説明

衣服の襟元よごれ防止方法および衣服の襟元よごれ防止具

【課題】 従来、上着等のよごれを防止する為、大きめのハンカチーフか、スカーフを首に巻いたり、テープ状の布を襟にあてて糸でかがったりした。本発明は、上着等の襟元のよごれを防ぐ為のはってはがせる襟元よごれ防止具及び襟元よごれ防止方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、両端部が丸味をおび、吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層と、この吸水性部材層の裏面側に設けられ前記吸水性部材層を衣服の襟元に剥離可能に貼着するための粘着剤層と、この粘着剤層を剥離可能に覆うための剥離紙とを備えた襟元よごれ防止具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着等の襟元よごれ防止具および襟元よごれ防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上着等の襟元がよごれる度に何度も洗濯したり、クリーニングに出したり、新しく服を買ったり不経済である。従来、上着等の襟元のよごれを防止する為、大きめのハンカチーフか、スカーフを首に巻いたり、テープ状の布を襟にあてて糸でかがったりしていた。その他、たとえば、特開2004−218175の公報には、「汚れが付着してくるであろうカッター等の襟首、袖口汚れを、紙製、又は不織布(伸縮タイプ)等を用いて両面テープ、もしくはマジックテープ又はテープ無しで周囲を覆う。紙、不織布のガード材は汚れるが即座に取り外し廃棄できるため、カッターシャツの素材が傷つかずいつでもきれいに着用でき、清潔な印象を与える」と襟首、袖口用の汚れ取替ガードが開示されている。
【0003】
この汚れ取替ガード材は、角が有る長尺なガード材本体の途中にミシン線を複数箇所いれてある。ミシン線に沿って半分位切り込んである。使用する時、カッターシャツの襟の角の部分を覆うように切り込まれた部分までガード材を外側に折り曲げて使用する。
【特許文献1】 特開2004−218175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2004−218175公報に記載された、汚れ取替えガードは、襟首全域にガード材を貼着するとき、同じ寸法のガードでは、多種多様な衣服の襟元形状に合わせることが出来ない。また、角が有り、長尺な一本の材料から構成されているので、無理にあわせようと貼着した場合は、襟元のデザインがくずれてしまう。特に、ブランド品の場合は着た時のイメージを損ねる欠点がある。また、この汚れ取替ガードは角が有り長尺なので、襟元に沿って湾曲させて貼着させた場合、必ずシワが寄ってしまう。
【0005】
さらに衣服を着たとき、貼着した時に出来るシワの為、首周りがうっとうしく縦ジワがよって、ゴワゴワした感触を与える。又、ガード材の切り込み部分の角があたってチクチクする。しかも、カッターシャツの襟から外側に折り曲げられた部分が見えるので、汚れ取替ガード材を取り付けていることが他人にすぐわかり、せっかくのブランド品を着たときのイメージを損なってしまうという欠点を有している。
本発明は、以上の問題点を解決する為になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、両端部が丸味をおび、吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層と、この吸水性部材層の裏面側に設けられ前記吸水性部材層を衣服の襟元に剥離可能に貼着するための粘着剤層と、この粘着剤層を剥離可能に覆うための剥離紙とを備えた襟元よごれ防止具である。
請求項2の発明は、請求項1の発明のよごれ防止具が、吸水性部材層と前記剥離可能な粘着剤層との間に、汗や油成分が浸透しない不浸透性材質からなる不浸透性部材層を設け、前記吸水性部材層と前記不浸透性部材層とを剥離しないように一体的に密着させ、該よごれ防止具を衣服から剥離する場合は前記剥離可能な粘着剤層が衣服から剥離するように粘着剤層の粘着度が設定してあることを特徴とする襟元よごれ防止具である。
請求項3の発明は、衣服の襟元中央部に、両端部が丸味をおび吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層を有する第一のよごれ防止具を剥離可能に貼着する段階と、前記第一のよごれ防止具が貼着されている襟元中央部の左右の襟元側方部に、第一のよごれ防止具との間隔および相対角度を調整しながら、両端部が丸味をおび吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層を有する第二、第三のよごれ防止具をそれぞれ剥離可能に貼着する段階とを備えた襟元よごれ防止方法である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による襟元よごれ防止具は、両端部が丸味をおび吸水性がある材質の材料から成る吸水性部材層と、この吸水性部材層の裏面側に設けられ前記吸水性部材層を衣服の襟元に剥離可能に貼着するための粘着剤層と、この粘着剤層を剥離可能に覆うための剥離紙とを備えているので、同一寸法の襟元よごれ防止具であっても、多種多様な形状、寸法の衣服に対し、剥離可能に貼着でき襟元のよごれを防止できる。
