時間を算出する(S307)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在秒数として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S308)。なお、第2測位点が属する第2メッシュ領域や他のメッシュ領域への配分滞在秒数の配分は行わない。これにより、第1メッシュ領域に対して配分滞在秒数が適切に配分される(図8(B)参照)。
【0082】
なお、行動拠点特定システム10は、ステップS301において判断結果が否であるため、ステップ309へ進んだ場合、対象測位点が該当日の最初に測位された最初測位点が最後に測位された最後測位点あるかを判断し、最初測定点である場合は、基準時である0時から対象測位点の測位時刻までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S310)。一方、対象測位点が最後測位点である場合は、対象測位点の測位時刻から基準時である24時までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S311)。これにより、最初測位点及び最後測位点のメッシュ領域に対しても配分滞在秒数が適切に配分される(図9参照)。
【0083】
行動拠点特定システム10は、対象メッシュ領域の滞在秒数を当該メッシュ領域に配分された配分滞在秒数に基づいて算出し、当該メッシュ領域の測位回数を当該メッシュ領域において測位点が測位された回数に基づいて算出する(S312)。なお、補完メッシュ領域については、滞在秒数は加算されるが、測位点は加算されない。
【0084】
次に、行動拠点特定システム10は、次に処理すべき測位点が存在するか否かを判断し、次に処理すべき測位点が存在する場合は(S313:YES)、ステップS301に戻り、上記処理を繰り返す。一方、次に処理すべき測位点が存在しない場合は、処理を終了する(S313:NO)。
【0085】
[3−1−2.期間別メッシュデータ生成処理]
次に、図15(A)を参照しながら期間別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する(図10参照)。行動拠点特定システム10は、対象集計期間の期間別メッシュデータが期間別メッシュDB117に存在するか否かを判断し、既に生成されている場合は(S401:YES)、ステップS402に進み、未だ生成されていない場合は(S401:NO)、ステップS403に進む。
【0086】
行動拠点特定システム10は、ステップS402に進んだ場合は、期間別メッシュDB117より既存の期間別メッシュデータを読み出し、日別メッシュDB116より追加対象日と減算対象日の日別メッシュデータを読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を加算する一方、減算対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を減算する(S402)。
【0087】
行動拠点特定システム10は、ステップS403に進んだ場合は、日別メッシュDB116より対象集計期間分の日別メッシュデータを読み出し、対象集計期間分の滞在秒数、測位回数、滞在日数を集計する(S403)。
【0088】
行動拠点特定システム10は、生成した期間別メッシュデータを期間別メッシュDB117に格納する(S404)。
【0089】
[3−1−3.日常圏の設定処理]
次に、図15(B)を参照しながら日常圏の設定処理の流れについて説明する(図11参照)。行動拠点特定システム10は、日常圏DB118から対象となる日常圏の種類の日常圏条件を参照し(S501)、期間別メッシュDB117から該当する期間別メッシュデータを読み出すと、参照した日常圏条件に合致するメッシュ領域を抽出し、日常圏として設定する(S502)。行動拠点特定システム10は、設定した日常圏の種類とメッシュ番号とを対応付けて日常圏DB118に格納する(S503)。
【0090】
[3−2.行動拠点特定処理]
次に、以上のように設定された日常圏を使用して、ユーザの行動拠点を特定する行動拠点特定処理について説明する。ここでは、一例として、第1行動拠点として「自宅」、第2行動拠点として「勤務地」を特定する場合を例に説明する。図16は、行動拠点特定処理の全体の流れを示している。
【0091】
すなわち、行動拠点特定システム10は、日常圏に含まれるメッシュ領域(以下、「日常圏メッシュ」という。)の中から、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化して、メッシュグループを生成する(S1000:図7(A)参照)。次に、各メッシュグループ内の各メッシュ領域について、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数、グループ別測位回数を算出する(S1010:図7(B)参照)。
【0092】
そして、第1行動拠点として、該当するメッシュ領域について自宅らしさの算出処理を実行し、自宅メッシュ領域の特定処理を実行する(S1020)。次に、第2行動拠点として、該当するメッシュ領域について勤務地らしさの算出処理を実行し、勤務地メッシュ領域の特定処理を実行する(S1021)。これらの処理の詳細については、後述する。
【0093】
[3−2−1.自宅メッシュ領域特定処理]
図17は、自宅メッシュ領域特定処理の全体の流れを示している。行動拠点らしさ算出手段112は、行動拠点DB119より自宅算出条件を参照し(S701)、生成されたメッシュグループのうち当該自宅算出条件(例:グループ別滞在日数≧最低在宅日数n、かつ、グループ別滞在秒数≧最低在宅秒数m)を満たすメッシュグループがあるか否かを判定する(S702)。判定結果が否である場合(S702:NO)、当該ユーザについては、自宅メッシュ領域が不明と判断する(S703)。
【0094】
他方、判断結果が是である場合(S702:YES)、自宅算出条件に合致するメッシュグループの中から、「グループ別滞在日数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして特定する(S704)。なお、最大滞在日数の自宅メッシュグループが複数特定された場合は(S705:YES)、「グループ別滞在秒数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして選択する(S706)。さらに、最大滞在秒数の自宅メッシュグループが複数特定された場合は(S707:YES)、「グループ別測位回数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして選択する(S708)。
【0095】
自宅メッシュグループが特定されると、行動拠点らしさ算出手段112は、当該自宅メッシュグループ内の各メッシュについて、行動拠点パラメータを用いて自宅らしさを示す値を算出する。ここでは、行動拠点パラメータに「滞在日数」(第1優先順位)、「滞在秒数」(第2優先順位)、「測位回数」(第3優先順位)が優先順位とともに設定されている。よって、まず、各メッシュ領域の「滞在日数」を用いて自宅らしさを示す値を算出する(S709)。
【0096】
自宅メッシュグループ内の全メッシュ領域について自宅らしさを示す値が算出されると、行動拠点特定手段113は、当該自宅らしさを示す値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として決定する(S710)。なお、最大滞在日数の自宅メッシュ領域が複数特定された場合は(S711:YES)、第2優先順位である「滞在秒数」に基づいて自宅らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として選択する(S712)。さらに、最大滞在秒数の自宅メッシュ領域が複数特定された場合は(S713:YES)、第3優先順位である「測位回数」に基づいて自宅らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として選択する(S714)。
【0097】
ユーザの自宅メッシュ領域が決定されると、行動拠点特定手段113は、所定の自宅確認処理を実行した後(S715)、当該ユーザと自宅メッシュ領域のメッシュ番号とを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S716)。なお、自宅確認処理の詳細については、後述する。以上の処理により、日常圏の中からユーザの自宅メッシュ領域が特定される。
【0098】
[3−2−2.勤務地メッシュ領域特定処理]
図18は、勤務地メッシュ領域特定処理の全体の流れを示している。行動拠点らしさ算出手段112は、対象メッシュグループから自宅メッシュグループを除き、行動拠点DB119より勤務地算出条件を参照する(S801)。そして、自宅メッシュグループ除外後の対象メッシュグループのうち、当該勤務地算出条件(例:グループ別滞在日数≧最低勤務日数x、かつ、グループ別滞在秒数≧最低勤務秒数y)を満たすメッシュグループがあるか否かを判定する(S802)。
【0099】
判断結果が是である場合(S802:YES)、勤務地算出条件に合致するメッシュグループの中から、「グループ別滞在秒数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして特定する(S804)。なお、最大滞在秒数の勤務地メッシュグループが複数特定された場合は(S805:YES)、「グループ別滞在日数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして選択する(S806)。さらに、最大滞在日数の勤務地メッシュグループが複数特定された場合は(S807:YES)、「グループ別測位回数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして選択する(S808)。
【0100】
勤務地メッシュグループが特定されると、当該勤務地メッシュグループ内の各メッシュについて、行動拠点パラメータを用いて勤務地らしさを示す値を算出する。ここでは、行動拠点パラメータに「滞在秒数」(第1優先順位)、「滞在日数」(第2優先順位)、「測位回数」(第3優先順位)が優先順位とともに設定されている。よって、まず、各メッシュ領域の「滞在秒数」を用いて勤務地らしさを示す値を算出する(S809)。
【0101】
勤務地メッシュグループ内の全メッシュ領域について勤務地らしさを示す値が算出されると、行動拠点特定手段113は、当該勤務地らしさを示す値が最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として決定する(S810)。なお、最大滞在秒数の勤務地メッシュ領域が複数特定された場合は(S811:YES)、第2優先順位である「滞在日数」を行動拠点パラメータとして勤務地らしさを示す値を算出し、当該値が最大のメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として選択する(S812)。さらに、最大滞在日数の勤務地メッシュ領域が複数特定された場合は(S813:YES)、第3優先順位である「測位回数」を行動拠点パラメータとして勤務地らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として選択する(S814)。
【0102】
ユーザの勤務地メッシュ領域が決定されると、行動拠点特定手段113は、当該ユーザと勤務地メッシュ領域のIDとを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S812)。なお、ステップS802において勤務地算出条件を満たすメッシュグループがないと判定された場合(S802:NO)、行動拠点らしさ算出手段112は、所定の勤務地確認処理を実行し(S813)、勤務地確認処理によっても勤務地が不明と判定された場合は(S814:NO)、当該ユーザについては、勤務地メッシュ領域が不明と判断する(S815)。他方、勤務地確認処理によって勤務地があると判定された場合は(S814:YES)、ステップ812へ移行して当該ユーザと勤務地メッシュ領域のメッシュ番号とを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S812)。以上の処理により、日常圏の中からユーザの勤務地メッシュ領域が特定される。
【0103】
[3−2−3.自宅確認処理]
次に、自宅確認処理について説明する。例えば、ユーザが引越をしたばかりのような場合、滞在日数は、引越前の自宅と引越後の自宅を含むメッシュ領域に分散される可能性がある(図19(A)参照)。その結果、勤務地を含むメッシュ領域の滞在日数が引越後の自宅を含むメッシュ領域の滞在日数よりも大きくなり、勤務地が自宅として、引越後の自宅が勤務地として判定される可能性がある。従って、本実施形態では、このような行動拠点の変化をも考慮して、適切のユーザの行動拠点を特定するために、上述の自宅判定処理の結果を再確認する確認処理を設けている。図20は、自宅確認処理の全体の流れを示している。
【0104】
行動拠点特定手段113は、自宅メッシュ領域が特定されると(図17:S711)、自宅確認処理を実行する。すなわち、行動拠点DB119から、過去に特定された勤務地メッシュ領域であって所定の参照条件に合致する勤務地メッシュ領域(以下、「参照勤務地メッシュ領域」という。)のメッシュ番号を参照し、今回特定した自宅メッシュ領域のメッシュ番号と参照勤務地メッシュ領域のメッシュ番号とが一致するか否かを判断する(S901)。所定の参照条件には、例えば、「前回特定された勤務地メッシュ領域」又は「直近所定回数以上連続して特定された勤務地メッシュ領域」などの内容を設定することができる。
【0105】
行動拠点特定手段113は、判断結果が否(=不一致)の場合は、処理を終了し、図17のステップS713へ移行する(S902:NO)。一方、判断結果が是(=一致)の場合は、勤務地が自宅として誤って判定されたものとして、参照勤務地メッシュ領域を今回の勤務地メッシュ領域として決定する(S903)。そして、対象メッシュグループから参照勤務地メッシュ領域が含まれるメッシュグループを除外し、除外後の対象メッシュグループについて自宅メッシュ領域特定処理が再実行されるように、図17のステップS701へ移行する(S904)。
【0106】
