衛生洗浄装置
【課題】低水量でたっぷり感と刺激感のある洗浄感を実現しつつ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制する衛生洗浄装置を提供すること
【解決手段】衛生洗浄装置1は、周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズル62と、前記水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される水流を調整する水流調整部として機能するエアポンプ50及び制御部7と、を備える。このように構成することで、第一の吐水は第二尾の吐水よりも大きな密度かつ狭い面積で局部に着水し、第二の吐水は第一の吐水よりも小さな密度かつ広い面積で局部に着水する。
【解決手段】衛生洗浄装置1は、周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズル62と、前記水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される水流を調整する水流調整部として機能するエアポンプ50及び制御部7と、を備える。このように構成することで、第一の吐水は第二尾の吐水よりも大きな密度かつ狭い面積で局部に着水し、第二の吐水は第一の吐水よりも小さな密度かつ広い面積で局部に着水する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような衛生洗浄装置においては、使用水量を少なくしつつも、心地よい洗浄感を実現することが求められ、開発が進められている。心地よい洗浄感とは、より具体的には、たっぷり感(大量の水で洗浄されている感触)と刺激感(強く洗浄されている感触)とが両立された洗浄感である。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された衛生洗浄装置においては、出口を人体の局部に指向させたオリフィス部を設け、洗浄水が何らの障害を受けずに局部に衝突するように構成されている。このように構成することで、刺激感のある洗浄を実現している。この衛生洗浄装置は、オリフィス部の周囲に空気取入口を設け、この取入口からエジェクタ効果により空気を取り込んでもいる。このように空気を取り込むことで、吐出される洗浄水の表面を乱して噴流に疎密をつけることが可能となり、たっぷり感のある洗浄を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、エジェクタ効果を利用した自然吸気により空気を取り込むものであり、洗浄水への空気の混入量や混入のタイミングが随時変動する。そのため、オリフィス部から吐出される洗浄水に疎密の間隔が不均等になり、洗浄水が局部に着水した際に違和感や断続感を生じさせてしまっていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、低水量でたっぷり感と刺激感のある洗浄感を実現しつつ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る衛生洗浄装置は、ノズルの吐水口から使用者の局部に水を吐出する衛生洗浄装置であって、周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズルと、吐出される水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される流水を調整する水流調整部と、を備える。前記第一の吐水は前記局部に第一の密度及び第一の面積で着水し、前記第二の吐水は前記局部に第二の密度及び第二の面積で着水する。前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きく、前記第一の面積は前記第二の面積よりも小さい。
【0008】
第一の吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲が狭くなるから、刺激感のある洗浄感を局部に与える。第二の吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲が広くなるから、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。ここで、第一の吐水と第二の吐水は、水の脈動のピークにそれぞれ交互に含まれる。従って、第一の吐水と第二の吐水の吐出タイミングは一定の間隔を保ち、また吐出時の速度差も小さいから、局部における第一の吐水と第二の吐水との着水間隔が均等化される。これにより、局部に対して、刺激感とたっぷり感のある洗浄感を交互に一定の時間間隔で与えることができ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制することができる。しかも、脈動のピークに含まれる第一の吐水及び第二の吐水を用いてこのような洗浄感を創出しているので、同じ水量の水を一定圧で吐出する場合に比べて、より強い刺激感とたっぷり感のある洗浄感を与えることができる。換言すれば、同じ洗浄感を得るためにはより少ない水量で済むことになる。
【0009】
尚、上記構成において「交互に含まれる」とは、水の脈動のピーク毎に第一の吐水、第二の吐水がこの順番で一回ずつ含まれることに限定されるものではない。例えば、水の脈動のピークに第一の吐水が2回連続して含まれ、次に第二の吐水が2回連続して含まれるような態様も含まれる。また例えば、水の脈動のピークに第一の吐水が2回連続して含まれ、次に第二の吐水が1回含まれるような態様も、上記「交互」に含まれる。
【0010】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記ノズルから吐出される水の脈動の振幅を所定値以下にする振幅調整部を備えることも好ましい。
【0011】
水の脈動の振幅を所定値よりも小さくするので、先に吐出された吐水と後に吐出される吐水との速度差を一定の範囲に抑えることができる。従って、後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し大きな水玉になってしまうことを抑制できる。過度に大きな水玉が発生すると、局部に着水する水玉と水玉との間隔が長くなり断続的な洗浄感が発生しまうが、上記構成により、そのような断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0012】
尚、「所定値」は、衛生洗浄装置毎に種々設定することができ、例えば、吐水口から局部までの距離や吐出される水の最大及び最小速度等に基づいて設定される。
【0013】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、外部の給水源から水の供給を受ける給水管路を備え、前記吐水口から吐出される水の圧力の最小値は、前記給水源からの給水圧力よりも高いことも好ましい。
【0014】
このように水の圧力の最小値が外部の給水源からの給水圧力より高いから、吐出される水全体として速度の遅い吐水がなくなり、吐水の速度差が抑えられる。これにより、速度が相対的に小さい吐水であっても、後に吐出された速度が相対的に大きい吐水に追いつかれる前に局部に到達することができる。従って、吐水の追いつきによる粒成長が抑制でき、着水と着水との間隔が長くなってしまうことが抑制される。これにより、局部において断続的な洗浄感が発生してしまうことを抑制できる。
【0015】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、脈動する水を前記吐水口に供給する一つの流路と、前記一つの流路に連結され、その流路を流れる水に空気を混入する空気混入部と、を有し、前記空気供給部は、前記ノズルから吐出される水の脈動のピークに、空気の混入量が異なる吐水が交互に含まれるように前記水に空気を混入することも好ましい。
【0016】
空気の混入量が多ければ、混入した空気の分、水の見かけの体積が大きくなるから、吐出された水の密度は小さくなり、吐出方向の断面積(吐出方向を法線とする面を通過する水の面積)が大きい水が形成される。反対に空気の混入が少なければ、吐出された水の密度は大きくなり、吐出方向の断面積が小さい水が形成される。従って、上記構成においては、水の脈動のピーク毎に交互に空気の混入量が異なるように水に空気を混入することで、吐出される水の脈動のピークに第一の吐水と第二の吐水とを交互に含ませることができる。すなわち、一つの流路と空気混入部という簡単な構成で水流調整部を構成することができる。
【0017】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、周期的に圧力が変動して脈動する第一の流水を前記吐水口に供給する第一の流路と、周期的に圧力が変動して脈動する第二の流水を、前記第一の流水とは反対の位相で前記吐水口に供給する第二の流路と、を有することも好ましい。前記第一の流水は前記吐水口から前記第一の吐水として吐出され、前記第二の流水は前記吐水口から前記第二の吐水として吐出される。前記第一の吐水は、前記吐水口から前記第二の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出される。前記第二の吐水は、前記吐水口から前記第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される。
【0018】
流速(流量)が異なる流水が合流する際は、流速(流量)が大きいほうの流水が支配的になるところ、上記構成によれば、脈動する第一の流水と第二の流水とが互いに反対の位相で吐出口に供給されるから、吐出される水には、第一の流水が支配的になる周期と、第二の流水が支配的になる周期とが交互に現れる。ここで、第一の流水は第一の吐水として、第二の吐水に比べて密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出される。第一の流水が支配的になる周期に吐出された吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲が狭くなり、刺激感のある洗浄感を局部に与える。また、第二の流水は第二の吐水として、第一の吐水に比べて密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される。第二の流水が支配的になる周期に吐出された吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲が広くなり、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。
【0019】
そして、第一の流水が支配的になる周期と、第二の流水が支配的になる周期は、水の脈動に合わせて交互に現れるから、局部に対して、刺激感とたっぷり感のある洗浄感を交互に一定の時間間隔で与えることができる。これにより、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制することができる。また、吐出される水は、第一の流水と第二の流水が合流されたものとなるので、水の吐出圧力を全体的に高めることができる。これにより、同じ水量の水を一定圧で吐出する場合に比べて、より強い刺激感とたっぷり感のある洗浄感を与えることができる。換言すれば、同じ洗浄感を得るためにはより少ない水量で済むことになる。
【0020】
しかも、吐出される水は、第一の流水と第二の流水が合流されたものとなるので、脈動の振幅は第一の流水や第二の流水に比べて小さい。これにより、先に吐出された吐水と後に吐出される吐水との速度差を一定の範囲に抑えることができる。従って、後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し大きな水玉になってしまうことを抑制できる。過度に大きな水玉が発生すると、局部に着水する水玉と水玉との間隔が長くなり断続的な洗浄感が発生しまうが、上記構成により、そのような断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0021】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、前記第一の流路及び前記第二の流路に連結され、前記第一の流水及び前記第二の流水それぞれに空気を混入する空気混入部を有することも好ましい。前記吐水口における前記第二の流水における空気の混入量は、前記第一の流水における空気の混入量よりも大きいことも好ましい。
【0022】
上記構成によれば、吐水口において、第二の流水には、第一の流水よりも多くの空気が混入されているので、第一の流水よりも見かけ上の体積が大きくなる。従って、空気の混入量を異ならせるという簡易な構成で、第二の流水が吐出された第二の吐水を、第一の流水が吐出された第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きい状態とすることができる。なお、第一の流水には空気が混入されていなくとも(すなわち第一の流水の空気の混入量が0であっても)かまわない。
【0023】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、前記第一の流水及び前記第二の流水を旋回させながら前記吐水口に供給するものであって、前記吐水口における前記第二の流水の旋回度は、前記第一の流水の旋回度よりも大きいことも好ましい。
【0024】
上記構成によれば、吐水口における第二の流水の旋回度は、第一の流水の旋回度よりも大きいので、第二の流水が吐出された第二の吐水は、第一の流水が吐出された第一の吐水よりも吐出された方向に広がりながら進行する。従って、吐水口に至る流水の旋回度を異ならせるという簡易な構成で、第二の吐水を、第一の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が大きい状態とすることができる。
