説明

衣類乾燥機

【課題】乾燥能力を高めて効率よく衣類を乾燥する。
【解決手段】乾燥室1から出た乾燥用空気を吸熱器10から放熱器8を経て乾燥室へ導く循環風路13と、循環風路に送風する送風手段12と、放熱器を通過し乾燥室へ導入される前の乾燥用空気を加熱するヒータ14と、乾燥室から吸熱器に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部15とを備え、排熱部は、循環風路を通る乾燥用空気を熱交換器16を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る循環風路を冷却する第2の冷却手段と、第1および第2の冷却手段に送風する冷却ファン17と、冷却ファンにより送風される冷却用空気を熱交換器と循環風路とに導くダクト18を有し、冷却ファンにより、熱交換器を通る乾燥用空気と乾燥用空気が通る循環風路を冷却するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の乾燥をおこなう衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置を利用したものが考えられている。一般的にヒートポンプ装置は、運転開始時の立ち上がりが遅いことから、ヒータによって乾燥用空気を加熱することが考えられている。また、運転中の乾燥用空気の熱、或いは、冷媒の熱の一部を外部に放出し、ヒートポンプサイクルを安定させることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の衣類乾燥機のシステム概念図である。以下、その構成について説明する。衣類等の乾燥対象を収容する乾燥室51から出た乾燥用空気を再び乾燥室51へ戻す循環風路52が構成されている。循環風路52内には、乾燥用空気を送風するファン53と、乾燥室51から出た湿った乾燥用空気を冷却除湿する吸熱器54と、吸熱器54で冷却除湿された低温の乾いた乾燥用空気を加熱する放熱器55と、放熱器55で加熱された乾いた乾燥用空気を加熱して乾燥室51へ供給するヒータ56が設けられている。
【0004】
また、乾燥室51から吸熱器54に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部に放出する熱バランス手段57を設け、冷却用ファン58によって熱交換器59を通る乾燥用空気を冷却するようにしている。
【0005】
上記の構成の場合、乾燥運転の初期におけるヒートポンプ装置の冷媒温度が所定の温度に上昇するまでの間、ヒータ56によって乾燥室51へ供給する乾燥用空気を加熱することができるため、乾燥室51を含む循環風路52全体の温度上昇を速め、ヒートポンプ装置の吸熱器54から冷媒に吸熱する熱量も増えるため、冷媒温度が所定の温度まで上昇する時間が短くなるとともに、以降もヒータ56とヒートポンプ装置の放熱器55の両方で循環する乾燥用空気を加熱することによって、高温の乾燥用空気で衣類を乾燥させることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−236965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、乾燥室51を出た乾燥用空気を循環風路52に設けた熱交換器59を通して冷却するようにしているため、ヒータ56と圧縮機60の仕事量に見合った排熱量を確保すべく、熱交換器59による冷却効果を高めると、乾燥用空気が流れる循環風路52の断面積が狭くなって、乾燥用空気の風量が低下し、循環する乾燥用空気の風量低下を抑えて効果的に排熱することが難しいという問題があった。
【0008】
また、乾燥室51を出た乾燥用空気が通る循環風路52を冷却水によって冷却すると、循環風路52の断面積を確保することができる反面、効果的に排熱することが難しく、冷媒温度の上昇に繋がり、圧縮機60から吐出される高圧側の冷媒圧力が上昇し、圧縮機60の運転が不安定になるため、ヒータ56の入力を減らして発熱量を下げるか、圧縮機60の回転数を下げて仕事量を下げる必要があり、結果的に乾燥効率が低下し乾燥時間の短