以上によれば、引っ越しなどにより勤務地が自宅として誤って判定された場合であっても、その誤りが検出されて自宅メッシュ領域の特定処理が再実行されるので、自宅と勤務地を適切に決定することができるようになる。なお、上記自宅の確認処理は、勤務地を自宅と誤判定する場合に限られず、一の行動拠点を他の行動拠点として誤判定する可能性がある場合に適用することができる。
【0107】
[3−2−4.勤務地確認処理]
次に、勤務地確認処理について説明する。例えば、ユーザの勤務地が自宅の近くに位置している場合、勤務地のメッシュ領域が、自宅メッシュグループに含まれる可能性があるところ、上述の勤務地メッシュ領域特定処理は、自宅メッシュグループを対象外としているため、勤務地メッシュ領域が特定されない場合がある(図19(B)参照)。従って、本実施形態では、このような自宅と勤務地との位置関係を考慮して、ユーザの勤務地が存在するか否かを再確認する確認処理を設けている。
【0108】
行動拠点らしさ算出手段112は、勤務地算出条件に合致するメッシュグループが存在しないために勤務地メッシュ領域は不明と判定した場合(図18のS812:NO)、勤務地確認処理を実行する。図21は、勤務地確認処理の全体の流れを示している。
【0109】
まず、行動拠点らしさ算出手段112は、自宅メッシュグループ内の自宅メッシュ領域以外のメッシュ領域を、対象メッシュ領域に設定する(S1001)。そして、対象メッシュ領域が、所定の滞在日数、滞在秒数、測位回数を満たしているか否か(第1抽出基準)を判定する(S1002)。
【0110】
判定結果が是である場合は(S1002:YES)、第1抽出基準を満たす対象メッシュ領域が、自宅メッシュ領域から所定距離離れているか否か(第2抽出基準)を判定する(S1003)。そして、判定結果が是である場合は(S1003:YES)、第2抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、対象メッシュ領域と自宅メッシュ領域の滞在日数の差、滞在秒数の差、測位回数の差が、所定の閾値であるか否か(第3抽出基準)を満たしているか否かを判定する(S1004)。
【0111】
そして、判定結果が是である場合は(S1004:YES)、第3抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、特定施設(例えば、会社、工場、学校等)が含まれるか否か(第4抽出基準)を判定する(S1005)。そして、判定結果が是である場合は(S1005:YES)、第4抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、行動拠点パラメータ(ここでは、滞在秒数)を用いて勤務地らしさを算出する(S1006)。
【0112】
行動拠点特定手段113は、第1抽出基準〜第4抽出基準に合致するメッシュ領域について勤務地らしさを示す値が算出されると、当該勤務地らしさが最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として決定する(S1007)。
【0113】
一方、第1抽出基準〜第4抽出基準を満たさない場合は(S1002:NO、S1003:NO、S1004:NO、S1005:NO)、行動拠点特定手段113は、勤務地メッシュ領域は不明と判定する。
【0114】
以上によれば、例えば、勤務地と自宅が同一メッシュグループに含まれるような場合にも、勤務地を適切に特定することができるようになる。なお、対象メッシュの抽出基準は、仕様や設計に応じて設定することができ、上述した第1抽出基準〜第4抽出基準については、抽出基準の削除、追加または変更が可能である。また、上記勤務地の確認処理は、勤務地と自宅との関係に限られず、一の行動拠点が他の行動拠点のメッシュグループに含まれる可能性がある場合に適用することができる。
【0115】
以上、本実施形態によれば、ユーザがGPS機能付き携帯端末を携帯するだけで、当該ユーザの行動拠点を自動的に設定することができるので、行動拠点設定のための各種情報登録作業などが不要となり、ユーザの利便性を向上することができる。また、測位回数、滞在秒数、滞在日数のうちの少なくとも2つ以上のパラメータを、行動拠点の内容に応じた優先順位に従って利用することにより、行動拠点らしさを算出しているので、行動拠点特定の精度を高めることが可能になる。
【0116】
[行動拠点の利用例]
以上のように設定された行動拠点の利用例について説明する。行動拠点の利用方法は、目的等に応じて決定することができ、その内容について特に限定はないが、例えば、所定のサービス提供装置は、ある施設に関連する情報をユーザに提供する場合に、当該施設とユーザの行動拠点との関係を考慮してから、提供する情報の内容を決定することができる。例えば、対象施設が、ユーザの自宅/勤務地メッシュ領域の周辺に位置する場合、又は、自宅/勤務地メッシュグループ内に位置する場合には、当該施設のセール情報、ランチ情報、不動産情報などを提供することができる。
【0117】
また、日常圏から自宅メッシュグループや勤務地メッシュグループを除いたメッシュグループ内のメッシュ領域を、第3行動拠点として「良く行くメッシュ領域」と特定し、この特定した「良く行くメッシュ領域」に位置する施設に関する情報(例:ゴルフ場、スキー場)から、ユーザの趣味(例:ゴルフ、スキー)を判別し、判別した趣味に関する情報を提供することもできる。
【0118】
さらに、特定した行動拠点メッシュグループや行動拠点メッシュ領域を利用して、ユーザの職業や属性などを判別することができる。例えば、勤務地メッシュグループが特定されたユーザは、会社勤め又は学生と判別し、勤務地メッシュグループが特定されなかったユーザは、主婦や自営業と判別することができる。また、勤務地メッシュ領域に大学が含まれる場合は、当該ユーザは大学生と判別し、勤務地メッシュグループがオフィス街に位置する場合は、当該ユーザは会社勤めと判別することができる。
【0119】
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0120】
(1)例えば、行動拠点らしさ算出手段112は、行動拠点らしさを示す値を、行動拠点パラメータの値に測位レベルに応じた係数を乗じることにより算出してもよい。測位レベルは、測位結果の誤差範囲を示すものであり、例えば、測位レベル3は「水平誤差<50m」、測位レベル2は「50m≦水平誤差<300m」、測位レベル1は「300m≦水平誤差」を示す。このように、測位レベルが低いほど誤差が大きくなるので、実際には測位情報が示すメッシュ領域にユーザがいない可能性がある。そこで、測位レベルが低いほど重みが小さくなるように係数を設定する(図11(C)参照)。そして、行動拠点メッシュグループ内のメッシュ領域毎に、式={(測位レベル1の測位回数×測位レベル1の係数×行動拠点パラメータ)+(測位レベル2の測位回数×測位レベル2の係数×行動拠点パラメータ)+・・・+(測位レベルnの測位回数×測位レベルnの係数×行動拠点パラメータ)}に従って集計を行い、集計結果を当該メッシュ領域の行動拠点らしさを示す値とする。これによれば、測位レベルを考慮して行動拠点らしさを示す値を算出することができるので、行動拠点メッシュ領域の特定精度をより向上させることが可能になる。なお、係数の設定には、全ての測位レベルの係数に1を設定する場合も含まれ、この場合には、測位レベルを考慮しないことと実質的に同じである。
(2)また、行動拠点らしさ算出手段112は、各行動拠点パラメータの値に優先順位が高いものほど大きな重みを付与して重み和を求め、行動拠点らしさを示す値として用いてもよい。
【0121】
(3)行動拠点パラメータの「滞在秒数」と「測位回数」を利用して、行動拠点の属性を判断することができる。ユーザが移動する場合にのみ測位情報を送信するように携帯端末20が構成されている場合、ユーザが動けば測位回数は多くなる一方、あまり動かない場合は測位回数は少なくなる。従って、あるメッシュ領域について、滞在秒数は少ないが測位回数は多いような場合、そのメッシュ領域は活動的な行動拠点(例えば、ショッピングモールなど)と想定することができる。他方、滞在秒数は多いが測位回数が少ないような場合は、そのメッシュ領域は非活動的な行動拠点(例えば、映画やコンサートなど)と想定することができる。
【0122】
(4)例えば、携帯端末20における現在位置の測位精度が低いと判断される場合には、第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(以下、「移動経路メッシュ領域」という。)の周辺に位置する1または複数のメッシュ領域を周辺メッシュ領域として設定し、当該周辺メッシュ領域に対しても測位点間時間を配分するように構成することができる。周辺メッシュ領域の設定は、設計や仕様に応じて適宜設定することができるが、例えば、第1測位点及び/又は第2測位点の測位精度が低いような場合は、第1メッシュ領域及び/又は第2メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を第1周辺メッシュ領域及び/又は第2周辺メッシュ領域として設定することができる。また、例えば、第1測位点及び第2測位点の双方の測位精度が低いような場合は、移動経路上の補完メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を補完周辺メッシュ領域として設定してもよい。配分補完手段108は、周辺メッシュ領域を設定した場合、例えば、上記実施形態にて説明した配分方法に従って算出される、当該周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ周辺領域)に対応する移動経路メッシュ領域(例:第1メッシュ領域)に対する配分滞在秒数を、当該移動経路メッシュ領域及び周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ領域及び第1メッシュ周辺領域)の双方に配分することができる。当該構成によれば、精度の低い測位点を受信した場合には、測位点周辺にも滞在秒数が配分される結果、日常圏の精度を高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0123】
10・・・行動拠点特定システム、20・・・携帯端末、101・・・主制御手段、102・・・通信手段、103・・・測位情報格納手段、104・・・基礎データ生成手段、105…メッシュデータ生成手段、106・・・日別メッシュ生成手段、107・・・測位回数集計手段、108・・・配分補完手段、109・・・期間別メッシュ生成手段、110・・・日常圏設定手段、111・・・メッシュグループ処理手段、112・・・行動拠点らしさ算出手段、113・・・行動拠点特定手段、114・・・測位情報DB、115・・・基礎データDB、116・・・日別メッシュDB、117・・・期間別メッシュDB、118・・・日常圏DB、119…行動拠点DB、201・・・主制御手段、202・・・通信手段、203・・・表示手段、204・・・操作手段、205・・・記憶手段、206・・・現在位置測位手段、207・・・測位情報送信手段、N・・・ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System :全地球測位システム)等を利用する情報処理技術に関し、特に、GPSを利用して測位した移動端末の測位情報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを利用した様々なサービスが提供されている。かかるサービスの一例として、下記特許文献1には、電子メールに関する情報と経路上の送信地点とを設定する手段と、車両の現在の自車位置を算出する手段と、算出された自車位置が前記設定された送信地点に到達したか否かを監視する手段と、自車位置が送信地点に到達した場合に、前記設定された電子メールを送信する送信手段とを有するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯端末、インターネット、ナビゲーションシステム等の急激な普及に伴い、様々なシーンでGPSの利用用途が拡大している。その結果、GPS機能を搭載した携帯端末の利用者間では、GPSを利用したサービスの利便性向上に対するニーズが、益々高まっている。例えば、携帯端末のGPS機能を利用したサービスの一例として、携帯端末の現在位置を定期的に測位し、当該測位した現在位置が、ユーザが予め設定した目的地に近づいた場合に、その旨をユーザに通知したり当該目的地に関連する情報を提供したりするサービスが知られている。
【0005】
ここで、ユーザが設定していない所定の施設や場所等についても、ユーザの現在位置に基づいて、関連情報を自動的に送信することが考えられる。しかし、この場合には、対象地近辺にいる全てのユーザが関連情報の送信対象となるところ、当該対象地とユーザの行動拠点との関係によっては、関連情報が有用になる場合もあれば不用になる場合もある。例えば、対象地が観光地である場合、観光目的で訪れたユーザに対して観光情報を送信することは、ユーザの利便性を高める一方、当該観光地に住んでいるユーザに対して観光情報を送信することは、ユーザの利便性を逆に損なってしまう。また、対象地がショッピングモールである場合、ショッピングモールの週末セール情報は、当該対象地近辺に自宅があるユーザにとっては有益になる一方、たまたま訪れたユーザには不要である可能性が高い。
【0006】
従って、このような問題を回避するために、ユーザの行動拠点(例えば、自宅、勤務地、学校、行きつけのお店、ショッピングセンター、ゴルフ場など)を、予めユーザ自身に設定させる方法が考えられる。しかし、そのような設定作業をユーザに要求することは、サービスの利便性に欠ける。また、行動拠点は変わり得るため、ユーザは、行動拠点が変わるたびに設定を変更しなければならず、作業が煩雑になりやすい。
【0007】
したがって、本発明は、ユーザの行動拠点を自動的に特定することができる行動拠点特定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する行動拠点らしさ算出手段と、前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値が所定の日常圏閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、前記設定された日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化し、当該グループ化されたメッシュグループ毎に、グループ別行動拠点パラメータを計算するグループ処理手段と、を備え、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記計算されたグループ別行動拠点パラメータに基づいて前記メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について行動拠点らしさを算出し、前記行動拠点特定手段は、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点メッシュ領域として特定することを特徴とする。
