説明

衛生洗浄装置

【課題】瞬間加熱式の熱交換器に熱応答性が比較的悪いヒータを用いた場合でも、通水の開始直後に所望の温度の洗浄水を得ることができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水を瞬間的に加熱するヒータを有する加熱室が設けられた熱交換器と、前記加熱室への水の供給を制御する給水弁と、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して人体局部を洗浄する洗浄ノズルと、前記加熱室で加熱された水を前記洗浄ノズルへ供給する主流路と、前記主流路に配設され、前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する水温検知手段と、前記加熱室と、前記水温検知手段と、の間に接続され、前記加熱室から流出した水を排出可能な副流路と、前記副流路を開閉可能な副流路開閉弁と、前記給水弁を開く際に、前記副流路開閉弁を開いて前記加熱室から流出した水を前記副流路へ通水し排出させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生洗浄装置が備える瞬間加熱式の熱交換器には、一般的に、セラミックヒータが用いられている。これに対して、例えばコストの低減あるいはヒートショックに対する耐性の向上などを目的として、瞬間加熱式の熱交換器にシーズヒータを用いることができる。そこで、瞬間加熱式の熱交換器の加熱源としてシーズヒータを用いた人体洗浄装置および衛生洗浄装置がある(特許文献1および2)。しかしながら、瞬間加熱式の熱交換器の加熱源としてセラミックヒータやシーズヒータが用いられた場合には、それらのヒータは、「OFF」に設定された後でも余熱を発生する場合がある。これにより、いわゆる「後沸き」などと呼ばれる現象が生じ、熱交換器内の水が異常に加熱される場合がある。
【0003】
これに対して、特許文献2に記載された衛生洗浄装置は、噴出手段による人体の洗浄の開始時に、給水源からの洗浄水を洗浄水加熱手段に供給した後に洗浄水加熱手段に通電している。また、特許文献2に記載された衛生洗浄装置は、噴出手段による人体の洗浄の終了時に、給水源から洗浄水加熱手段への洗浄水の供給を停止する前に洗浄水加熱手段への通電を停止している。これにより、特許文献2に記載された衛生洗浄装置は、熱交換器内の水が異常に加熱されることを防止し、使用者の局部に高温の洗浄水が噴出されることを防止している。
【0004】
しかしながら、シーズヒータは、セラミックヒータよりも熱応答性が悪いため、熱交換器内での「後沸き」を防止するためには、シーズヒータの通電を停止した後から洗浄水を止水するまでの間により長い時間が必要となる。そうすると、給水源からの冷たい水が、より長い時間、熱交換器内を通水するため、熱交換器が冷めすぎるという問題がある。熱交換器が冷めすぎると、次回の通水の開始後に所望の温度に洗浄水を加熱するためにより長い時間がかかる、あるいは人体局部へ噴射される洗浄水の初期の温度がより低くなるという問題がある。つまり、「後沸き」を防止できるほどの長い時間、給水源からの冷たい水を熱交換器に流すと、熱交換器が冷めすぎてしまい、人体局部へ噴射される水の初期の温度がより低くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−105668号公報
【特許文献2】特開2008−223470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、瞬間加熱式の熱交換器に熱応答性が比較的悪いヒータを用いた場合でも、通水の開始直後に所望の温度の洗浄水を得ることができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、水を瞬間的に加熱するヒータを有する加熱室が設けられた熱交換器と、前記加熱室への水の供給を制御する給水弁と、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して人体局部を洗浄する洗浄ノズルと、前記加熱室で加熱された水を前記洗浄ノズルへ供給する主流路と、前記主流路に配設され、前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する水温検知手段と、前記加熱室と、前記水温検知手段と、の間に接続され、前記加熱室から流出した水を排出可能な副流路と、前記副流路を開閉可能な副流路開閉弁と、前記給水弁を開く際に、前記副流路開閉弁を開いて前記加熱室から流出した水を前記副流路へ通水し排出させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0008】
この衛生洗浄装置によれば、加熱室と水温検知手段との間に、加熱室から流出した水を排出可能な副流路が接続されている。また、副流路を開閉可能な副流路開閉弁が設けられている。そして、制御部は、給水弁を開く際には、副流路開閉弁を開くことにより、加熱室から流出した水を副流路へ通水し排出することができる。「後沸き」により加熱室の水が適温よりも高温に加熱された場合であっても、その高温に加熱された水が水温検知手段側へ流れることを防止することができる。これにより、制御部が加熱異常であると誤認して洗浄ノズルからの吐水を禁止することを防止することができ、使用者が局部洗浄機能を使用できなくなる状況を回避することができる。
【0009】
