説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】洗濯・乾燥後の衣類等の繊維製品の残香性を着用時ないし使用時まで持続させることのできる液体洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)C1225O(C4O)12H、
(B)C1735CONH(CHN(CH
(C)香料組成物の全量を基準として10〜60質量%の(C-1)4−(p−ヒドロキシフェニル)2−ブタノンと(C-2)サリチル酸エステル類とを含む香料組成物、
を含有する液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料等の繊維製品を洗浄するのに好適な液体洗浄剤組成物に関する。詳しくは、香料の香気が、衣料の着用時ないしタオル等繊維製品の使用時まで持続し、消臭効果も有する液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、消費者の香りに対する関心は高まっており、香気安定性に優れた液体洗浄剤組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、液体洗浄剤組成物自体の香気を保つことはできても、液体洗浄剤組成物に含まれる香料の香気を洗濯・乾燥後の衣類等繊維製品に長期間にわたって付与することができなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2000−160192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、洗濯・乾燥後の衣類等繊維製品に付与した香料の残香性を、繊維製品の着用時ないし使用時まで持続させることのできる液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定のノニオン界面活性剤及び長鎖3級アミンに加え、香料として特定の2種を特定量含有する香料組成物を併用することにより、上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)下記式(A-I)で表されるノニオン界面活性剤、
R1−X−(EO)n(PO)m−R2 (A-I)
(式中、R1は炭素数8〜20の炭化水素基であり、−X−は、−O−、−COO−又は−CONH−である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、n及びmは平均付加モル数を表し、nは3〜20の数であり、mは0〜6の数である。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。)
(B)下記式(B-I)で表される長鎖脂肪族3級アルキルアミン及び/又はその塩、及び
R3−CONH−R4−NR5R6 (B-I)
(式中、R4は炭素数7〜23の炭化水素基であり、R5は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R6及びR7は、互いに同一でも異なっていても良く、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はEO付加モル数1〜25のポリオキシエチレン基である。)
(C)香料組成物の全量を基準として10〜60質量%の(C-1)4−(p−ヒドロキシフェニル)2−ブタノンと(C-2)サリチル酸エステル類とを含む香料組成物
を含有する液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗濯及び乾燥後の衣類等に香気を長期にわたって付与することができる。本発明によればまた、衣類等から完全には除去しきれない皮脂に由来する臭気を効果的にマスクすることができるので、消臭効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)ノニオン界面活性剤
本発明で用いるノニオン界面活性剤(A)は、下記式(A-I)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤である。
R1−X−(EO)n(PO)m−R2 ・・・(A-I)
式中、R1は炭素数8〜20、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜14の炭化水素基であり、直鎖であっても分岐鎖であっても良い。炭化水素基としては、1級もしくは2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等を原料とするものが具体的に挙げられる。
−X−は、−O−、−COO−又は−CONH−であり、好ましくは−O−又は−COO−であり、より好ましくは−O−である。
EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドである。n及びmは平均付加モル数を表し、nは3〜20、好ましくは5〜18、mは0〜6、好ましくは0〜3である。EOの平均付加モル数nが20を超えると、HLBが高くなりすぎ皮脂洗浄には不利となり洗浄機能が低下する傾向にあり、EOの平均付加モル数nが3未満であるか又はPOの平均付加モル数mが6を超えると、組成物の高温下での保存安定性が低下する傾向にあり、好ましくない。
R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基又はアルケニル基である。
【0008】
特に、式(A-I)において、R1が炭素数12〜14の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、Xが−O−であり、nが5〜18であり、mが0であり、R2が水素原子又はメチル基であるノニオン界面活性剤が好ましい。
EOまたはPOの付加モル数分布は、ノニオン界面活性剤(A-I)製造時の反応方法によって変動し、特に限定されない。例えば、EOまたはPOの付加モル数分布は、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には比較的広い分布となり、特開平6―15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