【0010】
また、前記ユーザの行動拠点が、当該ユーザの生活の本拠である第1行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには、第1優先順位を有する測位日数及び第2優先順位を有する滞在時間が設定され、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第1行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別測位日数が最大のメッシュグループを第1行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第1行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記測位日数及び前記滞在時間を各優先順位に従って使用することにより、第1行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする。
【0011】
また、前記ユーザの行動拠点が、ユーザが継続して滞在する第2行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する滞在時間及び第2優先順位を有する測位日数が設定され、前記行動拠点らしさ算出手段は、前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第2行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別滞在時間が最大のメッシュグループを第2行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第2行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記滞在時間及び前記測位日数を各優先順位に従って使用することにより、第2行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする。
【0012】
また、複数の行動拠点が特定される場合に、前記行動拠点特定手段は、特定された一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域が、過去に特定された他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域と一致する場合は、当該他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域を含むメッシュグループを除外したメッシュグループを対象に、前記一の行動拠点の行動拠点らしさを再度算出するように前記行動拠点らしさ算出手段を制御することを特徴とする。
【0013】
また、複数の行動拠点が特定される場合に、前記行動拠点らしさ判定手段は、一の行動拠点のメッシュグループが特定できる場合において、他の行動拠点のメッシュグループが特定できない場合は、前記一の行動拠点のメッシュグループに含まれる当該一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域以外のメッシュ領域を対象に、前記他の行動拠点の行動拠点らしさを算出することを特徴とする。
【0014】
また、前記メッシュデータ生成手段は、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする。
【0015】
また、前記配分手段は、前記測位点間時間が所定時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定距離未満である場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分することを特徴とする。
【0016】
また、前記配分手段は、前記測位点間時間が所定の時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定の距離未満でない場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しないことを特徴とする。
【0017】
また、前記配分手段は、前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の行動拠点特定システムは、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータのうち優先順位に従う少なくとも1の行動拠点パラメータの値が最も大きいメッシュ領域を、前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、行動拠点特定方法としても成立する。行動拠点特定方法は、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納するステップと、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成するステップと、前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するステップと、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出するステップと、前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとしても成立する。このプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0021】
また、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザの行動拠点を当該ユーザの移動に基づいて自動的に特定することができる行動拠点特定装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】行動拠点特定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】基礎データの一例を説明する図である。
【図3】日別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図4】測位点間の時間配分を説明する図である。
【図5】期間別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図6】日常圏の設定を説明する図である。
【図7】メッシュグループの一例を示す図である。
【図8】行動拠点メッシュグループ及び行動拠点メッシュの一例を説明する図である。
【図9】測位情報DB、基礎データDB、日別メッシュDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】期間別メッシュDBと日常圏DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図11】行動拠点DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図12】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図13】日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】日別メッシュデータ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】期間別メッシュデータ生成処理および日常圏設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】行動拠点特定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】自宅判定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】勤務地判定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図19】自宅判定確認及び勤務地判定確認を説明するための図である。
【図20】自宅判定確認処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図21】勤務地判定確認処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態の行動拠点特定システムは、端末からの測位情報を利用してユーザの日常生活圏(以下、「日常圏」という。)を自動的に設定し、この設定した日常圏の中から、ユーザの特定の行動拠点を特定する。日常圏の中からユーザの行動拠点を特定する方法としては、例えば、測位回数などを行動拠点パラメータとして利用することが考えられるところ、行動拠点パラメータが1種類のみでは、行動拠点特定の精度が悪いという問題がある。そこで、本願発明では、少なくとも2種類以上の行動拠点パラメータをその優先順位に応じて利用することにより行動拠点を特定することとし、これにより、行動拠点特定の精度を向上させている。以下、本実施形態では、ユーザの生活の本拠であり、ユーザとの結びつきが最も強いと想定される第1行動拠点(例えば、「自宅」)と、ユーザが継続して滞在するものの生活の本拠ほどその場所との結びつきが強くない第2行動拠点(例えば、「勤務地」や「学校」)を、それぞれ特定する場合について説明する。
【0025】
[1.行動拠点特定システムの構成]
図1は、本実施形態に係る行動拠点特定システムの概略構成の一例を示すブロック図である。行動拠点特定システム(行動拠点特定装置)10は、ネットワークNを介して携帯移動端末装置(以下、「携帯端末」という。)20と相互に接続されている。
【0026】
行動拠点特定システム10は、主制御手段101、通信手段102、測位情報格納手段103、基礎データ生成手段104、メッシュデータ生成手段105(日別メッシュ生成手段106(滞在秒数/測位回数集計手段107、配分補完手段108)、期間別メッシュ生成手段109を含む)、日常圏設定手段110、メッシュグループ処理手段111、行動拠点らしさ算出手段112、行動拠点特定手段113、測位情報DB114、基礎データDB115、日別メッシュDB116、期間別メッシュDB117、日常圏DB118、行動拠点DB119などの各種機能実現手段を主に備える。
【0027】
行動拠点特定システム10には、図示してはいないが、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のサーバ・コンピュータを適用することができ、例えば、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより、上記各機能実現手段として機能する。なお、行動拠点特定システム10は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0028】
主制御手段101は、行動拠点特定システム10の動作全体及び上述した各手段の動作を制御する。通信手段102は、ネットワークNを介して携帯端末20と通信することにより各種情報を送受信するためのインタフェースである。通信手段102は、携帯端末20から送信される測位情報を受け付ける受付手段としても機能する。
【0029】
測位情報格納手段103は、携帯端末20から送信される測位情報を測位情報DB114に格納する。測位情報については後述するが、携帯端末20の現在位置を測位した測位点(座標情報)と、当該測位点の測位時刻と、携帯端末20のユーザを一意的に識別するユーザ識別情報(ID)と、が含まれる。
【0030】
基礎データ生成手段104は、測位情報DB114に格納されている測位情報に基づいて、ユーザ毎かつ測位日毎に測位点及び測位時刻を地図の該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する。メッシュ領域とは、緯度経度に基づいて地図を網の目状に分割して得られる複数の分割領域であり、仕様や設計に応じて適宜分割領域のサイズを設定することができる(例えば、ユーザが頻繁に滞在するエリアを特定したい場合はサイズを大きく設定し、一方、ユーザが頻繁に訪れる店などを特定したい場合はサイズを小さく設定することができる)。該当するメッシュ領域とは、測位点の座標情報が属するメッシュ領域を意味する。図2は、測位情報DB114に格納されている測位情報に基づいて基礎データが生成される様子を説明する図である。同図には、ユーザ(Aさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に測位点及び測位時刻を対応付けた基礎データB1が該当日におけるユーザの行動軌跡として記載されている。なお、生成された基礎データは、基礎データDB115に格納される。
【0031】
図1に戻り、メッシュデータ生成手段105は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の測位日数、測位回数及びユーザの滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した少なくとも2つの行動拠点パラメータとを対応付けたメッシュデータを生成する。測位日数は、所定期間内に該当メッシュ領域で測位が行われた日数の合計(同一日は二重加算しない)であり、該当メッシュ領域にユーザが滞在した日数を示すものであるため、以下これを「滞在日数」という。測位回数は、所定期間内に該当メッシュ領域で測位が行われた回数の合計である。ユーザの滞在時間は、所定期間内に該当メッシュ領域にユーザが滞在した時間の合計である。本実施形態では、滞在時間を秒数にて表すため、以下これを「滞在秒数」ともいう。行動拠点パラメータには、特定する行動拠点の内容に応じて、滞在日数、測位回数および滞在秒数のうちの少なくとも2つの任意の組み合わせを設定することができるが、3つ全てを設定してもよいし、他の情報を追加してもよい。なお、メッシュデータには、日別メッシュデータと期間別メッシュデータとがあり、以下、これらについて説明する。
