説明

衣類乾燥機

【課題】乾燥運転中に排出口に衣類が張り付いた場合でも、排出口から衣類を容易に剥がすことができ、高温に加熱された空気による衣類の損傷を迅速に防ぐことが可能な衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】ドラム駆動部122、ファン駆動部181、及び加熱部16を作動させ、回転ドラム12内に加熱された空気を供給して衣類Mを乾燥する乾燥運転中に、衣類張り付き検知部183により排出口111への衣類Mの張り付きが検知されると、ファン駆動部181及び加熱部16を停止し、加熱された空気が回転ドラム12内に供給されない状態で、回転ドラム12を所定時間、回転させる空運転を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類が収容される回転ドラムをドラムモータにより回転駆動しながら、給排気ファンで本体ケース外から空気を吸引するとともに、吸引された空気をガスバーナや電気ヒータなどの加熱源で加熱して、回転ドラム内に加熱された空気を供給することにより、衣類を乾燥する衣類乾燥機が知られている。
【0003】
上記衣類乾燥機で乾燥運転を行う場合、回転ドラム内で衣類を均一に乾燥させるために、衣類の絡み合いや偏りを防止して、加熱された空気が衣類に均一に当たるようにすることが望まれる。そのため、回転ドラムは、その内周面から径方向に突出するとともに幅方向に延在する複数のリフタを備えており、回転に伴って、衣類を該リフタによりある程度持ち上げては衣類の自重により落下させるようにしている。
【0004】
また、シーツ等の薄手で大型の衣類は回転ドラム内で塊状になる傾向があり、そのためリフタを乗り越えて転動し、リフタにより持ち上げられ難くなることから、乾燥運転中に回転ドラムの回転数を一時停止したり、低減することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−233697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の衣類乾燥機では、衣類を短時間で乾燥させるために回転ドラム内に加熱された大量の空気を通過させているが、ナイロン製のエプロンや厚手のマット類などの通風性に劣る衣類を乾燥させると、これらが回転ドラムあるいは扉に設けられた排出口に張り付く場合がある。このような排出口への衣類の張り付きが生じると、排出口から給排気ファンまでの圧力が低下して衣類が排出口に強く吸引されるため、特許文献1のような回転ドラムの回転数の制御を行っても衣類が排出口から剥がれ難くなる。そのため、回転ドラム内を通過する加熱された空気の通気性が急激に低下し、それに伴って本体ケース内に吸引される空気の量が低下する。その結果、加熱源近傍の空気の温度が急激に上昇して、回転ドラム内に供給される空気の温度が短時間で高温となり、衣類を傷めるという問題がある。
【0007】
この場合、衣類温センサなどの温度センサにより回転ドラム内の温度を測定し、検知温度が所定温度以上になると加熱源を停止するとともに、回転ドラムを停止させることも考えられる。しかしながら、温度センサは即答性に劣るため、排出口への衣類の張り付きによる急激な温度上昇を短時間で検知できないという問題がある。また、回転ドラム内で衣類は転動しているため、衣類の一部が高温の空気で過熱されていても、衣類全体の温度が上昇しなければ温度センサで高温が検知され難い。さらに、上記のように一旦、排出口に張り付いた衣類は給排気ファンによって排出口に強く吸引されているため、回転ドラムを停止させるだけでは衣類が排出口から容易に剥がれず、その結果、加熱源の停止によって回転ドラム内の温度が低下すると、衣類が排出口に張り付いた状態で乾燥運転が再開されるという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、乾燥運転中に排出口に衣類が張り付いた場合でも、排出口から衣類を容易に剥がすことができ、高温に加熱された空気による衣類の損傷を迅速に防ぐことが可能な衣類乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、衣類を収容する回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させるドラム駆動部と、
本体ケース外から吸引された空気を、前記回転ドラム内で吹出口から排出口に向かって通過させ、本体ケース外へ排気する給排気ファンと、
前記給排気ファンを駆動するファン駆動部と、
前記回転ドラム内へ供給する空気を加熱する加熱部と、
前記排出口への衣類の張り付きを検知する衣類張り付き検知部と、
運転制御部と、を有する衣類乾燥機であって、
前記運転制御部は、前記ドラム駆動部、前記ファン駆動部、及び前記加熱部を作動させ、前記回転ドラム内に加熱された空気を供給して衣類を乾燥する乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、
前記ファン駆動部及び前記加熱部を停止し、加熱された空気が前記回転ドラム内に供給されない状態で、前記回転ドラムを所定時間、回転させる空運転を実行する衣類乾燥機である。
【0010】
上記衣類乾燥機によれば、衣類張り付き検知部により排出口への衣類の張り付きが検知されると、ファン駆動部が停止されるから、回転ドラム内を空気が通過せず、衣類が排出口に吸引される力が弱くなる。そして、ファン駆動部及び加熱部が停止されて、ドラム駆動部のみが作動を継続する空運転が実行される。このため、回転ドラム内に空気が供給されない状態で衣類が回転され、排出口に張り付いた衣類が排出口から剥がれやすくなる。さらに、上記空運転の間はファン駆動部及び加熱部が停止されるから、回転ドラム内に加熱された空気が供給されず、空運転中に高温に加熱された空気によって衣類が損傷することもない。
【0011】
好ましくは、上記衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口から衣類が剥がれたことが検知されると、前記乾燥運転を再開し、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、前記空運転を再開する。
【0012】
上記衣類乾燥機によれば、ドラム駆動部のみを作動する空運転によって排出口から衣類が剥がれたことが検知されると、ファン駆動部及び加熱部を作動させて乾燥運転が再開されるから、衣類乾燥機全体の運転を停止することなく、早期に衣類を乾燥できる。また、空運転後でも排出口への衣類の張り付きが検知されると、空運転が再開されるから、衣類を確実に排出口から剥がすことができるとともに、衣類が排出口に張り付いた状態で乾燥運転が再開されるのを防止できる。
