説明

衝突混合の新工法と新塗材

【課題】衝突混合の長所(超速乾性、耐衝撃性、剛性、耐薬品性、低温特性)を生かした新用途と新塗材である。環境上、資源の有効利用、生産性向上を念頭においた。
【解決手段】衝突混合の長所を生かし、新工法、新塗材を作製した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般的にいわれる衝突混合は、高圧力で塗材(発泡ウレタン、ポリウレア、ポリウレタン等)を霧化し、被塗物に吹き付ける超速乾性塗材および工法である。塗材は2液で、吹き付けガンの手前で2種類の塗材を事前に混合する。衝突混合の長所は、超速乾性、厚塗りができることである。超速乾性であるため短工期で、人件費の削減が可能である。100%リキッドであり、有害な有機溶剤は全く含有せず、VOC規制の観点からも優れており、耐久性においても優れた工法・塗材である。衝突混合の短所は、霧化し塗装するので塗装時にミストが発生すること、ミスト発生により塗材ロスが生じること、薄膜が困難であることである。
【背景技術】
【0002】
[請求項1]の場合、環境対応(エネルギー消費の低減)は、わが国の重要な課題である。断熱性を向上させるのに、断熱材(発泡ウレタンシート等)を内装する場合が多い。遮熱塗料は以前からあり、太陽光の熱を70〜90%、反射させ遮熱している。[請求項2]の場合、自動車用途等の内装フィルムを製造するのに、熱した金型に粉体樹脂(ウレタン、アクリルウレタン、アクリル等)、またはそれらを着色した粉体樹脂を吹き付け、金型の模様を忠実に再現しフィルム化する工法である。[請求項3]の場合、衝突混合で極めて微小に霧化され塗装された塗膜は非常に緻密であり細菌やカビが塗膜に付着しにくい。しかしながら、殺菌・抗菌の機能は無い。[請求項4]の場合、ポリウレタンパウダーは、強制乳化、転送法等の方法で作製され、重合時間とエネルギーが多く消費される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の通り、断熱材を内装する場合が多く、内断熱といわれている。外断熱により断熱性向上を実現させること、外断熱材を保護することかつ、より断熱性を向上させることが重要である。スラッシュパウダーでの自動車内装用フィルム作製は、金型を熱することでのエネルギー消費、連続生産が難しい問題点がある。衝突混合の塗膜は緻密であり、細菌やカビが付着しにくい点はあるが、殺菌・消臭の効果はない。ポリウレタンパウダーの作製は、強制乳化法・転送法等の製造方法があるが、エネルギーを多く消費すること、製造に長時間要することが実状である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[請求項1]の場合、基材(鉄、コンクリート等)に、発泡タイプのポリウレタンを衝突混合で吹き付け塗装後、遮熱塗料を塗装する。まず、遮熱塗料で太陽光を遮熱し、断熱材で熱伝導を抑えることによる相乗効果で断熱性は飛躍的に向上する。[請求項2]の場合、金型に離型剤(フッ素系、シリコン系等)を塗布しておき、衝突混合の塗材を吹き付ける。霧化された粒子は、金型に塗裝されフィルム化されるので金型を熱する必要はない、微小に霧化された粒子がフィルム化するので、金型の模様を忠実に微細に再現できる。金型はロール(印刷に使用されるロ−ル等)であれば連続生産が可能になる。塗装スピード、膜厚等の条件により、金型(ロ−ル)の大きさを決める。[請求項3]の場合、殺菌性・消臭性を付与するには、例えば殺菌剤・ラサップ、消臭剤・シュークレンズ(両製品とも、ラサ工業株式会社製)を衝突混合の塗材にあらかじめ、混入しておく。[請求項4]の場合、霧化された粒子を空気中に放出し粒子の硬化後、ウレタンパウダーとして回収する。粒子径、硬度等は、材料の選択と衝突混合での樹脂塗出量および速度等で決定する。但し、粉体爆発の危険性があるので、その対応が必要である。
【発明の効果】
【0005】
[請求項1]の場合、断熱材(衝突混合での発泡ウレタン)と遮熱塗料の相乗効果で極めて高い断熱効果が実現できる。又、冬場の低温時においても断熱材の効果で暖房エネルギーの低減も可能になる。[請求項2]の場合、金型を熱する必要はなく、エネルギーの低減になる。金型をロール状にすることにより、連続生産が可能になり、生産性向上は顕著である。製造されたフィルムは、衝突混合の特長である耐衝撃性、剛性が良く、優れた低温特性を持ち、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性等)にも優れている。[請求項3]の場合、微小な粒子が結合し緻密な塗膜になるので雑菌やカビの付着がすくない。殺菌剤や消臭剤を混入し塗布することにより、雑菌やカビの繁殖を抑制させる。と同時に臭気も吸着する。病院での雑菌の繁殖抑制、食品工場でのハセップ対応等に利用が可能である。[請求項4]の場合、通常のウレタンパウダー作製のようにバッチ式(釜の容量で生産量が決まる。)でないので、ウレタンパウダーの必要量作製が連続生産で可能になる。コンタミの危険があるので、グレード別の生産ラインが好ましい。

【特許請求の範囲】


【公開番号】特開2010−17697(P2010−17697A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204787(P2008−204787)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(507351311)
【Fターム(参考)】