【0032】
日別メッシュ生成手段106は、ユーザ毎に、所定単位期間毎の各メッシュ領域における測位回数及び滞在秒数を表すデータとして、単位期間別メッシュデータを生成する。所定単位期間とは、メッシュデータを生成する最小単位期間であり、例えば、「1日」や「半日」など、仕様・設計に応じて適宜設定することができる。本実施形態では、所定単位期間に「1日」が設定されているため、以下、単位期間別メッシュデータを「日別メッシュデータ」という。図3は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて日別メッシュデータが生成される様子を説明する図である。同図には、ユーザ(Aさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に滞在秒数と測位回数を対応付けたメッシュデータM1が記載されている。なお、本実施形態ではメッシュ領域ごとに測位回数と滞在秒数を算出して対応づける場合について説明しているが、測位回数又は滞在秒数のみを算出して対応づけるようにしてもよい。生成された日別メッシュデータは、日別メッシュDB116に格納される。
【0033】
図1に戻り、日別メッシュ生成手段106は、具体的には、滞在秒数/測位回数集計手段107と、配分補完手段108とを有する。
【0034】
滞在秒数/測位回数集計手段107は、基礎データDB115に格納されている基礎データに基づいて、各メッシュ領域における測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在秒数を所定単位期間ごとに算出し、各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在秒数とを対応付ける。各メッシュ領域における測位回数は、該当メッシュ領域において測位が行われた回数を合計することにより算出する。各メッシュ領域における滞在秒数は、後述する配分補完手段108により該当メッシュ領域に配分された配分時間を合計することにより算出する。
【0035】
配分補完手段108は、メッシュ領域に対応付けられた測位点から、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点を選択する。第1測位点は移動前地点、第2測位点は移動後地点とも呼ばれる。次に、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの時間(以下、「測位点間時間」という。)と、第2測位点と第1測位点との間の距離(以下、「測位点間距離」という。)と、を算出する。そして、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて配分条件を決定し、当該決定した配分条件に従って、当該測位点間時間を第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(第1測位点の第1メッシュ領域と第2測位点の第2メッシュ領域を含む)に配分する。なお、配分には0時間を配分することも含まれ、この場合には、配分しないことと実質的に同じである。
【0036】
配分条件は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、携帯端末からの測位情報の送信条件や構成に応じて、以下のように配分条件を設定している。具体的には、本実施形態における携帯端末20は、所定の送信時間間隔(例:5分)で測位情報を行動拠点特定システム10へ送信し、ユーザが移動しない場合は、消費電力セーブ等の理由により測位情報を送信しないように構成されている。すなわち、ユーザが電波圏内にいる場合、携帯端末20からの測位情報は、ユーザが移動している場合にのみ所定の送信時間間隔で送信される。したがって、第1測位時刻と第2測位時刻間の測位点間時間から移動時間を除いた時間(以下、「移動時間減算済み時間」)は、移動前地点である第1測位点にユーザが滞在していた時間と推定することができるから、当該移動時間減算済み時間を、第1測位点のメッシュ領域に配分する。
【0037】
次に、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容(移動手段や移動経路)を推定できる場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がある場合)は、第1測位点から第2測位点への推定された移動経路(以下、「推定移動経路」という。)上に位置するメッシュ領域に、移動時間を略均等に配分する(第1配分条件)。すなわち、推定移動経路上のメッシュ領域について滞在秒数を補完する。一方、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容を推定できない場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がない場合)は、移動時間のメッシュ領域への配分は行わない(0時間を配分する)(第2配分条件)。すなわち、メッシュ領域への滞在秒数の補完は行われない。
【0038】
移動内容の推定可否を判断する方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、測位点間時間及び/又は測位点間距離が所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満である場合は、歩行などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができるとする。一方、所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満でない場合は、例えば地下鉄利用時などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができないとすることができる。
【0039】
また、移動時間の算出方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、携帯端末20の送信時間間隔を利用する方法や、測位点間距離と移動手段(例:電車、車、徒歩)に応じた所定時速より移動時間を計算する方法などがある。本実施形態では、第1配分条件の場合は、携帯端末20における測位情報の送信時間間隔(例:5分)を移動時間として設定する。また、第2配分条件の場合は、測位点間距離と予め設定した所定の時速(例:30km)とに基づいて第1測位点から第2測位点への移動時間を算出する。なお、所定の時速は、推定した移動手段などに応じて適宜設定することができ、例えば、第1配分条件については徒歩時速を利用して移動時間を算出するようにしてもよい。
【0040】
また、移動経路の特定方法も、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、第1測位点と第2測位点とを結んだ結線によって移動経路を表している。なお、図4(A)において結線は、直線で示されているが、結線は直線に限られず、例えば、道路、路線、建物などに応じて推定される任意の移動経路に沿った形状を有することができる。また、結線上に位置するメッシュ領域のうち、第1測位点と第2測位点のメッシュ領域以外のメッシュ領域を、補完メッシュ領域という。
【0041】
なお、日別メッシュ生成手段106では、測位情報を所定単位期間毎に管理しているので、第1測位点と第2測位点が日をまたぐ場合(例えば、基準時刻(例:0時/24時)をまたぐ場合)がある。すなわち、当該単位期間において最初に測位された測位点(以下、「最初測位点」という。)と最後に測位された測位点(以下、「最後測位点」という。)については、組み合わせるべき移動前測位点又は移動後測位点が他の日に属する。そこで、本実施形態では、第3配分条件として、最初測位点については、対応する移動前測位点が他の日に属するため、基準時刻(例:0時)から最初測位点の測位時刻までの時間を滞在秒数として当該最初測位点のメッシュ領域に配分する。また、最後測位点については、対応する移動後測位点が他の日に属するため、当該最後測位点の測位時刻から基準時刻(例:24時)までの時間を当該最後測位点のメッシュ領域に配分する。なお、第3配分条件では、メッシュ領域に配分する最大時間を設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では最大6時間が設定されている。
【0042】
図4(A)は、第1配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、第1測位点と第2測位点との間の測位点間時間(9:40−9:30=10分)から移動時間(5分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(5分(300秒))を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。次に、第1測位点と第2測位点間のメッシュ領域に滞在秒数を補完すべく、第1測位点と第2測位点との結線上に位置する6つのメッシュ領域に移動時間(5分)を略均等(50秒ずつ)に配分している。
【0043】
図4(B)は、第2配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、測位点間距離(10km)と所定の時速(例:30km/時)より第1測位点と第2測位点との間の移動時間(20分)を算出し、測位点間時間(11:30‐9:30=120分)より当該移動時間(20分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(100分)を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。なお、ここでは、第1測位点と第2測位点間に位置するメッシュ領域への補完は行われないので、移動時間は配分されていない。
【0044】
図4(C)は、第3配分条件に応じて滞在秒数を配分する様子を説明する図である。同図では、最初測位点(測位時刻7:30)については、最大時間である6時間が配分されており、最後測位点(測位時刻23:30)については、当該測位時刻から0時までの30分が配分されている。
【0045】
次に、図1に戻り、期間別メッシュ生成手段109について説明する。期間別メッシュ生成手段109は、日別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数を所定の集計期間ごとに集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在秒数、滞在日数を対応付けた集計期間別メッシュデータ(以下、「期間別メッシュデータ」という。)を生成する。所定の集計期間は、設計や仕様に応じて適宜設定することができ、その期間内容に特に限定はないが、例えば、直近7日、直近30日、直近180月、直近365日などの集計期間を設定することができる。また、複数の集計期間を同時に設定してもよい。なお、期間別メッシュデータが既に存在する場合は、新たに追加する追加対象日(例:最新測位日)と減算対象日(例:既存集計期間内の最も古い測位日)の日別メッシュデータを日別メッシュDB116より読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を加算する一方、メッシュ領域毎に当該減算対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を減算する。図5は、日別メッシュデータから期間別メッシュデータを生成する様子を説明する図である。同図は、日別メッシュデータM5から生成された期間別メッシュデータM6において、メッシュ領域ごとに滞在秒数、測位回数、滞在日数が関連付けられている様子を示している。
【0046】
日常圏設定手段110は、期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数及び滞在回数のうちの少なくとも2つ以上の組合せが、所定の閾値以上であるメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する。
【0047】
図6は、期間別メッシュデータより日常圏を設定する様子を説明する図である。同図では、直近30日のメッシュデータM7から「滞在時間が300分以上かつ滞在日数が3日以上」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって、日常圏を設定する場合や、直近7日のメッシュデータM8から「滞在時間が60分以上かつ滞在日数が2日以上」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって日常圏を設定する場合を示している。同図に示すように、日常圏には、ユーザの主な行動拠点である自宅、勤務地、通勤経路上の乗換駅路、行きつけの店など様々な場所が含まれ得る。
【0048】
図1に戻り、メッシュグループ処理手段111について説明する。メッシュグループ処理手段111は、メッシュグループ化処理とグループ別計算処理を実行する。メッシュグループ化処理は、日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域同士をグループ化する。携帯端末20のGPS測位精度が低い場合には、実際にユーザが位置するメッシュ領域ではなく、これに近接するメッシュ領域が現在位置として測位される可能性がある。そのため、本実施形態では、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグルーピングして処理することとしている。「所定の接続関係」は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、例えば、メッシュ領域の少なくとも一部が接している状態(異なるメッシュ領域の頂点同士が接する場合、メッシュ領域の辺同士が接する場合、又はその両方などを含む)と定義することができるが、これに限られず、所定数(例えば、1)の非日常圏メッシュが間に挟まれる場合も含めることができる。なお、グループ化されたメッシュ領域を「メッシュグループ」という。なお、所定の接続関係を満たすメッシュ領域が存在しない場合は、当該メッシュ領域を一メッシュグループとして取り扱う。図7(A)は、メッシュ領域のグループ化を説明するための図である。同図(A)において、メッシュデータM11は、グルーピング前の日常圏を示し、メッシュデータM12は、グルーピング後の日常圏を示す。
