説明

衣類用表示ラベル及びこの表示ラベルを使用した衣類

【課題】品質等を表示する表示ラベルの縫着された衣類を使用時にそのラベルの肌への違和感やチクチク感等の不快感を解消するため、容易に取り外しが可能となる衣類用の表示ラベルの構造とその取り付け方法を提供する。
【解決手段】衣類用の表示ラベルにおいて、平織りの表示領域部と衣類に縫着する縫い合せ部から構成し、前記縫い合せ部は、縦糸または横糸のみからなる一方向糸部と縦糸と横糸を有する平織りの補助布部とからなり、この一方向糸部を表示領域部に隣接させる事で、縫着された該ラベルは表示領域部を引っ張るだけで容易に取り外しが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に縫着されている表示ラベルの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣類に縫着されている品質等を表示する表示ラベルは、子供や高齢者、特にアトピー性皮膚炎など皮膚疾患を持つ敏感肌の使用者には、ラベルが擦れることでチクチク感を強く感じて、その不快感から無意識に掻いたりすることで、皮膚に炎症をおこすことがあり、このために更に掻くという悪循環を繰り返すことが多かった。
【0003】
一般に既成衣類の大部分は、オーバーロックミシンによる衣類の縁かがり縫い時に表示ラベルが衣類に同時縫着されている。
【0004】
このような表示ラベルを縫い込み部分に沿ってハサミで切断しても、縁かがり縫いされたラベルの端に部分までは取り除くことが出来なかった。この縁かがり縫い部分に残されたラベルのラベル切断面が肌に当たることで、却って肌へのチクチク感や不快感を増すことがあった。
【0005】
表示ラベルを縫込み部分から全て取り外してしまうにはハサミで縁かがり縫いの糸を切り解く必要がある。しかし、この作業は非常に手間がかかる。また高齢者など視力が弱く手元が見えにくい者にとっては、糸を切る時に糸が見えづらく、このために糸とともに、あるいは糸ではなく衣類の布地を切ってしまうことがある。また糸を切り、取り外すことにより衣類の縁かがり縫い部分に数cmの開きが生じる。このためその開いた縁かがり縫い部分縫い繕う作業を必要とし、手間がかかる上、見栄えも悪いことになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−155922公報
【特許文献2】特開平11−200173公報
【特許文献3】特開2000−96425公報
【特許文献4】特開2008−276049公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、品質等を表示する表示ラベルの縫着された衣類を使用時に、そのラベルの肌への違和感やチクチク感等の不快感を解消することを目的とした、衣類用の織布製の表示ラベルとその取り付け方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、衣類に縫着する品質等を表示する織布製の表示ラベルにおいて、平織りの表示領域部と衣類に縫着する縫い合せ部とから構成し、縫い合せ部は縫い込まれる縦糸または横糸のみからなる一方向糸部と、この一方向糸部に隣り合って端縁部をなす平織りの補助布部とからなる衣類用の表示ラベルである。
【発明の効果】
【0009】
既製衣類の多くが、オーバーロックミシンによる縁かがり縫いにより衣類と表示ラベルは同時縫着されている。このラベルが使用者の肌への違和感やチクチク感等の不快感となっている。ハサミで該ラベルを切断しても縁かがり縫いの側に残った切断面が却って肌を刺激しチクチク感を増す。本発明は、この不快感を解消する為に表示ラベル1を表示領域部2と衣類に縫着する縫い合せ部3とから構成し、前記縫い合せ部は横糸のみの一方向糸部31と縦糸と横糸を有する補助布部32とからなり、一方向糸部を表示領域部に隣接させる。この一方向糸部を衣類脇縫着部位51(図3参照)に縁かがり縫い33にて縫着する。この縫着時にオーバーロックミシンの持つ機能により、衣類の端布52と補助布部32の余剰部分は同時に切り落とされる。補助布部が切り落とされたことにより、表示領域部をつまんで縁かがり縫い部分より抜き取るように引っ張るだけで、一方向糸部の形状により取り外しが容易になる(図4参照)。表示ラベルが取り外せたことにより、違和感やチクチク感等の不快感がなくなり、掻き傷などの炎症もなくなる。
【0010】
高齢者や視力の弱い者でも縫着したラベルの糸を切る必要がなくなり、間違えて衣類の布地を切ってしまうこともない。このことから高齢者や子供でも取り外しが容易である。
【0011】
同時縫着した衣類と表示ラベルは縫着時に補助布部が切り落とされたことにより、ラベルを引っ張るだけで一方向糸部が縁かがり縫いより抜き取れて(図4参照)、糸を切らずにラベルを取り外すことが可能となる。縁かがり縫いの糸を切らないため衣類その物の縁かがりは開かず、繕う手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1を示し、衣類脇部位の表示ラベルを示す平面図である。
【図2】図1の表示ラベルを二つ折りにした概略平面図である。
【図3】図2の二つ折りにした表示ラベルを衣類に縫着した平面図である。
【図4】図3 の表示ラベルを縁かがり縫いより引き抜いた平面図である。
【図5】実施例2を示し、衣類首後ろ部位の表示ラベルを示す平面図である。
【図6】図5を折り線9から折り返した概略平面図である。