【0013】
上記衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記空運転を連続して複数回実行後に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、前記ドラム駆動部を停止して、運転エラーを報知してもよい。
【0014】
上記衣類乾燥機によれば、ファン駆動部及び加熱部が停止され、ドラム駆動部のみが作動される空運転を連続して複数回実行しても排出口への衣類の張り付きが検知される場合、回転ドラム内の衣類の回転だけによっては排出口から衣類を剥がすことができないから、ドラム駆動部も停止して、運転エラーを報知すれば、不要な運転を早期に中止できるとともに、使用者に衣類の張り付きを認識させることができる。
【0015】
好ましくは、上記衣類乾燥機において、
前記衣類張り付き検知部は、前記給排気ファンの回転数を検知し、
前記運転制御部は、一定の基準通電量で前記ファン駆動部を制御しながら前記乾燥運転を実行する。
【0016】
乾燥運転中に衣類が排出口に張り付くと、本体ケース内に吸い込まれる空気の量が急激に低下するが、一定の基準通電量でファン駆動部が制御される場合、給排気ファンの回転数は空気量の減少に伴って増加する。一方、空運転によって衣類が排出口から剥がれた場合、回転ドラム内の空気の通気性が改善されるから、給排気ファンの回転数は空気量の増加に伴って減少する。従って、給排気ファンの回転数を検知する衣類張り付き検知部を用いれば、早期に排出口への衣類の張り付きの有無を検知できる。
【0017】
上記衣類乾燥機において、前記衣類張り付き検知部が前記給排気ファンの回転数を検知する場合、
前記乾燥運転中の排出口への衣類の張り付きは、前記給排気ファンの回転数が第1中断回転数以上であるかどうかによって判定してもよい。
【0018】
既述したように、一定の基準通電量でファン駆動部が制御される場合、排出口への衣類の張り付きに起因する空気量の減少に伴って給排気ファンの回転数が増加する。従って、給排気ファンの回転数が第1中断回転数以上である場合を排出口への衣類の張り付きとして検知すれば、確実に排出口への衣類の張り付きを検知することができる。
【0019】
好ましくは、上記衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数以下かどうかを判定する第1チェック運転を実行し、
前記第1チェック運転において、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0020】
上記衣類乾燥機によれば、ドラム駆動部のみが作動されている空運転後に、加熱部は作動させず、ファン駆動部を作動して、加熱されていない空気が回転ドラム内に供給される状態で、回転ドラムを回転させる第1チェック運転が行われる。従って、空運転によって衣類が排出口から剥がれた場合、回転ドラム内の空気の通気性が改善されて、それによって給排気ファンの回転数は低下しているはずであるから、該給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数以下であるかどうかを判定することにより、衣類が過熱されることなく、確実に衣類が排出口に張り付いているかどうかを判定できる。そして、上記第1チェック運転では、ファン駆動部及びドラム駆動部は作動している状態であるから、給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数以下である場合、加熱部を作動させることにより、短時間で乾燥運転を再開することができる。
一方、第1チェック運転において、給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数より大きければ、衣類が排出口から剥がれていないと判定できるから、再度ファン駆動部を停止して、ドラム駆動部のみを作動させる空運転を再開すれば、衣類を確実に排出口から剥がすことができる。
【0021】
また、上記衣類乾燥機において、前記衣類張り付き検知部が前記給排気ファンの回転数を検知する場合、
前記乾燥運転中の排出口への衣類の張り付きは、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2中断回転数以上かどうかによって判定してもよい。
【0022】
既述したように、一定の基準通電量でファン駆動部が制御される場合、排出口への衣類の張り付きに起因する空気量の減少に伴って極めて短時間で給排気ファンの回転数が増加する。従って、一定時間内の給排気ファンの回転数の変化量が第2中断回転数以上であれば、給排気ファンの回転数が上記した第1中断回転数以上に増加するのを待つことなく、さらに早期に空運転に移行することができる。これにより、衣類の損傷をより迅速に防ぐことができる。
【0023】
好ましくは、上記衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2再開許容回転数以下かどうかを判定する第2チェック運転を実行し、
前記第2チェック運転において、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が前記第2再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が前記第2再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0024】
上記衣類乾燥機によれば、ドラム駆動部のみが作動されている空運転後に、加熱部は作動させず、ファン駆動部を作動して、加熱されていない空気が回転ドラム内に供給される状態で、回転ドラムを回転させる第2チェック運転が行われる。従って、空運転によって衣類が排出口から剥がれていた場合、回転ドラム内の空気の通気性が改善されて、それによって給排気ファンの回転数は低下しているはずであるから、一定時間内の該給排気ファンの回転数の変化量が第2再開許容回転数以下であるかどうかを判断することにより、衣類が過熱されることなく、確実に衣類が排出口に張り付いているかどうかを迅速に判定できる。そして、上記第2チェック運転では、ファン駆動部及びドラム駆動部は作動している状態であるから、給排気ファンの回転数の変化量が第2再開許容回転数以下である場合、加熱部を作動させることにより、短時間で乾燥運転を再開することができる。
一方、第2チェック運転において、給排気ファンの回転数の変化量が第2再開許容回転数より大きければ、衣類が排出口から剥がれていないと判定できるから、再度ファン駆動部を停止して、ドラム駆動部のみを作動させる空運転を再開すれば、衣類を確実に排出口から剥がすことができる。
【0025】
