説明

衛生洗浄機能付き便器

【課題】表示手段を備える衛生洗浄機能付き便器であっても、洗浄機能の情報などを使用者がいつでも見ることができなかった。
【解決手段】本発明の衛生洗浄機能付き便器は、メモリー性を有する表示装置を表示手段にもち、洗浄用ノズルから噴射する洗浄水の水量や水温、乾燥手段の風量や温風温度などの情報を表示手段に表示することができる。表示手段は、メモリー性を有する表示装置であるから、情報を一度表示するとその表示の維持に係る電力が必要ないため、常時情報を表示しておくことができる。このような構成とすることによって、使用者は用便の前に衛生洗浄機能付き便器の情報を知り得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に関する。詳しくは、人体の局部を洗浄する衛生洗浄機能付き便器に関し、特に、衛生洗浄機能の情報を表示する表示手段を備えた衛生洗浄機能付き便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、便器に洗浄用ノズルを備え、この洗浄用ノズルから温水を噴射し、用便後の人体の局部を洗浄する衛生洗浄機能付き便器が知られている。このような便器は、給水手段と昇温手段とを備え、洗浄用ノズルから噴射する温水をこれらの手段で給水し昇温している。
【0003】
人体の局部である肛門などは、大変デリケートな部分であるから、洗浄用ノズルから噴射する温水の水量や水温は、使用者の好みにより選択可能となっている。したがって、温水の水量や水温を設定する設定手段も備えており、例えば、スイッチやつまみなどを操作することで所定の水量や水温に調整することができる。
【0004】
このように、一度設定した水量や水温の情報は、次に使用するまでそれらの情報を保持しておくことが好ましい。使用者が衛生洗浄機能付き便器を使用するたびに設定手段を用いて設定することは、わずらわしいからである。したがって、衛生洗浄機能付き便器に記憶手段を備えて、これらの情報を記憶し、使用者が用便のたびに設定手段を操作する手間を省いている。
【0005】
衛生洗浄機能付き便器を複数の使用者が使用する場合は、使用者ごとに洗浄用ノズルから噴射する水量や水温が異なる場合が多いので、使用のたびにこれらを変更しなければならない。前述のように、記憶手段を備え、使用者ごとに所定の情報を記憶する構成も知られているが、いずれにしても、別の使用者が使用した後に使用する場合、これら水量や水温が自分の好みと異なっていることに気がつかなければ、用便後の洗浄の際に、思いがけない水量や水温に驚いてしまったり、不快に感じることがあった。
【0006】
このような問題を解決するため、洗浄用の水量や水温を表示する表示手段を備える衛生洗浄機能付き便器が知られている。ランプやLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などを用いて、その光の強弱や点灯数などにより、水量や水温を報知するものである。例えば、LEDを10個備え、水量を表示する場合は、10個すべてが点灯すると、もっとも水量が強いというような表示手段である。
【0007】
このような報知を行う表示手段を備えることで、使用者は、衛生洗浄機能付き便器を使用する前に、水量や水温の状態を知りえることができるため、思いがけない水量や水温に驚くことはない。
【0008】
しかしながら、このような表示手段は、衛生洗浄機能付き便器の低消費電力化に適していない。すなわち、使用者がいつトイレを訪れるか判らないため、常時ランプやLEDを点灯しておかなければならないからである。
このような電気機器が待機の状態で消費している電力を待機電力といい、この待機電力は少なければ少ないほど低消費電力となる。特に、衛生洗浄機能付き便器は、洗浄用の水を常に所定の水温に保温しておかなければならないため、家庭内の電気機器のなかでは、比較的待機電力が大きい。一般にこのような待機電力の低減は、省エネルギー化の流れで家庭用電化製品に求められている課題であって、このような状況を鑑みて、常時表示手段
を表示させておくことは、好ましくないのである。
【0009】
このような問題を解決するため、多くの提案がなされている。特に、便器の使用を検出し、表示手段をそのときに表示させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
特許文献1に示す従来技術は、便座に便器の使用を検出する手段を備え、この検出手段からの情報に基づいて、衛生洗浄機能付き便器の情報を表示するものである。
図4は、特許文献1に示す従来技術を説明するための図であって、その主旨を逸脱しないように書き直した図である。
100は衛生洗浄機能付き便器の全体を示すシステム、101は操作スイッチ、102は水圧レベル設定手段、103は制御手段、104は表示手段、105は駆動手段、106は便器、107は洗浄手段、108は乾燥手段、109は便座スイッチである。