【0025】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記吐水口における前記第一の流水が直進流であることも好ましい。
【0026】
上記構成によれば、第一の流水は直進流であるので、旋回流に比べて密度が大きく断面積が小さい。従って、第一の流水が支配的になる周期に吐出された吐水により、局部に対してより強い刺激を与えることができる。
【0027】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、水を周期的に加圧して脈動を発生させるポンプと、前記ポンプで脈動が発生した水を前記第一の流路と前記第二の流路とに分配する分配部と、を有することも好ましい。
【0028】
上記構成によれば、ポンプで脈動が発生した水を第一の流路と第二の流路とに分配するので、第一の流水及び第二の流水の周期的な脈動を一つのポンプで発生させることができる。従って、衛生洗浄装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0029】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記第一の流路と前記第二の流路の流路長を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給されることも好ましい。
【0030】
上記構成によれば、第一の流路と第二の流路に同じ位相で脈動する水が供給されたとしても、第一の流路と前記第二の流路の流路長を調整するという簡単な方法で、第一の流水と第二の流水の位相を吐出口において反対にすることができる。
【0031】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記第一の流路と前記第二の流路における蓄圧量を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給されることも好ましい。
【0032】
上記構成によれば、第一の流路と第二の流路に同じ位相で脈動する水が供給されたとしても、第一の流路と第二の流路における蓄圧量を異ならせるという簡単な方法で、第一の流水と第二の流水の位相を吐出口において反対にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、低水量でたっぷり感と刺激感のある洗浄感を実現しつつ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制する衛生洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】衛生洗浄装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】衛生洗浄装置の脈動発生部の概略構成を示す模式図である。
【図3】脈動発生部から給水された水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートである。
【図4】ノズル先端部の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示すノズル先端部のX−X断面を模式的に示す断面模式図である。
【図6】衛生洗浄装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】脈動水の状態を示すタイミングチャートであって、(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量の変動を示すタイミングチャートである。
【図8】ノズルから吐出された水の様子を模式的に示す模式図である。
【図9】図2に示す脈動発生部の変形例の概略構成を示す模式図である。
【図10】図5に示すノズル先端部の変形例を模式的に示す断面模式図である。
【図11】図9及び図10に示した変形例を採用した場合の脈動水の状態を示すタイミングチャートであって、(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量の変動を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0036】
はじめに、図1を参照しながら、本発明の一実施形態である衛生洗浄装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置1の全体構成を示す概略構成図である。この衛生洗浄装置1は、便座に取り付けられる温水洗浄装置であり、お尻といった局部を洗浄するために用いられる。
【0037】
衛生洗浄装置1は、入水側弁ユニット2、熱交換ユニット3、脈動発生ユニット4、空気供給ユニット5、ノズルユニット6及び制御部7を備えている。
【0038】
外部の給水源(例えば水道管)から入水側弁ユニット2に導かれた水は、熱交換ユニット3において温水とされる。温水には、脈動発生ユニット4において脈動が付与され、空気供給ユニット5により空気が混入される。脈動が付与され空気が混入された温水は、ノズルユニット6から局部(お尻やビデ)に吐出される。これら各ユニットは、衛生洗浄装置1のケーシング内に収納されており、給水管路または空気管路を介してそれぞれ接続されている。制御部7は、上記各ユニットと有線または無線により接続され、各ユニットの各種動作を制御するようになっている。以下、各構成の詳細を説明する。
【0039】
入水側弁ユニット2には、給水源に接続する給水管路WP1が繋がれている。この給水管路WP1の上流側から下流側に沿ってストレーナ20、逆止弁21、電磁弁22及び調圧弁23が配設されている。給水管路WP1によって給水源から導入された水(例えば、水道水)は、入水側弁ユニット2のストレーナ20でゴミ等が捕捉され、逆止弁21に流れ込む。そして、電磁弁22が開かれると、水は調圧弁23に流れ込み、所定の圧力(例えば、給水圧:0.110MPa)に調圧された状態で、給水管路WP2を通って瞬間加熱方式の熱交換ユニット3に流入する。このように調圧を受けて流入する水の流量は、200〜600cc/min程度となっている。尚、給水管路WP1を給水源ではなく、便器洗浄用の水を貯留する洗浄水タンク(図示せず)に接続して、入水側弁ユニット2に配管することもできる。
【0040】
熱交換ユニット3は、給水管路WP2の上流側から下流側に沿って、熱交換部30、バキュームブレーカ31及び安全弁32を備える。熱交換ユニット3は、給水管路WP2を介して入水側弁ユニット2から流入された水を所定の設定温度に温めて、水を温水とする。温水化した水は、給水管路WP3を通って脈動発生ユニット4に流入されるように構成されている。
【0041】
熱交換部30は、熱交換部30へ流入する水の温度を入水温度センサ30aで検出し、熱交換部30から流出する水の温度を出水温度センサ30bで検出している。それらの検出温度を基にして、水の温度が所定の設定温度となるようにヒータ30cにより水を加熱する。ヒータ30cは、制御部7によってフィード・フォワード制御とフィードバック制御を組み合わせて最適制御される。また、熱交換部30は、熱交換部30内の水位を検出するフロートスイッチ30dを有する。このフロートスイッチ30dは、ヒータ30cが水没する所定の水位以下になるとその旨の信号を制御部7に出力するように構成されている。制御部7は、この信号の入力があった場合、ヒータ30cへの通電を停止する。従って、水没していないヒータ30cに通電し、ヒータ30cがいわゆる空焚き状態になることを防止することができる。
【0042】
バキュームブレーカ31は、熱交換部30の出口と給水管路WP3との接続箇所に配設されている。バキュームブレーカ31は、給水管路WP3内が負圧になった場合に、給水管路WP3内に大気を導入する。これにより、熱交換部30下流側にある水をノズルユニット6から排出させ、熱交換部30の下流側の給水管路WP3から熱交換部30に水が逆流することを防止する。
【0043】
安全弁32は、給水管路WP3内の水圧が所定値を超えると開弁する。安全弁32が開弁すると、捨水管路DPへ水を排出することが可能となり、異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止している。
【0044】
脈動発生ユニット4(水流調整部)は、給水管路WP3の上流側からアキュムレータ40と脈動発生部41とを備えている。
【0045】
アキュムレータ40は、ハウジングと、ハウジング内のダンパ室と、このダンパ室に配置されたダンパとを有する。アキュムレータ40は、ダンパの作用により脈動発生部41の上流側の給水管路WP3にかかる水撃を低減する。このため、熱交換部30の水の温度分布に及ぼす水撃の影響を緩和することができ、水の温度を安定化することができる。アキュムレータ40は、脈動発生部41に近接配置するか、または脈動発生部41と一体的に配置することが好ましい。このように配置することで、脈動発生部41で発生された脈動を上流側に伝播することを速やかにかつ効果的に回避できる。
【0046】
脈動発生部41は、2連構成のレシプロポンプで構成されている。これを、図2を参照しながら説明する。図2は、脈動発生部41の概略構成を示す模式図である。
【0047】
図2に示すように、脈動発生部41は、第一の脈動発生部41aと第二の脈動発生部41bとを備える2連構成のレシプロポンプで構成されている。第一の脈動発生部41aと第二の脈動発生部41bには、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ410a、410bが設けられている。シリンダ410a、410b内には、ピストン411a、411bが設けられている。ピストン411a、411bには、Oリングが装着されている。ピストン411a、411bとシリンダ410a、410bとで画されたそれぞれの空間が加圧室となる。
【0048】
シリンダ410a、410bには、洗浄水入口412a、412bがそれぞれ設けられている。そして、給水管路WP3から分岐された管路が洗浄水入口412a、412bに接続され、給水管路WP3から加圧室に水を流入させることができるようになっている。洗浄水入口412a、412bには、アンブレラパッキンが設けられ、給水管路WP3への逆流を防止している。また、シリンダ410a、410bの天井部分には洗浄水出口413a、413bがそれぞれ設けられている。洗浄水出口413a、413bには配管がそれぞれ接続されており、接続されたそれぞれの配管が合流部を介して給水管路WP4と接続されている。そのため、シリンダ410a、410bから流出した水は、途中で合流して、加圧された水として給水管路WP4に出水する。
【0049】
モータ414の回転軸にはギア415aが取り付けられ、このギア415aとギア415bとが噛み合っている。ギア415bには、第一の脈動発生部41aのピストン411aを動作させるクランクシャフト416aと、第二の脈動発生部41bのピストン411bを動作させるクランクシャフト416bとがそれぞれ異なる位置に取り付けられている。クランクシャフト416a、416bは、ピストン保持部417a、417bを介してピストン411a、411bに取り付けられる。
【0050】
本実施の形態においては、一方のピストンが下死点(原位置)から上死点に移動して加圧室の容積が最小となるときに、他方のピストンが上死点から下死点(原位置)に復帰して容積が最大となるように、ギア415bに取り付けられるクランクシャフト416a、416bの位置を設定している。具体的には、クランクシャフト416a、416bは、ギア415b中心からの距離が同一かつ180度位相が異なる位置に取り付けられている。
【0051】
制御部7からの指令により、モータ414に通電されると、回転軸が回転し、ピストン411a、411bが互いに反対の位相で上下に往復運動する。すなわち、ピストン411aが、下死点(原位置)から上死点に移動し、水を加圧して給水管路WP4に向けて押し流す間に、ピストン411bは、上死点から下死点(原位置)に復帰する(このとき、アンブレラパッキンが開き、水がシリンダ410b内に流入する)。モータ414の回転とともに、この工程が交互に連続して行わることで、給水管路WP4に給水される水には、周期的な圧力変動すなわち脈動が発生する。この様子を図3に示す。図3は、脈動発生部41から給水された水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートである。
【0052】
図3に示すように、脈動発生部41から給水管路WP4に給水された水の圧力PSUMは、一定の周期で圧力が上下に変動して脈動している。圧力PSUMは、第一の脈動発生部41a、第二の脈動発生部41bそれぞれから出水された水の圧力P1、P2のうち、より高い圧力の水が支配的となって吐水されることを考慮して合成されたものである。水の圧力の最小値(脈動の谷)でも、外部の給水源からの給水圧PINより高くなっている。また、水の圧力の最小値と最大値(脈動のピーク)との差も小さく所定値以下に抑えられている。すなわち、脈動発生部41は、本願発明の振幅調整部として機能している。
【0053】
尚、水に脈動を発生させ、かつ脈動する圧力の最小値を給水圧よりも高くする脈動発生部41としては、上述した2連式のレシプロポンプに限られるものではない。例えば、ギアポンプ、遠心ポンプ等連続的に一定圧を加圧する加圧ポンプに、単動のレシプロポンプや電磁ポンプ等の往復動ポンプを組み合わせるようにしてもよい。また、給水圧がそもそも高い場合等は、脈動発生部41として、一連構成のレシプロポンプや電磁ポンプ等の往復動ポンプのみを用いてもよい。
【0054】