さらに、上記衣類乾燥機において、前記衣類張り付き検知部が前記給排気ファンの回転数を検知する場合、
前記乾燥運転中の排出口への衣類の張り付きは、前記給排気ファンの回転数と、乾燥運転初期における前記給排気ファンの初期回転数との差が第3中断回転数以上であるかどうかによって判定してもよい。
【0026】
既述したように、一定の基準通電量でファン駆動部が制御される場合、排出口への衣類の張り付きに起因する空気量の減少に伴って短時間で給排気ファンの回転数が増加する。一方、衣類の量によって回転ドラム内の通気性は変化するから、乾燥運転初期における給排気ファンの初期回転数は変化する。従って、乾燥運転中の給排気ファンの回転数と乾燥運転初期における初期回転数との差が第3中断回転数以上である場合に排出口への衣類の張り付きが発生したと判定すれば、衣類の量に関わらず、早期に空運転に移行することができる。これにより、衣類の損傷を迅速に防ぐことができる。
【0027】
好ましくは、上記衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が第3再開許容回転数以下かどうかを判定する第3チェック運転を実行し、
前記第3チェック運転において、前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が前記第3再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が前記第3再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0028】
上記衣類乾燥機によれば、ドラム駆動部のみが作動されている空運転後に、加熱部は作動させず、ファン駆動部を作動して、加熱されていない空気が回転ドラム内に供給される状態で、回転ドラムを回転させる第3チェック運転が行われる。従って、空運転によって衣類が排出口から剥がれていた場合、回転ドラム内の空気の通気性が改善されて、それによって給排気ファンの回転数は低下しているはずであるから、該給排気ファンの回転数と初期回転数との差が第3再開許容回転数以下であるかどうかを判断することにより、衣類が過熱されることなく、確実に衣類が排出口に張り付いているかどうかを判定できる。そして、上記第3チェック運転では、ファン駆動部及びドラム駆動部は作動している状態であるから、給排気ファンの回転数と初期回転数との差が第3再開許容回転数以下である場合、加熱部を作動させることにより、短時間で乾燥運転を再開することができる。
一方、第3チェック運転において、給排気ファンの回転数と初期回転数との差が第3再開許容回転数より大きければ、衣類が排出口から剥がれていないと判定できるから、再度ファン駆動部を停止して、ドラム駆動部のみを作動させる空運転を再開すれば、衣類を確実に排出口から剥がすことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、乾燥運転中に、排出口へ衣類が張り付いた場合でも、排出口から衣類を容易に剥がすことができる。これにより、高温に加熱された空気による衣類の損傷を迅速に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の制御動作の一例を示す制御フロー図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の制御動作の他の一例を示す制御フロー図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の制御動作のさらに他の一例を示す制御フロー図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機における給排気ファンの回転数と排出口への衣類の張り付き状態との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の衣類乾燥機を具体的に説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の一例を示す概略断面図である。
【0033】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機は、矩形箱状の本体ケース10と、本体ケース10の正面側に開設された衣類取出口101を被蓋する扉11とでその外郭が構成されている。
【0034】
本体ケース10内には、衣類Mを収容する一端開放円筒状で、内周壁にリフタ(図示せず)が設けられた回転ドラム12が収容されている。この回転ドラム12は、開放端が本体ケース10の正面に面するように略90度傾倒した横向き姿勢で本体ケース10内に組み込まれており、その正面開放部の内周面が衣類取出口101の内側外周に固設されたリング板13の外周に遊接支持され、奥壁121の中心部が本体ケース10内奥側の固定壁102に設けられた支軸14に支持されている。
【0035】
支軸14を支持する固定壁102には、本体ケース10内の空気を回転ドラム12の奥壁121と固定壁102との間隙S1へ取り込むための空気取込口104が開設されており、後述する給排気ファン18を作動した際、本体ケース10内の空気がこの空気取込口104を通って上記間隙S1内へ導かれるようになっている。
【0036】
さらに、固定壁102の上記間隙S1側の面には、回転ドラム12の奥壁121へ向かって開放する筒状の遮熱板105が所定の間隔をもって支軸14の外周を囲うように配設されている。
【0037】
また、回転ドラム12には、ドラム駆動部であるドラムモータ122が接続されており、回転ドラム12は、このドラムモータ122の駆動力によって上記支軸14を中心に自在に回動するよう構成されている。
【0038】
回転ドラム12の奥壁121には、複数の吹出口123が形成されており、この奥壁121の裏側には、本体ケース10内の空気や後述するガスバーナ161から放出された燃焼ガスを上記吹出口123へ導くための温風ダクト15が配設されている。
【0039】
温風ダクト15は、回転ドラム12の奥壁121の裏側から回転ドラム12下方の本体ケース10内下部の空間まで延設されており、その上流端である下端開放部の下方には、温風ダクト15を通じて回転ドラム12内へ導かれる空気を加熱する加熱部であるバーナユニット16が配設されている。
【0040】
バーナユニット16は、加熱源のガスバーナ161や弁装置162等で構成されており、弁装置162に組み込まれた図示しない比例弁を開放すると、バーナユニット16周辺の空気とともにガスバーナ161内へ所定量のガスが送り込まれ、そのガスバーナ161の炎孔上方で着火する。そして、送り込まれたガスは燃焼ガスとして温風ダクト15内へ放出され、ドラフト効果によってその温風ダクト15の下端開放部へ導かれた本体ケース10内の空気を加熱しつつ、その加熱された空気とともに温風ダクト15の下流端から吹出口123を通じて回転ドラム12内へ供給される。