また、この衛生洗浄装置によれば、「後沸き」を防止する必要はないため、ヒータや加熱室や熱交換器内の流路が冷めすぎることはない。そのため、ヒータや加熱室や熱交換器内の流路は、保温された状態となる。これにより、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器のヒータとして使用した場合でも、洗浄ノズルへの通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記加熱室で水の加熱を開始する際に、前記副流路開閉弁を所定時間開いた後に前記副流路開閉弁を閉じて前記水温検知手段への水の供給を開始することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0011】
この衛生洗浄装置によれば、制御部は、給水弁を開く際には、副流路開閉弁を開くことにより、加熱室から流出した水を副流路へ通水し排出する。そして、制御部は、副流路開閉弁を開いてから所定時間が経過すると、その副流路開閉弁を閉じ、洗浄ノズルへの通水を可能とする。つまり、制御部は、加熱室においてヒータにより加熱された水の排出を時間で制御し、副流路への排出から洗浄ノズルへの給水へ切り替える。これによれば、制御部は、複雑あるいは特別な操作を行うことなく、熱交換器の初期の加熱動作を実行できる。そのため、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器のヒータとして使用した場合でも、洗浄ノズルへの通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、瞬間加熱式の熱交換器に熱応答性が比較的悪いヒータを用いた場合でも、通水の開始直後に所望の温度の洗浄水を得ることができる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図2】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路系の要部構成の具体例を例示するブロック図である。
【図4】本実施形態の熱交換器の具体例を例示する断面模式図である。
【図5】実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の概略を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。 なお、図2は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
【0015】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0016】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの図示しない操作部を操作すると、洗浄ノズル471を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、洗浄ノズル471がボウル801内に進出した状態を表している。
【0017】
洗浄ノズル471の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口473が設けられている。そして、洗浄ノズル471は、その先端部に設けられた吐水口473から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0018】
より具体的に説明すると、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、図2に表したように、水道や貯水タンクなどの図示しない給水源から供給された水を導く給水配管10を有する。給水配管10の上流側には、給水弁431が設けられている。給水弁(以下説明の便宜上、「電磁弁」と称する)431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて、熱交換器440への水の供給を制御する。
【0019】
電磁弁431の下流側には、入水サーミスタ432が設けられている。入水サーミスタ432は、熱交換器440に導かれる水の温度を検知する。入水サーミスタ432に下流には、瞬間加熱式の熱交換器440が設けられている。熱交換器440は、供給された水を瞬間的に加熱し所定の温水にするヒータ441と、副流路開閉弁442と、ヒータ441により加熱された水の温度を検知し、その水温の情報を制御部405へ出力する温水サーミスタ(水温検知手段)443と、を有する。
【0020】
ヒータ441としては、例えば、シーズヒータやセラミックヒータなどが挙げられる。なお、熱交換器440に供給される水を所定の温度まで加熱するためのヒータ441への通電制御は、入水サーミスタ432にて検知される熱交換器440への入水温度と、温水サーミスタ443にて検知される加熱された水の温度と、の情報を制御部405が取り込むことによって、フィードフォワード制御とフィードバック制御の組合せにて行われる。
【0021】
また、熱交換器440は、熱交換器440内の貯水の有無を検知し、熱交換器440の空焚きを防止するフロートスイッチ444と、熱交換器440から流出する水の温度が安全であることを確認するリミッタサーミスタ(水温検知手段)445と、例えば電磁弁431側に負圧が発生した場合などにおいて、洗浄ノズル471から汚水が逆流することを防止するバキュームブレーカ446と、を有する。
【0022】