縮に繋がらないといった課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、乾燥能力を高めて効率よく乾燥できる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、衣類等を収容し乾燥させる乾燥室と、圧縮機と前記圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記吸熱器から前記放熱器を経て前記乾燥室へ導く循環風路と、前記循環風路に送風する送風手段と、前記放熱器を通過し前記乾燥室へ導入される前の乾燥用空気を加熱するヒータと、前記乾燥室から前記吸熱器に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部とを備え、前記排熱部は、前記循環風路を通る乾燥用空気を熱交換器を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却する第2の冷却手段と、前記第1および第2の冷却手段に送風する冷却ファンと、前記冷却ファンにより送風される冷却用空気を前記熱交換器と前記循環風路とに導くダクトを有し、前記冷却ファンにより、前記熱交換器を通る乾燥用空気と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却するようにしたものである。
【0011】
これによって、ヒータとヒートポンプ装置を同時に稼動した場合でも、ヒータの発熱量とヒートポンプ装置の圧縮機の仕事量分の熱量とを効果的に冷却することができるため、循環風路内の温度が過昇することなく、安定したヒートポンプサイクルを実現することができるとともに、循環風路を流れる乾燥用空気の風量低下を抑えることができ、高温の乾燥用空気で効率よく衣類の乾燥をすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の衣類乾燥機は、乾燥能力を高めて効率よく衣類を乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥機のシステム概念図
【図2】同衣類乾燥機の要部断面図
【図3】同衣類乾燥機の図1のA−A断面図
【図4】同衣類乾燥機の図1のB−B断面図
【図5】同衣類乾燥機のブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における衣類乾燥機のシステム概念図
【図7】従来の衣類乾燥機のシステム概念図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、衣類等を収容し乾燥させる乾燥室と、圧縮機と前記圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記吸熱器から前記放熱器を経て前記乾燥室へ導く循環風路と、前記循環風路に送風する送風手段と、前記放熱器を通過し前記乾燥室へ導入される前の乾燥用空気を加熱するヒータと、前記乾燥室から前記吸熱器に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部とを備え、前記排熱部は、前記循環風路を通る乾燥用空気を熱交換器を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却する第2の冷却手段と、前記第1および第2の冷却手段に送風する冷却ファンと、前記冷却ファンにより送風される冷却用空気を前記熱交換器と前記循環風路とに導くダクトを有し、前記冷却ファンにより、前記熱交換器を通る乾
燥用空気と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却するようにしたことにより、乾燥室を出た乾燥用空気の一部の熱を排熱部によって効果的に外部へ放熱することができ、ヒータとヒートポンプ装置を同時に稼動した場合においても、ヒートポンプ装置の高圧側の圧力上昇を抑制することができ、安定したヒートポンプサイクルを実現することができるとともに、熱交換器を通過する乾燥用空気の圧損による風量低下を少なくすることができ、衣類等の乾燥効果を高めることができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の循環風路は、放熱器を出た乾燥用空気が乾燥室に至るまでの間の加熱部を合成樹脂等の低放熱性材料で構成するとともに、乾燥室を出た乾燥用空気が吸熱器に至るまでの間の冷却部を良熱伝導性金属等の高放熱性材料で構成したことにより、冷却部を通過する乾燥用空気の熱を循環風路を通して効率よく放熱することができる。筐体内に設けられた乾燥室を構成する回転ドラムを設けた衣類乾燥機、或いは、洗濯水を溜める水槽内に回転ドラムを回転可能に設け、洗濯した衣類を回転ドラム内で続けて乾燥できる洗濯乾燥機は、筐体との間に形成される狭い空間に循環風路が配設されている。循環風路の両端は回転ドラム、或いは、水槽に連通接続しており、折れ曲がった複雑な形状を合成樹脂等の成型品により合理的に実現しているのが一般的である。また、洗濯乾燥機では、脱水時の回転ドラムの高速回転による振動が、循環風路内に配設されている吸熱器および放熱器、さらには、これらと冷媒が循環する管路で接続された圧縮機に伝達されるのを軽減するために、蛇腹状のゴム製ホースで連結し、循環風路の一部を構成している。