【0041】
回転ドラム12の上方で且つ本体ケース10内上部の空間には、後述する連絡通路110から導かれた回転ドラム12内の空気を本体ケース10外へ導くための排気ダクト17が配設されている。
【0042】
排気ダクト17の一端側の排気入口171は、本体ケース10の正面側で且つ衣類取出口101の上側に開設されており、他端側の排気出口172は、本体ケース10上面に開設されている。また、排気ダクト17の中間部には、本体ケース10の外部の空気やガスバーナ161によって加熱された空気を回転ドラム12内へ送り込むための給排気ファン18が組み込まれている。
【0043】
給排気ファン18には、ファン駆動部であるファンモータ181が接続されており、給排気ファン18は、このファンモータ181の駆動力によって支軸182を中心に自在に回動するよう構成されている。このように回転ドラム12と給排気ファン18とをそれぞれ異なる駆動源で駆動することにより、後述する排出口111へ衣類Mが張り付いた場合に、回転ドラム12と給排気ファン18とを独立して回転及び停止させることができる。
【0044】
また、ファンモータ181には、衣類張り付き検知部として給排気ファン18の回転数を検知する回転数センサ183が設けられている。この回転数センサ183は、ファンモータ181の一回転毎に所定数のパルスを発生するホールICにより構成されており、回転数センサ183で検知された信号は、制御回路30に出力される。
【0045】
一方、扉11の内側には、扉11が閉じられた状態において衣類取出口101へ繋がる排出口111と、上記排気入口171へ繋がる連結口112とが設けられており、扉11の内部には、これら排出口111及び連結口112相互を繋ぐ空気の連絡通路110が形成されている。
【0046】
従って、扉11が閉じられた状態でファンモータ181を作動させて、給排気ファン18を回転させると、本体ケース10外から本体ケース10内に空気が吸い込まれ、吹出口123から回転ドラム12内に供給される。そして、回転ドラム12内に供給された空気は排出口111に向かって流れ、排出口111から扉11内部の連絡通路110を通って排気ダクト17内へ送り出され、さらに排気出口172から本体ケース10外へ排出される。
【0047】
本体ケース10の側面には、本体ケース10の内外を繋ぐ給気口103が設けられており、給排気ファン18によって回転ドラム12内へ送り込まれる空気は、この給気口103から本体ケース10内へ取り込まれる。
【0048】
排出口111の連絡通路110側には、取り外し可能な網目状のフィルタ19が装着されており、回転ドラム12内の空気が排出口111及び連絡通路110を介して排気ダクト17内へ送り出される際、このフィルタ19によって回転ドラム12内に浮遊するごみや糸くずが除去される。
【0049】
排出口111に対向する回転ドラム12の奥側には、衣類Mの温度を検知するための衣類温センサ20が設けられている。具体的には、支軸14の回転ドラム12内側の端部には、支軸14の中心である回転ドラム12の回転中心から外周方向へ張り出す円板状のフランジ141が固設されており、回転ドラム12の奥壁121から内側に突出するフランジ141の前面に衣類温センサ20が取り付けられている。この衣類温センサ20で検知された信号は、制御回路30に出力される。
【0050】
なお、フランジ141の外周は、回転ドラム12の奥壁121に固設された円環状の軸カバー125で覆われている。この軸カバー125の内周縁とフランジ141の外周端面との間には、回転ドラム12が回動してもそれら相互が接触しないよう、所定の間隙が形成されている。
【0051】
本体ケース10の扉11の前面下方には、運転スイッチや停止スイッチ等の各種操作スイッチの他、運転エラーを表示するランプなどが配置された操作部40が配設されている。
【0052】
図1に示したように、本体ケース10内には、回転ドラム12の回転動作やバーナユニット16による空気の加熱動作、給排気ファン18の回転動作等、衣類乾燥機全体の運転を制御する運転制御部として制御回路30が組み込まれており、上述したドラムモータ122、弁装置162、ファンモータ181、回転数センサ183、衣類温センサ20、操作スイッチ、ランプ等は、この制御回路30に電気配線を通じて接続されている。
【0053】
図示しないが、制御回路30は、ドラムモータ122の作動及び停止を行うドラム作動回路、ファンモータ181の作動及び停止を行うファン作動回路、バーナユニット16の作動及び停止を行うことによりガスバーナ161の点火及び消火を行う点消火回路、衣類Mの乾燥状態に基づいて乾燥運転の終了時期を判定する乾燥判定回路、回転数センサ183から出力される給排気ファン18の回転数を監視する監視回路、給排気ファン18の回転数に基づき排出口111への衣類Mの張り付きを判定する張り付き判定回路等によって構成されており、これら各回路によって乾燥運転、空運転、チェック運転等の各種運転が実行される。
【0054】
まず、乾燥運転における運転動作について説明する。使用者が運転スイッチをオンする乾燥運転の開始操作がなされると、所定の基準通電量でファンモータ181を作動して給排気ファン18を回転させるとともに、ドラムモータ122を作動して回転ドラム12を回転させ、さらにバーナユニット16を作動してガスバーナ161を点火する一連の初期乾燥動作が開始される。すると、給排気ファン18の回転によって本体ケース10外から本体ケース10内に吸い込まれた空気がガスバーナ161から放出された燃焼ガスによって加熱されつつ、その燃焼ガスとともに温風ダクト15内へ導かれ、吹出口123から回転ドラム12内へ供給される。そして、回転ドラム12内へ供給された加熱された空気は、衣類Mの水分を蒸発させつつ扉11の内側の排出口111に向かって流れ、排出口111を介して連絡通路110に排出される。さらに、連絡通路110に排出された加熱された空気は、連絡通路110を通じて排気ダクト17へ導かれ、排気出口172から本体ケース10の外部へ排出される。その結果、衣類Mは、回転ドラム12内で撹拌されながら、次第に乾燥していく。なお、本実施の形態では、回転ドラム12内に衣類Mが入れられていない状態で、ファンモータ181を作動させた場合に、1,800〜1,900rpmの回転数の範囲で給排気ファン18が回転するように基準通電量が設定されてある。
【0055】
乾燥運転中に衣類温センサ20に接触した衣類Mの温度が予め設定された基準温度より高ければ、図示しない比例弁を所定の開度まで絞って燃焼ガスの放出量を減少させ、空気の加熱度合を減少させる。一方、上記衣類Mの温度が基準温度より低ければ、図示しない比例弁を所定の開度まで開いて燃焼ガスの放出量を増加させ、空気の加熱度合を増加させる。