ここで、給水配管10の下流は、副流路開閉弁442において二方に分岐している。一方の流路は、ヒータ441により加熱された水を洗浄ノズル471へ供給する主流路11であり、他方の流路は、ヒータ441により加熱された水をノズル洗浄室472(図3参照)や便器800のボウル801内へ排出する副流路12である。つまり、副流路開閉弁442および副流路12は、ヒータ441と温水サーミスタ443との間に設けられている。そして、制御部405は、副流路開閉弁442を制御して開くことにより、ヒータ441により加熱された水を副流路12へ通水し、ノズル洗浄室472や便器800のボウル801内へ排出することができる。これについては、後に詳述する。
【0023】
熱交換器440の下流には、洗浄ノズル471やノズル洗浄室472(図3参照)への給水の開閉や切替および水勢(流量)の調整を行う流路切替兼流量調整弁450が設けられている。流路切替兼流量調整弁450の下流は、例えば四方に分岐している。一方の流路は、捨水流路15であり、残りの流路は、熱交換器440から供給された水を洗浄ノズル471へ供給するノズル流路14である。なお、ノズル流路14の設置数は、洗浄ノズル471の吐水口473の設置数に応じて適宜変更可能である。また、流路切替兼流量調整弁450の下流には、洗浄ノズル471を有するノズル装置470が設けられている。
【0024】
なお、本実施形態では、温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445は、熱交換器440に設置されているが、温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445の設置形態は、これだけに限定されるわけではない。つまり、温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445は、主流路11に配設されている限り、熱交換器440に設置されていなくともよい。
【0025】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路系の要部構成の具体例を例示するブロック図である。
また、図4は、本実施形態の熱交換器の具体例を例示する断面模式図である。
【0026】
図3に表したように、図示しない給水源から供給された水は、まず、分岐金具410に導かれる。分岐金具410に導かれた水は、連結ホース420および図示しない便器洗浄用のバルブユニットに分配される。但し、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100を備えたトイレ装置は、いわゆる「水道直圧式」に限定されるわけではなく、いわゆる「ロータンク式」であってもよい。そのため、トイレ装置が「ロータンク式」である場合には、分岐金具410に導かれた水は、便器洗浄用のバルブユニットの代わりに、図示しないロータンクに導かれる。
【0027】
続いて、連結ホース420に供給された水は、バルブユニット430に導かれる。バルブユニット430は、電磁弁431と、入水サーミスタ432と、水抜栓433と、調圧弁434と、逆止弁435と、を有する。水抜栓433は、給水配管10内の水が凍結するおそれがあるときなどに使用され、給水配管10内の水を排出できる。また、調圧弁434は、給水圧が高い場合に、所定の圧力範囲に調整する役割を有する。なお、電磁弁431および入水サーミスタ432は、図2に関して前述した如くである。
【0028】
続いて、バルブユニット430に供給された水は、熱交換器440に導かれる。熱交換器440は、ヒータ441と、副流路開閉弁442と、温水サーミスタ443と、フロートスイッチ444と、リミッタサーミスタ445と、バキュームブレーカ446と、を有する。ヒータ441の少なくとも一部は、熱交換器440の内部に形成された加熱室449に配設されている。そのため、熱交換器440の内部に供給された水は、加熱室449においてヒータ441により瞬間的に加熱される。
なお、ヒータ441と、副流路開閉弁442と、温水サーミスタ443と、フロートスイッチ444と、リミッタサーミスタ445と、バキュームブレーカ446と、は図2に関して前述した如くである。
【0029】
熱交換器440の加熱室449において加熱された水は、主流路11を通して流路切替兼流量調整弁450へ導かれる。流路切替兼流量調整弁450へ導かれた水は、洗浄ノズル471側への通水と、ノズル洗浄室472側への通水と、を切り替えられ、且つ、水勢を調整される。なお、ノズル装置470が有するノズル洗浄室472は、その内部に設けられた図示しない吐水部から水を噴射することにより、洗浄ノズル471の外周表面(胴体)を洗浄することができる。
【0030】
続いて、流路切替兼流量調整弁450から洗浄ノズル471側へ通水された水は、圧力変調装置460へ供給される。この圧力変調装置460は、主流路11内の水の流れに脈動を与え、洗浄ノズル471の吐水口473から吐水される水に脈動を与えることができる。続いて、圧力変調装置460からノズル装置470へ供給された水は、流路切替弁475により、例えば「おしり洗浄」や「やわらか洗浄」や「ビデ洗浄」などに対応するそれぞれのノズル流路14(図2参照)へ通水される。そして、ノズル流路14へ通水された水は、例えば「おしり洗浄」や「やわらか洗浄」や「ビデ洗浄」などに対応するそれぞれの吐水口473から人体局部へ向けて噴射される。一方、流路切替兼流量調整弁450からノズル洗浄室472側へ通水された水は、ノズル洗浄室472の内部に設けられた図示しない吐水部から洗浄ノズル471の外周表面(胴体)へ向けて噴射される。
【0031】
