説明

衣料

【課題】長袖を有する衣類であって、その上に別の衣類を重ね着する場合であっても、袖の捲れ上がりを効果的に防止することのできる衣類を提供する。
【解決手段】長袖を有する、例えば長袖のインナーシャツや、セーター・ポロシャツ等のアウターシャツの衣類1であって、特にその袖口4に、着衣者の指に引っ掛け可能に伸縮ゴム体5を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長袖を備えた衣料に係り、重ね着時における袖の捲れ上がりを防止するに好適な改良を施した衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
長袖シャツの上にセーターを着る場合、或いはセーターを重ね着するような場合、往々にして下側の衣類の袖が捲れ上がることがある。このような袖の捲れ上がりは、例えば既に着衣した衣類の袖口を手指で摘みながら、その上に重ね着する衣類の袖に腕を通せば容易に防止することができる。しかしながら老人(高齢者)や子供にとっては、既に着衣した衣類の袖口を摘むこと自体が困難なことが多い。
【0003】
ところで特許文献1には、蛇腹状にプリーツ加工した伸縮性のある袖の袖口に、指通し用の紐を設けておき、紐を指に引っ掛けて着用した場合には長袖として、紐に指を引っ掛けない場合には半袖として兼用することが開示される。このような衣類であれば、重ね着する場合であっても袖が捲れ上がることはないと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−77382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に示される衣類は、1枚の衣類を長袖・半袖として兼用するものであって、袖口に設けた紐を常時指に引っ掛けておくことが必要である。むしろ重ね着した後に紐を指から外した場合には、その伸縮性によって袖が捲れ上がることも懸念される。従って前述した重ね着時の不具合に対処し得ない。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、長袖を有する衣類であって、その上に別の衣類を重ね着する場合であっても、袖の捲れ上がりを効果的に防止することのできる衣類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するべく本発明に係る衣類は長袖を有するもの、例えば長袖のインナーシャツや、セーター・ポロシャツ等のアウターシャツであって、特にその袖口に、着衣者の指に引っ掛け可能に伸縮ゴム体を設けたことを特徴としている。
【0008】
ちなみに前記伸縮ゴム体は、袖口の内側に設けられるものである。具体的には前記伸縮ゴム体は、袖口の縁部に沿って設けられて、その両端部を袖口に結合されて該袖口との間に輪を形成したものからなる。或いは前記伸縮ゴム体は、リング状に形成されてその一部を袖口に取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の衣類によれば、前記伸縮ゴム体に指を引っ掛けた状態にして、その上に重ね着する衣類の袖に腕を通せば、袖の捲れ上がりを招来することなく衣類を重ね着することができる。そして重ね着した後に前記伸縮ゴム体を指から外せば、該伸縮ゴム体はその伸縮性によって元の袖口に戻るだけである。従って袖の捲れ上がりを防止して衣類の重ね着を効果的に補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る衣類の概略構成を示す図。
【図2】図1に示す衣類に設けられた伸縮ゴム体の使用例を示す図。
【図3】本発明の別の実施形態を示す図。
【図4】本発明の更に別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る衣類について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る衣類の概略的な構成を示している。この衣類1は、着衣者(人間)の胴体を覆う胴体部2と、この胴体部2の上部の両肩部からそれぞれ延在させて設けられて着衣者(人間)の腕を覆う長袖部3とを備えた、いわゆる長袖シャツである。尚、胴体部2の下端部は、胴裾として開口され、また胴体部2の上端部は頸部として開口されていることは言うまでもない。
【0012】
このような長袖部3を有する衣類1において本発明が特徴とするところは、長袖部3の袖口4の内側面に、着衣者の指に引っ掛け可能に伸縮ゴム体5を設けている点にある。この伸縮ゴム体5は、例えば長さ10cm程度、幅1cm程度の平織りゴムバンドからなり、図1に衣類1の一部を拡大して示すように、その両端を袖口4の内面側それぞれ縫い付けられている。尚、図1においては片方の長袖3に設けた伸縮ゴム体5だけを示しているが、他方の長袖部3にも同様にして伸縮ゴム体5が設けられる。
【0013】