図1に戻って説明を続ける。空気供給ユニット5(水流調整部、空気混入部)は、エアポンプ50を備えている。このエアポンプ50は、制御部7からの指令に基づいて、外部から取り込んだ空気を空気管路AP1に圧送する。エアポンプ50は、後述するように、制御部7からの指令により、水の脈動に合わせて吐出する空気の量及びタイミングが調整される。このようなエアポンプ50としては、例えば、パルス信号の入力により直接吐出量や吐出タイミングが制御可能な電磁式のターボポンプが用いられる。
【0055】
ノズルユニット6(水流調整部)は、水流切替弁60、空気流切替弁61(空気混入部)及びノズル62を備えている。ノズルユニット6は、制御部7の指令に基づいて、お尻用の吐水孔(吐水口)またはビデ用の吐水孔(吐水口)のいずれか一方から、脈動する水をお尻またはビデに向けて吐出するように構成されている。水流切替弁60、空気流切替弁61及びノズル62は、一つのケーシング内に収容されている。
【0056】
水流切替弁60は、例えば、電磁的に駆動されるディスク状の切替弁であり、給水管路WP4と、給水管路WP5及び給水管路WP6との間に配置される。水流切替弁60は、制御部7からの指令に基づいて、給水管路WP5または給水管路WP6への管路の一方を開放することで、脈動発生部41から供給される水の給水先を給水管路WP5または給水管路WP6のいずれかに切り替える。その際、水流切替弁60は、給水管路WP5または給水管路WP6との連結部分の開口面積を調節することで流量調節も同時に行う。すなわち、水流切替弁60は流調切替弁としての機能も備えている。
【0057】
空気流切替弁61は、例えば、電磁的に駆動されるディスク状の切替弁であり、空気管路AP1と、空気管路AP2及び空気管路AP3との間に配置される。空気流切替弁61は、制御部7からの指令に基づいて、空気管路AP2または空気管路AP3への管路の一方を開放することで、エアポンプ50から供給される空気の供給先を、空気管路AP2または空気管路AP3のいずれかに切り替える。
【0058】
ノズル62は、ノズル駆動モータ(図示せず)により駆動されて、衛生洗浄装置1本体の待機位置から、お尻又はビデの各洗浄位置下方まで移動するように構成されている。図4及び図5にノズル62の先端部の様子を示す。図4は、ノズル先端部の概略構成を示す斜視図であり、図5は、図4のノズル先端部のX−X面に沿う断面を模式的に示す断面模式図である。図4及び図5に示すように、ノズル62の先端近傍にはおしり洗浄用の吐水孔620とビデ洗浄用の吐水孔621とが設けられている。ビデ洗浄用の吐水孔621は、お尻洗浄用の吐水孔620よりも先端側に配置されている。
【0059】
図5に示すように、おしり洗浄用の吐水孔620には、給水管路WP5が連通している。給水管路WP5には、吐水孔620の近傍にて空気管路AP2が連結されており、吐水孔620に供給される前に、水に空気が強制的に混入されるようになっている(空気混入の詳細なタイミングについては後述する)。一方、ビデ洗浄用の吐水孔621には、給水管路WP6が連通している。この給水管路WP6には、吐水孔621の近傍にて空気管路AP3が連結されており、吐水孔621に供給される前に、水に空気が強制的に混入されるようになっている(空気混入の詳細なタイミングについては後述する)。尚、水のビデ着水時の刺激を、お尻への着水時の刺激よりも相対的に弱めるために、給水管路WP6の管径を、給水管路WP5の管径よりも大きくしている。これにより、吐水孔621から吐出される水の速度を吐水孔620から吐出される水の速度よりも小さくすることができる。
【0060】
制御部7は、衛生洗浄装置1に配置された各種センサからの入力信号やユーザによる洗浄ボタン等の操作に応じ、給水源からの給水並びに止水、水の温水化、水への脈動付与、水の流路や流調制御、ノズルの進退駆動、水の吐水並びに止水等についての各種制御を行う。
【0061】
制御部7の具体的な構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、制御部7のブロック構成図である。図6に示すように、制御部7は、CPU70と、CPU70で処理される制御プログラムや制御データを記憶するROM71と、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM72及びバックアップRAM73と、入力処理回路74及び出力処理回路75とを有する。これらの要素は、互いにバス76を介して接続されている。制御部7は、入水温度センサ30a、出水温度センサ30bやその他各種センサ(洗浄水量センサ、着座センサ、転倒検知センサ等)からの信号の他、遠隔操作装置における洗浄ボタン等の種々の操作ボタン並びにツマミの操作状況を示す信号を、入力処理回路74を介して有線もしくは無線(例えば光信号)で受け取る。
【0062】
CPU70は、入力された上記信号に基づいて、入水側弁ユニット2の電磁弁22の開閉弁制御、熱交換ユニット3のヒータ30cの通電制御、脈動発生部41のモータの回転制御、エアポンプ50の空気の吐出制御、水流切替弁60や空気流切替弁61の開閉制御、ノズル62の駆動制御やその他の各種制御を行う。その他の各種制御としては、本体表示部の表示制御、局部乾燥用の乾燥ヒータやファンモータ等を含む乾燥部の通電制御、臭気除去用のオゾナイザーや吸引ファンモータ等を含む脱臭部および室内暖房用のヒータやファンモータ等を含む暖房部の通電制御等が含まれる。
【0063】
本実施形態においては、制御部7は、エアポンプ50からの空気の供給タイミング及び供給流量を制御することで、ノズル62から吐出する水に周期的な粗密を発生させるようになっている。この点を以下、図7を用いて詳細に説明する。ここで、図7の(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、図7の(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量変動を示すタイミングチャートである。図8は、ノズルから吐出された水の様子を模式的に示す模式図である。
【0064】
制御部7は、エアポンプ50からの加圧空気の供給量及びそのタイミングを制御することで、吐出される水に含まれる空気の混入量を脈動の一周期おきに交互に異ならせる。具体的には、制御部7は、図7の(B)に示すように、吐出される水に対する空気の混入量が、脈動の周期(T)一つおきに0と所定量(QA)との間で交互に変動するように、エアポンプ50からの加圧空気の供給量とタイミングを制御する。この空気混入量の違いにより、ノズル62から局部に吐出される水には、図7の(A)及び図8に示すように、脈動の周期毎に、特性が互いに異なる吐水群F1とF2とが交互に現れる。尚、図8においては、吐水群F1と吐水群F2との違いを分かりやすく説明するために、ある瞬間に吐出された吐水(吐水f1やf2等)を吐水群F1、F2に分類してひとまとめに示している。実際は、各吐水はひとつひとつ小さな水玉で構成されており、吐水群F1、F2として大きな一つの水塊を構成しているわけではない。
【0065】
吐水群F1は、エアポンプ50からの空気が混入されていない吐水の集合である。吐水群F1の各吐水のなかでは、脈動のピークに吐出された吐水f1(第一の吐水)が、吐出速度及び流量が最大であるため、局部への着水の際の中心的な洗浄感(刺激感)を構成する。吐水群F1を構成する各吐水は、空気を含んでいないため、吐水群F2を構成する各吐水に比べて、見かけの体積が小さくなり、結果として、密度(ρ)が大きく吐出方向の断面積(S)が小さい「密な吐水」となる。この「密な吐水」は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲(面積)が狭くなるから、刺激感のある洗浄感を局部に与える。
【0066】
吐水群F2は、エアポンプ50からの空気が混入されている吐水の集合である。吐水群F2の各吐水のなかでは、脈動のピークに吐出された吐水f2(第二の吐水)が、吐出速度及び流量が最大であるため、局部への着水の際の中心的な洗浄感(たっぷり感)を構成する。吐水群F2を構成する各吐水は、空気が混入されているため、吐水群F1を構成する各吐水に比べて、見かけの体積が大きくなり、結果として、密度(ρ)が小さく吐出方向の断面積(S)が大きな「疎な吐水」となる。この「疎な吐水」は、着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲(面積)が広くなるから、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。
【0067】
図8に示すとおり、吐水群F1と吐水群F2との間隔は、脈動の周期が一定(T)でありかつ周期毎の平均吐出速度も同じであるから、局部に到達するまでほぼ一定の間隔Hに保たれる。これにより、局部には、「疎な吐水」群と「密な吐水」群がほぼ均等の間隔で交互に着水することになる。ここで、使用水量を少なく抑えた場合等は、各吐水群の中でも速度及び流量が最大である吐水f1、吐水f2が特に知覚されやすい。これら吐水f1と吐水f2との間隔は、局部に到達するまでほぼ一定の間隔hに保たれている。吐出タイミングは、ともに脈動の周期のピークで一定であり、かつ吐出速度もともに最大で同一であるためである。すなわち、局部に着水する吐水f1と吐水f2との着水間隔も均等化されている。以上より、本実施形態の水は、交互かつ均等間隔で局部に着水する吐水群F1、F2(または吐水f1、吐水f2)で構成されているので、使用水量の多少にかかわらず、局部に対して、たっぷり感と刺激感とを交互に均等のタイミングで与えることができる。
【0068】
尚、本実施の形態においては、上述したように、脈動発生部41から供給される水は、吐出圧力の最大値が給水圧PINよりも十分高く、かつ脈動の振幅が所定値以下に抑えられている。そのため、十分な強さを持つ速度で吐水され、また吐水間の速度差も小さい。従って、吐水群F1(F2)を構成する各吐水間における追いつき現象(後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し、大きな水玉になってしまう現象)も抑制されている。追いつき現象が発生すると局部に着水する水玉の水玉との間隔が大きくなり断続的な洗浄感が発生してしまうが、本実施形態においては、このような追いつき現象が抑制されているので、断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0069】
以上本発明の実施形態を示したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な態様での実施が可能である。
【0070】
上記実施の形態においては、制御部7は、吐出される水に含まれる空気の混入量を脈動の「1周期おきに」交互に異ならせるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、空気の混入量を脈動の「2周期おきに」異ならせるようにすることが可能である。具体的には、吐出される水に、2つの吐水群F1と2つの吐水群F2とが交互にあらわるようにしてもよい。また例えば、エアポンプ50からの空気の混入を「3周期毎に1回」とすることで、吐出される水に、2つの吐水群F1と1つの吐水群F2とが交互にあらわるようにしてもよい。また例えば、局部への着水の際の中心的な洗浄感を構成する、「脈動の周期のピークのみ」空気の混入量を交互に異ならせるようにしてもよい。これにより、水に含まれる疎密の頻度を変えることができ、たっぷり感と刺激感とをユーザの嗜好にあわせて適宜調節することができる。
【0071】
また上記実施形態では、給水管路WP5(WP6)を径幅が一定の管路とし、ノズル62から吐出される水を、旋回成分をほとんど含まない直進流としているが、これに限定されるものではない。例えば、給水管路WP5(WP6)に渦室を設けて、水に旋回成分を付与してもよい。この場合、刺激感を弱めつつよりたっぷり感のある洗浄感を局部に与えることができる。
【0072】
上述した本実施形態では、脈動発生部41を2連構成のレシプロポンプで構成したけれども、1連構成のレシプロポンプで構成することも可能である。これを、図9を参照しながら説明する。図9は、1連構成のレシプロポンプで構成した脈動発生部41Aの概略構成を示す模式図である。
【0073】
図9に示すように、脈動発生部41Aは、円柱状の空間を有するシリンダ410が設けられている。シリンダ410内には、ピストン411が設けられている。ピストン411には、Oリングが装着されている。ピストン411とシリンダ410とで画された空間が加圧室となる。シリンダ410の側面には、洗浄水入口412が設けられている。そして、給水管路WP3が洗浄水入口412に接続され、加圧室に水を流入させることができるようになっている。洗浄水入口412には、アンブレラパッキンが設けられ、給水管路WP3への逆流を防止している。また、シリンダ410の他方の側面には、洗浄水出口413が設けられている。洗浄水出口413は、給水管路WP4と接続され、シリンダ410内で加圧された水は、給水管路WP4に出水する。
【0074】
モータ414の回転軸にはギア415aが取り付けられ、このギア415aとギア415bとが噛み合っている。ギア415bには、ピストン411を動作させるクランクシャフト416が取り付けられている。クランクシャフト416は、ピストン保持部417を介してピストン411に取り付けられる。
【0075】
制御部7からの指令により、モータ414に通電されると、回転軸が回転し、ピストン411が上下に往復運動する。すなわち、ピストン411が下死点(原位置)から上死点に移動し、水を加圧して給水管路WP4に向けて押す動作と、ピストン411が上死点から下死点(原位置)に復帰し、水をシリンダ410内に流入させる動作とが繰り返される。これにより、給水管路WP4に給水される洗浄水には、周期的な圧力変動すなわち脈動が発生する。
【0076】
上述した本実施形態では、ノズル62の吐水孔620及び吐水孔621に至る流路はそれぞれ単一の流路で構成したけれども、それぞれの孔に至る流路を二流路で形成することも好ましいものである。このように、吐水孔620,621に至る流路を二流路とした例について、図10を参照しながら説明する。図10は、図3のノズル先端部のX−X面に沿う断面を模式的に示す断面模式図である。