【0011】
特許文献1に示した従来技術は、操作スイッチ101の操作で、洗浄手段107に含まれる図示しない洗浄用ノズルから温水が噴射する。水圧レベル設定手段102の操作で、噴射する温水のレベル(水量や水圧)を設定する。制御手段103は、駆動手段105を介して洗浄手段107と乾燥手段108とを駆動して、洗浄用ノズルによる洗浄と洗浄後の図示しない乾燥用送風ファンによる乾燥とを制御する。
【0012】
水圧レベル設定手段102の操作で設定された温水のレベルは、制御手段103を介して表示手段104に表示されるが、制御手段103は、便座スイッチ109の情報を用いて表示手段104を制御する。つまり、便座に使用者が座ったときに温水のレベルを表示手段104に表示させるのである。
【0013】
【特許文献1】特開昭61−172935号公報(第2頁−第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に示した従来技術は、使用者が便座に座らなければ便座スイッチ109が作動せず、表示手段104に温水のレベルを表示することはない。
使用者は、用便の最中ではリラックスしているものの、用便後はすぐさま洗浄したいと考える。このような使用状況では、表示手段104の表示を見落として操作スイッチ101を操作してしまい、思わぬ温水のレベルに驚いてしまうことがあった。
【0015】
本質的には、表示手段104は、常時表示状態であればこのような見落としはないが、これでは表示手段104の表示状態を維持するための電力が必要になってしまう。
仮に、ソーラーパネルと蓄電手段とをシステム100に備え、光による充電により、表示手段104の表示状態の維持に必要な電力を補うことも考えられるが、通常、トイレは使用者が不在のときは照明を消しており、この状態ではソーラーパネルによる充電はできない。
【0016】
したがって、衛生洗浄機能付き便器を使用する使用者が、その情報を見落とすことなく温水のレベルなどを知り得るとともに、それに係る電力を必要としないシステムは、未だ提案されていないのである。
【0017】
本発明の目的は、衛生洗浄機能付き便器の水量や水温やその他の情報を使用者が見落とすことなく表示できる衛生洗浄機能付き便器を提供することにある。さらに、この表示を維持するための電力を必要としない衛生洗浄機能付き便器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため本発明の浄水器は次のような構成を採用する。
【0019】
人体の局部を洗浄するための洗浄手段を有する衛生洗浄装置付き便器であって、
衛生洗浄装置の情報を表示する表示手段を有し、表示手段は、メモリー性を有する表示装置であることを特徴とする。
【0020】
情報は、洗浄手段の洗浄水の水量情報と水温情報とを有することを特徴とする。
【0021】
表示手段は、衛生洗浄装置付き便器とは離間して設け、有線または無線で互いに信号の送受を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の衛生洗浄機能付き便器は、洗浄用ノズルから噴射する温水の水量や水温などの情報を表示する表示手段を備えており、この表示手段は、メモリー性を有する表示装置とする。
メモリー性を有する表示装置は、その表示を一度行うとその表示状態を保持するため、表示状態の維持に電力をまったく必要としない。したがって、表示手段を動作させるための電力を極めて小さくすることができる。
このような構成とすることによって、使用者がいつトイレを使用しても、用便の前に衛生洗浄機能付き便器の情報を知り得ることができるのである。これにより、使用者が情報の見落としをすることがなくなるという効果がある。
また、表示手段をリモコンまたは専用の表示システムに備え、衛生洗浄機能付き便器とは離間して設けるタイプの便器であっても、表示手段が必要とする電力は極めて小さいから、それらに搭載した電池の電池交換の時期を極端に長くすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[全体構成の説明:図1]
以下に、本発明の望ましい実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の衛生洗浄機能付き便器を模式的に示す図であって、一部は説明しやすいように透過した状態で示している。1は本発明の衛生洗浄機能付き便器の本体、2は操作パネル、3は設定パネル、4は表示手段、5は洗浄用ノズル、7はポンプ、9は加熱手段、10は乾燥手段である。これらは図示しない制御手段に接続している。6は給水パイプ、8は洗浄用水タンク、11は排水用水タンク、13は操作ブロック、14は便座、15は洗浄水である。図1は、本発明の衛生洗浄機能付き便器を便座14の上方から見る場合を示している。
【0024】