【図7】衣類に縫着する前の図5に示す表示ラベルの平面図である。
【図8】図7の表示ラベルの縫い合せ部8を引き抜いた平面図である。
【図9】実施例1と実施例2の表示ラベルを衣類に縫着する位置を示す衣類の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例1を図1から図4に基づいて以下説明する。
衣類脇部位に取り付ける織布製の表示ラベル1は、平織りの表示領域部2とその表示領域部の両側に設けた縫い合せ部3とからなる。表示領域部2には表示ラベル1を縫着する衣類の品質(綿100%、絹100%など)やサイズ、洗濯方法等の表示を現している。縫い合せ部3は、表示領域部2の両側に一体的に設けられている。そしてこの縫い合せ部3は横糸のみの一方向糸部31と縦糸と横糸を有する平織りの補助布部32とからなり該一方向糸部31を表示領域部2の両側に隣接させる。
【0014】
平織りの表示領域部2の横幅は60mm〜100mmの長さ寸法にしてある。縫い合せ部3は横糸のみの一方向糸部31を10mm前後の幅に設け、表示領域部2に隣接させ更にその両側に縦糸と横糸を有する平織りの補助布部32を5mm前後の幅に設ける。
【0015】
表示ラベル1は縫着が衣類脇部位(図9参照)のため一端部の縫着となる。よって図2の通り表示ラベル1を折り線4の位置で二つ折りにし、縫い合せ部3を重ね、この重ね合せた一端部を縫着箇所とする。重なった縫い合せ部3の前面と裏面の夫々の一方向糸部31及び補助布部32はいずれも同じところに位置される。二つ折りにする事で品質表示やサイズ表示、洗濯表示などの表示は該ラベルの前面と裏面に表示される。
【0016】
前記二つ折りの表示ラベル1の前面と裏面とを重ね合せた一方向糸部31を図3の通り衣類脇縫着部位51に縁かがり縫い33で縫着する。この時、オーバーロックミシンの機能により、平織りの補助布部32は衣類端布52と同時に切り落とされる。
【0017】
本発明の表示ラベルの縫着された衣類を使用時に肌への違和感やチクチク感等の不快感を生じた場合は、図4の通り二つ折りの表示領域部2をつまんで抜き取るように引っ張ると一方向糸部31の形状により縁かがり縫い33より容易に取り外すことが出来る。
【0018】
実施例2を図5から図8に基づいて以下説明する。
衣類首後ろ部位に取り付ける表示ラベル6は、平織りの表示領域部7とこの表示領域部の両側に設けた縫い合せ部8とからなる。表示領域部7には表示ラベル6を縫着する衣類のメーカー名やサイズ等の表示を現している。縫い合せ部8は表示領域部7の両側に一体的に設けられている。そしてこの縫い合せ部8は横糸のみの一方向糸部81と縦糸と横糸を有する平織りの補助布部82、続いて横糸のみの一方向糸部83、更に続けて縦糸と横糸を有する平織りの補助布部84とからなり、前記一方向糸部81を表示領域部7の両側に隣接させる。
【0019】
図5の通り平織りの表示領域部7の横幅を50mm〜70mmの長さ寸法にして、その両側に隣接させて横糸のみの一方向糸部81を5mm前後の幅で設けてある。この一方向糸部81の両側に平織りの補助布部82を10mm前後の幅で設け、更にその両側に横糸のみの一方向糸部83を5mm前後の幅に設ける(一方向糸部81と一方向糸部83は同じ幅にする)。更に続いてその両側に平織りの補助布部84を5mm前後の幅に設ける。
【0020】
前記表示ラベル6に記した折り線9の位置(図5、図6参照)で裏側に折り曲げ、前面の一方向糸部81と裏面の一方向糸部83を重ね合せて整える。この重ね合せ作業を表示ラベル6の左右において同様に行う。
【0021】
図6で整えた表示ラベル6を図7の通り、重なった一方向糸部81(83)上を、縫い位置10に従って衣類首後ろ部位(図9参照)に縫着する。
【0022】
本発明の表示ラベルの縫着した衣類を使用時に肌への違和感やチクチク感等の不快感を生じた場合は、図7で示したラベル切り取り位置11に従って、一方向糸部81(83)を切り、平織りの補助布部82をつまんで右側に引っ張る(図8参照)と、一方向糸部81(83)の形状により容易に抜き取ることが出来る。ラベルの左端側においても同様に処理することでラベルを簡単に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 衣類脇部位の表示ラベル
2、7 表示領域部
3、8 縫い合せ部
31、81、83 横糸のみの一方向糸部
32、82、84 補助布部
4、9 折り線
5 衣類
51 衣類脇縫着部位
33 縁かがり縫い
52 衣類端布
6 衣類首後ろ部位の表示ラベル
10 縫い位置
11 ラベル切り取り位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類に縫着する品質等を表示する織布製の表示ラベルにおいて、平織りの表示領域部と衣類に縫着する縫い合せ部とから構成し、前記縫い合せ部は縦糸または横糸のみからなる一方向糸部と、この一方向糸部に隣り合った平織りの補助布部とからなり、この一方向糸部を表示領域部に隣接させたことを特徴とする衣類用表示ラベル。
【請求項2】
請求項1の表示ラベルを、衣類にオーバーロックミシンで縫いつける際に、一方向糸部を同時に縫着する表示ラベルの取り付け方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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