【0056】
その後、衣類Mが所定の乾燥状態になれば、ガスバーナ161を消火させるとともに、給排気ファン18及び回転ドラム12を回転させた状態で維持し、衣類Mの冷却動作を行う。その結果、衣類Mは、回転ドラム12内で撹拌されながら、次第に除熱されていく。そして、冷却動作を開始してから所定時間が経過すれば、衣類Mが適度に冷却されたものとして、給排気ファン18及び回転ドラム12の回転を停止させ、運転を終了する。
【0057】
(実施の形態1)
次に、乾燥運転中に排出口111への衣類Mの張り付きが生じた場合の運転動作の一例について、図2の制御フロー、及び図5の給排気ファン18の回転数の変化を示すグラフを参照して具体的に説明する。なお、図5は、上述した衣類乾燥機で、回転ドラム12内にナイロン製のシートを投入し、乾燥運転を行った際の給排気ファン18の回転数の変化を測定した結果である。
【0058】
上記乾燥運転が開始されると(ステップST1)、制御回路30は、排出口111への衣類Mの張り付きを検知する時に使用する空運転の連続実行回数の履歴カウンタを0にリセットする(ステップST2)。
【0059】
次いで、制御回路30は、監視回路により回転数センサ183から出力される給排気ファン18の回転数を監視し、給排気ファン18の回転数が所定の第1中断回転数(例えば、2,000rpm)以上になるかどうかを張り付き判定回路により判定する(ステップST3)。
【0060】
すなわち、図5に示すように、乾燥運転が開始されると、略一定の回転数で給排気ファン18は回転するが、乾燥運転中に急激に回転数が増加する現象が発生することが分かる。これは、排出口111に衣類Mが張り付き、その結果、回転ドラム12内を通過する加熱された空気の量が急減したためである。従って、乾燥運転が開始された後、給排気ファン18の回転数が所定の第1中断回転数以上に増加した場合、衣類Mが排出口111に張り付いたと判定できる。このように給排気ファン18の回転数を利用して排出口111への衣類Mの張り付きを検知すれば、図5に示すように、排出口111に衣類Mが張り付いた場合、急激に給排気ファン18の回転数が増加するため、温度センサによる加熱された空気の温度を測定する場合よりも迅速に衣類Mの張り付きを検知できる。
【0061】
上記のような排出口111に衣類Mが張り付いた状態で乾燥運転を継続すると、回転ドラム12内の空気の通気性の低下により本体ケース10内に吸い込まれる空気の量が減少しているため、吸い込まれた空気がガスバーナ161で過熱され、高温に加熱された空気が回転ドラム12内に供給されて、衣類Mを傷めることとなる。
【0062】
このため、上記給排気ファン18の回転数が第1中断回転数以上であると判定された場合(ステップST3でYES)、まず、制御回路30は、空運転の実行履歴から空運転が連続して複数回実行されているかどうかを判断し(ステップST4)、連続して空運転が実行されていなければ(ステップST4でYES)、空運転の連続実行回数の履歴カウンタに1を加算する(ステップST5)。そして、点消火回路及びファン作動回路はそれぞれ、バーナユニット16及びファンモータ181を停止し、ドラムモータ122のみ作動を継続させて、回転ドラム12内に加熱された空気が供給されない状態で、回転ドラム12を回転させる空運転を行う(ステップST6)。これにより、衣類Mを排出口111へ吸引する力が弱まり、この状態で回転ドラム12を所定時間(例えば、30秒)、回転させるため、排出口111に張り付いていた衣類Mが剥がれやすくなる(ステップST7)。しかも、空運転中はバーナユニット16は停止しているから、本体ケース10外から本体ケース10内に吸い込まれる空気の量が減少してても、空気が過熱されず、高温に加熱された空気によって衣類Mが損傷することもない。
【0063】
所定時間、空運転が行われると(ステップST7でYES)、制御回路30は、バーナユニット16を作動させることなく、ファン作動回路によりファンモータ181を作動させ、回転させている回転ドラム12内に加熱されていない空気を供給する第1チェック運転を行う(ステップST8)。
【0064】
すなわち、図5に示すように、衣類Mが排出口111から剥がれていれば、回転ドラム12内の通気性が改善されているから、回転数センサ183で検知される給排気ファン18の回転数は減少する。従って、制御回路30は、ファン作動回路によりファンモータ181を所定時間(例えば、15秒)、作動させた後(ステップST9でYES)、ファンモータ181を作動させた状態で、張り付き判定回路により、回転数センサ183で検知される給排気ファン18の回転数が所定の第1再開許容回転数(例えば、1,900rpm)以下であるかどうかを再度判定する(ステップST10)。回転数センサ183で検知される給排気ファン18の回転数が第1再開許容回転数以下であれば(ステップST10でYES)、衣類Mが排出口111から剥がれたと判定されて、点消火回路によりバーナユニット16を点火作動させ、乾燥運転を再開する(ステップST1)。これにより、一旦、衣類乾燥機を停止させることなく、乾燥運転を再開することができる。なお、第1再開許容回転数は、第1中断回転数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0065】
一方、所定時間、空運転を行った後でも、第1チェック運転で給排気ファン18の回転数が第1再開許容回転数より大きい場合(ステップST10でNO)、依然として回転ドラム12内の空気の通気性が低下しているから、衣類Mが排出口111に張り付いたままの状態にある。このため、空運転の連続実行回数に1が加算され(ステップST5)、ファン作動回路によりファンモータ181を再度停止し、ドラムモータ122のみの作動を継続して、空気が回転ドラム12内に供給されない状態で回転ドラム12を回転させる空運転を再開する(ステップST6)。
【0066】
上記空運転を複数回実行することにより、張り付いた衣類Mが排出口111から剥がれやすくなり、回転ドラム12内の空気の通気性を回復させることができる。なお、空運転を連続して複数回実行しても、給排気ファン18の回転数が減少しない場合(ステップST4でNO)、空運転では衣類Mを排出口111から剥がすことが困難であるから、制御回路30は、ファン作動回路によりファンモータ181を停止するとともに、ドラム作動回路によりドラムモータ122を停止して、ランプなどの報知部から運転エラーを報知し(ステップST11)、衣類乾燥機の運転を終了する。これにより、不要な運転を早期に中止できるとともに、使用者に衣類Mの張り付きを認識させることができる。また、上記運転停止によれば、回転ドラム12内の温度が低下しても、乾燥運転が再開されないため、衣類Mが排出口111に張り付いた状態で、乾燥運転が再開されることを防止できる。