本体1には、図示しないが制御手段を有している。制御手段は、操作パネル2や設定パネル3の操作、表示手段4の表示、ポンプ7の動作や加熱手段9の動作、洗浄用ノズル5や乾燥手段10の動作を制御する。便座14に便座ヒーターを備える場合は、この便座ヒーターの制御も行う。
【0025】
本体1は、その内部にポンプ7と洗浄用水タンク8と加熱手段9とを有している。洗浄用水タンク8は、加熱手段9に囲われているとともに、排水用水タンク11からポンプ7を介して給水パイプ6にて水を供給されている。排水用水タンク11は、用便後に汚物を下水に流すための水を貯蔵するタンクであり、図示しないが水道パイプと接続している。もちろん、給水パイプ6は、排水用水タンク11からではなく通常の水道パイプに接続してもよい。
【0026】
洗浄用水タンク8は、1リットル〜1.5リットル程度の容量がある。一般的に、使用者は、1回の用便の洗浄に500cc程度の温水を使うといわれている。おおよそ数回分の洗浄に用いる水を貯蔵している。
【0027】
加熱手段9は、洗浄用水タンク8の水を設定パネル3の操作により設定された水温に加熱する。500W〜800W程度のヒーターを備えている。この程度のヒーターを備えていると、一般的に、水温5℃の水を40℃程度まで昇温するために数分で済む。このため、洗浄用水タンク8が数回分の洗浄に用いる温水を貯蔵できるので、連続して使用しても問題はないばかりか、使用中に洗浄水の温度変化が極力抑えられるようになっている。
加熱手段9は、図示しないが温度センサを備えており、ヒーターとともに制御手段と接続している。例えば、洗浄用水タンク8が空になり、新たに水が供給されてもすぐさま所定の水温に昇温し、その水温を所定の温度に保つのである。
【0028】
乾燥手段10は、人体の局部を洗浄した後、その水分を乾燥させるために設ける手段であって、図示はしないが、温風用ヒーターと送風ファンと温度センサとを有している。加熱手段9と同様に、温度センサは図示しない制御手段と接続しており、温風用ヒーターの温度を一定に保つのである。
【0029】
設定パネル3には、スイッチやつまみが備えられており、それらの操作によって洗浄用ノズル5から噴射する洗浄水15の水量と水温とを設定することができる。同様に、操作パネル2の操作または洗浄と連続した動作によって動作する乾燥手段10の温風量と温度とを設定することができる。
近年、用便中の音を他人に聞き取られないために、用便中に所定の効果音やメロディを発する手段を備える便器が知られている。もちろん、そのような手段を本発明の衛生洗浄機能付き便器に設けてもよい。その際は、音の音量やメロディの選択などを行うスイッチやつまみを設定パネル3に設けることができる。
【0030】
操作パネル3を用いて設定する情報は、表示手段4に表示することができる。表示手段4は、洗浄水15の水量と水温との情報を表示することができ、乾燥手段10の温風の送風量と温度との情報を表示することができる。
図1に示す例では、便座14に向かい左側に操作ブロック13を備え、この操作ブロック13に操作パネル2や設定パネル3とともに表示手段4を配設している。もちろんこれに限定はされない。図示はしないが、操作ブロック13に自在に曲げられるフレキシブルアームを備え、このフレキシブルアームに表示手段4を設けてもよい。このような構成にすることによって、使用者が見やすい位置に表示手段4を向けることができるので、表示手段4に表示している情報の見落としがさらに減少する。
【0031】
[表示手段4の説明:図2]
図2は、表示手段4に情報を表示する例を示すものである。図2に示す例では、特に限定しないが、表示手段4の表示面の全面を液晶表示装置とし、そこに文字またはグラフィックで表示する場合を示している。
41は洗浄用ノズル5から噴射する洗浄水15の水量を示すエリアであり、41aは水量を示す表示セル、42はその水温を示すエリアであり、42aは水温を示す表示セルである。43は乾燥手段10の情報を示すエリアであり、43aは温風温度を示す表示セル、43bは風量を示すアイコン(絵文字)である。44は動作状態を示すエリアである。
【0032】
図2に示す例では、水量と水温と風量と温風温度とはグラフィックで表示している。風量を示すアイコン43bを除く3つの要素は、グラフィカルな表示セルが点灯することで、水量や水温、温風温度を知ることができる。
【0033】
水量を示すエリア41では、表示セル41aは、5段階の表示セルの点灯と消灯とで水量を示している。図2では、左から3つの表示セルが点灯している。この状態は、水量が最少と最多とのほぼ中間であることを示している。
【0034】
水温を示すエリア42では、表示セル42aは、8段階の表示セルの点灯と消灯とで水温を示しており、円弧を描くようなデザインになっている。一般に、人体の局部の洗浄に用いる水温は、高くても40℃程度である。例えば、最低の水温を常温時の水道水の温度とし最高の水温を40℃として、その間の温度を8分割する。