【0008】
すなわち、衣服の襟元中央部に貼着した第一の襟元よごれ防止具の丸みをおびた端部の左右の襟元両側方部に、同じく端部が丸みをおびた第二、第三の汚れ防止のそれぞれの端部が接するように貼るか、または、適宜間隙も設けて貼着することが可能である。その際、第一の襟元よごれ防止具の貼着位置に対して、第二、第三の襟元よごれ防止具の角度を調節することによって、デザイン、形状や寸法が異なっていても多種多様な衣服の襟元に襟元よごれ防止具を貼着することができる。 しかも、よごれ防止片の端部は丸味をおびて形成されているので、貼着した際、第1、第2、第3それぞれのよごれ防止片の端部が重ならないように衣服に貼着できる。
【0009】
また、角が無いので、チクチクしたり、シワが寄らず、ゴワゴワしたり、首周りがうっとうしいという事も無く、襟元のデザインがくずれることもない。さらに、肌にフッイットする材質のよごれ防止具なので、よごれ防止具をつけているという感触がなく、違和感がない。さらに、よごれ防止具をつけていることが他人にわからないので、ブランド品を着たときのイメージを損なうこともない。
【0010】
請求項2記載の発明は、不浸透性部材層が設けてあるので、吸水性部材層に多量の汗が浸透した場合でも、不浸透性部材層が汗が衣服に浸透するのを妨げるので、衣服を汗によって汚れることが無いという利点がある。
【0011】
請求項3の発明は、襟元よごれ防止具を3枚用意し、初めに襟元中央部に第一襟元よごれ防止具を貼着し、その後、この第一の襟元よごれ防止具の両側方部に両端が接するか、適宜間隙をおいて第二、第三の襟元よごれ防止具を貼るので、1枚の長尺な襟元よごれ防止具を貼る場合のように皺がよったり、貼るために時間がかかることがなく、容易に3ヶ所に貼ることができる。
しかも、間隙部分があるので、衣服を着用した時、襟がゴワゴワしない上にシワが寄らない。又、よごれ防止具を貼着しているという感覚がまったくない。
また、襟元全周にわたって1枚の襟元よごれ防止具を貼る場合は、襟元よごれ防止具の長さが長くなり、持ち運びが不便であるが、3枚使用する場合は、襟元の全周の約1/3以下の寸法で済むので、コンパクトでハンドバックに入り、持ち運びに便利である。しかもいつでも使えて機能的という利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1(A)は、本発明による襟元よごれ防止具1の全体形状を示す。この実施例の襟元よごれ防止具は、細長い楕円状の形をしており、両端部2は丸味をおびている。図1(B)は、襟元よごれ防止具1の断面を表す形状を模式的に拡大して示したものである。
【0013】
吸水性部材層3は、不織布、紙、ガーゼ、綿布、綿など、吸水性のある材質から成る。好ましい材料としては、例えば、白十字株式会社製の「サルバケアシーツ」に使用している吸水部分、あるいは、ユニチャーム株式会社製の「ライフリー吸水下着スリムウェアー」のお腹まわりの薄い部分に使用している生地等が好ましい。
【0014】
この吸水性部材層3の裏面側には、衣服の襟元に剥離可能に貼着するための粘着剤からなる粘着剤層4が設けられている。この粘着剤の粘着力は、梱包用の粘着テープなどに使用されている粘着剤の粘着力より少ない方が好ましい。
粘着力が梱包用の粘着テープ位強いと、襟元よごれ防止具を使用した後、衣服の襟元から剥離するときに、衣服の生地が強度のない柔らかいものや毛羽立っているものの場合、生地を傷めてしまうからである。 粘着剤層4の表面は、この襟元よごれ防止具を使用しない場合の持ち運び時に他のモノに粘着しないようにするため剥離紙5で被覆してある。襟元よごれ防止具を使用する時には、粘着剤層4から剥離させる。
【0015】
図2(A)は、図1を用いて説明した襟元よごれ防止具を使用する状態を示したものである。衣服6の襟7の襟元中央部8に襟元よごれ防止具から剥離紙を剥離した第1のよごれ防止片11を貼着する。つぎに、第1のよごれ防止片11の左右両側の襟元側方部9、10に、第2、第3のよごれ防止片12、13を1cm乃至2cm間隔を開けて貼り付ける。衣服を着用し、汗やほこりで吸水性部材層3の表面は汚れ、汚れが目立ってきたら、このよごれ防止片1112、13を手で持ち、引き剥がせば、簡単に引き剥がすことができ、新しいよごれ防止片に貼り替えて、気持ちよく衣服を着用することができる。
【0016】
図3(A)は、第一のよごれ防止具11と第二、第三のよごれ防止片12、13との相対的な角度を調整する様子を示している。多種多様衣服の様々な襟の形状や生地の種類に合わせ、相対的な角度を自由に調整できる。
図3(B)は、衣服の大きさ、襟元の寸法の違いによって、第一のよごれ防止具11と第二、第三のよごれ防止片12、13との相対的な位置関係を調整可能であることを示す図である。つまり、(A)、(B)で示すように、第一のよごれ防止具11と第二、第三のよごれ防止片12、13とは、両端部が丸味をおびているので、それぞれが互いに接するように襟元に貼ったり、間隔をあけて貼ったりと相対的な位置関係を自由に調整することが可能である。