【0077】
図10に示すように、給水管路WP5は、給水管路WP5a(第一の流路)と給水管路WP5b(第二の流路)とに分岐している。給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径は同じ大きさに設定されている。給水管路WP5a及び給水管路WP5bには、給水管路WP5から脈動する洗浄水が同じ流量かつ同じ位相で供給される。
【0078】
給水管路WP5aは、ノズル62内で直線状に配設されており、後述する給水管路WP5bのような渦室も有していない。従って、給水管路WP5aから吐水孔620に供給される水(第一の流水)は、旋回度の小さい直進流となる。
【0079】
給水管路WP5bには、略円筒状の中空室を有する渦室622が配設されている。給水管路WP5bの上流側管路は、渦室622の底部に偏心して連結している。渦室622に供給された水は、渦室622の内壁を沿うようにして旋回する。
【0080】
渦室622の天井部近傍には、空気管路AP2が連結されており、洗浄水に空気が強制的に混入されるようになっている。制御部7は、エアポンプ50からの空気の供給タイミング及び供給流量を制御することで、脈動する洗浄水の一周期のうち、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されるようにする。従って、渦室622の天井部から給水管路WP5bの下流側に入った洗浄水は、脈動のピークを含む半周期毎に空気が混入された旋回流となる。
【0081】
給水管路WP5bの流路長は、給水管路WP5aの流路長に比べて意図的に長く設定されている。より具体的には、給水管路WP5bを通って吐水孔620に供給される水(第二の流水)の位相が、給水管路WP5aから吐水孔620に供給される水(第一の流水)の位相に対して反対になる(180度ずれる)ように、給水管路WP5bの流路長が設計されている。この際、渦室622における旋回と空気の強制混入による位相ずれも考慮する。
【0082】
給水管路WP5aと給水管路WP5bは、お尻洗浄用の吐水孔620の近傍直下で連結しており、ここで給水管路WP5a内部を通った直進流と、給水管路WP5b内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔620から吐出される。
【0083】
ビデ洗浄用の吐水孔621に連通する給水管路WP6a、給水管路WP6b及び渦室623についても、上述したお尻洗浄用の吐水孔620に繋がる管路と同様の構成を採用している。異なる点は、給水管路WP6a及び給水管路WP6bの管径を、給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径よりも大きくしている点である。従って、給水管路WP6a内部を通った直進流と給水管路WP6b内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔621から吐出されるようになっている。尚、給水管路WP6a及び給水管路WP6bの管径を給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径よりも大きくしているのは、吐水孔621から吐出される水の速度を吐水孔620から吐出される水の速度よりも小さくするためである。このようにすることで、ビデ着水時の洗浄水の刺激を、お尻への着水時の場合よりも相対的に弱めることができる。
【0084】
図10を参照しながら説明したように、給水管路WP5a(WP6a)と給水管路WP5b(WP6b)は、吐水孔620(621)の近傍直下で連結しており、ここで給水管路WP5a(WP6a)内部を通った直進流と、給水管路WP5b(WP6b)内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔620(621)から吐出されるようになっている。ここで、旋回流には、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されている。これにより、ノズル62の吐水孔620(621)から吐出する洗浄水には、周期的な粗密が発生している。
【0085】
この点を吐水孔620から吐出される洗浄水を例に、図11を参照しながら詳細に説明する。図11の(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、図11の(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量変動を示すタイミングチャートである。尚、ノズルから吐出される水の様子については、図8に示したものと同様になるので、適宜図8を参照しながら説明する。
【0086】
図11の(A)に示すように、給水管路WP5aからの直進流と給水管路WP5bからの旋回流とは、脈動の周期を同じくし、位相が反対であるので、吐水孔620から吐出される水は、直進流が支配的になる周期と、旋回流が支配的になる周期が交互に現れる。これにより、図11の(A)及び図8に示すように、脈動の周期毎に、特性が互いに異なる吐水群F1とF2とが交互に現れる。旋回流には、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されているので、図11の(B)で示すように、旋回流が支配的になる周期に吐水される吐水群F2は空気を所定量(QA)含む。
【0087】
また、図11の(A)に示すとおり、吐出される洗浄水の圧力POUTは、給水管路WP5aからの直進流の圧力P1と給水管路WP5bからの旋回流の圧力P2を、高い圧力の水が支配的に吐水されるということを考慮して合成したものである。吐水の圧力POUTの最大値は外部の給水源からの給水圧PINより十分高くなっている。また、水の振幅(圧力POUTの最小値と最大値との差)も、直進流の圧力P1や旋回流の圧力P2の振幅に比べて小さくなっている。そのため、吐出される水は十分な強さを持った速度であり、また吐水間の速度差も小さい。従って、吐水群F1(F2)を構成する各吐水間における追いつき現象(後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し、大きな水玉になってしまう現象)も抑制されている。追いつき現象が発生すると局部に着水する水玉の水玉との間隔が大きくなり断続的な洗浄感が発生してしまうが、本例においては、このような追いつき現象が抑制されているので、断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0088】
本例においては、給水管路WP5a(WP6a)及び給水管路WP5b(WP6b)に同位相で流入した水が管路の出口において位相が反対になるように、給水管路の流路長を調整している。しかしながら、吐水孔620(621)に供給する洗浄水の位相を反対にする手段はこれに限定されるものではない。例えば、給水管路WP5a(WP6a)と給水管路WP5b(WP6b)の蓄圧量を異ならせることで、管路の出口に供給される洗浄水の位相を互いに反対にするようにしてもよい。
【0089】
蓄圧量は、例えば、給水管路WP5b(WP6b)の管路にアキュムレータを設けたり、給水管路WP5b(WP6b)の管路を給水管路WP5a(WP6b)よりも弾力性の大きい部材で構成したりすることで調整可能である。さらには、給水管路WP5b(WP6b)に空気を混入し、空気によるダンパ効果を発生させて、管路の見かけ上の弾性をWP5a(WP6b)よりも大きくすることでも蓄圧量の調整は可能である。また例えば、給水管路WP5a(WP6a)及び給水管路WP5b(WP6b)に最初から位相が反対の水を流入させるようにしても蓄圧量の調整は可能である。例えば、脈動発生部41aを2つ設け、それぞれの脈動発生部41aから互いに反対の位相で脈動する水を発生させ、一方を給水管路WP5a(WP6a)に他方を給水管路WP5b(WP6b)に流入させるようにしてもよい。
【0090】
また、本例においては、直進流と空気が混入された旋回流とを合流させて吐出することで、吐水に粗密の異なる吐水群F1、F2を形成するようにしているが、吐水に粗密の異なる吐水群F1、F2が形成されるのであれば、これに限定されない。例えば、互いに空気の混入量が異なる直進流と直進流とを合流させ吐出させてもよいし、互いに旋回度の異なる旋回流と旋回流とを合流させて吐出させてもよい。これにより、吐水に含まれる疎密の度合いを変えることができ、たっぷり感と刺激感とをユーザの嗜好にあわせて適宜調節することができる。
【0091】
上記実施形態においては、お尻等を洗浄するために用いられる温水洗浄装置を例に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、局部を洗浄するためのシャワー等にも適用可能である。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0093】
1:衛生洗浄装置
2:入水側弁ユニット
20:ストレーナ
21:逆止弁
22:電磁弁
23:調圧弁
3:熱交換ユニット
30:熱交換部
30a:入水温度センサ
30b:出水温度センサ
30c:ヒータ
30d:フロートスイッチ
31:バキュームブレーカ
32:安全弁
4:脈動発生ユニット
40:アキュムレータ
41:脈動発生部
41a:第一の脈動発生部
41b:第二の脈動発生部
5:空気供給ユニット
50:エアポンプ
6:ノズルユニット
60:水流切替弁
61:空気流切替弁
62:ノズル
7:制御部
73:バックアップRAM
74:入力処理回路
75:出力処理回路
76:バス
410:シリンダ
410a:シリンダ
410b:シリンダ
411:ピストン
411a:ピストン
411b:ピストン
412:洗浄水入口
412a:洗浄水入口
413:洗浄水出口
413a:洗浄水出口
414:モータ
415a:ギア
415b:ギア
416:クランクシャフト
416a:クランクシャフト
416b:クランクシャフト
417::ストン保持部
417a ピストン保持部
620,621:吐水孔
622:渦室
623:渦室
AP1:空気管路
AP2:空気管路
AP3:空気管路
DP:捨水管路
f1:吐水
F1:吐水群
f2:吐水
F2:吐水群
WP1:給水管路
WP2:給水管路
WP3:給水管路
WP4:給水管路
WP5:給水管路
WP5a:給水管路
WP5b:給水管路
WP6:給水管路
WP6a:給水管路
WP6b:給水管路
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような衛生洗浄装置においては、使用水量を少なくしつつも、心地よい洗浄感を実現することが求められ、開発が進められている。心地よい洗浄感とは、より具体的には、たっぷり感(大量の水で洗浄されている感触)と刺激感(強く洗浄されている感触)とが両立された洗浄感である。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された衛生洗浄装置においては、出口を人体の局部に指向させたオリフィス部を設け、洗浄水が何らの障害を受けずに局部に衝突するように構成されている。このように構成することで、刺激感のある洗浄を実現している。この衛生洗浄装置は、オリフィス部の周囲に空気取入口を設け、この取入口からエジェクタ効果により空気を取り込んでもいる。このように空気を取り込むことで、吐出される洗浄水の表面を乱して噴流に疎密をつけることが可能となり、たっぷり感のある洗浄を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、エジェクタ効果を利用した自然吸気により空気を取り込むものであり、洗浄水への空気の混入量や混入のタイミングが随時変動する。そのため、オリフィス部から吐出される洗浄水に疎密の間隔が不均等になり、洗浄水が局部に着水した際に違和感や断続感を生じさせてしまっていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、低水量でたっぷり感と刺激感のある洗浄感を実現しつつ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る衛生洗浄装置は、ノズルの吐水口から使用者の局部に水を吐出する衛生洗浄装置であって、周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズルと、吐出される水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される流水を調整する水流調整部と、を備える。前記第一の吐水は前記局部に第一の密度及び第一の面積で着水し、前記第二の吐水は前記局部に第二の密度及び第二の面積で着水する。前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きく、前記第一の面積は前記第二の面積よりも小さい。
【0008】
第一の吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲が狭くなるから、刺激感のある洗浄感を局部に与える。第二の吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲が広くなるから、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。ここで、第一の吐水と第二の吐水は、水の脈動のピークにそれぞれ交互に含まれる。従って、第一の吐水と第二の吐水の吐出タイミングは一定の間隔を保ち、また吐出時の速度差も小さいから、局部における第一の吐水と第二の吐水との着水間隔が均等化される。これにより、局部に対して、刺激感とたっぷり感のある洗浄感を交互に一定の時間間隔で与えることができ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制することができる。しかも、脈動のピークに含まれる第一の吐水及び第二の吐水を用いてこのような洗浄感を創出しているので、同じ水量の水を一定圧で吐出する場合に比べて、より強い刺激感とたっぷり感のある洗浄感を与えることができる。換言すれば、同じ洗浄感を得るためにはより少ない水量で済むことになる。