ここで、さらに詳細に説明すると、着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えば図示しない「おしり洗浄スイッチ」などを押すと、制御部405は、電磁弁431を開き、バルブユニット430から熱交換器440への通水を開始する。バルブユニット430から熱交換器440へ供給された水は、加熱室449へ流入し、ヒータ441により瞬間的に加熱される。そして、加熱室449において加熱された水は、洗浄ノズル471の吐水口473から「おしり」などへ向けて噴射される。続いて、使用者が図示しない「止スイッチ」を押すと、制御部405は、電磁弁431を閉じ、バルブユニット430から熱交換器440への通水を停止する。
【0032】
このとき、制御部405が、ヒータ441への通電の停止と、電磁弁431の閉止と、を同時に行うと、いわゆる「後沸き」などと呼ばれる現象が生ずる場合がある。あるいは、制御部405が、ヒータ441への通電を停止した後に電磁弁431を閉じた場合でも、例えばシーズヒータなどのような熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合には、いわゆる「後沸き」などと呼ばれる現象が生ずる場合がある。
【0033】
より具体的に説明すると、ヒータ441は、制御部405により通電を停止された後でも余熱を発生する場合がある。これは、熱応答性が比較的悪いヒータ(例えば、シーズヒータなど)を熱交換器440のヒータ441として使用した場合に生ずることがある。このとき、制御部405が、電磁弁431を閉じていたり、ヒータ441への通電の停止から間もなく電磁弁431を閉じると、加熱室449の水は、その加熱室449に滞留するためヒータ441の余熱により加熱される。そうすると、加熱室449の水は、適温よりも高温に加熱される場合がある。このように、通電を停止された後のヒータ441の余熱により、加熱室449の水が加熱される現象を、本願明細書では「後沸き」と呼ぶこととする。
【0034】
この「後沸き」により加熱室449の水が適温よりも高温に加熱された状態において、使用者が例えば図示しない「おしり洗浄スイッチ」などを押すと、その高温に加熱された水は温水サーミスタ443側へ導かれる。そのため、このままでは、高温に加熱された水が人体局部に噴射される。そこで、温水サーミスタ443は、高温に加熱された水の温度を検知し、その温度の情報を制御部405へ出力する。これにより、制御部405は、何よりも先に電磁弁431を閉じ、熱交換器440への水の供給を禁止して、洗浄ノズル471から水が吐水されることを禁止する。これによれば、適温よりも高温に加熱された水が人体局部に噴射されることを防止することができ、安全性を確実に確保することができる。これは、リミッタサーミスタ445が、適温よりも高温に加熱された水の温度を検知した場合も同様である。
【0035】
しかしながら、温水サーミスタ443あるいはリミッタサーミスタ445が適温よりも高温に加熱された水の温度を検知したことにより、制御部405が電磁弁431を閉じて熱交換器440への水の供給を禁止すると、使用者は、局部洗浄機能を使用できなくなる。
【0036】
また、適温よりも高温に加熱された水が人体局部に噴射されることを防止するために、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を制御することにより、加熱室449から流出した水をノズル洗浄室472へ通水し排出することも考えられる。これによれば、加熱室449においてヒータ441により加熱された水が、洗浄ノズル471から噴射されることを防止することができる。
【0037】
しかしながら、流路切替兼流量調整弁450は、温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445よりも下流側に設置されているため、加熱室449において適温よりも高温に加熱された水は、温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445を通過する。そのため、前述したように、制御部405が電磁弁431を閉じて熱交換器440への水の供給を禁止し、使用者は、局部洗浄機能を使用できなくなる。
【0038】
また、「後沸き」が生ずることを防止するために、制御部405がヒータ441への通電を停止し、時間がしばらく経過してから電磁弁431を閉じることも考えられる。これによれば、加熱室449の水は、その加熱室449に滞留せず、しばらく流れるため適温よりも高温に加熱されることはない。
【0039】
しかしながら、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合において、「後沸き」を防止するためには、制御部405がヒータ441への通電を停止してから電磁弁431を閉じるまでの間に、より長い時間が必要となる。そうすると、給水源からの冷たい水が、より長い時間、加熱室449を流れるため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎてしまう。ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎると、次回の通水の開始後において、ヒータ441が所望の温度に水を加熱するためには、より長い時間がかかる。
【0040】