式(A-I)で表されるノニオン界面活性剤の具体例としては、三菱化学(株)製:商品名Diadol(C13(Cは炭素数を示す。以下同様))、Shell製:商品名Neodol(C12/C13)、Safol製:商品名Safol23(C12/C13)等の合成アルコールに対して、12モル相当の酸化エチレンを付加したもの、P&G社製:商品名CO-1214やCO1270等の天然アルコールに12モル相当の酸化エチレンを付加したもの、ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコールに7モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF社製:商品名LutensolTO7)、ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに7モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF社製:商品名LutensolXL70)、炭素数12〜14の第2級アルコールに15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(日本触媒(株)製、ソフタノール150)などが挙げられる。
【0009】
式(A-I)で表されるノニオン界面活性剤のうち、下記式(A-II)で表されるエチレンオキサイド付加体もまた好ましい。
R1CO−(OCH2CH2)n−R2 ・・・(A-II)
式中、R1, R2及びnは上で定義したとおりであり、R1が炭素数11〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R2が炭素数1〜3のアルキル基であり、nが10〜20の数であるのが好ましい。式(A-II)で表されるノニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸メチルエステルやミリスチン酸メチルエステルに15モル相当の酸化エチレンを付加したものなどが挙げられる。
(A)成分は1種または2種以上を組合せて用いることができる。
【0010】
(A)成分は、本発明の全量を基準として、10〜80質量%含まれるのが好ましく、15〜70質量%含まれるのがより好ましく、15〜65質量%含まれるのがより好ましい。(A)成分がこのような量で含まれていると、洗浄力と製剤としての安定性に優れるので好ましい。
【0011】
(B)長鎖3級アミン
本発明において使用する長鎖3級アミンは、衣類等繊維製品に吸着して香料成分を衣類等繊維製品に残りやすくし、残香性を発現すると共に柔軟性を付与する。(B)成分は、下記式(B-I)で表される。
R3−CONH−R4−NR5R6 (B-I)
式中、R3は炭素数7〜23、好ましくは7〜21の炭化水素基であり、直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を含むものであっても良い。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等があげられる。置換基としては、ヒドロキシル基等があげられる。
R4は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基である。R5及びR6は、互いに同一でも異なっていても良く、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のヒドロキシアルキル基、EO付加モル数1〜25のポリオキシエチレン基のいずれかの基である。炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
(B)成分の好適な具体例としては、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどの長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミドなどが挙げられる。
【0012】
中でも、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド又はその塩が特に好ましい。これらの混合物もまた好ましい。
(B)成分は、本発明の全量を基準として、0.1〜10質量%含まれるのが好ましく、0.1〜8質量%含まれるのがより好ましく、0.5〜5質量%含まれるのがより好ましい。(B)成分を0.1質量%以上含むことによって、香料成分の残香性を向上させることができる。10質量%以下とすることで経済的な不利を伴うことなく十分な残香性を発現させることが可能となる。
【0013】
上記具体例としてあげた「長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン」を例にして、上記3級アミン化合物の製造方法について説明すると、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンを減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸等、又は、これらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等の誘導体が具体的に挙げられ、中でも、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等が特に好ましい。
【0014】
これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
「ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミン」としては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン等が具体的に挙げられ、中でも、ジメチルアミノプロピルアミンが特に好ましい。
なお、長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンを製造する際のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
反応温度は、通常100〜220℃であり、好ましくは150〜200℃である。反応温度が100℃未満では反応が遅くなりすぎ、220℃超では得られる3級アミンの着色が顕著となる恐れがある。
長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンの上記以外の製造条件は適宜変更可能であり、反応時の圧力は常圧でも減圧でも良く、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込むことにより導入することも可能である。
また、脂肪酸を用いる場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸誘導体を用いる場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることで、低い反応温度で短時間により効率良く反応を進行させることができる。