【0016】
上記のように、循環風路を構成する合成樹脂等の成型品およびゴム製ホースは熱が伝わりにくく、放熱器を出た乾燥用空気が乾燥室に至るまでの間の循環風路の加熱部を合成樹脂等で構成することにより、低熱伝導特性によって乾燥用空気の外部への放熱を少なくすることができ、加熱された乾燥用空気の温度低下を抑制することができる。一方、乾燥室を出た乾燥用空気が吸熱器に至るまでの間の循環風路の冷却部を良熱伝導性金属等で構成し、排熱部による乾燥用空気の冷却を促進することにより、第1の冷却手段である熱交換器を通過する乾燥用空気の圧損による風量低下を少なくすることができ、衣類等の乾燥効果を高めることができるとともに、乾燥用空気の熱の一部を循環風路の外表面から効果的に外部へ放熱することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における衣類乾燥機のシステム概念図、図2は、同衣類乾燥機の回転ドラムの下方を上方から見た要部断面図、図3は、同衣類乾燥機の図1のA−A断面図、図4は、同衣類乾燥機の図1のB−B断面図、図5は、同衣類乾燥機のブロック図である。
【0019】
図1〜図5において、衣類イ等の乾燥対象を収容して乾燥させる乾燥室としての回転ドラム1は、衣類乾燥機の筐体2内に回転自在に設けられ、モータ3によってドラムベルト4を介して筐体2の前後水平方向、または、前後方向に前上がりに傾斜させて設けた回転軸5を中心として回転駆動される。
【0020】
ヒートポンプ装置6は、冷媒を圧縮する圧縮機7と、圧縮機7で圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器8と、高圧の冷媒の圧力を減圧して冷媒の圧力差を維持するためのキャピラリーチューブ等の絞り手段9と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器10とを冷媒が循環するように管路11で連結されている。矢印Cは冷媒の流れ方向を示している。
【0021】
モータ3のシャフトに取り付けられた送風手段12によって送風される乾燥用空気は、循環風路13に配設した吸熱器10と放熱器8を通過し、回転ドラム1へ送風されて循環する。放熱器8を通過した乾燥用空気は、循環風路13に設けたヒータ14によって加熱された後、回転ドラム1内へ供給される。
【0022】
回転ドラム1内に形成された乾燥室から出た乾燥用空気を吸熱器10へ導く循環風路13には、乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部15が設けられている。排熱部15は、循環風路13を吸熱器10に向かって流れる乾燥用空気を熱交換器16を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る循環風路13を冷却する第2の冷却手段と、第1の冷却手段および第2の冷却手段に送風する冷却ファン17と、冷却ファン17により送風される冷却用空気を熱交換器16と循環風路13とに導くダクト18が設けられており、冷却ファン17により、熱交換器16を通る乾燥用空気と、乾燥用空気が通る循環風路13を冷却するようにしている。
【0023】
すなわち、第1の冷却手段は、冷却ファン17によって送風される冷却用空気により、熱交換器16を流れる乾燥用空気を冷却するようにしたものであり、第2の冷却手段は、冷却ファン17によって循環風路13に向けて開口したダクト18の送風口19から送風される冷却用空気により、乾燥用空気が流れる循環風路13を冷却するようにしたものである。
【0024】
回転ドラム1内の乾燥室から出た乾燥用空気は、循環風路13に設けた熱交換器16を通り、ヒートポンプ装置6の吸熱器10から放熱器8へと導かれ、送風手段12に至る。放熱器8を通過して加熱された乾燥用空気は、ヒータ14によってさらに加熱されて回転ドラム1内の乾燥室へ供給され、循環風路13と回転ドラム1を循環する。
【0025】
循環風路13は、放熱器8を出た乾燥用空気が乾燥室である回転ドラム1に至るまでの間の加熱部13aと、乾燥室である回転ドラム1を出た乾燥用空気が吸熱器10に至るまでの間の冷却部13bを有し、筐体2との間に形成される狭い空間に配設され、循環風路13の両端は回転ドラム1と連通するように接続している。
【0026】
冷却ファン17は筐体2の前面下部に設けられ、筐体2の前面に設けた吸気口20から冷却ファン17を介して熱交換器16まで連通するダクト18によって導かれた冷却風で熱交換器16を冷却する。熱交換器16で乾燥用空気を冷却した後は、圧縮機7の近傍の筐体2背面に設けられた排気口21から筐体2外部へ排出される。