あるいは、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎると、次回の通水の開始後において、人体局部へ噴射される水の初期の温度がより低くなる。つまり、「後沸き」を防止できるほどの長い時間、給水源からの冷たい水を加熱室449に流すと、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎてしまい、人体局部へ噴射される水の初期の温度がより低くなる。
【0041】
これに対して、本実施形態では、図3および図4に表したように、加熱室449と温水サーミスタ443との間に、加熱室449から流出した水を排出可能な副流路12が接続されている。また、加熱室449と温水サーミスタ443との間に、副流路12を開閉可能な副流路開閉弁442が設けられている。つまり、制御部405は、副流路開閉弁442を制御して開くことにより、加熱室449においてヒータ441により加熱された水を副流路12へ通水し排出することができる。
【0042】
より具体的には、制御部405は、洗浄ノズル471の吐水口473から水を吐水するために電磁弁431を開く際には、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出することができる。そして、所定時間が経過した後に、制御部405は、副流路開閉弁442を閉じることにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ排出することを停止し、洗浄ノズル471の吐水口473へ導くことができる。
【0043】
これによれば、「後沸き」により加熱室449の水が適温よりも高温に加熱された場合であっても、その高温に加熱された水が温水サーミスタ443側およびリミッタサーミスタ445側へ流れることを防止することができる。そのため、加熱室449への通水開始の初期段階において温水サーミスタ443およびリミッタサーミスタ445が適温よりも高温に加熱された水の温度を検知することを防止することができる。これにより、制御部405が加熱異常であると誤認して洗浄ノズル471からの吐水を禁止することを防止することができる。つまり、使用者が局部洗浄機能を使用できなくなる状況を回避することができる。
【0044】
また、「後沸き」を防止する必要はないため、すなわち、制御部405は、ヒータ441への通電を停止してからしばらくの間、給水源から供給された冷たい水を加熱室449に流す必要はないため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎることはない。そのため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路は、保温された状態となる。これにより、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、次回の通水の開始後において、ヒータ441が所望の温度に水を加熱するために、より長い時間がかかることを防止することができる。つまり、次回の通水の開始後において、人体局部へ噴射される水の初期の温度がより低くなることを防止することができる。言い換えれば、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、洗浄ノズル471への通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【0045】
なお、本実施形態の熱交換器440では、フロートスイッチ444は、図4に表したように、バキュームブレーカ446よりも低い位置に設けられている。そのため、制御部405が副流路開閉弁442を開くことにより加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出しているときでも、フロートスイッチ444内の水が抜けることはない。つまり、制御部405が副流路開閉弁442を開くことにより加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出している間でも、フロートスイッチ444は、水位を検知することができる。この場合、熱交換器440は、フロートスイッチ444内の水が副流路12へ逆流しないように適宜設計されている。
【0046】
これによれば、制御部405は、副流路開閉弁442を開くことにより加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出しているときでも、ヒータ441への通電を継続することができ、そのヒータ441を保温することができる。そのため、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、洗浄ノズル471への通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【0047】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100の動作について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の概略を説明するためのタイミングチャートである。
【0048】
まず、使用者が図示しない「おしり洗浄スイッチ」を押すと、制御部405は、電磁弁431を開き、熱交換器440のヒータ441を「ON」に設定、すなわちヒータ441への通電を開始する(タイミングt1)。また、これと同じタイミングにおいて、制御部405は、副流路開閉弁442を開く(タイミングt1)。これにより、加熱室449から流出した水は、副流路12へ通水され排出される。副流路12へ通水された水は、図3に表したように、例えばノズル洗浄室472へ供給され、洗浄ノズル471の外周表面へ向けて噴射された後、便器800のボウル801へ排出される。そのため、加熱室449から流出した水は、副流路12へ通水された後に有効に利用可能である。