【0009】
尚、上記構成において「交互に含まれる」とは、水の脈動のピーク毎に第一の吐水、第二の吐水がこの順番で一回ずつ含まれることに限定されるものではない。例えば、水の脈動のピークに第一の吐水が2回連続して含まれ、次に第二の吐水が2回連続して含まれるような態様も含まれる。また例えば、水の脈動のピークに第一の吐水が2回連続して含まれ、次に第二の吐水が1回含まれるような態様も、上記「交互」に含まれる。
【0010】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記ノズルから吐出される水の脈動の振幅を所定値以下にする振幅調整部を備えることも好ましい。
【0011】
水の脈動の振幅を所定値よりも小さくするので、先に吐出された吐水と後に吐出される吐水との速度差を一定の範囲に抑えることができる。従って、後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し大きな水玉になってしまうことを抑制できる。過度に大きな水玉が発生すると、局部に着水する水玉と水玉との間隔が長くなり断続的な洗浄感が発生しまうが、上記構成により、そのような断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0012】
尚、「所定値」は、衛生洗浄装置毎に種々設定することができ、例えば、吐水口から局部までの距離や吐出される水の最大及び最小速度等に基づいて設定される。
【0013】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、外部の給水源から水の供給を受ける給水管路を備え、前記吐水口から吐出される水の圧力の最小値は、前記給水源からの給水圧力よりも高いことも好ましい。
【0014】
このように水の圧力の最小値が外部の給水源からの給水圧力より高いから、吐出される水全体として速度の遅い吐水がなくなり、吐水の速度差が抑えられる。これにより、速度が相対的に小さい吐水であっても、後に吐出された速度が相対的に大きい吐水に追いつかれる前に局部に到達することができる。従って、吐水の追いつきによる粒成長が抑制でき、着水と着水との間隔が長くなってしまうことが抑制される。これにより、局部において断続的な洗浄感が発生してしまうことを抑制できる。
【0015】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、脈動する水を前記吐水口に供給する一つの流路と、前記一つの流路に連結され、その流路を流れる水に空気を混入する空気混入部と、を有し、前記空気供給部は、前記ノズルから吐出される水の脈動のピークに、空気の混入量が異なる吐水が交互に含まれるように前記水に空気を混入することも好ましい。
【0016】
空気の混入量が多ければ、混入した空気の分、水の見かけの体積が大きくなるから、吐出された水の密度は小さくなり、吐出方向の断面積(吐出方向を法線とする面を通過する水の面積)が大きい水が形成される。反対に空気の混入が少なければ、吐出された水の密度は大きくなり、吐出方向の断面積が小さい水が形成される。従って、上記構成においては、水の脈動のピーク毎に交互に空気の混入量が異なるように水に空気を混入することで、吐出される水の脈動のピークに第一の吐水と第二の吐水とを交互に含ませることができる。すなわち、一つの流路と空気混入部という簡単な構成で水流調整部を構成することができる。
【0017】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、周期的に圧力が変動して脈動する第一の流水を前記吐水口に供給する第一の流路と、周期的に圧力が変動して脈動する第二の流水を、前記第一の流水とは反対の位相で前記吐水口に供給する第二の流路と、を有することも好ましい。前記第一の流水は前記吐水口から前記第一の吐水として吐出され、前記第二の流水は前記吐水口から前記第二の吐水として吐出される。前記第一の吐水は、前記吐水口から前記第二の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出される。前記第二の吐水は、前記吐水口から前記第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される。
【0018】
流速(流量)が異なる流水が合流する際は、流速(流量)が大きいほうの流水が支配的になるところ、上記構成によれば、脈動する第一の流水と第二の流水とが互いに反対の位相で吐出口に供給されるから、吐出される水には、第一の流水が支配的になる周期と、第二の流水が支配的になる周期とが交互に現れる。ここで、第一の流水は第一の吐水として、第二の吐水に比べて密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出される。第一の流水が支配的になる周期に吐出された吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲が狭くなり、刺激感のある洗浄感を局部に与える。また、第二の流水は第二の吐水として、第一の吐水に比べて密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される。第二の流水が支配的になる周期に吐出された吐水は、局部への着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲が広くなり、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。
【0019】
そして、第一の流水が支配的になる周期と、第二の流水が支配的になる周期は、水の脈動に合わせて交互に現れるから、局部に対して、刺激感とたっぷり感のある洗浄感を交互に一定の時間間隔で与えることができる。これにより、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制することができる。また、吐出される水は、第一の流水と第二の流水が合流されたものとなるので、水の吐出圧力を全体的に高めることができる。これにより、同じ水量の水を一定圧で吐出する場合に比べて、より強い刺激感とたっぷり感のある洗浄感を与えることができる。換言すれば、同じ洗浄感を得るためにはより少ない水量で済むことになる。
【0020】
しかも、吐出される水は、第一の流水と第二の流水が合流されたものとなるので、脈動の振幅は第一の流水や第二の流水に比べて小さい。これにより、先に吐出された吐水と後に吐出される吐水との速度差を一定の範囲に抑えることができる。従って、後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し大きな水玉になってしまうことを抑制できる。過度に大きな水玉が発生すると、局部に着水する水玉と水玉との間隔が長くなり断続的な洗浄感が発生しまうが、上記構成により、そのような断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0021】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、前記第一の流路及び前記第二の流路に連結され、前記第一の流水及び前記第二の流水それぞれに空気を混入する空気混入部を有することも好ましい。前記吐水口における前記第二の流水における空気の混入量は、前記第一の流水における空気の混入量よりも大きいことも好ましい。
【0022】
上記構成によれば、吐水口において、第二の流水には、第一の流水よりも多くの空気が混入されているので、第一の流水よりも見かけ上の体積が大きくなる。従って、空気の混入量を異ならせるという簡易な構成で、第二の流水が吐出された第二の吐水を、第一の流水が吐出された第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きい状態とすることができる。なお、第一の流水には空気が混入されていなくとも(すなわち第一の流水の空気の混入量が0であっても)かまわない。
【0023】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、前記第一の流水及び前記第二の流水を旋回させながら前記吐水口に供給するものであって、前記吐水口における前記第二の流水の旋回度は、前記第一の流水の旋回度よりも大きいことも好ましい。
【0024】
上記構成によれば、吐水口における第二の流水の旋回度は、第一の流水の旋回度よりも大きいので、第二の流水が吐出された第二の吐水は、第一の流水が吐出された第一の吐水よりも吐出された方向に広がりながら進行する。従って、吐水口に至る流水の旋回度を異ならせるという簡易な構成で、第二の吐水を、第一の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が大きい状態とすることができる。
【0025】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記吐水口における前記第一の流水が直進流であることも好ましい。
【0026】
上記構成によれば、第一の流水は直進流であるので、旋回流に比べて密度が大きく断面積が小さい。従って、第一の流水が支配的になる周期に吐出された吐水により、局部に対してより強い刺激を与えることができる。
【0027】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記水流調整部は、水を周期的に加圧して脈動を発生させるポンプと、前記ポンプで脈動が発生した水を前記第一の流路と前記第二の流路とに分配する分配部と、を有することも好ましい。
【0028】
上記構成によれば、ポンプで脈動が発生した水を第一の流路と第二の流路とに分配するので、第一の流水及び第二の流水の周期的な脈動を一つのポンプで発生させることができる。従って、衛生洗浄装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0029】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記第一の流路と前記第二の流路の流路長を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給されることも好ましい。
【0030】
上記構成によれば、第一の流路と第二の流路に同じ位相で脈動する水が供給されたとしても、第一の流路と前記第二の流路の流路長を調整するという簡単な方法で、第一の流水と第二の流水の位相を吐出口において反対にすることができる。
【0031】
また本発明に係る衛生洗浄装置では、前記第一の流路と前記第二の流路における蓄圧量を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給されることも好ましい。
【0032】
上記構成によれば、第一の流路と第二の流路に同じ位相で脈動する水が供給されたとしても、第一の流路と第二の流路における蓄圧量を異ならせるという簡単な方法で、第一の流水と第二の流水の位相を吐出口において反対にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、低水量でたっぷり感と刺激感のある洗浄感を実現しつつ、局部への着水の不均等による違和感や断続感を抑制する衛生洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】衛生洗浄装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】衛生洗浄装置の脈動発生部の概略構成を示す模式図である。
【図3】脈動発生部から給水された水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートである。
【図4】ノズル先端部の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示すノズル先端部のX−X断面を模式的に示す断面模式図である。
【図6】衛生洗浄装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】脈動水の状態を示すタイミングチャートであって、(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量の変動を示すタイミングチャートである。
【図8】ノズルから吐出された水の様子を模式的に示す模式図である。
【図9】図2に示す脈動発生部の変形例の概略構成を示す模式図である。
【図10】図5に示すノズル先端部の変形例を模式的に示す断面模式図である。
【図11】図9及び図10に示した変形例を採用した場合の脈動水の状態を示すタイミングチャートであって、(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量の変動を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0036】
はじめに、図1を参照しながら、本発明の一実施形態である衛生洗浄装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置1の全体構成を示す概略構成図である。この衛生洗浄装置1は、便座に取り付けられる温水洗浄装置であり、お尻といった局部を洗浄するために用いられる。
【0037】
衛生洗浄装置1は、入水側弁ユニット2、熱交換ユニット3、脈動発生ユニット4、空気供給ユニット5、ノズルユニット6及び制御部7を備えている。
【0038】