【0027】
フィルター22は、回転ドラム1の二次側(出口側)に少なくとも1つ設けられ、乾燥用空気中の衣類イから発生したリントやほこりを回収する。吸熱器10と熱交換器16での熱交換で発生した乾燥用空気の結露水は、吸熱器10の近傍に設けられた排水ポンプ23によって筐体2の上方に設けられた排水タンク(図示せず)に汲み上げられて貯められる。衣類イは、筐体2の前面に開閉自在設けたドア24から出し入れされる。
【0028】
乾燥検知手段25は、回転ドラム1内に形成される乾燥室の前面部に設けられ、回転ドラム1内の衣類イに接触する電極の抵抗値から衣類イの乾燥度を検出する。
【0029】
温風温度検知手段26は、循環風路13内の放熱器8と回転ドラム1の間、すなわち、放熱器8の下流側で回転ドラム1の上流側となる位置に設置され、衣類イに熱量を供給する前の乾燥用空気の温度を検知する。
【0030】
衣類容量検知手段27は、回転ドラム1内に形成される乾燥室の前面に、取り付け高さ
を変えて設けた複数の電極から構成される。複数の電極と衣類イとの接触の有無を電極の抵抗値から検出するが、取り付け高さの異なるそれぞれの電極は、衣類イとの単位時間当たりの接触頻度が異なるため、制御手段28に予め設定されたパラメータと照合して、衣類イの容量を推定することができる。
【0031】
制御手段28は、乾燥検知手段25、温風温度検知手段26、衣類容量検知手段27などの情報をもとに、モータ3、圧縮機7、送風手段12、ヒータ14、冷却ファン17、排水ポンプ23などを制御し、乾燥運転を実行する。なお、矢印Dは乾燥用空気の流れを示している。
【0032】
モータ3は、筐体2下部の奥側右方向に配設され、圧縮機7は、筐体2下部の奥側左方向の角部近傍に配設されている。さらに、放熱器8、絞り手段9および吸熱器10は、圧縮機7の近傍に配設されることで、ヒートポンプ装置6全体の重心が回転軸5を含む垂直平面に対してモータ3の重心と略対称となるようにしている。
【0033】
以上のように構成された衣類乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。まず、ドア24を開いて乾燥をおこなう衣類イを回転ドラム1内に投入する。次に、乾燥運転を開始すると、モータ3が回転し、回転ドラム1および送風手段12が回転して矢印D方向に乾燥用空気の流れが生じる。
【0034】
乾燥運転初期工程では、衣類イを含む回転ドラム1内の乾燥室の温度は略室温であり、所定温度に加熱される乾燥用空気と比較して低い温度であるため、衣類イの乾燥の進行が遅い。また、循環風路13を流れる乾燥用空気の温度も低いため、ヒートポンプ装置6の吸熱器10からの吸熱量も小さく、循環する冷媒の温度が所定の温度まで上昇するのに時間がかかる。
【0035】
しかし、ヒータ14によって乾燥用空気を加熱することにより、ヒートポンプ装置6の放熱器8で加熱された乾燥用空気をヒータ14でさらに加熱され、乾燥室内の温度上昇が促進され、吸熱器10からの吸熱量も増加し冷媒温度の上昇も加速するため、所定の冷凍サイクルに対して迅速にヒートポンプ装置6が立ち上がり、乾燥時間が短縮される。
【0036】
乾燥室に吹出した乾燥用空気は、回転ドラム1内の衣類イと接触し、水分を奪って多湿となった後、フィルター22を通過し、循環風路13に入って熱交換器16を通り、ヒートポンプ装置6の吸熱器10から放熱器8へと導かれる。
【0037】
筐体2前面の下部に設けられた冷却ファン17によって冷却された熱交換器16と、ヒートポンプ装置6の吸熱器10で乾燥用空気を冷却除湿する。除湿された乾燥用空気は放熱器8で再加熱され、再び送風手段12を介して回転ドラム1へと循環される。以上の繰り返しで衣類イの乾燥が進行する。
【0038】
乾燥運転中、吸熱器10や熱交換器16によって乾燥用空気を除湿した際に発生した水は、排水ポンプ23によって筐体2の上方に設けられた排水タンクに汲み上げられる。また、衣類イの乾燥が進行すると、回転ドラム1による衣類イの撹拌で、衣類イからリントが発生する。衣類イのほつれや、衣類イを投入する際に紛れ込んだほこりなどの殆どのリントは、フィルター22で捕捉回収される。
【0039】
回転ドラム1から循環風路13の冷却部13bに出た乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部15は、冷却ファン17によって送風される冷却用空気により、熱交換器16を流れる乾燥用空気を冷却する第1の冷却手段と、循環風路13に向けて開口したダクト18の送風口19から冷却ファン17によって送風される冷却用空気により、乾燥用空