【0049】
グループ別計算処理は、メッシュグループ毎に、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数、グループ別測位回数を算出する。グループ別滞在日数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在日数を総計したもの(但し、重複日は二重加算しない)、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在日数の中の最大の滞在日数とすることができる。グループ別滞在秒数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在秒数を総計したもの、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の滞在秒数の中の最大の滞在秒数とすることができる。グループ別測位回数は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の測位回数を総計したもの、又は、同一メッシュグループ内の全メッシュ領域の測位回数の中の最大の測位回数とすることができる。図7(B)は、グループ別滞在秒数とグループ別滞在日数が計算される一例を示している。
【0050】
次に、行動拠点らしさ算出手段112は、メッシュグループが所定の算出条件を満たすことを条件に、当該メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、この特定した行動拠点グループに含まれるメッシュ領域について、それぞれユーザの特定の行動拠点である確からしさ(以下、「行動拠点らしさ」という。)を算出する。具体的には、まず、メッシュグループの中に所定の算出条件を満たすメッシュグループがあるか否かを判定し、判定結果が否である場合は、原則、当該ユーザの行動拠点は不明であるとして処理を終了する。所定の算出条件の詳細については、後述する。他方、判定結果が是である場合は、行動拠点メッシュグループの特定処理を実行する。行動拠点メッシュグループの特定処理は、メッシュグループの中から、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数又はグループ別測位回数が、最大のメッシュグループを行動拠点メッシュグループとして特定する。例えば、行動拠点が、「自宅」の場合は、「グループ別滞在日数」が最大のメッシュグループを「自宅メッシュグループ」として選択する。他方、行動拠点が、「勤務地」の場合は、「グループ別滞在秒数」が最大のメッシュグループを「勤務地メッシュグループ」として選択する。
【0051】
行動拠点メッシュグループが特定されると、行動拠点らしさ算出手段112は、当該行動拠点メッシュグループに含まれるメッシュ領域について、滞在日数、滞在秒数、測位回数のうちの少なくとも2つ(行動拠点パラメータ)を各優先順位に従って用いることにより、行動拠点らしさを算出する。例えば、行動拠点が「自宅」である場合は、「滞在日数」(第1優先順位)を用いて自宅らしさを算出し、これにより自宅が特定できない場合は、「滞在秒数」(第2優先順位)を用いて自宅らしさを算出する。他方、行動拠点が「勤務地」である場合は、「滞在秒数」(第1優先順位)を用いて勤務地らしさを算出し、これにより勤務地が特定できない場合は、「滞在日数」(第2優先順位)を用いて勤務地らしさを算出する。「自宅」の場合に「滞在日数」が「滞在秒数」よりも優先順位が高く設定されているのは、土日祝日を含めて出掛け先に関わらず出発地点は自宅が多いため、滞在日数は最大になると想定されるからである。他方、「勤務地」の場合に「滞在秒数」が「滞在日数」よりも優先順位が高く設定されているのは、自宅の最寄駅や乗換駅などは、土日祝日も利用されて勤務地よりも滞在日数が多くなる可能性がある一方、滞在秒数は勤務地のほうが大きくなると想定されるからである。なお、行動拠点パラメータを用いた行動拠点らしさの算出方法は、仕様や設計に応じて設定することができるが、ここでは、行動拠点パラメータの値を行動拠点らしさを示す値とする。また、自宅及び勤務地の特定処理について、「測位回数」(第3優先順位)を追加してもよい。
【0052】
行動拠点特定手段113は、行動拠点らしさ算出手段112によって計算された行動拠点らしさに基づいて、ユーザの行動拠点であるメッシュ領域を特定する。例えば、自宅らしさが最も高いメッシュ領域をユーザの「自宅」と特定し、勤務地らしさが最も高いメッシュ領域をユーザの「勤務地」と特定することができる。図8(A)は、メッシュグループの中から自宅メッシュグループが特定され、当該自宅メッシュグループ内のメッシュ領域について自宅らしさが計算され、自宅らしさが最大のメッシュ領域が、自宅メッシュとして特定される一例を示している。図8(B)は、メッシュグループの中から勤務地メッシュグループが特定され、当該勤務地メッシュグループ内のメッシュ領域について勤務地らしさが計算され、勤務地らしさが最大のメッシュ領域が、勤務地メッシュとして特定される一例を示している。
【0053】
次に、各データベースの構造について説明する。
【0054】
測位情報DB114は、携帯端末20から送信される測位情報を格納する。図9(A)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、測位情報DB114には、「測位時刻」、「ユーザID」、「緯度」、「経度」などのデータが測位情報の履歴として対応付けて格納されている。
【0055】
基礎データDB115は、基礎データ生成手段104が生成した基礎データを格納する。図9(B)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、基礎データDB115には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「測位時刻」などのデータが対応付けて格納されている。なお、「メッシュ番号」には、メッシュ領域を一意的に識別する識別情報が格納される。
【0056】
日別メッシュDB116は、日別メッシュ生成手段106が生成した日別メッシュデータを格納する。図9(C)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、日別メッシュDB116には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「滞在秒数」「測位回数」などのデータが対応付けて格納されている。
【0057】
期間別メッシュDB117は、期間別メッシュ生成手段109が生成した期間別メッシュデータを格納する。図10(A)は、そのデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、期間別メッシュDB117には、「ユーザID」、「対象期間」、「メッシュ番号」、「滞在秒数合計」、「測位回数合計」、「滞在日数合計」などのデータが対応付けて格納されている。
【0058】
日常圏DB118は、日常圏設定に関するデータを格納するものであり、具体的には、日常圏設定の際に使用する日常圏条件と、設定された日常圏のデータとを含む。
【0059】
図10(B)は、日常圏DB118に含まれる日常圏条件の一例を示す図である。日常圏条件には、仕様設計に応じた内容を設定することができ、特に限定はないが、同図では、日常圏の種類と条件が対応付けて格納されている。具体的には、日常圏Aには、「対象集計期間」、「滞在日数」、「滞在分数」が設定され、日常圏Bには、「対象集計期間」、「測位日数」、「滞在分数」及び「測位回数」が設定され、日常圏Cには、「対象集計期間」と「滞在日数」が設定されている。さらに、各項目については、日常圏の種類ごとに任意の期間と、閾値としての日数、時間、回数が設定されている。同図に示すように、日常圏の条件は、抽出したい日常圏の種類に応じて設定することができる。例えば、滞在日数を重視して滞在秒数や測位回数を考慮しない場合は、通勤経路を主とした日常圏を特定することが可能であり、滞在秒数を重視して滞在日数を考慮しない場合は、訪れる回数は少ないが長居する場所(例:実家)を含む日常圏などを特定することが可能である。また、対象集計期間に長期間を設定すれば、長期旅行や出張などにいった場合に日常圏がなくなることを防止することができる一方、対象集計期間に短期間を設定すれば、日常圏を容易に特定することが可能である。
【0060】
図10(C)は、日常圏DB118に含まれるユーザの日常圏の一例を示す図である。同図では、ユーザIDごとに、「日常圏の種類」と「メッシュ番号」が対応づけて格納されている。同図によれば、日常圏の種類によって、設定された日常圏のメッシュ番号が異なることがわかる。
【0061】
行動拠点DB119は、行動拠点特定処理に関するデータを格納するものであり、図11に示すように、行動拠点らしさの算出条件を格納する算出条件テーブルと、ユーザ毎に特定された行動拠点に関するデータを格納する行動拠点データと、行動拠点らしさを算出する際に使用される測位レベル毎の係数を格納する係数テーブルを含む。
【0062】
算出条件テーブルには、行動拠点の特性に応じた条件を設定することができ、図11(A)では、一例として、自宅の場合は、「グループ別滞在日数が所定日数(n日)以上であり、かつ、グループ別滞在秒数が所定秒数(m秒)以上である」ことが設定され、勤務地の場合、「グループ別滞在秒数が所定日数(x秒数)以上であり、かつ、グループ別滞在日数が所定日数(y日)以上である」ことが設定されている。nは最低在宅日数(例:nは20日)、mは最低在宅時間(例:mは432000秒=15日×8時間×60分×60秒)、xは最低勤務日数(例:xは234000秒=13日×5時間×60分×60秒)、yは最低勤務時間(例:yは13日)である。
【0063】
行動拠点データには、図11(B)に示すように、「ユーザID」、「行動拠点の種類」、当該行動拠点の「メッシュ番号」、当該行動拠点を特定した「日付」などのデータが、行動拠点の履歴として格納される。
【0064】
係数テーブルには、図11(C)に示すように、「測位レベル」と「係数」とが対応づけて格納される。測位レベルのレベル数及び係数の値は、仕様や設計に応じて設定することができる。なお、測位レベルを用いた行動拠点らしさの算出処理については、その他の実施形態において説明する。
【0065】
[2.携帯端末の構成]
図1に戻り、携帯端末20について説明する。携帯端末20は、例えば、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータなどのGPSを利用して現在位置を測位した測位情報を所定時間間隔でアップロードする機能を備えた従来の端末装置を適用することができる。なお、図1では1つの携帯端末20を記載しているが、利用形態に応じて複数の携帯端末20を行動拠点特定システム10と接続することができる。
【0066】
図12に示すように、携帯端末20は、主制御手段201、通信手段202、表示手段203、操作手段204、記憶手段205、現在位置測位手段206、測位情報送信手段207などの各種機能実現手段をおもに備える。
【0067】
主制御手段201は、図示しないCPU、ROMやRAM等のメモリを含むプロセッサで構成されており、ROMに記憶された所定のプログラムをCPUが実行することにより携帯端末20の各部の動作を制御する。通信手段202は、ネットワークNを介して行動拠点特定システム10との間で各種情報を送受信するためのインタフェースである。表示手段203は、文字や画像等の情報を表示するディスプレイであり、操作手段204は、ユーザからの操作指示を受け付けるボタンやタッチパネルである。また、記憶手段205は、各種プログラムやデータを記憶する記憶装置としてのメモリである。
【0068】
現在位置測位手段206は、例えば、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を所定の受信間隔で受信し処理することによって携帯端末20の現在位置(緯度・経度)を測位する。
【0069】
測位情報送信手段207は、現在位置測位手段206が測位した測位点および測位時刻と、当該携帯端末20を保有するユーザのユーザIDとを含む測位情報を、行動拠点特定システム10へ送信する。なお、測位情報の送信は、仕様・設計に応じて適宜設定することができるが、上述したように、本実施形態では、ユーザが移動している場合には、所定の送信間隔にしたがって送信するように構成されている。ユーザが移動しているか否かは、例えば図示しない加速度センサを用いて従来技術を適用することにより判断することができる。
【0070】
ネットワークNは、行動拠点特定システム10と携帯端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0071】
[3.行動圏特定処理]
次に、上記のように構成される行動拠点特定システム10の動作の概要について、図13〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0072】
[3−1.日常圏設定処理]
最初に、日常圏設定処理について説明する。図13は、日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。行動拠点特定システム10は、携帯端末20から所定送信間隔で送信される測位情報(測位点、測位時刻、ユーザID)を受信すると、当該受信した測位情報を測位情報DB114に格納する(S100)。これにより、ユーザの移動に応じた測位情報の履歴が測位情報DB114に格納される(図3(A)参照)。
【0073】
行動拠点特定システム10は、測位情報DB114の測位情報をユーザ別日別に時系列に並び替え、ユーザ別測位日別に、測位点及び測位時刻を該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する(S200)(図6参照)。生成した基礎データを、基礎データDB115に格納する(図3(B)参照)。
【0074】
行動拠点特定システム10は、生成された基礎データに基づいて、ユーザ毎に所定単位期間(例:1日)毎の各メッシュ領域における測位回数及びユーザの滞在秒数を表す日別メッシュデータを生成する(S300)。生成した日別メッシュデータを、日別メッシュDB116に格納する(図4(A)、図7参照)。なお、日別メッシュデータの生成処理の詳細については、後述する。