【0015】
また、得られる長鎖3級アミンが、融点が高い長鎖アミンの場合には、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形することが好ましく、又は、エタノール等の有機溶媒に溶解し液状にすることが好ましい。
さらに、市販される上記3級アミンの具体例として、東邦化学(株)製カチナールMPAS−R等が挙げられる。
長鎖3級アミンの塩としては、前記長鎖3級アミンを酸で中和した酸塩等が具体的に挙げられる。中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、ポリアクリル酸、パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0016】
(C)香料
本発明において使用する香料は、(C-1)4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノンと(C-2)サリチル酸エステルとを含有する。
(C-1)4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノンは、以下の式(C-1-I)により表される構造を有する香料であり、主にフローラルフルーティ調やフレーバーなどに使用される香料である。
(C-2)サリチル酸エステルは、以下の式(C-2-I)により表される構造を有する香料である。式中、R7は炭素数3〜8の飽和炭化水素、不飽和炭化水素、分岐炭化水素、芳香環である。具体的な香料としては、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アミル、サリチル酸エチル、サリチル酸ブチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-クレジル、サリチル酸cis-3-ヘキセニル、サリチル酸フェニルエチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸シクロヘキシルなどがある。このうち、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アミルが特に好ましい。



【0017】
【化1】

【0018】
(C-1)香料単独では洗浄後の残香性は甘く広がる香りのため、認知性に乏しく、香りの力価を感じることはあまりない。他方、(C-2)香料単独では爽やかに香り立つが、弱く認知性に欠ける。本発明者らが鋭意研究を行ったところ、(C-1)香料に(C-2)香料が合わさることにより、(C-1)の甘く広がる香りが爽やかに香り立つことにより香りの認知性が格段に増加することを見出した。(C-1)+(C-2)は、香料組成物の全量を基準として、10〜60質量%含まれ、10〜50質量%含まれるのがより好ましい。香料組成物全体における(C-1)及び(C-2)の合計量が10%より少なくなると残香感が弱くなり、また多くなった場合、さまざまな香調を調整することが困難になってしまう。 その配合比は(C-1)/〔(C-1)+(C-2)〕=10〜50質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。この比率より(C-1)成分が多くなると、香りが甘くなり洗浄剤としてのフレッシュ感が弱くなってしまう。また少なくなると残香感を感じなくなってしまう。
【0019】
実際の製剤系においては、嗜好性や商品特長にあった香調でなければならない。よって本発明において、上記(C-1)及び(C-2)香料以外に従来知られている香料成分を自由に用いることが出来る。以下にその代表的な香料成分を記載する。
脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂環式アルデヒド等、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂環式ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フエノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂環式ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合し使用することができる。例えば、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.刊STEFFEN ARCTANDER著“Perfume and Flavor Chemicals”等に記載の香料が使用できる。
また、香料組成物には溶剤又は保留剤としてジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、ベンジルベンゾエート、イソプロピールミリステート、ロジン系樹脂(商品名ハーコリン)等を任意に配合することができる。
洗剤組成物中における(C-1)(C-2)を含む香料組成物の配合量は、0.1〜5%であるのが好ましく、0.1〜3%であるのがより好ましい。洗剤組成物中における香料組成物の配合量が0.1%より少ないと充分な残香性を発揮せず、また5%より多くなると洗濯時における香気が強すぎて不快感を与えるだけでなく、経済的にも不利となる。
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、25℃におけるpHが4〜9であるのが好ましく、pH4〜8であるのがより好ましい。pHがこのような範囲にあると保存安定性に優れる。本発明において用いることのできるpH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて随意であるが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が安定性の面から好ましい。
【0021】
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤組成物には更に、上記必須の成分に加えて、衣料用液体洗浄剤組成物に通常用いられている以下に挙げるような成分を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて含むことができる。
本発明の洗浄剤組成物には、更に(A)ノニオン界面活性剤以外のノニオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用途に応じて配合することができる。