図2では、左下から4つの表示セルが点灯している。この状態は、水温が最低と最高とのほぼ中間の温度であることを示している。
【0035】
乾燥手段10の情報を示すエリア43では、温風温度を示す表示セル43aと風量を示すアイコン43bとを表示している。表示セル43aは、3段階の表示セルの点灯と消灯とで温風温度を示している。図2では、下から1つの表示セルが点灯している。アイコン43bは、風車の形状を模しており、アイコン43bが回転することで風量を示している。アイコン43bが速く回転すると風量は強く、遅く回転することで風量は遅いと目視することができるようになっている。
【0036】
動作状態を示すエリア44では、本発明の衛生洗浄機能付き便器の動作状態を表示することができる。図2では、「洗浄中」と表示しているが、実際の使用に際しては、動作状態に応じて「乾燥中」などと表示される。
また、便座14に便座ヒーターを備える場合は、便座の温度を表示することができる。図2の例では、便座が40℃であることを示している。用便中の音を他人に聞き取られないために所定の効果音やメロディを発する手段を有している場合は、その音量やメロディの曲番などに関する情報を表示することができる。
さらにまた、本体1には図示しない制御手段を有しているが、この制御手段からの情報も表示することができる。例えば、洗浄用ノズル5やポンプ7の動作が異常であった場合は、「故障:サービスセンターに連絡してください」など修理を促す情報や文言を表示することができる。
【0037】
動作状態を示すエリア44には、前述した情報のほか、洗浄用ノズル5の位置やノズルの清掃時期、給水状態(断水)、脱臭や芳香に関する情報などを行ってもよい。
【0038】
表示手段4は、文字や図形や画像やアイコンなどを表示できる表示装置である。図2に示す例では、グラフィカルに情報を表示する例を示した。各表示エリアの配置や表示内容は、もちろんこれに限定するものではない。
表示手段4は、メモリー性を有する表示装置を用いることができる。表示手段4がメモリー性を有していると、電力を必要とせずに表示手段4の表示状態を維持できる。
【0039】
このような構成とすることによって、表示手段4を駆動するための電力を極めて小さくすることができ、一度表示してしまうとその表示の維持に電力はまったく必要としない。したがって、使用者がいつトイレを使用しても、用便の前に本発明の衛生洗浄機能付き便器の情報を知り得ることができるのである。これにより、使用者の情報の見落としがなくなるのである。
【0040】
[表示手段4の説明:図3]
表示手段4は、メモリー性を有する強誘電性液晶表示装置を用いることができる。強誘電性液晶パネルの構成を図3を用いて説明する。
図3は 反射型の強誘電性液晶パネル構成を説明する断面図である。31aは第1の偏光板、31bは第2の偏光板、32は強誘電性液晶層、33aと33bとはガラス基板、
34aと34bとは電極、35aと35bとは配向膜、36は反射板である。
一対のガラス基板33aと33bとの間に強誘電性液晶層32を有している。これらガラス基板の対向面には電極34aと34bとを備えており、その上に配向膜35aと35bとを配している。配向膜35aと35bとは、無機配向膜または有機配向膜である。
【0041】
ガラス基板33aと33bとの外側には偏光板を備えている。ガラス基板33aの外側には、第1の偏光板31aの偏光軸と電圧無印加時に強誘電性液晶層32の強誘電性液晶分子の平均的分子軸方向とが平行になるように設置している。ガラス基板33bの外側には、第2の偏光板31bの偏光軸と第1の偏光板31aの偏光軸とが90°その方向が異なるように設置している。
第2の偏光板31bの外側には反射板36を設けている。図2の上方を使用者の視認側とすると、ガラス基板33aからの入射光を反射させる。
【0042】
このような構成とすることによって、強誘電液晶層32は印加電圧の極性によって異なった強誘電状態を示すことが可能となる。すなわち、光が透過せず、黒表示(非透過状態)となる部分と、白表示(透過状態)となる部分とを作り出すことができる。強誘電性液晶は、印加電圧がゼロの場合でも透過率が維持されるために、一度書き込んだ表示状態が電源の供給がなくとも保持される。すなわちメモリー性を有するのである。
【0043】
本発明の衛生洗浄機能付き便器は、表示手段4を本体1と分離して設置することができる。本体1と表示手段4とは、有線または無線で信号の送受を行うものである。
このような構成では、表示手段4と操作パネル2と設定パネル3とを1つの筐体に備えた、いわゆるリモコンタイプとすることもできる。本体1とリモコンとを別体とすることにより、このリモコンをトイレの壁などの見やすい位置に設けることができる。