【0049】
続いて、制御部405は、副流路開閉弁442を開いてから所定時間が経過すると、その副流路開閉弁442を閉じる(タイミングt2)。これにより、加熱室449においてヒータ441により加熱された水の排出が完了する。また、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス」から「SC(セルフクリーニング)」へ切り替え、例えば「おしり洗浄」、「やわらか洗浄」、および「ビデ洗浄」などのための全ての吐水口473からの吐水を可能とする(タイミングt2)。これにより、洗浄ノズル471の「前洗浄」が行われる。
【0050】
より具体的に説明すると、洗浄ノズル471は、洗浄ノズル471がケーシング400に収納された状態において、洗浄ノズル471自身が有する吐水口473から水を吐水することにより吐水口473の部分を洗浄することができる。さらに、洗浄ノズル471がケーシング400に収納された状態では、洗浄ノズル471の吐水口473の部分はノズル洗浄室472の中にほぼ収容されているため、洗浄ノズル471の吐水口473から吐水された水は、ノズル洗浄室472の内壁により反射して吐水口473の部分にかかる。そのため、洗浄ノズル471の吐水口473の部分は、ノズル洗浄室472の内壁で反射した水によっても洗浄される。
【0051】
続いて、「前洗浄」が完了すると、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「SC」から「バイパス」へ切り替え、ノズル洗浄室472に設けられた図示しない吐水部から水を噴射可能とする(タイミングt3)。続いて、制御部405は、ケーシング400に収納されていた洗浄ノズル471を「おしり洗浄」の位置まで進出させる(タイミングt4〜t5)。このとき、制御部405は、電磁弁431を開いているため、洗浄ノズル471の胴体は、ノズル洗浄室472の吐水部から噴射される水により洗浄される。続いて、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス」から「洗浄位置」へ切り替え(タイミングt5)、「おしり洗浄」を開始する(タイミングt6)。
【0052】
本具体例によれば、制御部405は、「おしり洗浄」を開始するために電磁弁431を開く際には、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出する。そのため、「後沸き」により加熱室449の水が適温よりも高温に加熱された場合であっても、その高温に加熱された水が温水サーミスタ443側およびリミッタサーミスタ445側へ流れることを防止することができる。これにより、制御部405が洗浄ノズル471からの吐水を禁止することを防止することができ、使用者が局部洗浄機能を使用できなくなる状況を回避することができる。また、適温よりも高温に加熱された水が人体局部に噴射されることを防止することができ、安全性を確実に確保することができる。
【0053】
また、「後沸き」を防止する必要はないため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎることはない。そのため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路は、保温された状態となる。これにより、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、洗浄ノズル471への通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【0054】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を説明するためのタイミングチャートである。
【0055】
まず、着座検知センサ404が便座200に着座した使用者を検知すると、制御部405は、電磁弁431を開き、熱交換器440のヒータ441を「ON」に設定、すなわちヒータ441への通電を開始する(タイミングt1)。また、これと同じタイミングにおいて、制御部405は、副流路開閉弁442を開く(タイミングt1)。これにより、加熱室449から流出した水は、副流路12へ通水され排出される。また、このとき、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス(ノズル胴体洗浄)」から「SC(セルフクリーニング)」へ切り替える(タイミングt1)。
【0056】
続いて、制御部405は、副流路開閉弁442を開いてから所定時間が経過すると、その副流路開閉弁442を閉じる(タイミングt2)。これにより、加熱室449においてヒータ441により加熱された水の排出が完了する。続いて、制御部405は、電磁弁431を閉じ、ヒータ411を「ON」から「保温」へ設定変更する(タイミングt3)。タイミングt2〜t3においては、副流路開閉弁442は閉じられ、流路切替兼流量調整弁450は「SC」に設定されているため、主流路11内およびノズル流路14内の冷水は、吐水口473から排水される。これにより、温水の準備が行われる。また、温水準備が完了すると、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「SC」から「バイパス」へ切り替える(タイミングt3)。
【0057】