(A)以外のノニオン界面活性剤の例としては、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤の例としては、(1)高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、(2)高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノ硫酸エステル塩等の硫酸エステル型、(3)アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸型、(4)アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物は水混和性有機溶剤を含有することができる。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリグリコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのアルキルエーテル類等の水混和性有機溶剤があげられる。組成物の全量を基準として、水混和性有機溶剤を例えば0.1〜15質量%含むことができる。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物はポリエーテル変性シリコーンを含有することができる。具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製のCF1188HV、SH3748、SH3749、SH3772M、SH3775M、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−22−22、信越化学工業(株)製のX−20−8010B、KF352A、KF6008、KF615A、KF6012、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、TSF4445(以上、商品名)等のポリエーテル変性シリコーンがあげられる。組成物の全量を基準として、ポリエーテル変性シリコーンを例えば0.1〜3質量%含むことができる。
【0025】
パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、並びに尿素等の減粘剤及び可溶化剤を、例えば0.01〜30質量%含むことができる。
マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等の金属イオン疎捕捉剤を、例えば0.1〜20質量%含むことができる。
ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を、例えば0.01〜2質量%含むことができる。
ローム・アンド・ハウス社製ケーソンCG(商品名)等の防腐剤を、例えば0.001〜1質量%含むことができる。
さらに、洗浄性能向上や安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、風合い向上剤、アルカノールアミン等のアルカリビルダー、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤等を含むことができる。
【0026】
商品の付加価値向上等を目的として、着色剤、乳濁化剤、天然物などのエキス等を含むこともできる。
着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料を、例えば0.00005〜0.005質量%程度含むことができる。
乳濁剤は、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製(商品名)サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等を、例えば0.01〜0.5質量%含むことができる。
天然物などのエキスとしては、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ、セイヨウオトギリソウ、などの植物が挙げられ、これらを例えば、0〜0.5質量%程度含むことができる。
【実施例】
【0027】
実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物を調製するのに用いた成分を以下に示す。
(A)成分としては下記化合物を用いた。
(a−1)P&G社製の天然アルコールCO−1214に対して12モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−2)P&G社製の天然アルコールCO−1270に対して12モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−3)Safol社製のSafol23アルコールに対して12モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−4)Safol社製のSafol23アルコールに対して15モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−5)日本触媒(株)製 商品名ソフタノール150
(a−6)三菱化学(株)製 商品名Diadolアルコールに対して15モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−7)ラウリン酸メチルエステルに15モル相当の酸化エチレンを付加したもの
(a−8)ラウリン酸メチルエステルに15モル相当の酸化エチレンを付加したものとミリスチン酸メチルエステルに15モル相当の酸化エチレンを付加したものの混合物(混合比8/2)
(a−9)BASF社製 商品名:Lutenzol TO7
(a−10)BASF社製 商品名:Lutenzol XL70
(a−11)BASF社製 商品名:Lutenzol XA60
【0028】
(B)成分としては下記化合物を用いた。
(b−1)東邦化学(株)製 商品名:カチナールMPAS−R
(b−2)C17H35CONH(CH2)3N(CH3)2、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン;合成品
【0029】
(C)香料組成物としては、表1に記載した配合比で調合された香料a〜dを用いた。
なお、4−(パラヒドロキシフェニル)−2−ブタノンは、高砂香料工業(株)、商品名ラズベリーケトンを用いた。
ヘキシルサリシレートはQuest社製のものを用いた。
ベンジルサリシレート、アミルサリシレート及びイソアミルサリシレートは、IFF社製のものを用いた。
【0030】
【表1】

【0031】
香料a〜dに含まれる共通香料としては、以下の組成のものを用いた。
【0032】
【表2】

【0033】