【0067】
(実施の形態2)
次に、乾燥運転中に排出口111への衣類Mの張り付きが生じた場合の運転動作の他の一例について、図3の制御フロー、及び図5の給排気ファン18の回転数の変化を示すグラフを参照して具体的に説明する。なお、本実施の形態2における制御動作は、排出口111への衣類Mの張り付きを検知する方法が異なる以外は、実施の形態1のそれと同一であるため、主として異なる部分のみを説明する。
【0068】
実施の形態1と同様に、乾燥運転が開始された後(ステップST21〜ST22)、給排気ファン18の回転数が増加してくると、制御回路30は、一定時間内の給排気ファン18の回転数の変化量(△回転数)に基づき、衣類Mの排出口111への張り付きを検知する(ステップST23)。すなわち、図5に示すように、乾燥運転中に排出口111への衣類Mの張り付きが生じた場合、給排気ファン18の回転数は急激に増加するが、回転数が第1中断回転数まで増加し、安定するには一定時間が必要とされる。これに対し、本実施の形態では、制御回路30は、監視回路により短時間(例えば、1秒)ごとの給排気ファン18の回転数を監視し、張り付き判定回路により一定時間(例えば、10秒)内の給排気ファン18の回転数の変化量が所定の第2中断回転数(例えば、100rpm)以上かどうかを判定する(ステップST23)。これにより、実施の形態1よりもさらに迅速に、給排気ファン18の回転数が増加し始めた時点で、衣類Mの排出口111への張り付きを検知できる。
【0069】
一定時間内の給排気ファン18の回転数の変化量が第2中断回転数以上であった場合(ステップST23でYES)、衣類Mが排出口111に張り付いたと判定され、実施の形態1と同様に、制御回路30は、点消火回路及びファン駆動回路によりバーナユニット16及びファンモータ181をそれぞれ停止し、空運転を実行する(ステップST26)。
【0070】
また、所定時間、空運転が実行された後(ステップST27でYES)、実施の形態1と同様に、制御回路30は、バーナユニット16を作動させることなく、ファン作動回路によりファンモータ181を作動させ、回転させている回転ドラム12内に加熱されていない空気を供給する第2チェック運転を行ない(ステップST28)、ファンモータ181を作動させた状態で、上記と同様に、監視回路により短時間(例えば、1秒)ごとの回転数を監視する。そして、張り付き判定回路により回転数センサ183で検知される一定時間(例えば、5秒)内の給排気ファン18の回転数の変化量が所定の第2再開許容回転数(例えば、100rpm)以下であるかどうかを再度判定する(ステップST30)。これにより、乾燥運転をより迅速に再開できる。
【0071】
空運転を複数回実行しても、一定時間内の給排気ファン18の回転数の変化量が第2再開許容回転数より大きい場合、実施の形態1と同様に、制御回路30は、ファン作動回路によりファンモータ181を停止するとともに、ドラム作動回路によりドラムモータ122を停止して、ランプなどの報知部から運転エラーを報知する(ステップST31)。なお、第2再開許容回転数は、第2中断回転数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0072】
(実施の形態3)
次に、乾燥運転中に排出口111への衣類Mの張り付きが生じた場合の運転動作の他の一例について、図4の制御フロー、及び図5の給排気ファン18の回転数の変化を示すグラフを参照して具体的に説明する。なお、本実施の形態3における制御動作は、排出口111への衣類Mの張り付きを検知する方法が異なる以外は、実施の形態1のそれと同一であるため、主として異なる部分のみを説明する。
【0073】
実施の形態1と同様に、乾燥運転が開始されると(ステップST41)、まず制御回路30は、乾燥運転初期(例えば、ファンモータ181を作動して10秒後)における給排気ファン18の初期回転数を記憶する(ステップST42)。
【0074】
実施の形態1と同様に、乾燥運転が開始された後、制御回路30は、監視回路により給排気ファン18の回転数を監視し、張り付き判定回路により回転数と初期回転数との差(回転数−初期回転数)が、所定の第3中断回転数(例えば、200rpm)以上になるかどうかを判定する。すなわち、給排気ファン18の回転数は回転ドラム12内に収容される衣類Mの量によって異なる。一方、図5に示すように、乾燥運転初期では、排出口111に衣類Mが張り付いてない可能性が高いから、乾燥運転中の給排気ファン18の回転数と初期回転数との差が第3中断回転数(例えば、200rpm)以上かどうかを判定すれば(ステップST44)、衣類Mの量に関わらず、確実に衣類Mの排出口111への張り付きを検知できる。
【0075】
上記回転数の差が第3中断回転数以上であった場合(ステップST44でYES)、衣類Mが排出口111に張り付いたと判定され、実施の形態1と同様に、制御回路30は、点消火回路及びファン駆動回路によりバーナユニット16及びファンモータ181をそれぞれ停止し、空運転を実行する(ステップST47)。
【0076】
また、所定時間、空運転が実行された後(ステップST48でYES)、実施の形態1と同様に、制御回路30は、バーナユニット16を作動させることなく、ファン作動回路によりファンモータ181を作動させ、回転させている回転ドラム12内に加熱されていない空気を供給する第3チェック運転を所定時間行ない(ステップST49〜ST50)、ファンモータ181を作動させた状態で、上記と同様に、監視回路により回転数を監視し、さらに張り付き判定回路により回転数センサ183で検知される給排気ファン18の回転数と初期回転数との差が所定の第3再開許容回転数(例えば、200rpm)以下であるかどうかを再度判定する(ステップST51)。これにより、乾燥運転をより迅速に再開できる。
【0077】
空運転を複数回実行しても、回転数の差が第3再開許容回転数より大きい場合、実施の形態1と同様に、制御回路30は、ファン作動回路によりファンモータ181を停止するとともに、ドラム作動回路によりドラムモータ122を停止して、ランプなどの報知部から運転エラーを報知する(ステップST52)。なお、第3再開許容回転数は、第3中断回転数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0078】
(その他の実施の形態)
a)上記実施の形態1〜3ではそれぞれの検知方法により排出口111への衣類Mの張り付き及び排出口111からの衣類Mの剥がれを検知しているが、これらの検知方法を組み合わせてもよい。
【0079】