【0075】
行動拠点特定システム10は、生成された日別メッシュデータに基づいて所定の集計期間における各メッシュ領域の測位回数、滞在秒数、滞在日数を集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在秒数、滞在日数を対応付けた期間別メッシュデータを生成する(S400)。生成した期間別メッシュデータを、期間別メッシュDB117に格納する(図10参照)。
【0076】
行動拠点特定システム10は、期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在秒数及び滞在回数のうちのいずれか1つ又はこれら2つ以上の任意の組合せが、所定の日常圏条件を満たすメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する(S500)。生成した日常圏データを、日常圏DB118に格納する(図4(B)(C)、図11参照)。
【0077】
[3−1−1.日別メッシュデータ生成処理]
次に、図14を参照しながら日別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する。まず、行動拠点特定システム10は、基礎データに基づいて、メッシュ領域上の測位点から、例えば時系列に従って、移動前測位点の第1測位点と移動後測位点の第2測位点との組を特定し、当該組を特定できた場合は(S301:YES)、第1配分条件または第2配分条件を適用するためにステップ302に進み、当該組を特定できなかった場合は(S301:NO)、第3配分条件を適用するためにステップ309へ進む。
【0078】
行動拠点特定システム10は、ステップ302へ進んだ場合、第1測位点と第2測位点間の測位点間距離を算出し、第1測位点の第1測位時刻と第2測位点の第2測位時刻間の測位点間時刻を算出する(S302)。
【0079】
行動拠点特定システム10は、配分条件の一例として、算出した測位点間距離が所定基準距離未満であり、かつ、算出した測位点間時間が所定基準時間未満であるか否かを判断し(S303)、判断結果が是である場合は、第1配分条件を適用するためにステップ304へ進み、判断結果が否である場合は、第2配分条件を適用するためにステップ307へ進む。
【0080】
行動拠点特定システム10は、ステップ304へ進んだ場合、携帯端末における測位情報の送信時間間隔を移動時間に設定する(S304)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在秒数として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S305)。次に、第1測位点と第2測位点の結線上に位置する1または複数のメッシュ領域に対して、移動時間を配分滞在秒数として略均等に配分する(S306)。これにより、第1メッシュ領域、第2メッシュ領域および補完メッシュ領域に対して配分滞在秒数が適切に配分される(図8(A)参照)。
【0081】
一方、行動拠点特定システム10は、ステップ307へ進んだ場合、測位点間距離と、所定の時速情報とに基づいて、移動時間を算出する(S307)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在秒数として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S308)。なお、第2測位点が属する第2メッシュ領域や他のメッシュ領域への配分滞在秒数の配分は行わない。これにより、第1メッシュ領域に対して配分滞在秒数が適切に配分される(図8(B)参照)。
【0082】
なお、行動拠点特定システム10は、ステップS301において判断結果が否であるため、ステップ309へ進んだ場合、対象測位点が該当日の最初に測位された最初測位点が最後に測位された最後測位点あるかを判断し、最初測定点である場合は、基準時である0時から対象測位点の測位時刻までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S310)。一方、対象測位点が最後測位点である場合は、対象測位点の測位時刻から基準時である24時までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S311)。これにより、最初測位点及び最後測位点のメッシュ領域に対しても配分滞在秒数が適切に配分される(図9参照)。
【0083】
行動拠点特定システム10は、対象メッシュ領域の滞在秒数を当該メッシュ領域に配分された配分滞在秒数に基づいて算出し、当該メッシュ領域の測位回数を当該メッシュ領域において測位点が測位された回数に基づいて算出する(S312)。なお、補完メッシュ領域については、滞在秒数は加算されるが、測位点は加算されない。
【0084】
次に、行動拠点特定システム10は、次に処理すべき測位点が存在するか否かを判断し、次に処理すべき測位点が存在する場合は(S313:YES)、ステップS301に戻り、上記処理を繰り返す。一方、次に処理すべき測位点が存在しない場合は、処理を終了する(S313:NO)。
【0085】
[3−1−2.期間別メッシュデータ生成処理]
次に、図15(A)を参照しながら期間別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する(図10参照)。行動拠点特定システム10は、対象集計期間の期間別メッシュデータが期間別メッシュDB117に存在するか否かを判断し、既に生成されている場合は(S401:YES)、ステップS402に進み、未だ生成されていない場合は(S401:NO)、ステップS403に進む。
【0086】
行動拠点特定システム10は、ステップS402に進んだ場合は、期間別メッシュDB117より既存の期間別メッシュデータを読み出し、日別メッシュDB116より追加対象日と減算対象日の日別メッシュデータを読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を加算する一方、減算対象日の滞在秒数、測位回数、滞在日数を減算する(S402)。
【0087】
行動拠点特定システム10は、ステップS403に進んだ場合は、日別メッシュDB116より対象集計期間分の日別メッシュデータを読み出し、対象集計期間分の滞在秒数、測位回数、滞在日数を集計する(S403)。
【0088】
行動拠点特定システム10は、生成した期間別メッシュデータを期間別メッシュDB117に格納する(S404)。
【0089】
[3−1−3.日常圏の設定処理]
次に、図15(B)を参照しながら日常圏の設定処理の流れについて説明する(図11参照)。行動拠点特定システム10は、日常圏DB118から対象となる日常圏の種類の日常圏条件を参照し(S501)、期間別メッシュDB117から該当する期間別メッシュデータを読み出すと、参照した日常圏条件に合致するメッシュ領域を抽出し、日常圏として設定する(S502)。行動拠点特定システム10は、設定した日常圏の種類とメッシュ番号とを対応付けて日常圏DB118に格納する(S503)。
【0090】
[3−2.行動拠点特定処理]
次に、以上のように設定された日常圏を使用して、ユーザの行動拠点を特定する行動拠点特定処理について説明する。ここでは、一例として、第1行動拠点として「自宅」、第2行動拠点として「勤務地」を特定する場合を例に説明する。図16は、行動拠点特定処理の全体の流れを示している。
【0091】
すなわち、行動拠点特定システム10は、日常圏に含まれるメッシュ領域(以下、「日常圏メッシュ」という。)の中から、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化して、メッシュグループを生成する(S1000:図7(A)参照)。次に、各メッシュグループ内の各メッシュ領域について、グループ別滞在日数、グループ別滞在秒数、グループ別測位回数を算出する(S1010:図7(B)参照)。
【0092】
そして、第1行動拠点として、該当するメッシュ領域について自宅らしさの算出処理を実行し、自宅メッシュ領域の特定処理を実行する(S1020)。次に、第2行動拠点として、該当するメッシュ領域について勤務地らしさの算出処理を実行し、勤務地メッシュ領域の特定処理を実行する(S1021)。これらの処理の詳細については、後述する。
【0093】
[3−2−1.自宅メッシュ領域特定処理]
図17は、自宅メッシュ領域特定処理の全体の流れを示している。行動拠点らしさ算出手段112は、行動拠点DB119より自宅算出条件を参照し(S701)、生成されたメッシュグループのうち当該自宅算出条件(例:グループ別滞在日数≧最低在宅日数n、かつ、グループ別滞在秒数≧最低在宅秒数m)を満たすメッシュグループがあるか否かを判定する(S702)。判定結果が否である場合(S702:NO)、当該ユーザについては、自宅メッシュ領域が不明と判断する(S703)。
【0094】
他方、判断結果が是である場合(S702:YES)、自宅算出条件に合致するメッシュグループの中から、「グループ別滞在日数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして特定する(S704)。なお、最大滞在日数の自宅メッシュグループが複数特定された場合は(S705:YES)、「グループ別滞在秒数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして選択する(S706)。さらに、最大滞在秒数の自宅メッシュグループが複数特定された場合は(S707:YES)、「グループ別測位回数」が最も大きいメッシュグループを自宅メッシュグループとして選択する(S708)。
【0095】
自宅メッシュグループが特定されると、行動拠点らしさ算出手段112は、当該自宅メッシュグループ内の各メッシュについて、行動拠点パラメータを用いて自宅らしさを示す値を算出する。ここでは、行動拠点パラメータに「滞在日数」(第1優先順位)、「滞在秒数」(第2優先順位)、「測位回数」(第3優先順位)が優先順位とともに設定されている。よって、まず、各メッシュ領域の「滞在日数」を用いて自宅らしさを示す値を算出する(S709)。
【0096】
自宅メッシュグループ内の全メッシュ領域について自宅らしさを示す値が算出されると、行動拠点特定手段113は、当該自宅らしさを示す値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として決定する(S710)。なお、最大滞在日数の自宅メッシュ領域が複数特定された場合は(S711:YES)、第2優先順位である「滞在秒数」に基づいて自宅らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として選択する(S712)。さらに、最大滞在秒数の自宅メッシュ領域が複数特定された場合は(S713:YES)、第3優先順位である「測位回数」に基づいて自宅らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を自宅メッシュ領域として選択する(S714)。
【0097】
ユーザの自宅メッシュ領域が決定されると、行動拠点特定手段113は、所定の自宅確認処理を実行した後(S715)、当該ユーザと自宅メッシュ領域のメッシュ番号とを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S716)。なお、自宅確認処理の詳細については、後述する。以上の処理により、日常圏の中からユーザの自宅メッシュ領域が特定される。
【0098】
[3−2−2.勤務地メッシュ領域特定処理]
図18は、勤務地メッシュ領域特定処理の全体の流れを示している。行動拠点らしさ算出手段112は、対象メッシュグループから自宅メッシュグループを除き、行動拠点DB119より勤務地算出条件を参照する(S801)。そして、自宅メッシュグループ除外後の対象メッシュグループのうち、当該勤務地算出条件(例:グループ別滞在日数≧最低勤務日数x、かつ、グループ別滞在秒数≧最低勤務秒数y)を満たすメッシュグループがあるか否かを判定する(S802)。
【0099】
判断結果が是である場合(S802:YES)、勤務地算出条件に合致するメッシュグループの中から、「グループ別滞在秒数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして特定する(S804)。なお、最大滞在秒数の勤務地メッシュグループが複数特定された場合は(S805:YES)、「グループ別滞在日数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして選択する(S806)。さらに、最大滞在日数の勤務地メッシュグループが複数特定された場合は(S807:YES)、「グループ別測位回数」が最も大きいメッシュグループを勤務地メッシュグループとして選択する(S808)。
【0100】
勤務地メッシュグループが特定されると、当該勤務地メッシュグループ内の各メッシュについて、行動拠点パラメータを用いて勤務地らしさを示す値を算出する。ここでは、行動拠点パラメータに「滞在秒数」(第1優先順位)、「滞在日数」(第2優先順位)、「測位回数」(第3優先順位)が優先順位とともに設定されている。よって、まず、各メッシュ領域の「滞在秒数」を用いて勤務地らしさを示す値を算出する(S809)。
【0101】
勤務地メッシュグループ内の全メッシュ領域について勤務地らしさを示す値が算出されると、行動拠点特定手段113は、当該勤務地らしさを示す値が最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として決定する(S810)。なお、最大滞在秒数の勤務地メッシュ領域が複数特定された場合は(S811:YES)、第2優先順位である「滞在日数」を行動拠点パラメータとして勤務地らしさを示す値を算出し、当該値が最大のメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として選択する(S812)。さらに、最大滞在日数の勤務地メッシュ領域が複数特定された場合は(S813:YES)、第3優先順位である「測位回数」を行動拠点パラメータとして勤務地らしさを示す値を算出し、当該値が最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として選択する(S814)。
【0102】