気が流れる循環風路13を冷却する第2の冷却手段を有している。排熱部15は、ヒータ14の最大発熱量と圧縮機7の最大仕事量との合計と同等以上の冷却能力を有する。
【0040】
したがって、乾燥用空気の一部が循環風路13から外部へ排出されることなく、循環風路13と回転ドラム1とを循環する構成であっても、循環風路13内の温度が過昇することなく、ヒートポンプ装置6の高圧側の圧力上昇を抑制でき、ヒータ14で乾燥用空気をさらに加熱するようにした場合でも、所定の冷凍サイクルで安定してヒートポンプ装置6を運転することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態においては、衣類イ等を収容し乾燥させる乾燥室1と、圧縮機7と圧縮機7で圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器8と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段9と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器10とを冷媒が循環するように管路11で連結したヒートポンプ装置6と、乾燥室1から出た乾燥用空気を吸熱器10から放熱器8を経て乾燥室1へ導く循環風路13と、循環風路13に送風する送風手段12と、放熱器8を通過し乾燥室1へ導入される前の乾燥用空気を加熱するヒータ14と、乾燥室1から吸熱器10に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部15とを備え、排熱部15は、循環風路13を通る乾燥用空気を熱交換器16を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る循環風路13を冷却する第2の冷却手段と、第1および第2の冷却手段に送風する冷却ファン17と、冷却ファン17により送風される冷却用空気を熱交換器16と循環風路13とに導くダクト18を有し、冷却ファン17により、熱交換器16を通る乾燥用空気と、乾燥用空気が通る循環風路13を冷却するようにしたものであり、乾燥室1を出た乾燥用空気の一部の熱を排熱部15によって効果的に外部へ放熱することができ、ヒータ14とヒートポンプ装置6を同時に稼動した場合においても、ヒートポンプ装置6の高圧側の圧力上昇を抑制することができ、安定したヒートポンプサイクルを実現することができるとともに、熱交換器16を通過する乾燥用空気の圧損による風量低下を少なくすることができ、衣類等の乾燥効果を高めることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、送風手段12をモータ3のシャフトに直結する構成としているが、回転ドラム1の駆動と同様にベルトを介して駆動させるようにすることができる。これにより、送風手段12の配置の自由度が上がり、放熱器8のすぐ背面側に配設して回転ドラム1へ乾燥用空気を導く構成とすることができ、循環風路13の圧力損失を低減させることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、排水ポンプ23を用いて除湿水を排水タンクに溜める構成としたが、吸熱器10の近傍に排水口を設けて筐体2外へ排出する構成としてもよい。
【0044】
なお、本実施の形態では、温風温度検知手段26を用いて乾燥用空気の温度を検出し、モータ3、圧縮機7等を制御する構成としたが、ヒートポンプ装置6の放熱器8近傍の管路11に冷媒温度検出手段を設け、この冷媒温度検出手段から検出される冷媒温度によって、温風温度を推測する構成としてもよい。
【0045】
なお、本実施の形態では、乾燥検知手段25と衣類容量検知手段27は、それぞれ独立した構成としたが、センサとしての電極を共用してもよい。その場合、衣類容量検知手段27を構成する複数の電極の内、回転ドラム1の下方に取り付けられる電極を乾燥検知手段25と共用することにより、衣類イの量が少ない場合においても精度良く乾燥検知をおこなうことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、衣類容量検知手段27は、回転ドラム1内に形成される乾燥室の前面に取り付け高さを変えて設けた複数の電極としたが、回転ドラム1内の衣類イを
撹拌するために回転ドラム1内に設けられるバッフルに電極を構成してもよい。この場合は、回転ドラム1の回転に合わせてバッフルに取り付けた電極も回転し、衣類イに対する高さ方向の位置が変わり、これによって、各々の電極の位置における衣類イとの接触頻度を検出でき、衣類イの容量を推定することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、回転ドラム1内の衣類を撹拌しながら乾燥させる構成としたが、乾燥室内に衣類を吊り下げて乾燥させるものであってもよく、また、回転ドラム1を水槽内に回転可能に設け、洗濯機能を備えた洗濯乾燥機であってもよい。