b)上記実施の形態では、乾燥運転中、単一の基準通電量でファンモータ181が制御されているが、衣類Mの量が異なる場合など乾燥条件の相違によって複数の基準通電量でファンモータ181が制御されてもよい。また、上記実施の形態では、空運転中、回転ドラム12は一定の回転速度で回転させているが、異なる回転速度で回転ドラム12を回転させてもよいし、正回転、及び逆回転を繰り返してもよい。
【0080】
c)上記実施の形態では、乾燥運転中、一定の基準通電量でファン駆動部を作動させた場合に、給排気ファン18の回転数の増加によって排出口111への衣類Mの張り付きを検知しているが、他の検知方法を用いてもよい。例えば、乾燥運転中、一定の基準回転数で給排気ファン18を回転させるようにファンモータ181を制御すれば、衣類Mが排出口111に張り付いた場合、回転ドラム12内の空気の通気性の低下から、給排気ファン18の負荷が減少するため、通電量が低下する。従って、例えば、通電量が所定値以上減少した場合を、排出口111への衣類Mの張り付きとして検知できる。
【0081】
以上詳細に本発明を説明したが、本発明の好適な態様について例示すれば以下の通りである。
【0082】
本発明の好適な一態様によれば、
衣類を収容する回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させるドラム駆動部と、
本体ケース外から吸引された空気を、前記回転ドラム内で吹出口から排出口に向かって通過させ、本体ケース外へ排気する給排気ファンと、
前記給排気ファンを駆動するファン駆動部と、
前記回転ドラム内へ供給する空気を加熱する加熱部と、
前記給排気ファンの回転数を検知する衣類張り付き検知部と、
一定の基準通電量で前記ファン駆動部を制御しながら乾燥運転を実行する運転制御部と、を有する衣類乾燥機であって、
前記運転制御部は、
前記ドラム駆動部、前記ファン駆動部、及び前記加熱部を作動させ、前記回転ドラム内に加熱された空気を供給して衣類を乾燥する乾燥運転中に、前記給排気ファンの回転数が第1中断回転数以上に増加した場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記ファン駆動部及び前記加熱部を停止し、加熱された空気が前記回転ドラム内に供給されない状態で、前記回転ドラムを所定時間、回転させる空運転を実行する衣類乾燥機が提供される。
【0083】
好ましくは、上記態様の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、
前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数以下まで減少するかどうかを判定する第1チェック運転を実行し、
前記第1チェック運転において、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0084】
また、本発明の好適な他の一態様によれば、
衣類を収容する回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させるドラム駆動部と、
本体ケース外から吸引された空気を、前記回転ドラム内で吹出口から排出口に向かって通過させ、本体ケース外へ排気する給排気ファンと、
前記給排気ファンを駆動するファン駆動部と、
前記回転ドラム内へ供給する空気を加熱する加熱部と、
前記給排気ファンの回転数を検知する衣類張り付き検知部と、
一定の基準通電量で前記ファン駆動部を制御しながら乾燥運転を実行する運転制御部と、を有する衣類乾燥機であって、
前記運転制御部は、
前記ドラム駆動部、前記ファン駆動部、及び前記加熱部を作動させ、前記回転ドラム内に加熱された空気を供給して衣類を乾燥する乾燥運転中に、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2中断回転数以上に増加した場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記ファン駆動部及び前記加熱部を停止し、加熱された空気が前記回転ドラム内に供給されない状態で、前記回転ドラムを所定時間、回転させる空運転を実行する衣類乾燥機が提供される。
【0085】
好ましくは、上記態様の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、
前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2再開許容回転数以下かどうかを判定する第2チェック運転を実行し、
前記第2チェック運転において、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が前記第2再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの一定時間内の回転数の変化量が前記第2再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0086】
また、本発明の好適なさらに他の一態様によれば、
衣類を収容する回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させるドラム駆動部と、
本体ケース外から吸引された空気を、前記回転ドラム内で吹出口から排出口に向かって通過させ、本体ケース外へ排気する給排気ファンと、
前記給排気ファンを駆動するファン駆動部と、
前記回転ドラム内へ供給する空気を加熱する加熱部と、
前記給排気ファンの回転数を検知する衣類張り付き検知部と、
一定の基準通電量で前記ファン駆動部を制御しながら乾燥運転を実行する運転制御部と、を有する衣類乾燥機であって、
前記運転制御部は、前記ドラム駆動部、前記ファン駆動部、及び前記加熱部を作動させ、前記回転ドラム内に加熱された空気を供給して衣類を乾燥する乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数と、乾燥運転初期における前記給排気ファンの初期回転数との差が第3中断回転数以上である場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記ファン駆動部及び前記加熱部を停止し、加熱された空気が前記回転ドラム内に供給されない状態で、前記回転ドラムを所定時間、回転させる空運転を実行する衣類乾燥機が提供される。
【0087】
好ましくは、上記態様の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、
前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が第3再開許容回転数以下かどうかを判定する第3チェック運転を実行し、