ユーザの勤務地メッシュ領域が決定されると、行動拠点特定手段113は、当該ユーザと勤務地メッシュ領域のIDとを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S812)。なお、ステップS802において勤務地算出条件を満たすメッシュグループがないと判定された場合(S802:NO)、行動拠点らしさ算出手段112は、所定の勤務地確認処理を実行し(S813)、勤務地確認処理によっても勤務地が不明と判定された場合は(S814:NO)、当該ユーザについては、勤務地メッシュ領域が不明と判断する(S815)。他方、勤務地確認処理によって勤務地があると判定された場合は(S814:YES)、ステップ812へ移行して当該ユーザと勤務地メッシュ領域のメッシュ番号とを関連づけて行動拠点DB119へ格納する(S812)。以上の処理により、日常圏の中からユーザの勤務地メッシュ領域が特定される。
【0103】
[3−2−3.自宅確認処理]
次に、自宅確認処理について説明する。例えば、ユーザが引越をしたばかりのような場合、滞在日数は、引越前の自宅と引越後の自宅を含むメッシュ領域に分散される可能性がある(図19(A)参照)。その結果、勤務地を含むメッシュ領域の滞在日数が引越後の自宅を含むメッシュ領域の滞在日数よりも大きくなり、勤務地が自宅として、引越後の自宅が勤務地として判定される可能性がある。従って、本実施形態では、このような行動拠点の変化をも考慮して、適切のユーザの行動拠点を特定するために、上述の自宅判定処理の結果を再確認する確認処理を設けている。図20は、自宅確認処理の全体の流れを示している。
【0104】
行動拠点特定手段113は、自宅メッシュ領域が特定されると(図17:S711)、自宅確認処理を実行する。すなわち、行動拠点DB119から、過去に特定された勤務地メッシュ領域であって所定の参照条件に合致する勤務地メッシュ領域(以下、「参照勤務地メッシュ領域」という。)のメッシュ番号を参照し、今回特定した自宅メッシュ領域のメッシュ番号と参照勤務地メッシュ領域のメッシュ番号とが一致するか否かを判断する(S901)。所定の参照条件には、例えば、「前回特定された勤務地メッシュ領域」又は「直近所定回数以上連続して特定された勤務地メッシュ領域」などの内容を設定することができる。
【0105】
行動拠点特定手段113は、判断結果が否(=不一致)の場合は、処理を終了し、図17のステップS713へ移行する(S902:NO)。一方、判断結果が是(=一致)の場合は、勤務地が自宅として誤って判定されたものとして、参照勤務地メッシュ領域を今回の勤務地メッシュ領域として決定する(S903)。そして、対象メッシュグループから参照勤務地メッシュ領域が含まれるメッシュグループを除外し、除外後の対象メッシュグループについて自宅メッシュ領域特定処理が再実行されるように、図17のステップS701へ移行する(S904)。
【0106】
以上によれば、引っ越しなどにより勤務地が自宅として誤って判定された場合であっても、その誤りが検出されて自宅メッシュ領域の特定処理が再実行されるので、自宅と勤務地を適切に決定することができるようになる。なお、上記自宅の確認処理は、勤務地を自宅と誤判定する場合に限られず、一の行動拠点を他の行動拠点として誤判定する可能性がある場合に適用することができる。
【0107】
[3−2−4.勤務地確認処理]
次に、勤務地確認処理について説明する。例えば、ユーザの勤務地が自宅の近くに位置している場合、勤務地のメッシュ領域が、自宅メッシュグループに含まれる可能性があるところ、上述の勤務地メッシュ領域特定処理は、自宅メッシュグループを対象外としているため、勤務地メッシュ領域が特定されない場合がある(図19(B)参照)。従って、本実施形態では、このような自宅と勤務地との位置関係を考慮して、ユーザの勤務地が存在するか否かを再確認する確認処理を設けている。
【0108】
行動拠点らしさ算出手段112は、勤務地算出条件に合致するメッシュグループが存在しないために勤務地メッシュ領域は不明と判定した場合(図18のS812:NO)、勤務地確認処理を実行する。図21は、勤務地確認処理の全体の流れを示している。
【0109】
まず、行動拠点らしさ算出手段112は、自宅メッシュグループ内の自宅メッシュ領域以外のメッシュ領域を、対象メッシュ領域に設定する(S1001)。そして、対象メッシュ領域が、所定の滞在日数、滞在秒数、測位回数を満たしているか否か(第1抽出基準)を判定する(S1002)。
【0110】
判定結果が是である場合は(S1002:YES)、第1抽出基準を満たす対象メッシュ領域が、自宅メッシュ領域から所定距離離れているか否か(第2抽出基準)を判定する(S1003)。そして、判定結果が是である場合は(S1003:YES)、第2抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、対象メッシュ領域と自宅メッシュ領域の滞在日数の差、滞在秒数の差、測位回数の差が、所定の閾値であるか否か(第3抽出基準)を満たしているか否かを判定する(S1004)。
【0111】
そして、判定結果が是である場合は(S1004:YES)、第3抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、特定施設(例えば、会社、工場、学校等)が含まれるか否か(第4抽出基準)を判定する(S1005)。そして、判定結果が是である場合は(S1005:YES)、第4抽出基準を満たす対象メッシュ領域について、行動拠点パラメータ(ここでは、滞在秒数)を用いて勤務地らしさを算出する(S1006)。
【0112】
行動拠点特定手段113は、第1抽出基準〜第4抽出基準に合致するメッシュ領域について勤務地らしさを示す値が算出されると、当該勤務地らしさが最も大きいメッシュ領域を勤務地メッシュ領域として決定する(S1007)。
【0113】
一方、第1抽出基準〜第4抽出基準を満たさない場合は(S1002:NO、S1003:NO、S1004:NO、S1005:NO)、行動拠点特定手段113は、勤務地メッシュ領域は不明と判定する。
【0114】
以上によれば、例えば、勤務地と自宅が同一メッシュグループに含まれるような場合にも、勤務地を適切に特定することができるようになる。なお、対象メッシュの抽出基準は、仕様や設計に応じて設定することができ、上述した第1抽出基準〜第4抽出基準については、抽出基準の削除、追加または変更が可能である。また、上記勤務地の確認処理は、勤務地と自宅との関係に限られず、一の行動拠点が他の行動拠点のメッシュグループに含まれる可能性がある場合に適用することができる。
【0115】
以上、本実施形態によれば、ユーザがGPS機能付き携帯端末を携帯するだけで、当該ユーザの行動拠点を自動的に設定することができるので、行動拠点設定のための各種情報登録作業などが不要となり、ユーザの利便性を向上することができる。また、測位回数、滞在秒数、滞在日数のうちの少なくとも2つ以上のパラメータを、行動拠点の内容に応じた優先順位に従って利用することにより、行動拠点らしさを算出しているので、行動拠点特定の精度を高めることが可能になる。
【0116】
[行動拠点の利用例]
以上のように設定された行動拠点の利用例について説明する。行動拠点の利用方法は、目的等に応じて決定することができ、その内容について特に限定はないが、例えば、所定のサービス提供装置は、ある施設に関連する情報をユーザに提供する場合に、当該施設とユーザの行動拠点との関係を考慮してから、提供する情報の内容を決定することができる。例えば、対象施設が、ユーザの自宅/勤務地メッシュ領域の周辺に位置する場合、又は、自宅/勤務地メッシュグループ内に位置する場合には、当該施設のセール情報、ランチ情報、不動産情報などを提供することができる。
【0117】
また、日常圏から自宅メッシュグループや勤務地メッシュグループを除いたメッシュグループ内のメッシュ領域を、第3行動拠点として「良く行くメッシュ領域」と特定し、この特定した「良く行くメッシュ領域」に位置する施設に関する情報(例:ゴルフ場、スキー場)から、ユーザの趣味(例:ゴルフ、スキー)を判別し、判別した趣味に関する情報を提供することもできる。
【0118】
さらに、特定した行動拠点メッシュグループや行動拠点メッシュ領域を利用して、ユーザの職業や属性などを判別することができる。例えば、勤務地メッシュグループが特定されたユーザは、会社勤め又は学生と判別し、勤務地メッシュグループが特定されなかったユーザは、主婦や自営業と判別することができる。また、勤務地メッシュ領域に大学が含まれる場合は、当該ユーザは大学生と判別し、勤務地メッシュグループがオフィス街に位置する場合は、当該ユーザは会社勤めと判別することができる。
【0119】
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0120】
(1)例えば、行動拠点らしさ算出手段112は、行動拠点らしさを示す値を、行動拠点パラメータの値に測位レベルに応じた係数を乗じることにより算出してもよい。測位レベルは、測位結果の誤差範囲を示すものであり、例えば、測位レベル3は「水平誤差<50m」、測位レベル2は「50m≦水平誤差<300m」、測位レベル1は「300m≦水平誤差」を示す。このように、測位レベルが低いほど誤差が大きくなるので、実際には測位情報が示すメッシュ領域にユーザがいない可能性がある。そこで、測位レベルが低いほど重みが小さくなるように係数を設定する(図11(C)参照)。そして、行動拠点メッシュグループ内のメッシュ領域毎に、式={(測位レベル1の測位回数×測位レベル1の係数×行動拠点パラメータ)+(測位レベル2の測位回数×測位レベル2の係数×行動拠点パラメータ)+・・・+(測位レベルnの測位回数×測位レベルnの係数×行動拠点パラメータ)}に従って集計を行い、集計結果を当該メッシュ領域の行動拠点らしさを示す値とする。これによれば、測位レベルを考慮して行動拠点らしさを示す値を算出することができるので、行動拠点メッシュ領域の特定精度をより向上させることが可能になる。なお、係数の設定には、全ての測位レベルの係数に1を設定する場合も含まれ、この場合には、測位レベルを考慮しないことと実質的に同じである。
(2)また、行動拠点らしさ算出手段112は、各行動拠点パラメータの値に優先順位が高いものほど大きな重みを付与して重み和を求め、行動拠点らしさを示す値として用いてもよい。
【0121】
(3)行動拠点パラメータの「滞在秒数」と「測位回数」を利用して、行動拠点の属性を判断することができる。ユーザが移動する場合にのみ測位情報を送信するように携帯端末20が構成されている場合、ユーザが動けば測位回数は多くなる一方、あまり動かない場合は測位回数は少なくなる。従って、あるメッシュ領域について、滞在秒数は少ないが測位回数は多いような場合、そのメッシュ領域は活動的な行動拠点(例えば、ショッピングモールなど)と想定することができる。他方、滞在秒数は多いが測位回数が少ないような場合は、そのメッシュ領域は非活動的な行動拠点(例えば、映画やコンサートなど)と想定することができる。
【0122】
(4)例えば、携帯端末20における現在位置の測位精度が低いと判断される場合には、第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(以下、「移動経路メッシュ領域」という。)の周辺に位置する1または複数のメッシュ領域を周辺メッシュ領域として設定し、当該周辺メッシュ領域に対しても測位点間時間を配分するように構成することができる。周辺メッシュ領域の設定は、設計や仕様に応じて適宜設定することができるが、例えば、第1測位点及び/又は第2測位点の測位精度が低いような場合は、第1メッシュ領域及び/又は第2メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を第1周辺メッシュ領域及び/又は第2周辺メッシュ領域として設定することができる。また、例えば、第1測位点及び第2測位点の双方の測位精度が低いような場合は、移動経路上の補完メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を補完周辺メッシュ領域として設定してもよい。配分補完手段108は、周辺メッシュ領域を設定した場合、例えば、上記実施形態にて説明した配分方法に従って算出される、当該周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ周辺領域)に対応する移動経路メッシュ領域(例:第1メッシュ領域)に対する配分滞在秒数を、当該移動経路メッシュ領域及び周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ領域及び第1メッシュ周辺領域)の双方に配分することができる。当該構成によれば、精度の低い測位点を受信した場合には、測位点周辺にも滞在秒数が配分される結果、日常圏の精度を高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0123】
10・・・行動拠点特定システム、20・・・携帯端末、101・・・主制御手段、102・・・通信手段、103・・・測位情報格納手段、104・・・基礎データ生成手段、105…メッシュデータ生成手段、106・・・日別メッシュ生成手段、107・・・測位回数集計手段、108・・・配分補完手段、109・・・期間別メッシュ生成手段、110・・・日常圏設定手段、111・・・メッシュグループ処理手段、112・・・行動拠点らしさ算出手段、113・・・行動拠点特定手段、114・・・測位情報DB、115・・・基礎データDB、116・・・日別メッシュDB、117・・・期間別メッシュDB、118・・・日常圏DB、119…行動拠点DB、201・・・主制御手段、202・・・通信手段、203・・・表示手段、204・・・操作手段、205・・・記憶手段、206・・・現在位置測位手段、207・・・測位情報送信手段、N・・・ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、
前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、
前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する行動拠点らしさ算出手段と、
前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、
を備えることを特徴とする行動拠点特定システム。
【請求項2】
前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値が所定の日常圏閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、