リモコンが、無線を用いて本体1と信号の送受を行う場合、リモコンには電池などの電源手段を用いるが、そのような場合であっても、表示手段4はメモリー性を有しているため、その表示を一度行うと、その表示を維持するために電力はまったく必要なく、電池の消耗を防ぐことができる。
【0044】
もちろん、電池が消耗しても表示手段4の表示は維持されるため、電池切れに使用者が気がつかない場合がある。その場合は、リモコンの電源手段に知られている低電圧検出装置を設け、電池電圧を監視すればよい。電池電圧が一定のレベルを下回ると警告を出力し、その警告に基づいて、表示手段4のエリア44に「電池消耗」や「電池切れ」などの警告を促す文言やアイコンなどを表示すればよいのである。
【0045】
ところで、本体1には、計時手段を備えることもできる。この計時手段により、日付と時刻とを計時することができる。計時手段は知られている構成であって、水晶振動子などを用いて発振させた源振クロックを分周回路で分周し、所望のパルスを生成するものである。例えば、そのパルスから1秒を作成し、時刻情報とする。計時手段の情報は、表示手段4に表示することができる。例えば、日付やそのときの時刻である。
【0046】
近年では、長波などを受信して時刻修正を行う、いわゆる電波修正時計が広く普及し始めている。特に、腕時計型の電波修正時計は広く知られるところである。このような背景から、時計要素に対する正確な時刻表示の要求も高まっている。このような要求に対しては、腕時計型電波修正時計に採用されているような電波受信モジュールを本体1に内蔵すればよく、広く応用が可能である。
計時手段にはカレンダー機能も有している。図示はしないが、計時手段には、カレンダー情報記憶回路が設けてあり、例えば、向こう100年分のカレンダー情報が蓄積してある。
【0047】
本発明の衛生洗浄機能付き便器に用いる表示手段4は、メモリー性を有する液晶表示装置を用いており、強誘電性液晶パネルを用いている例を説明した。もちろん、メモリー性を有する液晶表示装置は、これに限定するものではなく、コレステリック液晶を用いた液晶パネルでもよい。さらに、表示手段4は、流動性の粉体を表示体に用いたマイクロカプセル型表示デバイスでもよい。いずれにしても、本発明の衛生洗浄機能付き便器の表示手段4には、メモリー性を有する表示手段を用いることが重要である。
【0048】
以上の説明で明らかなように、本発明の衛生洗浄機能付き便器は、メモリー性を有する表示装置を有する表示手段を備えているため、情報を一度表示してしまうとその表示の維持に係る電力が必要ないため、常時情報を表示しておくことができる。
このような構成とすることによって、使用者は用便の前に衛生洗浄機能付き便器の情報を知り得ることができ、用便後の洗浄の際に、思いがけない水量や水温に驚いてしまうことがない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、便器の情報の表示が必要な衛生洗浄機能付き便器に用いることができる。特に、家庭用の低消費電力化が要求される衛生洗浄機能付き便器に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の衛生洗浄機能付き便器を説明する概略図である。
【図2】本発明の衛生洗浄機能付き便器の表示手段の表示例を説明する図である。
【図3】本発明の衛生洗浄機能付き便器の表示手段の構造を説明する図である。
【図4】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 衛生洗浄機能付き便器の本体、
2 操作パネル
3 設定パネル
4 表示手段
5 洗浄用ノズル
6 給水パイプ
7 ポンプ
8 洗浄用水タンク
9 加熱手段
10 乾燥手段
11 排水用水タンク
13 操作ブロック
14 便座
15 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の局部を洗浄するための洗浄手段を有する衛生洗浄装置付き便器であって、
前記衛生洗浄装置の情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段は、メモリー性を有する表示装置であることを特徴とする衛生洗浄装置付き便器。
【請求項2】
前記情報は、前記洗浄手段の洗浄水の水量情報と水温情報とを有することを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置付き便器。
【請求項3】
前記表示手段は、前記衛生洗浄装置付き便器とは離間して設け、有線または無線で互いに信号の送受を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置付き便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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