前記第3チェック運転において、前記給排気ファンの回転数と初期回転数との差が前記第3再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数と初期回転数との差が前記第3再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する。
【0088】
上記いずれの態様における衣類乾燥機においても、好ましくは、
前記運転制御部は、前記空運転を連続して複数回実行後に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、前記ドラム駆動部を停止して、運転エラーを報知する。
【符号の説明】
【0089】
10 本体ケース
12 回転ドラム
16 バーナユニット(加熱部)
18 給排気ファン
30 制御回路(運転制御部)
111 排出口
122 ドラムモータ(ドラム駆動部)
123 吹出口
181 ファンモータ(ファン駆動部)
183 回転数センサ(衣類張り付き検知部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させるドラム駆動部と、
本体ケース外から吸引された空気を、前記回転ドラム内で吹出口から排出口に向かって通過させ、本体ケース外へ排気する給排気ファンと、
前記給排気ファンを駆動するファン駆動部と、
前記回転ドラム内へ供給する空気を加熱する加熱部と、
前記排出口への衣類の張り付きを検知する衣類張り付き検知部と、
運転制御部と、を有する衣類乾燥機であって、
前記運転制御部は、前記ドラム駆動部、前記ファン駆動部、及び前記加熱部を作動させ、前記回転ドラム内に加熱された空気を供給して衣類を乾燥する乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、
前記ファン駆動部及び前記加熱部を停止し、加熱された空気が前記回転ドラム内に供給されない状態で、前記回転ドラムを所定時間、回転させる空運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口から衣類が剥がれたことが検知されると、前記乾燥運転を再開し、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、前記空運転を再開する衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記空運転を連続して複数回実行後に、前記衣類張り付き検知部により前記排出口への衣類の張り付きが検知されると、前記ドラム駆動部を停止して、運転エラーを報知する衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣類乾燥機において、
前記衣類張り付き検知部は、前記給排気ファンの回転数を検知し、
前記運転制御部は、一定の基準通電量で前記ファン駆動部を制御しながら前記乾燥運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数が第1中断回転数以上である場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記空運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項6】
請求項5に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数が第1再開許容回転数以下かどうかを判定する第1チェック運転を実行し、
前記第1チェック運転において、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数が前記第1再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する衣類乾燥機。
【請求項7】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2中断回転数以上である場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記空運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項8】
請求項7に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が第2再開許容回転数以下かどうかを判定する第2チェック運転を実行し、
前記第2チェック運転において、前記給排気ファンの回転数の一定時間内の変化量が前記第2再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの一定時間内の回転数の変化量が前記第2再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する衣類乾燥機。
【請求項9】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記乾燥運転中に、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数と、乾燥運転初期における前記給排気ファンの初期回転数との差が第3中断回転数以上である場合、前記排出口への衣類の張り付きが発生したと判定して、前記空運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項10】
請求項9に記載の衣類乾燥機において、
前記運転制御部は、前記所定時間の空運転の実行後に、前記ファン駆動部を作動させて、前記衣類張り付き検知部により検知される前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が第3再開許容回転数以下かどうかを判定する第3チェック運転を実行し、
前記第3チェック運転において、前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が前記第3再開許容回転数以下である場合、前記加熱部を作動させて、前記乾燥運転を再開し、前記給排気ファンの回転数と前記初期回転数との差が前記第3再開許容回転数より大きい場合、前記ファン駆動部を停止して、前記空運転を再開する衣類乾燥機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−56024(P2013−56024A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195847(P2011−195847)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】