表1における共通成分aは以下の組成を示す。
<共通成分a>
ポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング(株)製 CF1188HV)
0.5質量%
安息香酸ナトリウム 0.5質量%
クエン酸3ナトリウム 0.2質量%
95%エタノール 6.0質量%(B成分を溶解させるために使用した分も含む)
パラトルエンスルホン酸 2.0質量%
イソチアゾロン液 0.01質量%
色素(緑色3号) 0.0001質量%
水 バランス(洗浄剤組成物全体の量を100部とするための量)
【0034】
なお、共通成分aにおける各成分の詳細は以下の通りである。
ポリエーテル変性シリコーン:東レ・ダウコーニング(株)製 商品名CF1188HV
安息香酸ナトリウム:東亜合成製 商品名安息香酸ナトリウム
クエン酸3ナトリウム:マイルス社(米国)製 商品名クエン酸ソーダ
95%エタノール:日本アルコール販売(株)製 商品名特定アルコール95度合成
パラトルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製 商品名PTS酸
イソチアゾロン液:ローム・アンド・ハウス社製 商品名ケーソンCG(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水混合液)
緑3号:癸巳化成社製 商品名緑色3号
【0035】
実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物を、上に示した成分を用い、表1に示した組成で以下のようにして調製した。
(1)300mLビーカーに上記共通成分中のエタノールと(A)成分及びポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング(株)製 CF1188HV)0.5質量%を入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.)で十分に攪拌した。
(2)(1)に40℃にした共通成分a中の水を入れたあと、予めエタノールに溶解させた(B)成分を入れて十分に溶解させた。
(3)(2)にさらに残りの共通成分aを入れて十分に攪拌し、微量の水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調製した。
(4)香料a〜dを加えて十分に攪拌して、液体洗浄剤組成物とした。
【0036】
このようにして得られた液体洗浄剤組成物の残香性及び消臭性を以下のようにして評価した。結果を表4及び表5に示す。
<残香性の評価>
全自動電気洗濯機(Haier社製JW−Z23A)に、市販の綿タオル(綿100%)3枚、および浴比(洗濯水/被洗布総質量)を15倍に調整する為に、綿肌シャツ4枚(全被洗布質量合計約800g)を投入し、各衣料用液体洗浄剤組成物10mLを添加し、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては、一切調整せず、洗濯機の標準コース設定を使用した。洗濯終了直後、取り出したタオルに残った香気を専門パネラー(5人)が下記6段階臭気強度評価法にて官能評価した。さらに、上記の洗浄処理を施した綿タオルを25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置し、1日後(乾燥後として評価)、2日後(使用時として評価)にタオルに残った香気を同様に評価した。
6段階臭気強度評価法
5点:強烈なにおい
4点:強いにおい
3点:楽に感知できるにおい
2点:何のにおいであるかがわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
1点:やっと感知できるにおい(認知閾値濃度)
0点:無臭
各工程における平均評価点より、以下のように残香性を判断した。
【0037】
【表3】

【0038】
<消臭性の評価>
一日着用した綿肌シャツ、Yシャツ、および綿肌シャツと綿タオル(全布重量が約800gとなるように調整)を投入し、全自動電気洗濯機(Haier社製JW−Z23A)で、各衣料用液体洗浄剤組成物10mLを添加し、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては、一切調整せず、洗濯機の標準コース設定を使用した。洗濯終了後、上記の洗浄処理を施した布を25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置し、1日後に残った皮脂臭を専門パネラー(5人)が前記6段階臭気強度評価法にて官能評価した。平均評価点より、以下のように消臭効果を判断した。
消臭効果 ○:0.5点未満、△:0.5〜1点未満、×:1点以上



【0039】
【表4】

【0040】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(A-I)で表されるノニオン界面活性剤、
R1−X−(EO)n(PO)m−R2 (A-I)
(式中、R1は炭素数8〜20の炭化水素基であり、−X−は、−O−、−COO−又は−CONH−である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、n及びmは平均付加モル数を表し、nは3〜20の数であり、mは0〜6の数である。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基である。)
(B)下記式(B-I)で表される長鎖脂肪族3級アルキルアミン及び/又はその塩、及び
R3−CONH−R4−NR5R6 (B-I)
(式中、R3は炭素数7〜23の炭化水素基であり、R4は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R5及びR6は、互いに同一でも異なっていても良く、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はEO付加モル数1〜25のポリオキシエチレン基である。)
(C)香料組成物の全量を基準として10〜60質量%の(C-1)4−(p−ヒドロキシフェニル)2−ブタノンと(C-2)サリチル酸エステル類とを含む香料組成物
を含有する液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−108248(P2009−108248A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283650(P2007−283650)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】