続いて、使用者が図示しない「おしり洗浄スイッチ」を押すと、制御部405は、電磁弁431を開き、ヒータ441を「保温」から「ON」へ設定変更する(タイミングt4)。また、これと同じタイミングにおいて、制御部405は、副流路開閉弁442を開く(タイミングt4)。ここで、タイミングt3において、制御部405は、電磁弁431の閉止と、ヒータ411の「ON」から「保温」への設定変更と、を同時に行っているため、「後沸き」が生ずる場合がある。これに対して、本具体例では、タイミングt4において、制御部405は、副流路開閉弁442を開くため、加熱室449においてヒータ441により加熱された水を副流路12へ通水し排出することができる。
【0058】
続いて、制御部405は、副流路開閉弁442を開いてから所定時間が経過すると、その副流路開閉弁442を閉じる(タイミングt5)。これにより、加熱室449においてヒータ441により加熱された水の排出が完了する。また、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス」から「SC」へ切り替え、「おしり洗浄」、「やわらか洗浄」、および「ビデ洗浄」のための全ての吐水口473からの吐水を可能とする(タイミングt5)。これにより、洗浄ノズル471の「前洗浄」が行われる。この「前洗浄」については、図5に関して前述した如くである。
【0059】
続いて、「前洗浄」が完了すると、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「SC」から「バイパス」へ切り替え、ノズル洗浄室472に設けられた図示しない吐水部から水を噴射可能とする(タイミングt6)。続いて、制御部405は、ケーシング400に収納されていた洗浄ノズル471を「おしり洗浄」の位置まで進出させる(タイミングt7〜t8)。このとき、制御部405は、電磁弁431を開いているため、洗浄ノズル471の胴体は、ノズル洗浄室472の吐水部から噴射される水により洗浄される(タイミングt7〜t8)。
【0060】
続いて、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス」から「おしり洗浄」へ切り替え(タイミングt8)、「おしり洗浄」を実行する(タイミングt9〜t10)。続いて、使用者が図示しない「止スイッチ」を押すと、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「おしり洗浄」から「バイパス」へ切り替え、ノズル洗浄室472に設けられた図示しない吐水部から水を噴射可能とする(タイミングt10)。続いて、制御部405は、「おしり洗浄」の位置に進出していた洗浄ノズル471をケーシング400に収納する(タイミングt11〜t12)。このとき、制御部405は、電磁弁431を開いているため、洗浄ノズル471の胴体は、ノズル洗浄室472の吐水部から噴射される水により洗浄される(タイミングt7〜t8)。
【0061】
続いて、洗浄ノズル471がケーシング400に収納された状態において、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「バイパス」から「SC」に切り替え、「おしり洗浄」、「やわらか洗浄」、および「ビデ洗浄」のための全ての吐水口473から吐水することにより「後洗浄」を行う(タイミングt13〜t14)。なお、この「後洗浄」の動作は、「前洗浄」の動作と同様である。「後洗浄」が完了すると、制御部405は、電磁弁431の閉止と、ヒータ411の「ON」から「保温」への設定変更と、を同時に行う(タイミングt14)。また、制御部405は、流路切替兼流量調整弁450を「SC」から「バイパス」に切り替える(タイミングt14)。
【0062】
このとき、「後沸き」が生ずる場合があるが、次回の通水の開始後において、タイミングt1〜t2およびタイミングt4〜t5における動作に関して説明したように、制御部405は、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449においてヒータ441により加熱された水を副流路12へ通水し排出することができる。続いて、着座検知センサ404が便座200に着座した使用者を検知しなくなると、制御部405は、ヒータ411を「保温」から「OFF」へ設定変更する(タイミングt15)。
【0063】
本具体例によれば、制御部405は、「温水準備」を行うために電磁弁431を開く際には、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出する。そのため、「後沸き」により加熱室449の水が適温よりも高温に加熱された場合であっても、その高温に加熱された水が温水サーミスタ443側およびリミッタサーミスタ445側へ流れることを防止することができる。これにより、制御部405が洗浄ノズル471からの吐水を禁止することを防止することができ、使用者が局部洗浄機能を使用できなくなる状況を回避することができる。
【0064】
また、「温水準備」の動作において、適温よりも高温に加熱された水がノズル流路14へ通水されることを防止でき、そのノズル流路14に滞留することを防止することができる。これによれば、適温よりも高温に加熱された水が洗浄ノズル471の吐水口473から吐水されることをより確実に防止することができる。
【0065】