【0017】
図4は、他の実施例を示すものである。この実施例は、吸水性部材層16と剥離可能な粘着剤層19との間に汗や油の成分が浸透しない不浸透性のフイルム状材料(住友スリーエム株式会社製の「はってはがせるテープ」、が好ましい)からなる不浸透性部材層18を設けたものである。
吸水性部材層16と不浸透性部材層18とは、互いに剥離しないように、一体的に密着させてある。このような襟元よごれ防止具1を衣服から剥離するように粘着剤層19の粘着度は、吸水性部材層16と不浸透性部材層18とを一体的に接着させる粘着剤層17の粘着強度よりはるかに弱いが、衣服の着用時、襟元にしっかりと貼着している必要があるので、少なくとも住友スリーエム株式会社製の「はってはがせるテープ」の粘着強度は必要であり、それよりも強い強度が好ましい。この実施例の襟元よごれ防止具の大きさは、普通サイズで横13cm〜14cm、高さ4cm位、大きいLサイズは横14cm〜15cm、高さ4cm〜5cm位、小さいSサイズは横12cm〜13cm高さ3cm〜4cm位が好ましい。
【0018】
図5は、この実施例による襟元よごれ防止片3枚を衣服の襟元の貼り付け、衣服を着用した場合、汗や汚れがどのように襟元よごれ防止具へ転写されるか、黒粉を首回りにつけて、衣服を着用し実験した結果を図示したものである。3枚の襟元よごれ防止片それぞれに、ほぼ均等に黒粉が転写され、この襟元よごれ防止具が衣服のよごれ防止効果があることが明確に判る。(参考写真1参照)
【0019】
これに対し、図6は、長尺な一枚の襟元よごれ防止片を衣服の襟元に貼着して実験したものであるが、この場合は、2か所に皺がよって、その皺のところに黒粉が転写されているので、首回りの特定の箇所の皮膚に集中して接触していることがわかる。これは着用時の不快感を与えることを意味しており、汗なども1枚のよごれ防止具では十分に吸着できないことを示してしる。(参考写真2参照)
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)本発明の実施例の外観図、(B)本発明の実施例の断面図
【図2】本発明の襟元よごれ防止具の使用状態を示す斜視図
【図3】本発明の襟元よごれ防止具の使用状態を示す斜視図
【図4】本発明の襟元よごれ防止具の他の実施例を示す断面図
【図5】本発明の襟元よごれ防止具3枚を使用した転写状態を示す模式図
【図6】本発明の襟元よごれ防止具1枚を使用した転写状態を示す模式図
【符号の説明】
【0021】
(1) 襟元よごれ防止具
(2) 襟元よごれ防止具の端部
(3) 吸水性部材層
(4) 粘着剤層
(5) 剥離紙
(6) 衣服
(7) 襟
(8) 襟元中央部
(9) 襟元側方部
(10)襟元側方部
(11)第一のよごれ防止片
(12)第二のよごれ防止片
(13)第三のよごれ防止片
(14)首
(15)汗
(16)吸水性部材層
(17)粘着剤層
(18)不浸透性フイルム部材層
(19)粘着剤層
(20)シワ
(21)シワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が丸味をおび、吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層(3)と、この吸水性部材層の裏面側に設けられ前記吸水性部材層を衣服の襟元に剥離可能に貼着するための粘着剤層(4)と、この粘着剤層を剥離可能に覆うための剥離紙(5)とを備えたよごれ防止具。
【請求項2】
前記よごれ防止具が、吸水性部材層(16)と前記剥離可能な粘着剤層(19)との間に、汗や油成分が浸透しない不浸透性材質からなる不浸透性部材層(18)を設け、前記吸水性部材層と前記不浸透性部材層とを剥離しないように一体的に密着させ、該よごれ防止具を衣服から剥離する場合は前記剥離可能な粘着剤層が衣服から剥離するように粘着剤層の粘着度が設定してあることを特徴とする請求項1記載の襟元よごれ防止具。
【請求項3】
衣服の襟元中央部(8)に、両端部が丸味をおび吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層(2、4)を有する第一のよごれ防止具を剥離可能に貼着する段階と、前記第一のよごれ防止具が貼着されている襟元中央部の左右の襟元側方部(9)(10)に、第一のよごれ防止具との間隔および相対角度を調整しながら、両端部が丸味をおび吸水性がある材料から成る布状の吸水性部材層(2、4)を有する第二、第三のよごれ防止具をそれぞれ剥離可能に貼着する段階とを備えた襟元よごれ防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−106415(P2010−106415A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303141(P2008−303141)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(508350823)
【Fターム(参考)】