外部の給水源(例えば水道管)から入水側弁ユニット2に導かれた水は、熱交換ユニット3において温水とされる。温水には、脈動発生ユニット4において脈動が付与され、空気供給ユニット5により空気が混入される。脈動が付与され空気が混入された温水は、ノズルユニット6から局部(お尻やビデ)に吐出される。これら各ユニットは、衛生洗浄装置1のケーシング内に収納されており、給水管路または空気管路を介してそれぞれ接続されている。制御部7は、上記各ユニットと有線または無線により接続され、各ユニットの各種動作を制御するようになっている。以下、各構成の詳細を説明する。
【0039】
入水側弁ユニット2には、給水源に接続する給水管路WP1が繋がれている。この給水管路WP1の上流側から下流側に沿ってストレーナ20、逆止弁21、電磁弁22及び調圧弁23が配設されている。給水管路WP1によって給水源から導入された水(例えば、水道水)は、入水側弁ユニット2のストレーナ20でゴミ等が捕捉され、逆止弁21に流れ込む。そして、電磁弁22が開かれると、水は調圧弁23に流れ込み、所定の圧力(例えば、給水圧:0.110MPa)に調圧された状態で、給水管路WP2を通って瞬間加熱方式の熱交換ユニット3に流入する。このように調圧を受けて流入する水の流量は、200〜600cc/min程度となっている。尚、給水管路WP1を給水源ではなく、便器洗浄用の水を貯留する洗浄水タンク(図示せず)に接続して、入水側弁ユニット2に配管することもできる。
【0040】
熱交換ユニット3は、給水管路WP2の上流側から下流側に沿って、熱交換部30、バキュームブレーカ31及び安全弁32を備える。熱交換ユニット3は、給水管路WP2を介して入水側弁ユニット2から流入された水を所定の設定温度に温めて、水を温水とする。温水化した水は、給水管路WP3を通って脈動発生ユニット4に流入されるように構成されている。
【0041】
熱交換部30は、熱交換部30へ流入する水の温度を入水温度センサ30aで検出し、熱交換部30から流出する水の温度を出水温度センサ30bで検出している。それらの検出温度を基にして、水の温度が所定の設定温度となるようにヒータ30cにより水を加熱する。ヒータ30cは、制御部7によってフィード・フォワード制御とフィードバック制御を組み合わせて最適制御される。また、熱交換部30は、熱交換部30内の水位を検出するフロートスイッチ30dを有する。このフロートスイッチ30dは、ヒータ30cが水没する所定の水位以下になるとその旨の信号を制御部7に出力するように構成されている。制御部7は、この信号の入力があった場合、ヒータ30cへの通電を停止する。従って、水没していないヒータ30cに通電し、ヒータ30cがいわゆる空焚き状態になることを防止することができる。
【0042】
バキュームブレーカ31は、熱交換部30の出口と給水管路WP3との接続箇所に配設されている。バキュームブレーカ31は、給水管路WP3内が負圧になった場合に、給水管路WP3内に大気を導入する。これにより、熱交換部30下流側にある水をノズルユニット6から排出させ、熱交換部30の下流側の給水管路WP3から熱交換部30に水が逆流することを防止する。
【0043】
安全弁32は、給水管路WP3内の水圧が所定値を超えると開弁する。安全弁32が開弁すると、捨水管路DPへ水を排出することが可能となり、異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止している。
【0044】
脈動発生ユニット4(水流調整部)は、給水管路WP3の上流側からアキュムレータ40と脈動発生部41とを備えている。
【0045】
アキュムレータ40は、ハウジングと、ハウジング内のダンパ室と、このダンパ室に配置されたダンパとを有する。アキュムレータ40は、ダンパの作用により脈動発生部41の上流側の給水管路WP3にかかる水撃を低減する。このため、熱交換部30の水の温度分布に及ぼす水撃の影響を緩和することができ、水の温度を安定化することができる。アキュムレータ40は、脈動発生部41に近接配置するか、または脈動発生部41と一体的に配置することが好ましい。このように配置することで、脈動発生部41で発生された脈動を上流側に伝播することを速やかにかつ効果的に回避できる。
【0046】
脈動発生部41は、2連構成のレシプロポンプで構成されている。これを、図2を参照しながら説明する。図2は、脈動発生部41の概略構成を示す模式図である。
【0047】
図2に示すように、脈動発生部41は、第一の脈動発生部41aと第二の脈動発生部41bとを備える2連構成のレシプロポンプで構成されている。第一の脈動発生部41aと第二の脈動発生部41bには、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ410a、410bが設けられている。シリンダ410a、410b内には、ピストン411a、411bが設けられている。ピストン411a、411bには、Oリングが装着されている。ピストン411a、411bとシリンダ410a、410bとで画されたそれぞれの空間が加圧室となる。
【0048】
シリンダ410a、410bには、洗浄水入口412a、412bがそれぞれ設けられている。そして、給水管路WP3から分岐された管路が洗浄水入口412a、412bに接続され、給水管路WP3から加圧室に水を流入させることができるようになっている。洗浄水入口412a、412bには、アンブレラパッキンが設けられ、給水管路WP3への逆流を防止している。また、シリンダ410a、410bの天井部分には洗浄水出口413a、413bがそれぞれ設けられている。洗浄水出口413a、413bには配管がそれぞれ接続されており、接続されたそれぞれの配管が合流部を介して給水管路WP4と接続されている。そのため、シリンダ410a、410bから流出した水は、途中で合流して、加圧された水として給水管路WP4に出水する。
【0049】
モータ414の回転軸にはギア415aが取り付けられ、このギア415aとギア415bとが噛み合っている。ギア415bには、第一の脈動発生部41aのピストン411aを動作させるクランクシャフト416aと、第二の脈動発生部41bのピストン411bを動作させるクランクシャフト416bとがそれぞれ異なる位置に取り付けられている。クランクシャフト416a、416bは、ピストン保持部417a、417bを介してピストン411a、411bに取り付けられる。
【0050】
本実施の形態においては、一方のピストンが下死点(原位置)から上死点に移動して加圧室の容積が最小となるときに、他方のピストンが上死点から下死点(原位置)に復帰して容積が最大となるように、ギア415bに取り付けられるクランクシャフト416a、416bの位置を設定している。具体的には、クランクシャフト416a、416bは、ギア415b中心からの距離が同一かつ180度位相が異なる位置に取り付けられている。
【0051】
制御部7からの指令により、モータ414に通電されると、回転軸が回転し、ピストン411a、411bが互いに反対の位相で上下に往復運動する。すなわち、ピストン411aが、下死点(原位置)から上死点に移動し、水を加圧して給水管路WP4に向けて押し流す間に、ピストン411bは、上死点から下死点(原位置)に復帰する(このとき、アンブレラパッキンが開き、水がシリンダ410b内に流入する)。モータ414の回転とともに、この工程が交互に連続して行わることで、給水管路WP4に給水される水には、周期的な圧力変動すなわち脈動が発生する。この様子を図3に示す。図3は、脈動発生部41から給水された水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートである。
【0052】
図3に示すように、脈動発生部41から給水管路WP4に給水された水の圧力PSUMは、一定の周期で圧力が上下に変動して脈動している。圧力PSUMは、第一の脈動発生部41a、第二の脈動発生部41bそれぞれから出水された水の圧力P1、P2のうち、より高い圧力の水が支配的となって吐水されることを考慮して合成されたものである。水の圧力の最小値(脈動の谷)でも、外部の給水源からの給水圧PINより高くなっている。また、水の圧力の最小値と最大値(脈動のピーク)との差も小さく所定値以下に抑えられている。すなわち、脈動発生部41は、本願発明の振幅調整部として機能している。
【0053】
尚、水に脈動を発生させ、かつ脈動する圧力の最小値を給水圧よりも高くする脈動発生部41としては、上述した2連式のレシプロポンプに限られるものではない。例えば、ギアポンプ、遠心ポンプ等連続的に一定圧を加圧する加圧ポンプに、単動のレシプロポンプや電磁ポンプ等の往復動ポンプを組み合わせるようにしてもよい。また、給水圧がそもそも高い場合等は、脈動発生部41として、一連構成のレシプロポンプや電磁ポンプ等の往復動ポンプのみを用いてもよい。
【0054】
図1に戻って説明を続ける。空気供給ユニット5(水流調整部、空気混入部)は、エアポンプ50を備えている。このエアポンプ50は、制御部7からの指令に基づいて、外部から取り込んだ空気を空気管路AP1に圧送する。エアポンプ50は、後述するように、制御部7からの指令により、水の脈動に合わせて吐出する空気の量及びタイミングが調整される。このようなエアポンプ50としては、例えば、パルス信号の入力により直接吐出量や吐出タイミングが制御可能な電磁式のターボポンプが用いられる。
【0055】
ノズルユニット6(水流調整部)は、水流切替弁60、空気流切替弁61(空気混入部)及びノズル62を備えている。ノズルユニット6は、制御部7の指令に基づいて、お尻用の吐水孔(吐水口)またはビデ用の吐水孔(吐水口)のいずれか一方から、脈動する水をお尻またはビデに向けて吐出するように構成されている。水流切替弁60、空気流切替弁61及びノズル62は、一つのケーシング内に収容されている。
【0056】
水流切替弁60は、例えば、電磁的に駆動されるディスク状の切替弁であり、給水管路WP4と、給水管路WP5及び給水管路WP6との間に配置される。水流切替弁60は、制御部7からの指令に基づいて、給水管路WP5または給水管路WP6への管路の一方を開放することで、脈動発生部41から供給される水の給水先を給水管路WP5または給水管路WP6のいずれかに切り替える。その際、水流切替弁60は、給水管路WP5または給水管路WP6との連結部分の開口面積を調節することで流量調節も同時に行う。すなわち、水流切替弁60は流調切替弁としての機能も備えている。
【0057】
空気流切替弁61は、例えば、電磁的に駆動されるディスク状の切替弁であり、空気管路AP1と、空気管路AP2及び空気管路AP3との間に配置される。空気流切替弁61は、制御部7からの指令に基づいて、空気管路AP2または空気管路AP3への管路の一方を開放することで、エアポンプ50から供給される空気の供給先を、空気管路AP2または空気管路AP3のいずれかに切り替える。
【0058】
ノズル62は、ノズル駆動モータ(図示せず)により駆動されて、衛生洗浄装置1本体の待機位置から、お尻又はビデの各洗浄位置下方まで移動するように構成されている。図4及び図5にノズル62の先端部の様子を示す。図4は、ノズル先端部の概略構成を示す斜視図であり、図5は、図4のノズル先端部のX−X面に沿う断面を模式的に示す断面模式図である。図4及び図5に示すように、ノズル62の先端近傍にはおしり洗浄用の吐水孔620とビデ洗浄用の吐水孔621とが設けられている。ビデ洗浄用の吐水孔621は、お尻洗浄用の吐水孔620よりも先端側に配置されている。
【0059】
図5に示すように、おしり洗浄用の吐水孔620には、給水管路WP5が連通している。給水管路WP5には、吐水孔620の近傍にて空気管路AP2が連結されており、吐水孔620に供給される前に、水に空気が強制的に混入されるようになっている(空気混入の詳細なタイミングについては後述する)。一方、ビデ洗浄用の吐水孔621には、給水管路WP6が連通している。この給水管路WP6には、吐水孔621の近傍にて空気管路AP3が連結されており、吐水孔621に供給される前に、水に空気が強制的に混入されるようになっている(空気混入の詳細なタイミングについては後述する)。尚、水のビデ着水時の刺激を、お尻への着水時の刺激よりも相対的に弱めるために、給水管路WP6の管径を、給水管路WP5の管径よりも大きくしている。これにより、吐水孔621から吐出される水の速度を吐水孔620から吐出される水の速度よりも小さくすることができる。
【0060】
制御部7は、衛生洗浄装置1に配置された各種センサからの入力信号やユーザによる洗浄ボタン等の操作に応じ、給水源からの給水並びに止水、水の温水化、水への脈動付与、水の流路や流調制御、ノズルの進退駆動、水の吐水並びに止水等についての各種制御を行う。
【0061】
制御部7の具体的な構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、制御部7のブロック構成図である。図6に示すように、制御部7は、CPU70と、CPU70で処理される制御プログラムや制御データを記憶するROM71と、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM72及びバックアップRAM73と、入力処理回路74及び出力処理回路75とを有する。これらの要素は、互いにバス76を介して接続されている。制御部7は、入水温度センサ30a、出水温度センサ30bやその他各種センサ(洗浄水量センサ、着座センサ、転倒検知センサ等)からの信号の他、遠隔操作装置における洗浄ボタン等の種々の操作ボタン並びにツマミの操作状況を示す信号を、入力処理回路74を介して有線もしくは無線(例えば光信号)で受け取る。
【0062】
CPU70は、入力された上記信号に基づいて、入水側弁ユニット2の電磁弁22の開閉弁制御、熱交換ユニット3のヒータ30cの通電制御、脈動発生部41のモータの回転制御、エアポンプ50の空気の吐出制御、水流切替弁60や空気流切替弁61の開閉制御、ノズル62の駆動制御やその他の各種制御を行う。その他の各種制御としては、本体表示部の表示制御、局部乾燥用の乾燥ヒータやファンモータ等を含む乾燥部の通電制御、臭気除去用のオゾナイザーや吸引ファンモータ等を含む脱臭部および室内暖房用のヒータやファンモータ等を含む暖房部の通電制御等が含まれる。