また、制御部405は、「おしり洗浄」を開始するために電磁弁431を開く際には、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出する。そして、制御部405は、副流路開閉弁442を開いてから所定時間が経過すると、その副流路開閉弁442を閉じ、洗浄ノズル471の吐水口473への通水を可能とする。つまり、制御部405は、加熱室449においてヒータ441により加熱された水の排出を時間で制御し、副流路12への排出から洗浄ノズル471への給水へ切り替える。これによれば、制御部405は、複雑あるいは特別な操作を行うことなく、熱交換器440の初期の加熱動作を実行できる。そのため、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、洗浄ノズル471への通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。また、その他の効果についても、図4および図5に関して前述した効果が得られる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、加熱室449と温水サーミスタ443との間に、加熱室449から流出した水を排出可能な副流路12が接続されている。また、加熱室449と温水サーミスタ443との間に、副流路12を開閉可能な副流路開閉弁442が設けられている。そして、制御部405は、洗浄ノズル471の吐水口473から水を吐水するために電磁弁431を開く際には、副流路開閉弁442を開くことにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ通水し排出することができる。そして、所定時間が経過した後に、制御部405は、副流路開閉弁442を閉じることにより、加熱室449から流出した水を副流路12へ排出することを停止し、洗浄ノズル471の吐水口473へ導くことができる。
【0067】
これによれば、「後沸き」により加熱室449の水が適温よりも高温に加熱された場合であっても、その高温に加熱された水が温水サーミスタ443側およびリミッタサーミスタ445側へ流れることを防止することができる。これにより、制御部405が洗浄ノズル471からの吐水を禁止することを防止することができ、使用者が局部洗浄機能を使用できなくなる状況を回避することができる。
【0068】
また、「後沸き」を防止する必要はないため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路が冷めすぎることはない。そのため、ヒータ441や加熱室449や熱交換器440内の流路は、保温された状態となる。これにより、熱応答性が比較的悪いヒータを熱交換器440のヒータ441として使用した場合でも、洗浄ノズル471への通水の開始直後に所望の温度の水を得ることができる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、熱交換器440などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや温水サーミスタ443やリミッタサーミスタ445の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0070】
10 給水配管、 11 主流路、 12 副流路、 14 ノズル流路、 15 捨水流路、 100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 400 ケーシング、 404 着座検知センサ、 405 制御部、 410 分岐金具、 411 ヒータ、 420 連結ホース、 430 バルブユニット、 431 給水弁(電磁弁)、 432 入水サーミスタ、 433 水抜栓、 434 調圧弁、 435 逆止弁、 440 熱交換器、 441 ヒータ、 442 副流路開閉弁、 443 温水サーミスタ、 444 フロートスイッチ、 445 リミッタサーミスタ、 446 バキュームブレーカ、 449 加熱室、 450 流路切替兼流量調整弁、 460 圧力変調装置、 470 ノズル装置、 471 洗浄ノズル、 472 ノズル洗浄室、 473 吐水口、 475 流路切替弁、 800 便器、 801 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を瞬間的に加熱するヒータを有する加熱室が設けられた熱交換器と、
前記加熱室への水の供給を制御する給水弁と、
吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して人体局部を洗浄する洗浄ノズルと、
前記加熱室で加熱された水を前記洗浄ノズルへ供給する主流路と、
前記主流路に配設され、前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する水温検知手段と、
前記加熱室と、前記水温検知手段と、の間に接続され、前記加熱室から流出した水を排出可能な副流路と、
前記副流路を開閉可能な副流路開閉弁と、
前記給水弁を開く際に、前記副流路開閉弁を開いて前記加熱室から流出した水を前記副流路へ通水し排出させる制御を実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記加熱室で水の加熱を開始する際に、前記副流路開閉弁を所定時間開いた後に前記副流路開閉弁を閉じて前記水温検知手段への水の供給を開始することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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