このようにして長袖部3の袖口4に伸縮ゴム体5を設けた衣類1を着衣しても、基本的には前述した伸縮ゴム体5が袖口4の内側に隠れるので、見栄えが悪くなることはない。また更にその上に他の長袖を有する衣類を重ね着するに場合には、長袖部3の伸縮性を利用して該長袖部3自体を指先側に伸ばし、その袖口4に設けられた伸縮ゴム体5を、例えば図2に示すように親指に引っ掛ける。そしてこの状態で、他の衣類を重ね着する。
【0014】
すると既に着衣した衣類1の長袖部3の袖口4は、親指に引っ掛けられた伸縮ゴム体5と共に他の衣類の長袖内を挿通するので、衣類間の摩擦によって捲れ上がることはない。この結果、長袖部3の捲れ上がりを招来することなく衣類を簡易に重ね着することができる。そして衣類を重ね着した後、伸縮ゴム体5を親指から取り外せば、該伸縮ゴム体5はその伸縮性により袖口4の内側に引き込まれる。この結果、伸縮ゴム体5が袖口4から露出することがなくなるので、その見栄えが損なわれることがなくなる。
【0015】
ちなみに上述した伸縮ゴム体5を親指に引っ掛ける作業、また親指からの取り外し作業は、反対側の腕の手指を利用して簡易に行うことができるので、その着衣者が老人(高齢者)や子供であっても容易に行い得る。故に、例えば介添者を煩わすことなく、着衣者自身によって簡易に重ね着することができる。また従来のように重ね着した際に捲れ上がった長袖を、重ね着した衣類の袖口から腕を差し込んで引き出すような煩わしさから解放することが可能となる。
【0016】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば伸縮ゴム体5の長さやその伸縮力については、伸縮ゴム体5を指に引っ掛けるに際して着衣者の負担とならない程度で、且つ重ね着時に指先と共に袖口4を他の衣類の袖口まで引き出し得る程度の強さと長さを備えたものであれば十分である。また伸縮ゴム体5としては、必ずしも前述した平織りゴムバンドでなくても良いことは言うまでもない。
【0017】
また伸縮ゴム体5を図1に示したように袖口4の内側に部分的に設けるだけではなく、例えば図3にその概念を示すように、袖口4の内側に沿って伸縮ゴム体5を円環状に設け、その周方向の複数箇所において袖口4と伸縮ゴム体5とを縫い合わせることで結合することで、指に引っ掛け可能な部位を複数箇所に亘って設けるようにしても良い。また、いわゆる七分袖と称されるような短めの袖を備えた衣類においては、例えば図4に示すようにリング状に形成した伸縮ゴム体6の一端部を袖口4に縫い付けておくことも有用である。このような伸縮ゴム体6であれば、伸縮ゴム体6自体の伸縮と袖口4からの突出長とが相俟って、長袖部3の短さを補って該伸縮ゴム体6の指への引っ掛けが容易となるので、前述した実施形態に係る伸縮ゴム体5と同様な効果が奏せられる。
【0018】
但し、図4に示すように袖口4に伸縮ゴム体6を設けた場合には、該伸縮ゴム体6自体は該袖口4から突出することになる。しかしこの上に上着(他の衣類)を重ね着すれば、この上着(他の衣類)の袖によって伸縮ゴム体5を覆い隠すことが可能となる。まして上記衣類がアンダーウェア(下着)である場合には、一般的には重ね着される上着によって伸縮ゴム体6が覆い隠されるので、実用上殆ど問題となることはない。
【0019】
また前述した伸縮ゴム体5,6を、袖口4に対して着脱自在に設けておくことも有用である。この場合、例えば伸縮ゴム体6の一端に鈎型のフックを設けておき、このフックを袖口4に穿たれたボタン穴や、予め袖口4に縫い付けたリング状の係合部等に引っ掛けるようにしても良い。また伸縮ゴム体5、袖口4の外側に飾り(衣類のデザインの一部)として設けておくことも可能である。また伸縮ゴム体5,6を親指以外の指に引っ掛けても良いことは言うまでもない。要は、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 衣類
3 長袖部
4 袖口
5,6 伸縮ゴム体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長袖を有する衣料であって、その袖口に、着衣者の指に引っ掛け可能に伸縮ゴム体を設けたことを特徴とする衣料。
【請求項2】
前記伸縮ゴム体は、袖口の内側に設けられるものである請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記伸縮ゴム体は、袖口の縁部に沿って設けられ、その両端部を袖口に結合されて該袖口との間に輪を形成したものである請求項1に記載の衣料。
【請求項4】
前記伸縮ゴム体は、リング状に形成されてその一部を袖口に取り付けられている請求項1に記載の衣料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−202323(P2011−202323A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71933(P2010−71933)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(594194778)株式会社ミノウラ (12)
【Fターム(参考)】