前記設定された日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化し、当該グループ化されたメッシュグループ毎に、グループ別行動拠点パラメータを計算するグループ処理手段と、を備え、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記計算されたグループ別行動拠点パラメータに基づいて前記メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について行動拠点らしさを算出し、
前記行動拠点特定手段は、
前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点メッシュ領域として特定することを特徴とする請求項1に記載の行動拠点特定システム。
【請求項3】
前記ユーザの行動拠点が、当該ユーザの生活の本拠である第1行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する測位日数及び第2優先順位を有する滞在時間が設定され、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第1行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別測位日数が最大のメッシュグループを第1行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第1行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記測位日数及び前記滞在時間を各優先順位に従って使用することにより、第1行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項4】
前記ユーザの行動拠点が、ユーザが継続して滞在する第2行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する滞在時間及び第2優先順位を有する測位日数が設定され、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第2行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別滞在時間が最大のメッシュグループを第2行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第2行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記滞在時間及び前記測位日数を各優先順位に従って使用することにより、第2行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項5】
複数の行動拠点が特定される場合に、
前記行動拠点特定手段は、
特定された一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域が、過去に特定された他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域と一致する場合は、当該他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域を含むメッシュグループを除外したメッシュグループを対象に、前記一の行動拠点の行動拠点らしさを再度算出するように前記行動拠点らしさ算出手段を制御する請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項6】
複数の行動拠点が特定される場合に、
前記行動拠点らしさ判定手段は、
一の行動拠点のメッシュグループが特定できる場合において、他の行動拠点のメッシュグループが特定できない場合は、前記一の行動拠点のメッシュグループに含まれる当該一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域以外のメッシュ領域を対象に、前記他の行動拠点の行動拠点らしさを算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項7】
前記メッシュデータ生成手段は、
第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、
前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の行動拠点特定システム。
【請求項8】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定距離未満である場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分することを特徴とする請求項7に記載の行動拠点特定システム。
【請求項9】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定の時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定の距離未満でない場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しないことを特徴とする請求項8に記載の行動拠点特定システム。
【請求項10】
前記配分手段は、
前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分することを特徴とする請求項7から9いずれか1項に記載の行動拠点特定システム。
【請求項11】
携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、
前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、
前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータのうち優先順位に従う少なくとも1の行動拠点パラメータの値が最も大きいメッシュ領域を、前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、
を備えることを特徴とする行動拠点特定システム。
【請求項1】
携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、
前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、
前記生成された2つの行動拠点パラメータの値をそれぞれの優先順位に従って使用することにより、前記メッシュ領域の行動拠点らしさを算出する行動拠点らしさ算出手段と、
前記複数のメッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、
を備えることを特徴とする行動拠点特定システム。
【請求項2】
前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータの値が所定の日常圏閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、
前記設定された日常圏に含まれるメッシュ領域について、所定の接続関係を満たすメッシュ領域をグループ化し、当該グループ化されたメッシュグループ毎に、グループ別行動拠点パラメータを計算するグループ処理手段と、を備え、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記計算されたグループ別行動拠点パラメータに基づいて前記メッシュグループの中から行動拠点メッシュグループを特定し、前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について行動拠点らしさを算出し、
前記行動拠点特定手段は、
前記特定された行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域の中から、前記算出された行動拠点らしさが最も大きいメッシュ領域を前記ユーザの行動拠点メッシュ領域として特定することを特徴とする請求項1に記載の行動拠点特定システム。
【請求項3】
前記ユーザの行動拠点が、当該ユーザの生活の本拠である第1行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する測位日数及び第2優先順位を有する滞在時間が設定され、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第1行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別測位日数が最大のメッシュグループを第1行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第1行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記測位日数及び前記滞在時間を各優先順位に従って使用することにより、第1行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項4】
前記ユーザの行動拠点が、ユーザが継続して滞在する第2行動拠点である場合、前記2つの行動拠点パラメータには第1優先順位を有する滞在時間及び第2優先順位を有する測位日数が設定され、
前記行動拠点らしさ算出手段は、
前記メッシュグループの中から、グループ別測位日数とグループ別滞在時間が所定の第2行動拠点算出条件を満たし、かつ、当該グループ別滞在時間が最大のメッシュグループを第2行動拠点メッシュグループとして特定し、当該特定した第2行動拠点メッシュグループ内の各メッシュ領域について、前記滞在時間及び前記測位日数を各優先順位に従って使用することにより、第2行動拠点らしさを示す値を算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項5】
複数の行動拠点が特定される場合に、
前記行動拠点特定手段は、
特定された一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域が、過去に特定された他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域と一致する場合は、当該他の行動拠点の行動拠点メッシュ領域を含むメッシュグループを除外したメッシュグループを対象に、前記一の行動拠点の行動拠点らしさを再度算出するように前記行動拠点らしさ算出手段を制御する請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項6】
複数の行動拠点が特定される場合に、
前記行動拠点らしさ判定手段は、
一の行動拠点のメッシュグループが特定できる場合において、他の行動拠点のメッシュグループが特定できない場合は、前記一の行動拠点のメッシュグループに含まれる当該一の行動拠点の行動拠点メッシュ領域以外のメッシュ領域を対象に、前記他の行動拠点の行動拠点らしさを算出することを特徴とする請求項2に記載の行動拠点特定システム。
【請求項7】
前記メッシュデータ生成手段は、
第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、
前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の行動拠点特定システム。
【請求項8】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定距離未満である場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分することを特徴とする請求項7に記載の行動拠点特定システム。
【請求項9】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定の時間未満及び/又は前記測位点間距離が所定の距離未満でない場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しないことを特徴とする請求項8に記載の行動拠点特定システム。
【請求項10】
前記配分手段は、
前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分することを特徴とする請求項7から9いずれか1項に記載の行動拠点特定システム。
【請求項11】
携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を網の目状に分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、
前記生成された基礎データに基づいて、所定期間内に各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数、前記測位点が測位された測位回数及び前記携帯端末のユーザが滞在した滞在時間のうちの少なくとも2つを行動拠点パラメータとして算出し、各メッシュ領域と当該算出した2つの行動拠点パラメータの値を対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、
前記複数のメッシュ領域の中から、前記生成された2つの行動拠点パラメータのうち優先順位に従う少なくとも1の行動拠点パラメータの値が最も大きいメッシュ領域を、前記ユーザの行動拠点が含まれる行動拠点メッシュ領域として特定する行動拠点特定手段と、
を備えることを特徴とする行動拠点特定システム。
【図1】
【図2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図19】
【図2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図19】
【公開番号】特開2012−118934(P2012−118934A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270656(P2010−270656)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】
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