【0063】
本実施形態においては、制御部7は、エアポンプ50からの空気の供給タイミング及び供給流量を制御することで、ノズル62から吐出する水に周期的な粗密を発生させるようになっている。この点を以下、図7を用いて詳細に説明する。ここで、図7の(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、図7の(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量変動を示すタイミングチャートである。図8は、ノズルから吐出された水の様子を模式的に示す模式図である。
【0064】
制御部7は、エアポンプ50からの加圧空気の供給量及びそのタイミングを制御することで、吐出される水に含まれる空気の混入量を脈動の一周期おきに交互に異ならせる。具体的には、制御部7は、図7の(B)に示すように、吐出される水に対する空気の混入量が、脈動の周期(T)一つおきに0と所定量(QA)との間で交互に変動するように、エアポンプ50からの加圧空気の供給量とタイミングを制御する。この空気混入量の違いにより、ノズル62から局部に吐出される水には、図7の(A)及び図8に示すように、脈動の周期毎に、特性が互いに異なる吐水群F1とF2とが交互に現れる。尚、図8においては、吐水群F1と吐水群F2との違いを分かりやすく説明するために、ある瞬間に吐出された吐水(吐水f1やf2等)を吐水群F1、F2に分類してひとまとめに示している。実際は、各吐水はひとつひとつ小さな水玉で構成されており、吐水群F1、F2として大きな一つの水塊を構成しているわけではない。
【0065】
吐水群F1は、エアポンプ50からの空気が混入されていない吐水の集合である。吐水群F1の各吐水のなかでは、脈動のピークに吐出された吐水f1(第一の吐水)が、吐出速度及び流量が最大であるため、局部への着水の際の中心的な洗浄感(刺激感)を構成する。吐水群F1を構成する各吐水は、空気を含んでいないため、吐水群F2を構成する各吐水に比べて、見かけの体積が小さくなり、結果として、密度(ρ)が大きく吐出方向の断面積(S)が小さい「密な吐水」となる。この「密な吐水」は、局部への着水時の単位面積当たりの力が大きい一方で着水する範囲(面積)が狭くなるから、刺激感のある洗浄感を局部に与える。
【0066】
吐水群F2は、エアポンプ50からの空気が混入されている吐水の集合である。吐水群F2の各吐水のなかでは、脈動のピークに吐出された吐水f2(第二の吐水)が、吐出速度及び流量が最大であるため、局部への着水の際の中心的な洗浄感(たっぷり感)を構成する。吐水群F2を構成する各吐水は、空気が混入されているため、吐水群F1を構成する各吐水に比べて、見かけの体積が大きくなり、結果として、密度(ρ)が小さく吐出方向の断面積(S)が大きな「疎な吐水」となる。この「疎な吐水」は、着水時の単位面積当たりの力が小さい一方で着水する範囲(面積)が広くなるから、たっぷり感のある洗浄感を局部に与える。
【0067】
図8に示すとおり、吐水群F1と吐水群F2との間隔は、脈動の周期が一定(T)でありかつ周期毎の平均吐出速度も同じであるから、局部に到達するまでほぼ一定の間隔Hに保たれる。これにより、局部には、「疎な吐水」群と「密な吐水」群がほぼ均等の間隔で交互に着水することになる。ここで、使用水量を少なく抑えた場合等は、各吐水群の中でも速度及び流量が最大である吐水f1、吐水f2が特に知覚されやすい。これら吐水f1と吐水f2との間隔は、局部に到達するまでほぼ一定の間隔hに保たれている。吐出タイミングは、ともに脈動の周期のピークで一定であり、かつ吐出速度もともに最大で同一であるためである。すなわち、局部に着水する吐水f1と吐水f2との着水間隔も均等化されている。以上より、本実施形態の水は、交互かつ均等間隔で局部に着水する吐水群F1、F2(または吐水f1、吐水f2)で構成されているので、使用水量の多少にかかわらず、局部に対して、たっぷり感と刺激感とを交互に均等のタイミングで与えることができる。
【0068】
尚、本実施の形態においては、上述したように、脈動発生部41から供給される水は、吐出圧力の最大値が給水圧PINよりも十分高く、かつ脈動の振幅が所定値以下に抑えられている。そのため、十分な強さを持つ速度で吐水され、また吐水間の速度差も小さい。従って、吐水群F1(F2)を構成する各吐水間における追いつき現象(後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し、大きな水玉になってしまう現象)も抑制されている。追いつき現象が発生すると局部に着水する水玉の水玉との間隔が大きくなり断続的な洗浄感が発生してしまうが、本実施形態においては、このような追いつき現象が抑制されているので、断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0069】
以上本発明の実施形態を示したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な態様での実施が可能である。
【0070】
上記実施の形態においては、制御部7は、吐出される水に含まれる空気の混入量を脈動の「1周期おきに」交互に異ならせるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、空気の混入量を脈動の「2周期おきに」異ならせるようにすることが可能である。具体的には、吐出される水に、2つの吐水群F1と2つの吐水群F2とが交互にあらわるようにしてもよい。また例えば、エアポンプ50からの空気の混入を「3周期毎に1回」とすることで、吐出される水に、2つの吐水群F1と1つの吐水群F2とが交互にあらわるようにしてもよい。また例えば、局部への着水の際の中心的な洗浄感を構成する、「脈動の周期のピークのみ」空気の混入量を交互に異ならせるようにしてもよい。これにより、水に含まれる疎密の頻度を変えることができ、たっぷり感と刺激感とをユーザの嗜好にあわせて適宜調節することができる。
【0071】
また上記実施形態では、給水管路WP5(WP6)を径幅が一定の管路とし、ノズル62から吐出される水を、旋回成分をほとんど含まない直進流としているが、これに限定されるものではない。例えば、給水管路WP5(WP6)に渦室を設けて、水に旋回成分を付与してもよい。この場合、刺激感を弱めつつよりたっぷり感のある洗浄感を局部に与えることができる。
【0072】
上述した本実施形態では、脈動発生部41を2連構成のレシプロポンプで構成したけれども、1連構成のレシプロポンプで構成することも可能である。これを、図9を参照しながら説明する。図9は、1連構成のレシプロポンプで構成した脈動発生部41Aの概略構成を示す模式図である。
【0073】
図9に示すように、脈動発生部41Aは、円柱状の空間を有するシリンダ410が設けられている。シリンダ410内には、ピストン411が設けられている。ピストン411には、Oリングが装着されている。ピストン411とシリンダ410とで画された空間が加圧室となる。シリンダ410の側面には、洗浄水入口412が設けられている。そして、給水管路WP3が洗浄水入口412に接続され、加圧室に水を流入させることができるようになっている。洗浄水入口412には、アンブレラパッキンが設けられ、給水管路WP3への逆流を防止している。また、シリンダ410の他方の側面には、洗浄水出口413が設けられている。洗浄水出口413は、給水管路WP4と接続され、シリンダ410内で加圧された水は、給水管路WP4に出水する。
【0074】
モータ414の回転軸にはギア415aが取り付けられ、このギア415aとギア415bとが噛み合っている。ギア415bには、ピストン411を動作させるクランクシャフト416が取り付けられている。クランクシャフト416は、ピストン保持部417を介してピストン411に取り付けられる。
【0075】
制御部7からの指令により、モータ414に通電されると、回転軸が回転し、ピストン411が上下に往復運動する。すなわち、ピストン411が下死点(原位置)から上死点に移動し、水を加圧して給水管路WP4に向けて押す動作と、ピストン411が上死点から下死点(原位置)に復帰し、水をシリンダ410内に流入させる動作とが繰り返される。これにより、給水管路WP4に給水される洗浄水には、周期的な圧力変動すなわち脈動が発生する。
【0076】
上述した本実施形態では、ノズル62の吐水孔620及び吐水孔621に至る流路はそれぞれ単一の流路で構成したけれども、それぞれの孔に至る流路を二流路で形成することも好ましいものである。このように、吐水孔620,621に至る流路を二流路とした例について、図10を参照しながら説明する。図10は、図3のノズル先端部のX−X面に沿う断面を模式的に示す断面模式図である。
【0077】
図10に示すように、給水管路WP5は、給水管路WP5a(第一の流路)と給水管路WP5b(第二の流路)とに分岐している。給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径は同じ大きさに設定されている。給水管路WP5a及び給水管路WP5bには、給水管路WP5から脈動する洗浄水が同じ流量かつ同じ位相で供給される。
【0078】
給水管路WP5aは、ノズル62内で直線状に配設されており、後述する給水管路WP5bのような渦室も有していない。従って、給水管路WP5aから吐水孔620に供給される水(第一の流水)は、旋回度の小さい直進流となる。
【0079】
給水管路WP5bには、略円筒状の中空室を有する渦室622が配設されている。給水管路WP5bの上流側管路は、渦室622の底部に偏心して連結している。渦室622に供給された水は、渦室622の内壁を沿うようにして旋回する。
【0080】
渦室622の天井部近傍には、空気管路AP2が連結されており、洗浄水に空気が強制的に混入されるようになっている。制御部7は、エアポンプ50からの空気の供給タイミング及び供給流量を制御することで、脈動する洗浄水の一周期のうち、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されるようにする。従って、渦室622の天井部から給水管路WP5bの下流側に入った洗浄水は、脈動のピークを含む半周期毎に空気が混入された旋回流となる。
【0081】
給水管路WP5bの流路長は、給水管路WP5aの流路長に比べて意図的に長く設定されている。より具体的には、給水管路WP5bを通って吐水孔620に供給される水(第二の流水)の位相が、給水管路WP5aから吐水孔620に供給される水(第一の流水)の位相に対して反対になる(180度ずれる)ように、給水管路WP5bの流路長が設計されている。この際、渦室622における旋回と空気の強制混入による位相ずれも考慮する。
【0082】
給水管路WP5aと給水管路WP5bは、お尻洗浄用の吐水孔620の近傍直下で連結しており、ここで給水管路WP5a内部を通った直進流と、給水管路WP5b内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔620から吐出される。
【0083】
ビデ洗浄用の吐水孔621に連通する給水管路WP6a、給水管路WP6b及び渦室623についても、上述したお尻洗浄用の吐水孔620に繋がる管路と同様の構成を採用している。異なる点は、給水管路WP6a及び給水管路WP6bの管径を、給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径よりも大きくしている点である。従って、給水管路WP6a内部を通った直進流と給水管路WP6b内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔621から吐出されるようになっている。尚、給水管路WP6a及び給水管路WP6bの管径を給水管路WP5a及び給水管路WP5bの管径よりも大きくしているのは、吐水孔621から吐出される水の速度を吐水孔620から吐出される水の速度よりも小さくするためである。このようにすることで、ビデ着水時の洗浄水の刺激を、お尻への着水時の場合よりも相対的に弱めることができる。
【0084】
図10を参照しながら説明したように、給水管路WP5a(WP6a)と給水管路WP5b(WP6b)は、吐水孔620(621)の近傍直下で連結しており、ここで給水管路WP5a(WP6a)内部を通った直進流と、給水管路WP5b(WP6b)内部を通った旋回流とが互いに反対の位相で合流し、吐水孔620(621)から吐出されるようになっている。ここで、旋回流には、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されている。これにより、ノズル62の吐水孔620(621)から吐出する洗浄水には、周期的な粗密が発生している。
【0085】
この点を吐水孔620から吐出される洗浄水を例に、図11を参照しながら詳細に説明する。図11の(A)は、吐出時の脈動水の圧力変動を模式的に示すタイミングチャートであり、図11の(B)は、(A)に示す脈動水に含まれる空気の流量変動を示すタイミングチャートである。尚、ノズルから吐出される水の様子については、図8に示したものと同様になるので、適宜図8を参照しながら説明する。
【0086】
図11の(A)に示すように、給水管路WP5aからの直進流と給水管路WP5bからの旋回流とは、脈動の周期を同じくし、位相が反対であるので、吐水孔620から吐出される水は、直進流が支配的になる周期と、旋回流が支配的になる周期が交互に現れる。これにより、図11の(A)及び図8に示すように、脈動の周期毎に、特性が互いに異なる吐水群F1とF2とが交互に現れる。旋回流には、脈動のピークを含む半周期の間だけ所定量(QA)の空気が混入されているので、図11の(B)で示すように、旋回流が支配的になる周期に吐水される吐水群F2は空気を所定量(QA)含む。