【0048】
(実施の形態2)
図6は、本発明の第2の実施の形態における衣類乾燥機のシステム概念図である。本実施の形態の特徴は、放熱器8を出た乾燥用空気が乾燥室1に至るまでの間の循環風路13の加熱部13aを合成樹脂等の低放熱性材料で構成するとともに、乾燥室1を出た乾燥用空気が吸熱器10に至るまでの間の冷却部13bを良熱伝導性金属等の高放熱性材料で構成したものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0049】
循環風路13の冷却部13bは、例えば、アルミニウム等の良熱伝導性金属で構成することにより、冷却部13bを通過する乾燥用空気の熱を循環風路13を通して効率よく放熱することができる。
【0050】
放熱器8を出た乾燥用空気が乾燥室1に至るまでの間の加熱部13aを合成樹脂等で構成することにより、低熱伝導特性によって外部への自然放熱を少なくすることができ、加熱された乾燥用空気が乾燥室1に供給されるまでの温度低下を抑制することができる。一方、乾燥室1を出た乾燥用空気が吸熱器10に至るまでの間の循環風路13の冷却部13bを良熱伝導性金属等で構成することにより、自然放熱に加えて、排熱部15による乾燥用空気の冷却を効果的におこなうことができる。
【0051】
したがって、第1の冷却手段である熱交換器16を通過する乾燥用空気の圧損による風量低下を少なくすることができ、衣類等の乾燥効果を高めることができるとともに、乾燥用空気の熱の一部を冷却部13bから効果的に外部へ放熱することができる。
【0052】
なお、排熱部15を構成する部分の循環風路13を良熱伝導性金属で構成するほか、循環風路13の冷却部13bの全体、すなわち、乾燥室1の出口から吸熱器10の入り口までを良熱伝導性金属等で構成することができる。また、ダクト18の送風口19から冷却ファン17によって送風される循環風路13の外表面に多数の放熱用のフィンを設けることにより、放熱効果を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥機は、乾燥能力を高めて効率よく衣類を乾燥することができるので、衣類乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 回転ドラム(乾燥室)
6 ヒートポンプ装置
7 圧縮機
8 放熱器
9 絞り手段
10 吸熱器
11 管路
12 送風手段
13 循環風路
14 ヒータ
15 排熱部
16 熱交換器(第1の冷却手段)
17 冷却ファン
18 ダクト
19 送風口(第2の冷却手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類等を収容し乾燥させる乾燥室と、圧縮機と前記圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記吸熱器から前記放熱器を経て前記乾燥室へ導く循環風路と、前記循環風路に送風する送風手段と、前記放熱器を通過し前記乾燥室へ導入される前の乾燥用空気を加熱するヒータと、前記乾燥室から前記吸熱器に至るまでの間で乾燥用空気の熱の一部を外部へ放出する排熱部とを備え、前記排熱部は、前記循環風路を通る乾燥用空気を熱交換器を通して冷却する第1の冷却手段と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却する第2の冷却手段と、前記第1および第2の冷却手段に送風する冷却ファンと、前記冷却ファンにより送風される冷却用空気を前記熱交換器と前記循環風路とに導くダクトを有し、前記冷却ファンにより、前記熱交換器を通る乾燥用空気と、乾燥用空気が通る前記循環風路を冷却するようにした衣類乾燥機。
【請求項2】
循環風路は、放熱器を出た乾燥用空気が乾燥室に至るまでの間の加熱部を合成樹脂等の低放熱性材料で構成するとともに、乾燥室を出た乾燥用空気が吸熱器に至るまでの間の冷却部を良熱伝導性金属等の高放熱性材料で構成した請求項1記載の衣類乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85682(P2013−85682A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228567(P2011−228567)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】