【0087】
また、図11の(A)に示すとおり、吐出される洗浄水の圧力POUTは、給水管路WP5aからの直進流の圧力P1と給水管路WP5bからの旋回流の圧力P2を、高い圧力の水が支配的に吐水されるということを考慮して合成したものである。吐水の圧力POUTの最大値は外部の給水源からの給水圧PINより十分高くなっている。また、水の振幅(圧力POUTの最小値と最大値との差)も、直進流の圧力P1や旋回流の圧力P2の振幅に比べて小さくなっている。そのため、吐出される水は十分な強さを持った速度であり、また吐水間の速度差も小さい。従って、吐水群F1(F2)を構成する各吐水間における追いつき現象(後に吐出された吐水が先に吐出された吐水に追いついて粒成長し、大きな水玉になってしまう現象)も抑制されている。追いつき現象が発生すると局部に着水する水玉の水玉との間隔が大きくなり断続的な洗浄感が発生してしまうが、本例においては、このような追いつき現象が抑制されているので、断続的な洗浄感が生じることを抑制できる。
【0088】
本例においては、給水管路WP5a(WP6a)及び給水管路WP5b(WP6b)に同位相で流入した水が管路の出口において位相が反対になるように、給水管路の流路長を調整している。しかしながら、吐水孔620(621)に供給する洗浄水の位相を反対にする手段はこれに限定されるものではない。例えば、給水管路WP5a(WP6a)と給水管路WP5b(WP6b)の蓄圧量を異ならせることで、管路の出口に供給される洗浄水の位相を互いに反対にするようにしてもよい。
【0089】
蓄圧量は、例えば、給水管路WP5b(WP6b)の管路にアキュムレータを設けたり、給水管路WP5b(WP6b)の管路を給水管路WP5a(WP6b)よりも弾力性の大きい部材で構成したりすることで調整可能である。さらには、給水管路WP5b(WP6b)に空気を混入し、空気によるダンパ効果を発生させて、管路の見かけ上の弾性をWP5a(WP6b)よりも大きくすることでも蓄圧量の調整は可能である。また例えば、給水管路WP5a(WP6a)及び給水管路WP5b(WP6b)に最初から位相が反対の水を流入させるようにしても蓄圧量の調整は可能である。例えば、脈動発生部41aを2つ設け、それぞれの脈動発生部41aから互いに反対の位相で脈動する水を発生させ、一方を給水管路WP5a(WP6a)に他方を給水管路WP5b(WP6b)に流入させるようにしてもよい。
【0090】
また、本例においては、直進流と空気が混入された旋回流とを合流させて吐出することで、吐水に粗密の異なる吐水群F1、F2を形成するようにしているが、吐水に粗密の異なる吐水群F1、F2が形成されるのであれば、これに限定されない。例えば、互いに空気の混入量が異なる直進流と直進流とを合流させ吐出させてもよいし、互いに旋回度の異なる旋回流と旋回流とを合流させて吐出させてもよい。これにより、吐水に含まれる疎密の度合いを変えることができ、たっぷり感と刺激感とをユーザの嗜好にあわせて適宜調節することができる。
【0091】
上記実施形態においては、お尻等を洗浄するために用いられる温水洗浄装置を例に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、局部を洗浄するためのシャワー等にも適用可能である。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0093】
1:衛生洗浄装置
2:入水側弁ユニット
20:ストレーナ
21:逆止弁
22:電磁弁
23:調圧弁
3:熱交換ユニット
30:熱交換部
30a:入水温度センサ
30b:出水温度センサ
30c:ヒータ
30d:フロートスイッチ
31:バキュームブレーカ
32:安全弁
4:脈動発生ユニット
40:アキュムレータ
41:脈動発生部
41a:第一の脈動発生部
41b:第二の脈動発生部
5:空気供給ユニット
50:エアポンプ
6:ノズルユニット
60:水流切替弁
61:空気流切替弁
62:ノズル
7:制御部
73:バックアップRAM
74:入力処理回路
75:出力処理回路
76:バス
410:シリンダ
410a:シリンダ
410b:シリンダ
411:ピストン
411a:ピストン
411b:ピストン
412:洗浄水入口
412a:洗浄水入口
413:洗浄水出口
413a:洗浄水出口
414:モータ
415a:ギア
415b:ギア
416:クランクシャフト
416a:クランクシャフト
416b:クランクシャフト
417::ストン保持部
417a ピストン保持部
620,621:吐水孔
622:渦室
623:渦室
AP1:空気管路
AP2:空気管路
AP3:空気管路
DP:捨水管路
f1:吐水
F1:吐水群
f2:吐水
F2:吐水群
WP1:給水管路
WP2:給水管路
WP3:給水管路
WP4:給水管路
WP5:給水管路
WP5a:給水管路
WP5b:給水管路
WP6:給水管路
WP6a:給水管路
WP6b:給水管路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルの吐水口から使用者の局部に水を吐出する衛生洗浄装置であって、
周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズルと、
吐出される水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される流水を調整する水流調整部と、を備え、
前記第一の吐水は前記局部に第一の密度及び第一の面積で着水し、前記第二の吐水は前記局部に第二の密度及び第二の面積で着水するものであって、
前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きく、前記第一の面積は前記第二の面積よりも小さいことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルから吐出される水の脈動の振幅を所定値以下にする振幅調整部を備える請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
外部の給水源から水の供給を受ける給水管路を備え、前記吐水口から吐出される水の圧力の最小値は、前記給水源からの給水圧力よりも高い請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記水流調整部は、
脈動する水を前記吐水口に供給する一つの流路と、
前記一つの流路に連結され、その流路を流れる水に空気を混入する空気混入部と、を有し、
前記空気供給部は、前記ノズルから吐出される水の脈動のピークに、空気の混入量が異なる吐水が交互に含まれるように前記水に空気を混入する請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記水流調整部は、
周期的に圧力が変動して脈動する第一の流水を前記吐水口に供給する第一の流路と、
周期的に圧力が変動して脈動する第二の流水を、前記第一の流水とは反対の位相で前記吐水口に供給する第二の流路と、を有し、
前記第一の流水は前記吐水口から前記第一の吐水として吐出され、前記第二の流水は前記吐水口から前記第二の吐水として吐出されるものであって、
前記第一の吐水は、前記吐水口から前記第二の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出され、
前記第二の吐水は、前記吐水口から前記第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記水流調整部は、
前記第一の流路及び前記第二の流路に連結され、前記第一の流水及び前記第二の流水それぞれに空気を混入する空気混入部を有し、
前記吐水口における前記第二の流水における空気の混入量は、前記第一の流水における空気の混入量よりも大きい請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記水流調整部は、前記第一の流水及び前記第二の流水を旋回させながら前記吐水口に供給するものであって、
前記吐水口における前記第二の流水の旋回度は、前記第一の流水の旋回度よりも大きい請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記吐水口における前記第一の流水が直進流である請求項7に記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記水流調整部は、水を周期的に加圧して脈動を発生させるポンプと、前記ポンプで脈動が発生した水を前記第一の流路と前記第二の流路とに分配する分配部と、を有する請求項7に記載の衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記第一の流路と前記第二の流路の流路長を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給される請求項9に記載の衛生洗浄装置。
【請求項11】
前記第一の流路と前記第二の流路における蓄圧量を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給される請求項9に記載の衛生洗浄装置。
【請求項1】
ノズルの吐水口から使用者の局部に水を吐出する衛生洗浄装置であって、
周期的に圧力が変動して脈動する水を吐水口から吐出するノズルと、
吐出される水の脈動のピークに、第一の吐水と第二の吐水とが交互に含まれるように、前記吐水口に供給される流水を調整する水流調整部と、を備え、
前記第一の吐水は前記局部に第一の密度及び第一の面積で着水し、前記第二の吐水は前記局部に第二の密度及び第二の面積で着水するものであって、
前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きく、前記第一の面積は前記第二の面積よりも小さいことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルから吐出される水の脈動の振幅を所定値以下にする振幅調整部を備える請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
外部の給水源から水の供給を受ける給水管路を備え、前記吐水口から吐出される水の圧力の最小値は、前記給水源からの給水圧力よりも高い請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記水流調整部は、
脈動する水を前記吐水口に供給する一つの流路と、
前記一つの流路に連結され、その流路を流れる水に空気を混入する空気混入部と、を有し、
前記空気供給部は、前記ノズルから吐出される水の脈動のピークに、空気の混入量が異なる吐水が交互に含まれるように前記水に空気を混入する請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記水流調整部は、
周期的に圧力が変動して脈動する第一の流水を前記吐水口に供給する第一の流路と、
周期的に圧力が変動して脈動する第二の流水を、前記第一の流水とは反対の位相で前記吐水口に供給する第二の流路と、を有し、
前記第一の流水は前記吐水口から前記第一の吐水として吐出され、前記第二の流水は前記吐水口から前記第二の吐水として吐出されるものであって、
前記第一の吐水は、前記吐水口から前記第二の吐水よりも密度が大きくかつ吐出方向の断面積が小さく吐出され、
前記第二の吐水は、前記吐水口から前記第一の吐水よりも密度が小さくかつ吐出方向の断面積が大きく吐出される請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記水流調整部は、
前記第一の流路及び前記第二の流路に連結され、前記第一の流水及び前記第二の流水それぞれに空気を混入する空気混入部を有し、
前記吐水口における前記第二の流水における空気の混入量は、前記第一の流水における空気の混入量よりも大きい請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記水流調整部は、前記第一の流水及び前記第二の流水を旋回させながら前記吐水口に供給するものであって、
前記吐水口における前記第二の流水の旋回度は、前記第一の流水の旋回度よりも大きい請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記吐水口における前記第一の流水が直進流である請求項7に記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記水流調整部は、水を周期的に加圧して脈動を発生させるポンプと、前記ポンプで脈動が発生した水を前記第一の流路と前記第二の流路とに分配する分配部と、を有する請求項7に記載の衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記第一の流路と前記第二の流路の流路長を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給される請求項9に記載の衛生洗浄装置。
【請求項11】
前記第一の流路と前記第二の流路における蓄圧量を異ならせることで、前記第二の流水が前記第一の流水と反対の位相で脈動して前記吐水口に供給される請求項9に記載の衛生洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−94472(P2011−94472A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206993(P2010−206993)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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